LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 高校2年生編
 Part6

 朝から極度の緊張の面持ち 真っ青の加奈 工藤家代々伝わる由緒あるちょっとレトロなデザインでこそあるが、まさに豪華絢爛な こう言う席には、欠かせない格式の礼装である振袖姿の加奈。
 ヘアーからメークまで、専門のスタッフが担当。 姿見に映し出される自身を見つめ 加奈自ら「馬子にも衣装・・・・」 などと真美ばりの難しい諺を使い自らを皮肉っていた。
 「余り似合っていない」 自らそう思い溜息まじりに呟く。
 「真美ちゃんや、綾ちゃんが着れば・・・・」 さすがに、これは、言葉にこそ出さなかったが、そう思ってしまっていた。
 間違いなくあの2人が着れば、それは光輝く別次元の世界になっただろう。
 入念にメークが施されているにも関わらず、田舎のあか抜けない娘のまま加奈。
 逆に、これの方が、相手に見初められない・・・・ そう期待が、逆に持てる気になった。
 相手からの破談 願わくば・・・・
 でもおかしな点 それは、あの文化祭 1番目立ったのは、ダブルセンターの真美ちゃんと、綾ちゃん。  真美ちゃんか、綾ちゃんと、私を間違えた・・・・ そんな事絶対に有り得ない。 超絶コールは、1人1人名を呼ばれた 私は1番最後 歓声も最も小さかった。 それに、一応 超絶コールには、手などを振って応えた。  間違えようがない。
 それにお見合い用の写真も どれを送ったのか? 不明だが、相手も私の顔を知ったはず。 文化祭を見て見初めた・・・・ 考えられない。
 色々な思いが交錯する。

 お見合い会場となる相手先の家に着く。
 古くから由緒ある家柄 純和風造の家屋。 控えの部屋に案内される。 両親と、友達の真美ちゃん、綾ちゃん、香ちゃんも一緒。
 ここで、呼び出されるまで暫く待つことになる。

 「・・・落ち着いて・・・・」 「がんばれ・・・・」 綾、香に声をかけられる。
 迎えの者が来た。 いよいよ決戦の場 お見合いが始まる。
 何だか変な緊張感。
 ただ真美ちゃんの様子が、ちょっと気になった。
 色々声をかけてくれている。 だが何か? 気になる事 それは私の事ではない。 ある1点 そうその方向には、先程説明を受けた例の祠? が祭られている。
 何か気になる事でもあるのだろうか?

 そう真美は、何だか解らない異様な力を感じていた。 確かに封印されている。 妖魔の発する妖力? 僅かな隙間から微弱な妖力が漏れ出している。 そんな感じがしていた。
 先程 説明受けた 今からもう1000年以上前 敷地内ある少し小高い山?とでも呼ぶべき場所に、小さな横穴が開いており そこから時より魔物が現れ人々に災いをもたらしていたと言う それを聞きつけたある強い力を持つ修験者の集団が、そこから現れる魔物と対峙 最後に大きな岩を動かしその横穴を塞ぐと同時に、その横穴の奥から現れる魔物が通り出来ない様に封印を施した。 それにより2度と、そこから魔物が現れなくなり  その封印を守る守護者として、この家が、代々その役割を受け継いで来た。 そう言う話であった。
 現状妖魔は、自ら持つ妖力を利用 亜空間フィールドと言う異空間を発生させ そこに4次元ワームホールを発生させ 妖魔の住む別宇宙と、この宇宙を往来している。
 だが1000年以上も昔から妖魔は、現れている。 当時は、特定の場所のみしか4次元ワームホールを発生させる事が出来なかった? そうにも考えられなくもない。 時代が進めば必ず進歩する。
 妖魔のこの能力も この横穴を塞がれた為 亜空間フィールドを発生させ そこに、4次元ワームホールで、それぞれの宇宙繋ぐ様に進歩させた?
 だが、まだそこにある4次元ワームホールは、妖魔の住む別宇宙と繋がったままの状態 結界による封印されているだけで、その結界も決して完璧な物と言えず、僅かな隙間が空いている?
 ただ妖魔も そこを通る事が出来ない。 ただ妖魔の妖力だけが、そこから僅か微妙であるが、隙間から漏れている。 そう考えた方が、多分妥当と思えた。
 後で、妖魔ハンターに、この件について報告 おばあちゃま直属の調査チームに調べてもらい 必要ならば、更に強力な結界による封印を施してもらう。
 最強の霊能者家系である神楽家 真美のラディエンスの力では、決して出来ない結界。

 「何を ぼーとしているの?」 突然 綾に声をかけられる。
 「余りにも綺麗に着飾った加奈を見て、ぼーとしてしまった?」 スマイルを浮かべ綾が聞く。
 いつの間にか、加奈と、その両親の姿がない。
 「もう加奈と、ご両親 お見合いが行われる部屋に行ったわよ 真美1人 ぼーとしてい気づかなかったみたいだけど・・・・」 ちょっと小悪魔的なスマイルを浮かべ真美の顔を覗き込む。
 何か? 企んでいる。 そう言えば、加奈の振袖姿 手持ちのスマホで、写真を1番写していたのは綾であった。
 ただ こう言う写真を後で、学校で、他の女子生徒に見せびらかす事は、綾は決してしない。
 CD-RWなどに取り込んで、ハッピーエンドになった場合 記念として、加奈に手渡すつもりでいるのだろう。 大切な思い出として。
 他だし 真美もよく撮られているのだが、何故か? ビキニの水着姿の写真ばかり。 ちなみに綾のスマホ待ち受け写真 ほとんど全て、真美と一緒に写したビキニの写真だらけ。
 絶対に、今すぐ消去して欲しい。 真美の切実なる願い。

 「ちょっとおトイレ・・・・」 そう言いつつ立ち上がる真美。
 やはり あの祠? 何かおかしい変な胸騒ぎがする。 今日 加奈の大事なお見合い日 今 お見合いの真っ最中。 何かあってからでは遅い。 やはり自らの眼で確かめ 直ぐに妖魔ハンター本部に連絡を入れるべき そう判断した。

 家屋を出てちょっと歩くと、直ぐに祠?があった。 周囲は、今朝方まで続いた雪により真っ白な白銀の世界。
 やはり首都Tと違いここは、寒冷地 寒さが身に染みる。 東北地方の地方都市にある加奈の実家に、3泊4日の予定で行くと言う事で、普段 超ミニスカートか、ショートパンツを中心した もちろんママのコーディネートであるが、私服まで自由裁量の無い真美 だがここでは、いつもの超ミニスカートか、ショートパンツではなくパンツルックを中心とした防寒着。
 確かに、先程の説明通り 少し小高くなっている場所の丁度中腹の部分に、縦横数mはある 周囲とは、全く別物の大きな巨石が、まさに何かを塞いでいるよにそこにある。
 一応 祠?まで数mの所で、数ヶ所に木で出来た杭が打たれそこにロープが張られ 立ち入り禁止の看板 まさに境界線が張られ そこから立ち入り禁止となっている。
 巨石は、1000年以上もそこに鎮座していたかの様に、コケなど覆われている。
 一応 毎年張り替えられる大きなしめ縄に結ばれていた。
 境界線まで近づく やはり感じる妖力の源は、ここ。 決して強くはない 弱い それも僅かな隙間から少し漏れ出している。 そんな感じであった。
 もう1000年以上も使われていない 古い 妖魔の住む別宇宙と繋がる4次元ワームホール。
 霊能力の無い真美であったが、1000年以上も前に張られた強力な結界 やはり長い月日により その力が落ちだしている。 そう感じた。
 直ぐに、肩にかけているショルダーバックから 妖魔ハンター専用のスマホを取り出し 室長であるおばあちゃまと呼んでいる小夜子にTELをする もちろん直通回線。
 「真美です。 おばあちゃま 実は、気になる事があって・・・・」
 ここまで事を話す。
 「そうかい ほー そんな古い時代の・・・・」 直ぐに調査チーム編成 調査に向かわせると言う 場合によっては、神楽家の秘宝の最強の結界を施し再封印する。 そう真美に伝える。
 「また 何か気づいたら直ぐに連絡するんじゃよ」 そう言って、TELを切る。

 ん・・・? 人の気配 決して、殺意のある気配ではない。 だがだれがこちらの様子を観察している。
 「だれ そこにいるの? そこにいるのは解っているは、姿を現しなさい」 鋭く気配のする方向を向き、言い放つ。
 その眼は、周囲全体を鋭く見渡す いつでも戦闘状態に入れる様臨戦体制に入る。

 「そんな怖い 言い方しないで・・・・・」 そう言いながら現れたのは、何と綾。
 トイレと言って、部屋から出た真美 だが、トイレのある方向とは、全く別の庭を歩く姿を目撃 それもあの祠?のある方向へ向かって歩いて行く姿を目撃 何事かと思い後を着けてきたのだと言う。

 「それより真美 やはり私達に、隠し事していたのね」 そう切り出す。
 どうやら話の内容を聞かれてしまったようだ。
 綾も一条家の娘 一条家も ある程度 防衛軍との関わりを持つ取引企業の1つ。
 実は、少ないが、妖魔ハンターと関わりもっていた。
 星沢家の様に、全面支援はしていないが。 ある程度 妖魔の事 その専門対策チームである 妖魔ハンターについても 多少の事を知りえる立場にあった。
 だが、そのベェールは、国家最高機密 詳しい内容までは知らない。
 「噂 やはり本当だったんだ この世界に妖魔と言う 異世界から来る魔物が現れ 極秘裏に、国家の対策チーム 別名妖魔ハンターと呼ばれるチームが、その対策にあたっているって、そして真美は、そのチームの一員・・・・ どうも真美の様子 時々大怪我被ったりするし いつも何か? 絶対に話さない隠し事していたり・・・・ だれだっておかしいと思うわよ 何にか絶対隠しているって・・・・」 まさに女の鋭い勘?
 「答えてよー」 口ごもり 何も答えない真美に言いよる。
 決して、その件に関して攻めている言い方ではない。 逆 心配しているのが解る。
 妖魔ハンターは、だれが相手でも部外者以外 その正体を決して明かしてはいけい。
 その為 市街戦の場合 マスクまで着用 決して、顔が割れない様にしていた。

 その時だった。 急に、今まで晴天だった空の雲行きが怪しくなる。 まさに暗雲立ち込める・・・ の表現 どこから湧き出したのか? 鉛色の厚い雲に空一面が覆われ まるで暴風が、突如発生したかの如く 荒れた空模様になる。
 いくつもの稲妻が、雷鳴を轟かせ走り 暴風が巻き起こる。 同時に、先程まで、僅かに、隙間から漏れていただけの妖力が、急速に膨れ上がる。
 「強力な妖力・・・・ それもS級 いやそれ以上 かって倒したあのSS級のドッペラーと同等以上が、1体 それ以外に、S級1体と、A〜D級まで複数・・・・・」 感じる妖力の違いで、敵 妖魔の数を瞬時に把握。
 傍では、不安な表情を浮かべ、雲行きを見守る綾 やはり何か? 良からぬ気配を感じている。 かなり怯えた表情に変わる。
 「もうすぐ あの祠? に張られた結界を破り複数の妖魔が、4次元ワームホールを通り抜け現れる・・・・」 綾には聞こえない様小声で言う真美。
 今 ここで食い止めなければ・・・・・
 だが綾がいては、戦えない。
 「早く ここから逃げて・・・・ 今の話 後で、きちんと説明する」 そう言いつつ真美は、防寒用のジャンバーを脱ぎ捨て、ショルダーバックに隠していたある物を取り出す。
 真美専用のライトソード。
 「詩織姉ーのお蔭ね」 薄く笑みを零す。
 そう 自宅から出かける時 「護身用のお守りよー」 そう言って、詩織が真美のライトソードを半端強引に、ショルダーバックに押し込んだ。
 まさか、この様な事態が訪れるとは、押し込んだ詩織でも 思っていなかっただろう。
 「何を愚図愚図しているの!!」 ただ立ち止まり茫然と様子を見ていた綾に、少々怒鳴る。
 今 多分20体を超える妖魔が現れる 綾を守りつつ戦うなど不可能。
 「早く 逃げて!!」 真美の怒鳴り声にようやく 自体が呑み込めたのか? 綾が動き出す。
 他だし真美の左腕を握る。 「真美も」 真美1人残して、自分だけが逃げる事など出来ない。
 「私は、大丈夫よ 今 ここの祠? を破り現れる妖魔を食い止めるから」 そう言って、綾に微笑みを浮かべる。 綾を安心させる為。
 「いいから 早く」 左腕を掴む綾を強引に突き放す。
 余りの真美の迫力に、怯えた表情を浮かべる綾 ゆっくと真美を見つつも逃げ始める。
 TV、映画などでしか知らない 綾に取って、全く現実離れした死の匂いが立ち込める異様な世界。
 それが、今 現実に起ころうとしている。 その程度 綾でも解る。
 そして、その渦中にあの真美 もはや人間離れしている・・・・ と言っても良いぐらい神々にも匹敵する美しさを持つ美少女。
 だが、今の真美の表情は、全くの別人 戦場で、生命のやり取りをする冷酷で鋭い・・・・ まるでその瞳に映る全てを氷付かせる様な眼つきと、表情 まるで、修羅の掟の世界に住む修羅そのもの。
 綾の知らない真美の持つもう1つの顔 世界。
 「私の知らない真美が・・・・・ 今ここにいる・・・・」 逃げながらも 思わず声が漏れてしまった。
 とても信じる事の出来ない状況。

 綾が行く それを確認すると、直ぐに、妖魔ハンター本部へ状況を報告 大至急救援を要請。
 「・・・・いいかい真美ちゃん 本体が来るまで、無理してはならぬぞー」 本部の小夜子からの命令。

 雷鳴を轟かせ 無数の稲妻が走る。
 その無数の稲妻が、同時に、巨石を直撃。 粉々に砕け散る巨石 その瞬間 強力な結界が破られる。
 巨石のあった場所には、漆黒の闇に覆われた円球の穴が開かれる。 それ程大きな穴では、大柄な大人の男が通れる程の幅。 開かれた漆黒の闇の穴 その先は、永遠に続くかと思われる程の無限の距離 アウターリミッツ(宇宙の最果て)? 果たして、宇宙は、有限の大きさで、現在も膨張中だが、限りがあり最果てがあるのか解らないが? それ程の奥行を感じさせる。 そして、そこからまさに濁流の如く溢れ出てくる強力な妖魔の妖力。 1体ではない 複数 それも、先程感じた通り SS級が1体 S級が1体 後はA〜D級が約20体。
 
 「来る!!」 そう言いつつ真美は、ラディエンスの力を解放 第2戦闘形態に入る。 同時に、背中の後方には羽衣が現れ 空中を優雅に舞う。
 「あっちゃん 一緒に戦おう」 いつもの様に、羽衣に語りかける。

 開かれた妖魔の住む宇宙と繋がる4次元ワームホール 同時に、SS級、S級 1体づつ含む総勢20体を超える妖魔との戦闘 何とか避けたい。 1人では無理。 出来れば、1体づつに分断 各個撃破戦術 1つ方法がある。 開かれた4次元ワームホール 1体の妖魔が通り抜けられるレベルの幅 現れるのは1体づつ。
 全ての妖魔が、こちらに現れのを待って戦う必然性などない。 妖魔側を逐次投入の愚を強いらせる。
 つまり4次元ワームホールから現れた瞬間を急襲 各個撃破 これ以外 今 方法が浮かばなかった。
 だが、1つ疑問点が真美の脳裏を過る。 それは、地球標準時間(これは、まさに真美らしい考え方 時空間は、その重力の大きさに影響を受け 時間の流れ、空間の広がりは、異なる 重力が大きい程 その重力源に対して、無限に引っ張られ 時間の流れは遅くなり 空間が広がる 空間が、引き伸ばされれば、やがてロシュ限界に達し 例え地球型の星でも 相対的に、巨大な重力源の時空間の引き伸ばしによる潮汐作用により粉々破壊される。 つまり妖魔の住む宇宙 特に、母星は、果たして地球と同じなのか? 地球を基準とした1G 妖魔の住む宇宙の母星の大きさ それに伴う重力 全く同じだとは、考えられない 相対的なものだが、異なっているはず・・・・ 日本の古い昔話の浦島伝説ではないが、ウラシマエフェクト(浦島効果) 浦島太郎が、助けた亀に連れられ竜宮城へ行き 暫く滞在 歓迎を受け 戻ってみれば、数十年以上時間が流れていた アルバート・アインシュタイン博士の有名な 一般相対性理論の 時間のパラドックス 果たして時間の流れが同じなのか? 相対的意味に置いて?)で、約1000年前に、強力な結界が張られ 通り抜けられなくなり それ以降使われなくなったはず、だが何故? 今? この4次元ワームホールを使い こちらの宇宙に・・・・ 当然の疑問点であった。
 真美自身 自身の持つ ラディエンスの力 それも唯一の源流にして究極のその力を運ぶ箱舟である事 そして、その力は、妖魔の持つ妖力と、まさに磁力と同じ お互い引き合っていると。
 真美が、約1000年前から使われなくなった4次元ワームホール 強力な結界により封鎖されていたが、近づいた為 強力な磁力の作用により 今 現れようとしている妖魔達を引き寄せてしまった事 そして、約1000年前 強力な霊力を持つ修験者達によって張られた強力な結界をも破る 更に、強力な妖力を持つSS級妖魔を筆頭に呼び寄せてしまった事 そして、このSS級は、自ら野心、野望を持ち 動き始めた 妖魔の神々に匹敵する究極の妖力を持つ史上最強のSSS級よりも先に、真美を手に入れようと、虎視眈々とそのチャンスを伺っていた事を そして、そのチャンスが、まさに、この瞬間が訪れた事を そして、真美を手に入れ 自ら野心、野望を達成させる。 それは、史上最強のSSS級を倒し 妖魔界に君臨する。 どの妖魔も同じ 真美を手に入れた妖魔が、妖魔界の覇者になれる。
 真美を手に入れ交わり 生まれる妖魔こそ 妖魔の神々をも超える究極の妖魔 妖魔の持つ妖力と、ラディエンスの唯一の源流にして最強の力を持ち合わせる究極の妖魔。

 瞬時に、色々な考えが、交錯していた。 開かれた4次元ワームホール 漆黒の闇のトンネルの先 何故だか、誘い引き寄せられている。 そんな感じがしていた。 「こちらへ来いと・・・・」
 妖魔の住む世界 あの漆黒の闇の中に飛び込めば、妖魔の世界へと通じている。 妖魔の世界へ行けば・・・・ そう妖魔が、こちらの世界へと来る理由 戦略上の意味を失う。
 狙いは、真美自身 真美自身究極のラディエンスの力を運ぶ箱舟 その力 何度もその点に付いて、悩んだ。 妖魔界に行けば・・・・ そして、妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級 果たして、何体いるのか? それらとの対決 途中死んでも その思いが交錯する。
 その思いに駆られる。 自分さえいなければ・・・・ いつも周囲に止められていた。 みんなが悲しむ・・・・・
 だが、今 だれもいない 千載一遇のチャンス?
 心が揺れ動く。

 「遅いわねー?」 ふと真美の口から洩れる。
 そうそのはず、4次元ワームホールを塞いでいた こちら側の結界となっていた巨石が粉々に破壊され 妨げていた結界の効力が失われ破られた。 あのどすんと鎮座していた巨石 あれが最大に最後の砦 防波堤。 複数の稲妻の同時直撃 多分 SS級妖魔が仕掛けたのだろう 自身の妖力を最大限に高め 遠隔操作 約1000年間 決して破る事の出来なかった強力な結界を破る為。
 だが、それからどれくらい時間が流れたのか? 数十分間は流れているはず。 未だに、妖魔の放つ妖力が、まるで周囲にある全てを呑み込み怒涛の如く押し流す濁流の様、開かれた4次元ワームホールから溢れ出ている。
 だが、妖魔は、1体もそこを通り抜け現れない。
 こちらの戦術を見抜いたのか?
 1体しか通れない程の幅 こちらに現れた瞬間を急襲 各個撃破。 同時に、複数の妖魔との戦闘を避け 1体づつ戦いを強いる戦法。 多数を相手にする場合の極めて有効的基本的戦術の1つ。
 気づかれたのか? 確かに開いた4次元ワームホールから こちらの構える位置が、まる見え。 しかし妖魔の妖力を感じられる様に、妖魔も真美のラディエンスの力を感じる事が出来る。
 それぞれ異なる能力ながらも 基本的によく似た能力である 互いの持つスナーク能力 全方向空間探知能力とでも言うべきか? 相手の発する例え真美ならば、自身の発するラディエンスの力 妖魔なら妖力、霊能者の場合 霊能力 それぞれ異なった特殊能力でありエネルギー ある一定の距離までだが、正確に、位置、相手が妖魔の場合 妖力よる力の違いランクまで感じる事の出来る特殊能力。
 それが、全く光の無い漆黒の闇の世界でも 光のある世界で、相手の位置、自身の持つ力、エネルギーを 正確に、まるで目に見えている様に感じる事が出来る。
 現代最新鋭テクロジー結晶のステルス技術 レーダー等センサーに映らない最新鋭の軍事テクノロジー つまりラディエンスの力を妖魔に察知させない・・・・ いや気配を消せる能力 「そんな能力があればいいのだけど・・・・」 ふと溜息混じりに言葉が漏れた。
 敵 妖魔をスナーク能力で、察知出来 妖魔にはステルス能力で、察知されない。 「そんな都合良くには・・・・」 自身に呆れつつ思った。
 ここは、身体を隠す場所は、ある程度適している。 周囲には、あると程度年月をかけ成長した木々が適当な間隔で生い茂っている。 例えその大木の裏に隠れても、妖魔は、真美自身が発するラディエンスの力を感じ 居所を直ぐに察知される。
 それでは身体を隠すのに、意味がない。 それよりも急襲しやすい場所を選んだ方が、都合が良い。

 それよりも ここで、このまま時間稼ぎが出来れば、仲間の妖魔ハンターのメンバーが到着するまでのタイムラグ(時間差)が、その分短くなり 少しは これからの戦況 有利差が増す。
 1人で、SS級、S級 1体づつ含む 20体を超える妖魔 さすがの真美でも かなり苦戦を強いられる。
 SS級1体でも 他の妖魔と戦いつつは、到底無理 それは、あのSS級のドッペラーとの戦闘で実証済み。 1体でも果たして勝てるか? それが妖力ランクが落ちる他の妖魔も同時には、とても相手出来ない。
 SS級1体に専念出来る 戦闘状況を作り出す。

 「それとも こちらからあの4次元ワームホールに飛び込み 仕掛ける?」 どうしてもその考えが抜けきれなかった。
 まるで そこが、甘い蜜で誘い 昆虫捕食する食虫植物のトラップ(罠)であるかの様に、今や遅しと、真美を誘っている。 そんな風に感じられた。 ある意味 甘美な世界が、その先にある。 捕らえられれば、2度そこから脱出出来ない ウツボカズラの様に、昆虫を捕らえる袋の内部に、取り込まれ 今や遅しと待ち受けている満たされた消化液により ゆっくり着実に溶かされ養分とされる・・・・

 長い時間 睨み合いながら相手から先に仕掛けさせ 仕組んだトラップ(罠)に相手を嵌める。 それとも縦深陣形の奥へと誘い 退路断ち 周囲から十字砲火を浴びせる・・・・
 色々 手の込んだ戦術? まさにあらゆる戦術が想定される。 どれを選ぶか? こちらには、何も選択権などない。 
 その場合 1番陣形の薄い部分に、全戦力を投入 正面から食い破る よく隊長の三村の使う戦術 中央突破 分断 各個撃破。
 静かだが、緊張感漂う まさに嵐の前の静けさ ただ通り抜ける風の音だけが漂う。
 そんな時だった。

 「真美ー!!」 「真美ちゃーん!!」 複数の若い女性の声が、静けさを突き破り響く。 そう友達の綾、加奈、香。
 心配して来た。 だが真美に取って、これ以上ない迷惑。 今 妖魔が現れたら 3人を守りつつ戦うなど到底不可能。
 逃げたとばかり思っていた。
 友達を見捨てて、自分だけが逃げる。 3人には、その様な考えなどない。 どんな時でも決して見捨てない大事な友達。

 今の真美に取って、多大な迷惑 3人とも民間人 非武装、非戦闘員 戦闘経験皆無。 足手まとい。

 「どうして戻って来たの? 早くここから・・・・」 そう言い後ろの声のする方向へ振り向いた。
 その僅かな瞬間を狙われた。
 この瞬間を狙い定めたように、開いた漆黒のトンネル 4次元ワームホールに潜みんでいた黒い影が1体 妖魔 真っ先に、飛び出したのは、S級妖魔。 まさに疾風の如く いやマッハ 音速と思えるスピード。
 第2戦闘形態に入り、ラディエンスの力を解放した状態の真美ですら そのスピードを捕らえきる事が出来ない。
 眼にも止まらぬ速さ。 こんなスピードで動く妖魔は、過去にいない。
 ただ直進だけの速さではない。 瞬時に、位置を変える機動性も兼ね添えている。
 対応が、遅れた。 死角に入られ 必殺の間合いに入られる。 だが、真美の背中側で、空中を舞い踊る羽衣が、瞬時に反応。 間一髪 何重ものまさに、行く手を阻む壁となりガード。
 間合いに飛び込んで来たS級妖魔を ぎりぎりの所で、押しとどめ その反動をゴムの様に利用 そのまま弾き飛ばす。
 スピードがある分 反動も大きい 自ら襲い掛かるスピードで、正反対の方向へ弾き飛ばされる。 そのまま何本もの大木に激突 次々と突き破りながらもその都度ブレーキが掛かり ようやく数本目に大木に激突 めり込むみながらも止まる。
 だが、この隙に、10体超えるA〜D級妖魔の4次元ワームホールからの侵入を許してしまう。
 周囲を取り囲まれる。 次々と4次元ワームホールから飛び出す妖魔 あっと言う間に、20体に達する。 完全に包囲される。

 その様子 少し離れた場所から見ていた綾、加奈、香の3人 さすがに、異形 それも地球外 いやこの宇宙とは、別宇宙の妖魔と古(いにしえ)より呼ばれる生命体。 確かに、基本的には、我々人類同様 ヒューマノイド(人間型)でこそあったが、初めてその眼で見た。 不気味、グロテスク・・・・ ホラー映画などに出てくる怪物や、それ類似た異様な外形 両足がすくみ、全身がガタガタと震えだし、まさに腰が抜けた状態。 余りの恐怖、パニック状態に陥り、悲鳴さえ上げられない。
 現実に、こんな化け物が存在するとは、夢にさえ思っていない。
 その化け物に取り込まれながら対峙する真美。 いったい? そんな素朴な疑問も考える余地さえ 今の3人にはなかった。
 ただ現実離れした怪物に、ただ恐怖する。

 その3人に、真美を取り囲んでいた数体の妖魔が気づく。 いいターゲット(獲物)。 20体のA〜D級の妖魔が、束になってかかっても勝ち目のない相手 姑息な手段でも 利用出来る物は何でも利用する。
 3人に気づいた妖魔数体が、3人に向かって走り出す。 狙いは人質。

 その数体の動きに、真美は瞬時に反応する。
 「そうはさせない」 数体の動き出した妖魔の狙いに気づく。
 両手に握っていたライトソードを左手1本で握り 空いた右手を立て 構えに入る。 真美の必殺の技の1つ ニードル。 右手の平の前に、エネルギーが光となり集中 気合を入れ放つ・・・・ はずであったが、軸戦場に、3人が、ここで撃てば、3人にも命中する恐れがある。 一瞬の躊躇(ためら)い それが、命取りになる事をだれよりも良く知っている だが撃てない。
 非情に徹しきれない甘さでもある。

 「そこから早く逃げて!!」 3人に向かい、あらん限りの大声を発する。 だが間に合わない。
 残忍なシーンが、決して見たくないシーンが、これから起こるだろう それが脳裏を瞬時に過った。
 何か、力 そう妖魔の妖力とは、全く異質 真美の持つラディエンスの力とも違う だが、この力は、良く知っている そうそれは、もう1つの妖魔と対抗出来る力 特殊能力 霊能力。
 真美の所属する妖魔ハンターの星沢家以外の隊員の持つ特殊能力。 しかし真美には、見覚えのない霊能力 霊能力も それを所持する人間によって、異なっている。 1人1人 顔、身体的違い、個性が、異なっている様に、霊能力もまた1人1人 異なっていた。
 「だれ?」 決して、新手の敵ではない様だ。

 「早く地面に伏せなさい」 凛としたトーンの低く、それである程度上に断つ者の持つ威厳と、場馴れした自信に満ちた大人の男の声が響く。
 真美の声に反応しなかった3人であったが、その声にまるで、マインドコントロール(精神支配)された者の様に、反応 新雪の被う地面に素早く身を伏せる。
 加奈は、お見合い様に着飾った工藤家に代々伝わる豪華な振袖姿 だが、そんな事意に反していないと、言わんばかりに、うつ伏せになる。
 せっかくの振袖が、台無しになる。 だが生命には、変えられない。
 声のする方向に眼を向ける。 そこには、白を中心とした神主の正装の男 間違いない加奈のお見合い相手 見せてもらったお見合い用の写真そのものの人物 年齢よりも少し老けて見え それにやはり田舎の垢抜けない顔立ち、しかしさの眼 真っ直ぐここに現れた妖魔に向き 弓を構え狙いを付けている。
 その眼は、確かに、目の前に対する妖魔に対して、恐怖すら抱いていない。 何も迷いも感じさせない。 これがお勤め・・・・と言わんばかりのある意味冷酷で鋭い 睨みつける眼つき。
 だがこの家 確かに、代々例の祠?を守る家系 だが、神楽家と違い、神社などではない。 確かに、古い由緒ある家柄でこそあったが。
 その男から強い霊能力が、間違いなく発せられている。
 例の妖魔の住む別宇宙と繋ぐ4次元ワームホールを封印する結界を守る古い代々伝わる家系 何らかの特殊能力も代々一子相伝で、受け継いできたのだろう。
 もしその様な特殊能力がなければ、封印を維持してこれないはず。 それが、今感じる霊能力。
 各地方で、出現した妖魔と対峙する 国家などの機関に所属しないフリーの退魔師?
 だが、世界最強と呼ばれる神楽家の様な力は、感じない。 B級クラスの妖魔と同等に戦えるレベル。

 「真宮寺家伝統の秘宝 破魔矢 秘儀 分水の儀」 そう言い放つ。 同時に、弓を放つ 弓には、霊力が宿っている。 かなり手馴れている。 何度も妖魔との対決している。 一連の動作に隙がない。
 放たれた矢は、途中 数本もの矢に分離 それぞれが、3人に向かっていく3体のD級妖魔に次々と命中。 突き刺さった破魔矢の霊力により 3体のD級妖魔消滅。

 続けざま 今度は、真美を取り囲む残り17体の妖魔に狙いを定める。
 もう1度 同じセリフを吐きながら持ち得る霊力を高め弓を放つ。
 だが、今度は相手が違う A級4体も含まれている。 妖力の弱いC、D級は、命中した破魔矢により消滅するものの 3体のB級は、弾き飛ばし 4体のA級は、破魔矢を素手で捕らえその手で、それぞれ不敵な笑みを浮かべ握りつぶす。  いかにも格違いを見せつけるように。

 この攻撃により 包囲され動きを封じられていた真美に余裕が生まれた。 包囲網が、崩れ連携した攻撃が出来ない。
 すかさず反撃を開始 残りA級4体 B級3体 いつもの事 少し余裕の表情を浮かべる。 真美1人で、十分対応 殲滅出来る。
 この時いつもの真美らしくない失態を犯していた。
 「早く そこの3人を連れて、ここから逃げて」 加奈のお見合い相手に向かって、叫ぶ。
 加奈のお見合い相手では、対応出来るレベルの妖魔ではない。
 だれもいなくなれば、思う存分戦える。

 「さあー 御立ちなさい ここから早く逃げなさい」 地面に伏せていた3人に、声をかける真宮寺。
 だが、真美に言われた様に、3人と一緒に、ここから逃げる素振りもない。
 その眼は、ここに現れた妖魔と戦い殲滅させる。 強い気持ちを表している。
 「でも・・・・」 立ち上がりながら心配そうに、妖魔と対峙する真美を見つめる綾。 加奈も香も同様の表情を浮かべている。
 真美1人残して、逃げられない。 4人一緒に・・・・ その気持ちであった。
 「大丈夫です あなた方のお友達 この私が必ず助けます」 何事も迷いない自信に満ちた言葉、表情で、3人を安心させようする。

 この時 真美は、残り妖魔の数を A級4体 B級3体とばかり思い込んでしまっていた。
 最初に、弾き飛ばしたS級1体と、まだ姿を見せず、4次元ワームホールの出口で、ひっそりその姿を隠しこの模様を見ていたSS級の存在を いつになく忘れてしまっていた。
 絶対に知られたくない秘密の1つ。 極少数の以外秘密のベェールに包まれた妖魔の存在と、その対策専門機関。
 地球人類の存続に関わる最高機密 その一員として、妖魔と戦う その為の特殊能力。 それを知られてしまった 最も知られたくない大事な友達である綾、香、加奈に。
 友達同士 隠し事は良くない・・・・それぐらいの事は、良く知っている。 だが、決して、知られてはいけない秘密は、だれもがいくつかはある。 その1つ。
 自責の念ばかり先に立つ。 今後 どうすれば? はたして、今までどおり接してもらえるのか? 大事な友達として。
 敵が妖魔 人間同士の殺し合いではない。 それでも虫けら同然に殺戮を繰り返す真美自身。 はたしてどう見られてしまったか?
 相手が妖魔であっても 殺しは殺し 決して、褒められた事ではない。
 人類を守る・・・・ それは単なる大義名分でしかない。 汚物の上に一見、煌びやかで、美しい蓋をかぶせているに過ぎない。 汚物を隠す為に。
 真美自身 17歳の年齢相応の考え、人生観しか持たない女子高生2年生のキャリアだけの人生を歩んでいない。
 今の身体 性転換、年齢退行する前 そうラディエンスの力に覚醒する前 れっきとした40歳代のくたびれた男であった。
 多分 同年代の男よりも 数々の修羅場を潜ってきている。
 歩んで来た人生のキャリアが違う。 同時に、異なるあらゆる視点で、物事を見てしまう。
 ある基準点を決め 1つの方向を決めて見れば、正しいと思われる物事も 基準点 方向性が全く異なれば、正しいとは限らい その程度の事 説明不要ぐらい理解している。
 人類側から見れば、真美は、人類を守る者だろう だが、妖魔から見れば、極悪残忍非道の大量の仲間の妖魔殺し・・・・ でしかない。
 果たして、綾、香、加奈に今の真美自身の姿 どのように映ってしまったか?
 もう 大事な友達ではいられない・・・・ 別世界に住む 極めて残忍な・・・・
 どう言いつくろっても 決して変える事の出来ない事実。
 だが、そんな事ばかりを考えてはいられない。 今 目の前に現れた妖魔を殲滅。 その後は、またその時考えるしかない。
 そう思いつつ 目の前の妖魔に斬りかかる。
 瞬時に、B級3体をライトソードで、切り裂く。 圧倒的違い。 本来持つポテンシャルの違い。
 後A級4体 これで、仲間の妖魔ハンター待つまでもなく 1人で、片づけられる。 後は、おばあちゃまと、零夜さんに、4次元ワームホールに、強力な結界による封印を施してもらえれば・・・・ 余裕が生まれた。

 いつもの芝居が、始まる。
 「死にたくなければ、逃げなさい 後追いはしないわ」 A級4体に向かって、余裕の表情で言い放つ。
 もはや勝敗は、決している。 そう思ってしまっていた。
 例え敵妖魔であっても 出来る限り無用な殺戮は避けたい気持ちの表れでもある。
 これ以上 殺伐とした真美自身を見せたくなかった。
 まさにフリーズ(凍結)状態で、この戦いを 少し離れた場所から凝視している綾、香、加奈に。
 敵妖魔の戦力を出来る限り減らしておく 掃討作戦・・・ と言う視点から見れば、確かに問題もある。
 ある面 心に余裕が生まれていた。 だが、この場合 それが逆に、無防備と思える隙を生んでしまった。
 いつもなら 周囲を警戒する仲間の妖魔ハンターがいた。 しかし今は、だれもいない。 全ての感覚を研ぎ澄まし警戒を怠ってはいけない状況下であったにも関わらず、いつになく油断してしまった。
 早く、この一件片づけたい・・・・ 焦りもあったのも事実。

 奇跡の美少女、 美少女女神すら思わず嫉妬する美しさ、まさに神々しいばかりの輝きと透明感、天上より舞い降りた美の化身 美し過ぎる美少女・・・・・ など数々の いったいどれくらい言われているのだろう? そんなただのアイドル(お飾り人形)にしか過ぎないネーネングなどどうでもいい こんなもの早くゴミ箱に捨ててしまいたい。 ただ今の身体に性転換、年齢退行し そんな秘密も知らず、大事な友達として、そのまま受け入れてくれている綾、香、加奈 もし失ってしまった場合・・・・

 ある意味 たった1人で、同時に2正面作戦を展開していた状態であった。 眼の前の敵妖魔と、この姿 隠しておきたかった秘密 それを大事な友達である綾、香、加奈に見られてしまった。 今後どうすれば・・・・ 葛藤、後悔、異なる2つの問題。

 色々な考えが心を過っていた。
 第3者の眼から見れば、4体のA級妖魔と、睨み合い そう映っただろう。 心の葛藤が、真美の動きを止めていた。
 何かが、そう黒い影 まさに疾風の如く動いた。 だれの眼にも止まらぬ速さ。
 先程 真美を守る羽衣に弾き飛ばされたS級妖魔。 少し離れた場所から様子を伺っていたが、真美が無防備になったこの瞬間を狙い 再度攻撃を仕掛けてきた。 弾き飛ばされただけなのに、もはや確実に殲滅したとでも思っていたのか? まるで警戒していなかった。
 「なめているのか? もはや敵ですらないとさえ思っているのか・・・・」 そう思った態度 さすがにS級もこれ以上ない侮辱に思えた、我慢にも限度ある。 身体をまるで、高速回転するコマの様に、スピン そのままに真美に襲い掛かる。
 鋭利な先端が、真美を貫く・・・・ いや またも羽衣がガード 身体に命中直前防ぐも その勢いまで止められず。 今度は、真美が大きく弾き飛ばされる。 近くの大木に背中から激突。
 背中から激痛が身体全体に走る。 半分意識が失った状態 そのまま大木の表面を滑り落ちる様に、地面落下。 丁度大木にもたれかかる様な状態 頭は、力なくぐったりとした垂れ下がる。
 両手で握っていたライトソードが、力なく両手が零れ落ち地面を力なく転がる。
 真美の後方を守るように舞っていた羽衣も消える。 どうやら意識を失った様に感じられた。
 真美から発していた強大なラディエンスの力も同時に最低レベルまで落ちている。 ラディエンスの力解放前の状態。
 「ふん なんてざまだ」 そんな真美を 見下したように嘲笑するS級妖魔。
 「手応えもない 口ほどにもない これで良くあのSS級妖魔の1体 ドッペラーを倒せたものだ」 少し考える素振り。
 「それとも あのドッペラー自ら1ランク上と自ら呼称していたに過ぎず 実際弱すぎただけか?」
 余りにも呆気ない この程度か?
 同時に邪な考えが、頭を過った。 まだ4次元ワームホール内で、身体を潜めこの様子を見ている 自ら所属する軍団の支配者SS級 その軍門に下ってこそいるが、自らの野心までは売っていない。
 その野心 自らが、覇者になる。
 その為の最も重要なまさにアイテム。 2つの力を持ち合わせる者こそ 全てを支配する覇者となれる。
 かって、S級妖魔最強の四天王の1体 あのヒダッマーは、自らラディエンスの力を取り込もうとし その余りにも強大な力を 全くコントロールすら出来ず暴走 抑えきれず、自爆した。
 S級レベルでは、間違いなく抑えきれない。 同じ過ちを繰り返す程愚かではない。 自ら取り込もうとしてもヒダツマーと同じ。
 あの人間の女 余りにも美し過ぎる星沢 真美を我が物とし そして、2つの力を持ち合わせる最強の我が子を産ませ その子と共に、全てを支配する覇者となる。
 だが問題は、あのSS級 どうやって出し抜くか?
 眼の前に、意識を失った状態で、力なく倒れる真美を見ながら邪な考えが過っていた。
 何か? 何もかも氷付かせる様な 異様な冷気を感じた。
 ただそれだけであった。
 その瞬間 意識を失い大木にもたれ掛っている真美を 見つめていたS級は、瞬時に氷付きそのまま粉々に砕け 細かな破片となり四方に飛び散る。

 今までそこにいたはずのS級妖魔が立っていた場所に、突如 白いまさに、全てを氷付かせる様な、冷気を持つ白い霧が湧き出す。
 その周囲の全てを 大気すら氷付かせる異様な冷気を漂わせる。 その中心には、白い影 確かに、ヒューマノイドタイプ(人間型)に思えるシルエットが、微かに伺える。 だが、決して人間ではない。
 不敵・・・・ いや聞く者全てを氷付かせる様な ひどく不快に思わせる冷たい まるで感情も感じさせない冷酷な笑い声が、周囲に響く。
 だがもう一方別の側面も含んでいる。 勝ち誇っている。 欲しい者を手に入れた喜び。 そんな成分も間違いなく含んでいる。 その冷酷で不快な笑い声を聞いた者全てが、それを感じ取っただろう。
 全てをその手中に収められる喜び。 
 多分 ここまでの全て用意周到に準備され計算されたプラン(計画)通りに事が運んだ。 緻密に、手の込んだ計算。 そして人類側の協力者。 協力者に対して、一瞬意味ありげな不敵な笑みを浮かべる。
 その不敵な笑みを向けた相手。 それも同様 冷酷な笑みを一瞬だけ浮かべる。

 真美を仲間の妖魔ハンターから遠く引き離す。 孤立無援の状態にする。 それも気づかれぬように。 そして仲間の妖魔ハンターに救援を求めても かなりの時間の掛かる場所へ誘い込む。
 本拠地である 首都Tから遠く引き離す。
 それが、主な狙いであった。
 そして真美をそこで拉致 妖魔界へ連れ去る。
 基本的計画であった。
 過去何度か、首都Tから遠くへ引き離れた場所へと誘いこんだが、全て仲間の妖魔ハンターと共にであった。
 仲間の妖魔ハンターがいては、必ず邪魔をされる。
 首都Tから遠く離れた場所でも 妖魔出現では、必ず仲間の妖魔ハンターも一緒に来る。 それでは困る。 真美だけをおびき寄せる。 その為には、それには、どうしても人類側に協力者が必要であった。 真美に罠だと気づかせない為に。

 そして、見つかった。 条件の合う協力者になり得る人類を1人。
 かって、妖魔を退治する修験者の頭領として、その名前を全国に知らしめていた。 そして、妖魔が現れるトンネルを封鎖し 代々守り人として受け継ぐ者。 だが時代が流れ 忘れられた存在となっていった。
 妖魔は、固定されたトンネルを通らずとも 自らの妖力で、どこにでも我々の住む宇宙と、妖魔の住む宇宙を通り抜ける事の出来る4次元ワームホールを生み出す力を得た。
 必然的に、わざわざ封じ込める為の強力な結界を破り 危険で、待ち伏せされているトンネルを通り現れる妖魔がいなくなった。
 盛者必衰(しょうしゃひっすい)。 勢いの盛んな者もついには衰え滅びるということ。 ここまでではないが、もはや歴史に埋もれ忘れられた存在となっていた。
 現状に不満を持つ家系 もう1度かっての栄華、繁栄を取戻し再興を願う家系 それとなく近づき反応を見た 予想以上 ちらつかせた餌に、我を忘れが食らいついた。
 真宮寺 秀樹 もはやこちらの言いなり 自ら妖魔側に手を貸す人類。
 こいつを使い利用する 真美をその手に入れる為 用意周到に準備を整える。
 どうやって、ここへ真美をおびき寄せるか? 丁度 他に利用出来る人物がいた。 真美の通う高校のクラスメイト それも好都合 真美の友人の1人 工藤 加奈。
 ルックス、スタイル等に恵まれず、それに自身気づいているが、田舎の垢抜けない娘であり うまく恋愛結婚・・・・と言うタイプではない。 家柄、権力などを利用したお見合い結婚・・・・ と言うタイプ。 真宮寺に近い場所に実家があり 実家は代々古くから続く名門家系で、娘が生まれると、同じ東北地方の由緒ある家系、実力者等の家系へ政略結婚させ 婚姻家系を結び、家柄を高めてきた。
 もはやかっての栄華繁栄を失った真宮寺家であったが、過去の残光により それなりの代々続く由緒ある名家として知られていた。
 加奈よりも15歳も年上であるが、真宮寺 秀樹もまだ独身 うまく話を乗せ 加奈とここでお見合いさせる。
 自分に自信のない加奈は、人生最大のイベントの1つ初めてのお見合いに、必ず友人である真美達に助けを求めここへ呼ぶはず、そうでなければ、そのように仕向ける。
 そして、真美をここへおびき寄せ 拉致 妖魔界へ連れて行く。
 用意周到に準備を整えられていた。

 だが、利用されている思わせていた真宮寺 秀樹も ここまで愚かな男ではなかった。
 あえて利用されている思わせていた。
 真宮寺 秀樹は、自分なりにお家の再興を目論んでいた。 気付かず利用されているふりをし 逆に妖魔を利用 その名を高める計画を立てていた。
 まさに、狐と狸の化かし合い。
 もはやその効力を失いつつあった トンネルを封印する結界 あえて1度破らせ そこから妖魔の大群を出現させ その妖魔を自らの力で倒し 再封印する。
 今度は、今までよりも更に強力な封印を施す。
 その為には、人身御供となりえる強力な力を持つ者が必要であった。 強力な力を持つ者を人身御供の生贄として捧げ、今まで以上の強力な結界を再構築する。
 妖魔側の狙いは、星沢 真美と言う少女 妖魔と対峙する退魔師の裏の世界でその名を轟かせている 唯一妖魔と、互角以上に戦える神秘の力 ラディエンスの力の持ち主 それも歴代最強と噂されている。
 その少女を拉致し 妖魔界へ連れ去るの妖魔側の目的。
 妖魔を超える力 まさに今まで以上の強力な結界を再構築する為には、うってつけであった。
 星沢 真美と言う歴代最強と噂されるラディエンスの力を持つ少女を 今まで以上の強力な結界を再構築する為の人身御供の生贄にする。
 わざわざ妖魔にくれてやる必要性などない。 真宮寺家再興の為に、こちらが利用する。
 それに、現在妖魔と対峙する退魔師の裏の世界では、かって、その名を知らしめ その勢力を二分したあの神楽家が、ラディエンスの力を受け継ぐ星沢家と強力な同盟関係を結び、国家権力をも取り込み全盛を極めている。
 その神楽家を失墜、没落させ 妖魔と対峙する退魔師の裏の世界で、もう1度かっての栄華を取戻し 再興させ 国家権力をも取り込む そして妖魔と対峙する退魔師の裏の世界で頂点に立つ。
 壮大な野望、野心を抱いていた。
 妖魔が現れる漆黒のトンネル全てを閉じ 妖魔の魔の手から人類を救済する真宮寺家を。
 その手始めとして、妖魔が狙う星沢 真美を逆に利用する。

 まさにそのチャンスが今訪れていた。
 意識を失っている真美を見つめる SS級妖魔 ドライスラー 極冷気の使い手 さりげなく近づく真宮寺 まさに暗黙の了解 互いに、意味ありげな薄笑いを浮かべている。 密約によって結び付いている それがどんな密約だろうか? だれも知る由はない。
 そう言う雰囲気を互いに、醸し出しているのに、だれもが気づくだろう。 だが、決して、その内心何を思っているのか? そこまでは決して見抜く事は出来ない。
 互いに、相手は、利用するだけの使い捨ての駒でしかない。
 そうして、今この現状こそ その場面に最もふさわしいと言う認識 まるで暗黙の了解事項の様に、認識していた。 そろそろ使い捨ての駒には、舞台から退場して消えてもらう。 それも永遠に。

 さりげなく右手を少し上げる真宮寺 だれもが、ちょっとした挨拶に思える仕草。 だがこれは、ドライスラーに対する挨拶ではなかった。
 実は、周囲に、気配を消し息を潜め身体を隠していた真宮寺の配下に対するサインであった。
 この集落住む全員 かってこの漆黒のトンネルを封印した修験者のグループの子孫 代々その頭領である真宮寺に仕える修験者の子孫 全員ある程度の霊能力を代々受け継ぐ者達。
 一斉に、周囲を取り囲む木々の後方からその姿を現した。 全員 それぞれ武器を手にしている。 
 錫杖、剣、金剛杖・・・・ 総数20人。 全員白を中心とした修験者の白装束の衣類に身体をまとっている。
 その眼は、冷酷なまでに鋭い眼つきで、1体のSS級妖魔である ドライスラーを睨んでいる。
 もし真美が、この時意識を取戻し 白を中心とした修験者の白装束の衣類に身体をまとっている者達を見たら 間違いなくそう思うだろう 時代錯誤の忠臣蔵。 殿の為に忠義を尽くす。 その様に見えたはず。
 統制こそ取れているが、余り実戦経験がないように感じられた。 ある程度訓練は間違いなく積んできている。 だが実戦は別物。 1つ1つのさりげない動作でもその違いは出る。
 周囲全体に意識を集中こそさせている。 だが、少しづづ敵を威圧 完全に包囲されていると意識させる様に、間合いを詰めるのが鉄則 だが、余りに意識を周囲に向けすぎている。 少しづつ間合いを詰める動作も妙にぎこちない。 多分 妖魔を初めて見たのだろう・・・・ ある程度霊能力を持つがゆえに、敵妖魔の何もかも圧倒するすさまじい妖力に、押されている。
 個としての戦闘能力 比較すらならない その不利を数で補う 考えとしては、正論 だが初めて対峙する妖魔としては、余りにも悪すぎた。 このレベルの霊能力しか持たない修験者の子孫 D級妖魔と何とか互角に戦えるレベル 例え1000人以上束になってかかっても 到底勝ち目のない程、極端な開きがあった。
 1000年程も妖魔との実戦から 代を重ねる事に遠ざかっていた。 当時の戦闘スタイルも実戦的から、見せる為の そう見た目の型の美しさ 儀礼的な物へと質的変化しもはや実戦とは、程遠い物になっていた。 その事を思い知らされる事になる。
 それぞれが手に各種武器を持ち、間合いを詰める。

 「どう言う意味だ?」 一応念の為と言わんばかりの言い方で、ドライスラーを聞く。 だが全く取り囲まれていると言う 表情、態度ではない。 "やはりなあー" そう言う表情を浮かべながらも 余裕の態度。
 まるで数にすらしていない。

 「周囲は完全に包囲した」 数の有利差 余裕の態度で、ゆっくり近づく真宮寺 勝負有とで思っているのだろう。
 こちらは、総勢真宮寺自身含めて、21人 それに対して、少し離れた場所で、ただ何もせず、いや命令が下るまで、待機 間違いない その態度で様子を伺うA級4体 総勢5体 少々の実力差など数の有利差で補えると思っているのだろう。 その態度からそう感じられる。

 「裏切るとは・・・・」 焦りすら感じさせない 不敵な笑みすら浮かべている。 下らない茶番劇に付き合ってやる。 そう言う態度を見せていた。
 だが、これも単なる暇つぶしの余興 どう料理するか? 少しは楽しませてもらえるかな? そう内心呟くドライスラー。
 まるで意に反していない。

 「貴様と、手を結んだ覚えなどない」 見下しはっきり言い切る真宮寺。 数の上での圧倒的有利差 自らこの場の指導権を握っている そう言う態度であった。
 これだけの数の差 形勢逆転など不可能だと思っている。

 少しづつ周囲を詰める修験者達 真っ白な雪に覆われた地面 その白い雪の上ぎりぎりの所を忍び寄る まるで同色保護された白い実体を持たない霧の様でありながら まるでヘビの様にくねくね動まながらも まるで音を立てず近づく物に気づく者はいなかった。
 周囲に気を配るのは、間違いではない だが、地面まで気を配ってはいない。 それは眼に見える範囲しか見ていない証拠でもある。
 実戦 初経験 これが、真美を始めとする実戦経験豊富な妖魔ハンターとの違いであった。
 相手が、SS級なら尚更 五感を鋭く研ぎ澄まさなければならない。
 敵 妖魔の各個体差、妖力差は、千差万別 全く異なっている 全く異なる外観から変幻自在の攻撃を仕掛けてくる。 ただある程度妖力は、1つの方向性に特化 ワン オブ アビリティー (単一仕様能力)程まで、極端にではないが、1つの方向性を持っている。
 だからこそ眼に見える範囲だけに集中するのではなく、五感の全て感覚を研ぎ澄ませ、妖魔の発する妖力の流れ、殺気など読む事が重要 だが、これは訓練だけでは決して身に付かない 何度も実戦の修羅場を潜りぬけてこそ身に付くものであった。
 多少 妖力の弱いC、D級妖魔との実戦経験のある真宮寺を除き、ここにいる総勢20人の真宮寺の配下の修験者達は、妖魔との実戦経験は皆無 いきなり不敵な笑みを浮かべ こちらの様子を伺っている4体のA級 更に比較にならない程の妖力を持つSS級 最初の実戦にしては、余りにも荷が重すぎる敵であった。
 個の能力差など、数を大幅に上回れは、十分に補える そう読んでいた真宮寺の判断ミスでもあった。
 数では、決して補えない程の実力差を持つ それが、SS級。

 修験者の1人が、奇怪な声を上げた。 確かに、ここは寒冷地 それに今は、冬 寒い だが、今足元に感じたのは、そんな程度の冷気ではない。 何か得体の知れない霧の様な物が、足元に、まるで身体に滑り込んでくるように纏わりつく、全ての熱と言うものが全く存在しない絶対零度の様な極冷気 何もかも瞬時に凍らせ恐怖を抱かせる冷気以上の何かを持つ得体の知れない物 突然足が、雪に覆われた地面に、まるで、瞬時に凍結するように固まる 同時に、足元から瞬時に、得体の知れない恐怖に、顔を強張らせながら全身が氷漬けになり そのまま粉々砕け四方に飛び散る。
 その奇声に、ここにいた修験者全員が、奇声を上げた者の方を向く 見る見る足元から全身に氷に覆われる修験者の仲間 瞬時に全身が氷付き同時に、砕ける散るシーンを 様々と見せつけられる。
 その様子に、だれもが、恐怖し顔が強張り動きが止まる。
 得体の知れない恐怖が全身を襲う。 初めて、死と言う恐怖を身近に感じた瞬間であったかも知れない。
 妖魔の持つ 人間には絶対持ち合わせない特殊能力 妖力の1つ。
 次々と仲間の修験者達が、同じ様に奇声を挙げながら 瞬時に足元から全身が氷付き 砕け散っていく。

 「そ・・・そんなー バカなー」 その様子を見ながら 恐怖に怯えた表情を浮かべ真宮寺が呟く。
 実戦経験はあると言っても B,C,D級と少々程度 本格的実戦など皆無。 妖魔の持つ妖力を舐めていた。 いや知らなかった?
 妖魔の持つ妖力の違いを感じる事は、確かに出来た だが、その本質までも知らなかった。 A級以上の持つ隠くされた本来の強大な妖力 実戦経験豊富で、現在主力となって戦っている妖魔ハンター 1部を除き B級妖魔と互角レベルの霊能力 A級以上は、極限られていた。 妖魔の神々にも匹敵すると言う まだだれも知らないSSS級と、唯一戦えると言われる真美は、唯一の特例でもあった。
 実際 1体のSS級妖魔 ドッペラーとの戦闘で、辛くも勝利を収めている。

 まるで、数、相手にすらしていない態度、表情を浮かべ、真宮寺すら見ていない。 あっけなく20人の修験者達を倒した。
 少し離れた場所で、こちらの様子を 余裕の態度で浮かべていた配下の4体のA級妖魔を呼び寄せる。
 「約束通り この女は貰っていく」 余裕の態度で言い放つ。

 茫然自失となり 身動き1つ出来ない真宮寺。 一応兵法らしき物でもかじっていたのだろうか? いや 自ら優秀な人材だと思っていのかも知れない。
 東北地方・・・ いや全国でもトップクラスの学校での勉強の出来る生徒が集まる有名な国立大学を現役合格 トップクラスの成績を上げ卒業していた。
 それなりの学校での勉強能力は有していた。 生まれながらにして支配者階級であり将来の人の上に立ち、自ら命令を下す立場であり采配を振るう その為の勉強は怠っていなかったはず。 だがそれはあくまでも学校の つまり机上の上 ある意味 一種の宗教的 画一化された教条主義的側面の強い マニアルの世界。 たった1つの方向しかない世界。
 全てが、マニアル通り動くならば・・・・ の話でしかない。
 それでも学校の勉強は、優秀だった為 自ら優秀な指揮官にでもなれると思っていたのかも知りれない? 最も基本である圧倒的数による有利差を生かそうとしていた。 物事全てが、マニアル通り行くならば、決して間違ってはいない。 だが戦争 それも実戦は生き物 机上通りには行かない。 マニアル通りの行く世界ならば、優秀であったはず。
 その違いを 今 痛烈に思い知らされていた。 そして、今まで自ら築き上げた物全てが、爆音を上げ 脆くも崩れ去る音として。 それは人生初めての敗北であり 挫折でもあった。
 生まれながらにして、人の上に立ち 自らが、全てに対して、思い通り采配を振るい 思い通りに全てを動かす事の出来る。 そう言う運命に選ばれし者だと信じてきた自分に対しての 洗礼であり 今までの行い対する強烈な反動のしっぺ返しの序章(プロローグ)であった。

 その横を まるで数にしていない態度で、意識を失った状態の真美を まさに愛おしく思っているのか? まるで白馬に跨り現れた王子の様に、丁重にお姫様抱っこで通り過ぎるドライスラー。 その周囲をダイヤモンド陣形で、固める4体のA級妖魔。 今にも吹き出し笑いをがまんした表情を真宮寺に向けていた。
 何も知らない愚かなやつ・・・・ 4体のA級妖魔の顔 そう書いてある。
 「殺されなかっただけマシ」 4体のA級妖魔から その言葉が浴びせられても仕方のない状況であった。

 その時だった 何か大きな そう大型の輸送機が放つ 大きな爆音が近づいてくる。 決して、小回りの利くヘリではない。
 戦車や、装甲車など空輸するのに利用する 軍事用の大型輸送機。
 それも高度ではない。 かなり低空で、真っ直ぐに、こちらに急行している。
 そこからは、そう決して妖力ではない。 だが2つの大きな妖魔の放つ妖力とは、異質の強い力を感じる それは、真美の持つラディエンスの力と、仲間の妖魔ハンターの隊員の持つ霊能力 それも1つではない 複数。
 だが、ここには、いや この近くには、軍事用大型輸送機が着陸出来る滑走路などない。
 それに、このタイプの大型輸送機には、VTOL機(Vertical Take-Off and Landing=垂直離着陸機)の機能など持ち合わせていない。
 ドライスラーと、4体のA級妖魔 先程の真宮寺と、その修験者達との戦闘とは、打って変わって、緊張感が滲み出る表情を浮かべる。 同時に最大限の戦闘態勢に入る。
 本能が告げているのだろう。 最大級の強敵と。




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