LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。



 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 第1次妖魔対戦 Part9

 正面から対峙する2つの陣営 地平線の彼方から今朝日が昇ろうとしている。 何1つ音が聞こえてこない様な静寂。 時折その静寂さを 小さく邪魔をするような風がね小さな音を立て、砂漠の砂を舞い上げる。
 8対数万 どうみても分が悪いを通り越している。 それでもたった8人の妖魔ハンターの面々 決して諦めていない。 それにまだ出現こそしていないが、最強の霊獣 異ユニバース(宇宙)の龍神でもある聖龍神、白龍神がいる。 と言っても焼け石に水にもならないが、これだけで、今目前の敵 妖魔との最終決戦に臨む。

 あえて隊長の三村は、部隊を昇り始めた朝日を背に受ける位置に配置した。 少しでも戦いが有利になる様に計らっていた。 相手の超巨大な物量の前には何ら意味も持たない。 その程度は理解している。 だが出来る限りの最善を用いる。 それがどんな些細な事でも 出来る手は、全てうつ。

 これ程極端なシチャエーションではないが、何度か経験している。 完全な敗北 気のいい仲間、同僚、部下 退路なき戦い。 追い詰められいわゆる殲滅戦 それでも戦って死ぬ事を選んだ。 みんな最後の諦めにも似たどうしょうない薄笑い浮かべ死んでいった。 その死を見届ける事も出来なかった。 嫌な思い出が脳裏を過る。

 戦況にるよるが、ある程度の時点で、多国籍の絶対権力を横暴に握る親玉連中 ここにまさにゲリラ豪雨の如く核兵器を大量投下する予定でいる。
 全てを太陽の表面の様な高温で焼き尽くす。 その後の残留放射能などによる中長期の環境を中心とした後遺症等など全く考慮にいれていない。
 その点に付いて、真美ちゃんは言っていた。 「全く無意味 何度人類が最も忌むべき愚かな低俗の恥部 愚劣の骨頂をやれば気が済むの 低能にも程がある。 ただの大鑑巨砲主義 どう言う精神構造の持ち主化? 疑いくなる? ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキよ 上空で核兵器爆発直前 あのSSS級妖魔ルーシュトラーゼが、全面展開のバリヤーを張るは、あのバリヤーその程度ではビクともしないわよ その間に、ここいる妖魔軍4次元ワームホールから撤退 ほとぼりが冷めればまた現れる・・・・・ それに核兵器を使用すれば、多大な影響を受けるのは、我々人類よ あの嫌なゴキちゃん(ゴキブリ)を除いて・・・・・」 ちょっと顔をしかめる真美 気を取り直し更に続ける。 性転換、年齢退行後 ゴキブリに対して、更に生理的受け付けなくなっていた。 人類・・・・いや 古生物の代表の有名なダイナソー(恐竜)誕生より更に古い時代 石炭紀に現れ その後大した 大きさが変わった程度で、ほとんど進化せず、膨大な時間生存を続ける最古の化石生物の1種に対する侮辱?  「あの妖魔軍を 特にSSS級妖魔ルーシュトラーゼを倒す唯一と言える方法は、私が至近距離 いや0(ゼロ)距離からバースト)喰らわす以外 多分方法はない。 それであの身体表面に張る驚異のミラーコーテング どんな熱線、巨大なエネルギーを伴うビーム系を まさにカウンターの様に弾き返す驚異の能力 破れればいいけど・・・・・」 余り自信がなさそうに言った。 果たして効果があるか? 真美自身自信がなかった。 果たしてうまく行くか? うまく行って欲しい? その程度であった。

 「兎に角作戦は、私1人が、3体のSS級と、あのSSS級のルーシュトラーゼを一気に引き受ける。 まず3体のSS級 対峙している間は、ルーシュトラーゼは、決して加勢しない 高見の見物を決め込む 根拠、自信はない だが何故だか解る 幸いSSと対峙している間 詩織姉ーと、風吹君が、援護してくれる。 常に、3対1の不利の対決にならない様 2体のSS級の注意を引いてくれる。 1対1ならば ただ問題は、最終の大技 バースト 出来る限り使用したくない。 果たして使用しなくて勝てる妖魔ではない。 1日1発が限度 1度使用すれば、下手すれば数日意識を失う程 猛烈なエネルギー切れを起こす それを4発 果たして出来るのか・・・・ それとあのラディエンス 夢で見たあの技 ぶっけ本番 果たして?」 色々な思いが交錯する。

 「作戦は、詩織姉ーと、風吹君が、先陣を切り 上空からは、聖龍神、白龍神の2体の龍神が、上空から援護 真美の為に、SS級妖魔 その後方のSSS級妖魔 ルーシュトラーゼのいる本陣への道を切り開く・・・・それ以外妙案などない。 現時点において、飛行能力のある妖魔は、SS級3体と、SSS級のルーシュトラーゼだけ 残りのS級以下は、飛行能力を有していない。 制空権を取られていないだけ少し分がある」
 そう思いつつ正面に対峙する妖魔軍勢を見る。

 無言の時間が流れる。 まるで前もって示し合わせた まさに、あ・うんの絶妙な呼吸 タイミング 同時に展開を開始する。 妖魔軍 圧倒的兵力差を生かしV字型陣形を展開 妖魔ハンターを その中央部へ誘い込み完全殲滅を まさに中心にいる真美を狙い その周囲を固める妖魔ハンターの面々を1人ずつ皮を剥ぐように、減らす作戦に出た。 大半を占めるA級以下の妖魔 1対1では、到底勝機などほとんどない だが各個撃破戦術を持って 1人1人を分断 連携を取らせないように互いを引き離し 多数を持って少数を叩く、この場合1人の妖魔ハンターに対して圧倒的多数で取り囲み倒す作戦に出た。 あの史上最強の剣豪の1人と言われる 有名な宮本 武蔵でさえ 敵が2〜3人程度ならば、1人で、周囲を囲んだ敵を殲滅したが、6人以上? ある一定数以上の敵に囲まれたら逃げた? 言う逸話が残されている。 それと同じ1対1ならば、妖魔ハンターの方が圧倒的有利 だが多数の敵 格下のA級以下の妖魔相手でも 数がまさに無限・・・・と思える程の数に囲まれ どんなに、敵 妖魔を倒し減らしても一向に減少した様に感じず、息を付く暇もなく、次から次へと押し寄せる巨大な波の様に襲い掛かれれば、無限の回復力を持たない人類である妖魔ハンターの面々 やがてスタミナ切れ、霊能力切れを起こし やがては倒される。 まさに戦略の基本 圧倒的多数の兵力を用いて、遊兵を作らず、全戦力を用いて、少数の敵を完全に叩く、戦略の王道の作戦であった。

 それに対して、妖魔ハンター 室長の小夜子、隊長の三村は、妖魔側の作戦を読んでいた。 複数の考えられる戦術・・・いや戦略の中で、最も可能性の高い まず間違いなくこの戦法を取ってくる。 そう読んでいた。 最もオーソドックスで、最も成功の可能性の高い 言わば王道。 圧倒的兵力差を活かす。 下手な小細工無用 正面から相手を完全包囲網下に置き圧倒する。 下手な奇策無用。 下手な策など用いて、せっかくの圧倒的有利差を無駄にする必要などない。
 それに対して、取り得る戦術などほとんどない。 ほとんどテロ行為に似た方法以外ない。 指揮官クラスのSS級3体と、本丸であるSSS級1体を倒す。 それ以外ない。 複数のライオンを率いる1頭の群れよりも1頭のライオンに率いられた羊の群れの方が遥かに強い・・・・と言われる様に、ようは、1頭のライオンに率いられた羊の群れである妖魔軍 SSS級妖魔ルーシュトラーゼの他を圧倒する驚異の妖力によって、ある意味恐怖政治にも似た支配力で従うS級以下の妖魔兵 その源を叩けば、指揮官不在となり空中分解を起こす。 昔から戦争は、敵の親玉の首を刎ねれば勝利。 それだけの事。

 ただ実行には困難が伴う。 主力である詩織と、風吹を 真美の援護に回す。 昨日の戦いで、流石の真美も 3体のSS級を一手に引き受け連携攻撃には、手こずっていた。 いや押されていた。 1対1ならば、優勢に戦える。 だが同時3体のSS級はかなりしんどい。 その為 真美には、1対1で戦わせる為 真美程ではないものの 真美に次ぐ実力を有する詩織と、風吹を 真美のアシストとして、2体の妖魔の動きを牽制 3体同時の連携を遮断させる。 後は残った妖魔ハンター全員で、残りのいったいどれ程の数がいるのか? S級以下の妖魔を抑え込む。 もちろん2匹の龍神が、上空から支援攻撃を喰らわす。

 ほとんど勝算なき戦いであったが、現状 これが最も最善と思えた。 圧倒的少数で、比較すらならない圧倒的多数を叩く、軍事学、戦略上の邪道。 「これがうまく行けば、まさに超ミラクル(奇跡) 俺の名前 永遠に残る・・・・」 ほとんどこの戦法を立案、採用した隊長の三村が、自虐していた。

 戦いの火蓋が切って落とされた。 まず上空を舞う2匹の龍神 黄金に輝く聖龍神と、純白の白龍神が、口から火球弾を 連続で、妖魔ハンターが、突撃方向にいる 最も陣形が厚く、V字型の支点 つまりその先に陣取る本丸を防御する部隊に対して放つ。

 着弾と同時に、妖力の弱いA級以下の妖魔が、爆風と共に、空中に舞い上がる。 各個の妖魔が、密集しており 火球弾が向かうても ほとんど逃げ道などない。 周囲に密集し展開する他の妖魔に、逃げ道を塞がれている。 直撃を喰らい焼きただれ、爆風により引き去れたA級以下の妖魔の死体が飛び散る。 それでも強固で分厚い陣形 微かな掠り傷程度の綻び。 その微かな開いた掠り傷程度の綻びに、まず動きの速い詩織と、風吹が突撃 詩織は愛用のラディエンスの力を持つ象徴と言えるライトソード。 そして最強の霊能力の持ち主の1人であり 各種武道の達人である風吹 全身から今まで見せたことがない 最大限に、自らの霊能力を高めた姿である深紅の輝きを発し両手に持つ2本の愛用のヌンチャクを持ち 詩織に遅れを取らないと、猛烈に突っ込む。

 もはや2人共何も考えていない。 ただ直進的 正面に立ちはだかる妖魔を倒し、活路を開く。 もはや今度こそ退路はない。 その事良く弁えていた。 風吹は、最初から全力であった。 今の戦闘形態 以前よりケタ違いに高めた霊能力 フュージョン まだ到達点が見えぬ高み、山頂 そこへ上り詰める為のたった1歩 そう思っていた。 全身から深紅の輝きを発する。 最新の戦闘形態 フュージョン・エボリューション 妖魔タンターと一員となってから更に、苦難の修業を続け 風吹自身の持つ霊能力の限界点を突破 これでS級以上と互角に戦える。 だがこれでも到達点ではない。 ただの通過点に過ぎない。 史上最強の男を目指す。 風吹自身決して到達点はない。 常に更なる高みを目指すためのたった1段の通過点でしかない。 常に更なる高み 見果てぬ高み。 それが、史上最強の男へと上り詰める為のステトップ そうそれが風吹であった。

 上空からの2匹の龍神の火球弾による対地攻撃 次々と妖魔吹き飛ばし 少し後方から 光るエネルギーで出来た細長い まるで針の様なほとんど光速に近いと思える程の高速で、正面の妖魔軍を斬り割く援護射撃 そう第2戦闘形態に入っている真美からの支援攻撃 真美の持つ大技の主に中、長距離攻撃に用いるニードル。 それらの支援攻撃により行く手を阻む妖魔の軍勢 重厚に陣形の正面部隊を 切り崩す。 向かう先にどっしり構え まさに、真美がここへたどり着くの待ち構えるSSS級妖魔 ルーシュトラーゼ。

 ルーシュトラーゼの目線の先に映る者 そう真美 真美の持つラディエンスの力の源流と言うべき妖魔の持つ妖力、人類が持つ霊能力とは、全く異なる異質の力 その力を持った地球人類の標準時間単位で、約1000年前存在した史上最強の女妖魔の1体 SSS級妖魔 ラディエンス その持ち主であるラディエンスですら良く解らない不思議で、強大な力 ラディエンスの力とは、ラディエンスが持つ力であった為 そう命名された。 そして、何故だかだれにも解らないが、妖魔の持つ妖力と、まるで、引き合うN極と、S極の磁石の様に互いを呼び寄せる。 そして、より大きな妖力である最強のSSS級 まるでモノポール(磁気単極子=磁気モノポール 元々無から誕生した直後のベイビーユニバースに存在したと仮定される単一の磁荷のみを持つとされ その後の宇宙のインフレーションにより N極と、S極に分離したと仮定されている) これらの宇宙物理学は、人類になりすまし 真美の通う高校の輝星高校の1生徒として、真美のクラスメートでいた時 真美がある授業で説明していた受け売り。 元々1つだった力が、原因が解らないが、2つに分離 それが、また多分運命に導かれるように、出会い また1つの力に戻ろうとする。 それに似ている? そんな気がしていた。 これは運命の導き。 これが妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級超える 妖魔の神々をも遥かに超えた究極の力? そうであるかも知れない。 逆に、1つの方向、エネルギーが生み出されると、まさにその真逆 正反対の性質を持つ 方向、エネルギーが、全く同じに誕生する。 これも真美の受け売りだが、そして2つの誕生したとエネルギーは、ぶつかり合い対消滅し元の無に戻る。 対称性理論と言う物であるらしい。 常に誕生とは、同時に、2つの正反対の性質を持つ物が、同時する物であるらしい。 この辺の詳しい事は、余自身良く解らぬ。 まあーこんな事より あのラディエンスの力 そう源流を受け継いだ地球人類である真美 あの強く、計り知れない美しさを持ったラディエンスと同様 美の女神すら思わず嫉妬する程の美しさを持っている。 ただ残念な事は、あのSSS級女妖魔のラディエンスのあの力 全く足元にも及ばない。 単なるラディエンスの力を後世に運ぶの為の器 そう箱舟に過ぎない。 ラディエンスの力のほんの僅か1部ですら思うようにコントロール出来ない。 もし思い通り使いこなせれば、余を除いて、ここにいる妖魔軍全兵力など問題外容易く瞬時に、料理出来る。 その秘めたるポテンシャルは、この余を超え倒すどころか、この惑星を瞬時に、消滅させるポテンシャルを秘めている。 そのラディエンスの力の秘めたるポテンシャル そのほんの1部ですら気づかず、使いこなせず、単なる力を後世の為に、運ぶ箱舟 ただそれだけの為の存在。そのお蔭で、この余が、その力を得るチャンスをこうして、得る事が出来た。 その力をこの手中に納め 妖魔の神々すら超えこの余は、いったい何を次に目指すべきか? ふん・・・・そう思いつつ真美の戦闘を見つめながら思わず薄笑みを浮かべるルーシャトラーゼ。 「何と無様な戦い方 あのSSS級女妖魔ラディエンスなら こんな無様な戦い方など・・・・・」 呆れ顔を浮かべた。

 その時だった 「敵 妖魔ハンターが迫ってきています。 少し後方へとお下がり下さい」 ルーシュトラーゼ直属の親衛隊の1体 SS級妖魔 頭から全身を黒のフードで被うゾクライノが、後方右からルーシュトラーゼの耳元で、小声で進言する。

 「何を言う 余は、あやつと直接戦うまで、この場を微動せぬ」 まさに王者の風格、威厳を込めて言い放つ。 力の差を思い知らせ 屈服させる。 それこそが、真の覇者。

 SSS級妖魔 ルーシュトラーゼが陣取る本丸への道が開けた。 目の前には、親衛隊である SS級妖魔3体が、並びガードしている。
 丁度U字型に取り込まれる形となった。 正面の開いたまさに、空洞を蓋するかの様に、3体のSS級妖魔が並ぶ。

 まさに、声なき あ・うんの呼吸 先頭の詩織、風吹、互いにアイコンタクト。 右側の詩織 そのまま右のSS級妖魔 まるでタコ、イカの様な軟体型のテタングズーに。左の風吹は、全長2.5mを超える大型 全身硬質のの鋼に覆われたザンピースに向かい突撃する。 もちろん正面から直接対決しても勝ち目などない。 あくまでも3体同時の連携による真美の負担を減らすの目的 敵の動きを封じる。

 真美 正面の全身頭から不気味な黒のフードで、覆い隠すSS級妖魔ゾクライノ。

 ラディエンスの力を高める。 第2戦闘形態から第3戦闘形態へと移行。 真美の全身から更に強烈なエネルギーがが発生 まるで燃え盛る炎の様に上空へと、火柱を上げる。 同時に、真美の背中側で、優雅に舞う羽衣 霊能力を持たない真美 だが背中側をまるで守る様に優雅に舞う羽衣からは、とてつもない強い霊力が、ほとばしる。 真美を守ろうとし、その生命を犠牲にした真美の友人であり強い霊能者であった。 敦子 通称あっちゃんの霊能力 羽衣 死後 真美が危機的状況に陥った時 突如現れ そして、真美を守った。 真美が第2戦闘形態以上に、ラディエンスの力を高めると、真美の背中側に現れ 後方の防御 時には攻撃へと、真美の意思従う。 そして今 羽衣から感じる敦子の霊に対して、語る。 「さあー本番 あっちゃん 一緒に戦おう」 そう心で語りかける。 同時に、真美の背中側を優雅に舞う 羽衣も変形する。 突如 真美の背中から2枚の まさに蝶の羽の様に変形 同時に、雨の止んだ後 大空かかる虹の様な7色の決して、強い光では、確かにパステルカラーの様な輝きを放ってこそいるが、それは、僅かな淡い光 しかしそこから発せられる霊力は、とてつもなく強い力をだれもが感じられずにいた。

 それを見ていた 妖魔ハンター室長であり 現役最強の霊能者 小夜子が口走る 「あの羽衣から発せられる霊力 わしが最大限に高めた霊力を上回る程の すさまじい霊力がほとばしっておるわい」 思わず呟く。

 飛んで火にいる夏の虫・・・・ ではないが、周囲をU字型に、包囲するS級以下の多数の妖魔 数体のS級が、自らの手柄を立てようとしたのか? 同時に真美に襲い掛かった。

 真美の両側と、後方を防御する妖魔ハンターなど眼中にない。 狙いは真美1人。 だが、侵入を防ごうとした妖魔ハンターを止める無言のサインで止める真美。

 愛用のライトソードを下段に構え 軽く両目を閉じる。 全く微動だせず そのまま自身から発せられるラディエンスの力 まさに燃え盛る火柱へと誘う。

 真美の全身から発せられるラディエンスの力 燃え盛る火柱に触れた瞬間 飛び掛かった数体のS級妖魔が、余りの超高温により 瞬時に消滅する。 身体全体が、燃え上がる時間もない。 まさに超高温により蒸発。

 一瞬の間 静けさが周囲を覆う。 真美の持つ余りのラディエンスの力のすごさ。 だれもが僅かの時間であったが、息をのみ ただ唖然と見つめる。

 「あれあれ あれ程注意をきつく命令したのに・・・・ 功を焦り 先走るとは、所詮S級止まり」 少々呆れた口調で、正面に対峙する真美に語るSS級妖魔ゾクライノ。 両目の部分を除き頭から被り全身を被う不気味な黒のマントで、顔も隠しているいる為 その表情を読み取る事は出来ない。 ただその両目は、瞬時に蒸発した数体のS級妖魔を嘲笑していた。

 「星沢 真美さん」 真美を まるで招き入れる様な丁重な口調で語りだす。

 「あなたに個人的恨みなどありません。 我が敬愛し 主君であるルーシュトラーゼ様の元に、あなたをお連れしたいだけです。 出来ればこのまま私くしめの立てていただき このままこちら側に来ていただけないでしょうか? このまま私との戦闘に入れば、あなたも SS級である私も無傷とは行きません。 互いに、大きな苦痛を伴う痛い目に会います。 出来ればその様な野蛮極まりない行為は避けたいのが本音」 丁重かつうやむやしく語るSS級妖魔ゾクライノ。

 「真美ちゃん そんなやつの巧言令色などに乗っちゃだめ」 思わずもう1体のSS級妖魔テタングズーの動きを牽制しつつ声を掛ける詩織。 真美がそんな話に乗らない事など解り切っている。 だが声を掛けずにはいられなかった。 何故だか? SS級妖魔ゾクライノの発する声には、自らの思考を停止させ 言うがままに相手を動かす一種の催眠効果が含まれている。 そんな気がしてならなかった。

 そんな詩織の心配など全く無用 微動だせず、一種の隙を狙い襲い掛かる肉食獣の鋭い眼光で、正面のSS級妖魔ゾクライノを睨む真美。 もはやSS級妖魔など格下の問題外 瞬時に料理出来る。 そんな自信がある様にすら感じられた。

 「ほ・ほおー」 そんな真美の態度を見て、少しバカにされたと受け取るSS級妖魔ゾクライノ。 「昨日の戦闘で、私達3体のSS級妖魔の攻撃に、危機的状況まで陥った事を もうお忘れになったのですか?」

 ようやく真美の表情 それも口元が少しばかり歪む。 それも冷酷なまでの薄笑いを少しだけ浮かべる。

 「少し痛い目合わないと解らない様ですね」 切れた様な口調で、言い放つ。 同時に、SS級妖魔ゾクライノが動いた。 真美の周囲を無数に分離した分身体が、円形に取り囲む。
 1部S級以上の妖魔が使用する妖力の1つ分身体 1つの実体を除いて、残りが幻影ではない。 全てが実体。

 1体1体の妖力は、多少落ちる程度。 この技の弱点は、長時間維持出来ない点にある。 妖力の消耗が激しく、一気に勝負を付ける時の技。

 敵の技の弱点は、研究積み ただそれに対して、有効的体側方法を真美は、考えていなかった。
 前回この技を使った S級妖魔四天王の1体 バーストの軸線上に集中させ一気に叩く。 それが今取り得る最善策であるのだが、周囲に円形に取り囲まれている。
 それにバーストは、真美自身のエネルギー消耗が激しく、一気に使い切る欠点を持ち合わせていた。 使用すれば、そのまま意識を数日も失う程 激しい消耗を伴う最終の大技。 出来れば、SSS級ルーシュトラーゼとの対決まで残して置きたい。 それに現状第3戦闘形態に入っている。 この戦闘形態 強力なラディエンスのエネルギーを利用出来る反面 バースト程ではないが、かなりオネルギーの消耗も激しく長時間維持出来ない。 それだけではない。 実は、真美自身隠しているが、この戦闘形態に入ると、、身体全体が まさに原子 そのレベルではない 多分量子物理学上許される物質の最小単位 10-44(10のマイナス44乗)cm つまり最も基本物質単位である量子単位レベルから粉々に分解するのでは、思う程猛烈な苦しみを伴っていた。 余りの強力なエネルギーに身体そのものが、持たない状態であった。 「この身体いつまで持つのか?」 だれにも、特に敵の妖魔には、決して悟られてはならない そう思いつつも表情には出さないポーカーフェイス ただ鋭いまさに、真美もターゲット(獲物)を狙うハンター(狩人) 妖魔と言うターゲット(獲物)を狙うハンター(狩人) 妖魔ハンター。

 正面のSS級妖魔ゾクライノ 不敵な笑みを浮かべると同時に動いた。 各個体一定のパターンによる攻撃では、確かに連携プレイ だがその動き予想が出来ない。 まるで原子核を中心に、周囲に展開する自由電子の様にすら感じられた。 そう原子核を中心に、突如現れ消える。 位置を特定すると、その進行方向が解らなくなり 進行方向を特定すると、位置が解らなくなる 不確定性原理 そんな風に感じられた。

 「どうです 私の動き読めますか?」 少しあざ笑うかのように、多数の分身体SS級妖魔ゾクライノの声が、重なり合い1つの声として響く。

 ただ防戦するしかない。 突如現れ正面から襲い掛かると思えば、忽然と消え 別方向から攻撃を仕掛けられる。 蝶の羽の様な型をした羽衣が、真美の後方から必死の防御に徹する。 だがだれの眼にも明らか、このままでは長くは持たない。

 その時 真美の心にある言葉が響く。 「あの技を・・・・」 そう真美の先代のラディエンスの力 源流の力を持った女SSS級妖魔 ラディエンスの言葉が響く。 それは新たな必殺の大技ではない。 現状持った技の1つ その運用であった。

 真美は防御に徹しつつ 左手を高く上げる。 手の平にラディエンスの力を集中 白い球体が発生 エネルギーを高めながら丁度野球の硬式ボールの大きさに、同時に上空へと発射 真美は、瞬時に羽衣を卵の殻の様に変形 自身をその中に。 上空に放たれたエネルギーの球体は、爆発 無数の光破片となりそのまま極細の針 そうニードルとなり 真美を中心に、一定の範囲内に、ゲリラ豪雨の様に降り注ぐ。 それも真美を包んでいる羽衣の卵は、巧み外されている。

 分身体となり多数SS級妖魔ゾクライノに、ゲリラ豪雨の様に降り注ぐ、突如現れた瞬間 無数のニードルが、上空から襲い掛かる。 次々と、ニードルの餌食となりまるでミンチの様にズタズタに切り裂かれていく。

 その様子を見ながら 不敵に口元を少し歪めるSSS級妖魔 ルーシュトラーゼ。 「少しは、使えるようになったか?」 だがまるで、まだその程度では、そんな余裕を感じさせた。

 ニードルのゲリラ豪雨が止んだ。 多数の切り裂かれミンチ化したSS級妖魔ゾクライノの多数の死体が、地面を転がる。 ズタズタに、切り裂かれながらも何とか生き残った僅かなSS級妖魔ゾクライノの分身体 よれよれになりながら 大きく息を喘ぐ。 このズタズタに切り裂かれながらも何とか生き残った分身体 かなりの妖力を消耗している。 もはや分身体を維持出来る程の強力な妖力が残されていない。 瞬時に元の1体に戻る。 だがそれでも妖力は、かなり消耗が激しい。 真美を包んでいた羽衣で出来た卵の殻 弾ける様飛び散ると同時に、元の翅の型に戻り真美の背中で1度 勝ち誇った様に大きく1度羽ばたく。

 「勝負はついた様ね。 後追いはしないわ 死にたくなければ逃げなさい」 冷酷に最終勧告を言う真美。 こんな勧告を受け入れる敵 妖魔ではない。 次にどのような行動に出るかも読んでいた。
 それは、いつものお決まりのワンパータンであることも。

 「何 この私に、逃げろだと、それも後追いしない どこまで侮辱すれば、気が済むのだ 主君たるルーシュトラーゼ様の御前で、そんな無様な有様見せられるか? これでもこの私 主君たるルーシュトラーゼ様の親衛隊の1体 SS級妖魔ゾクライノだ 冥途への土産 何か1つ貰っていく」 大声を張り上げ 残る妖力の全てを高め 渾身の力を籠め 真美に体当たりを試みる。 狙いは、真美の背中にある2枚の蝶の様な羽衣が、変形した翅 真美の身体に掠り傷1つ付けず生け捕りにしろと、厳命が下っている。 だがあの2j枚の翅は別 身体の1部ではない。 それにあれは、ラディエンスの力ではなく、不思議な事に、強い霊力がほとばしっている。 だがあの防御力決して侮れない。 主君たるルーシュトラーゼ様への最後ご奉公 冥途の土産貰い受ける。 狙いを定める。

 この動き、パターンある程度真美は、読んでいた。 余りにもお決まり。 体当たりを食らわし同時に残った妖力を全開 無理心中を試みる自爆 そう読んでいた。 少し読みが外れたが、想定内 両手持つ愛用のライトソードを上段な構える 一気に刀の部分にラディエンスのエネルギーを集中 真美のママ 由美直伝の大技 ムーンライト タイミングを合わせ 上段から振り下ろす。 高められたラディエンスのエネルギーは、振り下ろすと同時に、三日月となり発射 突撃するSS級妖魔ゾクライノに向かい激突 真二つに切り裂く、頭のてっぺんから2つに切り裂かれたSS級妖魔ゾクライノ そのまま左右に分かれ地面に倒れる。 真二つに切り裂かれたSS級妖魔ゾクライノ死体 全く妖力を感じない。 もはや2度と再生する事はない。 真美の勝利 SS級を瞬殺とまでは出来なかったが、短期勝負で片づけられた。 ある程度の実力差を見せつけた。 もはやSS級妖魔でも1体では勝負にならない。

 全身で大きく喘ぐ、少しでも新鮮で、大量の酸素を身体が要求している。 大量の汗が顔に浮かび流れ落ちる。 今までなら、エネルギー切れによる意識の消失の状態であったが、何とか両足で、地面を踏みしめ立っている。 それに大きなエネルギーの消耗を伴う第3戦闘形態を維持している。 そのまま正面のSSS級妖魔ルーシュトラーゼを 隙なく鋭い眼光で睨む。

 ただ不敵な表情を浮かべるSSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 余の前にたどり着くには、後2体のSS級妖魔 親衛隊を倒してからだ・・・・ その表情は、そう語っている。

 ラディエンスの力 その力のパワーがアップしたのではない。 以前よりコントロールが、少しだけ出来る様になっただけ。 より大きな力をコントロール出来るようになり その新たな運用 ただそれだけであった。 だがそれが新たな代償 大きな力を利用するとの引き換えに、同等・・・いやそれ以上かも知れない 真美が代償を支払う事になった。 それが何なのか、真美自身解らない。 ただより大きな代償を支払わさせられる。 漠然とだが、それに気づいていた。

 このラディエンスの力の覚醒 原因が謎だが、この力持って誕生したらしい。 真美 元々は、氷室 拓真と言う男性であった。 ラディエンスの力を受け継ぐ星沢家 それも女性であるが、全く無縁であった。 それが、40歳代の中盤 何か巨大な力 まさに運命に導かれる様 妖魔との戦いを目撃 ラディエンスの力は、互いに共鳴する。 それにより急遽眠っていたラディエンスの力が覚醒 妖魔の神々にも匹敵すると言う源流のそれも最強のラディエンスの力を得た。 だがその巨大な力を得る事により、氷室 拓真と言う男性を 女性に性転換させ 更に年齢退行と言う 言わば代償を支払わせた。 この第2覚醒と言えなくもない 力のコントロールの向上 いったいどんな代償を支払わされるのか? だが今は、そんな雑念 生き残ってから考えればいい。 目の前の敵 倒す事。

 「後2体・・・・」 だれにも聞こえない小声が、真美の口から洩れる。

 その頃 左側面を担当していた零夜と、佐々木 代々神楽家の婿が使用する武器で、何でも死んだA級妖魔の骨で作られ 小夜子より許婚の証として貰った。
 愛用の魔剣 魔斬 強力なA級妖魔の妖力を発し 自らの霊能力で、封印しており 封印を解放すれば、その妖力を使えると言われている。

 その傍らで戦う零夜も 死んだ佐伯の愛用していた名刀 破皇。 妖魔のみを斬る 魔剣を武器に戦っていた。 零夜はまた神楽家の女性 同時に、聖霊獣を使役する霊能力を持ち 白龍神を使役 上空に舞う白龍神に対して、祝詞を唱え 地上の妖魔と戦わせていた。 同時に2役 流石の零夜も荷が重い。 その為 フィアンセである佐々木が、祝詞を唱え無防備になる零夜をガードしていた。

 「必殺 火輪車!!」 まさに雄叫びを上げ 向かってくる妖魔に浴びせる。 佐々木の霊能力最大の大技 無数の火炎の輪を作り出し 攻撃する。

 上空に浮かび上がる苛烈な炎を発する無数の輪 浮かび上がると同時に、正面の多数の妖魔に向かい突撃 A級以下の妖魔の上空から まさに輪投げの様に、すっぽり包み込み同時に締め上げ身動き出来ない状態に、佐々木の霊力で生み出した苛烈な炎で焼き尽くす。

 だが佐々木ももはや限界に近づきつつあった。 昨日から霊力の消耗の激しい火輪車 いったい何発敵妖魔に浴びせ続けたか? 限界を遥かに超える火輪車を生み出し妖魔に対して撃ち込んでいた。
 たった1人で、最強の妖魔 SS級と、SSS級を相手に戦い続ける真美 そして、その側面を まさに防波堤となって戦い守り続ける残り少なくなった仲間の妖魔ハンター。 そして何よりもフィアンセである零夜 この戦いに生き残ったら遂に結婚をする聖なる誓い 約束を交わしていた。 この生命燃え尽きようと、零夜だけは、絶対に守る。 その強い意志と気力だけが、佐々木を支えていた。

 火輪車をすり抜け 数体のA級以下の妖魔が飛び込んでくる。 火輪車は、同時に、10輪以上生み出せない。 圧倒的数を誇る妖魔軍 撃ち溢しは出る。 まるで連なり次々と向かってくる波の様な波状攻撃 撃ち漏らした妖魔兵を 愛用の魔剣 魔斬で斬り捨てていた。

 もはや立っているのもままならない状態。 大きく喘ぐ。 一瞬の隙 いや違う A級以下の妖魔ではない。 S級そりも5体 いやそれ以上。 まるで、怒涛の如く押し寄せる大波を たった1人の防波堤として、零夜の前に立ち防いでいた佐々木の両横を 何もなかった様に、すり抜けていく。 「し・・・しまった・・・・・抜かれた・・・・」 不覚を突かれた表情が浮かぶ。 佐々木の霊能力は、A級妖魔と同程度 遥かに格上のS級 もはや立っているのもままならず、ほとんどの霊能力を消耗していた佐々木には、もはや食い止める力はなかった。

 白龍神を使役する零夜 祝詞を称えている その時が、最も無防備となる。 今 まさにその瞬間を狙われた。 波状攻撃の1団に、5体以上のS級妖魔が潜み A級以下の多数の妖魔を使い捨ての駒に利用 10輪の襲い掛かる火輪車を浴びせさせ その隙に、もはや立っているのもままならない程消耗 強い霊能力を感じさせなくなった佐々木の両横を突破に成功。 目標は、あの厄介な零獣の1匹 白龍神を使役する零夜 零夜を倒せば、白龍神など使役する者がしなければ、その存在が消えるはず、そう考えていた。 確かに、使役する霊能者の左腕にはめられている霊玉石 祝詞を称え出現する。 その使い手を倒せば、その存在が消える。 つまり使い手の強力な霊能力により実体化しているに過ぎない。 強力な霊獣と正面から戦い倒さなくとも 使い手を同時に、それもS級妖魔5体以上が束になり連携すれば、勝てる相手。

 確かに零夜は、強力な霊能力の持ち主 だが、史上最強と謳われる祖母 小夜子には、及ばない。 A級以上S級以下。 同時に、5体以上のS級妖魔を1人で戦うなど、勝機など全く皆無に等しい。

 上空から敵妖魔軍の動きを牽制 数少ないポイントとなる支点を 的確に火炎弾を浴びせ連携を取らせない攻撃を続けていた2体の霊獣の1体白龍神 使役者である零夜の危機に、いち早く気づいた。
 使役者である零夜を守ろうと、戦線を離脱 零夜のガードに急行する。 それは、零夜の祝詞による命令ではない。 白龍神自身の意思。

 大きな口を開け 鋭い牙を剥き出しに、零夜に襲い掛かろうとする5体以上のS級妖魔のさの中心と思われる1体のS級妖魔に喰らい付く、続けざま2体に更に喰らい付く、そのまま上空へと舞い上がり同時に、その鋭利などんな物で切り裂いてしまいそうな牙で、噛み砕こうとした。 だが、噛み切る事が出来ない、S級妖魔自身が発する強力な妖力が、一種のバリヤー、シルードのエネルギーとなり耐える。 それどころか、真っ白なまるで、バージンスノーを彷彿させるヘビの様な細長い胴体の各部に、零夜に襲い掛かろうとした残りのS級妖魔に取りつかれた。 同時に、取りついたS級妖魔達は、白龍神に対して、攻撃を開始する。

 強力なS級妖魔の妖力による各攻撃 流石の白龍神も余りの激痛に襲われ 思わず悲痛の蠢き声を上げ、同時に喰われ噛み切ろうとした3体のS級妖魔を零してしまう。

 「白龍神!!」 それを見た零夜が、叫び声を上げる。 助けに行きたい。 だが、2体のS級妖魔との戦闘 代々受け継がれてきた神楽家秘伝の技を使い奮戦 とても白龍神の援護回れない。

 それを佐々木が気づいた。 零夜の助太刀に回ろうとした。 だが白龍神が殺された場合 零夜の身体がどうなるか? その秘密を知っていた。
 強力な龍神を使役する それがどう言う意味か? それは、使役者と、龍神の まさに、お互いの魂を1つに融合させる事。 それにより強力な龍神の力を抑え 自ら左腕にはめるブレスレットの霊玉石に封印 必要な時 龍神を解放 実体化させ使役する。 だがお互いの魂の融合は、零夜自身の身体にも多大な負担となっていた。 白龍神の痛みは、そのまま零夜の身体の痛みとなり襲い掛かる。 白龍神は、軽傷ならば、問題なないが、ある程度の怪我を負えば、それが零夜自身の怪我となる。 つまり一心同体 表裏一体と思える関係であった。 白龍神は、零夜の1部。

 残っている霊力の全てを振り絞る 10輪の火輪車を浮かび上がらせる。 「行け!! 火輪車!!!」 雄叫びを上げる。 同時に、10輪の火輪車は、四方へ飛び出す。 佐々木の思考により それぞれの狙った妖魔に1輪づつ向かう。 だが相手が、悪すぎた やはりS級妖魔 上からまるで輪投げの様に、すっぽり収まってくれない。 S級妖魔のそれぞれの妖力を使用した技で、簡単に包み込まれる前に、破壊されてしまった。
 佐々木に取って、最後の霊力を使用した技は、あっけなく粉砕された。 ただ無力感、疲労 あらゆるものが、全身に襲い掛かり そのまま両膝を地面に着ける。 「もはやこれまでか・・・・」 そう呟き声が、思わず漏れた。 その時 2体のS級妖魔相手に、1人戦う零夜の姿が目に入った。 まだこんな苦しい、絶体絶命と思える状況下でありながら 決して最後まで諦めず、戦う姿。 昨日戦死した仲間の佐伯が愛用していた妖魔だけを斬り割くと言う名刀 破皇 そして、代々伝わる神楽家秘伝の技を惜しみなく使用 必死に戦う姿。 「そうだよなあー 零夜 どんな状況化でも最後の最後まで諦めず戦う・・・・・」 自身に言い聞かせ奮い立たせようとした。 精神論、精神力 そんなもので勝てる妖魔ではない。 だが、諦めれば、その瞬間ゲームセット。 何よりもこの世で、たった1人愛する女性 男性として、最後の最後まで、守り通す。 強い決心が、佐々木を よろめきながら立ち上がらせる。 両手で、神楽家の婿の証と寄与された愛用の魔剣 魔斬 強く握りしめ 「零夜ー!!」 雄叫びを上げ零夜が、1人戦う2体のS級妖魔の1体に向かい突撃する。

 同時に、巨大な物体 そう5体以上のS級妖魔の攻撃に、ズタズタに傷ついた白龍神が、大きな地響きを上げ地上に落下 ポロポロになりながらも使役者である零夜を守ろうと、地を這いながら零夜の元へ進もうとした。 5体以上のS級妖魔から最後の止めと、同時に妖力の技の攻撃を浴びせられる。 甘を天に持ち上げ、最後の悲痛の唸り声上げる。 そのまま持ち上げた頭も地上へと力なくひれ伏した。 力のない最後苦しい雄叫びを小さく上げ力なくその両目を閉じた。 最強の霊獣 まさに龍の神と謳われた白龍神 古(いにしえ)の時代より代々の神楽家に仕え、妖魔を倒す為共に戦い続けた。 遂にその最後を遂げた。

 同時に、使役者である零夜の左腕にはめられていたブレスレットの霊玉石が、砕け散らけ飛ぶ。 零夜自身 もはや言葉に出来ない猛烈な激痛が、全身を駆け巡る。 それはまさに、身体内部から強烈な爆発のエネルギーが、その出口求め身体全体を駆け巡り 身体内部から膨張粉々に爆発砕け散りそうな程の激痛であった。 強い意思、精神力・・・・ 何よりも最強り霊能力を持つと謳われる零夜だから何とか耐えていたが。 普通の人間ならば、余りの激痛に意識すら保てず、失い、死に至らしめただろう。 だがその為 零夜自身完全に、隙だけらの無防備状態になった。 その隙を見逃す程 S級妖魔は、甘くない。 2体のS級妖魔は、2本両腕を 鋭利な槍に変形させ 零夜を串刺しにしようと攻撃。 余りの言葉に出来ない程の強烈な激痛に耐えるが精一杯で、動きが完全に止まてしまった零夜には、防ぎようがなかった。

 何かが、零夜の前に立ちはだかる。 両腕を横に広げ、自らを盾となる。 激痛の零夜のその眼に、それがだれだか直ぐに解った。 そう零夜が、この世で最も愛する男性 この戦いに勝ち 無事生き残れば、結婚の約束を誓った相手 そう佐々木。 佐々木が絶体絶命の零夜を その身体を犠牲にし盾となり防ごうとした。 もはや霊能力を消耗した佐々木の取り得る最後の手段であった。 右手に握る魔剣 魔斬 だが元々の素材 遠い昔死んだA級妖魔の骨で作られ A級妖魔の妖力を持つ魔剣 魔斬 だがケタ違いの格上のS級妖魔の妖力の技 防ぐ事など出来ない。 残された最後の手段 されは、自らの身体を盾に使う それしかなかった。 佐々木の身体の致命傷となる急所を4ヶ所を貫かれる。 口から咳き込む様に大量の血を吐き出す。 だがその表情 決して、余りの激痛に耐える者の表情ではなかった。 相手を侮辱したような不敵な眼 口元には、薄笑いすら浮かべた。 そのまま少し身体を左側に向け その生命を犠牲に守ろうとした最愛の女性零夜を見つめようとした。 微笑みを浮かべたやさしい表情で。 だが零夜を見つめた瞬間 落胆の苦悶の表情へと変わった。 守ろうとした零夜もまた 佐々木の身体を貫いた4本の槍が、佐々木同様致命傷となる急所を貫いていた。 守ろうとした相手を守れなかった。 自らを犠牲にし盾となった。 それでも守れなかった。 貫いた4本の槍が、更に強烈な激痛を喰らわせようと、強引に引き戻していく。

 見つめ合う2人 互いを愛しむやさしい瞳で見つめ合う 「零夜・・・」 「直人さん・・・・」 声にならない 多分本人達以外聞こえない声で、互いを呼び合う。

 よれよれなりながらも それでも大地を踏みしめ1歩1歩近づく2人。 2人ず1つになるまで、決して膝を地面に着けられない。 強い気持ちだけが支えていた。

 抱き合う2人 声でない。 会話 1種のテレパシー 愛する2人だけの短い 最後の会話。

 「ゴメン零夜 君を守る事が出来ないかった」

 「何を言うの 最後まで守り通そうとしたしのじゃない」

 「どうやら結婚式 上げられそうにない」

 「直人さん こうしていられればそんな物必要ないわ」

 「あの世に言っても零夜 君を必ず探して出して見せる。 そして、2人だけの挙式を上げよう。 そして、もし生まれ変わっても絶対君を見つけ 今度こそ・・・・」

 「解っているわ 直人さん それまで私 待っているわ 愛しているのは、あなただけ」

 見つめ合い微笑む2人 もはや何も言葉など必要ない 自然と口が重なり合う。 2人の永遠の愛 エンドレス・ラブの聖なる誓い。

 周囲の少し離れた場所 何重もの円形に取り囲んでいた妖魔軍。 致命傷を被いながらもまだ倒れない佐々木と零夜。 だがだれの眼にも明らか、もはや2人から強い霊力どころか、霊力そのものを感じない。 もはや死にかけている。 今が倒す最大のチャンスに映る。 もはや止めを刺すのは、赤子をひねるよりも簡単。 功を立て手柄を立てる最大のチャンス。 だれのサイン(合図)でもない。 一斉に我先にと言う勢いで、襲い掛かった。

 蟻の大軍が、1つの死にかけた餌に向かって、数に物を言わせ地面を真っ黒に埋め尽くすのに似ていた。

 後1歩 襲い掛かろうとした無数と無数の妖魔達 先頭を中心に、動きが突如止まった。 何か不気味な巨大な力を感じとり恐怖する。 急速に高まり何かのきっかけ巨大な爆発を起こす。 そんな感じであった。 直撃を喰らえば一溜りも無く消滅させられる。 そんな恐怖に足が震え身動きが出来ない。

 近くに横たわり 息の根も止まった白龍神 何の汚れもない新雪の真っ白な白雪の様なバージンスノーの身体 それが、今 天空の遥か先 元々いた平行に存在する平行ユニバース(宇宙)の1つに、帰るかのように、その身体の1つ1つの構成物質が光の粒子となり 舞い上がり始めた。 思わず「美しい まるで幻想的美しさ」 見た妖魔全てが見惚れ思った。 真っ白な光を放つ粒子。 だんだんとその数を増しゆっくりと大きな渦を巻き始める。 同時に、白龍神の身体は、まるで幻想の様に、周囲の景色に呑み込まれ消えていく。 

 ゆっくりと大きな渦を巻きながら舞い上がった白光を放つ粒子 天空へと向かわず、1本の長い束となって、抱き合い最期を迎えつつあった佐々木と零夜の周囲に集まり大きな渦を巻きながら急速エネルギーを高めていく。

 「温かい・・・・ なんて言う暖かさ」 思わず零夜の口から洩れた。 何も言わず微笑みながら頷く佐々木。 これから旅立つ世界 この暖かさ包まれた世界なのだろう。 2人は、確信 そう感じた。

 白い光の粒子に包まれた2人 遂に最後の時が来た。 あの世へ行っても決しても離れ離れにならない・ そんな強い決意を表すかのように、互いに強く抱きしめる。 そんな2人を祝福するかのように、ゆっくりまるで幻想が、消えゆく様に、静かに、消えていく。 

 白い光の粒子は、急速に1点に向かい集中 小さな点へと収縮 だが、だれもが、そうこの光景を見つめていた 周囲を取り囲んでいた妖魔は、感じた。 そして、恐怖した。 この収縮した白い光の粒子の点 その秘めたる巨大なエネルギー。 それが破裂し爆発エネルギーとなり周囲に、巨大な破壊、何もかも無に帰す そんな巨大なエネルギーを秘めている事を。

 だが、余りの恐怖に、身体が、まるで金縛りにもあった様に動かない。 いや動けない。 そしてその瞬間をただ訪れる事を待つしかない。 そんな時が来るのを 待つ必要はなかった。 直ぐに来た。 まるで真美の持つ最終必殺技 バーストの威力を彷彿させる。 荒れ狂った巨大なコントロール不能のエネルギー。 核兵器の巨大な爆発等を連想させる 周囲の全ての何もかも瞬時に焼き尽くし、または、余りの高温に、瞬時に蒸発させ それに伴う爆発エネルギーによる巨大なソニック・ブーム(衝撃波)を伴う 驚異のエネルギー。

 それに気づいた真美 慌てて2体のSS級と対峙する詩織と、風吹を呼び寄せる。 「詩織姉ー、風吹君 直ぐに私の元へ。 兎に角 説明していられなく早く!!」 大声を上げる。

 それに、素早く詩織、風吹が反応 2人共 この巨大なエネルギーを感じた。 大きな それも核兵器の威力にも相当する様な爆発が起こる。

 慌てて真美の傍による 同時に真美は、「羽衣!!」 大声を上げる。 またもや真美の背中で、蝶の羽の様に舞う羽衣が、まるで卵の殻の様に、変形 3人をその殻の中に閉じ込める。

 後方の離れた場所、零夜と佐々木の救出に向かっていた由美、小夜子、三村の3人 この事態に直ぐに反応した。 上空を舞うもう1体の龍神 史上最強の霊獣 黄金に輝く聖龍神 慌てて3人の元へ降下 同時に、まるで、へびがどぐろを舞う様に、3人をその中心に入れ周囲を固める。 最大防御態勢。

 同時に、白い粒子が、1点に集中 その有り余るエネルギーを収縮、いや凝縮された様な巨大なエネルギーが、限界点に達し 一気にその出口を求め暴発する様に、地上すれすれで、小型の範囲が限定された戦術核兵器が、まさに爆発した。いやその程度ではない。 猛烈な、そこにある全てを一瞬に焼き尽くし、瞬時に蒸発させる巨大な超高温のまさに、太陽から放出される様々な場所から磁力線に沿って、放物線を描く荒れくれた太陽フレアを思わせる強力な威力を伴い ソニック・ブーム(衝撃波)を伴う超高温エネルギーが、同心円上に広がった。

 せめてもの救いは、影響を与えた範囲が、極小の極めて限定的であった事。 そして白龍神の持つ龍神としての有り余るエネルギーの死によって放出された全エネルギーであったが、愚劣の骨頂の極まる核兵器等と違い、破壊力こそ甲乙付け難いが、核兵器の爆発に伴う 危険で、天文学的数値と思える長い時間 そこから放出された放射能等の汚染物質が放出されなかった。 それがせめてもの救い と思えた。

 それ程の強力な破壊力 妖力によるバリヤーを晴れないA級以下の妖魔 直撃を喰らった妖魔の大半が、燃え尽き、1部は、瞬時に蒸発した。 強力な妖力を持つS級妖魔は、その強力な妖力が、1種のバリヤーの役割を果たし 何とか耐え抜く だが、強力な爆風 ソニックブーム(衝撃波)までは耐えられず、爆心地から遠く飛ばされる。

 止んだ。 爆発に伴う爆煙等などの舞い上がった砂煙等が、徐々に、地上に落下、周囲がようやく開けてくる。 すさまじい荒れ狂ったエネルギーの中心 爆心地から半径100m 何もかみまさに消滅 巨大なクレターを思わせる穴が、そこに開いていた。 そこには、1部瞬時の蒸発こそ逃れだが、まさに墨の様に炭化した無数のA級以下の妖魔死体が散乱。

 何とか、影響の範囲外にいた妖魔も 大半が、何らかの致命傷を負い 戦闘が、継続できる妖魔は、大幅に減った。

 白龍神が放った 最後の燃え尽きる生命エネルギーと引き換えに、放出した龍神としてのエネルギー、そのすさまじさを物語っていた。 だが範囲が。極めて極小の半径100mと限定されていた為 道連れとした妖魔は、全体の約30%程度であり致命傷を被い戦闘不能状態になった妖魔を含めても全体の約60%程度 まだ圧倒的戦力の有利差を覆すには、及ばなかった。 何よりも圧倒的強力な妖力を持つS級以上は、全くの無傷。




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