LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 高校2年生編
 Part2

 GW(ゴールデンウィーク)後半3日目 真美は、自宅の色とりどりの草花が咲き乱れるガーデニングが施された広大な庭園の一角で、午後のお茶会(女子会?)に、参加させられていた。
 この日 天候は、雲1つない晴天 気温も30℃まで上がり 初夏を思わせ 湿度が低い為 快適 木陰に用意された シャレたテーブルと、椅子 ここで働くメイド達の給仕 テーブルの上には、高級ケーキや 甘い高級のお菓子が並べられ それを食べながら 優雅に最高級ティー嗜んでいた。 平和そのもの ここにいるのは、後 由美と、詩織だけ。
 話題は、新入りの妖魔ハンター 風吹の話ばかり 何故だか? それとなく風吹を熱心に勧める由美 こう言った方面に、鈍感な真美でも気付く 何かくっけたい見たい。 だが真美は、今だ自分は、男であり 今の姿は、仮の姿としか思っていない 風吹を異性の男として、見ていない。 妖魔ハンター内の最強のライバル(強敵)としか見ていない。
 「どう真美ちゃん 風吹君 中々男の子らしいりりしい顔 カッコイイと思わない それに、中国拳法 最強の使い手で強いし・・・」 由美の話し、何度同じ話をリピートしている事やら・・・ 真美は、思った。
 何度 誘って無反応の真美を見て、色々手をこまねく由美 何とか風吹に関心を持たせようと必死 真美が少しでも関心を持てば、2人きりでデートさせ あわよくば若い2人である 1つや2つの間違えがあってもいい 更に真美を押し倒し自らの物に・・・ もちろん風吹家には、了解済み 代々続く武道場を受け継ぐ風吹家 武道場は、長男が受け継ぐ事になっており 4男の拳志郎は、互いの気持ちだが、一致すれば、婿として、星沢家の養子に差し出す事に同意している。
 もちろん 多額のヒモも用意 星沢財閥の全面支援・・・・
 真美を押し倒し 傷者にしてくれれば、由美に取って願ってもいないチャンス 真美を傷者にしたと言う理由で、風吹を束縛し婿養子として、迎え入れられる。 今 流行の出来ちゃったなら更にいい 妖魔が、真美を狙う理由が、なくなるはず。
 それに、風吹は、真美を守る相手として、うってつけ 霊能力を使わず、肉弾戦で、あの現在 世界最強の男と目される 妖魔ハンター隊長 三村と、互角に戦える最強の男の1人。 それに頭も優秀 きっと、主人の義人同様 最も有能な経営者の1人になれる逸材 そちらは、義人と、その周囲にいる世界でも最高レベルの有能な側近が、鍛えてくれるはず 何ら心配はいらない。
 風吹は、一目見た時から真美に、一目惚れしている。 問題は真美。
 以前 自分は、男で、氷室 拓真だと思っている 風吹を 妙にライバル視している。 拳、剣などを 交えてしか語り合えない 男同士の最強のライバル。 本来の男としての闘争本能を掻き立てらりているのだろうか?
 全く異性の憧れ、恋愛の対象の眼で見ていない。 あれ程 男として魅力、輝きを持つ者は、滅多にいない 必ずこの私が、真美に気付かせて見せる・・・ 妙に、ファイトを燃やす由美 我が娘?の恋愛に、とことん干渉するつもでいる。
 一方 詩織は、この話 解せない思いで聞いていた。
 どうやら風吹は、真美の将来の相手として、送り込まれた刺客だと、絶対真美を渡すつもりなどない。
 真美は、詩織の可愛い妹分にして、独占私有物 だれにも渡さない。
 一方 真美は、憮然とした表情で、由美に反論する。
 「例え 風吹君が、霊能力を使っても 私がラディエンスの力を解放 第1戦闘形態に入れば、十分勝てる相手・・・」
 「でも 互いに、特殊能力を使わなければ、真美ちゃん勝てる?」
 「それなら 私も中国拳法の截拳道(ジークンドー)を習って、あいつより強くなる」 憮然とティーを飲みながら言い放つ。 どうも逆効果にしかならない。
 困った表情を浮かべる由美。 時間は、十分にある あせらずゆっくり・・・。
 真美も女の子 卵巣、子宮、膣など女性特有の臓器を持ち 正常に活動している。 必ず女としての生理的欲求を憶えるはず。 好きな男性の子を宿し産み育てたいと・・・。
 それぞれの思惑が、交差している時だった。
 真美、由美、詩織のそれぞれが持つ、妖魔ハンター専用の携帯電話が、一斉に鳴り出す。
 緊急事態を告げる それぞれの着信音 由美が、代表して出る。
 「2人共 緊急事態 早く部屋に戻って、戦闘服にお着替えして」 真美、詩織を見つめる由美。
 その表情から 大規模な妖魔の大軍が出現した事が解る。
 3人は、慌てて、それぞれのプライベートルームに戻る。

 現場に、真美、由美、詩織の3人が到着。
 先に、着ていた 三村、零夜、佐々木、風吹と合流 残りのメンバーは、現在 小夜子と共に、こちらに急行中。
 まだ戦闘開始されていない 互いに睨みあいの状態 と言っても 互いに200m以上の距離がある。
 どうやら全員揃うまで、手出しをしないようだ。
 妖魔側は、S級1体を含む 総勢50体を超える大軍 このまま半包囲網を築き 一気に殲滅を狙っている。
 戦場での、匂いのかぎ分け 戦術眼の鋭い三村の読み。
 真美、詩織のエースコンビが加わった このまま相手の出方を見るより こちらから先に仕掛ける。 相手の陣形の1番薄い部分に圧力を掛け 崩し分断 各個撃破 その間に、室長 小夜子が、残りメンバーを引き連れて来る。 予備兵力として、活用出来る。

 1体のS級 妖魔 四天王の最後の1体 カユカーワ 電撃の使い手。
 A級7体を含む総兵力50体を超える大軍を 全面に展開 半包囲網を築き下手な小細工抜きで、力押しする。
 そして、最終目的は、真美を手に入れる。 カユカーワの狙い。
 SS級、SSS級が、真美の秘密を知り 準備を整えつつある その前に手を打たなければ、SS級、SSS級相手に勝ち目などない。
 だれが、真美を手に入れ覇者となるか?

 三村が、無言でサインを出す。 真美、詩織を 前方に出す 円錐型の陣形 要の最後方には、三村自身。
 新入りの風吹には、由美と並ばせ右側面を担当。
 風吹は、少し面白ない表情 最重要ポジションの1つ 前方の斬り込み役を任せられたかった。
 「いいか 風吹 お前は、今日 妖魔との初の実戦 人間相手とは違う まずは、このポジションで、俺達の戦い方を良く見ているんだ いずれは、お前にも 斬り込み役を やってもらう」 三村の言葉に、無言でうなづく。
 真美、由美、詩織の3人は、ラディエンスの力を解放。 それぞれ身体から白い光を発する。 白い光は、手に持つライトソードに集中 白い光を発するエネルギー剣 ライトソードが完成 他だし真美だけは違う。 由美、詩織は、ライトソード完成後 身体からの白い光が消えるが、(現在 妖魔ハンターでは、この戦闘形態を 第1戦闘形態と呼んでいる 由美、詩織は、ここまでの能力しかない) 真美だけは、異質 そのまま発光が、更に強くなり 身体から白い光が、発光したまま 背中には、白い羽衣が現れ優雅に舞い踊る 真美 第2戦闘形態 まさに、天から舞い降りた美少女天女。
 いや 純白の羽衣が、背に真っ白な翼を生やした美少女女神のようにすら見える。
 そして、太陽光線の加減により 純白の羽衣が、まるで美しいカラフルに光輝くパステルカラーの極彩色の蝶の翅が優雅にゆっくりと羽ばたいている様にすら感じられ 真美の持つ神々しいばかりの神秘的な美しさを 更に際ただせている。
 「美しい・・・・」 思わずタメ息まじりに 言葉が漏れる風吹。
 余りの美しさに、思わず呆然と真美を見つめる。
 「早く 霊能力を高めろ!!」 佐々木に怒鳴られ 余りにも美しい真美を見つめぼっとしていた風吹は、慌てて霊能力を高める。
 少々バツの悪そうな表情を浮かべる。
 ラディエンスの力を持つ 星沢家の者と良く似ていた。 風吹の身体から まるで、夜空に輝く美しい星々の様な碧き炎が舞い上がる。 風吹の霊能力 フュージョン 自らの霊能力を高め 自身の戦闘能力をケタ違いに高める。 それにより 自身の拳法を使用し敵を倒す。
 さすがに、周囲の妖魔ハンターの面々から 思わずタメ息が漏れる。 風吹の霊能力の高さに対する絶賛。
 「滅茶苦茶強い霊能力」 佐々木が、思わず漏らす。
 「10時の方向 全員突撃!!」 三村の号令と共に、全員 一斉に走り出した。
 先行の斬り込み役の 真美と、詩織 スピードがまるで違う。
 真美など、号令と共に、前方へジャンプ そのまま長距離ジャンプかと思えば違っていた。
 敵 妖魔が気付き 一斉に中長距離の技を放つ だが、真美は、瞬時に巧みに避けている。 それも高さ数十cm浮かんだまま高速移動・・・いや飛行している。
 「空も飛べるのか・・・」 さすがに驚く風吹 だが、ラディエンスの力を持つ星沢家の戦闘能力は、こんな物でない。
 真美が、最初に突撃 斬り崩しにかかる。
 その左側面を1匹の白い龍が、ガード 零夜の霊能力 白龍神 巫女の正装で、走りながら祝詞を唱え 白龍神を巧み操る。
 「真美ちゃん 左は、私が守る」 零夜は、声を掛けている。
 真美が、正面4体のC,D級妖魔を切り倒す。 さすがに動きが速い瞬殺 ここで、詩織も参戦。
 「真美ちゃん ちょっと張りきり過ぎよ」 不満顔で不平を鳴らす。
 詩織も真美に並び ライトソードを構え 半包囲網で囲む妖魔と対峙する。
 いつもこうして並んで戦う2人 やはりあんうんの呼吸が抜群。
 「左側は、零夜さんの白龍神がガードしてくれるから」 真美のその言葉だけで十分。
 2人は、一斉に斬りかかる。

 「いい 風吹君 私の側を離れて単独行動をしてはダメよ」 由美と共に、右側面担当の風吹に、由美は声を掛ける。
 「はい 由美さん」 引き締まった拳法家らしい返事の風吹。 前を走る由美からも とんでもない戦闘能力を感じる。
 これで、もうすぐ50歳代に入るとは思えない 強い、ケタ外れの力 現状 風吹でも 勝てない程の力を感じていた。
 先に戦闘を開始した 真美と詩織 特に、真美は、計り知れない強い力を感じる。
 「いい 戦闘に入ったら まず相手の闘気の流れを感じるのよ 妖魔は、私達人間と違って、どこから武器、手、足などによる 攻撃を仕掛けてくるか? 解らないのよ だから眼に頼らず、全身で、相手の闘気 妖力を感じるの そして、その流れに反応しなさい 天才拳法家のあなたなら出来る」
 走りながら由美は、風吹に声を掛ける。
 妖魔ハンターに加入以来言われ続けている事。 千差万別の形態を持つ妖魔 人間同士の戦いとは、全く違う。
 早くも 真美、詩織が、10体ものB,C,D級妖魔を倒していた。
 その左側には、数体の妖獣を相手に、白龍神が、奮闘している。
 敵の半包囲網の真っ只中に突入。
 「行くわよ 風吹君」 由美の掛け声と共に、風吹も戦闘を開始。
 腰のベルトに挟んでいた ヌンチャクを2本を持ち 構える。
 風吹の霊能力が、2本のヌンチャクに伝わり 身体同様 碧い光を発する。
 怪鳥の様な雄たけびを上げ 風吹も眼の前のC級妖魔1体に、戦いを挑んだ。
 霊能力 フュージョンによって、ケタ違いに高められた身体のスピード、パワー 2本のヌンチャクを巧み使い 蹴りなどの攻撃を加えた見事なコンビネーションの攻撃で、C級妖魔1体を倒す。
 さすがに妖魔も 初めてみる新顔の戦闘能力、霊能力を見切る。
 すかさず 周囲の5体の妖魔が、フォーメイションを組み 隙いる暇のない断続的攻撃を仕掛ける。
 だが、何事でもない様な表情の風吹 乱稽古 100人組手程度にしか思っていない。
 由美などに言われている様に、全ての感覚を研ぎ澄まし 妖魔の発する 闘気、殺気、妖力を全身で感じ取り 流れを読んで戦う。
 5体のB,C,D級相手に、互角以上に戦う。
 「さすがねー 飲み込み速い・・・」 近くで、戦闘をしていた由美も関心する。 直ぐに妖魔との戦い方を飲み込み始めている。
 「下手な 助太刀 無用ね」 細く微笑む。 これこそ真美の伴侶にふさわしいと感じた。
 必ず真美を守れる強さを感じる。
 残るは、B級1体 さすがに、B級となると、強さが違う 風吹も簡単には倒せない。
 人間に似たヒューマノイドタイプだが、腕が左右3本つづの6本あり それも自在の伸び縮みする。 2本のヌンチャクで、巧み攻撃を防ぐものの こちらから攻撃を仕掛けられない。
 風吹は、ヌンチャクを 後ろのベルトの間に入れる。
 そして、両足をボクサーの様に華麗なステップを踏み始める。
 風吹が、最も得意とし最強の拳法の1つ ブルース・リーが編み出した截拳道(ジークンドー)。 今 霊能力 フュージョンによって、ケタ違いに戦闘能力が、高まっている。
 相手の懐に入る。 6本の腕の変幻自在の攻撃 だが、風吹が、それらの攻撃も巧みに受け流し 逆にその力を反転利用し 相手にダメージを与え続けている。 日本の古武道 合気道を巧み組み込んだ合わせ技。
 相手が、かなりのダメージを受けている 風吹の眼が光る まさに肉食獣が、獲物を狙う時の鋭い目付き。 助走を付けジャンプ そのままB級妖魔に、飛び蹴りを喰らわす。 手ごたえ十分 更に、止めの左右連続回し蹴り。 勝負有。
 そのまま目線を真美の方へ向ける。

 真美、詩織共に、B,C,D級など数にしていない。 霊能力を高めた風吹の眼にも止まらぬ速さで、次々と眼の前の妖魔を切り裂いて行く。 圧倒的戦闘能力 約半数を 2人で片付けていた。
 真美を見つめる風吹 真美の戦闘 まるで、地上に舞い降りた光輝く美しい美少女天女が、優雅に、美しく舞を踊っているようにさえ感じる。
 全く無駄の動きがない 理にかなっている。

 この戦闘を 少し離れた小高い場所で、眺めていた妖魔。
 そうこの軍団を率いる S級 妖魔 四天王の最後の1体 カユカーワ。
 「思った以上だぜ・・・・」 不敵な笑みを浮かべる。
 自軍が、劣勢にも関わらず、かなり余裕であった。
 目標は、真美。
 真美さえ手に入れば、後は、雑魚。
 真美の持つ本来のラディエンスのエネルギー この程度ではない。
 とっておきの秘策などない。
 あるのは、正攻法の正面からの力押し。
 真美の弱点は、そのケタが異常と思える程違う エネルギー量 大きい分 消耗も激しく速い。 そして不安定である事。
 必ず来る その時が、そのチャンスをモノにする。
 その時 手加減した電撃を浴びせ 殺さぬ程度の気絶させ 妖魔の世界へ拉致する。
 妖魔の世界ならば、あのラディエンスのエネルギーを封印する事は、容易。
 後は、わが妃としあやつに、あやつに、我が妖魔の力と、ラディエンスのエネルギーの2つを持つ 最強の我が子を産ませればよい。
 そして、最強の我が子と共に、妖魔の世界の覇者となる。

 やはりケタ違いに強力ながら不安定の真美のラディエンスの力 動きが、妙になり始める。
 身体全体から発する 今まで安定していたラディエンスの力による発光が、まるでストロボの様に、ゆっくりと点滅を始める。
 これが、急速に早まると、危険信号。
 「やばい・・・・」
 その違いに直ぐに気付く詩織。
 直ぐに、真美のガードに回る。
 「真美ちゃん 後方の風吹と交代 後ろに下がって」

 「大丈夫 直ぐに元に戻るから」
 そう言いつつ 今までの第2戦闘形態から 第1戦闘形態へ変化させる。
 これでも 残りB級以下の妖魔なら何ら問題がない。
 真美の身体から発していたラディエンスの光は消え。
 背中で、優雅に舞っていた 羽衣も同時に消える。

 その隙を窺っていたS級妖魔 カユカーワ このチャンスを逃すなど無い。
 大きくジャンプ 同時に、電撃を 真美の近くに向け発射 丁度真美と、詩織の中間点 狙いは、2人の分断。

 まさに、1本の稲妻が、2人の中間点で、地面に炸裂。
 強力なソニックブーム(衝撃波)が、稲妻が激突した地面を中心に、爆風を伴い発生。
 真美、詩織共に、丁度正反対の方向へ 大きく弾き飛ばされる。

 すかさず、予備兵力と温存していたA級妖魔6体を投入。
 部隊から 大きく外れ 孤立化した真美との間に、壁を作る。

 「しまったー やられた」 苦虫を潰す三村。
 「風吹 真美ちゃんを」
 三村の近くで、戦っていた風吹に大声を上げる。
 真美が、妖魔の手に落ちれば、ゲームセット。
 人類に未来はない。
 どんなことがあっても 真美の妖魔の世界への拉致を防がなければならない。

 その声を聞くか、聞かないか、解らない素早さで、真美の救助に向かおうとする風吹。
 だが、予想通り 行く手を阻まれ邪魔が入る。

 地面に叩きつけられた 意識が、少し朦朧。
 ゆっくりと、立ち上がろうとする真美。
 近くに落としたライトソードを拾い 何とか立ち上がる。
 ケガは、掠り傷程度。
 少し顔を上げる。 突如 何か? 大きな巨人? 身長? 全長? 約3m? いやそれより大きい?
 立ち塞がっている。
 身体全体から 微弱な電流が、ほとばしっている。 そして、あの強烈な妖力、何もかもを圧倒させる力 間違いないS級妖魔。
 身長差 半分程度の真美を上から見下ろしている。 黄金に輝く不気味な2つの瞳 まるで、狩人 それも野生の肉食獣の様な獰猛な表情で、真美を見下ろしている。 身体は、人間と余り変わりの無いヒューマノイドタイプ。
 特徴的な部分 鬼と良く似た角が頭部から 天に向かって約15cm程度か、左右に1本づつ生えている。 どうやら身体全体に、ほとばしる電流の供給源?
 S級妖魔 カユカーワ。
 「お間が、あの噂に聞く星沢 真美か?」 かなり乱暴な言い方。 今までの まあー下品で色情狂いとしか思えない女S級妖魔 四天王の1体 ヒダツマー 狡猾だったソノベーノ、多分最強? 態度は、妙に洗練されたナイト(騎士)風でもあった あのドペッラーと比べ、かなり粗野 いい言い方すれば、ワイルド? だが、全く洗練されていない。 何だか? 弩田舎から都会を知らず、ひょっこり右も左も解らない大都会に現れた 洗っても 洗っても 生まれながらこひりついた田舎の垢まみれのオヤジ・・・・?
 そんな風に感じる真美。
 生まれ持った大都会で、洗練されたハイセンスを持ち合わせる真美とは、対極?
 図体ばかり大きいだけ、実は横幅も 肩幅が狭く細っそりとしている真美の 軽く数倍はある。
 何だか? 拍子抜けする真美。
 相手を見た目だけで判断してはいけない事は、よく理解しているが・・・・・
 確かにS級・・・・ だが、何もかも一瞬にして、氷付かせるような冷酷な冷気の様な妖力を持った あのドッペラー程な妖力は感じなかった。
 確か・・・・ ドッペラー自身 SS(ダブルS)に近いと・・・・ と言っていたが・・・・・?
 だが、侮ってはいけない 相手は、最強と自認する四天王の最後の1体。
 主要な技は、身体全体からほとばしっている電流。

 一気に、第3戦闘形態に、高めようとする真美。
 だが思うように上がらない。 ラディエンスの力を高めようとする 身体全体からラディエンスの力の上昇に伴うエネルギーが輝き始め 身体から発するエネルギーは、まるで燃え盛る炎の様に、揺らめき・・・・ だが続かない、突然 空気が、急速に抜き始めて風船の様に萎む。

 「どうした? 自慢の戦闘形態は?」
 少し見下し様に嘲笑する。

 現状 第1戦闘形態では、勝機の可能性は、余り高くない。
 一気に、圧倒する第3戦闘形態に移行し、短時間勝負で、決定的ダメージを与え 最後は、バースト。
 戦術プランが崩れる。
 今 この第1戦闘形態で使える大技は、由美直伝 最初にマスターした 代々星沢家当主が、受け継ぐ大技 ムーンライト。

 じっり じっり・・・・・ 後退を余儀なくされる。 更に、仲間との距離が離れる。

 どうやら完全孤立化させ どこかへおびき寄せる?

 手をこまねき 攻撃に移らない真美。 そんな真美に合わせる必要がない。 カユカーワは、その巨体を利用し 真美を圧迫 更に、足元に電撃を浴びせ ある方向へ向け誘導しようとする。

 「しまった・・・・」 思わず声が漏れる。
 ライトソードに カユカーワの放った電撃が、直撃。 手に持つライトソードが、弾き飛ばされる。
 「痛い・・・・・」 顔に苦痛の色が浮かぶ。
 左手で、右手首を抑える どうやらライトソードに喰らった電撃で、ライトソード弾き飛ばされる際 ひねったらしい。 骨折ではない。

 更に、後退を余儀なくされる。
 もう少し離れた 今 まるで、罠に追いやられる獣の様に向かわせられている方向には、巨大な かって結界と呼んでいた 別次元である妖魔の世界との繋がりを持つ4次元ワームホールが発生している 特殊な空間 亜空間フィールドが、発生している。
 どうやら狙いは、亜空間フィールド内に追い込む事。

 真美のラディエンスの能力は、歴代の星沢家の長女が、代々受け継ぐ能力とは、異質面が、いくつもあった。
 ケタ外れの強大な力を持つ、ラディエンスの力の源流でもある 究極のラディエンスの力 その為 非常に力のコントロールに苦労している。 亜空間フィールドへのテレポーテションも、本人の意志ではなく そのフィールド内に入れば、ラディエンスの力を解放していなくても 勝手に、身体が、亜空間フィールドに、テレポーテーションしてしまう。
 ある面 非常にやっかいな能力。

 現状不利な状態で、亜空間フィールド内での戦闘は、更に不利になる。
 亜空間フィールドニテレポーテーション出来る能力の持ち主 ラディエンスの力を持つ 星沢家の女性のみ 強力な霊能力を持つ 妖魔ハンターの隊員でも不可能。

 その時だった。
 カユカーワの身体が、放電 同時に、複数の稲妻が、各々の方向から真美に向け襲い掛かる。
 防ぐ手立てはない。 今 ライトソードは、大きく弾き飛ばされ手に持っていない。 現在第1戦闘形態 このようなヒンチに、いつも真美を守ってくれる羽衣は、第2戦闘形態以上にならないと、発現しない。
 逃げ切れない。
 突如 真美の前に、そう蒼い輝きを放つ人? が立ち塞ぐ、同時に怪鳥の様な雄叫び上げ、両手に1本づつ持つヌンチャクを大きく回し 襲い掛かる複数の電撃を弾き飛ばす。

 「星沢 大丈夫か?」 若い正義感に溢れる血潮の声。

 「風吹君・・・・」
 少し唖然とした表情の真美。
 どうやってここに来たのか?

 直ぐに理由が解った。
 上空を ゆっくりと旋回する 大きな金色に輝く・・・・ そう 真美が、おばあゃまと呼ぶ 妖魔ハンター室長 小夜子の使役する最強の聖獣 聖龍神。
 どうやに聖龍神に、ここまで運ばれたらしい。

 「小夜子さんが、これに乗って、星沢の救助を」
 上空で、ゆっくりと旋回 その鋭い眼光は、地上で、真美対峙するカユカーワに向けられている。 隙あらば、いつでも襲い掛かる。 その鋭い眼光は、そう語っている。

 「真美ちゃん これ」 今度は、若い女性の声 そう詩織姉ー。
 声と同時に、真美が弾き飛ばされ ソードの部分が消え バトンだけの状態となっていたライトソードを 真美に向けトス。
 どうやら詩織も 一緒に来たらしい。

 「貴様の相手は、この俺だ」 強い相手と戦える まさに無上の喜びの声。 どんな強い相手でもひるまない性格の風吹。
 強い敵を相手にする程 燃え上がる。 相手が自身よりケタ違いに強くても。 己を最強の そう無限の高みへと行くための通過点としか思っていない。
 現状の実力では、とても勝ち目などない事ぐらい 肌で感じている風吹 だが、それがいったい何なのか?
 自身の持つ霊能力 フュージョンを極限まで、怪鳥の様な雄叫びを上げ高める。
 自然界に、普遍的に存在する、生命の未知のエネルギー 霊力 その霊力を自身に集め集約 そして融合させる。 それによりケタ違いのエネルギーを持つことにより 人間の限界を遥に超えたケタ違いのスピード、瞬発力、俊敏性、パワーなど持って戦う。 風吹の霊能力 フュージョン。 その能力は、A級妖魔に匹敵する。
 他だし 他の霊能者と異なり 特殊な能力による大技はない。

 「何だ この小僧!!」 不敵、不遜な笑みを浮かべ 相手を見下している。
 敵ではない。 そう言いたげであった。
 だが、眼光の鋭さは、もう1流の領域に達している 決して、敵の隙を見逃さない鋭さを持つ まだガキ? 言える若い新顔の少年。

 左腕で、後ろへ下がれと、サインを送る風吹。
 か弱い女性(真美、詩織の場合 このケースでは?)を守るのは、男の役目 そう言う態度。
 それに、風吹は、真美に一目ぼれしていた。 初めて見たあの時から 昨年文化祭で、ガードの1人として、駅と学校の往復した。
 それ以来 一時も忘れられない存在となっていた。

 両手に持つ2本のヌンチャクを華麗に、回し始める。 いっでも攻撃を仕掛ける準備を整えている。
 そして、ボクサーの様な軽やかなフットワーク。 まるで、ボクシング歴代最強のチャンピオンの1人 あのモハメッド・アリの様に、蝶のように舞い蜂のように刺す。
 そう風吹が、最も得意とする中国拳法の1つ 伝説のムービースター あのブルース・リーの編み出した最強の実戦拳法の1つジークンドー(截拳道)。

 「ふん・・・ 少しはやるかな? 期待外れにさせないでくれ」
 その隙の無い動きに、少し ほんの少しは、関心を寄せた言い方。
 他だし 相手の能力は、A級の上程度 勝負にならないと踏んでいる。

 「風吹君こそ 下がりなさい 敵は、S級妖魔 勝てる敵ではない」
 そう言いつつ 先に飛び出す詩織。
 このままカッコイイ所を見せつけられては、真美の心が動きかねない。 危機的状況。
 真美は、詩織の妹分にして、大事な独占私有物。
 だれにも絶対に渡せない。

 「ふん 星沢家の女か・・・・」 まるで相手にしていない言い方で、そっぽを向く。
 わざと、飛び出した詩織に隙を見せ 誘い込む。

 「何 その余裕の態度 なめんじゃないわよ!!」 余裕の態度に、怒りを覚える詩織。

 飛び掛かる詩織を簡単に、右腕であしらう。
 身長3mを超える巨体 両腕のリーチの長さも違う。 その分長い。
 懐に入らせる前に、まるで、まとわりつく夏の虫の様に、右腕で、払いのける。

 側面から 強烈な張り手を喰らった詩織 そのまま地面に叩きつけられる。
 小さなうめき声。 死んではいない。 だが、立ち上がれない。

 その様子を見て、上空で、ゆっくりと旋回していた聖龍神。
 詩織の危機に、更に、痛めつけようとするカユカーワに向け、上空から急降下 猛然とお遅いかかろうとした。

 「お止め 聖龍神」
 凛とし抑制された物事に対して、有無を言わせない自信に満ちた声が、木霊する。 それも若い女性の。
 聖龍神を使役する小夜子の声ではない。
 だれもが、その声の持ち主の方へ振り向く。
 そう その声の持ち主は、真美。
 いつの間にか、第2戦闘形態に変身 身体からは、ラディエンスの輝く光が満ち溢れ 背中には、羽衣が、真美の持つ神秘的、神々しいばかりの美しさを更に引き立てる様優雅に舞う。
 真美 復活。

 だがその声を無視して、風吹が、カユカーワに挑んだ。
 ボクサーの様に、リズミカルな華麗なステップ。
 3mを超える巨体ながらも俊敏に動くカユカーワの懐に入り 両手に持つ2本のヌンチャクで、攻撃を開始。
 蹴り、突きなどの技も巧み混ぜたバラエティーに富んだ攻撃を仕掛ける。 それも眼にも止まらぬ速さ。 風吹の持つ本来のポテンシャルの高さ。

 だが、何事もなかった様に、全く表情も微動だにしないカユカーワ。 腕を組んで見下ろし。 瞬き1つしない。
 「何? じゃれごとでもしいるのか?」
 これが、通常のS級妖魔ならある程度ダメージを与えていかも知れない。 だが相手は、S級妖魔最強の四天王の1体。
 全く歯が立たない。
 焦りの色を浮かべる風吹。
 やはり人間相手との違いを思い知らされる。
 まさしく強大な敵。
 だが、怯まない。
 強い敵こそ燃え上がる。

 「逃げて!! 風吹君」
 今まで、微動だにしなかったカユカーワが、一瞬微妙な違いを見せる 何か仕掛けてくる。 その微妙な違いに気付いた真美が、声をかけた。
 真美以外決して、気付く事の出来ない程の微かな違いであった。
 その声に風吹は、素早く反応 何度も言われ続けている "敵 妖魔の動き 眼で追っていけない・・・・ 身体全体で、妖魔の発する妖気、妖力、殺気、闘気・・・・の流を感じ・・・・"
 だが、僅かに遅かった。
 突如 背中から見るからに、細長く黒ぽい・・・・そうまるで、ぬるぬるした 手で掴もうとすると滑っしまう皮を持つ "うなぎ?" ・・・・いやねばねばした そうエロマンガ、もしくは、アダルト小説などでお馴染みの触手の様な物が数本伸びるとと同時に、ムチの様にしなり、風吹の両側面から 両脇腹に向け襲い掛かる。
 避けきれない風吹 命中と同時に、触手の様な物体そのもが、発電 まるで電気うなき? 触手の先端は、確かにうなぎの顔の様な形態であった。

 そのまま感電 身体表面が、スパーク 通常の人間ならば、余りの電流、電圧の高さに炭化 黒焦げになり即死する程の威力であった。
 だが霊能力を高めていた風吹 身体表面から発している霊能力が、バリヤーの役割を果たし 威力をかなり軽減 何とか致死にこそ至らなかったが、相当のダメージを受ける。
 そのまま意識が朦朧 そのまま地面に倒れ意識を失う。
 もう1度同じ攻撃を喰らえば、今度こそ絶命の危機。
 「強い・・・・」 思わず口から呻き声と共に漏れる。
 意識を失う前 自らの未熟さを痛感させられる。

 攻撃のタイミングを逸していた真美 さすがに模様眺めとは行かない。 風吹を救おうと、カユカーワに向け飛び込む。
 今 第2戦闘形態 先程までとは違う。
 もう1度 同じ攻撃で、止めを刺そうとしたカユカーワの背中から伸び電気うなぎの様な触手数本を うならせ襲い掛かる 命中直前 だが、眼にも止まらぬ高速のスピードで、カユカワーワの後方に回り込んだ真美 手に持つライトソードで、数本全てを 瞬時に切り裂く。
 「今度は、私が相手よ」 カユカーワに向け宣言 両手で、ライトソードを構え 鋭い まるでターゲット(獲物)を肉食獣のハンター(狩人)の様な眼で、全ての周囲の状況を把握 隙なく睨む。
 どんな小さな動きの変化にも対応出来る構えを取る。

 本気になった真美。
 全身から発する闘気 先程までと威圧感がまるで別物。
 さすがのカユカーワも少し押され気味になる。
 じりっ じりっ・・・・ と少しずつ差し足で、歩を前出す真美。
 それに、押される様に、少しずつ後退するカユカーワ。
 真美の後方の少し高い空中では、どくろを巻いた状態で、口から血に飢えた獣の様な熱い吐息を吐く聖龍神が、これもまたターゲット(獲物)を肉食獣のハンター(狩人)の様な眼で、カユカーワを睨む。
 隙あらば、いつでも襲いかかる状態。

 「何たる冷酷な闘気・・・・ あいつ女か・・・・?」
 思わず口から洩れる。 額には汗が浮かび、頬に流れ落ちる。
 瞬時に、形勢を逆転させられている。
 S級妖魔最強の四天王の1体 カユカーワと言え あまりの威圧感に、自身 遠い昔に忘れ去ったと思っていた恐怖が蘇る。
 だが、退くわけには行かない。
 このまま おめおめと妖魔界へ戻っても 死あるのみ。
 妖魔界では、あのお方達が、着々と準備を始めている。
 残された時間は、僅か・・・・・
 我が辞書に、撤退の2文字は無い。
 それに相手は、少し小柄で、それも肩幅が狭く華奢でスレンダーなまだ大人になりきれない少女。
 見るからに簡単に捻り潰せる・・・・・
 そう自分に言い聞かす。

 とにかく妖魔界に連れ込んでしまえば、こちらの勝ち。
 その前に、まず亜空間フィールドへ誘い込む。
 正攻法の力を押し。

 巨体に似合わぬ俊敏な動き 身長差倍以上を活かす戦法を採る。
 手業、足技を巧み混ぜ真美に対して、攻撃を開始する。

 「思ったより素早い・・・・・」 巧みに攻撃を避ける真美に対して、余裕を持ったはったりを利かせた言葉を浴びせる。

 時より放つ電撃も 真美の背中に舞う羽衣が、完全ガードで、全く効果が無い。

 逆に空中を舞う 聖龍神が、局地的に、真っ黒な雷雲を発生させ稲妻による攻撃を受け 思うように攻撃が出来ない。

 全く表情を変えず、鋭い眼付で睨む真美。
 この程度のはったり 男時代からの常套文句 何ら意味を持たない。
 敵 カユカーワは、自身の不利を悟っている証拠。

 一瞬の隙を突き 攻撃に転ずる。
 小柄な体型を活かし カユカーワの懐に入る。
 同時に、巨木にも見える足 右足に狙いを付ける 手に持つライトソードを 右足を狙い水平に振る。
 完全に切断出来ない だが、血に似た妙にねばねばした液体が、周囲に飛び散る。
 同時に、そのままカユカーワの懐を通り抜け 後方に回ると同時にターン。
 右足に大きな傷を負い バランスを崩しかけたカユカーワ 更に真美の攻撃が続く。
 「羽衣・・・・!!」 真美が声を上げると同時に、真美の後方で、優雅に舞っていた羽衣が、まるで意志を持っている様に、素早く伸びる。
 狙いは、カユカーワの左足 2帯の羽衣は、カユカーワの左足に、巻きつくと同時に締め上げ そのまま引っ張る。
 バランスを完全に崩し カユカーワは、その巨体を大きく前のめり倒れる。
 大きな地響きを上げ 周囲の木の枝は、大きく揺さぶられる。

 「勝機はないわよ カユカーワ」
 左足に巻きつけた羽衣 自ら意志を持つように外れ 真美の後方へ 同時に真美は、ゆっくりと前進。
 まだ立てぬカユカーワに、近付き見下ろす。
 「死にたくなければ、このまま 妖魔界へお帰り 後追いはしないわ」
 完全に勝機はないと、最終勧告を付きつける。
 もはや 余りのレベルの差がある。

 苦虫を潰した表情を浮かべる。
 まだ真美は、本気を出していない。
 歯が立たない。
 だが、ここで退く事は出来ない。
 退路はない。

 「なめた口を叩くんじゃねえー この女(あま)!!」
 いいようにあしらわれた。 かってS級四天王の1体と言われ SS級にまで上り詰めたドッペラーを倒した実力 偽りがない。
 頭に血が上る。 冷静さを失いかけている。
 現在の実力は、以前S級 SS級に及ばない。
 だが力だけが、全てではない。 自らに言い聞かす。
 その為の 秘策を用意している。

 前のめり倒れている つまりお腹が地面に着いた状態 逆に背中は、何も邪魔をしている物がない。
 また背中から数本のうなぎに似た触手が伸び ムチの様に唸らせ真美に対して、攻撃する。

 素早く後方へジャンプ 触手による攻撃を避け そのまま左手1本にライトソードを持ち 右腕をジャンプの態勢のままカユカーワに向け 手首を立てる。 同時に、手の平の前へエネルギーを集中 小さなエネルギー球が発生 そこから無数の小さく細長いエネルギー出来た針が発生 カユカーワに向け発射。
 真美のオリジナルの大技の1つニードル。
 小さく細長いエネルギー出来た針により相手を切り裂く。

 その攻撃を読んでいたのか? カユカーワは、一瞬不気味な笑みを浮かべる。
 身体全体に、放電現象による電磁場を発生 バリヤーの役割を持つ電磁波であったが、もう1つの特徴を兼ね備えていた。
 真美の発射したニードルの針は、電磁場に触れると同時に、その動きを止める。 勢いを失くしたニードルの針は、そのまま地面に落下? そう思ったが、違っていた。
 真美の顔に、?マークが浮かぶ。
 そう ニードルの無数の針は、そのままホバーリング(空中停止)を少し維持したかと思うと、急反転 今度は、真美に向け襲い掛かる。

 地面に着地と同時に、真美は、捨身で、横へ頭からヘッドスライディング 自ら放ったニードルを避ける。
 丁度真美の後方には、巨大な大木が、そびえ立ってた。
 ニードルの針は、巨大な大木に命中 まるで、薄い紙切れの様にズタズタに、切り裂いていく。

 素早く立ち上がり構える真美。
 「あの電磁場 バックファイヤーの能力が・・・・」
 思わず呟く。
 現状 第3戦闘形態へ移行し 必殺の最終大技 バーストを放っても バックファイヤーで弾き返やされる。
 もう少し ダメージを与えなければ。
 先程の放ったニードルは、その為の布石であったが、まさか電磁場によるバリヤー機能と、バックファイヤー機能まであるとは、知らなかった。
 情報力の差 実感させられる。
 千差万別の形態、能力を持つ妖魔 A級以下の妖魔の形態、能力の研究を進んでいる。
 ある程度の同タイプ同士に分類され その対策方法が、日々研究がなされている。
 だが、S級は、全く不明。

 逆に真美は、妖魔界で、今まで蓄積された戦闘データを元に、対策が研究されてきている。
 敵は、真美を知り 真美は、相手を知らない。
 情報戦に置いて、圧倒的不利な状況 それを圧倒的 戦闘能力 つまりS級妖魔の妖力をケタ違いに上回るラディエンスの力 それも源流である究極のラディエンスの力の差による正面からの単純な力押し だがいつまでもこのやり方は、通用しない、 必ず足元をすくわれる 柔よく剛を制す・・・・・ 真美自身1番この事に気付いている。

 「・・・・・」 小さい まるで今にも消え入りそうな呻き声を上げながらも意識を自力で取り戻す風吹。
 どれくら意識を失っていたのだろう? そんなに長い時間ではない。 せめて数分・・・・
 頭を 左右に数回振る。
 初めてKOされた。 だがその程度ではくじけない。 そんなか弱い精神構造の持ち主ではない。
 相手に怯え逃げるなど、風吹には、男の風上どころか、風下にも置けない・・・・ と思っている。
 幼い頃から師匠でもある父、今は亡き祖父から厳しい 各種武道の修行を受けてきた。
 何度、畳に叩きつけられても 「泣くな! 悔しかったら立ち向かえ! それでも男か! ・・・・・」 など厳しい言葉を浴びせられ 何度も立ち向かった 史上最強の男になる為。
 その時育んだ だれにも負けない 負けず嫌い。
 そして、か弱い子供、婦女子を守るのは、男の義務・・・・・
 今 そのか弱い女子である真美が、あの強敵S級妖魔と死闘を演じている。
 強い敵を女子にまかせ 自分が、KOされ昼寝? 絶対許せない。
 どんな強い敵であっても全力で立ち向かい最後に勝つ。
 自ら言い聞かせ奮い立つ。
 周囲の見渡す 真美とカユカーワの激しい攻防が続いている。
 力は、真美の方が上 だが、カユカーワは、真美の戦い方を熟知しているのか? 先手を打って真美を追い詰めている。
 遠からず、真美は追い詰められる。
 霊能力をMAXまで高める。 全身から蒼い光が輝く。
 そして、カユカーワに向かい突撃 同時に、真美向かって叫ぶ。 「星沢 少し下がれ!!」 
 「タイミング見計らい俺と挟撃だ!!」 こちらは、妖魔ハンターの暗号で叫ぶ。
 カユカーワには、意味が解らない。
 真美は、自身にひきつける形で、少し後退。
 その隙に、入れ替わる様に、風吹が、カユカーワに対峙 攻撃を開始する。
 風吹の後方に少し下がった真美は、そのままカユカーワの右側面に回り 風吹に気を取られているカユカーワの右側面から攻撃開始。
 見事な連携 1人に気を取られると、隙の出来た方からの攻撃を喰らう。
 いつも大軍率いて、多数を持って攻撃をする妖魔の戦術の逆をやられる。
 風吹の見事な飛び回し蹴りが、左首筋にヒット しめた 手ごたえあり 表情に浮かぶ。
 だが、カユカーワは、そのまま蹴り倒されない。 不動の態勢。 蚊に刺されたよりも痛みを感じていない。
 少し残念な表情を浮かべる風吹 まだ超えなければならないレベルの差 また思い知らされる。
 だが、真美には、これで十分な時間の猶予 ママである由美直伝 星沢家の長女が代々伝承する大技 両手に持つライトソードを真横に向けラディエンスのエネルギーを集中 丁度の剣の部分のエネルギーが大きく膨れ上がる 必殺技の1つ。
 「風吹君!!」
 真美の声に、風吹は、大きく後ろにジャンプ 同時に、真美は、そのままラディエンスのエネルギーを集中させたライトソードを大きく真横に振る。 大きく膨れ上がったエネルギーを丁度三日月の形となり 深手を負いまだ完全に回復していない右足に向け放つ 大技の1つムーンライト。
 三日月の形となったエネルギーの塊は、隙を突かれたカユカーワの深手を負っている右足を切断。
 「しめた チャンス」
 真美のターゲット(獲物)を狙う野生の捕食者の様な眼 冷酷な表情を浮かべる・
 戦闘中 僅かしかない千載一遇のチャンス このチャンスを逃したら次は無い。

 「風吹君 下がって」 真美の声 風吹は、咄嗟に理解 素早く後退する。
 そう 真美の持つ 神秘のエネルギー ラディエンスの力の 最大の大技を放つサイン。
 何度も映像で見せられた圧倒的破壊力を持つ最終大技 100体以上の妖魔でさえ 瞬時に消滅させる。

 構えに入ると同時に、真美は、第3戦闘形態に入る。
 身体全体からラディエンスのエネルギーが、まるで燃え盛る炎の様に燃え上がる。
 両目が光る 同時に、真美だけが持つ究極のラディエンスの力の大技を傷つき戦闘能力を大幅低下させたカユカーワに向け発射 真美の最終大技 バースト。
 強力な何もかも一瞬に素粒子レベルから熱、光などのエネルギーに転嫁 消滅させる巨大なエネルギーのビームは、妖力を大幅に低下させたカユカーワに直撃。
 余りの巨大な力を持つエネルギー対抗する力の無いカユカーワは、瞬時に消滅。

 「星沢 真美 これで、最強のS級妖魔四天王を全てを倒したと思い上がるなあー S級など比較にならない 強力な妖魔が、まだ多数いる。 そいつらがもうすぐお前を狙う・・・・・」
 そう叫び声を残して。

 その事は、真美自身知っていた。
 ドッペラーとの戦い時に聞かされていた。
 ラディエンスの力の解放を解除する。
 大きく全身で、何度も荒い呼吸を繰り返す。 全身から大量の大汗が、あふれ出る。 やはり立っているのも困難な程の意識さえ保つのがやっとの程の猛烈なスタミナの消耗。
 第3戦闘形態 最終大技 バーストの使用は、真美に取って諸刃の剣 体力の劣る女性のみが、それも星沢家の女性のみが何故? このような巨大なエネルギーを持つラディエンスの力を代々受け継ぐのか?
 それに真美自身 星沢家の人間ではない。 全く無関係の それも男 40歳台の このラディエンスの力の覚醒により 性転換、年齢退行・・・・・
 この力が 更に強大な敵をおびき寄せる まるで磁力 だが、この力がなければ、更に強力なSS級 神々などと呼称される物と同等と言われる究極のSSS級と戦う事が出来ない。
 色々な考えが、脳裏を激しく交錯する。

 「星沢・・・・・」 若い血潮に溢れた凛々しい男の声。
 この声は、そう風吹の声。
 大きく手を振りながらも 少し心配そうな表情を浮かべ 小走りに走り寄ってくる。

 その表情を見て、ほっとした表情を浮かべる真美。
 だが・・・・ またもいつもの事が起きる 疲労困憊 急激にものすごい力で、意識が奪われる。 そのまま前のめりに・・・・
 その瞬間 上空で待機していた金色に光る巨大な 細長くくねくね動き回る物体が急降下 大きな手を広げ 前のめり倒れ掛かった真美を地面ぎりぎりの所で、やさしく大きな手で拾い上げる。
 そう それは聖龍神。 まるでまだ幼い我が子を愛情を持って抱きかかえ見つめる母親の様な眼差し見つめる。




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