LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 高校2年生編
 Part4

 月日が流れ 夏休みの真っ只中の7月下旬 今日も日中猛暑 だが、そんな気温など関係なく、ここの所ごぶざたであった妖魔が、3体 それもS級が出現。
 都内墓所にて、亜空間フィールドが出現し その中にいる模様であった。
 真美達 妖魔ハンターは、直ちに急行。
 亜空間フィールドへ入れるのは、真美、詩織の星沢家の女性で、神秘の力 ラディエンスの力の持ち主のみ。
 他の強力な霊能者でも入れない 別次元のフィールド。
 隊長の三村の命令で、真美、詩織は、亜空間フィールドへ潜入 残りの風吹などの他の隊員は、この場所に待機 亜空間フィールドから現れる 他のA級以下の妖魔、妖獣の処理にあたる事になった。

 「ねえー真美ちゃん・・・・」 周囲を見渡しながら いつになく心細い声で、真美に語りかける詩織。 何か? いつもの亜空間フィールドと違う異質な・・・ そう何か、具体的に表現出来ない異様な感覚を感じていた。
 思わず右側にいる真美の左腕に、少し怯えた態度でしがみつく。
 何だか? 2人で、スリルと、恐怖? が売り物のお化け屋敷に入った雰囲気。
 ちなみに、しがみついた詩織の方が、年齢は、1歳年上 それに身長は、167cmと女子として、長身の部類に入る。 真美の方は、158cm 年齢から考えても平均 身長差約9cm。 ハタ眼から見れば、少し滑稽に思えるかも知れない。 身長の高い方が、年齢も下、身長も低い方にしがみついているのだ。

 ここは、亜空間フィールドの中 我々の感覚から考えれば、ある種の次元と次元の狭間 周りの風景は、確かに、いつもと変わらない街の風景 だが、そこには、人の気配、人影どころか? 生命すらそこに存在するのか? と思える程に無機質 そして、周囲の色全体が、ぼんやりとしたグレーに覆い尽くした色になっている。
 何度も亜空間フィールド内に入っている。 だがいつもと何かが違う。

 一瞬 殺気? 妖気? 妖力? すさまじいまさに、絶対零度を思わせるような、冷たく冷酷、残忍でありながらもものすごいポテンシャル・エネルギーを秘めている。 そう何もかも殺し、破壊する強力な力 妖魔の それもS級3体の力を感じる。
 ある意味ふざけた態度で、真美の左腕にしがみついていた詩織も直ぐに反応 身体も精神も即臨戦態勢に入る。 両手を離し 腰のベルトのフックに下げていたライトソードを持ち構える 身体全体が、淡い白い光を発する 発した光はバトンの先端に集まる 光・・・いや光を発するエネルギーが、刀の形となり形成。 同時に、身体から発した淡く白い光が消える。 詩織 ラディエンスの力を解放  第1戦闘形態。 詩織の持つ神秘の力 妖魔の持つ妖力と対抗出来る力 ラディエンスの力 しかし詩織は、ここまでの能力しか持ち合わせていない。
 詩織の右側にいた真美も同様 ラディエンスの力を解放 身体全体が、淡く白い光を発し 更に強くなる 詩織同様 手に持つバトンの先端に、エネルギーが集中 刀を形成 だが、真美の場合 ここからが、異なる 同じラディエンスの力を持ちながらも 真美の場合 究極と呼ばれる力を持つ箱舟でもある。 そのまま発する淡く白い光が、輝きを増す。 決して消えない。 同時に、身体の背中の後方に、白い羽衣が出現 優雅に舞う。
 真美 第2戦闘形態。
 真美の場合 更に、第3戦闘形態、最終戦闘形態まで、その能力を高められる。
 戦闘形態を上げる毎に、その戦闘能力は、ケタ違いに高められるが、それは諸刃の剣でもある。 エネルギーの消費量もそれに比例し増大 短時間しか使用出来ない。 直ぐにエネルギー切れを起こし 場合によっては、意識を失う。
 大きなエネルギーを利用する事は、それに比例し、身体に対する多大な負担を強いる。

 「気配が・・・・」 真美の呟き。 そう確かに気配は、3つ だが、場所が特定出来ない。
 気配を消しているのではない。 気配が広く広がり1つのポイントに特定出来ない。
 「何よこれ?」 真美の左側で構える詩織 この気配に戸惑いの声を上げる。 こんなの初めての経験。
 そう思った瞬間 今度は、1つに集約・・・ と思えば3つに分離 まるで掴みどころがない。
 「トリニティー・・・・・」 真美が呟く。
 「どう言う意味?」 知的部分に弱い詩織 意味が理解出来ない。
 「トライン (trine) の名詞形で、3重、3つ組、3つの部分を意味 それにC宗教では、三位一体 三つが一つであり、一つが三つ・・・・・」
 「・・・・・?」 真美の言葉に、更に理解不能の詩織。

 「我が名は、トライディオン S級妖魔」 まるで数ヶ所から発せられる声が、エコーの様に、この亜空間フィールド内に、何度も不気味に響く。 殺意、悪意がこもった冷酷な声。
 「お初にお見えかかりますよ 星沢 真美さん、中崎 詩織さん・・・・ と言っても 私は遠くからだが、何度か見ていましたが・・・・」 かなり嘲笑した言い方。

 「早く 姿を見せなさいよ!!」 イラつく詩織 思わず挑発に乗り叫ぶ。
 「しっ!!」 思わず闇雲に飛び出そうとした詩織を制する真美。
 両目を閉じ、全ての感覚で、トライディオンの位置を特定しようとしていた。
 「多分 エネルギーの波の状態 でもそれでは攻撃を仕掛けられない 必ず1点・・・・ いやこの場合相手が3体だから3点に集約されるはず、その時がチャンス・・・・・」
 小さく そう詩織にしか聞こえない小声で呟く真美。
 唾を飲み 緊張した面持ちで、小さく頷く詩織。
 妖魔ハンター内で、真美の戦術眼、独特の匂いのかぎ分ける能力は、隊長の三村に匹敵すると言われていた。
 防衛士官大卒の軍人出身のあの佐々木ですら 余りの的確さに、思わず年齢、性別を疑う時がある。
 今時の女子高生が、知るはずの無い高度な軍事知識。 特に、作戦会議などで、時より見せる戦略家としての資質 口調など、隊長の三村を見ている様な まるで、人生の場数、ある程度修羅場を踏んだ男そのもの。
 その反面 今時の女子高生の常識レベル、恋愛、オシャレ・・・・等 妙に疎い。

 「ふ〜ん・・・・・・」 あざける声が、エコーする。

 どうやら図星・・・・ 真美が細く微笑む。

 戦場での下らない心理戦。 手の内を見せず、隠し玉を装い 相手を疑心暗鬼にさせ自滅に追い込む。 基本戦術の1つ。

 だが、トライディオンは、全く慌てた気配すら感じさせない。 まだ何か? 隠し玉・・・秘策を持っている・・・・ と、言わんばかりに、自信に満ちた気配を周囲に漂わせている。

 はったり・・・・ だが・・・・ 妙に変な胸騒ぎ・・・・・ 真美にそう感じた。

 その時だった。 何かを感じる 強力なエネルギー。 「来る!!」 そう叫びながら隣の詩織を少し突き飛ばしす。 自ら少し横に素早く移動。 今までいた場所には、細長いが、強力なエネルギービームが、だれもいなくなった空間を 鋭く貫く。
 「レーザー・・・いやメーザー・・・・・」 そのエネルギービームを見ながら呟く真美。
 レーザーとメーザー その違いは、その性質である出てくる電磁波の波長の違いだけ。 どちらも非常に指向性、単波長性が高い。

 「良くぞ避けたな 我が生体メーザー砲 一応誉めてやるぞ、星沢 真美さん」
 今度は違う 気配と声の発生源が同じ。 どうやら1点収縮実体化したらしい。 後残り2体も同様 気配が1点収縮実体化している。

 「ふ・ふ・ふ・・・・・」 奇怪な まるで全てを闇に包み込む陰湿な笑い声を上げ 同時に3体のトライディオンが、丁度正三角形のそれぞれ角の部分から現れ ゆっくり間合いを詰めてくる。
 全く同じ姿 2足で立つ、どちらかと言うと、恐竜の1種で史上最強の肉食竜と言われるT-レックス(テラノサウルス)に少し似ている。
 他だし、頭から2本の角が生えており 全身は、どす黒い茶褐色 全長は、およそ2m弱 胴体は、異常に長く 足や手 特に手が異常に短い。
 何よりも特徴は、身体に比べ頭が、少し大きく口の部分が、つまり上顎、下顎の部分が、前に大きく張出 巨大な口を形成 まさに、想像図で見るT-レックス(テラノサウルス)そのもの そして、口には、やはり凶暴なキバが生えており パワーと、凶暴なキバが、武器と思わせていた。
 ただ恐竜 T-レックス(テラノサウルス)との大きな違いは、お尻にあの独特の巨大な尻尾が生えていない。
 そう言えば、もし恐竜が、人型に進化した場合の想像図を TVか、何か?で、随分昔 そう氷室 拓真だった時代見た記憶があった。 その想像図とトラディオンは、何となく似ている そんな気がした。

 「ん?」 3体のトライディオンのそれぞれの間に、ある事に気付く真美。
 これは、真美だからこそ気付いた 隣の詩織は、気付いていない様であった。
 3体のトライディオンの間を 何かが超高速で移動している。 それも1つではない。 まるで押し寄せる無数の波の様に感じる。
 今まで戦ってきたS級妖魔と、根本的に何が違う。 それはそう 妖魔と言え 別次元の生命 有機質的であるのに、この3体のトライディオンは、どこか? 無機質的な部分を感じる。 まるで、人造生命・・・・ いや違う 元々に、何か人工的に改造された様な? それともう1つ それに別の妖力によって、まるで、後ろから糸で操られているマリオネット(操り人形) それもテレパシーの1種か? マインドコントロール(精神支配)されている。 そんな気がする真美。
 その証拠に、最初の一撃 生体メーザー・・・・と言っていた。 これは、科学を用い人工的にしか作り出せない。
 今まで戦ってきた妖魔 全て この様な技など持っていなかった。

 まずは、3体のトライディオンの間を 超高速で移動する波を遮断。 はたしてどうなのか?
 考えると同時に、真美は、行動を開始した。
 「羽衣!!」 真美が叫ぶと同時に、後方で優雅に舞う羽衣が、真美の意思により動く、まるで、水の流れを堰き止める防波堤が伸びるように様に、高速直進 丁度3体のトライディオンの間を塞ぐ。
 だが何も変わらない。 どうやら素粒子の様なトンネル効果によって、簡単にすり抜けている。

 「どうしたんだ 何かしたいのかね?」 不思議そうな表情を浮かべ、余裕の表情 同時に浮かべる3体のトライディオン。
 想定済み・・・・ そんな態度に感じられる。

 「どうしたの 真美ちゃん」 異様な戦いに、困惑の色を浮かべる詩織。
 3体のトライディオンから発する異様なプレッシャーに、どう対応して良いのか? 両手に握るライトソードの握る手に、更に力が入る。
 今まで戦ってきたS級妖魔と、何かが違う 詩織自身も感じている。

 急速に伸ばした羽衣を元に戻す。
 どうやら この3体のトライディオンとの戦い。 今までの様なスピード、技を駆使した ある意味単純な力押しの戦術よりも 頭で、物理法則を考えながら戦わなければならない相手の様であった。
 少し考え過ぎていた 一瞬の隙が生じた 別のトライディオンが、口を大きく開く。 口の中に、何かのエネルギーが、光を発しながら集約 子供向け怪獣物り特撮の様に 口から炎ではないが、巨大なエネルギーの塊を発する。
 「危ない詩織姉ー!!」 真美が咄嗟に叫ぶと同時に、急加速 直撃直前の詩織の身体を両手で包み そのまま地面を横に転がる。

 「ブラスター?」 真美は、今の技を種類を見切る。
 火炎弾・・・・ 意味が少し違う超高温の火球弾 SFの作品では、お馴染の超オーバーテクノロジーの兵器の1つで、超大型のブラスター砲などは、良く一撃で、宇宙船や宇宙戦艦、宇宙空母などの特殊装甲を有効範囲内であるが物質そのもののを瞬時に、蒸発させるシーンがよく見受けられる。
 だが、今放たれたブラスターは、そこまで威力はないようだ。
 エネルギー量をコントロールしているのか?

 「その通り 我が生体ブラスターの味はいかがかな?」
 今 ブラスター砲を発射したトライディオンが、勝ち誇った言い方で、嘲笑する。
 まるで勝ち目などない そう言う言い方。

 命拾いした詩織 余りの突然の事で、つい 金縛りの様な状態になっていた。
 「ねえどう言う事?」 更に頭が混乱する詩織 科学の世界など全くの別世界 レーザー? メーザー? ブラスター? ちんぷんかんな言葉ばかり・・・・・

 「多分推測だけど・・・ 3体トライディオン 人間で言えばサイボーグ つまり改造人間の1種 この場合改造妖魔・・・・・」 
 少し困惑の表情を浮かべる真美。
 それもそのはず、現在最新の人類の科学でも ようやく人工義手 義足・・・・それも脳、神経等と接続出来ず 自らの意思で、自由にコントロール以前の初期にも満たないレベル。 まだバイオニック(生体工学)の基礎研究段階。
 妖魔のテクノロジーは、我々人類の中世レヘルのはず。 その強力で、多種多様な妖力を持つ為 高度なテクノロジーを必要としていない・・・・ そう思われていた。
 ここまで高度なオーバーテクノロジーを もし妖魔が所有していたとするにらば、我々人類の持つ最新鋭のテクノロジーなど比べ物にならない程発展している事になる。
 今でさえ 防戦一方 こちらから戦略的に、打って出るなど選択的余地がないのに、もはや勝敗は、ほぼ決してしまう。
 それは人類の敗北。
 また別のトライディオンが、攻撃を仕掛ける。
 エネルギー粒子弾 無数の小さな光点が、襲い掛かる。
 生体ガトリング砲
 「間に合わない・・・・・」 詩織をかばっては、とても逃げる時間がない。
 羽衣を周囲に急速展開。 「はたして防げるか?」 ほっんと呟く真美。
 周囲に展開した防御の為の羽衣に、無数の小さな光点が次々と間を置かず着弾。 エネルギー量が小さいのか? 大きな爆発が起きない。 1発1発の威力は小さいが、数でカバー? だが・・・? エネルギー量をコントロールしているのか? 簡単に、周囲に展開した羽衣が防いでいる。
 「大して、威力が・・・」 思わず呟く真美。
 羽衣の防御力は、真美のラディエンスの力に対応している。 真美のラディエンスの力が、高まれば、防御力が上がる。
 「だが、それにしては・・・・」 ふと思う真美。 そのはず、S級妖魔にしては、威力が全く感じられない。
 同じ妖魔ハンターの仲間で、強力な霊能者である西の必殺技である良く似たライトニングスターの方が、比較にならない程の威力がある。
 西の霊能力は、B級妖魔同程度。
 「これでは、まるでただの幻想・・・・」 何気なく呟く真美。 それ程度の威力しか感じなかった。
 生身で喰らっても ほとんどダメージが無い程度の威力。
 「ただの牽制・・・・・?」 そうにしか思えない。
 真美は、自ら先程呟いた "トリニティ・・・・" と言う言葉が、脳裏を過る。 「トライン (trine) の名詞形で、3重、3つ組、3つの部分を意味 それにC宗教では、三位一体 三つが一つであり、一つが三つ・・・・・」 外見だけでは、全く区別の付かないトラディオン 3体の絶妙なコンビネーションで、三位一体の波乗攻撃を仕掛けてくる。 そう読んだ。
 だが、ある一定の距離で、それ以上詰めない "おかしい・・・" そこから攻撃を加えているだけ 全く動かない。 余計に怪しい 不気味でさえある。

 「詩織姉ー・・・・」 隣で戦闘態勢に入っているはずの詩織に問いかける。
 「・・・・」 何も返事がない。
 横目でちらっと詩織の顔を覗く。 まるで何かに操られている様な表情。 表情に、まるで感情が現れていない。 ただ1点ばかりを注視している。
 カジノなどで、カードゲームやルーレットなどの時には、ディーラー、スピナーなどに、感情を読まれる心配がない程。
 まさに、何かの催眠術にかかっている。 眼には、まるで生気が感じられない。
 詩織の注視している方向を見る。
 だが、そこには、全体に、グレーがかかり、全ての物の輪郭が、少しぼんやりとしているなどの ここ亜空間フィールドの独特の世界が広がっているだけ。 そこには、妖力を持つ妖魔の気配も感じられない。
 「眼ではなければ、音・・・・・」 だが、真美には、何も異音などの音が、聞こえない。 「超音波の1種?」 だか、どうやらそれも違うようだ。 もしそうならば、真美にも何らかの影響があるはず。
 そのまま崩れる様倒れる詩織。
 「詩織姉ー・・・・・」
 直ぐに、倒れた詩織を抱きかかえ揺さぶる真美。 呼吸はある 死んではいない。 だが、詩織は起きない。 両目を大きく見開いたまま 完全に、意識を失っている。
 まるで魂だけを抜かれた様な 表情に生気がない。 人形の様な無表情。
 通常考えられない。
 今 季節は、丁度夏真っ盛り 1つ2つ夜の怪談話に出てくるような出来事。
 怪談、妖怪、妖魔・・・・ ある程度関連性は否定出来ないが。 敵は、妖魔 この様な怪談じみた技は、決して否定出来ない。
 そのままゆっくりと、地面寝かせる真美。 3体のS級妖魔相手に、1人で戦うしかない。
 S級と言え 通常3体の妖魔を相手にしても、余り苦にしない。 だが、言い底知れぬ何か? 不安要素を身体全体に感じている。
 「詩織姉ーのサポートによる支援 望めないなあー・・・・・」 だれにも聞こえない様 溜息混じりに心の中で呟く。
 真美にしては、珍しく少し弱気になっていた。 それ程言い知れぬ漠然とした不安感を感じていた。

 「同時に3体 一気に片付けるには・・・・」 少し焦っていた。 こう言う場合 敵は、3体互いにある程度距離を開けている 真美のスピードを持ってすれば、各個撃破のいい餌食なるはずなのだが?

 「どうした星沢 真美さん・・・・・」 3体のトラディオンの発する声が、3方向から まるでエコーの様に何度も重なり響く。
 「仕掛けてこないならば、こちらから・・・・」
 同時に動く3体のトラディオン 真美の予想通り3体の絶妙なコンビネーションで、三位一体の波乗攻撃を仕掛けてくる。
 1体もしくは、2体が囮となり その隙に1体が襲い掛かってくる。
 意識を失い倒れている詩織を気にしながらの戦闘 ある程度距離を離したい だが、3体の絶妙なコンビネーションによる波状攻撃 思うように移動が出来ない。
 防戦一方のはずだが?
 捉えた・・・ と思い斬りかかってもまるで手ごたえを感じない まるでそこには最初から何も存在していない虚無の幻影を切裂く様に空を斬る。
 まるで幻影を見せられ相手に戦っている様な錯覚すら覚える。

 「実体が・・・・」 少し焦りながら内心呟く。
 確かにそこには、S級妖魔 すさましい他を威圧する強圧的妖力を感じている。 決して眼だけで妖魔を捉えているのではない。 身体全体から感じるあらゆる気配を感じ取っている。
 まるでからかわれ 持て遊そばさられいる・・・・ 実に嫌な感じであった。
 大きく後方へジャンプ 着地と同時に、両手に持っていたライトソードを左手1本に持ち 右腕を前に突出し右手首を立て ラディエンスの力を 突出し手首を立てた 右手の平の前に集中させる。
 "ニードル" 真美の持つラディエンスの力の大技の1つ。
 同時に、異なる3方向にいる3体のトラディオンに向け発射 極細の細長い光る光の無数の針が、3体のトラディオンを まるでミンチの様に細かく引き裂き切り刻む・・・・・
 ・・・・・いや・・・・ まるで雲散霧消 霧の様な幻影をただ四散させ通り過ぎ そこには何もない。
 四散した霧の様な物が再び集合 実体となって現れる。
 「どこに向けているんだ・・・・」 相手を見下し嘲笑した笑い声 小馬鹿にした口調が、同時に異なる3方向からエコーの様に何度も重なり響く。

 「どうして・・・・」 戦闘中余り汗をかかない真美 珍しく顔全体から汗を滲み出し焦りの色を浮かべる。
 先程から同じ過ちによる結果の繰り返し。 まるで学習効果のない出来の悪い生徒・・・・・ 確かに妖力を発している実体を捉えているはず・・・・ だがそこにあるはずの実体はない。 ただの霧の様な幻影。

 ある事に気付く、最初に感じていた違和感 まるで何か後方から操られているマリオネット(操り人形)の様な感覚。
 そうこの近くで、もう1体の妖魔はず、それも今眼の前にいる3体を 自らの幻影として操っている本体と言うべきか? 妖力を3ヶ所に分散させ そこにいかにも妖魔3体がいる様に見せかけている。 
 そして、微かに聞こえている小さな囁き? 非常に音源の高い いわやる超音波と言える高領域の音波は、ある種の催眠術。
 どうゆう技なのか解らない? 自らの妖力を3つに分け自由に動かしコントロール それをいかにも実体に見せる為 ある種の催眠術による暗示を相手にかける。 その妖力の塊が実体だと思わせる為に。
 その証拠に、3体の放ったそれぞれの技 生体メーザー、生体ブラスター、生体ガトリング砲 見た目こそすさまじい破壊力を秘めている様にみえるが、威力は、大した威力はない。
 それに、妖魔は、高度なテクノロジーを持ち合わせていない。 人類に取って、数百年以上前の中世のローテクノロジーレベルのはず。 コウジなテクノロジーによる補助がなくても 自ら持つ妖力があり必要性があまりない。
 3体の放ったそれぞれの技 生体メーザー、生体ブラスター、生体ガトリング砲 人類のSF、戦争系のTV、映画などをヒントに、見た目だけをマネした幻想の技?
 それに余り攻撃を仕掛けてこない 3対1 物量的戦術が有利を余り活かしていない。 確かに1体 もしくは、2体の妖魔が囮となり 1体もしくは、2体が奇襲をかけてくる。 だが、まるで奇襲をかけてきた妖魔自身フェイントをかけているだけで、余り攻撃しない。 こちらが完全に妖魔を捉え斬りかかっても まるで手ごたえがなく まるで、霧もしくは、ただの実体のない幻影を切裂く様に、雲散霧消 四散した霧の様な物が、再度集合しまた実体化した様に見せる・・・・・ 多分 こちらに幻影相手の消耗戦を強いりスタミナ切れになった所を狙う・・・・ そう真美は考えた。
 真美・・・・ いや今の性転換、年齢退行前の元々本来氷室 拓真と言う40歳代の男が持っていた数少ない希少ない自ら育んでいた軍事面に対する戦略家としての資質による 今置かれている状況を的確に判断 思考出来る。 更に相手を読む戦術眼 妖魔ハンターの隊長である三村とは、少々異なっているが、三村の場合 敵の布陣を素早く判断 最も効果的なポイントを的確に攻撃を加え 効果的に敵にダメージを与える能力に優れている。 いわゆる戦術家。 真美の場合 敵の技、攻撃などの本質を見抜く能力に優れていた。
 かって戦ったS級妖魔四天王の1体 ソノベーノの持つ技の分身体とは、根本的に違う ソノベーノの分身体は、全てが実体。
 トラディオンのこの技は、実体は、たった1体 後は、確かに妖力の塊みたいな物で、ある種の催眠術による暗示で実体と誤認させている幻影 ただのマリオネット(操り人形)。
 本体、いや実体は、別の場所で、幻影を遠隔操作している 気配をある種の催眠術による暗示で、決して消していない ただ誤認させている1体のみ。

 真美は、両目を閉じ全感覚を更に研ぎ澄ます。
 探しているのは、何か別の物によるオブラートに包み込んでいる異質な気配。
 微かに感じる。
 ここ亜空間でなければ、絶対気付かない。 通常空間でありふれた物 弱い 確かに弱い 昆虫の生命の様な僅かな生命の気配。
 両手に持つライトソードを上段に高く持ち上げ 自ら持つラディエンスの力を刀の部分に集中させる。
 刀の部分 光が膨張 エネルギーが高まる。
 現在 戸籍上 実の母となっているが、由美直伝の大技 ムーンライト。
 微かに感じる少し異質に感じる気配の1点に向け 大きく振り下ろす。
 ラディエンスのエネルギーの塊は、その1点に向かい 三日月の形となり猛烈なエネルギーを発しながら襲い掛かる。
 「捉えた・・・・」 確信に近い物を感じる真美。
 通常 避けきれない スピードは、ほぼ亜光速 光速に近い。 こんな至近距離 避けるにはまず不可能。 致命的ダメージを与えられるはず・・・・
 衝突と同時に、真美の放ったムーンライトは、大きく弾かれる。 同時に、微かな異なる気配も消える。
 「逃げられた・・・・」 思わず呟く。
 どうやら瞬時に、4次元ワームホールに入り 敵は逃げたようだ。
 「なんて妖力・・・・」 真美は、今まで感じた事のない 余りにも・・・・そう最強と謳われるS級妖魔四天王の1体で、最強の妖魔 自らSS級と言ったあのドッペラーなど物の数と言えない まさに妖魔の神々レベル? と言った もはや恐怖すら覚えさせる様なすさまじい妖力を ほんの一瞬感じた。
 「これが、ドッペラーの言っていたあの妖魔の神々に等しい いや妖魔の神々と謳われる史上最強のSSS級・・・・・」 全身から大量の恐怖による冷や汗が滲み出る。
 ただ呆然と立ち尽くす真美。
 敵が、4次元ワームホールに消える瞬間 何か不敵な笑い声を聞いた・・・・ そんな気がした。 それも何とも言えない不快で、いつまでも耳に残る。
 先程までいたはずの3体のトラディオンも いつの間にか妖力も気配すら残さず消えており 空間も亜空間フィールドから いつの間にか通常空間に戻っていた。

 それから数日たった8月の上旬のある日。
 夏真っ盛り ここは、綾の両親が持つ避暑の為の有名な高原リゾート地にあるペンション風の別荘。
 見渡す限りの広大な範囲が、一条家の持つ会社の社有地となっており テニスコート、ゴルフ場、プール、ハイキングコースなどが併設されており 社員が格安で利用できる厚生福祉リゾート施設となっていた。
 そこに、避暑を兼ねて、真美、詩織、綾、香、薫それに、友美も。 ただ加奈は、東北地方の実家に帰省中に付不参加。
 真美を最も憂鬱にさせる事の1つ そう水着 それもビキニの水着になってのプール。 周囲には、詩織、綾、香、薫、友美だけ そうそのはずここは、ペンション風の別荘の敷地内に併設されている小さなプライベート用のプール。 利用出来るのは、一条家専用。 社有地内の一角ににあるプイベート施設。
 真美達以外は、一条家に仕える女性料理人と、複数のメイドだけ。 つまり女性だらけ。
 異性である男の眼を気にしなくて済むはずなのだが、真美の場合? かえって緊張してしまう。 ある意味 百合、ハーレム状態?
 周囲の視線が、全て木製の良く高級リゾートホテルのプールサイドに設置されているリクライニングチェアーで、余り元気なくだるそうに寝そべる真美に集中していた。
 丁度大きな広葉樹の木陰の下にあり 夏の強い日差しを遮っており ただ周囲の山々や、プールで遊ぶ綾、香、薫を ぼんやりと、何か別の事を考えている表情を浮かべ見つめていた。
 何度も一緒にプールで遊ぼうと誘われたが、「う〜ん ちょっと調子が・・・・」と、言葉を濁らせた返事をするばかり、約1ヶ月に1度訪れる女の子の秘密の日ではない。
 その程度は、ここにいるだれもが気付いている。
 その日であれば、大胆なビキニ水着になどになれない。
 真美の調子は、今年の4月 2年生に進級してから 原因不明の何となく調子が悪い日が、多くあるのを ここにいる全員が知っていた。
 そこへ大胆な 自らの日本人離れしたプロポーションを持ち 目立つ事大好きな従姉でもある詩織が、白のチューブトップに、過激な両横ヒモのTバックショーツ水着姿の詩織が、近付いてきた。
 今 プールから上がったばり 水に濡れた身体妙になまめかしく、大人になりかけた少女のほのかフェロモンを漂わせている。 そう絵にも描いた大人になりかけた美少女。
 その見つめる視線の先には、更に信じられない美しい神々をも超越したもはや究極と呼んでいい美少女である真美。
 2人は、戸籍上従姉となっていたが・・・・・
 熱い真夏の日差しを遮る木陰の下に設置されている木製のリクライニングチェアーに、少しだるそうに寝そべる真美を見つめながら その周囲を あれやこれやで、まるで、自らを選任メイド気取りで忙しそうに世話をする いつも詩織の逆鱗に触れる友美の姿が目に入る。
 「友美ちゃん!!」 かなり怒りの籠った声を飛ばす。
 一瞬きょとんとした まるで魂が、どこか飛んで行ってしまった表情を浮かべる友美。
 いつも詩織には、意味が理解出来ない事ばかりで、怒られてばかり。 少し涙ぐんだ表情に浮かべ、真美に助けを乞う表情を浮かべる。
 「ともちん・・・・ 何も悪い事していないのに、ただ真美姫様のお世話をしているだけ・・・・」 それがいつもの口癖。
 それが、詩織の逆鱗に触れているのだが、詩織に取って、真美は、大事な従妹であり、独占私有物、そして、妹分・・・・ であるのだ。 何人たりとも詩織の許可なく近づく事すら許されない。
 近づけるのは、真美に取って大事な友達の綾、香、そして今ここにいない加奈までだ。 詩織に取って、唯一の悪友? ライバル? である薫ですら 絶対に許されない。
 その程度は、友美も気付いている。 だが何故? 私がダメなのか? 真美姫様は、別にそんな事 全く気にしていないのに・・・・ いつもそう思っていた。
 「あっち行って!!」 詩織の高圧的で情け容赦の無い命令的口調の罵声似た声が飛ぶ。
 思わず震える友美。
 「詩織姉ー!!」 さすがに真美も このまま成り行きを見ている理由には行かない。 少しだるそうに上半身を起こしながら 少し小刻み震える友美を庇う。
 いつも友美に対して、詩織は、いくらなんでもやり過ぎている。
 「黙ってて真美ちゃん これから中崎家と、星沢家の大事なビジネス上の極秘の話をするの部外者は、あっちで」 そう言いながらプール内で、遊んでいる綾、香、薫の方を指さす。
 「ごめんねー 友ちゃん・・・・・」 申し訳なそうに友美を見つめる真美。
 仕方なさそうに従う友美。
 近くに置いていたブルー&ホワイトのギンガムチェック柄 大きな浮き輪を持って、プールに向かう友美。
 後ろ姿を睨む詩織。 友美もまたかなりの美少女。 美の美少女女神すら嫉妬する美しさを持つ真美とは別タイプ どちらかと言うと、アニメ、マンガなどのラブコメ作品に出て来るような萌系。
 真っ白な三角ヒモビキニに、両横ヒモショーツ いくつかの大小のハート柄のデザインが施されている。
 男であったら悩殺されてしまうだろう それ程の萌系の可愛らしさ。 これで真美の心を独り占めしようと企てている。 詩織にそう思えていた。

 邪魔者は、立ち去った。
 真美が上半身を起こしたリクライニングチェアーの丁度伸ばしている足元の隅に濡れた水着のまま遠慮なく腰を下ろす詩織。
 「ああい言う子は、最初のしつけが大事なのよ」 真美に有無を言わせない強い口調で、憮然と言い放つ詩織。
 「でも やり過ぎよ」 反論する真美。
 「そんな事より 大事な話の方が」 話題を変える詩織 本題は、こちらと言わんばかり。
 「その話って?」 多分友美の事で話をしても一方的に、やり込められてしまう。 いつも友美が近くにいるだけで、詩織は、過剰反応してしまう。 話題は、詩織に合わせるしかない。
 突然 真美の顔を直視する 思い切り真剣な表情 両手で真美の両腕を掴む。
 「真美ちゃん 体調が余り芳しくない事は別として、何を真剣に思い悩んでいるの? あのジークとか言うキザな転入生で無い事ぐらいは解っている、この前の戦闘で、実体のないただの幻影に過ぎないS級妖魔トラデイオンの事 裏で、あの妖魔界の神に匹敵する存在と言われるSSS級の妖魔が操っていたと真美ちゃん言っていたわねー あんなすごい妖力初めてだって、そんな敵を見て、また変な考え・・・・・」
 真剣に見つめる詩織。 そう真美の秘密 ラディエンスの力に目覚め 当時40歳代の星沢家とは全く無関係な男が、その力により性転換、年齢退行し今の真美になった。 その時 その現場にいたのは、詩織と、今 戸籍上真美の実母となっている伯母にあたる由美の2人。 そしてその秘密を知っているのは、僅か数人。 真美の持つラディエンスの力は、その根源である究極のラディエンスの力であり その力を運ぶ箱舟としての真美の存在・・・・ 等 そしてその力は、妖魔の持つ妖力と、まさに磁石の様な関係で、互いに引き寄せあっている。 妖魔がこの世界に現れるのは、その力を求めている事と、密接に関係している。
 その為 真美は、2度とこの世界に妖魔が現れないように、自ら妖魔界に行くと言いだしていた。 真美の秘密を知る者全てに、強引に反対され一応押しとどめいてるが、内心くすぶり続けているのは、詩織も良く気付いている。
 強い妖魔を相手なすると、真美は、異常なまで好戦的になる。 本来の好戦的男としての本能が目覚めてしまった様に剥き出しになる。
 ちょっと怖くなってしまう程。 あの容姿とからとても想像出来ない程冷酷な一面も見せる。
 1度その事をお父さんに相談した事がある。 男の戦いにおける本能を その時お父さんは、こう答えた。 お父さんも真美ちゃんの秘密を知る数少ない1人 いつも少し前まで、40歳代の男であった事などとても信じられないと言っている。 それは、真美ちゃんの秘密を知る者の共通した思いでもある。
 「・・・・それはねー 僕が考えるには、今まで歩んできた人生、物事に対する考え方だねー 多分真美ちゃんは、歩んできた今までの男としての人生で、何度も修羅場を踏んでいるのだろうねー その時 多分推測だけど、物事に対する全体像を鋭く観察 グランドデザインを構築する戦略的な考え つまり数少ない冷血、冷酷な戦略家としての資質を育くで来たのかも知れないねー これは、戦争に対してだけでなく、経営者としての重要な資質でもあるんだよ 経営者としての経営戦略に対しては、お母さんの姉の主人でも義人さんなんか、経営に対しては、冷酷、冷血とも思える部分を良く見せるし、あの人は、特にその面に対して、独特の嗅覚に優れている、多分世界中の最も優れた経営者の中でもトップ10の1人だよ 僕に取っては、大きな目標でもある・・・・」 その様に答えてくれた。 でも余り良く意味が理解出来なかった。 女の私には、決して踏み入る事も理解も出来ない男の世界・・・・ なのか?
 「・・・・勝つためには手段を選ばない・・・」 そうお父さんは言っていた。
 「最も残酷な部分でもあるんだよ・・・・」 そうも言っていた。
 他人を犠牲にしてまで・・・・と言う部分は、真美から全く感じない。 自己犠牲? ある一面から見ればそう見えるかも知れない だが少し意味が違う そう詩織には、感じられていた。 それは、自らを使い捨ての駒として利用する。 そう感じずにいられなかった。

 「・・・・また妖魔界へ行こうだなんて、考えていないでしょうね」 少し荒い口調の詩織。 真美の両肩を掴む両手に力が思わず入る。
 真美は、思わず眼をそらしてしまった。 表情が、微妙に変化する その僅かな変化を見逃さない。
 「やはり・・・・」 小声で呟く詩織。
 真美は、ウソをつくのは下手 女性特有の曖昧な表情など、特に下手。 感情が表に出てしまう。
 「自分がいなければ、妖魔が、この地球には、現れる理由がなくなる・・・・ 前そう言っていたよねー 妖魔の狙いは、自分が持っているラディエンスの力の源流 究極の力 それを運ぶ箱舟が自分だって・・・・ だからなんなのよー 自分1人で何事も解決出来るの? それに私のこの気持ちどうしてくれるのよ? 私だけでない ここにいる真美ちゃんの大事な、本当に大事にしてくれる友達の綾、香、それにここにいないけど加奈 そして、嫌だけど、薫 みんな真美ちゃんの事大好きで、大事な友達よ もし真美ちゃんが、理由知れず、忽然と姿を消したら どんなに悲しむか? 考えたことあるの? ・・・・・」 詩織は、思いの全てをぶつけてくる。
 「・・・ もし それでも行く と言うのなら 私も叔母様と同様 一緒に行く 私も 本当は、星沢家に縁もゆかりもない孤独な身だもの 真美ちゃんも知っての通り 生後数日後 私を産んでくれた両親は、妖魔に殺され その時今のお母さんが私を助けここまで育ててくた・・・・」
 何も答える事が出来ない真美。
 自身 相当迷っている ハタから見ても良く解る。 その程度の事など真美は、頭でこそ理解していた。 どう言う結果を産むか? 詩織の言う通りせっかく出来た女友達を悲しませる・・・・ 本当に大事にしてくれる友達である事も。 より強い敵を見ると、更に妙に好戦的になる それに、何故か良く解らないが? 妙にまるでN極とS極が引き合う磁力の様に互いを引き寄せている。 そう我々の住むミルキーウェー銀河系と、約250万±6万光年先にあるアンドロメダ銀河系が、互いの巨大な重力によって、時空が、その中心部の巨大重力源に対して、引き伸ばし重力源の中心部に対して、引っ張る様に、互いが引き寄せあっている。 秒速約122km/secのスピードで衝突し、約40億年後には、その後約20億年かけて巨大な1つの楕円銀河系(ミルコメダ=Milkomeda)を形成すると予想されている。
 SSS級の妖魔には、それを感じる。 妖魔の神々にも匹敵すると言うその計り知れない妖力が、自身の持つラディエンスの力の源流 究極の力と・・・・・ 決して避けて通れない運命・・・・ 1つに結び付き最終形態の多分始祖の力とでも言うべきか? 元々1つであった 一方が生まれれば、その正反対の性質を持つ対称性が同時に対になり誕生する対称性理論の関係なのかも知れない。
 常に、2つの正反対の性質を持つものが同時に、対となり誕生する・・・・ 表と裏 光と闇 右と左 上と下・・・・の関係の様に。
 ラディエンスの力の源流 究極の力と、妖魔の持つ妖力・・・・ 元々同じ力?
 SSS級妖魔の持つ妖力を感じた時 何故だかそう感じた。
 色々な考えが脳裏を過る。

 「・・・はっきり答えなさいよ!!」 詩織の少しイラついた声 声こそ周囲に聞こえない様、悟られない様小さな声であったが、まさに罵声が飛ぶ。
 鋭い視線で、眼の前の何とも煮え切らない表情を浮かべる真美に睨む。 はっきりさせたい強い意志が感じさせられる詩織。
 ただ視線を合わせず避ける表情の真美。 また何かを考えている。

 「どうしたの?」
 そこへ鋭い勘の持ち主の綾が現れた。
 今まで、プールでおおはしゃぎしていたのだが、何となく見た真美と、詩織 詩織がかなりの嫌悪の表情で、真美を睨みつけていた。 これはただならぬ出来事 そう直感した。

 「な・・・・何でもないわよ・・・・」 急にバツが悪そうに、言葉を濁し表情を和らげる詩織。 ちょっと言い過ぎた? 何とか取り繕うとする。
 「そうー 別に 大した・・・・」 真美も同様。
 まさか聞かれた?
 「何か、トラブルでも・・・・?」
 綾は、どうやらこのいきさつ知らないみたいであった。 何も聞いていない。
 何故か、胸をなで下ろす表情を一瞬浮かべる真美と、詩織。
 聞かれて困る国家最高機密。 例え相手が親友であっても。

 結局 この問題は、くすぶったまま状態で、避暑地でのバカンスは終わった。

 夏休みも終わり 今日から2学期。

 「お早う真美」 教室に入る真美を笑顔で向かい入れる綾。 少し日焼けした小麦色の若々しく瑞々しい光輝く素肌の綾。 まさに若さ弾ける健康的美少女。
 一方真美は、全くと言っていい程日焼けしていない。 強力な日焼け止めおかげでもあるが、真っ白なバージンスノーのだれもがうらやむ美白の肌。
 だが、少し生気を感じさせない。 若々しい生きる力と言うべきか? 余りの美しさに、眼が奪われ そう燦然と光輝く恒星を直視した為 周囲を公転する他の惑星、衛星などに気付かない様に、微妙な点にだれもが気付かないでいた。 ほんの微妙でこそあったが。 2年生に進級以来の漠然とした体調の悪さなのだろうか?
 そこへ 「真美お姉様・・・・」 うれしそうな声を上げ後ろから香が抱きついてくる。 ・・・・・と思ったら すかさずどこから現れたらのか? 不意に1年生の友美が、真美の右腕を香よりも早く抱きしめ まるで甘えた猫の表情を浮かべる。 「私の真美姫様・・・・・」 それを後ろから睨む香。 ・・・・と まあーまたいつもの高校生活?が始まる。
 途方にくれた表情を浮かべる真美 いつになったらこの頭痛の最大原因解消出来るのか?

 そして9月中旬 2年生恒例の最大イベントがやってきた。 そう高校時代最大級のイベントと言える修学旅行。 旅行先は、恒例となっているハワイ。
 朝学校に集合そのまま成田国際空港へバス移動 飛行機でハワイへ向かう。
 5泊7日 現地の高校と交流会 マリンスポーツ体験など盛りだくさん企画 真美がまだ氷室 拓真の時代海外旅行の経験はなく。
 今年度の3月 星沢コンチェルンが所有する常夏の南国の社用保養地へが初めてであった。 1つの小さな島がまるごと星沢コンチェルンが所有しており 会員だけが利用出来る 島そのものが、1つのリゾートホテル。
 ただその時は、羽田国際空港から現地の国際空港へ そこから専用船で社用保養地のある島へ直行。
 旅先の観光、ショッピングなどなにもなく 社用保養地にある超高級リゾートホテルと、その目前のビーチで過ごしただけ。 海外旅行と言うより海外で、星沢コンチェルンの中核担う世界中散らばる傘下企業の大幹部が、一堂に集まり ここで大幹部のみ 真美が正式に、NO3のポスト就任する事のお披露目であった。
 その為 旅行と言うよりビジネス。
 つまり初めての海外旅行と言って過言はなかった。 クラス 真美を除く全員 何度も海外旅行は経験済み。 みんな場馴れしている。
 綾など、中学時代 夏休み期間中、1年生時アメリカ合衆国、2年生時イギリス、3年生時カナダに、短期留学しており 普通の近所へでも行くような感覚であった。
 この修学旅行のエピソードについては、チャンスがあれば、外伝で記述予定。
 帰国後 真美は、元気ハツラツとは、正反対のグッタリとした様子であった。
 余り思い出したくない様子。

 2学期も中盤の最大の最も嫌なイベント? 中間テストも終わり 楽しいイベント? 真美に取っては、嫌なイベントの1つである文化祭が近づいてきた。
 今年は、去年の失敗? を良く学習 担任の桃花が、昨年より更にハードルを上げた ウイリアムス・シェークスピア作ではあるが、それを設定など変更したミュージカル舞台、映画の名作の1つであるウエスト・サイド・ストーリー(ウエストサイド物語) もちろんヒロインのマリア役を真美予定? 行う意向を固めていたのを素早く裏ルートで、キャッチ その時真美は、こう言っていた「蛇(じゃ)の道は、ヘビ・・・・」 何だか、良く意味の解らない言葉を発し意味不明な不敵な笑みを浮かべていた。
 対抗策をしっかり考えていた。 目立たず、尚 桃花の意向に反せず・・・・ 世界平和も願って?「真美に取って・・・が最も重要?」 本人に取っては、超名案と思え自画自賛したい気分であったが、世の中 中々うまくはいかない・・・・?
 討議の場 珍しく真美が積極的に発言していた。
 「・・・・今回の文化祭 全世界の恒久平和を願って、クラスの全員で、ある歌を合唱してはどうか? その時一緒に、チャリティーオークションや募金活動を行いその売上金を寄付する・・・・・」
 何だか? とてつもない大袈裟と思える案を披露?
 「その歌って?」 ある男子生徒が、興味津々に聞く。
 「その歌とは、1985年の超有名な あの名曲 あのクインシー・ジョーンズ、マイケル・ジャクソン、ビリー・ジョエル、ダイアナ・ロス、ライオネル・リッチー・スティービー・ワンダー、シンディー・ローパー・・・・など総勢45人の当時最高峰の超大物スーパースターが、一同に集まり この曲の為に結成したUSA for Africa(United Support of Artists for Africa)の歌ったWe Are The World」 力強く言う。
 (ちなみに、スケジュールの都合で、プリンスはレコーディングに参加できなかった)
 真美は、この身体に性転換、年齢退行前 この歌に感動、感銘を覚えた1人でもあった。
 特に、あの次々とソロのパートが変わるリード リレー ボーカル カッコイイと今でも思っている。
 この曲の売上金全てが、当時深刻化していた国際緊急問題の1つでもあるアフリカの飢餓救済に回されている。
 もちろん出演者は、全てボランティア。
 その考えを合わせて言った。
 もちろん狙いは、真美自身目立たせない為 真美に取っての恒久平和の実現の意味もある。 それも英語で歌うのだ、さすがの桃花も・・・・ と考えていた。
 それにあのカッコイイ 次々とソロのパートが変わるリード リレー ボーカル 目立ちたいクラスの男女が何人もいる。 諸手上げて喜んで立候補するばず。
 真美自身 バックのコーラス(合唱)で目立たず・・・・の思惑もあった。
 だが現実は甘くない。
 シーンと静まり返るクラス。 呆気に取られ唖然とした表情を浮かべる。
 「そのUSA for Africa(United Support of Artists for Africa)の歌ったWe Are The Worldって?」
 クラスの何ヶ所から囁き声が、小さく響く。
 だれも知らない? いや ニコニコ顔で反応したのは、綾1人。
 どうやら綾は、この歌もその意味も良く知っているようだ。  だが見方を変えれば、少し意味ありげの笑みにも見える 何かを企んでいる?
 今 流行しているアイドルの歌は、真美は、余り知らないが、クラスの全員良く知っている。
 史上最高の名曲の1つと言われるUSA for Africa(United Support of Artists for Africa)の歌ったWe Are The Worldを知らないとは? さすがに余りの世代間のギャップの大きさ、差を感じてしまう。

 「それに、音痴で、がさつな男子と一緒にコーラス(合唱)するなんて・・・・」 女子から声が次々と上がる。
 「それなら女子だけで・・・・」
 「今の流行しているあの大人数のアイドルグループの歌の方が・・・・」
 「そうよ そうよ 男子全員 裏方・・・」
 話は、真美の予想を大きく外れた方向へと、大きなうねりとなり動き出す。

 結局 話は、真美の案とは違う物に決まってしまった。
 それも最も望んでいない方向へと。 つまり真美に取って最悪の方向へと向かう。
 1人浮かぬ表情を浮かべ意気消沈 何か別の案を・・・・と考えている間に、次々と話は決まっていく。
 それは、クラスの女子だけで、もちろん真美は除く、話が大いに盛り上がる。
 真美は、その話をほとんど聞いていなかった。 別の案を考えていた為でもあったが。
 当然 桃花を出し抜く為考え抜いた壮大で、冷酷、冷徹なまでの戦略家としての深慮遠謀(しんりょえんぼう)な・・・? (いや浅はかな浅知恵・・・・)なプラン(計画)のはずであった・・・・? 多分 真美自身は、そう思っていた。 だがあえなく脆くも消失 かなりの精神的ダメージを受けてた。 「そんなはずが・・・」が、その思い。
 どうもこちらの方面に関しては、頭の巡りが悪い?

 2年A組は、女子全員で、あの今 流行している大人数のアイドルグループの歌を数曲歌うに決定 最重要と言われるセンターは、ダブル それも真美と綾 綾は、超ニコニコ。 ステージは、学校のグランドに特設ステージ 女子全員 コスチュームを着る それもクラスの親が経営する会社からの無償レンタル 歌に合わせた振付は、別の生徒の親の経営する会社から有名な振付師を招く・・・・ など。

 全てが決まった後 真美がダブルセンターの1人に決定した事を知り 愕然 それもあの例の最大人数を誇るアイドルグループの歌 元々今流行のアイドルの歌をほとんど知らない。 もちろん知らない歌 それも振付も・・・・ 辞退するにも時は既に遅し。 ボケっと別の事を考えていた自身が、最も悪い。
 話し合いが終わり 早速綾が、ニコニコの笑みを浮かべ真美に近づく、そうそのはず真美と2人で、最も重要で、1番目立つダブルセンターのコンビを組む もう心は、ウキウキ。  ちなみに、綾の家が経営する会社の1部門のアイドル用の制服? コスチューム?を無償でレンタルする事が決まっていた。 どうやら真美を除いて、クラスの女子だけで、極秘に計画されていた? 余りにも話が、とんとん拍子で決まってしまった。
 どうやらアイドル風のオリジナルコスチュームを 特注で、もはや発注されている。
 後で知る事になるのだが、真美のプラン(案)を さりげなく?知った綾は、対抗上この計画を立案 真美を除くクラスの全女子に根回し了承を取り付けていた。
 ちょっと小悪魔の性格? 綾らしい一面でもある。

 浮かぬ顔の真美。
 また昨年同様・・・・ いやそれ以上の・・・・・
 両手で頭を抱える。
 そんな真美に対し 「・・・・絶対に成功させようね・・・・」 などの励まし?の言葉を満面の笑みを浮かべ声を掛ける掛ける綾 その微笑みの裏には良からぬ・・・・? 企み?

 翌日の放課後 ここは、学校の近くにあるダンスなど様の貸しスタジオ 通常社交ダンスのグループなどが、ここで練習しいる。
 今日から文化祭前日まで、3時間の猛特訓。
 併設されている小さな更衣室で、学校の体操服に着替える。
 白の半そで体操服に、ジャージのズホン、長い髪は、後ろでシュシュで縛りポニーテールの真美。
 前日の放課後 クラスの女子全員に、それぞれに、CDが渡されていた。
 それは、各自様のダンスの振付が録画されていた。 振付を自宅で覚える為であった。 曲は、3曲 例のアイドルグループの振付をそのままカバーは、時間的に無理 それにフォーメーションと呼ばれる立ち位置を次々と変えるのも複雑になるので、ほとんどその立ち位置を変えないで、1曲に付 5〜6のパターンの振付を繰り返す それもかなり簡単な初歩的振付になっていた。
 余りの手回しの良さ。
 こういう事に鈍感な真美でも さすがに気付く。 真美を除くクラス女子全員で、全てが決められていた。 その為の準備も整えられていた。
 渡されたCDをプライベートルームのPCで何度も繰り返し見たのだが、全く覚える気持ちない。 ただ「嫌だなあー・・・・」 そればかり。 明日の放課後まで最初の1曲の振付を覚えなければならない。 全く練習もせず、歌も同様であった。 「口パクで・・・・」 そんな思いばかり。
 この日の昼休みも クラスの女子の大半が、自主練習に励んでいたが、真美は、机の上で両手で頬杖を付 溜息ばかり付いていた。
 だれが見てもイヤイヤモード全開のやる気無し。
 さすがに見かねて綾が、声をかける。 「さあー真美も練習しないと、私達の振付 他の子より複雑なんだから・・・・」
 その声に、突然驚いた表情を浮かべる真美。 確かに、センターと呼ばれる中心部の立ち位置 多少違うとは思っていた。 だが渡されたCDの画像 踊っていたのは、多分有名な振付師の女性だろう 細かな解説もあった。 でもそんなに違うのか? 疑問形の表情。 そんなに難しく高度な振付ではないはず・・・・
 「2人のタイミングを合わせるないと・・・・」 そう言いつつ真美を強引に立たせる。
 「さあー始めるわよ」 そう言う綾。 立ち位置は、正面から見ると左が真美 右が綾。
 綾は、自ら歌を歌いながら踊りを始める。
 ただ何をしてよいのか? 解らない表情で、その場立ち尽くす真美。
 「ねえーどうしたの?」 突然歌うのを止める綾。
 「実は、CD見たのだけど、覚えられなくて・・・・」 恥ずかしそうに赤面しながら俯く真美。
 やはり・・・・ そう言う呆れた表情を浮かべる綾。 多分こうなるだろうと予想していた。
 仕方なさそう表情を浮かべながらも見本を自ら見せながらも、丁重に教え始める綾。 どうしても成功させたい意気込みが伺える。

 そのお蔭でもあったが、何とか振付だけは放課後の全体練習にまでには覚えた。 それもただ覚えただけ。 全体練習が始まった。 それぞれの立ち位置立 CDから流れる曲に合わせ踊る。 真っ先に真美に、振付師から情け容赦の無い罵声、叱咤の嵐が飛ぶ。
 「何!! そのダンス やる気あるの!? ちょっと可愛くてルックスと、スタイルからいいから男の子が振り向いてくれるなんて思ったら大間違いよ!! それでセンターが務まる・・・・!! それに笑顔と色気を出して、それじゃ憧れの男の子にも振り向いてもらえないわよ!!」 などなど。
 どう見てもぎこちなく、はた目から見れば・・・・ いやまるでやる気を感じさせないダンス。 まあー本人のやる気のないのも事実であったが・・・・・
 何とかリズムに合わせのが、精一杯。
 真美本人の一応名誉?らしきもの為に述べれば、ちなみにここにいた女子全員に、罵声と叱咤が飛んでいた。
 柔軟性 つまり身体の固い加奈には、「何 そのダンス まるでロボット? もっと柔軟性を持って!!」 小さな香には、「身体が小さいからと、ダンスまで小さくしない!!」 何事にも華麗なはずの綾にさえ 「ちょっと人よりダンスがうまいからと天狗になっているんじゃない!!」 まあー全員真美程ではななかったものの "それなりに" 罵声と、叱咤が飛んでいた。

 それにダンスの練習中 それに集中出来ない事情?も真美にはあった。
 2年生に進級以来続いていた 原因不明の体調の悪さも 夏休み以後 かなり改善していた。 それが原因ではない。
 確かにやる気のないのも事実であったが、ここには、数名のクラスの男子もいた。 もちろん学級委員長の小林の姿もあった。 小林は、クラス代表の総監督?の地位でもあったが、クラスの男子の眼も確かに気にはなっていたが、それが最大の原因ではない。
 何か? 解らない ただ非常に冷ややか そう冷酷な殺人鬼?にでも睨まれている様な まるで絶対零度の氷の串で、心臓を突き刺すような鋭い そうあのSSS級の妖魔の持つ 妖魔の神々にも匹敵すると言う妖力の様な強く、鋭い視線・・・・とてつもない想像を絶する様な強い力を感じていた。
 だが、ここには、僅かに妖魔の発する妖力を感じない。 ここには、妖魔は存在しないはず。
 後 気になるのは、もう1人 あの得体の知れない転入生のジーク ここでは、にこやかな笑顔を振りまき 女子1人1人名前を呼んで、爽やかな声援を送っている。
 そのジークからも全く妖魔の発する妖力を感じない。 普通の人間のはず・・・・ ただ漠然とした うまく言葉では言い表せないが、何か? 違う。 だが妖力を感じない。
 それは決して恋? などと言う心からの"憧れ?" "ときめき?"ではない。
 そう言った感情は、この身体に、性転換、年齢退行前の男であった時代 そう何だか遠い昔話の様な気がするが、まだ1年半ぐらい前の事であった。 40年以上男としてのキャリアを積んできている。 あの何とも言えない胸が締め付けられるような苦しさ? とは全く違う。 ある種の 非常に嫌な感じだ。 あの笑顔の裏に何か? 潜んでいる。
 ただ・・・・ 気に入らない・・・・ それだけなのかも知れない・・・・
 単に、気にし過ぎ・・・ そう思い込んでいたかった。
 だが決して無視できない不安感を感じていた。

 そして、遂に文化祭を迎えた。




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