LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)

 第4章 決戦 Part6


 その頃 少し離れた上空で、リンと対峙するキャラン(浩司)。
既に周囲を取り囲んでいた飛行タイプの リン直属のグロテノスは、両手で握る愛用の武器 高周波セイバーで、全て撃ち落としていた。
残るはリン1体。
ハイパーグロテノスの更に進化タイプである Mark3であるリンの眼にも止まらぬ早業で瞬殺。 ケタ違いのレベルの差を見せていたが、その程度は、リンに取って想定済み その表情は、全く変化していない。
「愛しのダーリン・・・・・」 色香のある声を呟くリン。
見つめのは、他だ1人 キャラン(浩司)。
だが、表情と裏腹に、リンは、ある問題を抱えていた ハイパービューカーMark3への改造は、成功した。
しかし、他のハイパーグロテノスの最新最強モデルであるMark3と比べる リンは、エネルギー供給面で、非常に不安定であった。
元々ハイパーグロテノスは、短期決戦 一撃必殺、大量破壊タイプであり 供給量を遥に上回る巨大な全エネルギーを一挙に放出する事で、上位モデルのデストロに近い 大量破壊を可能としていた。
その為 直ぐにエネルギー切れを起こす 致命的欠陥を持っていた。 エネルギーのチャージには、かなりの時間を要する。
少し哀れな表情を浮かべリンに答えるキャラン(浩司) もう勝負はついている。 無駄な抵抗など・・・・ その表情に浮かべていた。
やはりキャラン(浩司)も男である。
眼の前には、人類史上最強の美女 殺すには、躊躇する。
もしこんな浩司の内心を みなっちが知ったら はたしてどんな態度にでるやら・・・・ 浩司は、思った 多分想像を絶する・・・・・
「あきらめろ・・・・」 諭す様に言う。
「ダーリンが、私に跪くまで諦めないわ」 言い放つリン。
「ならば道を開けろ」
「ダメよ この先には、絶対に行かせないわよ」 色香丸出しで答えるリン。
小首を傾け 呆れたポーズ、表情のキャラン(浩司)
「退けぬなら・・・・・」
愛用の高周波セイバー 高周波発生のスイッチをオフにする。
同時に、ハム音と共に青白い光を発生させていた高周波は消えた。
不気味な程の静寂さが、周囲を支配する。
「愛用の武器の威力失しで、この私に勝つつもりなの?」 かなり嘲笑した笑みと、声。
内心 なめている・・・・ 怒りをこみ上げる。
「その通り」 平然と答えるキャラン(浩司)。
戦う前に、もはや勝負をついている。 そう言う表情であった。
「敗軍の将は兵を語らず・・・・だよ」 少し哀れん表情で諭す様に言う。
故事ことわざの引用。
手持ちの飛行タイプのグロテノスを 全て撃墜した。
潔く負けを認め引いてくれれば・・・・ 甘い考えでもあったが・・・・
上で指揮する者の能力で、前線で戦う将兵の生死が決まる・・・・と言っても過言はない。
有能で、信頼を置ける指揮官程 下で戦う将兵の苦労、気持ちを理解する。
リンの稚拙の指揮能力 駒としての兵の動かし方に対する能力を皮肉っていた。
確かに、リンは、個としての戦闘能力は、際立っている。
だが、部隊を動かす指揮官として能力は、決してイコールではない。
ベースボール(野球)の格言に、名選手は、必ずしも名監督にならず・・・・と言う格言がある。
個としての能力と、全体を束ね指揮する能力は、全く別物。
キャラン(浩司)自身 その事を最も良くわきまえていた。
典型的とも言える1匹狼。
独断専行型。
組織立って物事を進める・・・・ などの欠如 特に、集団主義などには、馴染めず、嫌悪感すら抱いていた。
今 現状に置かれている状況は、その反映でもあったが。
自ら望んだ事でもあった。
決して、集団で群れる事の出来ない性格。
何事も自分で考え、判断し、行動する・・・・
つまり先頭に立ち物事を進めるリーダー性の欠如、部下を率いて、物事を進める指揮能力に欠けていた。
自身その事に気付いている。
だからあえて、色々諸事情があったものの ヤーナを離脱し1人で、巨大なアポリスに立ち向かった理由の1つでもあった。
自らの戦略的勝利の為に、他人を犠牲する・・・・ 冷徹、冷酷な戦略家としての側面に、決して徹し切れない精神面での脆弱性・・・

 リンもある意味で、キャラン(浩司)と似た様なモノを持っていた。
元々ネクストノイドへの改造前は、身長が高いだけで、これっと言った目立った特徴を持たず、地味な存在であった。
その為 交友関係は、余り広がりを持たず、どちらかと言うと孤独に1人でいる事が多く社交性に欠けていた。
身長が高いのを 逆にコンプレック(劣等感)と感じ どちらかと言うと、やや小柄なタイプに、強い憧れを持っていた。
小柄で、可愛い子になりたい・・・・
自分にない物に・・・・
ないものねだり・・・・
だが、ネクストノイド ハイパービューカーに改造後 コンプレックス(劣等感)であった高身長が、逆に、人類史上最強の世紀の絶世の美貌と、スタイルに結び付いたのは、本人に取って、どう感じたのか?
それらを手に入れても 決してリンの心を満たされる事がなかった。
信頼出来る友人と打ち解けあう・・・・ 余り経験の少ないリンには、やはり部隊を指揮すると言う立場は、荷が重いと言わざる得なかった。
ハイパービューカーに改造後 周囲からは、ちやほやされ、少しでもリンの気を引こうとするイエスマンばかり。
その為 人心把握術など意味を良く理解していなかった。
上位モデルのデストロ、最上位のアピリムなどと違い、テレパシーの送受信能力はあっても マインドコントロール(精神支配)能力もない。
部隊の指揮官としての戦術眼 状況を瞬時に把握し、適所適材に兵を動かす事が、余りにも稚拙であった。
その点をキャラン(浩司)に突かれた。
空中で、圧倒的多数を武器に、完全包囲網を引きながら うまく兵を連動させられず、動きが早く 戦場での独特の匂いのかぎ分けの鋭い 決して努力だけでは身につかない天分の才に優れたキャラン(浩司)1人に、分断 各個撃破されてしまった。
リンもキャラン(浩司)同様 単独行動の方が、その能力を発揮するタイプでもあった。
持ち合わせているタイプの違いであり 上に立つリーダーとしての資質があるか、ないかで、上下に分ける事は、無意味でしかない。
個性の違い・・・

 指揮官としての能力は、低いものの個としての戦闘能力は、グロテノスの中では、最強。
率いる部隊を 瞬殺された。 だがここで引き下がり自らの敗北を認める理由にはいかない。
完全なコントロール化に置けない 危険なAbsolute Area( (絶対領域)には、入れない。 だがその手前の領域まで、高めればチャンスがある そう踏むリン。
不敵な笑みを浮かべ 額のネクスタルのエネルギーを集中 高める。
全身から 赤い光が発する。

 「やめろー リン」
その動きに対応 キャラン(浩司)は叫ぶ。
また あの時リン そして、あの妙子の悪夢が、脳裏を過る。
あれは、危険。
ネクスタルが、自我に目覚め その肉体を支配し 暴走する。 Absolute Area( (絶対領域)
未だそのプロセスは、全くの謎。
だが、その領域は、甘美な麻薬 無限とも思える強大なエネルギーを無尽蔵に得られる。
ちょっと、遊びの度が過ぎたか・・・・? ここまで、リンを追い詰める必要がなかった・・・・? 色々後悔の念が過る。
先に戦闘不能状態に、しておくべきだった・・・・・ など。
漠然とだが、兎に角やりにくい相手 変な苦手意識を持っていた。
過去何度も女性グロテノスを その手にかけている。
例え相手が女性であろうと、向かってくる敵に、差別をしなかった。
前回 何とか食い止めるが出来た? しかし同じ状況に陥ったあの妙子は、救えなかった。
止めを刺す以外・・・・
出来る限り無用な殺しを避けたい思惑がある。
戦争そのものが、大量殺戮ゲームである事を良く理解しているにも関わらず、全くのパラドックス(矛盾)。
自らの戦略達成の為には、大量殺人を避けて通れない・・・・ はず。
大量の血を流し、生命を奪った分だけの歴史の方向性、価値のあるものなのか?
だれが、どのような権限で、それを判断し、下すのか?
常に、自問しながらここまで、戦い続けている。 今も・・・・・
戦略家に取って、最高の勝利であり 本望は、戦わずして、敵に白旗、負けを認めさせる事であるはず。
その様な考えが、脳裏を過っていた。
リンの美しい顔 表情が、歪み・・・・・ いや変化が無い。
まさか・・・・
違う どうやらコントロール下に置いている。
多分 意識的に、ある一定レベルを上限で、止めている。
だが、相当の負担を肉体に強いている。
あれ程の強大なエネルギー ハイパーグロテノスの最強タイプであるMark3ですら抗しきれないようだ。
あのままでは、短時間勝負 多分 一撃で、勝負を付けない限り 肉体が、強大なエネルギーに抗しきれず自滅。
元々ハイパーグロテノスは、一撃離脱の大量破壊タイプ。
「そこまでして・・・・ この俺を・・・」 複雑な表情を浮かべるキャラン(浩司)。
女性の心理は、男性に取って、絶対理解も、解読、解析不可能な謎。
"女心と秋の空"
女心と秋の空とは、変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だということ。 と、故事ことわざ辞典で、そう記されている。
英語では、
A woman's mind and winter wind change often.(女心と冬の風は変わりやすい)
A woman's mind is always mutable.(女はいつも移り気)
などがある。
だが、そんな事を考えている余裕などない。
強引に行くかしないなあー・・・・ そう思いつつキャラン(浩司)は、動いた。
光速に近いスピードで、動けるキャラン(浩司)。
出来る限りリンに、外傷を負わせず、ある程度戦闘能力を奪い 気絶させる方法を模索する。
立ち塞がるのなら 一気に、殺してしまえばいいのだが、リンの余りの美しさに、どうしてもためらってしまう。
リンとは、どこか? 解らないが、通じ合うものがある・・・・ そんな気がしていた。 漠然としたものであったが・・・・

 一方のリン。
「今 この瞬間に全てをかける・・・・」
キャラン(浩司)の睨んだとおり一発勝負に全てを賭けていた。
まともに、正面から挑んでもとても勝ち目の無い相手。
何度んの戦闘で、思い知らされた。
戦闘面では、勝てない だが・・・・
リンは、ネクストノイドのハイパービューカーに改造後 憧れ、待ち望んだ世紀り絶世の美貌と、スタイルなどを手に入れた。
だれもが羨む ずっと待ち望んでいた物を その手に入れた。
だか、決して心は満たされなかった。
全ての男性は、リンの前にひれ伏した。
周囲は、イエスマンばかり。
少しでも、リンの気を引こう・・・・ 嫌われない様に・・・・
この世のあらゆる高価と言われる物を手土産に、リンに近づいてくる。
だが、そんな男達の 底の浅はかさばかりが目に付いた。
高学歴、超1流のブランド企業 身体の周り着飾るだけ・・・・
だが、あの眼の前にいるキャラン(浩司)だけは、全く別だった。
確かに、リンの美貌には、眼が眩んでいる・・・・ それは間違いない。
だが、決して、ひれ伏せない。
リンを年齢の離れた子供、年下のやんちゃなお転婆娘・・・・ みたいに見下すだけ・・・・
まともに相手にしていない。
男としては、身長173cm 平均的中肉中背と、とりえのない平凡なスタイル。 ルックスも同様 年齢相応の平凡なルックス 決して、ハンサム、イケメンなどの基準に当てはまらない。
性格に至っては、はっきりと言って、性格破綻、壊滅的、修復不能、
そんなカスにもならない男が、色目を使い 甘い囁きなどを使っても 決して媚びいらない。
これだけの人類史上最強の美女と呼ばれる私 リンに対して。
それどころか、あのキャラン(浩司)には、私が長年求め やまなかった 小柄で、華奢ながらスタイルが良く ルックスも 決して美人ではなかったが、愛らしい、可愛い みなっちと呼ばれる彼女がいる。
良くあんな程度のレベルの男に・・・・ と言う思いもある。
キャラン(浩司)の眼には、あのみなっちと呼ばれる彼女以外 全く映っていない。
あらゆる方法を駆使しても 決して、私を見ようとしない。
バカにし、からかうだけ。
男と女 自分を夢中にさせる事が、勝負の勝利。
この面だけは、決してヤツ キャラン(浩司)に負けたくない。
私を夢中にさせてやる・・・・・
だが、今はその状況でない。
恋愛ごっこの勝負ではない。
生きるか? 死ぬか? 生死を賭けた勝負。
正面から戦う 力で相手をねじ伏せる。
単純だが、最も効果的な方法。

 素早く動くキャラン(浩司)。 さすがの新型 対キャラン(浩司)用に開発されたハイパービューカーMark3のリンをもってしても その動き速すぎて、とても眼にさえ負えない。
このスピード見切る事が出来、対応出来るのは、上位モデルのデストロと、最上位モデルのアピリムしかいないだろう。
だが、リンには、秘策があった。 その為のエネルギー限界まで高めた。
その一瞬に、全てを賭ける。

 だが、その秘策も用いられる前に、直ぐに勝負が付けらてしまった。
あっと言う間の出来事であった。 それもあっさりと・・・・
全くのケタ違いの戦闘能力。 本来持つポテンシャルの違い。
女・・・・・ ただそれだけの理由で、対等な相手とすら見られず、ただからかわれていただけ・・・・
薄れゆく意識の中で思った。
動いた・・・・ と思った瞬間 キャラン(浩司)の姿が見えなくなった 何度も見ている亜光速と思われる異常な程のスピード これは、想定済み。
だが、攻撃に移る前 必ず僅か瞬時であるが、眼の前に実体を現す それも至近距離で、その瞬間が、唯一のチャンス 1点集中に、全エネルギーを叩き込む・・・・ はずであった。
だが、その瞬間すらなかった。
何をされたかすら解らない 既に、飛行、空中での戦闘の為に、必要な 反重力を生み出す 背中から生える2枚の美しい極彩色に輝く翅は、生え際から切り落とされている。
そして、理由は、全く解らない 自らのエネルギーで、自らを金縛りにしている様な、妙な感覚 それに伴い 意識が薄れていく・・・・
いったいどんなマジック? を使ったのか?
薄れていく意識 身体は、地上に向かって、加速しながら墜落するを感じられる。
その瞬間 何か? 妙なエネルギーに包まれ 落下スピードが、急ブレーキがかかる。
そのまま ゆっくりと、地上へと 幼い頃 親に、やさしくベッドの上に寝かされる子供の様に 地上に下ろされる。
少し離れた場所に、キャラン(浩司)の姿が見える。
全身で、大きく呼吸を繰り返している。
見た事のない光景。
膨大なエネルギーを一気に使用してしまったのだろうか?
確か、キャラン(浩司)には、超能力の1種 サイコキネシス(念動力)を持ち合わせている可能性が、指摘されていた。
確かに、過去いくつかの戦闘時に置いて、そのような場面が、いくつかの映像記録、目撃などに残されている。
周囲の物体などを 手にも触れず、自由に動かしていた。
全く未解明 謎に包まれているレジェンスと言うある種のエネルギーと融合し驚異の特殊能力を持ちえたと推測されている。
今は、服に隠され見えないが、首からぶら下げられているペンダント あれが、レジェンスと呼ばれるエネルギーの供給源。
どのようなプロセスで、入手、融合したのか?
全て謎に包まれている。
エルとは、別のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の物と推測される 所持している数々のオーバーテクノロジーの武器類も。
情報は、全て断片的であり 信憑性も不確実。
うまく情報をコントロールしている。
それも たったの1人で・・・・
大した男かも知れない・・・・・

 だれがが近づいてくる気配を感じる。
どうやらヤツ キャラン(浩司)。
少し憐みの表情を浮かべ 砂の上に寝かされた状態のリンを見下ろす。
「リン・・・・」 静かな口調で語りかける。
「俺を狙うのは、いい加減にあきらめろ・・・・・」
リンの薄れゆく意識に、木霊する。
「それよりも それ程の美貌、スタイル もっと生かす事を考えろ それだけの美貌、スタイルなどがあれば、男などより取り見取り選びたい放題 その中に、きっと理想の男がいるはず、そいつを捕まえ女の幸せ掴めよ・・・・」
まるで、まだ世間知らずの大人になりたてを諭す様な口調。
「さらばた リン・・・・・」
「戦闘が終わるまで、そこで休んでいろ」
そう言い残し 立ち去っていく。
意識を失うリン。
理由など解らない だが、心に響く言葉であった。
"少しだけ損ね女の子は、恋におちたら・・・・"  失う意識の中で、そのフレーズだけが脳裏を過った。
リンは、恋の経験はなかった。
やがて、真黒な何も見えない、感じない世界へと、それは死の世界ではない。
リンには、解っていた。
強いエネルギーにより 意識だけが奪われただけだと・・・・・
戦闘用の変身状態であるBS(バトルスタイル)は、解除され 本来の女性の姿に戻る。

 リンをキャラン(浩司)が、殺したのではなかった。

 いったいどの様な技などを用いて、リンの意識だけを奪い 眠らせたのか?
全くの謎であった。
1つたけ解っていた事 それは、レジェンスの無限のエネルギーを利用した。
それだけであった。

 その頃 ヤーナ軍は、前方に現れた 新たな強敵に進軍を阻まれていた。
先頭に立つBP-1を装着する永井。
前方に立ち塞がったのは、アメリカ陸軍グリーンベレーに留学時代からの 生涯最強にして、最高のライバル ロイ。
だが、ロイは、あの時とは違う 現在は、グロテノスの中のでも 突然変異で、生まれた 最強のグロテノス ミューグロテノスの1種 ミューホーカー。
鷲に似たフォルムを持ち 背中には、2枚の鷲に似た翼が生えている。
空中戦での スピード、機動性、小回りなど、グロテノスとしては、ケタ違いのレベルであり 現在 あの最上位モデルにして、全アポリスの最高支配者アピリム直属の親衛隊隊長であり その名を轟かした あの伝説のパーサーカー5(ファイブ)の隊長でもあった。
永井、ロイが、お互いに、先頭に立ち睨みあう。
兵力差など、ロイの方が、圧倒的有利 その差10倍以上。
それも兵士1人1人の戦闘能力など比べ物にならないグロテノス。
難しい、奇策など用いる必要性はない。 正面からの力押しで、完勝が見えていた。
残る方法は、1つ それは、降伏勧告。
だが、永井の性格を知るロイ 決して受け入れない。
永井は、だれよりも部下を非常に大事にする男であった。
大切な部下を守りつつ 戦いに臨む。
だが、ここで率いる部下を使った組織戦など、ロイの眼中になかった。
永井と積年の決着のみ。
ロイもまた部下を非常に大事にしていた。
ムダな部下の血を流したくない。
決着は、永井とだけ。
「永井・・・・」 大声で語りかけるロイ。 もはや選択は決まっている。
「お互い 可愛い部下の血を見るのは忍びないはず・・・・」

 ロイの真意を理解する永井。
気持ちは、全く同じ。 2人だけのサシ勝負。

 数多くの戦争を その歴史の中で刻んできた人類。
その中で、ここハルマゲドンの丘の戦いの 極めて稀にみる特徴であった。
圧倒的、兵力、物量差など有利 下手な小細工無用 簡単に力で、正面からぶつかれば、瞬時に圧勝出来るアポリスであったが、何故か? 上位の者達は、その有利差を あえて放棄し 個々の戦闘に、異常なまでの執着を見せていた。
近代戦は、全ての総合力を用いた組織戦であるはずなのに、あえて無視 個々のライバル関係の者に対して、異常なまでの個人戦による決着を強く望んでいた。
どちらが、より強いか? いやより弱いのか?
もしこの戦闘を第3者の眼で見るならば、あえてムダな出血を強いる 無意味で、無様な消耗戦をあえてアポリスが自ら望んで様にしか見えない。
自ら墓穴を掘っている・・・・・
個々の戦いなど無視し 戦略上の勝利を収めるのが、戦争の基本であるはず・・・・・
用意周到に準備した大軍を宝の持ち腐れの様に扱い、最も愚劣な逐次投入の愚を犯す。
個々の戦闘に置いては、稀に見る名勝負が繰り広げられる。
これから始まる永井と、ロイの戦いもそうである。
ロイが、指揮する兵力を一気に、ヤーナ軍にぶつければ、瞬時に圧勝する。
残るは、BP-1を装着する永井1人。
BP-1を装着する永井1人だけ、生き残っても戦略上何ら意味を持たない。
ヤーナ 完全壊滅。
持久戦は無い 兵士の補充、交代要員など皆無 前進のみの片道キップ 全くの無謀な戦い。
そんなヤーナに、歩調を合わせていた。
個々の戦いに、重点が置かれた理由には、アポリスの主力で生体兵器グロテノスの存在があった。
1体で、巨大なハードウェアーとしての兵器に相当する戦闘能力を有している。
最新のハイテク兵器など、問題外の戦闘能力。
更に、その上位モデルのデストロ、最上位のアピリム。
デストロ、アピリムなど あの強力な生体兵器グロテノスなど、比較にならない程 ケタ違いの戦闘能力を有している。
瞬時に、数千、数万のグロテノスを殲滅出来る程だ。
これら全ては、かって我々人類が、神々などと呼称したエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外生命体)が、今から1万2000年程前まで この地球に、未だ目的が良くわからない ただ我々人類のDNA、RNAなどの遺伝子を人工的操作 新たな兵器としての生体兵器を生み出す為の実験も その1つであった。
そのエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外生命体)が、残したオーバーテクノロジーの1つであった。
同時に、残されたオーバーテクノロジーである エル自身が装着していた目的別に装着していたプロテクター その中で、戦闘用に、特化したBP(バトルプロテクター)。
それを狙っていたアポリス。
だが、敵対するヤーナによって、奪取され ヤーナ最高司令官の永井、評議員のピエールが、装着した。
BP(バトルプロテクター)の特徴の1つは、装着生命体の戦闘能力をケタ違いに高める特徴があり 装着生命体の本来のポテンシャル 戦闘能力が、高ければ、高い程 より強力な戦闘能力を発揮する特性を備えていた。
更に、自らの野望の為 ヤーナから自らの勢力を引き連れ離脱したピエールは、更に、BPバトルプロテクター)の戦闘能力をケタ違いにパワーアップさせる 究極のBPバトルプロテクター)と呼ぶべき GGP(グレート、ゴッド、プロテクター)までも入手 自ら装着するに至っていた。
これら全てが、エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外生命体)が、残したオーバーテクノロジーの1部である。
その為 敵の前線指揮を知る将官クラスによるが、変に組織戦で、大量の味方、部下の出血を強いるよりも 自ら先に、敵の強大な戦闘能力を持つ者を倒し、残った残党兵力を処理する方が、より効率的であった為である。
味方、部下の兵力、戦力消耗を 最小限に抑える為にも 余りにも個としての戦闘能力の差が、極端にあり過ぎた為でもあった。
そして、何よりも忘れてならないのは、キャラン(浩司)の存在であった。
エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外生命体)が、残したオーバーテクノロジーとは、全く別物 レジェンスと呼ばれる 驚異のエネルギー体と融合 本来持ちえる戦闘能力は、全く上限値がない。
レジェンスと融合した生命体は、この宇宙すら思うがままに、支配出来る・・・・ とさえ考えられていた。
しかし現在この地球上では、融合者であるキャラン(浩司)自身を含めて。そのベールに隠されている秘密の1部すら知る者は皆無。
何よりも、融合者自身 その強力なエネルギーをコントロール不能。

 余りにも、ケタ違いの戦闘能力を持つ者が、少数ながら存在し、互いにライバル関係にあった。
その為 個対個の個人戦に、重点を置いた戦闘が、繰り広げられる結果を生んだ。
余りにも、ケタ違いの戦闘能力を持つ者さえ倒してしまえば、残りは烏合の衆 簡単に殲滅出来る為でもあった。
"いかに効率よく味方を殺すか・・・・" 戦略の基本観点から見れば、あえて邪道とは、否定出来ない側面もあった。
無駄な戦力消耗を避ける・・・・・

 互いに、相手の動きを警戒しつつ睨みあう。
砂漠の独特の乾いた風が、小さな竜巻を上げる。
互いに、戦闘態勢に入る。
周囲の部下達を 大きく後退させる。
「ブラウン 後を頼む」 BP-1を装着する永井は、側近であり副司令官でもあり、グリーンベレー時代からの親友のブラウンに一声かける。
少し笑みを浮かべながら心情を察するブラウン。
"私" を捨てここまで、戦ってきた永井に対する思いやりでもあった。
「マーク議長 もしもの時は、ブラウンに命じて、全軍撤退を・・・・」
大きく頷くマークだが、内心その意志を感じ取る事の出来ない表情であった。
もしも・・・・ の時があれば、可愛い部下は、見殺しにするなど出来ない、撤退させるつもりでいる。
だが、自身は、撤退する気持ちがない。
それに、上空の少し離れた場所で、1人戦闘に入っていた 何よりも期待している浩司が、どうやら勝利し、こちらへ再合流する。
もしもの時は、例え浩司と、2人でも前進する。 覚悟は出来ている。
それに、側近の永井は、今まで、個としての戦闘は、不敗 負けるなど考えられない。
ブラウンに従い、部下の兵士と共に、大きく後退する。

 目の前には、終生の最大のライバル、シルバーに光輝く BP(バトルプロテクタ)を装着する永井。
本来は、飛行タイプでありながにも地上戦でも 圧倒的戦闘能力を持つ ミューホーカー・ロイ。
本来持つ戦闘スペック、ポンテシャルは、ミューグロテノスの方が上。
あのピエールが、更に装着するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)であれば、多分勝ち目はない。
だが、永井は、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を所持していない。
勝機は、十分・・・・ なのはず。
だが、永井は、どんな不利な状況にも 果敢に立ち向かい いつも最終的勝利をその手にしてきた。
ロイとの戦闘だけが、未だに引き分け続き。
今度こそ、最後の決着が、自身の勝利で付けられる・・・・ はず。
だが、何とも言えない漠然とした不安感がぬぐえない。
相手は、永井 ちょっとした油断が、命とりになる。
気を引き締めるミューホーカー・ロイ。

 この時点 ミューホーカー・ロイは、BP(バトルプロテクター)の戦闘スペック、ポテンシャルばかりに、気を捕らわれていた。
最も重要な特性を忘れていた。
BP(バトルプロテクター)の 本来持つ戦闘スペック、ポテンシャルは、装着する生命体の戦闘能力によって、大きく左右される。
戦闘能力が、高ければ、高い程、その本来持つ戦闘スペック、ポテンシャルは、それに対応し高まる・・・・ と言う点であった。
装着生命体の本来持つ戦闘スペック、ポテンシャルが、高ければ、ピエールが、更に装着している、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)をも上回る。
装着前の永井の戦闘能力は、ズバ抜けて高い。 多分歴史上最強の男の1人。

 後方に後退 ワクワク顔で見守るブラウン。
永井と、ロイ そして、ブラウン アメリカ合衆国 陸軍特殊部隊グリーベレー時代の戦友。
永井と、ロイのライバル関係を だれよりも良く知っていた。
模擬戦闘訓練 武器を持たず素手だけ いつもあの2人は、周囲の隊員より 圧倒的に、優れていた。
2人の対決は、いつも部隊長などの上官によるストップ 引き分け。 決して、決着が付かなかった。
留学期間を終え 永井が、日本へ帰国する数日前 2人は、勝負を決める為 サシで、絶対禁止されているリンチ(私闘)まで行った。
その時のアンパイア(審判)は、ブラウン 結局 上官に見つかり そのまま3人揃って、営巣入り。
懐かしい思い出が、次々と蘇ってくる。
他人から見れば、どう思われるか? 解らないが、3人の青春。
永井は、東洋の各種武道、拳法などの達人 そして、ロイは、西洋の格闘技、戦闘の達人。
東洋、西洋 どちらが優れているなど、全く意味を持たない 永井と、ロイ どちらが、より武道、拳法などを極めているか? それで、勝負が決まる。

 永井が、構えに入った。
BP-1を装着こそしているが、動きは、軽るい まるで何も装着していないように感じる・・・・ いやその動きですらBP-1の能力により高められている。
まるで、ボクシングのボクサーの様に、華麗なフットワーク。

 「永井めー 最初から本気モード・・・・」 にやりと笑うロイ。
永井の極める東洋の武道、拳法の中で、最も得意としている あの香港の生んだ最強のムービースーター 伝説のブルース・リーが編み出した実戦拳法 截拳道(ジークンドー) 各種武道、拳法、格闘技のエッセンス、長所などが取り入れ 型、枠などにはまらない自由型。

 ロイも背中に生えている2枚の翼を体内に格納。
地上戦では、翼は邪魔になる。
それに、永井の意図が読める。
下らない武器など使用せず、肉弾戦の勝負。
己の力と、技の勝負。
これぞ、本当の男の戦い。
思わず武者震い。
前進から紅蓮の炎が、わき上がる。
これ程熱くさせる相手 それは永井以外いない。
生涯 最良にして、最強のライバル。
ロイも構えに入る 両目を閉じ 静かに全く身動きしない。
動の永井に対して、静の構え 全く動かない。
だが、全く付け入る隙もない。
そのはず、ロイもただ西洋の各種武道、格闘技だけを極めていない 東洋の各種武道、拳法にも精通している。
そして何よりも大事な その骨幹をなす精神面 つまり心も・・・・
真の強さは、心技体 永井、ロイの2人に共通する本当の強さ。 目指すもの。
そして、それを手に入れるには、決して、避けて通る事の出来ない、乗り越えなければならない相手。
生涯 最強の強敵(とも)。

 「お帰り 浩司殿・・・・」
「無事で何よりじゃー」
うれしそうに、笑みを浮かべるマーク。
上空の戦闘に臨み そのまま何ら音信もなかった。
心配こそしていたが、負け=戦死 はない。 そういつも思っている。
上空からゆっくり、マークの傍に着地する浩司。
いつもであるが、憮然とした余り虫の居所が良くない表情。
それを知っているマーク。
浩司は、命がけの戦闘を 単なる大量殺戮としか思っていない。
「ところで、マークじいさん・・・・」
現在の状況を瞬時把握していた。
永井と、ロイが、遂に最終激突 この戦い何人(なんびとょ)たりとも神聖にして、不可侵の対決に、手出し無用 この戦いは2人だれのもの・・・・・
下らない軍事美学、ロマンチズム。
だが、男と男が、そのプライトの全てを掛けた戦い・・・・
この対決の決着には、非常に興味がある。
だが、最後まで、決着を見る事は出来ないだろう。
戦略家としての資質を育む浩司 ここは、ヤーナに任せ 自ら前進すべきか・・・・?
まだ3体のデストロ、そして、アピリムとの対決が残っている。
よくある 雑魚は、任せて 本命との戦いに臨む・・・・
多分 今 その時なのだろう・・・と思う。
同時に、ここにいるかってのなっかしい、生死を共にしたかけがえのない戦友の見殺しを意味する。
浩司が、アピリムとの直接対決への道を切り開く為 ここまで、自らの生命を犠牲にして、血で塗り固め舗装した血路を切り開いてくれた。
多分 かなりの戦死者が出ているはず。
血を流し死んでいった者の尊い生命と、血をムダにすべきでは無いはず・・・・
そんな事を考えている浩司。
その気持ちを察する様 マークは、語りかける。
「浩司殿 ここは、わしらに任せ 前進じゃ・・・・」
「ここは、わしらが、生命に賭けて死守する」
マークの言葉に、不安な表情を浮かべる浩司。
「心配無用じゃ」 微笑むマーク。
もうこれ以上 犠牲者を出したくない。
悩みながらも 少し離れた場所を見つめる。
まさに文字通り 死闘。
永井と、ロイの激しい攻防が、繰り広げられていた。
どちらも譲らず、はたして、どちらの頭上に、勝利の女神が微笑むのか?

 不意に背中を押される。
2人 それも大人の男の大きな手。
後ろを振り向く。
そこには、評議員で、マークの側近のスティーブと、永井の副官で、副司令官でもブラウンの2人。
「何をぐずぐずしているのですか? 和田評議員待遇」
「そうですよ マーク議長の言うとおり ここは、我々に任せて・・・・」
何と表現すべきか? いい言葉が見つからない 何とも言えない笑みを浮かべている。
「ここまで、流してきた生命と、血 ムダにするのですか?」
やや強い口調で言うブラウン。
何人もの可愛い部下の死に様を見てきた男の表情を浮かべる。
流してきた生命と、血 その代償は、決して計る事の出来ない大きさ。
その計る事の出来ない大きさに似あう物を 今 求められている。
ここは、心を鬼にして、この気持ちの為に、前進すべき所であるが、最も根本的、本質を 見誤っている・・・・
そう反論したくなる。
これは、俺個人が、始めた戦い。
勝手に、参戦した部外者は・・・・ そう言いたい気分であった。
さっさと、撤収、撤退しろ!! そう言いたい気分であった。
だが、男が、その生命を掛けた友情 それに報いるのも本筋。
下らない軍事美学、ロマンチズムに、感化、汚染されてしまったのか・・・・自身呆れて思う浩司。
両目を閉じる浩司 どうやらある決論に達した。
そのままだれにも、盗聴不可能なテレパシーで、待機しているノルンとの通信を始める。
「ノルン」
「はいマスター」
「これから俺は、単独で、アピリムの元に向かい勝負を挑む そこでだ、今 この場所での戦闘 全て把握しているな」
「はい この戦闘エリア全て、把握しています」
「それで、頼みだが」「はいマスター」
「永井と、ロイの戦い どちらが勝つにせよ 決着がつき次第 ここにいる昔の仲間全員 撤収させたい その為 後方への退却路 その支援の為 残りポッパー全機による 対地攻撃を」
「はい かしこまりました マスターのご命令のままに、・・・・ と言いたい所てすが、それでは、マスターの支援が・・・・」
不安な音色で返答するノルン。
元々 マスターであるキャラン(浩司)が、たった1人で、戦うのを前提に、あらゆる戦術シュミレーションをし プラン(作戦)を 緻密に練った。
マスターであるキャラン(浩司1人では、これだけの多数の敵と戦うには、無理。
その為の 対地支援攻撃は、欠かせない。
ノルン自身のミスで、予備機を除くホッパーは、全て撃墜された。
今 地球衛星軌道上 静止軌道上にある数機のホッパーは、最後の予備機 虎の子の存在。
それでも、現在制宙権を確保している。
現在 地球衛星軌道上にある 軍事用人工衛星は、ホッパーのみ アポリスの軍事用人工衛星は、全てホッパーによって、撃墜した。
残っているアポリスの人工衛星は、純粋な民間用 主に、気象、通信などだけだ。
生活には、欠かせないインフラン。
確かに、軍事用に転用可能だが、軍事用に比べれば、性能は劣る。
それに、アポリス側は、この残り数機のホッパーの存在を知らないはず・・・
色々な考えが、ノルンに交錯する。
レグと呼ばれたEBE'(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の数々のオーバーテクノロジーの最高傑作 思考、感情などを持つスーパーコンピューター。
「俺の事は、心配するな」
ノルンの気持ちを察する様に、マスターであるキャラン(浩司)からのテレパシーが届く。
「俺は、レジェンスの融合者だ、その気になれば、これだけの兵力 無視して突破 直接 アピリムとの対決も可能だぜ・・・・」
そう マスターの言う通り・・・・ ノルンは、思った。
マスターは、亜光速のスピードを出せる それに、テレポーテーションも出来る。
無理して、正面の圧倒的多数の敵と戦う必要性などない。
それに何と言っても その秘めたるポテンシャルは、未だ解明されていない、未知であるが、驚異のエネルギー体であるレジェンスの融合生命体 その気にさえなれば、正面に展開する圧倒的多数の敵どころか、地球・・・・いやこの宇宙すら瞬時に消滅させられる驚異のホテンシャル・エネルギーを持つ。
だが、反面 全くエネルギーのコントロール不能の欠点も・・・・
だがここは、マスターの信じ、マスターの命令通りに。

 永井と、ロイ 互いに1歩も引かない激突が続いていた。
永井は、パワードスーツの1種 BP(バトルプロテクター)を 装着しており ロイは、グロテノスの1種 ミューグロテノスに改造されていた。
だが、搭載されている武器類は、一切使用せず、手、足を用いて 武道、拳法などの技を駆使 肉弾戦を挑んでいた。
パワーでは、ロイが優勢であったが、゜技の切れなどは、永井が優勢を保っていた。
「さすがー 我が終生のライバル・・・・」 少し呼吸を乱した声で、眼の前のBP-1を見つめる。
ロイ同様 BP(バトルプロテクター)を装着している永井もまた内部で同様呼吸を乱していた。
これ程 BP(バトルプロテクター)を装着した状態で、呼吸を乱すのは初めての経験。
このままでは・・・・。
互いが、同じ思いで、認識する。
全く異なる形態であったが、同じ かって我々が神々と呼称したエルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)の生みだしたオーバーテクノロジーの産物 兵器としての基本理念は同じ。
つまり同じ弱点を持つ。
それは、エネルギーを供給し、コントロール機能も備えた BP(バトルプロテクター)では、レアスタル、ネクストノイドは、ネクスタルと呼ばれる 額にある物体。
数少ないウィークポイント(弱点)。
あの部分を破壊すれば、勝利。
狙いは、定まっている。
この時点、互いに感じていた。 次に勝負が決まると、どちらに、勝利の女神が微笑むのか?
互いに、自身最っも得意とする武道、拳法の型に入る。
礼節かも知れない。 相手に対する最高の敬意。
この一撃で・・・・ 互いの思いが過る。
互いに、何度も死闘を繰り返してきた 拳と拳で語り合える。
全てが、永井とロイの最後の一撃に見守るよう 一瞬の間 静寂。
まるで、計った様に、同時に動く。
鋭い・・・・眼にも止まらぬスピード。
互いの必殺の間合いに入る。
同時に、鋭いパンチが、相手の額に向け放たれる。
息を飲む この戦いを見盛る観衆と化した両軍の戦闘員。
互いに、放った右ストレートパンチは、正確に額のレアスタル、ネクスタルを捉えている。
だが、粉々に砕け破損しない。
決定力不足・・・・・・?
その状態で、動きが止まっていた。
最初に異変が起きたのは、BP-1を装着する永井 少しふらついたかと思うと、崩れるように、両足を地面に砂に付ける。
その様子を見て、にやりと笑みを浮かべるロイ。
勝利を確信した表情にも見えた・・・・・ だが・・・・・
ロイの額のネクスタルに、突然 いくつもの亀裂が入る。 そのまま周囲に粉々となり飛び散る。
そのまま背中から地面に倒れるロイ。
丁度 大の字の様に倒れるロイ。
それを見ながら ゆっくりと、かなりふらつきながら立ち上がる永井。
ロイの傍に寄る。
「どうやら 俺の負けみたいだ 後1歩踏込が足りなかった・・・・・」 何もかも達観した様に笑みを浮かべる。
そのまま頭部は、爆発する。
その様子を見つめる永井。
「・・・・・」 何も答える事が出来ない。 いや違う答えられないのかも知れない。
ロイの放った右ストレートパンチ 永井を避けきれず額のレアスタルを直撃した。
だが、ヒット直前 レアステル自身の防衛機能が作動 強力なシールドを発生させた。
だが、ロイの放った右ストレートパンチは、余りの威力 完全に防ぐ事が出来ず、相当のダメージを受けた。
瞬時の自己修復能力により 機能は、完全に復帰した。
だが、身体にかなりのダメージを受け 最初少しふらついた。
僅かな性能の差が、勝敗を決した。
自他ともに認める終生の最大のライバル。
この性能の差がなければ、やはり互角。
それよりももっと重要なものがあった。
失ったものの大きさを感じていたいたのかも知れない。
互いに、越えなければならない最大の障壁 だが、互いに、切磋琢磨しながら、互いに高め合う最大のライバル。
複雑な気持ちが、永井の中で、交錯する。
ロイの頭部を失った死体の横に膝まづく。
両手を胸の上に組ませる。
立ち上がる。
直立不動の態勢で、敬礼を施す。
永井のロイに対する 最高の敬意。

 同じ頃 進撃を開始したピエール率いる神々の正義軍。
その前に、布陣 立ち塞がる デュークと、ギル その配下の将兵。
戦力比は、圧倒的デューク、ギルの率いる部隊が有利。 大幅に数を上回っている。
「デューク ここは、わしに任せるのじゅ」
突然言い出すギル。
浮かぬ表情を浮かべるデューク。
せっかくおいしいターゲット(獲物)を目の前にして、引け そんな話はない。
「どうやら キャラン(浩司)のやつ 1人布陣した陣形を素通り そのままアピリム様の元へ向かったようじゃ 止められぬは、お主しかおらんかも知れぬ」
「それに、お前さんと、今 唯一アピリム様の護衛にあたらせておるピリーには、対キャラン(浩司)用の特殊改造を施した・・・・」
にゃりと笑うデューク。
眼の前のピエールなど比較すらならない 最高のターゲット(獲物) その瞳は、まさに、野生のターゲット(獲物)を狙うよう肉食系動物の様に鋭く光る。
デストロのBS(バトルスタイル)に、変身してもキャラン(浩司)に勝ち目はない。
そこで、この戦いの前に、デュークと、ビリーの2体だけに、対キャラン(浩司)用の特殊改造を施した。
元々デュークと、ビリー共に、デストロとしても 抜きんでた素体ベース その戦闘能力もケタ外れ。
かって、裏切り者のあの龍(ロン)に、ビリーは、BS(バトルスタイル)に変身しないまま 、BS(バトルスタイル)に変身したデストロの1体である龍(ロン)を圧倒してしまった。
それを 更に対キャラン(浩司)用に、特殊な改造を施した。
ネクストノイドへの改造の第1人者であるDr,ギル 自ら最高傑作と称する程の出来栄えであった。
秘めたポンシャルは、推測だが、アピリムの変身前を超えるレベル・・・・
あのキャラン(浩司)でも 簡単に勝てるとは思えない。
元々ネクストノイドは、素体ベースの戦闘能力が、高ければ。高い程 BS(バトルスタイル)に変身後の戦闘能力は、更に高まる特性を持っている。
2体同時にかかれば・・・・ と思いもあるが、間違いなく それはあり得ないと、断言出来る。
キャラン(浩司)との対決する時 コイントスで、どちらが、最初に戦うか? 決めるだろう・・・・ あの2体の性格 1対1以外の戦い以外眼中にない。
だが、それもよかろう・・・・ ギルは、デュークを見つめながら思った。
「ここは、任せたぞギル爺」
そう言い残し配下の部隊を引き連れ撤収を開始する。
「やはり ピエールなどの小物より 最高の大物キャラン(浩司)を あのビリーに取られたくないかろうー」 微笑みを浮かべ思うギル。
「さてとー 小物ながらやっかい相手 G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)と、呼称しおる エルの残した最強の戦闘用PS(パワードスーツ)を 装着したピエールと、エルの残したオーバーテクノロジーの1部 我らネクストノイドとは、別形態の生体兵器バトロイドの部隊 自ら神々の正義軍などとほざきおる・・・・ さてー どの様に料理しょうかのうー」
薄笑いを浮かべ 正面に展開する敵軍を見つめる。
傘下の兵力差 あくまでも生体兵器としての兵士の個人の戦闘能力を基準としていない あくまでも数 数の上では、10倍以上 圧倒的有利。
グロテノスとのバトロイド 戦闘能力は、ややバトロイドの方が上 だが、数の上で、はるかに、こちらが上回る戦力を持つ 尚且つ グロテノスは、各戦闘に特化した多種多様な形態をもっが、バトロイドは、全て統一仕様 これで、ピエールどのように戦う・・・・ 状況を把握するギル。
ギルは、アポリスの中で、最も情報収集、解析能力に優れており 冷徹、冷酷な戦略家の側面を持ち合わせている。

 対するピエール。
「なめたまねを・・・・」 2重のマスクの下 生の表情を伺い知る事は出来ないが、間違いなく穏やかでない苦虫を潰した表情を浮かべているだろう。
正面に、布陣 展開していたデュークと、その傘下の部隊は、素早く ここから撤収していった。
正面の敵の数は、ほぼ半減 喜ぶべき事であるはずなのだが、それでも まだ約10倍以上の敵が、布陣している。
そして、敵の部隊の指揮を執るのは、あのギル。
ギル1体で、勝てると踏んでの行動なのは、だれの眼にも明らか。
「この私もなめられたものだ・・・・」 独り言を呟くピエール。
約10倍もの戦力差など意に反していない。
自らを信仰する神々によって選ばれたエージェント(代理人)であり 旧約、新約両聖書に出てくる イスラエル(ヘブライ人)の民をエジプトから脱出させたエクソダス(出エジプト記)のM、そして神々の子と崇める大工の息子Yなどの 歴代の偉大な預言者と称される者達と、同等、同列の預言者だと言う強い自負を持っていた。
迷える子羊達を 神々の教えに導かせる羊飼いであると・・・・
神々に選ばれし自身が、敗北などあり得ない 必ず、神々のご加護によって、勝利は、確約されている・・・・ そう思っていた。
もうすぐ神々が、再びこの地球に、再降臨なされる その為の地ならし 神々に敵対したネクストノイド 特に、アピリムの処分 それが、ピエールに課された聖なる神聖にして不可侵な契約であり 神々へ進化の途上にあるピエール自身の試練 そう思っていた。
神々が、再びこの地球に、再降臨されたその日から始まる まさにユートピア(理想郷)と言える 神々によって、支配された秩序正しい社会。  そうこれこそミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)の始まり。
神々の意思によって、統一された理想の社会が・・・・
全ての人間が、神々の意思と同化、統一された精神体の1部となり 全く同じように考え 同じように感じ 同じ価値観を持つようになる、これこそ人間の種としての進化が達成され 神々への進化の道が開かれる。
ピエールの目指すものが、そこにあった。
浩司に言わせれば、宗教などと呼称する物全てに当てはまる 最も根幹をなす本質的、典型的 神々などと呼称する物に選ばれた選民思想などと言う物の勝手な思いあがり・・・と、痛烈に、たっぷりの激辛スパイスの皮肉を込めて、全否定、批判する。
自ら悩み、考える・・・・ など全てを放棄し、神々などと呼称する物に委ね、依存する・・・・
まさに、全ての宗教の本質の1つ メシア(救世主)信仰。 別名 究極の他力本願。
自らの自由な思考の放棄。
史上最低にして、最悪の 最も愚弄、愚劣な精神的全体主義の極致。
まさに人間性そのものの本質の放棄。
どんな事でも、自分で悩み、考える・・・・ これこそ人間が、人間である所以の1つであるはず。

 この時点 キャラン(浩司)も、アピリムも かって我々人類が神々などと呼称した エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、再びこの地球に、戻ってきている途中とは、全く知る由もなかった。
もし その事実に気付いたならば、この戦争 ここハルマゲドンでの戦いは、全く違った方向に進んでいただろう・・・・ 戦争、戦場での たら・・・・ れば・・・ などは禁句であるが・・・・
この事実を知っていたのは、アピリム・フォース(4番目)でもあるピエールだけであった。

 そして、ノルンもこの時点全く感知していなかった。
マスターであるキャラン(浩司)の地球上での戦闘を全面支援態勢に入っており 頼みスーパーステルス製人工衛星ホッパーも 残り数機 全て地球上 マスターであるキャラン(浩司)が、戦闘を行っているハルマゲドンの丘の戦闘エリアを集中監視しており 地球外 この太陽系内に監視を怠っていたのではなかったが、主に、太陽風や、恒星風などの 太陽や、この銀河系内に無数に存在する恒星から放射されている極めて高温で、電離したプラズマ(粒子)の監視、無数にこの太陽系内を飛び交う、彗星などの監視に重点を置いていた ホッパー自体に影響を与える危険な物である。
監視対象は、海王星 公転軌道内に限定されており 現時点まで、大小関わらず、ワープアウト直前に発生するワームホール発生に伴う重力変動は、観測されていなかった。

 この時点 我々の住む銀河系外 遥彼方 数億光年もの先にある 別の超銀河団にある別の銀河系内で、この地球を目指し 3次元ワームホールを利用したワープインの準備を整えつつあった 様々なタイプ、それぞれの目的に合わせて建造されたjマザーシップ(母艦)とも思われる超大型FS(フライングソーサ=円盤型)のUFOやラグビーボール型UFOが集結していた。 その中心にはアステロイドベルトもしくは、メインベルトとも呼ばれる小惑星帯に存在する小惑星規模の大きさを誇る超大型球体タイプのUFOが1隻 集結した大船団とであった。
だが、大船団と呼ぶより それらUFOの外観には、大小各種仕様の 砲門、砲台、砲身が整然と、その威容を誇示するかのように、装備されており どう見ても平和目的には思えない。
まさに、戦争用に建造された宇宙戦艦、宇宙空母の大集団 いや大艦隊と呼ぶにふさわしい陣容の存在に気付くなど、不可能であった。
その数 どんなに少なく見積もって、10万隻を超えている。
更に、小型のFS(フライングソーサ=円盤型)のUFOが、大艦隊の周囲に、整然と艦列を組んでいる。
この小型のFS(フライングソーサ=円盤型)のUFOの数まで含んだら 推定100万隻を超えているだろう。
超大型FS(フライングソーサ=円盤型)のUFOでも 最低直径は、1Kmを超える巨大さ。
ラグビーボール型UFOfでは、全長10kmを超えており、球体型に至っては、直径1000kmを超えていた。
まさに、想像を絶する。
1隻の超大型FS(フライングソーサ=円盤型)のUFOでも 搭載されている各種兵器、武器類、総火力などの戦闘能力は、アポリスによる13日間戦争前の 全地球の軍事力を行使しても全く歯が立たないであろう。
余りにもテクノロジーの差が、あり過ぎる。
それに支えられている軍事力の差は、比較すらならない。
そして、このUFOの大艦隊は、かって我々が、神々などと呼称したエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)であり 地球標準時間の観念で、約1万2000年ぶりの地球来訪である事も。
そして、その目的は?
何故? その事を ピエールだけが知りえていたのか?
そして、この時点 ある意味で、浩司の無事ばかりを 素朴であったが、ひたすら自ら信仰する神々に祈りを捧げていたみなったの 別の意味での願いが、通じたのかも知れない。
全く望んでいない、全く想像すら出来ない形として。
それが、浩司と、みなっちの 更に過酷な運命に導く事になる。

 傘下の部隊に戦闘態勢の布陣を組ませ タイミングを見計らう G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)。
余りにも自信に満ちた態度。
それを少し不審に思うギル。
「まだ 何か? 隠し玉でも・・・・」 周囲に聞かれないように内心呟くギル。
余りにも 尊大とも思える態度 何か? とてつもない新兵器でも・・・・ 思わず思ってしまう。
戦場での指揮官同士の 心理戦による駆け引き 戦術上 最も有効的な方法の1つである事を 良くわきまえている。
「あの態度は、不利な状況を隠す為 心理的 罠?」
そう自身に言い聞かせる。
約10倍以上の兵力差 少々の新兵器など、数の上の有利差を覆す事が、出来ないのは、戦術上の常識でもあった。
「核兵器・・・・」
だが、全世界の核兵器は、全てアポリスの手により 完全廃棄された。
それに、核兵器の使用は、自ら率いるバトロイド兵にも多大な影響を及ぼす。
今 この場で使用すれば、下手すれば、自滅すらあり得る。
「これも あやつの心理戦か・・・・」
疑っては、キリがない。
相手を疑わせる事にこそ 心理戦の意味がある。
「判断を鈍らせる気か・・・・」
そう思いつつもギルは、傘下の軍勢を3つに分け展開 半包囲網を引き圧力をかける。
正面中央と、左右両翼。
丁度正三角形の様な陣形を取り その中心部に、ピエール率いる神々の正義軍を押し込める。
正面中央の部隊は、ギル自らが指揮を執り 左右両翼は、それぞれの部隊長にある程度の指揮権を与えていた。
お互い、盗聴不可能なネクスタルを通じたテケパシー通信により 連絡を密にする。
「下らぬ 小細工を施そうと、数に物を言わせ粉砕してくれようぞ・・・・」
そう呟くギル。
数の上で、約10倍以上の戦力差 それを活かすには、正面からの力押しこそ 最も勝率の高い王道。
「策士 策に溺れる・・・・」 そう言う格言もある。
余りにも策を施し過ぎて、自ら自滅した例など無数に存在する。
薄笑いを浮かべるギル。
配下の各部隊長に、テレパシーを送り いよいよ戦闘開始。
3方向から同時に、力攻め。
数にものを言わせた戦術。 最もシンプルな戦術であったが、数の上では、約10倍以上 それを3つに部隊編成したが、それでも各部隊でも3倍以上の兵力差。

 3方向から同時に攻撃を喰らうピエール率いる神々の正義軍。
各個個別に対応するものの 数の上で圧倒的不利 統一した集団行動に取るには、有利な同一仕様のバトロイド、だが、個別に、異なる戦闘形態を持つ敵を相手には、やはり不利。
徐々に数を減らされ始める。
この状況下に置いても 両腕を組み余裕の態度で、中心部戦況を見守るG,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター) 何かを待ち望んでいるのか?
だが、今 ここに投入した戦力は、持ちうる全戦力 予備兵力など存在しない。
まるで、マジック(魔法)の様に兵力など、突然湧き出す事などあり得ない。
まだ、互いに少し距離を置いた戦い 互いに入り混じり乱戦にはなっていない。
つまるところ ギルは、約10倍もの兵力差を活かす為に、わざわざ敵中に入らず、距離を置いた戦い方を選択している。
敵中に入り 味方同士のフレンドリーファイヤー(同士討ち)を 避ける狙い。
自軍の数が多く、近接戦におけるフレンドリーファイヤー(同士討ち)の可能性が高くなる。 フレンドリーファイヤー(同士討ち)による自軍の無駄な消耗を避ける狙いであった。
「付け入る隙あり」 小さく呟くG,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)。
まずは、右斜め後方に振り向く。
不敵な態度。
同時に、 徐に右腕を上げ 右手人差し指で、天を指さす。
突如 指さした上空に、不気味な真っ黒な暗雲が立ち込め 上空を覆う。 同時に、巨大な雷鳴が何度も轟 そのソニックブーム(衝撃波)は、地面をも揺らす。
「喰らえ ゴッドサンダーホルト(神々の雷(いかずち))!!」 G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)が、叫ぶと同時に、上空に立ち込めた不気味な真っ黒な暗雲から無数の雷が、地面に落ちる。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)に搭載されている大量破壊型武器の1つ。
避ける事の出来なかった大半のグロテノス兵は、雷の直撃を浴び、瞬時に、炭化した黒焦げの死体となり 炭化した黒焦げの死体は、地面に倒れるどころか、そのまま砕け細かな灰となって、微風に乗って周囲を舞う。
ケタ違いの電気エネルギー。
「見たか 神々の偉大なるお力を」 言い放つG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
まさに、自身が、神々でもなった様な言いぐさであった。
右斜め後方から攻撃を加えていた ギル率いる右翼部隊の ほぼ90%は壊滅。
もはや戦闘部隊としての能力はない。 全滅と言っても過言はない。
続いて、左斜め後方の左翼部隊に狙いを定める。
今度は、上空を指ささず、そのまま右手人差し指を向ける。
右手人差し指の前に、突如 光の そうレインボーに輝く球体が現れ 急速拡大。

 それを見たギル それが何か? 瞬時に理解する。
同時に、左翼部隊全員に、緊急後退命令をテレパシーで下す。
「緊急後退!!」
だが、遅かった。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)から放たれたレインボーに輝く球体は、急速拡大しながら左翼部隊を内部に取り込む。
同時に、内部の高温プラズマにより 取り込まれたグロテノス全て、瞬時に灰と化する。

 「あやつ レインボー プラズマ ボールを作り出し 武器化出来るとは・・・・」
悔しい表情浮かべるギル。
瞬時に、手持ちの部隊の 約66%もの兵力を永遠に失った。
多大な損失であった。
だが、まだ約3倍以上の兵力差が、存在しているのも事実であった。
まだ圧倒的有利。
「雑魚のバトロイドは、グロテノス兵に任せ わし自らピエールを倒すしかあねまい」
残りの兵力の指揮権を一時 側近のハイパーグロテノスの1体に委譲。
「後は 任せたぞ」 そう言うと、ギル自身 G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を目掛けゆっくりと歩き出す。
ギルの動きに、合わせる様に、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の周囲を取り囲んでいた バトロイドは、大きく左右に分かれ ギルを誘うよう道を開ける。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の前に、立ち止まるギル。
顔中確かに、いくつもの深いしわが刻まれている。
推定年齢220歳を超えていると言う噂が流れている。
ネクストノイドへの改造を受ければ、その時点の外観を維持出来る。
つまり外観上の老化現象は起きない。
そして、寿命も約10倍に伸びると推測されている。
古代ギリシャの賢人を思わせる顔立ち。
そして、何よりもアピリムを除く人類最初のネクストノイドへの改造を受けた者 更に、アピリムに次ぐ地位にある8大将軍デストロの1体にして、その中心的存在。
ネクストノイドへの改造の第1人者にして、最もエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残したオーバーテクノロジーの研究者にして、精通者、古代錬金術師・・・・ など数々の肩書を持つ。
威風堂々とした態度で、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を見上げる。
全長3mを超える巨大な相手。
だが、全く怯んだ雰囲気はない。
「ピエールよ、お主の相手は、このわしが、勤めさせてもらう」
全く動じた様子もなく たんたんと言い放つ。
両腕を組んだままギルを見下ろすG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
互いに、目に見えない無数の火花が飛び散る。
同時に、額のエメラルドに輝くネクスタルが、輝きを増し光が爆発。
光は、ギルの身体をも包み込む。
光は、ギルの身体に吸い込まれるように吸収され 同時に、身体が変化。
真っ白な そう西洋の神話に出てくるユニコーン(一角獣)と、人間を掛け合わせた様な姿を現し始める。
ギルのBS(バトルスタイル) アピリムに次ぐ戦闘能力を持つデストロの1種の戦闘形態 ユニキュラー。
何と言っても、他のネクストノイドのBS(バトルスタイル)と、大きく異なる特徴を持っていた。
あのエメラルドに輝く額のネクスタルが、変形 西洋の神話に出てくるユニコーン(一角獣)と同様 先端へ行く程 細く尖った角に変形している。
それもデストロであるエメラルドに輝く。
ネクストノイドの特徴である額のネクスタル。 ただの飾りではない。 体内のDNAに組み込まれた他の生物種のDNAの1部 それを基本的コントロールする大量のナノマシーン。 更に生体兵器としてのエネルギー供給源としての4次元ワームホールを利用したエネルギーアンプ機能など、様々な機能のコントロール装置である。
それが、無防備に額とは言え、体外に露出しており 最大の弱点でもあった。
そのネクスタルが変形 更に、先端へ行く程 細く尖った角に変形している これはいったいどう言う意味があるのか?
相手に取って、弱点への攻撃が、容易になっている。
へし折るなどすれば、それまでだ。
あえて不利な状況を自ら生み出すなどあり得ない。
そこには、隠された秘密があるはず。
何と言ってもアポリス内で、最も深慮遠謀(深謀遠慮とも言う)で、冷徹にして、冷酷な戦略家としての側面も持ち合わせている。




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