LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)

 第4章 決戦 Part7


 同じ時刻 アピリムのいる本陣まで、後約100m そこで立ち止まっていた。
眼の前には、重厚な布陣の精鋭部隊 全て地上型のグロテノス。
その上をジャンプすれば、簡単に到達出来る だが、その精鋭部隊を率いるのは、8大将軍デストロの1体 あのビリー。
どうやら簡単には、問屋が卸してくれない。
前回の対決 BS(バトルスタイル)変身前のビリーであったが、諸事情か゜あり引き分け。
確かに手強い相手。
元々ストリートファイター それも多分 間違いなく最強の。
世界中のストリートファイターを総なめした。
ビリーを見ながら1度 小さくため息を付くキャラン(浩司)。
少し呆れた表情を浮かべる。
どうやら避けて通れそうにない。

 挑発的ポーズを取るビリー。
ようやく順番が回ってきた そう思いがある。
最初から俺に戦わせれば、ちょろいもの・・・・ その様な思いがあった。
やつ キャラン(浩司)を倒せのは、この俺様だけ・・・・ そう思いがある。
お節介な ギルのじじいもいなねえー。
いつも俺のターゲット(獲物)を横取りするデュークもいねぇー。
今 チャンス。
だれにも邪魔はさせなねぇー。
表情が、少し崩れる。
この俺様の最高のターゲット(獲物)キャラン(浩司) この俺様が、唯一勝てなかったあのアピリムのBS(バトルスタイル)変身前と言え 後1歩の所まで追い詰めた実力 偽りはねえー。
やつも この俺様が倒すべき最強の敵の1人 前回 色々なんだかんだで、中断してしまったが、今度こそ決着をつけてやる。
てめえーを倒し アピリムと戦うのは、この俺様だ!!
「てめえらー」 首位の側近達に言い放つビリー。
心配顔のビリーの側近。
いつも無茶ばかりのビリーの性格を良く知っている。
「下らねえー テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)なんぞいつもの通りしねえから てめえらは、あのアピリムを勝手に守ってな」 そう言うビリー。 早くもキャラン(浩司)との戦闘に酔いしれている。
強い敵と戦う 根っからストリートファイターとしての血が、燃え上がる。
いかにも楽しげな薄笑いを浮かべる。
「そう言われましても・・・・ それにアピリム様を呼び捨てにするのは、いつも注意しておりますが、お止めいただきませんと・・・・」 言葉を濁し心配顔を浮かべる側近達。
「うるせえー!! てめえらー全員束にかかっても やつには勝てねえー それぐらいわかんねえーのか?」
少しイラつくビリー。
こう見えても 結構部下を大事にしていた。
ビリーの場合 軍隊としての上下関係よりも 同じグループの仲間意識を常に持っていた。
そして、その1番が自分自身だと。
「うるせえー!! グタグタ能書きなんぞ、ほざいていねえーで、さっさと後ろに下がって、アピリムを守っていろ ここは、俺様1人で十分だ!!」 少しイラつく。
側近達は、仕方なさそうに、各々の部隊を率きアピリムのいる本陣を守る守る陣形へと各々の部隊の配置に取りかかる。
これで、うるさい邪魔者は、周囲にいなくなる。
「待たせたなあー キャラン(浩司)」
いよいよ最大のメインイベントの始まり・・・・ のはずであった。 ビリーに取って。
その瞬間 多数の何物達が、そう大部隊が、キャラン(浩司)と、ビリーの間に、立ちはだかる。
まるで疾風の如く現れる。
怒りの表情を露わにするビリー。
その大部隊 良く知っている。
「デューク!! てめえー 何の権限で、また俺様の邪魔を・・・・・!!」
大部隊の中央が、大きく分かれデュークが、その姿を現す。
そこから華麗な、上品に満ちた足取りで、デュークが、ビリーに向かって、歩き出す。

 いつもながら ここまでの今日いったい何度目の状況?
眼の前には、有能で、勇猛果敢な圧倒的多数の敵 後方には、無能で、腰抜けの少数の味方 この2つの難問と、同時に戦わなければならなかった そう言う自分自身ですら全くアテにする事など出来なかった・・・・ ではない 愛読書の有名なSF小説 銀河英雄伝説の 銀河連邦 クリストファー・ウッド提督の名言であるのだが・・・・ (1部改め 田中 芳樹著)
後方には・・・ 後方には・・・・ えーっと・・・・ 無能な・・・・? と言うより味方など、どこを探しても・・・・ だれもいない。
孤立無援。
毎度おなじみのいつものシチュエーション。
皮肉家の本領発揮。
どんな状況化に置いても、相変わらずの皮肉家ぶりであった。
自分自身ですら 皮肉の対象にしてしまう。 それも自虐と言うエッセンス入り。
浩司らしい側面でもあった。
まだ少しは、精神面での余裕を感じさせていた。
だが、実は、ギリギリの追い詰められた精神状態であり あえて自らを皮肉の対象にしてしまう事で、精神面での余裕を持たせようとしていたのかも知れない。

 「抜け駆けは良くないないですよ」
ビリー歩み寄りながら語りかけるデューク。 2体の間に、何か? 暗黙の約束事でもあったかのような趣旨の発言であった。
「ぬかせー!!」 悪態をつくビリー。
絶妙なタイミングで現れたデュークを芳しく思っていない。
「俺が、先だ!!」
「それはなりませんよ 男同士の約束 忘れたとは言わせませんよ」
「・・・・・」 だれにも聞こえない小声で悪態を付くビリー。
ポケットから1枚のコインをデュークが取り出す。 どうやらコイントスで、何かを決める様子。
「どうです コイントスで・・・・」
「待った!」 静止するビリー。
「そのコイントス やつに決めさせようじゃないか?」 ビリーは、コイントス 1度デュークに勝った事がなかった。
コインそのものには、何ら細工など仕掛けられていない。
いつもコインをトスするのは、デューク 先に表裏を決めるのは、ビリーであった。
デュークの事である コインを左手の甲の上にキャッチ、右手の手のひらで抑える瞬間 何か? 小細工をしている・・・・ それは、間違いない。
小細工をさせない方法は?
今回は、絶対デュークに負けるわけには行かない。
その瞬間 ある考えが、思い浮かんだ。
「今回のコイントス やつにやらせたらどうだ?」 ビリーは、何か? 企んでいる様なにやけた顔で、デュークに持ちかけた。
少し鼻で笑う様な表情を浮かべ、呆れたポーズを取るデューク どうせこり私が、イカサマをやっているのだろう・・・・ と思っているのだろう・・・・ 余り強く否定出来ない。
コインの回転を見切り タイミング良く左手の甲の上に乗せている。 イカサマと言うよりテクニックなのだが、そう捉えられても仕方ない。
「決まりだな」
ビリーの言葉に、渋々同意した様なポーズを取るデューク。
自身の部隊の後退をテレパシーで命令する。

 突然現れた大部隊 丁度巨大な壁の様に立ち塞がり 睨みあい。
その後 全く何も進展がない。
ホッパーによる地球衛星軌道上からの偵察も この部隊は、デューク直属の部隊 つまり新手。
何やらビリーと、デュークが、話し合っているようだが、口の動きがない。
互いに、テレパシーによる会話。
ホッパーの能力を持ってもテレパシーの傍受は不可能。
どうやら話し合いがついたようだ。
キャラン(浩司)の前を 巨大な壁の様に塞いでいた部隊の中央部が、大きく2つに分かれ後方へ下がり新たな陣形を築き始める。
約100m先には、ビリーとデュークのみ。
「おーい キャラン(浩司)こっちへきな!!」 ビリーの大声が響く。
何か 裏でもあるのか? 少し不審そうな表情を浮かべるキャラン(浩司)
「心配するな この俺様が、名誉にかけて誓う 不意打ちなど汚ねえマネなぞしねえよ ちょっと頼みごとだ」
確かに、ビリー、デュークと共に、そう言ったタイプではない。
2体とも 正面からの正々堂々の戦いを好む。
どこかに、伏兵を隠して、突如不意打ち・・・ ます考えられない。
一応警戒しつつも ビリー、デュークの元に、ゆっくり歩き出す。
約100mの道のり 周囲に、気配、殺気を感じない。 激しい憎悪、邪な邪心を伴うどす黒い殺気は、後方に下がり再配置を完了した大部隊からのみ。
ビリー、デュークまでの道のり 長距離砲による攻撃以外は、まず有り得ない。
それに、まずこの点については、ノルンからの戦闘状況報告にもあるが、飛行タイプのグロテノス 残りは、後そんな数がない。
ほとんどが、攻撃用と言うより 上空からの偵察、監視用のタイプ。
ある程度戦闘能力は、有しているものの 基本的には、護身程度。
問題は、長距離砲を持つグロテノスだが、エネルギーの急速充填の気配がない。
どうやら どんな頼みごとか知らないが? 今の所 攻撃を賭ける気配を感じない。
色々現状を把握しながらも歩むキャラン(浩司)。
「待たせたな}」 疑心暗鬼の表情を浮かべる。

 薄く不敵な笑いを浮かべキャラン(浩司)を見つめるビリー。
「あれだけの大軍勢を相手に、1人で勝ち進み ここまで来た事は、褒めてやるぜ」 楽しそうな笑みを浮かべ言い放つビリー。
これでなければ、本気で戦う価値の相手ではない。
「頼み事とは・・・」 そう言いつつポケットから1枚のコインを取り出し キャラン(浩司)に軽く投げる。

 左手で受け取り手に取ったコインを見る どうやら何の変哲もないタダのコイン。

 「頼みとは、てめえーと戦う相手 このコイントスで決めたい そのコイントスをてめえーに頼みたい」 少し不敵な笑みを浮かべるビリー。隣のデュークも同様の表情を浮かべる。
「お初に、お目にかかるよ Mrキャラン(浩司)」 ビリーの顔を見ながら少し困った様な表情を浮かべるデューク。
だが、態度、物腰は、生まれながらに持ち合わせている非常に洗練さを醸し出している。 少しきざな貴族的に見えなくもない。 元々デュークは、ヨーロッパ有数の大貴族 ゆはり生まれ持った気品、風格が違ている。
キャラン(浩司)を見つめ こんなことを・・・・ と言わんばかりの表情を浮かべ、同意を求めた表情を浮かべる。
少し鼻で笑うかの様な表情浮かべるキャラン(浩司)。
2体の配下のグロテノス 合計で、数万はいる。 まず普通そのグロテノスをぶつけてくるはず。 だが、ムダな戦力消耗とでも思っているのだろう・・・・ ある意味部下思い? それらグロテノスの相手をしなくて済むだけ、こちらは、ムタなスタミナ消耗を防げる。
それに、ビリーと、デューク デュークは、1度見たことがあるだけで、対戦経験がない。 ある程度の戦闘能力は、今は亡き親友川村からもたらされた情報で、把握している。
ビリーは、1度対戦経験がある。
前回 BS(バトルスタイル)への変身前であったが、まさにね野生の戦いに餓えた最強のハンターの1匹狼。
相当手強い相手。
それと一見して感じる。 ビリーは、前回よりも何か違ったとてつもないパワーと呼ぶべきか? 何かを隠し持っている。
それが何かは解らない。 だが、その未知のパワーとでも呼ぶべきか? 無理して抑え込んでいる。 そんな感じであった。
同じパワーを 隠しているが、デュークからも感じる。
新たパワーアップの改造を施されたのであろう・・・・・ 今日の対戦の為に、改造主は、今ここにいないあのギル。 いったいどんな新たなパワーを加えられたのか?
更に、やっかい・・・・
そう思いつつも ビリー提案に乗るキャラン(浩司)。
「なら行くぜ・・・・」 そう言いつつ右手 親指の爪の部分にコインを乗せる。
後ろを向くビリーと、デューク。
空中に回転しながら舞うコインの動きを見切れる。 それを防ぐ為であろう。
「さあー始めてくれ」
ビリーの声に、コインを空中へと弾く。
回転しながら空中を舞うコイン。
先にビリーが言う。
「俺は表」
「なら私は裏で」 デユーク ビリーに気付かれぬ様してやったりの表情を浮かべる。
回転しながら落下するコインを左手の甲に乗せ 幹でで抑える。
同時に振り返り キャラン(浩司)の元へ歩く。
運命の瞬間。
2体の眼の前で、ゆっくり右手を上げる。
はたしてどちら。
コインは、表を上に向けていた。
「俺の勝」
嬉しさのあまり大声を上げるビリー。
何か? 納得出来ない釈然とした表情のデューク。
コイントスで、ビリーに負けるなどあり得ない そう思っていた。
「天は 俺に味方してくれたみたいだぜ」 そう言いつつ簡単なウォームアップを始めるビリー。
「デューク てめえの出番はねえ アピリムの元へ行って 胡坐をかきながら 俺の勝をみていろ」 少し挑発の入った言葉をかける。
両目を軽く閉じ 両手を少し上げ 呆れたポーズのデューク。
「真打 主役は、いつも最後と、相場は決まっていますから・・・・・」 呆れ気味に言う。
「るせえー 脇役は、だまっていな!!」 もうデュークは、用済みと、遠ざけるポーズを取るビリー。
だが、その瞳は、これからターゲットを狩る野生の飢えた1匹狼の鋭さ。 全く隙がない。
「待たせたなあー キャラン(浩司) さあー始めようぜ」
そう言いつつ 少し距離を置き戦闘態勢の構えに入るビリー。
ゆっくりと後退するデューク。
軽くフットワーク 両手は、ボクサーの構え 他だしビリーは、ボクシングのトレーニングなど経験がない。 全てストリーファイターとしての実戦の経験で培われたもの。 まさに喧嘩殺法。 だが、相手に懐に入ら蹴るような隙の無い構え。
対するキャラン(浩司) 身体に取り付けていた武装を解き 地面に置く 同時に、QCTTにより量子転換されノルンのアルファーベースへ量子テレポーテーション。
身軽ななる。
相手は、ビリー 素手の肉弾戦勝負。
武器など使用すれば、失礼。
「武器なしで、この俺様に挑もうという気か? 気に入ったぜ」 少し笑み浮かべるビリー。
「あれだけの重厚な布陣を相手に、たった1人でここまで来た その点に付いては、褒めてやるぜ!」 口元を少し動かすビリー。 楽しそうな表情に見える。
「だが、てめえーの悪運もここまでた!! 今 この場で、この俺様が、てめえにーに引導を渡し終わらせてやるせ!!」 鋭い眼光 そして、キャラン(浩司)に向かって指さし高らかに宣言する。
孤独な1匹狼的な資質のキャラン(浩司)と、まさに戦闘と言う血に飢えた野生の狼であるビリーの対決が、今 ここで幕が落とされた。

 先に仕掛けたのは、ビリー 猛然と、キャラン(浩司)の懐へ入り込み お得意の眼にも止まらぬ無数の高速右ストレートパンチを キャラン(浩司)顔面目掛け繰り出す。
間一髪避けるキャラン(浩司)。
レジェンスの戦闘モードに入り エネルギーを高め集中する程 相手の動きが、よりスローに見える。
1発もヒットとないのに、全く焦った表情も浮かべず、逆に余裕の表情のビリー。
こんな程度で、片付けられる相手なら戦う必要性がない。 そう思っていた。
右ストレート1本やりから 少し変化を付ける 時よりジャブも混ぜる。
だが、1発もヒットしない。
対するキャラン(浩司)は、構えこそ入っているが、反撃に転じない。
ビリーの戦闘能力を探っている。
ひしひしと感じられる 隠している新たなパワーに警戒しつつビリーの隙を伺う。
「どうした キャラン(浩司) 逃げてばかりじゃこの俺様に勝てないぜ!!」 鋭い攻撃を加えながら挑発するビリー。
新たに加えられた特殊なパワーアップ 相手が、全力で立ち向かってきてこそその真価が問える。
相手は、あのキャラン(浩司)。 BS(バトルスタイル)への変身前と言え 全く勝負さえしてもらえず、唯一の敗北を喫したアピリムと、互角以上・・・・ いや後1歩の所まで追い詰めた実力者 前回 こちらもBS(バトルスタイル)への変身前と言え 互角の戦い 横槍が入らなければ・・・・ 前回の貸し 今回は、清算させてもらう。
ギルのじじいーが、対キャラン(浩司)用にと、施した新たなパワー 試すには、問題の無い相手・・・・
色々な思惑を胸に、挑発を続けるビリー。

 右拳から繰り出す、ジュブと、ストレートパンチの攻撃だけ・・・・ ただされだけだが、全く付け入る隙を見せないビリーに、てこずるキャラン(浩司)。
これで、BS(バトルスタイル)への変身前と言う。
あのBS(バトルスタイル)への変身前のアピリムと、遜色すら感じさせない。
今まで倒して来たテ゜ストロのBS(バトルスタイル)への変身後よりも 更に強い。
これでBS(バトルスタイル)への変身すれば、どれ程の強さか?
レジェンスからのエネルギーを高め 戦うしかない。
だが、今でさえ超不安定 これ以上高めると、更にコントロールが難しく、下手すけば、暴走の危険をはらむ。
それに何よりも、あのAbsolute Area(絶対領域) あの領域に決して入ってはならない。
だが相手は、ビリー 手加減して勝てる相手ではない。
余り足を使ったフットワークの動きの少なかったビリー どうやら身体が暖まってきたのか? 積極的に動き出した。
まるで空を舞う蝶の様に華麗なステップ踏み始める。
かって史上最高のボクサーの1人と言われた 元ヘビー級チャピオン モハメド・アリの様に、蝶の様に舞い ハチの様に刺す。
更に鋭さを増すビリーの攻撃。

 ヒット寸前で、何とか避けるキャラン(浩司)。
だがいつまでもこの状態が続けば、必ず追い詰められ 手痛いパンチを無数に喰らう。
「柔よく剛を制す・・・・・」 内心呟くキャラン(浩司)。
古くから伝わる格言。
故事ことわざ辞典の注釈では、しなやかなものは弱そうに見えても、かたいものの矛先をうまくそらして、結局は勝つことになるということのたとえ。
『三略』には「軍神に曰く、柔は能く剛を制し、弱は能く強を制す(兵法の書にいう、柔らかいものはかえってかたいものを押さえつけ、弱いものはかえって強いものを押さえつける)」とある。
「能く」は「良く」と同義であるが、動詞の前に置いて能力の点で可能であることを表す際には「能く」を用いる。 などとなっており 類義には、柳に雪折れなし・・・・ などがある。
まさにビリーの攻撃は、剛 付け入る隙を与えない剛腕の攻撃。
正面からの力押し 逆に軽く受け流し その力を反転利用し、カウンター攻撃・・・・・ 考えるのは、簡単だが、あのすさまじいビリーの眼にも止まらぬ速さで繰り出す無数のパンチ はたしてうまくゆくか?
ぐずぐず考えてばかりでは、ラチがあかない。 実行に移すのみ・・・・・
「決断したら 即実行する そうすれば、おのずと道は開ける・・・・ ばす・・・・」 内心 そう思いつつ 今まである程度距離を開けていたキャラン(浩司) ビリーの懐深く入り込む。
正面からビリーのパンチが襲う 瞬時に間一髪避けると同時に、ビリーの伸びきった右腕を両手で掴み そのまま柔道の一本背負いの要領で、地面に背中から叩きつける・・・・ のはずであったが・・・・
まるでブリッジの様な態勢で、さりげなく両足から着地するビリー。
「甘いぜ!! キャラン(浩司)」 そう言うと同時に、今度は、ビリーが、キャラン(浩司)の右腕を両手で握り そのまま空中高く放り投げる。
空中で、数回転し地面に着地するキャラン(浩司)。

 前回 対戦した時の様な強さを ビリーは、キャラン(浩司)から 全く感じていなかった。
他を圧倒する様な何もかも破壊尽くす圧倒的攻撃、戦闘能力。
「なめているのか""」 思わず大声で叫ぶビリー。

 確かに、ここまでの戦闘は、ビリーのの方が、押していた。
前回の対戦時よりも ビリーには、あるパワーアップのまだ見せていない隠し玉を持っていた。
その影響により パワー、スピードなどの戦闘能力は、全体的大幅アップしている。
だが、その為 これ程の差が。付いた・・・・ それは違う。
キャラン(浩司)の方が、ダウンしている。
その理由は、ビリーには、理解出来なかった。
確かに、キャラン(浩司)が、融合しているレジェンス 非常に不安定でありながらも その上限値の無い無限の常に、大きく変動するエネルギー。
だが、そればかりこのスランプとも思える戦闘能力の低下の原因ではなかった。
ここまで、ほぼ これ程の ケタ違いなどの言葉では、言いつくせない 戦力差 1対100万オーバーを戦い抜いてきた。
後 デストロのビリーと、デュークを倒せば、最終目標であるアピリムとの対決まで、辿りつける。
ここまでの戦闘 確かに、レジェンスとの融合により 供給される無限エネルギーにより 肉体面の疲労を全く感じ事もなかった。
だが 精神面では、全く別。
ここまで、極度の精神面でのストレスを強いる 激しい戦闘を何度もくぐり抜けてきた。
元々 修羅の掟の支配する先頭に不向きな性格。
例え戦略家としての資質を育んでこそいるものの 非情、冷酷などに徹しきれない性格であった。
その為 ここまでの戦闘で、精神面でのフレッシャーによるストレスが蓄積されていた。
もはや 精神面では、ほぼ限界に近づいていた。
これは、対キャラン(浩司)用に、たった1人を相手に、常識外の大軍を投入したギルの狙いでもあった。
精神面でのモロさを持つキャラン(浩司)を追い詰める戦略でもあった。
自滅する様に仕向ける・・・・・

 その知略を用いてキャラン(浩司)を追い詰めようとしていたギルは、現在 計らず下別の相手との戦闘を行っていた。
エルと呼ばれる この地球に数々のオーバーテクノロジーを残していったEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の最高傑作とも思えるBP(バトルプロテクター)の上に、更に装着する大型のPS(パワードスーツ) ただの大型化したのではない、その性能は、基本装着する 戦闘用PS(パワードスーツ)であるBP(バトルプロテクター)よりも 更に、スピード、パワー、俊敏性、その他 各種全てが、ケタ違いに扛上した最強のPS(パワードスーツ)であるG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))を装着するピエールとの対決であった。

 ピエール自身 このG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))を対アピリム用最終兵器と言う思いであり 格下のデストロでは、性能の差があると思っていた。
だが、いざデストロであるギルのBS(バトルスタイル)である 変身後のユニキュラーとの対決で思いもよらない苦戦を強いられていた。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))の必殺の武器であるプラズマ兵器 だが、対戦相手のユニキュラーも同じプラズマ兵器を利用していた。
個々の戦闘スペックは、ピエールの装着するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の方が上回っていた。
しかしプラズマ兵器の扱いは、ユニキュラーの方が上回っていた。
元々プラズマの性質上、物体に触れると急速にそのエネルギーを周囲に与えてプラズマ状態ではなくなってしまうため、大気中で使用するためには何等かの方法でエネルギーが逃げるのを防がねばならず、真空中ではプラズマ状態にある物質が拡散してしまわないよう、やはりなんらかの方法でプラズマを閉じ込めなければならない。
プラズマは磁界によって閉じ込めることが可能なので磁界によって絞り込んでビームにしたりするのだが、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))は、球体状にして、目標ポイントへ発射させていた。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の放った球体状のプラズマが、ユニキュラーの額の角から発生した同じく球体状のプラズマに取り込まれ巨大化 直進しか出来ないはずのG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))の球体状のプラズマ弾が、何故? その軌道を急激に変えユナキュラーの額の角の前部に発生した同じ球体状のプラズマにその進路を急激に変え吸収されたのか? その理由を この時点G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))は、知るはずもなかった。
そのまま威力も倍増したプラズマ弾をカウンターとして、反転 ユニキュラーから発射 直進しか出来ないはずのプラズマ弾は、その軌道をまるで意志を持つかのように銃に変えながら 後方で待機していた主力部隊のバトロイド軍に直撃 数多くのバトロイドが、プラズマの直撃を受け短時間に灰と化した。
「どうだね ピエール神父」 少し勝ち誇ったような薄笑い浮かべるユニキュラー。
最大の武器を封じた。
それに持ちうる戦力をある程度削減した。
現状でも圧倒的な戦力差 手持ちの兵力である戦闘用のバトロイドは、貴重な戦力であるはず。
それをある程度こま瞬間に失ったのだ。 ある程度動揺が見えるバス。
そえ思いつつ 巨大なG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))を見る。
2重に覆われたプロテクターにより 生身の表情をうかがい知る事は出来ない だが、その態度、動きから動揺をうかがい知る事が出来るはず。
だが、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))は、何事も無かった様に、自信に満ちた態度をみなぎらせている。
"まだ 何か奥の手 必殺の武器でも・・・・" 一瞬 ユニキュラーり脳裏を過る。
だが、その様な隠している必殺の武器があっても これ程の極端な戦力差の前では、焼け石に水。
物量に勝る戦略上の有利さを覆す事は難しい・・・・ 軍事上の常識。
必殺の武器を封じられるより 貴重な兵力の損耗り砲が、痛手であるはず。
だが、そんな態度を微塵も見せないG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))。
「この程度の事で、動揺でもすると思ったのかね Dr,ギル」 自信にみなぎった態度で返答するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))。
「この私には、偉大な神々がついている」 更に自信を込めて言い放つ。
「何を下らない事を・・・・」
ユニキュラーは、そう呟きながら思った。
互いに、エルと呼ばれる かって我々人類が神々と呼称したEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、今から約1万2000年前 理由は不明だが、この地球に残していったオーバーテクノロジーの1部を それぞれ利用している過ぎない。
同一の軍事思想に基づいて開発されたそれぞれの兵器。
テクノロジーによる優劣差など、取るに足らないレベルに過ぎない。
軍事の基本である、物量、兵力などの差が物を言う。
キャラン(浩司)が、融合する驚異の無としか言いようのない無限と思えるエネルギー体であるレジェンス それと、どこから入手しているのか? 全く不明の エルとは、全く異なる別のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の驚異のオーバーテクノロジーの数々 そちらの方が利用しているテクノロジーの差が、ある程度意味を持つ。
そう思いつつG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))を見る。
どうやら大技のエネルギー弾による攻撃から 至近、近接戦闘に切り替える様だ。
左腕を 大型のソード(剣)に変形させている。
BP(バトルプロテクター)の主要武器であるエクスカリバーを大型化させた クレート・ゴッド・エクスカリバー・・・・・

 「ある程度距離を置いての武器がダメならば、近接戦で、切り刻むのみ・・・・」 小さくだれにも聞かれないようつぶやくG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター))。
「もうすぐ神々が、この地球に、再降臨なされる・・・・・ それまでに、神々の反逆者であるアピリムを始めとしたネクストノイドを全滅させねば・・・・」
何気なく上空の遥か彼方に見つめる。

 その頃 マーク率いる 残り少なくなったヤーナ軍。
かっての在籍し、現在ビリーとの1対1の死闘を繰り広げる元評議員の浩司 別名キャランの負担を少しでも減らそうと、その周囲に、まるで、磁石の様に吸い寄せられている グロテノスの各部隊と対峙していた。
側近であり有能な軍事司令官であり エルの残した驚異のオーバーテクノロジーの傑作と言えるBP-1を装着する永井を中心に、徹底的なゲリラ戦術を用いて、しぶとく抵抗を繰り返していた。
圧倒的な兵力差、物量差 俸給もない ただの玉砕戦法。
唯一の戦略上の目標 それは、だれにも邪魔させず、浩司が、アピリムとの直接対決をさせる事。
その為に、自らを捨石にする。
また1人、また1人 ヤーナ軍の兵士が減らされていく。
死んでいった者への感傷、思いで浸っている余裕などない。
ここは。戦場、激戦地の真っ只中。
笑顔を浮かべ死んでゆく 「これで愛する相手、待っている家族に、ようやく会える・・・・」 そう言い残して。
思わず、胸が張り裂けそうになるマーク。
「血を流させた分だけの歴史的価値があるのか・・・・・?」
浩司が良く語る言葉が、不意に脳裏を過る。
そして、見つめる先には、1人 多数のグロテノスを一手に引き受け孤軍奮闘するBP-1 だが、動きが、かなり悪くなり始めていた。
だれが見ても もう体力の限界が近づいている。
残り少なくなった可愛い部下の指揮を 親友であり副司令官でもあるブラウンに委ね。
戦いに奮闘する。
「次 死にたいやつは!!」 大声を張り上げるBP-1。
左腕を主要武器であるエクスカリバーに変形させ 周囲を 何重に取り囲むグロテノスを相手に、デスマッチを繰り返す。
いくつものプラトーン(小隊)に分かれ 息つく暇を与えず 見事なコンビネーションプレイで襲い掛かるグロテノス。
無限の回復力を持つかのように、倒しても、倒しても 一向に数が減らない。
少し後退 距離を置く 左腕をエクスカリバーから 最終大技のメガブラスター砲へ変形させる。
狙いは、いくつ存在するのか? もうそんな事などどうでもいい 主要部隊の1つと思われる大部隊の1つに、ターゲットに定める。
砲門の先に光粒子が集まり収束 エネルギー・チャージ終了 一気に放つ。
光と、エネルギーの帯 ビームが、主要部隊の1つと思われる大部隊の1つを直撃 少し大きなキノコ雲が舞い上がる。
だが・・・・
戦況に何ら変化はない。
数百体のグロテノスが、一瞬に永遠に失われた。
ただそれだけの事。
以前 圧倒的多数の敵兵力は傷1つついていない状態で、健在。
「もはや ここまでか・・・・」 小さな独り言を呟く。
少し離れた場所で、残存兵力を1カ所に集め 激しく抵抗するマークと、必死に叫び声をあげ指揮するブラウン。
このまま撃ち減らされ壊滅するのも時間の問題となっていた。
BP-1に搭載されているレーダーを最大限にする。
脳裏に、敵アポリス軍の陣形が、簡単なシュミレーション画像となり伝わる。
最も陣形の薄い場所・・・・・
そこに、最大限エネルギーをチャージしたメガブラスター砲を撃ち込み 脱出路を開け そこから退却させる。
浩司さんには、悪いが、もう持ちこたえる兵力はない。
1人でも多くの兵士を ここから脱出させる。
今 その選択しかないように思えた。
だが、だが、その脱出路の周囲は、敵に囲まれる。
決して、安全な脱出路ではない。
まさに、ガントレット。
ここに残るのも、脱出路を作り そこから撤退するのも 多分結果は同じ。
撃ち減らされ殲滅・・・・・
左腕ょメガブラスター砲からガトリング砲に変形させる。
前進してくるグロテノスの複数の部隊に対して、射撃を開始 無数のの小さな光粒子弾で、弾幕を張り その隙を突いて、マーク、ブニウンのいる場所へ素早く後退。
出鼻をくじかれ、前進を試みようとしたアポリス軍の各部隊は、その場から動けない。
途中搭載されているSVL通信機を使い、思い切って、マークの撤退及び、脱出プランを提示する。
「永井司令官 君の気持は良く解るのじゃが、ここで生き残っている者全てが、最後の一兵になろうと、戦う覚悟じゃよ・・・・・」
少し何か・・・・いももはや達観した様な口ぶりでマークが返答する。
もうこの場で、最後の覚悟を決めた様であった。
最後の無駄な悪あがき・・・・ でも考えているのだろう・・・・・
永井には、そう感じた。
だが、永井は、マークに忠誠を誓った。
どんな時でも、最後まで守り通す・・・・・ そして、残り僅かとなった手塩にかけて育ってた残存兵士達も・・・・・ そう決意する。
そんな時だった。
突如 無数の細長いビームが、地上を襲う。
上空・・・・ いや違う 更に上 つまり地球衛星軌道上・・・・・?
それも攻撃目標は、ひと塊となったヤーナ軍ではない。
その周囲に、何重にも取り囲むアポリス軍のグロテノス部隊。
それも正確無比 ピンポイントで、グロテノスを次々と命中させている。
だれが・・・・?
もはや ここにいる残存兵力が全て。
あのピエールか・・・・・?
だが、どうやら違う。
ピエールなら支援をしてくれない。
BP-1に搭載されている各種レーダーの探知機には、何も映らない。
この絶体絶命の危機的状況。
他に考えられるのは、浩司さんだけ。
他には、こんな高度なハードウェアーを持つ アポリスに敵対勢力はない。
確かに、浩司さんなら考えられる。
ヤーナ所属時代 携帯用武器であったが、未知のオーバーテクノロジーで創られた武器を所持し、その秘密を明かしていなかった。
だが、地球衛星軌道上からの攻撃も 広範囲に及んでいない。
範囲は非常に限定的。

 それもそのはずであった。
ビリーとの死闘を繰り広げていたキャラン(浩司)。
ノルンからのテレパシーによりヤーナの危機的状況を知り。
遂に虎の子の最後のポッパーからの攻撃を決めた。
当初 撤退時の支援を行う予定であったが、徹盾する意思を示さない。
それに、残り僅かとなり もはや多分BP-1を装着する永井を除いて、殲滅するのは、時間の問題。
撤退を即す為 残り数基のホッパーに、予備機であり通信 QCTT用の1機を除き 攻撃命令を下した。
だが、数基のホッパーからの対地攻撃 レーザー砲による攻撃もカーバー出来る範囲は、非常に限定的であった。
第1弾では、確かに数は減らした。
次の攻撃には、多少のタイムラグ(時間差)が、生じる。
その隙に、亀に似たカータルなど、身体の装甲が固くレーザー砲程度のエネルギービームを防げるグロテノスによる他のグロテノスの防御壁となり-他のグロテノスを防御する。
それ以外にも突如各部隊のの周囲の砂が舞い上がり各部隊を包み込む。
上空から襲い掛かるレーザービームが、砂漠から舞い上がった細かな砂煙に、そのエネルギーが吸収され失われてしまう。
元々レーザービームは、指向性、収束性に優れており 発生する電磁波の波長を一定に保ち 時空面に対して直進する性質を持っている。
だがその距離に比例して、エネルギーをロスする性質を持っている。
至近距離からの攻撃ならば、この対策は、余り効果がないのだが、発射ポイントが、地球上空の衛星軌道上。
効果は絶大であった。
エネルギーを大きく失ったレーザービーム 目標ターゲットのグロテノスの命中しても 皮膚? 装甲表面が、少し黒ずむ程度。
更に、巨大なエネルギーを火球弾であるブラスター砲の 発射許可をノルンが求めてきた。
だが、1発のブラスター砲の直撃で、その影響を及ぼす範囲が広く、残り少なくなったヤーナ軍の兵士までも 巻き添えを喰う可能性がある為 即座に却下。
攻撃が、一瞬止む その隙をまたもアピリムに突かれる。
「まだ予備を持っていたか・・・・」 不敵な笑みを浮かべ野戦用作られた玉座が立ち上がる。
両目を閉じ 感覚を広げる。
レーザービームの残存のエネルギーの発射ポイントを探る。
地球衛星軌道上 丁度真上に、数カ所発見。
「残り数基・・・・」
「最後の予備機・・・・・」
小さく独り言を呟く。
同時に、身体周囲に、光のエネルギーの球体が発生 数カ所にエネルギーが収縮。
そのポイントからビームが、それぞれのターゲット(目標)に向かって発射。
アピリムの身体から発射された複数のエネルギービームが、通信用などの中継機の1基を除いて、ホッパーを貫く。
同時に、爆発炎上 宇宙の塵と化する。
「これで、キャラン(浩司)も完全に丸腰・・・・」
残存の支援用の大型ハードウェアーは、もはやない そう確信するアピリム。
だが、同時に言い知れぬ 漠然としているが、ある種のプレッシャーを感じる。
「これは・・・・?」 瞬時にある種の不安感 遥太古 そう今から1万2000年前まで、感じていた感覚。
何故か? 急に感じる。
全ての感覚を 宇宙空間の最大限感じる距離まで広げる。
だが・・・・ そこには、何も人工的な物体を感じない。
「ただの気のせい・・・・・」 言い知れぬ不安感を拭い去ろうする。

 「何 ボケーッとしているんだ!!」 2つの事を同時に行っているキャラン(浩司) ビリーとの対決に全てを集中させる事が出来ず。
何度も 僅か一瞬であるが、ビリーに対する集中が途切れる。
その瞬間を狙われ 無数に見えるパンチの嵐が、襲い掛かる。
何とか避けているものの 間一髪の状態 まともに喰らえば無傷では済まされない。
追い詰められているかって在籍していたヤーナ軍 動向が気になる。
テレパシーによる画像で脳裏に映し出され ある程度の範囲を見る事が出来る。
絶体絶命のピンチに、通信中継用の1機を残し 予備機を投入 ヤーナ軍の支援に、レーザービームによるによる対地攻撃を下し 撤退を促進させようとした。
だが、思い通り動いてくれない。
全く撤退の意思を見せなかった。
同時に、アピリムに、予備機のホッパーを攻撃され全滅。
地球軌道衛星上からの支援用のハードウェアーを全て失った。
戦術の変更が迫られている。
残りは少ないはずだが、まだ飛行タイプのグロテノスは、無傷で残されているはず。
それに、飛行可能なデストロ、アピリムもいる。
元々不利な状況が、増々不利になる。
だが、悔やんでも始まらない。
残された そう自ら融合している多分宇宙最強・・・・? そして、コントロール不能 無用の長物? レジェンス いかに有効的活用するか・・・・?
そう思いつつ眼の前 激しいパンチを繰り出すビリーの攻撃に、応戦しつつ思った。
キャラン(浩司)の反転 攻撃も うまくヒットしない。
動き、攻撃が読まれている? いや違う あれは、本能 そう闘争本能 飢えた野生の狼が持つ。
そう戦う為のみに生まれてきた野生の1匹狼。

 キャラン(浩司)と、ビリーの対決を面白そうに見つめる 約100m先に陣取るアピリム。
まだどちらも全力を見せていない。
相変わらず小手先だけで、相手の様子を見ている。
だが、そろそろ本気を出すタイミング。
この先の展開を予想しつつ愉快そうに、薄笑い浮かべる。

 このままではラチが開かな・・・・・
ビリーに合わせた戦いを進めていても 所詮 相手の土俵 不利。
地上戦での武器を使用せず戦うのは、やはりビリーに分がある・・・・ そう感じていた。
やはり得意の空中戦に持ち込み、うまくエネルギー弾などを混ぜた多彩な攻撃を仕掛けるしか・・・・ そう思いつつ ビリーの放つ右ストレートパンチを 左右などに間一髪のタイミングで避けず、そのまま後方へ後退と見せかけ軽くジャンプ そのまま飛行状態に移る。

 「空中に逃げるのか・・・・」
不敵な笑みを浮かべるビリー。
面白そうな笑みへと変わる。
地上戦より 更に動きが自由度が高まる空中戦の方が、実は、得意であった。
額のエメラルドに輝く、デストロ用のネクスタルの輝きが増す 同時に、身体に供給されるエネルギー量が、高まりを見せる。
そのまま軽くジャンプと共に、キャラン(浩司)を追い飛行状態へと移行する。
何か、強力なエネルギーの気配 それも多数。
素早く感じるとともに、多数の小さなエネルギー球の雨が襲う。
キャラン(浩司)の主要技の1つ ショットアタック。
「なめんなー!!」
そう叫びつつビリーは、ファイテングポースを取る。
襲い掛かる多数の小さなエネルギー球を 左右から繰り出す、眼にも止まらぬ高速パンチで、次々と粉砕。
正面を見る そこには、キャラン(浩司)の姿が消えている。
「どこだ?」 同時に、強いエネルギーと、殺気を感じる。
「後ろ!!」
その瞬間 忽然と、その姿を現したキャラン(浩司)に、後方から羽交い絞めにされる。

 「しめた・・・・」 内心呟くキャラン(浩司)。
うまくフェイントに掛かってくれた。
上手く後ろを取り 計算通り羽交い絞め
そのまま身体を逆に向ける 丁度ビリーの頭が、地面に向かって下になる。 間を置かず地面に向かって、急速に落下 目標は、地面の砂漠ではない。 所々に点在する巨岩石 頭からビリーを叩きつける戦法を採る。
もがくビリー だが、思ったよりもキャラン(浩司)の力は強い。
完璧ブロックされている。
だが、ビリーの表情には、焦りの色など浮かんでいない。 逆に愉快そうな大胆不敵な笑みまで浮かべている。
この程度 毎度お馴染と言わんばかりであった。
ビリーは、ネクストノイド それも上位モデルであるデストロへの改造前 その名を地下社会に知らしめた 無敵のストーリーファイター。
常に、戦いは、相手の得意の戦闘、技すらなど全くと言っていい程良くわからない相手ばかり それも異種格闘戦。
そんな敵ばかりと戦ってきた。
どんな技が来ようと、別段動じない。
いつも一瞬の隙を見つけ切り抜けて来た。
唯一勝てなかったのは、あのアピリムだけ。
激突直前 「なめんなあー!!」 大声を上げるビリー。
直前 キャラン(浩司)の締め付けていた力を、僅かだが緩んだ。
その隙を逃さない。
「何だ ビビリやがったかあー」 内心笑みを細く浮かべる。
「下らん チキンゲーム(?)の変形を仕掛けておいて・・・・」 鼻で笑うかの如く表情を浮かべる。
「てめえーは、甘いだよ!!」 そう言いつつ 右腕を羽交い絞めから抜くと、右ストレートパンチを 巨岩石に向かって繰り出す。
右拳全体が、エメラルドに輝く 高エネルギーが集中。
そのまま激突直前の巨岩石に右ストレートパンチを叩きつける。
怪光を発し全てを飲み込む様に急膨張。
同時に、粉々に砕け散った小石が、猛烈なスピードでで周囲に飛び散る。 何か? 人の様な物体も周囲に飛び散る小石と共に、何かに弾かれるよう空中を舞い地面に叩きつけられる。

 その様子を見ていた この戦いの傍観者デューク。
両目を閉じ 軽く笑みを浮かべる。
「相変わらずムダな動きの多いやつ・・・・」
少し呆れた口調で言い放つ。
それは、キャラン(浩司)ではない ビリーに向けた言葉であった。

 弾き飛ばされ地面に叩きつけられたのはビリーではない。 ビリーを羽交い絞めにしていたキャラン(浩司)であった。
ビリーと比べ、身長も低く、体重もかなり軽い。
元々レジェンスと融合する以前から同年齢と比べ、数少ない中年太りも ましてメタポでもなかった。
学生時代と、余り体型も体重も変化がなかった。 極平凡な中肉体型。
逆に、ビリーは、格闘家らしい引き締まった鋼の様な筋肉質、体重も見た目よりもある。
その為ビリーの放った、パンチのソニックブーム(衝撃波)に、キャラン(浩司)は耐え切れず、噴き飛ばされた
背中から地面に激突 だが地面は、固いアスファルトや岩石などではない。 ここは、荒涼した砂と、岩だけの砂漠 激突した場所が、砂の上。 多少ショックを吸収。
多少苦痛で非常が歪むものの 直ぐ何事もなかった様に立ち上がる。
この程度の打ち身 融合しているレジェンスのエネルギーによる自己治癒力により直ぐに完治する。
身長、リーチの差など、身体的特徴どうにもならない 元々も生まれ持った差 思うように、懐深く入り込めない。
ショットアタックを使いうまく意表を突き 後ろを取れた。
だが、この程度 やはり相手の戦闘能力 こんな子供だまし程度 やはり通じない。
やはり上手くエネルギー弾を交え攻撃するしかない。
スピードは、今の所上回っている。 だが、本来の戦闘スペック BS(バトルスタイル)に変身後は、はたして・・・・?
何か? 不確定だが、感じる とてつもないパワーを・・・・・
今まで、対戦したデストロとは、違う・・・・ そして、まだこの戦闘を模様眺めしているあのデュークからも同じ力を・・・・・
動きの自由度が増す空中戦で、ビリーが、BS(バトルスタイル)に変身前に決着(ケリ)をつけられれば・・・・
その様な考えが、脳裏を過る。
空中高く飛び上がる そのままホバーリング(空中停止) ビリーを誘う。
不敵な笑みを浮かべながら空中高く飛び上がり 一定の距離ほ保ちつつキャラン(浩司)同様ホバーリング(空中停止) 対峙するビリー。
不敵な笑み そのまま余裕の態度に感じさせている。
キャラン(浩司)同様 動きに制約の少なくなる空中戦の方が、更に得意としていた。
「そろそろ本気でかかって来い!!」 挑発するビリー。
口元を少し動かすキャラン(浩司) 先程までと違い目つきに変化する。
珍しく少し冷酷な、突き刺すような鋭い眼付。
同時に、その姿が消える・・・・ いや眼にも止まらぬ高速移動。
殺気
ビリーの野生の本能が告げる。
「また後ろかー!!」 叫ぶと同時に、右ひじ打ちを後ろに突きだす。
手ごたえ・・・・ いや何も感じない。 空振り?
その瞬間 「しまったー!!」 ビリーにしては珍しく失態の言葉を叫ぶ。
またもフェイント。
今度は、何もないように思われていた正面から 1発の大きな光る球体 エネルギー弾が、至近距離から突如現れ襲う。
キャラン(浩司)の得意の必殺エネルギー弾の1つ放ったマグナムアタック弾。

 だが、全く恐怖の色も慌てた素振もビリーは見せない。
相変わらず、不敵な笑みを浮かべ、この状況を逆に楽しんでいるようにすら見える。
握りしめた右拳全体が、先程の様にエメラルドに光輝くと同時に、だれの眼にも見えない高速の右ストレートパンチを マグナムアタック段に向け放つ。
ビリーの必殺技の1つ クラッシュマッハパンチ。
激突と同時に、キャラン(浩司)の放ったマグナムアタック弾は、粉々に砕け四方へ砕け散る。

 さすがのキャラン(浩司)も 少し驚いた表情を少し見せる。
過去 BS(バトルスタイル)への変身後のデストロの張るバリヤーに、防がれた事や、相手の放ったエネルギー弾に直撃させ相殺するなどがあったが、それは、BS(バトルスタイル)への変身後の本来の戦闘能力を 最大限に発揮している状態であった。
だがビリーは、まだBS(バトルスタイル)へ変身していない。
とてつもないポテンシャルを 秘めている事になる。
BS(バトルスタイル)への変身後の本来持つ戦闘能力、スペック、ポテンシャル・・・・・
少し焦りの表情を浮かべる。
そんな事ばかり考えていられない。
眼の前の敵を倒し前進 活路を切り開く 自身の立てた戦略上の目的達成の為に・・・・
BS(バトルスタイル)への変身前に、ある程度ダメージを与え 最後に、必殺の大技の1つ スターバースト これしかない。
不安定で、コントロールの難しいエネルギーであるレジェンスのエネルギーを 強引に高める。
更に、スピードを加速 ヒットアンドウエー 一撃離脱 まだBS(バトルスタイル)への変身前のビリーには、キャラン(浩司)が、分身したかのように、同時に、複数のキャラン(浩司)が、襲い掛かってくるように見えた。
「しゃらくせー!!」 悪態を付くビリー 同時に、複数に分身したかのように見えるキャラン(浩司)に対して、左右両腕から 高速のパンチを繰り出す。
だが、幻影の様に、実体のない影を切り裂くのみ そして、各方向から無数のパンチ、キックを同時に浴びせられる。
少しよろめき 後退。
「少しは、本気になったかー」 負け惜しみ・・・・ いや違う 相変わらず自信に満ちたふてぶてしい不敵な笑みを浮かべ、口元から少し流れ落ちる血を右手で拭う。
「こうじゃなくちゃー 面白くないぜー!!」
ビリー 本来持つ野生の1匹狼の闘争本能に火が付く。
「今度は、こっちから行くぜ!!」 雄叫び上げ 今まで分身したかの様に見えたが、今は、1つの実体に戻ったキャラン(浩司)に、猛然と襲い掛かる。
得意の近接戦持ち込む。
ここは空中 地上と違い動きの自由度が増す その利点を生かしうまくビリーの放つパンチを避けつつ 巧みに、ボディブローを1発決める。
「なかなかやるじゃねえかー!!」 確実に、少しずつであるが、ダメージを受けているはず、だが全くそんな素振もない。
「少しは、効いたたぜー キャラン(浩司)」
ここまで、余りしゃべらすただ緘黙に戦い続けるキャラン(浩司)を睨む。
多少表情に、変化は見受けられるものの余り表情を変ず、ここまで戦い続けるキャラン(浩司)。
現状の戦闘を続ければ、キャラン(浩司)には、勝てない。
「少し、本気をださせてもらうか!!」
そう言うと、同時に、ビリーの額のエメラルドに輝くネクカタルが輝く。
同時に、身体全体が、エメラルドに輝き、包み込まれる。
BS(バトルスタイル)への変身。
包み込んでいたエメラルドの光は、首位にはじけ飛ぶ。
そこに現れたのは、全身真っ白な体毛に覆われた狼に似たウルフガー。

 その様子を 同じ高度まで上昇 戦いを見続けていたデューク。
だが、少し表情に、機体外れ 疑問の色を浮かべていた。
「ビリーのやつ まだ遊ぶ気でいめのか?」 だれも聞こえない様な 小さな小言で呟く。

 「更にやっかいになったなあー」 余り表情を変えず、内心呟くキャラン(浩司)。
先程の超高速での猛攻 ハタ眼には、優勢の様に見えるだろう。
確かに、1発 まともに、ポテ゜ィブローを決めた。
だが、まともに決めたのはそれだけ。
後は、余り効果がなかった。
実は、激しく踊らされたに過ぎない。
多分 この戦闘をまじかに見ている デストロの1体デュークも気付いているだろう・・・・
繰り出したパンチ、キックなど全て、必殺の急所を 間一髪で、全て外されていた。
人間の身体には、急所もしくは、つぼ などと称されるウィークポイントが、いくつかある。
そこに決めなければ、余り効果がない。
こちらの動きをある程度見切っている。
「あいつ 戦闘を楽しんでいやがる・・・・ 1種のスポーツとして・・・ それも生命を賭けた・・・・」
内心そう思いつつ BS(バトルスタイル)に変身したビリーを見る。
ノルンからのテレパシーで、ビリーのBS(バトルスタイ)への変身後の各種情報が伝えられる。
コードネーム ウルフガー・・・・・
だが、それ以上の戦闘能力、スペックを肌身で感じる。
この程度ではない。
何か? 隠して持っている。 こちらのデータにない ポテンシャルを・・・・・
こちら戦闘データもある程度蓄積されている。
その傾向、対策も。
その為の新兵器、技・・・・ を 隠し持っている。 とてつもない何かを?
それが、何なのか?
「敵を知り 己を知らば、百戦して危うからず・・・・・かー」
溜息混じりに、内心 古代中国春秋時代の軍事思想家で、歴史上最初の戦略家とも言われる 孫子もしくは、孫武作と言われる兵法書の有名な一節が、脳裏を過る。
その思想は、古代には想定出来なかった現代のテクノロジーをも 大幅上回るEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)のオーバーテクノロジーを用いた この戦いでも その有用性は、全く失われていない。
敵・・・ 以前に己 自分自身ですらあまりにも未知の部分が多過ぎる。 自ら融合している未知のエネルギー体 レジェンス・・・・・
ほとんどここまで、手探りの状態での戦闘を余儀なくされてきた。
軍事戦略家としての 最も基本の1つ 勝つ為の準備を用意周到に行う・・・・・
決して基本を無視したのではない。
だが結果として、そのツケ、弊害が、あらゆる条件、戦闘下に置いて、あらゆる形となって現れる。
「戦略以前の これはただの自殺行為 その条件下に置いて、まだ早いが、良くここまで持ちこたえられたと、自分自身 誉めたいぜー」
内心 皮肉を込めて思った。




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