LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。



 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 第1次妖魔対戦 Part10

 「おかしわよ」 白龍神のまさに自爆 羽衣を卵の殻の様に、周囲に展開 近くで戦っていた詩織と、風吹をも包んで、羽衣で出来た卵の殻の内部でしのいだ真美。 殻から弾け飛び 周囲の惨状を見渡しながら呟いた。

 あれ程の爆発 それも強大なエネルギーを発生させた。 当然羽衣の防御力だけでは耐え切れない。 真美の持つラデェンスの力を羽衣の表面に展開させた。

 それ程の破壊力でありながら 影響を及ぼした範囲が、極めて限定的 約100m程度 それもあの爆発エネルギーを外部から 一定の限定範囲に、封じ込めた。 そんな風に感じられた。
 これ程の巨大な妖力の持ち主 1体しか存在しない。 その妖魔を見る。 本陣の中央 少し楽しげな笑みすら浮かべている。

 この程度の破壊力 そんな余裕の表情すら感じさせる。 ミラーコーティングと言う大技を持ち 自身に対するエネルギー系の技をカウンター攻撃で返す。 その大技は、自身の表面以外 ある一定の範囲内だが、外側に張れ 巨大な各種エネルギーが噴出爆発エネルギーを閉じ込めてしまう。 多分間違いない。 

 聖龍神により守られ由美、小夜子、三村の3人。

 聖龍神が、防御態勢を解き少し上空へ舞い上がりホバーリング(空中停止)状態に、ただ見つめる先は、多くの妖魔を道連れに自爆した白龍神の後 そう爆心地 何も消えたただのクレーターの中心地。 決して涙を見せない。 いや龍神が人類同様悲しい、悲痛の時涙を流すのか? 定かでない。 ただ表情を容易に読み取れた。 共に戦ってきた唯一の仲間を失い悲しみに暮れていた。 そして、使役者である小夜子を見つめる。

 聖龍神の防御態勢が解かれ爆心地を見つめる小夜子 「零夜ー!! 佐々木殿・・・・・」 言葉が続かない。 両膝を砂漠に力なく着ける。 「これで、古(いにしえ)の時代より続いた神楽家が、遂に潰えた」 だが、決して涙を見せなかった。 悲痛の表情だけが浮かんでいた。 1000年以上の長き渡り強大な霊能力を受け継ぎ、この国に住む民を平行宇宙の1つから災いと、穢れと、死をもたらす妖魔と戦い続けた家系。 真美の星沢家同様 摩訶不思議な事に、女性だけか生まれず、代々直系の生まれた女性に、強い妖魔と対抗出来る霊能力を受け継がれ、神話と思えるまた別の平行宇宙の1つから最強の霊獣 龍神を使役し妖魔と戦い続けてきた。 そして、零夜は、小夜子の直系の唯一残された孫娘 強い霊能力を受け継いでいた。 小夜子の決めた許嫁 代々神楽家は、その強い霊能力を維持する為 伴侶となる男性は、ある一定以上の霊能力の持ち主しか認めなかった。 それが佐々木であった。 その2人が、戦死した。 別世界へと旅立ってしまった。 2人の間には、まだ結婚もしておらず、子 つまり女児は誕生もしていない。 神楽家の強い霊能力を受け継ぐ者は、遂に途絶えた。 90歳を超える小夜子は、もう子を産む事など出来ない。 孫娘である零夜が、残された唯一最後の希望であった。

 「わし程人を食らう鬼神、夜叉 鬼子母神の様な女は、決しておらぬ わしの産んだ娘で、零夜の母を 零夜がまだ幼い頃 妖魔と戦闘中わしのミスで、死に至らしめ こんどは、零夜を守る事も助ける事もできんかった。 何と呪われたー・・・・・」 自らを罰する様に、自虐する。 だが決して涙を流さない。 いや見せていない。 今まだその時ではない。 小夜子は、解っていた。 今は、心を鬼に徹する時 悲しみに暮れ泣くのは、この戦闘に勝利し生き残れれば、その時 思い切り泣けばいい。 そう零夜は、強く、やさしい孫娘だったわい。 幼い、まだ母親の傍で、甘えていたかった年頃に、母親を亡くし、父親は、まだ零夜が、母親のおなかにいた頃 妖魔に襲われた際 わしの娘の盾となり殺され 父親の面影も知らぬ。 ただ写真のみ。 それでも零夜は、神楽家の正統党後継者 稀に見る霊能力の持ち主。 そんな事ですら決して許されない それを幼い頃から弁えていた。 そんな零夜を 早く最強の霊獣 龍神を受け継ぐ一人前の神楽家次期当主に育てねばならぬかった。 まだ時期尚早と知っていながら零夜に重い、厳しい修行を積ませた。 どんなに辛かっだろうのう? それでも零夜は、どんなに辛い時でも、決して弱音も泣くこともせんかった。 愚痴1つ吐かず、辛抱し耐えた。 修行は、終わると、1人だれもいない物陰で、いつも泣いておったのうー。 「早く一人前になった お母さんを殺した妖魔 全て皆殺しにする・・・・」 それが口癖だったじゃわい。 走馬灯の様に、次々と様々な零夜との思い出が、脳裏に現れては過ぎ去っていく。

 意を決する強い瞳を輝かせる小夜子。 自ら退路を断つ覚悟を決める。 今やるべき事 それは、残り2体となったSS級妖魔の1体 タコ、イカの様な軟体型のテタンクズーと、空中戦を開始した真美。 そして、全身を硬質の鋼の甲羅に覆われ全長2.5mを超える巨大なSS級妖魔ザンピースを 2人詩織と、風吹が共同で、動きを封じている。 若い連中 その戦いに集中させる環境 いや戦線を維持させる。 まだ圧倒的多数の妖魔の軍勢を ここに残っておる由美ちゃんと、三村隊長で、死守する。 そして、少し上空で、ホバーリング(空中停止)している小夜子の使役する龍神 黄金に輝く、史上最強の龍神 聖龍神を見つめる。 言葉・・・いや使役する為の祝詞など必要としない。 聖龍神自身も今やるべき必要な事を解っていた。 鋭いまさに敵をその燃え盛る瞳で、焼き尽くす様な両眼で、周囲に展開を開始した妖魔軍勢を睨む。 そんな聖龍神に対し小夜子を祝詞を称えながら命令を下す。 「聖龍神や やつら妖魔を喰らい尽くせ!!」 その言葉に呼応する。 まるで死者の群れ まさにゾンビの大軍が、少数の生きた人間を襲い掛かる様に、向かってくる妖魔の軍勢 どうやら強力なマインドコントロール(精神支配)を受けている。 そうその瞳に生者の輝きが全く見受けられない。

 不意に足元に、強い妖気と、霊力を感じる・ 「敵・・・・いやまるで違う これは・・・・」 見つめる先に、2本の刀 そう1本は、歴代神楽家の婿が使う A級妖魔の骨で作られた妖刀魔斬 そして、もう1本は、古き時代当時の有名な刀工が撃った妖魔だけを斬り割く魔剣破皇。 その2本が何か強い意思に導かれる様に、小夜子の足元に向かって、転がってきた。

 「これは・・・・」 何かを感じ受け取る様な言葉を発する。 2本の刀 元々の持ち主の元へ帰ってきた。 まだ戦う為に。

 2本の刀を拾い上げ、1本を古き時代当時の有名な刀工が撃った妖魔だけを斬り割く魔剣破皇を隣にいた三村に手渡す。 破皇自体がそう望んでいる 小夜子は、破皇を拾い上げた瞬間 そう感じた。

 「三村隊長 これを」

 小夜子から手渡された破皇を受け取る三村 両手で柄の部分をしっかりと握りしめる。 古き時代当時の有名な刀工が打った妖魔だけを斬り割く魔剣破皇 その破皇自体が持つ大きな霊力が全身を まさに震えさせるように伝わる。 「なんと言う力・・・・」 驚きの表情を浮かべる。 破皇自体が持ち主を選ぶと言われ 選ばれた持ち主だけに、その大きな霊力の全てを発揮すると言う。

 「隊長 この破皇ほんと強い力を秘めていますぜー 何て言うか ほとばしる霊力と言うか? とにかく強い まるでそう兎に角めちゃ早い競走馬が、その乗り手ジョッキー選ぶ荒ぶれジャジャ馬の様な 選ばれし者しか。その本領を発揮しない まさに、簡単に落ちてくれない愛しい美女・・・・・」 元の持ち主である佐伯が、破皇の手入れをしながらにやにやしながら まるで、本人の発言の様に、これ以上ない愛しの彼女(破皇)を丹念に手入れしながら語っていた。 ふいにその事を思い出した。 まさに使い手を選ぶ魔剣。 選ばれし者だけが、その真の力を発揮する。 「俺は、はたして、こいつ(破皇)に選ばれるのか?」 破皇を見つめながら呟く。 だが今 そんな事考えている余裕などない。 やる事は、1つ 目の前の妖魔軍を出来る限り切り裂く、そして、今戦っている若い3人に、今の戦闘に集中 どなに妖魔にも邪魔をさせない。

 三村は、自らの霊能力を最大限に高める。 三村の霊能力 ファトムと呼ばれ自らの持つ強力な霊能力をエネルギー体のまま実体化 三村自身の思念波で、コントロールし戦う。 遠隔操作する大技。 同時に2つの異なる霊能力を使用する。 「果たして俺にそんな器用なマネ出来るか?」 考えるより実行あるのみ。 そう言い聞かせる。 「真美ちゃんだって、2つの全く異なるラディエンスの力と、霊能力の1つ羽衣を使いこなしている。 俺に出来ない事などない」 そう強く自身に言い聞かす。 今は、決断したら即実行あるのみ そうすればおのずと道が開ける。。

 三村は、風吹並の大きなまさに怪鳥の雄叫びを上げ、若い3人が戦う戦闘エリアの少し離れた場所で、隙を虎視眈々と狙う妖魔軍に向け突撃を開始した。

 「感じる・・・感じるぞー」 破皇からほとばとしるすさまじい霊力 その霊力が、三村自身の霊力を更に高める。 更なる高みへと、誘(いざな)う。
 「飛んだ お転婆、ジャジャ馬娘だぜこいつは・・・・」 薄く笑みを浮かべながら、妖魔軍の切り裂く三村。 確かな手ごたえを感じる。

 目の前に、1体のS級と、5体のA級妖魔が、立ちはだかる。

 西洋式挨拶をする先頭のS級妖魔。 「これは、これは、妖魔ハンター隊長の三村さん」 うやむやしく頭を下げる。 「お初にお目にかかります・・・・・」

 「下らない能書きなど聞きたくない」 その言葉を遮る。 巧みな話術 その言葉1つ1つに、込められたまさに催眠術を見切っていた。 それと同時に、5体のA級妖魔が、円形に周囲を囲む。 「これでも気配を消しているつもりか?」 まるでザルにすくった水の様に、ジャジャ漏れの妖気。 元々妖魔は、全身から発する妖気を消せない。 殺気等を消す事が出来ても 感心な妖気を消せなければ、無意味。

 どこからともなく、まるで蜃気楼の様に、三村の周囲に影が現れ実体化する 三村の霊能力 ファントム 三村自身の霊力を実体化し三村の思考、思念波による遠隔操作で戦う。 
 「これは、俺のアナザー(もう1人の自分)てあり ドッペルゲンガーさ 見た妖魔は、必ず死がその場で訪れる」 周囲を取り囲んだ5体のA級妖魔に対し豪快に言いのける。

 ちなみに、ドッペルゲンガーは、自分自身が、もう1人の自分を目撃する。 (独: Doppelganger)とは、自分自身の姿を自分で見る幻覚?の一種で、「自己像幻視」とも呼ばれる現象と言われている。 自分とそっくりの姿をした分身? 第2の自我、生霊の類? 同じ人物が同時に別の場所(複数の場合もある)に姿を現す現象を指すこともある(第三者が目撃するのも含む)など。 目撃報告は何世紀も昔から 存在し、現在まで数多くの記録がある。  自分自身が、自分自身のドッペルゲンガーを見ると、必ず近い将来 {死} が訪れると言う・・・・・ {死} が訪れるのは、目撃した第三者ではなく、自分自身であるはずなのだが、この点 三村は、何故かカン違いしていた。 こう言う事に詳しい真美に何度か指摘されていた。 いたって三村は、豪快に、「死ぬのは、やつら(妖魔)だ」と言って、笑い飛ばしていた。

 少し嘲笑を入れた不敵な笑みを浮かべる。 周囲を取り囲んだ1体のS級と、5体のA級妖魔に対するハッタリと、脅しと、何よりも挑発。 数の上で分が悪い。 それを補う為。 ワイルドギース(傭兵)時代何度も、歴史に残る数々の大激戦を生き残ってき それも最前線で、本物の強者(つわもの)。 その数々の経験が、何がこの場面で、最も効果的を熟字していた。 ッタリと、脅しと、何よりも挑発 それに乗り敵妖魔が、いきりたたせる。 それが狙い。 頭に血を昇らせ冷静な判断を下させない。 こう言った戦闘時における心理戦 百戦錬磨の三村 こう言った所に長けていた。 しかし周囲を取り囲む妖魔 まるで鉄仮面でも被っているのか? まるで表情1つ変えない。 どうやら挑発に乗らず、正攻法の連携による波状攻撃を狙っている。そう感じる三村。 「ようござんしょう その気なら こちらから仕掛けるのみ」 そう心の中で呟く。

 高まる霊力 同時に、三村の周囲の砂漠の砂が、丁度真円を描く様発生した小さな旋風(つむじかぜ)に吹き上げられる。 少しづつ、少しづつ 真円を描く様発生した風がやがて、高熱を伴った、強力なトルネード(竜巻)に変化 真円を描く範囲を外側へと膨張その範囲を広げ 暴風の様に周囲の全てを呑み込み吹き上げ高温焼き尽くす。 更に内部には、強力なサンダーボルトも発生。 吹き上げられた岩石の1部は、その強力な電撃を喰らい粉々に砕け散る。 「佐伯 お前の大技 風林火山 使わせてもらうぜ!!」 佐伯の顔を思い出しつつ更に、霊力を高める。 死んだ佐伯が、破皇を用いて、最大の大技であった。 だが、佐伯の使用した大技風林火山とは、まるでケタ違いの威力を秘めているのが、だれの眼で見ても明らかであった。 どうやら元の持ち主の佐伯、1時期その手にした零夜、そして、今の所持者である三村 3人の霊力が、重なり合い 更に、威力をケタ違いに増加させている。

 周囲を取り囲んでいた5体のA級妖魔 余りの威力に瞬時に、発生した風林火山のトルネード(竜巻)の暴風に呑み込まれ すさまじく回転する高熱を持つ暴風に天空へと救い上げられ その高熱に全身を焼かれ 更に、内部に発生する無数のサンダーボルトの電撃をいくつも喰らい 跡形もなく焼かれながら瞬時に砕け散る。 更にその周囲を取り囲んでいた他の妖魔も同様であった。 逃げ遅れた妖魔は、次々と暴風に呑み込まれ同じ運命を辿る。

 「これは、強烈だぜー!!」 風林火山の中心部 そう三村が立っている場所 まるで台風の眼 中心部の様に、ここだけは、周囲を猛烈な暴風などと変わって、少し穏やかなそよ風吹く程度。 だが猛烈な霊力を周囲に、発生させ風林火山を展開する三村の表情 疲労困憊の表情を浮かべ、大粒の汗を浮かべていた。 巨大なエネルギーの放出 それは、自身の持つ霊力の大量消耗と表裏の関係であった。 一気に使い切る。 1日1回しか使えない大技。 それだけ使用者の身体に多大な負担を強いる。 この大技わり更に、ケタ違いのエネルギーを瞬時に使い切り一気に、100体を超える妖魔を完全消滅させる真美の最終大技 バーストを思い浮かべる。 「そういつも真美ちゃん あのバーストを使用すると、完全に消耗しきり 意識を失うなあー それも酷いと、数日は意識さえ戻らない。 まあー俺の場合 そこまでは、消耗しそうにないがー」 内心呟く。 もはや風林火山を維持するのが、困難になりつつあった。 霊力が持ちそうにない。

 だが今 風林火山を終えるのに、躊躇する。 そう正面の1体のS級妖魔 必死に両足を地面に踏ん張り耐え続けていた。 やはりS級妖魔 妖力のケタが違う。
 「あいつを倒すまで、持ってくれればー」 まさに無い物ねだり。 もはやエネルギー切れ直前であった。 相当数の妖魔を倒した。 だがA級以下 本命は、まだ残ってる複数のS級 真美、詩織、風吹の負担を少しでも減らす為にも残っているS級を全て倒す事が、自ら課した目標、いや最低の義務でもあった。

 だがこれ以上三村の霊力が持たない。 肉体などのスタミナ同様 霊力も限度がある。 無限に、エネルギーの供給を続く永久機関など有り得ない。 使えば消費し、回復するのには、やはり時間を必要とする。 NASAが開発中と言われる夢の永久機関EMドライブの様に、永久に霊力と言うエネルギーは、続かない。

 「くそー!!」 思わず舌打ちする。 霊力と言うエネルギー切れ。 あれ程すさまじく荒れ狂った風林火山 あっと言う間に、まるで何事も無かった様に、雲散霧消の様に消える。

 破皇を中段に構え 全身で、何度も繰り返し大きく喘ぐ三村 顔から大量の汗が、浮き上がりしたたり落ちる。
 霊力同様、肉体面でのスタミナもかなり消耗しているのが、だれの眼にも明らかであった。 霊力を使えば、その代償の1つとして、莫大なスタミナの消耗を強いる。 強い、巨大な霊力は、それに比例して、より大きなスタミナの消耗を強いる。

 「これは、かなりしんどいぜー」 大きく喘ぎながら三村は、決してだれにも悟られぬよう心で呟く。

 周囲を見渡す。  ここは、遮る物の少ない荒涼とした砂砂漠 先程放った大技 風林火山によって、三村を中心に、半径十数mにいた妖魔は、全て焼き尽くされいた。 ただ1体 そうS級妖魔。 だが、ただ立ち尽くしている。 「どうやらあちらさん(1体のS級妖魔)もただでは済まなかったらしい・・・・・」 ふと内心呟く。 霊力のほとんどを使い果たし三村同様 あの大技 風林火山に耐える為 ほとんどの妖力を使い果たしている様に見えた。 感じる妖力も見た目と同じ。

 元の大技の持ち主 佐伯も この技をとっておきの最終大技として使用していた。 1度使用すると、ほとんどの霊力を使い果たし回復に多大な時間を必要としていた。 佐伯自身B級妖魔と同程度の霊力であったが、この風林火山は、その1ランク上のA級妖魔 それも同時に、数体も倒せる程の強力な威力を誇っていた。 手に握る破皇の代々持ち主の最終必殺大技。

 「霊力がほとんど残っていない やつを倒すには、生身の肉弾戦 面白いじゃないか!!」 確かに肉体は、疲労困憊に近い。 だが内に秘めた燃えたぎる闘うと言う闘志 全く衰えを知らなかった。 元々三村は、現役最強の強い男である。 最下位級のD級以下の妖魔に対して、霊力など使用せず、肉弾戦の戦闘で倒し続けてきた。 「たまたま相手(妖魔)が俺より弱かった・・・・」 が口癖。 戦闘は、戦う敵との相対性で決まる事を多分だれよりも良く弁えていた。 自分より弱ければ、勝つ。 強ければ、負ける。 単なる相対的な物。 今まで、こうして生きてこれたのは、運良く、弱い敵だった。 ただそれだけの事。

 少し離れた場所で、三村を睨むあの風林火山を生き残ったS級妖魔1体。 両者の眼が合う。 どうやら同じ事を考えているようだ。 霊力、妖力 互いが持つ特殊能力抜きに、本来持つ力と、技 それで最後の決着を付ける。 互いの眼は、そう語っている。 生身の肉弾戦による力と、技比べ。

 互いの口元が、訳有に薄く小さな笑いを浮かべる。 それが合図となった。

 互いに、もはや周囲は何も見えていない。 目線に入っているのは、相手のみ。 突撃。 三村は、両手に破皇を握り、対するS級妖魔は、古代ギリシャ神話の神々の1つ海と、地震を司る神と言われるポセイドンが持つ武器 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器を片手に持っていた。

 風吹ばりの怪鳥の様に雄叫びを上げ、破皇を上段に構え、一気に敵S級妖魔に対し振り下ろす。 対するS級妖魔も手に持つ三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の分かれる部分で、しっかりと受け止める。 互いの闘気が激しくぶつかる。

 「こいつ・・・・・」 思わず三村は呟く。 闘気に含まれる まさに匂い 「俺と同類・・・・・」 全く同じ匂いを感じた。 霊力、妖力などの特殊能力を余りアテにせず、刀、矛などの武器こそ使用するが、近接戦闘に置ける白兵戦 個と個の戦いに、ある種の美学を持っている。 それは鍛えに鍛えた肉弾の力と技を駆使する戦い。 ある種の武道家の戦い。

 互いに薄笑みを浮かべる。 どうやら妖魔界にも 人類と同様武道があるらしい。 過去妖魔は、その持つ妖力ばかりを駆使した戦いばかりしていた。 だが、こう言う戦いを好むタイプの妖魔もいる 認識を改める必要がある。 そう三村は思った。 妖魔ハンターになる前 人類同士の無益な戦争 その歴史に残る数々の激戦を戦場の1兵として最前線で戦い生き抜き 極めてきた実戦拳法 50歳代ながら現役最強の男 庇部に内に秘めた熱き血潮が騒ぐ。

 互いに少し後退。 隙のない構え。 相手の出方を伺う。 下手に動けない。 どう言う武術を使うのか? 構えを変えながら相手の動きを見る。 どう対応するのか? ある程度予想する。 果たして、予想通りの動くのか? 敵 妖魔 どうやら妖魔界で、多分1,2を争う武芸、武道、武術の達妖魔 全身から発する闘気が、それを告げている。 烈火の様な熱き炎と、静まりかえた清らかで、穏やかな静水 その2つを持ち合わせている。 まさに達人ならぬ達妖魔の域に達している。 この戦いを不敵に見つめる あの胸糞悪い野郎(ルーシュトラーゼ)より 妖力を用いない戦いならば、多分こやつの方が上 そう感じる三村。

 全身の武者振いが止まらない。 こう言う敵 妖魔と死闘 多分それを心のどこかに抱いていた。

 破皇を左腰の鞘に納め構える。 戦闘を放棄したのではない。 眼前の敵 S級妖魔の必殺の間合い 懐に飛び込み 剣術の1つ一撃必殺の居合抜きを食らわす。 「あの凪型の様な長さがある三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器 あれを避けながら・・・・・」 どんな武道、武芸なとの技を繰り出すか? 皆目見当が付かないが、それに、破皇を左腰の鞘に納めた事で、敵 S級妖魔 少し戸惑っている。 どうやらこちらの意図理解・・・・いや知らないのかもしれない。 チャンス。

 少し低い体勢を取り 突撃する。 S級妖魔も流石に、必殺の間合いへと入らせてはくれない。 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器 それを槍の様に構え、三村に向かって、突き出す。

 「早い!!」 内心呟く三村。 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先が、いくつに分かれ同時に襲い掛かってくるように見える。 余りの速さ。 眼が余りの速さに追いつかない。 まるで、自動小銃、マシンガンから発射される連射する弾丸の様に感じる。

 必殺の間合い、懐に簡単に飛び込めない。 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先が届く距離に入れば、間違いなく切り刻まれる。 また少し後退する。 「さあーどうする」 自問する。 だが余り深刻な表情ではない。 何か楽しんでいる。 そう言う表情ら見える。 別に策などない。 敵のS級妖魔からは、身震いする程強い妖気を感じない。 だが、強いこれ程強い闘気 数値化出来ないのが残念だが、全身から漲っている。 闘気の流れ、達人の域に達した者だけが感じる一種の力 その力と正面から剛によって正面からやり合うか? 逆に利用し柔の如く受け流しか? 剛と柔。 今まで妖魔との対決では、敵 妖魔が強ければ、強い程 更に強い霊力で戦ってきた三村。 人類同士の醜い戦闘でも サバイバルナイフ1つ もしくは生身の肉体1つで、武道、武術等を用いて、敵兵と戦う時もそうであった。 力には、力 だがこの妖魔には通用しない。 三村のスピードを超えている。 あの三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器から繰り出す技 あれを見切るのは、不可能に近い。 だが即席で出来る物ではないが、日本に古くから伝わる武術の1つ これは、ある意味都市伝説、マンガ等の類である 心眼 眼で見るのではなく、全ての感覚を研ぎ澄まし全身で相手の気配、微妙な動き、闘気の流れ感じ対応する。 果たして極めた者がいるのか? だが試してみる価値はある。 数々の歴史に残る激戦の戦場で、何度も感じた事があった。 極限に高められた集中力 見えるはずの敵からの無数の弾丸 弾筋が、決して見えたのではない それを本能で感じ 間一髪避けた事があった。 それも何度か? たまたま運が良かった? ただそれだけかも知れない。 「ただ悪運に恵まれただけ・・・・」 自身に対して、そう豪快に笑い飛ばしていた。

 「試してみる あの時と同じ様に、全神経、身体に感じる感覚の全てを研ぎ澄まし集中 極限まで高める」 そう思いつつ両目を静かに閉じる。

 何をしようとしているのか? 理解に苦しむ表情を浮かべるS級妖魔。 合理的に考えられない。 まさに、西洋人が、東洋の神秘に触れ理解苦しむのと同じであった。 眼で見ないで、敵の動き捕捉する。 そんな事
果たしてできるのか? もはや諦め戦闘放棄の意思表示・・・・ いや違う三村から発する闘気は、全く衰えていない。 逆に更に高まっている。 まさに静かなる闘志 まるで波、波紋すら立てないまるで清らかな静水如く。  そして何よりも感じる物 それは、三村全体から感じる強いどう表現すべきか? 両目を閉じているはずなのに、三村を中心に、巨大な1つの眼を感じる。 そしてその巨大な1つの眼で何もかも見透かされている。 そんな気がしていた。 下手に動けない。

 その様子を離れた場所から面白そうに見つめるSSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 「中々面白い芸当を使う・・・・」 ちょっと興味が湧く。 見たことも聞いた事もない技。 先程まで、真美に注視していた。 親衛隊の1体 SS級の妖魔 ゾクライノとの戦闘で、瞬殺に近い力の違いを見せつけた。 ようやくラディエンスの力の片鱗をコントロールしたかのように見えた。 だが、直ぐに元の木阿弥に戻ったのか? 今度は、同じ親衛隊の1体 SS級の妖魔 テクターンスと、今 戦闘中だが、ラディエンスの力のコントロール、使い方が、まるで今まで同じデタラメ 真美自身悪戦苦闘し、格下であるはずの相手に、苦戦を強いられている。 少し興味が失せてしまった。 だがあの三村は、違う。 何もかも良く弁えた戦い。 相手の力量を正確に把握。 更に己の限界を超えた見知らぬ技を駆使しようとしている。 いったいどういう技なのか? 感じるのは霊力とは違う闘気だけ。 だがこれ程の闘気 今まで感じた事がない。 どう言った技、戦闘を使うのか? 興味をそそる。

 だがこのまま睨み合いを続けても埒が明かない。 意を決するS級妖魔。 相手 三村は、両目を閉じている。 こちらの動きスピードを眼で追えない その為 音だけで判断しようとしているのか? だが感じる本能は、それを否定している。 今 まだ妖力は回復していない。 だが、ここまで、そうS級まで上り詰めたのは、本来持つ妖力だけに頼らず、自ら編み出した近接戦闘に置ける戦闘術 それを高めてきた。 決して、他の妖魔の追随を許さない。 この戦場も決して、無風ではない。 大気の流れ そう風が吹いている。 そう気配を消し この自然に吹く風と同化 流れに乗り 近づき 一撃で。 そう考えた。

 おあつらえの風が吹く。 三村に向かって、決して直線でないが、吹く。 気配を消し 音を立てず、まるで風となって、三村へと近づく。

 三村の頬が、ぴっく 誰にも解らない程の微かであったが、動く。 何かを感じ取っていたた。 数々の歴史の激戦 それも最前線で戦い 生き残ってきた三村の野生の本能と、全ての感覚を研ぎ澄まし 全身で感じる心眼を通して、本能が感じる眼 そして決して考えるのではない。 感じる それであった。 決してだれにも真似出来ない芸当 真美でも 何よりも最強のSSS級妖魔ルーシュトラーゼでも出来ない芸当であった。 今 三村は、眼でなく 心の眼 心眼を通して、見ているのでなく感じていた S級妖魔の動きを。 極限に高められた全ての感覚によって。

 三村の間合いに何かが忍び込む。 気配を消し風と同化した様に、だが微かな違いを感じ取る。 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先が三村を襲う。 だが三村は、それを読んでいたかの様に、寸前で避ける。 1回避けられた。 続いてまるで数本の三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先が三村を襲う。 だがそれも1本1本の動きを確実に捕らえ読んでいるのか? 全て寸前で避けられる。 ただそこに残った幻影だけを斬り割いていく。 今 三村は、眼で三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先の動きを見ていない。 心眼 心の眼 全ての感覚を極限まで研ぎ澄まし 考えるのではなく感じて、そのまま受け流している。

 「バ・・・・バカな 必殺の間合いに入っている。 だが何故 斬り割けない」 焦りの色を浮かべるS級妖魔。 パターンを変え 回り込みながら色な方向かえ三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の剣先で突いている。 だが全てその動きが、前もって予想され完全に読まれている。

 その動揺が、一瞬の隙を産んだ数本に見えていた三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器の動きが鈍った。 数本に見えていたのが1本に見えた。 その瞬間を三村は逃さない。 1歩鋭く踏み込む、同時に中段の構えを取っていた破皇が、剣道の胴 水平に振り抜く、慌ててS級妖魔 三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器を縦に、グリップの部分で、受け止めようとする。 だが多分妖魔だけを斬り割く魔剣 破皇 そして、全身全霊 居合抜きの破壊力 2つが威力が相乗効果を生んだ。 多分 破皇以外のどんな名剣でも不可能であっただろう。 ケタ違いに威力を増した破皇 そのまま三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器を真っ二つに斬り割く。 余りの威力に怯えるS級妖魔 信じられない その表情しか浮かばない。

 だが攻撃の手を緩めない三村 そのまま更に踏込 上段からS級妖魔に向け 居合抜き 振り下ろす。 瞬時に防衛本能が働いたS級妖魔 寸前で、少し後方に下がり剣先を避けた。 だが・・・・しかし・・・・ 後方に下がり避けたS級妖魔の後方の砂漠の砂が一直線に2つに割れる。 振り下ろした破皇のすさまじい剣圧 一瞬何が起きたか? 訳が理解(わから)ない。 同時に、身体に異変を感じる。 何か? 強烈な力 そうまるで時空間そのものが2つに斬り割かく様な巨大な力が、それは、決して霊力と言う力ではない。 得体の知れない力が、瞬時に頭上から貫いていった。 何事が身体に起こったのか? 同時に、左右の視線が、少しずつ別れ見え始める。 身体が頭上からゆっくりと、左右に別れ真っ二つとなり砂漠に倒れる。

 「ブラボー!!」 少し離れた場所からこの戦いを見ていたSSS級妖魔ルーシュトラーゼが、思わず歓声を上げる。
 「面白い余興を見せてもらった」 続けざま叫ぶ。 そう言った表情であった。 噂に聞く東洋の特に、日本の武術の神髄 まさに神秘の秘奥義の1つ。

 回りを制し ゆっくりと近づくSSS級妖魔ルーシュトラーゼ 「その技 何と呼ぶ」 興味深々。 眼中には、三村しか映っていない。

 「心眼・・・・・」 三村自身はっきりと言いきれるなかった。 これが心眼なのか? 自身確かなものなのか自信がなかった。 1回きりのまぐれなのかも知れない。 付け焼きみたいなメッキ 簡単に己が技として、到達できるほどの生易しい極める事の出来る程の奥義ではない。

 「そう それが噂に聞く、心眼」 更に興味が増すルーシュトラーゼ。 「もう1度見せてもらえぬかな? その心眼を そうこの余に対して」 遥かに格下のA級妖魔と同等の霊力しか持たない三村 それもほとんど霊力を消耗している。 普通考えらない出来事であった。 格下に対しては、格下を相手にさせ。 対するふさわしい者かを判断する。 そのルーシュトラーゼが、自ら対戦する相手指名した。 自ら対する相手にふさわしい力量を持つ者として。

 「そちには、もう霊力がほとんど残っていない 余は、フェアでない戦いを好まない。 よって余も妖力抜きで戦おう」 口元に、不敵な薄笑いを浮かべる。

 その申し出を受ける様に、三村は、また破皇を中段に構える。 基本の姿勢。

 「余も武器だけは、使わせていただく」 そう言うと後ろに控えていた妖魔の1体が、ある武器を携えルーシュトラーゼに手渡す。 一直線に伸び 剣幅に広い巨大な質量を漂わせる まさにグレートソードと呼ぶにふさわしい大剣であった。 まさに中世ヨーロッパで用いられた大剣を彷彿させる。

 それに対して三村の持つ破皇は、典型的な日本刀 峰の部分が少し反った形。

 「別に構わないよねー」 余裕の態度。

 「それよりも 最強のSSS級妖力 利用しなくてもいいのかい」 不敵な笑みを浮かべる。 ハッタリであった。 もう1度あの心眼 使えるか? 全く自信もない。 あれが心眼だったのか? それさえ解らない。 多分 そのきっかけらしき物なのかも知れない。 だがあの妖魔界最強 妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級妖魔 自ら虫けら以下としか見ていない俺に、正面から勝負を挑んできた。 俺は戦士以前に男だ。 どんな強い相手でも挑まれた勝負 逃げも隠れもしない。 堂々と勝負する。

 両目を閉じ 全ての感覚を先程と同じ様に、極限まで高め研ぎ澄ます。 同時に、呼吸を一定のリズムに整え もう1つの 東洋の秘奥義 {気} を練り始める。 先程のS級妖魔との対決で、止めの上段からの振りおろし 確かに感じた手応えを 心眼ではなく「気}の高まりを 自身の持つ霊能力とは異なるもう1つの特殊な力 会得したと言う自ら呼称する者は後を絶たない。 大都市の殺風景な人通りも少なく、薄暗い通りには、その手の看板を派手に出している得体の知れない怪しげな店舗は、多数存在する。 だがあの瞬間 一瞬だが、自ら説明出来ない身体から湧き出る力を感じた。 自ら持つ霊力とは、多分本質的には、似ているのか? それとも似て非なる物なのか? 確かに感じた。 そしてその力が破皇に伝わり上段からの振り下すと同時に、放たれ 剣先は、寸前に後退による避けられた だがその威力は、余りにも強大で、時空間そのものを S級妖魔と共に、切り裂いた。 あれは、色々な武芸書など記述されている「気」そう確信していた。

 まともに戦って勝算など無いに等しい。 例え霊能力が戻っても勝算などない。 間違いなく妖力など使わなくとも俺など容易く料理される。 それ程の違いがある。 だがこの「気」 あの星沢家の持つ神秘の力 ラデスエンスの力と同様 無限の高まりを感じさせる。 この「気」 勝負どころの最後の大技 あのSSS級妖魔ルーシュトラーゼの身体全てを包み込む、どんな攻撃 霊能力の長距離弾すら 簡単に弾き返す ミラーコーティング 果たして通用し掠り傷1つ負わせる事が出来るのか? だが試してみる価値だけはある。 そう思う三村。

 構え微動だせす、まさに不動。 常に一定のリズムで呼吸を整え「気」を練る。

 先程同様 全ての感覚が、極限まで研ぎ澄まされていく、敵 SSS級妖魔ルーシャトラーゼだけを 全ての感覚が感知 1つの心の眼となり感じる。 同時に SSS級妖魔ルーシャトラーゼが両手に握るあのレートソードと呼ぶにふさわしい大剣 ただのブリキのこけおどしのオモチャではない。 一種の魔剣と呼ぶにふさわしい妖力を秘めていた。 今 妖魔ハンター室長 小夜子ちゃん持つ死んだA級妖魔の骨で作られたと言う剣そのものが、妖力を持つ魔剣 魔斬など、あれに比べれは、子供用のプラスチックで出来た刀以下。 両手に握る破皇ですら 大した違いを感じなかった。 遠い昔 当時かなり変わり者で、魔剣ばかり打つと言う刀匠が、ある妖魔戦う為に打たせたと言う 人を斬らず妖魔だけを斬り割く魔剣を全身全霊 精魂込めて打ち込み その生命と引き換えに打った魔剣 刀そのものに、強い霊力を秘めていると言われる。 だが魔斬同様 あのルーシュトラーゼの持つ まさに、グレートソードと呼ぶにふさわしい大剣の秘めるポテンシャルには、遠く及ばない事をひしひしと、肌に突き刺す様に感じられる。 もはやレベル、ケタ違い。

 「余を恐れ 動かけのか?」 少し挑発気味に言うルーシュトラーゼ。 ただ不動の全く付け入る隙を見せない構え だが三村から感じる得体の知れない力 霊力とは異なる強大な力。 決して侮れない。 時空間そのものを斬り割いて見せたのだ。

 「かかってこないら こちらから行かせてもらう」 そう言いつつグレートソードと呼ぶにふさわしい大剣を構え だれの眼にも見えない まるでワープ 瞬間移動した様に、三村の必殺の間合い 懐に飛び込み 大きく上段に構え振り下ろす。 全く手応えを感じない。 確か頭上から真っ二つに斬り割いたはず。 だが切り裂いたのは三村の残した実体のないまさに幻影 先程のS級妖魔の三叉の矛(トライデント=トリアイナ)の様な武器による正面突きなど比較にもならない程のスピードであったにも関わらすだ。

 「流石にスピードだけは、すばしっこい」 感心して言い放つ。 「良くぞ避けたな だが手加減しての事だ」 余裕の表情を浮かべる。 「ウオームアップの相手には、丁度良い」 まるで意にかえしていない。

 「ふん そんな事言っていいのかな?」 こう言った戦場での戦闘 数々の修羅場を潜り抜け 勝ち残り 生き残ってきた。 会話を通じた駆け引き、心理戦 1日の長があると思っていた。 見た目の外観 妖魔としては、珍しくヒューマノイド(人間型)それもコーカソイド(白色人種)と言っても過言ない程 全く見分けがつかない。 それも真美ちゃんや風吹と同様10歳代後半 17程度にしか見えない。 エネルギー溢れる弾けるばかりの若々しい肉体。 その外観に騙されていた。 元々妖魔の年齢など気にした事などなかった。 外観が、千差万別の形態を持ち それによる異なる妖力。 我々の住むユニバース(宇宙)とは、異なるマルチバース(多重宇宙)の1つの別ユニバース(宇宙)から来た知的生命体。 考えた事もなかった。 実は、地球標準時空単位に換算すれば、数千年以上生きており 外観上全く老化していない。 それに戦場での修羅場の経験など、三村の比ではなかった。 地獄よりも酷いまさに修羅の掟の支配する世界で、戦い生き残り、妖力を上げ 遂に頂点である妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級の妖力 自らの力で高め 妖魔界の頂点へと上り詰めたのだ。 史上数体しか成し得ていない1体。 人類側に取って、現役最強の強者(つわもの)である三村であったが、ルーシュトラーゼとの戦場でのキャリアの差はケタ違いの歴然とした差であった。

 そんな事知る由もない。

 続けざま上下左右あらゆる方向から猛烈に斬りかかる。 だが寸前で避けられる。 切り裂くのは実体を伴わない幻影。 まるで大剣の動きを読んでいる。 今 ルーシュトラーゼの攻撃パターン ただ大剣を本来持つとてつもない剛力によるせスピードに物を言わせガムシャラに攻撃しているようにしか見えない。 ただその表情は、楽しげに笑みを浮かべている。

 攻撃が一時止んだ。 疲れて辞めたのではない。 ふてぶてしく大剣右肩に乗せ不敵な笑みを浮かべ睨んでいる。

 「柔よく剛を制すか・・・・」 楽しげに言い放つ。 三村の動き まさに剛で襲い掛かる力 そのまま同じ剛の力で、激突させるのでなく 軽く受け流している。 「剛よく柔を断つ・・・・・」 にやりと不敵に呟く。 どうやら対処法を見切ったようだ。 柔と剛 どちらが優れているのではない。 そのどちらかをより極めているのか? つまりより高いレベルに達しているのか? その違い。 この勝負 より高いレベルに達している方が、有利。 元々本来持つ 身体のポテンシャル能力 戦闘能力など、人類と妖魔では、比較にならない程格段の差があった。

 「これはどうかな?」 そう言い終わらない瞬間 突き槍の様に大剣の剣先を三村に向け 三村の正面から突進する。 今度は、必殺の間合いに踏み込んでではない。 そのまま突き刺す・・・ いや違う三村を突き抜ける そう表現した方が適切であった。 圧倒的スピードを活かして。

 今まで通り剛の圧倒的スピード活かし突進するルーシュトラーゼ それを心眼で見切る三村 考えるよりも先に、身体が反応 寸前で避ける・・・・ いや出来ない。 余りにも速い。 人類の限界を超えた反応速度で、動いていた三村 それでも避けきれない 途中から更にスピードが増していた。 微かな激痛が、右脇腹を走る。 砂色を中心とした戦闘服の1部が切り裂かれ 切裂かれた部分が、一直線の血が滲む。 この程度掠り傷ではあるが。

 慣性の法則を無視した様に、瞬時に停止 そのまま振り返り三村を見るルーシュトラーゼ。 口元が薄く笑う。

 「どうやら 俄仕込み 通用する相手ではないなあー」 ルーシュトラーゼの方へ振り向きながら 自分自身に言い聞かす三村。 それでも戦闘意欲に全く衰えはない。

 互いに、口元に薄笑い浮かべる。 大胆不敵な程に、互いに何か通じ合う物を感じていた。

 だがこのままでは埒が明かない。 本来持つ身体能力の差が、歴然としていた。 心眼を通じ三村のあの幻影しか残らな俊敏な動き、もはや人間としての限界点を遥かに突破していた。 だが妖魔であるルーシュトラーゼは、更にその上を行っていた。 元々 我々地球人類が存在するこのユニバース(宇宙)とは、並列に存在すると言う 他にも平行なども存在するマルチバース(多重宇宙)の別のアナザー・ユニバース(別宇宙)に存在する知的生命体。  多種多様性に富み 外観からの形態が千差万別の形態 それに、それぞれ異なる妖力と言う特殊能力を持ち合わせていた。 根幹である身体も同様千差万別の形態であるが、それぞれ地球人類とは、比較にならない程 高い運動能力と、とてつもない高い戦闘能力を持っていた。 戦闘の為に生まれた特殊な知的生命体と言っても決して過言とは言えない。 ただ戦う為に誕生した。 それは、生命として誕生した生命体全てに言えるのかも知れない。  地球人類も同様 地球標準時空単位で、地球が誕生して約6億年後(今から約40億年前)最初の原始的単細胞生命が誕生したと言われている。 以前生命の定義については、諸説あり 生命とはいったい何なのか? まだ明快な基準はない。 何を持って生命とするのか? 科学、哲学等を含め議論は、続いている。

 地球に、生命誕生から約40億年余り それは、生き残る為の生存競争。 海中に誕生したと言う最初の初期の原始単細胞生物 当初は、海中に含まれる豊富な栄養素を吸収していたが、いつの頃か? DNAのコピーミス?による分化、進化により他の生命体の捕食する捕食生命体が現れた。 今まで以上に過酷な生存競争のはじまりでもある。 更に敵は、他の生命体ばかりでない。 地球そのものでもあった。 何度も起こる極端な環境変化 それも地球の歴史の時間の単位で、瞬時に、全く異なる環境へ極端な変化を何度も繰り返していた。 それに合わせ生命の大量絶滅が7度以上起きたとされている。 全生命絶滅の危機を何度も乗り越えてきた。 瞬時に、全く異なる環境へ極端な変化 決して地球は、生命に取って、やさしい揺り籠ではない。 常に荒々しい牙を生命に向けてきた。 その為 生命体は、生き残る為の戦略として、分化、進化に置ける多種多様で多様性を持った生命体を生み出し続けている。 多種多様、多様性を持つ各生物種 全く異なる環境へ極端な変化時でも 大半が適用出来ず滅亡しても いくつか少数は、運良く何とか生き延びる事が出来る。 多種多様、多様性を持った生物種が必要な重要ポイントの1つでもある。 生存、生き延びる。 だが、それはやはり生命体同士の更に、激しく、過酷な生存競争を生む結果をもたらした。 現状戦闘力の高い生命体が、頂点へと君臨 その天体の支配者階級となる。 地球でさえそうであった。 我々人類は、いくつかの幸運で、ここまで生き延びてきた。 だが妖魔 その誕生した天体での生き残る為の生存競争 地球人類の比ではなかった。 更に過酷な生存競争を強いられてきた。 その為 身に着けてきた生存の為の力 それが特殊能力と言える妖力であり 分化、進化に置ける 多種多様化、多様性による外観の形態 それに伴う身体、運動能力、そして、それらを活かした戦闘能力。 元々持つそれら能力は、妖力を除いても人類など比較にならない程の高いレベルを持っていた。 現在地球存在 生き延びてきた生命体の子孫など比較にならない程、激しい、厳しい、苛烈な、瞬時に起こる極端な環境変化と、更なる生存競争を生き抜いてきた。

 その為か? 個体間の形態が、余りにも多種多様化 同一種でありながらここまで異なっているのか? 思うほどであった。 まるで別種と思える程違う。 そして、その形態によって、異なる身体及び妖力 まるで1つの身体能力、特定の妖力のみに特化したワンオフパーツ(単一仕様能力「)ならぬワンオフバイオウエポン(単一仕様生体兵器)の様にさえ思える程であった。

 三村は、今 何かを掴みかけていた。 突如 それも瞬時であったが、覚醒の兆しを見せた もう1つの別の特殊能力と言える力 三村自身が本来持つもう1つの別の力 それは、まだワイルドギース(傭兵)として、金で雇われある戦争に参加していた頃 史上稀に見る最前線 それも激戦の戦闘中 突如目覚めた霊能力 それとは違う別の力 今 掴みかけていた。 本来持つべき力の覚醒なのか? そうそれは、まさに東洋の神秘の力の1つと言えた。 「気」 どう表現すべきか? 三村本人にも説明が難しい。 この世に存在するすべてのもののうち、もっとも根源的なエネルギーとも言われている。 良く大都市の一見して解る様なメイン通りから奥に入り込んだ、薄暗く汚い裏通りの雑居ビル立ち並ぶ通り。 混沌したいかにも治安の悪そうな 平凡な人なら決して入らない通り。  事情通 その手裏方の仕事を生業する者以外 まず入らない。 そんな裏通りに、立ち並ぶ 道路の上塞ぐ様に並ぶ、けばけばしい看板の怪しげなネオンサインの中に、良く紛れ込んでいる。 「気」 による治療の看板。 「気」を極め・・・・などと派手な広告 果たして本当に極めたのか? 「気」 そのものが本当に存在しているのか? まだ確信的な証拠はない。 あくまでも本人の自称に過ぎない。 一般的 に「気」は不可視であり、流動的で運動し、作用をおこすとされている。 その「気」 果たしてそうなのか? 本人にも解らない。 だが体内から自然に沸き起こり高まりつつ 今まで感じたことのない新たな力 霊能力とは、全く異質の力。 呼吸を整え 一定リズムを維持 静かに、少しずつ着実に、「気」を高め始める。

 狙いは、数少ないウイークポイントの1つに1点集中 高められつつある「気」を 手に持つ破皇に伝え 例え掠り傷1つでも与えられれば、そう考えていた。 特殊能力を除く、本来持つ力でもとても太刀打ち出来る相手ではなかった。 余りにも差があり過ぎた。 まさにケタ違い。

 心を落ち着かせ精神を集中 両目を固く閉じ、全ての感覚を極限まで高め研ぎ澄ます。 肉眼で見ていては、とても追いつかない。 全て伝わる感覚を1つの眼として捉え 頭で考え動くのではなく、感じた本能のまま動く。

 剣道の中段の構え 全ての心の雑念、周囲から発するあらゆる騒音、雑音を振り払い ルートシュラーゼが発する僅かな気配に全ての感覚を研ぎ澄まし感じる。

 妖力は、消している。 全くSSS級のあの全てを驚愕するとてつもない妖力は、全く感じない。 そして殺気も消し気配も消している。 まるで暗闇に紛れ正体も掴めない暗殺者。 だが感じるルーシュトラーゼそのものを ゆっくりと動き近づいている。 必殺の間合いまで詰め 一気に襲い掛かる。 三村はそう感じた。

 何かとてつもない力 向かってくる。 咄嗟に避ける。 空を斬る。 同時に反撃開始 決して考えるのではなく感じるままに、それに対応して本能が赴くままに。

 妖魔だけを斬る魔剣 その刀そのものに、強い霊力を宿す破皇と、妖魔界最強の妖刀 とてつもない妖力を秘める大剣 グレートソード 刀と剣が激しくぶつかる。 余りの激しいぶつかりあいに、周囲に巨大なソニックブーム(衝撃波)を発生 周囲の大気もおろか、時空間そのものを激しく揺らす。 何度も刀と剣が激しくぶつかる。 刀と剣だけではない。 途中足技、手技などの武術の技を交え 両者 激しい攻防を繰り広げられる。

 やや押され気味の三村 スピード、パワーなど格段のケタ違い それを技の切れで何とか凌いでいた。 だが全身の各所には、薄い切り傷が、何本か刻まれていた。 ウイークポイントへの攻撃 巧み避けるも完全に避けきれないでいた。 皮を切らせて肉を切る 肉を切らせて骨を切る。 用は、最後に致命的打撃を与えた方が勝つ。

  互いに、少々後退 間を取る。

 「流石だなあー 良くぞここまでの攻撃耐え抜いた」 ここまでの戦い 三村に対して、称賛を送る。 妖力を使わず、鍛え抜かれた力と技 ここまで対決過去なかった。 まさに称賛、絶賛に値する。 願わくば、側近それもNO2の地位与えても良いと思うほどであった。 「どうだ余の側に付かぬか?」 決して外交辞令ではない。 三村の力を認めての事であった。 決して、受け入れぬ事を知りつつも 惜しい人間であった。 未だ戦国動乱の続く妖魔界 どの妖魔が、戦国動乱を制し頂点に立つか? その為には1人でも強い まさに戦士が欲しい。 持っている能力は、SSS級に匹敵 いやそれ以上かも知れない ラデスエンスの力の箱舟である真美 だがその秘めたる能力のコントロールが非常に不安定 今 SS級の全身硬質の鋼の様な鱗に覆われている巨漢の全長2.5mを超えるザンピースとの戦闘 とても見るに堪えない。 先程ようやく同レベルのSS級ゾクライノを ケタ違いの実力を見せほぼ瞬殺 ようやく少しは、まともに、力のコントロールが出来始めたかと思ったら また不安定 元の木阿弥。 その点三村は違う。 自身の力を弁えコントロール 更に戦いながら 更なる高見へと向かっている。 自身の限界を超えた先を。 そう思いながら三村を見つめるルーシュトラーゼ。

 一方三村は、「お褒め頂いて光栄の限り」 「だが丁重にお断りさせて頂く」

 当然の反応

 「ならば仕方あるまい」 元々こうなると予想していた返答。 「仕方あるまい 最初に宣言した通り 余は、妖力抜きで、貴様を全力を持って倒す」 構えるルーシュトラーゼ。 その見つめる先は、三村のみ。

 「今は、確かに負けている。 だが最後に逆転勝利を収めれば良い ただそけだけ・・・・」 そう自身言い聞かす三村。

 まともに、お互いの持つ特殊能力、霊能力、妖力 もはや語る以前の歴然とした差がある。 だが、今 互いに封印 本来持ち得る鍛え抜かれた力と、技の対決。 相対的意味に置いて、こちらの方が、僅かなだが、差が縮まっていた。 瞬殺されても可笑しくない。 だが何とか持ちこたえていた。 あちらさんまだ本気ではない。 まだまだ何か隠している。 今 そんな事考えていられない。 兎に角全力の持てる力の全てを出し切りぶつかるしかない。 狙いは、必ず数ヶ所はあるはずの必殺のウィークポイント そこを全力で、正確に1点集中するのみ。 そう思いつつまた両目を固く閉じ。 全ての感覚を最大限に研ぎ澄まし集中する。

 またも全ての気配を消し 周囲と同化、まるで、忍び寄る漆黒の闇の様に、近づくルーシュトラーゼ。

 周囲と微かな違いを感じる三村。 考えるよりも身体が、先に反応 動く。

 三村の持つ破皇と、ルーシュトラーゼの持つ大剣グレートソードの一撃 激しくぶつかりあう。 余りの激しさに、周囲の時空間そのものが、まるで悲鳴を上げたように、揺れソニックブーム(衝撃波)を発生 時空間そのものが、巨大ブラックホール同士の合体時に発生する重力波の様に周囲を揺らす。

 そのまま互いに少し後退 また互いに、相手に向かって突進 まさにヒット・アンド・アウェイ(hit and away=一撃離脱戦法 または、ヒット・エンド・ラン=hit-and-ran tacticsとも呼ばれる) 何度も繰り返す。 両者一歩譲らず、激突のたびに、周囲の時空間に、激しいまさに、時空震を発生させる。 やや三村は、押され気味。 ルーシュトラーゼの妙技の数々剣技 ウィークポイントを巧み突いてくる。 それを間一髪で避ける。 だが身体の何ヶ所も掠めた切り傷が刻まれる。 あのように大きく、かなりの重量を持つ大剣をまるで身体の1部の様に巧み操るルーシュトラーゼ。 まさに神業と思える程であった。

 だが、三村もただ押され気味ではなかった。 三村も反撃しつつ ルーシュトラーゼの数少ないウイークポイント ある程度予想がつき始めつつあった。 ルーシュトラーゼの身体全体を覆う あの霊能力などを使用したエネルギー弾などを そのまま撃った相手に弾き返すバックファイヤー機能を備えた鉄壁と思えるミラーコーティング。 妖魔だけを斬り割く魔剣 刀そのものに、、強い霊力を秘める破皇 確かに何ヶ所かルーシュトラーゼの身体の1部を掠った。 だが掠り傷1つ負わせる事が出来なかった。 だが両脇腹への攻撃だけは、何故か? あの大剣グレートソードで、防いでいた。 ルーシュトラーゼの身体全体を覆う あのミラーコーティング 均一に被っているのではなく、ある程度ムラがあるのではないか? そう思った。 攻撃の受けやすい部分は、厚く、それ程攻撃を受けにくい部分には、薄い。 そう睨んだ。

 だがその時だった。 上段から振り下ろされた大剣グレートソード 必死に破皇で受ける。 何かが消え感じなくなった。 破皇と、グレートソード 元々持つ霊力と、妖力の差 遂に、余りに巨大な妖力を秘めるグレートソードの秘める妖力に、破皇が持つ霊力が耐え切れず、丁度真ん中の部分、真っ二つにへし折られた。

 にやりと、薄笑みを浮かべるルーシュトラーゼ。 少々唖然とした表情を浮かべる三村。 「しまった・・・・・」 だが少し焦りの表情こそ浮かべるが、まだその眼は、負けどころか、戦闘意欲に衰えなど、微塵もなかった。 破皇を捨て、今度は、まさに、肉弾戦の構えに入る。 そう三村がまだ妖魔ハンターに入る前 戦場を金で雇われ戦うワイルドギース(傭兵)時代 数々の歴史に残る大激戦の それも最前線で、武器1つ持たず、己が手足などの肉体だけで、戦い 極めてきた実戦拳法。 最も得意とする戦い。

 それを見たルーシュトラーゼ 少し楽しげに不敵な笑みを浮かべる。 あろうことか、少し離れた場所で、この戦いを見ていたグレートソードを鞘を持つ妖魔を呼び寄せ鞘に、納める。 圧倒的有利な状況 自ら捨てた。 1体の戦士として、敵に対して、礼節を重んじた。 自ら宣言した同じの条件での戦い。 三村を最大級のライバルと認め。 あくまでも互角の条件下で戦い 勝 それにこだわった。

 それを見て、三村もまた少し楽しげな表情を浮かべる。 「武器を捨てていいのか?」 不敵に笑う。 どうやら気心だけは、知れる相手だと思った。

 「三村隊長 余は、同じ条件下での勝負と宣言した。 余も武器は、使わぬ」

 三村もルーシュトラーゼもある意味同類?、戦闘に対して、一種のこだわり ロマンを持っているのかも知れない。 同じ条件で戦い よりどちらが強いか? いや弱いのか? 戦闘そのものを楽しむ。

 両者少し間合いを取り一呼吸 互いに、相手を好きなく睨む と言っても三村は、両目を固く閉じているが、互いに、何かを察したように、少し楽しげに、薄く、意味ありげに不敵に笑う。

 これからが、本番の勝負 そう言う意思表示。


 その頃 苦戦を強いられている真美は・・・・・




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