LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)

 第4章 決戦 Part12

 ゆっくりと地上に、降り立つアピリム。
あえて動きに、空中戦よりも制約の多い地上戦を望んでいる。 そう感じられた。
何か? 秘策でもあるのだろうか? それとも・・・・
地面に両足を着け立ち上がったキャラン(浩司)の近くに、ゆっくりと着地。
見つめる先のキャラン(浩司)。
何とか立ち上がっているものの かなり疲労困憊 限界に近づいている・・・・ そう感じられた。
あれ程の集中攻撃を連続で喰らっていた。
相当のダメージを受け まだ回復していない。
何度もの大技を連続に喰らい 何とか耐え抜いたが、スタミナがもはやそれ程残っていない。 それに身体の各所に、表情にこそ出していないが、また傷も回復していない。
このまま戦い続ければ、余り時間を必要と背ず決着が付く そう感じられていた。

 一瞬余裕の表情を浮かべるキャラン(浩司)。
いつものハッタリ。
心理戦について、得意なのか? 苦手なのか?
ガジノのギャンブル 特に、ルールこそある程度知っているが、ポーカー、ブラックジャックなどのカードゲーム 戦績は、いいカモ。
デイラーに心理を読まれている。
どうやら心理面に及ぼす表情の微妙な変化を読まれている。
結局 日本人の下々の小市民の娯楽 パチンコと宝くじ・・・・ 負け混んでいたが・・・・・
ポーカーフェイスは、苦手。 自身 そう思っている。

 ハッタリが効いたのか?
アピリムの動きが無い。
睨みあい その間 また何か? 大技を放つのか? エネルギーを高め集中していた。
額のゴールドに輝くネクスタルが、輝きを増している。

 それに合わせキャラン(浩司)も エネルギーを高める。
キャラン(浩司)と、アピリム 互いの最終大技。
キャラン(浩司) スターバースト。
アピリム ハイパーノヴァ。
本来持つエネルギー量 差出不可能・・・・・
地球中心部に向かい撃ち込めばね間違いなく地球規模の惑星を 木端微塵に破壊出来る。
下手に使用出来ない。
互いに、相手に十分なダメージを与え 空中高く放り投げ 宇宙空間に向かって放つ止めの大技。
もし こんな至近距離で、エネルギーをMAX状態で放ち 中間点で激突 周囲に溢れだしたエネルギーは、ゆで卵に例えられる 丁度ゆで卵の表層部分にあたる薄い殻 地球の表層部分である薄い地殻など 簡単に蒸発 消失程度の被害では済まされない。
その下にある ゆで卵の白身の部分にあたるマントル 上部マントル、下部マントルどころか、黄身の部分にあたる アウトコア(外核)、インコア(内核)まで、その膨大なエネルギーにより蒸発 えぐられ破壊しかねない
下手すれば、最悪のケース 地球そのものを瞬時に、蒸発?
いつもキャラン(浩司)は、思っている 相手を倒す為とは言え、余りにも強力なエネルギー それも度を超えた まさに忌み嫌う巨艦大砲主義の骨頂・・・・

 地球蒸発に伴う消滅により 現在安定していた太陽系内の各惑星の重力バランスが崩れ 地球時間で考えれば、数億年後先には、地球消失に伴い 安定していた太陽系の最大の重力源である太陽を中心とした各惑星等の重力により太陽の周囲を回る公転軌道に、大幅な乱れが生じ 各惑星などの公転軌道が狂い、はたしてどうなるやら・・・・ この太陽系形成時初期に起きたと言う最新仮説である 木星、土星などを中心とした惑星移動が、また起こり、惑星の公転軌道 軌道共鳴などに重大な影響を及ぼす。 どれくらいの時間が必要? また安定した各惑星の公転軌道は? (これは余談です)

 だが、キャラン(浩司)、アピリム 互いの眼は語っている。 最終大技による最後の決着を。
それ以外 眼中にない。
手加減して勝てる相手ではない。

 互いの睨みあい 不敵な笑み あ うん の呼吸。
一瞬の静寂 キャラン(浩司)、アピリム以外存在しない特殊な世界。

 互いに構えに入る 異常なまでのエネルギーの高まり キャラン(浩司)、アピリム共に、身体の周囲にまるで暴風が巻き起こった様な強力なエネルギー渦が巻き起こり 周囲にある無数の小石、少し大きめの石さえ巻き上げエネルギー渦に飲み込まれ瞬時に消滅する。
にや・・・・ 互いの口元が薄く笑う。
ありったけのエネルギーを叩きつける様 高めたエネルギービームを相手に向かい まさに叩きつける様放つ。
互いから発した強力なエネルギービーム 予想通り中間点で、激突 激しい火花を周りにまき散らす。 まさに互角。
衝突点で、急速にエネルギービームは、球体となり大きく膨張を始める。 瞬時に、ここハルマゲドンの丘程度の面積ならば、蒸発させる程のエネルギー量に達する。
だが・・・・ 爆発しない 何かがおかしい。 瞬時に高まったエネルギー量 爆発しないなどあり得ない。

 爆発の瞬間 キャラン(浩司)は、そのままテレポーテションに入り みなっちの元へ みなっちを連れ更にテレポーテーションする予定でいた。
ここにいるアピリムと、心中するつもりなどない。
もし間に合わなければ、みなっちを強制的に、ノルンへQuantum Conversion、Tunneling、Teleportationの頭文字を取って、QCTTシステムで転送する予定でいた。
巻き込む事は出来ない。

 だが・・・・ 互いの放った最終大技のエネルギービーム 衝突点で、急速膨張した後 爆発しないで、急速に収縮を始める。
互いのエネルギーが、相殺しあっているのではない。
何か? 丁度中心部に、得体の知れない何かが発生している。 それも強力な・・・・
そう有効範囲は、非常に限定されているが、強力な重力場が発生し 時空間ごと 引き伸ばされ エネルギーを吸収 その中心点に向かい吸い込まれている・・・・・

 「超ミニブラックホール・・・・・」 驚きの表情を浮かべながら呟くキャラン(浩司)。
直ぐに正体に気付く。
自身のレジェンスの能力があれば、発生させる事は可能であるが、はたしてコントロール出来るか? 全くの不明。
下手にコントロール出来ず、そのまま成長すれば、瞬時に、地球ごと飲み込んでしまう。
ただその質量の関係上 寿命は短く、この宇宙誕生直後 インフレーションの最中 古い高いポテンシャルエネルギーを持つ真空が、新しい低いポテンシャルエネルギーに相転移する際 大量に生み出され 最初のビックバンにより放出された光、熱エネルギーを大量に吸収したとされている。 その後直ぐに蒸発してしまったのだが、その後 この宇宙では超ミニブラックホールは、生成されていない・・・・が定説。
その為 今まで使用していない。
それに、アピリムが、この能力をもっているのか? 答えは多分 NO。
だれかが、この戦いに、横槍を入れている。
先程も含めて・・・・
いったい だれが・・・・?
これ程の強力な能力を持つ者・・・・
思い浮かぶ者などいない。

 アピリムも同様の考えを思い浮かべていた。
キャラン(浩司)が、超みにブラックホールを発生させたのではない。
「だれだ 余の聖なる戦いに横槍を入れた者は・・・・?」
思わず 声は小さいが漏れ出す。
思い当たる者は、この地球上には、存在しないはず・・・・

 全エネルギーを吸い込まむと、発生していた超ミニブラックホールは、突如 その役目を終えたと言わんばかりに、蒸発に伴う小規模爆発を起こす。
小規模爆発と言っても 超ミニブラックホールである。 その威力は、半端ではない。
無防備になっていたキャラン(浩司)と、アピリム。
まさに、一瞬の嘘を突かれた。
強力な、そう飲み込んだ全ての物質を瞬時に消滅させる様な 強大なエネルギーを伴うソニックブーム(衝撃波) まともに喰らい 飲み込まれ 大きく後方に弾き飛ばされる。
キャラン(浩司)、アピリム共 バリヤーの展開が、僅かに遅れ 直撃をまともに喰らっていた。

 爆風が止む。
しーんと静まり返る大地。

 キャラン(浩司)、アピリム 地面に叩きつけられていた。
だが互いに、意識を保っている。
互いに、ふらつきながらも ゆっくりと立ち上がる。
かなり致命的とも思える 大きなダメージを受けている。
身体の何ヶ所も大きな傷跡。
呼吸もかなり荒い。
互いに、エネルギーの消耗が激しい。
今なら キャラン(浩司)、アピリム共 倒す絶好のチャンスに思える程の消耗しきっている。
このまま戦闘継続が、不可能の様に思えた。
だが、今 ここで引く理由には行かない。
勝者は、1人。
引き分けなどない。
互いに睨み合い また戦闘を再開?
「相変わらず しぶといな?」 不敵な笑みを浮かべ言い放つアピリム。
「お互い様だろう」 同じく不敵に言い返すキャラン(浩司)。
互いに、拳でやりあう者の同士の ある種の語らいを感じさせていた。

 その時だった。
キャラン(浩司)、アピリムの表情が、一瞬変わる。
何か? とてつもない強大な気配。 余りにも巨大。 数値化する事自体無意味に思わせるほどの。
今まで感じていた 漠然とした不安感 それが、この瞬間 とてつもなく強大な気配として、実体化した。 そんな感じであった。

 同時に、キャラン(浩司)脳裏に、緊急用のノルンからのテレパシーが届く。
通常 地球の衛星軌道を回るスーパーステルス製人工衛星ホッパー経由 距離に関係なく瞬時情報のやり取りが出来る情報の量子化における量子テレポーテーションを利用した量子ネットワークを応用。
暗号化よりも 更に解読難しい、通信そのものを感知出来ない通信する者同士だけしか相通出来ないテレパシーを組み合わせていた。
敵に傍受される危険性は、ほぼ不可能に等しい。
ノルンは、この宇宙ではなく多重宇宙の1つ、この宇宙とは別の同一次元に存在する別宇宙にある。
同一宇宙内ならば、4次元ワームホールを構築しなくとも 量子テレポーテーションを利用したテレパシーが可能であった。
だが別宇宙同士では、テレパーによる通信が出来ない。
別々の宇宙を結ぶ 4次元ワームホール利用しなければならない。
常時4次元ワームホールを構築 量子ネットワークを構築しているホッパーを経由して、マスターであるキャラン(浩司)と、テレパシーによる通信を行ったいた。
直接テレパシーによるマスターであるキャラン(浩司)と、テレパシー通信を行うには、新たな4次元ワームホールと言っても、素粒子より遥に極小であったが、構築しなければならない。
4次元ワームホールを構築、維持するには、膨大なエネルギーが必要であった。
4次元ワームホールの寿命が極端に短い為でもあるのだが。
その為 非常時、緊急時以外 マスターであるキャラン(浩司)との直接通信の為の4次元ワームホールは、構築しな事になっていた。
緊急用のテレパシーがノルンから届いた。 つまり緊急事態発生。
「マスター・・・・」 かなり焦っている。
「どうした?」
「残りのホッパーが、何者かのスペース・バトル・シップ(宇宙攻撃艦隊)の攻撃を受け沈黙 完全破壊、跡形もなく消滅した思われます」
「どこからの?」
心当たりが思い浮かばないキャラン(浩司)。 アポリスの所有する軍事用人工衛星は、全て叩いたはず。
「地球衛星軌道内に、突如多数の3次元ワームホール発生に伴う重力場異常を感知 感知と同時に、発進地不明の多数の超大型、小型などのUFOが、3次元ワームホールを利用したワープ航法で、瞬時に多数出現 ホッパーによる偵察開始しようとした瞬間 光学迷彩を遥に超えるどんな索敵手段を持ちていても探査が、ほぼ不可能と思われたスーパーステルス製のホッバーの所在地を直ぐに掌握 強力なエネルギービームでの攻撃を受け・・・・・」
「何だと・・・・ EBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)による 攻撃だと・・・・」
驚くキャラン(浩司) いったいどこから来たのか? 敵対、友好・・・・ 色々な考えが脳裏を過る。
突如現れた 多数のUFOに乗り わざわざ地球に来たEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)。
もし敵対する相手ならば、今 相手をする余裕などない。
アピリムが呼んだのか?

 この情報は、敵対する 今戦っているアポリスにも瞬時、ネクスタルを利用したテレパシーにより アピリムに伝えられる・
{キャラン(浩司)のバックにいるエル以外の未知のEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体)、チャンスと思い その姿を現したか・・・」
内心思うアピリム。
確かに、キャラン(浩司)に対するアポリスの情報は、非常に限られていた。
圧倒的不利な状況を 少しでも有利にする為に、緻密な情報操作を行っていた。
本物と、偽物をうまく混ぜ必要に応じて、小出しする・・・・
今亡き 親友であった川村の個人技による面が多かったが・・・・
特に、キャラン(浩司)が、使用している数々の未知のオーバーテクノジー。 キャラン(浩司)自身が、開発した物ではない。
現状人類の持つテクノロジーを比較すらならい エルの持つ1部であるが、オーバーテクノジーを利用するアポリスすら大きく上回っている。
どこから入手したのか?
まだ知らない未知のEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体))の 何らかの見返りに得ている。 そう考えた方が、辻褄が合う。
だが、これは、キャラン(浩司)のバックにいるレグと呼ばれた太古に滅んだEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体)ではない。
キャラン(浩司)の表情を伺うアピリム。
予想とは全く異なる表情を浮かべていた。
ようやく支援に来てくれた・・・・ などの安心した表情ではない。
突如 全く知らない それも何らかの敵対する意志を持つ大勢力が 最悪の場面に現れ 対処方法が思い浮かばない・・・・ と言った驚き、戸惑いなどを浮かべて表情であった。

 大きく西に傾き始めた太陽 空一面が茜色に染まり始めた上空一杯に、次々と、大小異なるUFOが、次々と3次元ワームホールを利用したワープ航法で、ワープアウト 出現 茜色に染まり始めた上空を まさに埋め尽くし始める。
総艦艇数 数万艇は、確実に超えるだろう。 圧倒的大規模。

 余りの数で驚くアピリム。
 「キャラン(浩司)は、貴様の仲間か?」
探りを入れる。

 「俺は、こんなの知らない・・・・」 驚きの声を上げる、思わず本音を漏らすキャラン(浩司)。
余りの想定外の展開に、つい本音を漏らしてしまった。
外交交渉に長けていたならば、この状況を利用 ハッタリでも噛ますのだが・・・・ 自らの状況を有利にする為に。

 探りを入れたアピリムであったが、キャラン(浩司)のバックで、色々オーバーテクノロジーの寄与している未知のEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体)では、とても思えなかった。
それにキャラン(浩司)の態度と、今の返事。
全く知らない未知の第3勢力? と言えるEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の突如の来訪 目的は?
どう見ても 余り友好的とは、思えない。
侵略? 他を威圧するような とてつもない 無数の大小様々な外観を持つUFOが、次々と現れ 上空一杯を覆い尽くしている。
それも 数は、決して半端ではない。
非常に、重厚な まさに戦闘を起こすのが目的の陣形で布陣し 更に、その数を増している。 その数 数百万を超えている用にさえ感じさせる。 とてつもない数であった。 数千万を超えているのかも知れない。
戦う前に、数にものを言わせ圧倒 こちらの戦意喪失させる。
その様に感じさせられた。

 いったいどこから 何の目的で?
下 つまり地上から これらUFOの大集団を見たならば、同じ思いを抱くはず。
威圧的。
圧倒的数に物を言わせ 無血で制圧する意図を感じさせていた。
友好が目的ならば、少数で、相手に敵対心などを抱かせないよう 色々と配慮するはず。
それに、特に、その中心にいる 超巨大なマザーシップ(母艦) いや旗鑑? と思える超巨大なラグビーボール型のUFOから 発せられる何とも言えないこの強い力の感覚 先程から感じていた漠然とした不安感 それの源。
そして、この発せられている何とも言えない 全てを力でねじ伏せ従えさせる強い力 遥か昔に、常に感じていたある力と似ている・・・・・ そう感じるアピリム。
「まさか・・・・?」
脳裏に、ある事が蘇る。
それは、そう生体兵器、ネクストノイドの最上位モデル アピリム "ファースト" として生み出され頃。
あの頃 いつも感じていた力 強い力への憧れと、恐怖 そして何よりも・・・・・
全身から 強い憎悪のが溢れ出して来る。
あの時 理由も解らず・・・・ そして、命がけで、救ってくれた最下層に属し冷遇されていた 同じエルと呼ばれていたEBE''s(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の一種でありながら・・・・
その恨み決して忘れない。
そうこれは、あのエル。
そして、その中でも最も強い力を発しているのは、その頂点に立つ あの この宇宙最強と呼ばれる "ヤハヒム"。
まだ本格的宇宙進出しておらず、他の異星生命体 EBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)と未コンタクトの人類は、知る由もないが、その名前は、多くの銀河団まで、鳴り響かせていた。
だが、その実体は、数々の謎のベェールに包まれている。
数は少ないが、その1つ解っている事 それは、時間の単位を地球に合わせた 地球標準時間で、数万年以上生き続けている・・・・ それだけであった。

 この時点 キャラン(浩司)は、薄々感じ始めていた。
もう1つのレジェンスの融合生命体と・・・・
"無" から無数の宇宙が誕生する その生成過程で、誕生時 必ず対生成で、同時に正反対の性質持つ宇宙が2つ、同時に誕生する。
レジェンスも同様 正反対の性質を持つレジェンスが、誕生時対生成されていた。
1つは、キャラン(浩司)が融合する "ホワイト・レジェン" そして、もう1つは、今 キャラン(浩司)自身が強く、確かに、自身が持つ同じ力、エネルギーだが、何かが違う それは、同じでありながら正反対の性質を持つ 丁度 表と裏、光と闇、右と左、上と下・・・・の様な相対的な正反対の関係。
片方 つまり例えば、光が誕生すれば、その正反対の性質を持つ闇が、同時に誕生する。
どちらかの方向を 表とすれば、その正反対が、裏になるように、常に、互いに正反対の性質を持つ物が、同時に誕生する。
そうそれこそ もう1つのレジェンスである "ブラック・レジェン" と呼ばれる どちらが、ホワイト、ブラックなど、全く意味を持たない まさに、同時に対生成された 互いに、同じでありながら 相対的に、正反対の性質を持つ2つのレジェンスの1つ・・・・・
それが、あのまさに旗艦と思われる最も重厚に、布陣されている中心部の巨大なラグビーボール型のUFOから発し 感じられていた。 そして、それは、決して友好的と思われない。

 その時だった。
「こーちゃん・・・ 助けて・・・・」 みなっちの いったい何があったのか? 何かに怯え恐怖した悲痛な悲鳴が、どこからともなく 決して、音波として耳に届いた物ではない。
心・・・・ まさにテレパシーの様に、脳裏に響いた。
「みなっち・・・・」
みなっちは、レジェンスの融合者ではない。 普通の人間だ。
キャラン(浩司)の様に、レジェンスと融合し、驚異のポテンシャル・エネルギーにより 各種特殊能力は持ち合わせていない。 特殊能力の1種であるテレパーによる送受信は、不可能。
だが、みなっちの怯え恐怖し、助けを求める声が、テレパシーに様に、1度 大きく脳裏に響いた。

 みなっちの身体に何かが起きた。 それも危機的な。
慌てて感覚を研ぎ澄まし みなっちの気配を探る。
「?}
みなっちの気配を 全く感じない。
一種 顔が、青ざめるキャラン(浩司)。
死んだのではないは、確かだ。
まさに、忽然と、未知の何者かによって誘拐でもされのか? 消失した。
レジェンスのエネルギーを持ってしても その気配を捉える事の出来ない場所へ。
それは、決して、この宇宙を始め 数々の多重宇宙を生み出す "無" ではない。
時間も空間も物質もエネルギーも存在しない まさに、0(ゼロ)の世界。
何故だか? そう感じるキャラン(浩司)。

 戦いを止め 突如出現した多数のUFOが占拠する上空を見上げるキャラン(浩司)、アピリム。
同じく戦闘を停止し 上空を見上げ立ていたG<G<P(グレート・ゴッド・プロテクター)、ハイブリットユニキュラー。
上空を見上げながら、G、G、P(グレート・ゴッド・プロテクター)は、両膝を地面に着け 両腕を大きく広げながら上空にかざす。
「我が主であられる偉大な神々よ・・・・」 思わず言葉が漏れる。
どうやら この多数のUFOの一団の正体を知っている・・・・?
ピエールが信じるC宗教と呼称する物の中の聖書、経典などと呼称する物に書かれていると言う 神々などと呼称する物が、地上に降臨し、最後の審判の日・・・・ と言う場面が、今 現実となったと言う素振りに見えているのだろうか?
多数のUFOが、まさに、神々しいばかりの光を自ら解き放っている。 それは、自らが神々である。 そう誇示している・・・ 多分 見ている者全てが、そう感じられずにいられないだろう。
元々 性格が破綻しているキャラン(浩司)などは、別の視点で見るだろう。
最も重要な目的。
もし 時代が、現代ではなく まだテクノロジーも科学に対する知識もなかった過去の時代ならば、上空に燦然と輝く太陽が、大きく西に傾き始めた大空一面に、突如 光り輝く神々の一団現れた・・・・と思ったかも知れない。
それ程の まさに威厳に満ち、荘厳さを醸し出していた。 眩いばかりの光輝く世界。

 「ノルン・・・・」
キャラン(浩司)が、別宇宙にある基地のマスターコンピューターに、テレパシーで問いかける。
「はい マスター」
「この状況を把握できるか?」
「ダメです」
全ての偵察衛星を失った。
さすがのノルンも 全ての情報収集為の装置であるホッパーを失っては、手の打ちようが無い。

 「相手の出方次第・・・・ 臨機応変・・・・・」
敵が解らない以上 下手な手出しは出来ない。 だが、決して友好的ではない・・・・ それだけは、感じられていた。
それに、上空を埋め尽くす多数のUFO内から感じる気配 それは、決して1つのタイプのEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の気配ではない 多種多様 いったい何種いるのか?
中には、今戦っているアピリムと同等 中には、多分4体 それ以上の強い力を感じる。
差し詰めロイヤル・ガード? と言った所か?
だが1つだけ共通の物を感じていた。
それは、キャラン(浩司)始め 全地球上の生命体にも共通し あのUFOの大集団内部からも感じる生命体の気配にも共通していた。
同じ宇宙の元素で出来ていると考えれば、納得がいくが、全て炭素系有機化合物。

 「あれが、かって我々が、神々などと呼称させていたエルなのか・・・?」
G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)の態度を見て、不審に思うハイブリット・ユニキュラー。
アポリスの基本オーバーテクノロジーの数々は、エルが残した今1万2000年前の遺跡テクノロジーと呼べる 我々人類が、自力で到達したテクノロジーを大幅に上回る驚異のオーバーテクノロジーを研究、開発した物である。
自身を含む ネクストノイドも エルの残したオーバーテクノロジーの産物であり。 あのピエールが、装着しているG,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)もそうだ。
もし人類が、このまま自力で、このレベルのノテクノロジーに到達するには、どれだけの時間を必要とするのか? 数千年単位は、最低現必要とするのかも知れない。
それよりもあのビエールの態度。
このわしですら初めて見る上空を埋め尽くすUFOの大軍。
このハルマゲトの丘の上空ばかりでない。
全地球を覆い尽くす程の数。 大型マザーシップ 多分空母型であろう 各拠点上空に現れ そこから小型のUFOを多数発進させていると、世界各国のグロテノスからテレパシーによる通信を届いている。
どれ程の数のUFOが、この地球に飛来したのか?
軍事用、もしくは、その機能のある地球軌道を回る人工衛星は、全てこの戦闘開始と同時に、あのキャラン(浩司9に撃墜され 残った主に、通信、気象観測用などの民間用の人工衛星も あの飛来したUFOに、全て撃墜された。
地上からの限られた数しかないレーダーサイトなどでは、とても観測が間に合わない。
ここも主要な軍事用は、全てキャラン(浩司)に、緒戦で、壊滅させられていた。
残りは、民間用の天体観測用ばかり。
元々遠くの星の観測用に作られており 今からコンピューターのソフトのプログラムを書き直してもとても間に合わない。
これ程の数の大宇宙船団 それも全地球を被いつく程の 考えられる目的は、最も可能性が高いのは、それは、決して友好目的ではない。
そして、あのピエールの態度 もしあれらが、あのエルならば、ピエールは、何らかの形で、エルと、コンタクトを取っており その情報を元に、装着する2つのプロテクターの情報を入手していた。
そして、エルの何らかの指令の元に、動いていた・・・・ そう考えられる。
我々ネクストノイドを始末させる為に・・・・ だが、ピエールでは手に負えぬとみて・・・・・
あれ程の大艦隊で、地球事 それも地球の全生命も消し去る気か・・・・?
迎え撃つには、こちらの戦力が・・・・・
現状 圧倒的戦力差があり過ぎる。

 色々な考えが過るハイブリット・ユニキュラー。

 「こちらから探しだし 乗り込んでやろうと・・・・」
正体に気付くアピリム。
そうアピリムの最終戦略目標 "大いなる計画" それは、全人類をネクストノイド化し この宇宙に飛び出し あのエルを見つけ出し あの時の恨みを晴らす・・・・
積年の恨みが、全身から溢れ出す。
「今 こそ1万2000年前の恨みを・・・・・」
「丁度手間が省けて・・・・」
強気な思いは、危機的状況の裏返しでもあった。
現状 これだけの大戦力 完全に地球を被いつく程の大戦力 真っ向から挑んでも勝算などない。
「何より敵 エルは、上空 もはや手持ちの兵力 グロテノスの中に、飛行タイプは、全てキャラン(浩司)に叩かれた。 余と、後飛行可能なのは、G,G,P(グレート・コッド・プロテクター)と戦うギルだけ とてもこれだけの数 相手に出来ない。 キャラン(浩司)が、余に付いてくれた所で大差はない。 何より重要な制空権、その上空の制宙権を取られ 完全に包囲されてしまった。 このまま上空からあれだけの数のUFOからの一斉射撃を地上に受ければ、それこそジェノサイド(大量虐殺) 人類どころか? 地球上の全生物が、壊滅すらあり得る・・・・・」
現状を素早く把握するアピリム。

 キャラン(浩司)も同様であった。
全地球が、まさに人質に取られた状況であった。
「生殺与奪権は・・・・」 余り考えたくない いやこの状況 最悪のケースを想定しなければならない・・・・ 実に嫌な事だが・・・・
自身だけで、全地球を守ることは不可能 解りきっている。
それと同時に、みなっち・・・・・
確かに、先程みなっちの悲鳴が、心に響いた。
その後 気配を全く感じない。
直ぐに、みなっちを・・・・ だがどこへ行ったのか?
無暗に探しても決して見つけ出せない。
それに、今下手に動いては、あのUFOの大艦隊からの敵対行為と見なされ 全地球規模・・・ そうあのUFOの大艦隊は、間違いなく攻撃タイプ それも全地球を覆い尽くしている。
いったいどれ程のエネルギー量、火力を持っているのか?
出方を見るしか・・・ 非常に歯がゆい・・・・
それに、中心に位置する あの旗艦? 全長数十Kmはありそうな 超大型FS(フライング・ソーサ=円盤)タイプのUFOから伝わる もう1つのレジェンスの感覚 俺のレジェンスの能力を遥に超えている。
そう あの禁断のAbsolute Area(絶対領域)を 超えた更に先にあるエネルギー・・・・ そう感じるキャラン(浩司)。
いま 真正面からぶっかっても 勝算など 皆無に等しい。
余りの情報不足 全く知らない敵? "敵を知り己を知らば、百戦して危うからず・・・・" 有名な格言が頭を過る。
敵?を知らなければ、手の打ちようがない。
まず相手の目的、真意を探る。
地球人類を代表しての外交交渉権など、キャラン(浩司)にはない。
当たり前だが、キャラン(浩司)は、地球人類の支配者でも 最高権力者でもない。
現状 全地球を支配下に置くアポリス、つまり新人類でもあるネクストノイドの支配に対して、贖い反する良い言葉で言い表せば、たった1人のレジスタンス。 現状テロリスト。 歴史的評価は多分こちらだろう・・・・
人類の更なる進化に、"ちゃち" を入れた。

 地球上の各地で、この状況を ほぼと言ってもいい 全人類が、上空を見上げ目撃。
地球は、球体 同じ時刻であっても昼の側もあれば、夜の側もある。
深夜に差し掛かり眠りについた側の人々さえ 周囲の余りの騒音に、飛び起き 騒ぎ立てる人々のの声に上空を見上げ、ただ驚くばかりであった。
だれもが、異口同音 口々に発する言葉 「あれは、いったい・・・・・」
雲1つない満天の夜空一杯に埋め尽くし光輝く星々とは、全く異質であり 強い光を周囲に、燦然と解き放っ強力な光。
余りの数の多さに、ただ唖然と、次から次へと、現れ 更にその数を増す光点、それが人工的造られたと、一目で解る そうそれはUFO ただ呆然と見上げる事しか出来ない。
このUFOの大集団を見た者全てが、同じ思いを抱いていた。 それは、恐怖 とてもだれもが、友好的が目的とは、感じる事が出来なかった。
だれもが、何も解らない未知の物に対する警戒感による恐怖とは、全く別 それは、蛇に睨まれたカエル・・・・ そう言った心境であった。

 その点 アポリス最高権力者で、支配者である アピリム。 地球人類を代表する立場であるのだが・・・・・
だが相手の正体に気付いており 多分その目的も・・・・・

 そして忘れてならないのは、もう1人。
その1人は、知っている 多分間違いない。 UFOを その全てを・・・・

 審判の日 もしくは、最後の審判と呼称される ピエールが信じるC宗教や、世界最大の信者数を誇ったI宗教などで、呼称されている物。
I宗教においても世界の終末に神々などと呼称する物が降臨 最後の審判をくだすと言う・・・・ 
「用は、都合の良い選民思想の真骨頂・・・・・」 キャラン(浩司)は、おどけたポーズで、皮肉たっぷりに、いつもそう批判していた。
神々などと呼称する何かに、選ばれた者のみ救われる・・・・ はやはや・・・・ ただ呆れるだけ。
選ばれし者のみ 天国とか言う所へ行き 永遠の生命があたえられ それ以外は、地獄と言う場所へ落ちる・・・と言う。
「地獄の方が、退屈しないかな? 川村と一緒なら かなり楽しめそう・・・・」 などと、不敵な薄笑いを浮かべ言うキャラン(浩司)の性格破綻者は、別とすべきだが・・・・
だが思考回路が違えば、見え方もおのずと違ってくる。
今 上空一面・・・・ いや全地球規模を被う UFOの大集団。
宗教などと呼称する物を信じる人々にとって、全てではないが、審判の日 もしくは、最後の審判と呼称される物が、聖書だとか、経典だが知らないが、その中の預言? などと言う形で書かれているいる事を信じる者達にとっては、審判の日 もしくは、最後の審判と呼称される物が、現実に起きた・・・・ と思ったであろう。 今取り巻く自ら置かれている環境 まさに世紀末の模様でもあった。
この戦争以外にも、あらゆる天地災害が、地震の頻発 そり歴史的規模の巨大地震の頻発、異常気象、季節外れの超大型台風の続出、原因が台風でこそなかったが、異常な集中・・・・いやゲリラ豪雨の続出、場所を変えれば、異常な日照りが続く・・・・ 上げたらキリが無い。 まさに滅びの日が近づいている。
とても、まともな精神状態ではいられない状況でもあった。
メシア(救世主)信仰の根本的精神的欠陥である他力本願 自らの努力で解決を図らないで、全て他人 この場合、神々などと呼称する物や、その意志を伝えると呼称する聖人などと呼称する物に、追いすがり 自らとって代わって、都合よく解決してもらう・・・・
人間は、決して強い、精神面を含めて生命体ではないのだが・・・・
この状況下 このケースでは、だれもが、自らに代わって、困難な事柄に対する解決を望み 自らを傍観者に徹したい気持ちは、決して解らなくもないのだが・・・・・
日本の特撮で有名な円谷プロダクションのウルトラ兄弟のシリーズの典型パターンである ヒール(悪役)の怪獣を 人類に取って代わって倒してくれる EBE''s(イーバース=地球圏外知的生命体)正義? のヒーローの存在。
そして、神々などと呼称する物に、選ばれ 永遠の生命を与えられ ハッピーエンド。
出来過ぎたシナリオ。 選民思想、メシア信仰のまさに神髄。

 この辺はどうでもよいが、現状 地球をあのUFOの大軍に完全に包囲された。
相手の得体も知れない。
1つだけ解っている事 その中心には、同じ そうもう1つのレジェンスの融合生命体がいる。
そして、全く気配が、忽然と消えた みなっち・・・・ 多分 やつらの手中に・・・・
最も妥当な考えと思えた。

 「アピリム・ファースト・・・・」
地球人類の言語ではない。 多分テレパシーの1種? だれもが異なる言語であったが、その言葉の意味が理解出来た。
「久しぶりだなあー・・・ と言っても、余を見た事がないはずだが・・・・・」
圧倒的、相手を威圧し、従わせる アピリム以上の王者の風格を漂わせる 真の全ての支配者が発する声であった。
宗教などと呼称する物を信じる者にとって、まさに、天などと言う場所にいると言う神々の声 それも最高神などと呼称する物の・・・・

 「き・・・・貴様・・・・・ あのエルの・・・・・・」
声が震えている それは、決して恐怖した声ではない。 全ての憎悪に燃え上がる憎しみと、怒りに満ちた声。
鋭い、これ以上はないと思われる眼光で、ある1点を凝視するアピリム その見つめる先は、あの旗艦と思われる超大型マザーシップタイプのUFO。

 「そして、もう1対・・・・・」
この言葉に、今まで、頭を地面に着け、ひれ伏した姿勢でいた G,G<P(グレート・ゴッド・プロテクター)が、少しだけ顔を上げる。
身体全てをプロテクターに覆われている為 その表情を伺い知る事は出来ないが、その態度から解る 相手に対して、畏敬の念を抱いている。

 「はい 私めこそ全知全能なる神々の中の最高神であられる 我が主の忠実なる聖なる下僕(しもべ)・・・・・・」
声が震えている。

 「確か? ピエールとか申していたか? いやアピリム・フォースよ・・・・」
この言葉 2体だけの会話ではない。 言語が異なっておりだれもが、理解出来ないはず。
だが 誰もが理解出来た、 ここハルバゲドンの丘にいた者全てが、いや地球上の全ての人類が。
そう大気を震わせ音波による会話ではない。 同じ波の性質を使用したコミニュケーションでこそあったが、キャラン(浩司)も、ネクストノイドも利用している それぞれ波としての波形などの性質の違いなどにより決して、互いに、特殊な領域の波である為 送受信そのものが出来なかったが、どういった原理なのか不明? だが言葉ではないが、それを聞く事も理解も出来た。 そう思念波 つまりテレパシー。

 唖然とした表情を浮かべるアピリム・ファースト。
「余 以外にアピリムが・・・・」
ネクストノイド 最上位モデルにして、最強の生体兵器 過去 自身であるファーストと、そして後2体 セカンド、サードのモデルが、存在した。
しかし セカンド、サードのモデルは、今から地球標準時間で、約1万2000年前のあの事件で、自らの手により倒した。
もはや アピリムは。自分自身以外存在しえない。
非常に稀な存在であり 特殊な改造等を必要としていた。
だが、ピエールが、本当に、アピリム・アォースなのか? エルの残した遺跡オーバーテクノロジーの数々の秘密に精通していのは、アピリム・フォースであった為 何らかのコミニュケーションを取っていた・・・ と推定すれば、納得が出来る。
だが、何故それならば、自ら最強の戦闘形態であるアピリムへの改造を受けず、あのG<P(ゴッドプロテクター) 更に、その上に装着するG、G、P(ク゜レート・ゴッド・プロテクター)など装着したのか?
納得出来ないアピリム・ファースト。

 ピエールは、子供の頃 自ら特殊なDNAを持つアピリム・フォースである事を 本人に言わせれば、まさに神々からの天啓で知る事なった。
だが、強い宗教心 特に、神々への信仰心と呼称する物から 神々へ反逆したアピリム・ファーストに対して、強い嫌悪感を持っていた。
神々へ反逆した者と同じ呪われた力。 そんな呪われた力などいらない。 それよりも自らを神々になる事に、強い憧れと、野心を抱いていた。
神々と呼称した エルとも呼ばれたEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、装着していたマルチフォーマルスーツ その中でも戦闘用に特化したB,P(バトルスーツ)。
それを着用する事で、自らを神々へと近づける。
そして、天啓に従い 最後には、自らを神々の一員となる。
これこそが、ピエールの抱いた野心であった。
だが、そんな事は、アピリム・ファーストの知る事ではない。

 「・・・・我が主であり全てを統率、支配する偉大な神々が、この地球に降臨なされる前に、敵であり反逆者どもでもあるネクストノイドどもの一掃を図ったのですが、思いのほか強く・・・・・」
ピエールの声もまた耳から聞こえる音波としての声ではなく、脳裏に響く。
「・・・・我が主であり全てを統率、支配する偉大な神々が、この地上に降臨 この瞬間から築き上げる約束の日 偉大なる神々の支配する偉大なミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)・・・・」
「達成出来のか?」 有無を言わせない強烈な言葉が響く。
「は・・・はー・・・・」 更にひれ伏せる G,G.P(グレート・ゴッド・フロテクター)を装着するピエール。 そこには、普段の自らを選ばれしエリートとしての高慢さなどない。

 その様子を ただの下らない茶番劇として、模様眺め徹するキャラン(浩司)。
まず この全地球を覆うUFOの大集団 あのかって我々人類が、神々などと呼称したエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)であること。
それが、地球標準時間で、約1万2000年ぶりに現れた。 目的は不明。 何か? ピエールとの密約があるらしい・・・・
それと、どうやら敵対する関係である。 みなっちの気配が消えたのは、あのエルに拉致された・・・・ まず間違いない。
今 ここでもし戦闘を起こしても 戦力差など言葉以前 あのUFOからの総攻撃を喰らえば、地球は、間違いなく生命の存在しない死の惑星と化かる。
エルと敵対関係にあるアピリムを始めとするネクストノイドと この歳 呉越同舟で、共闘しても答えは同じ。 勝機などない。
色々考えが過るキャラン(浩司)。
・・・・まずみなっちの気配を見つけ 隙を突いて、テレポーテーション 奪還後 戦略的撤退・・・・と言えば聞こえがいいが、用は敵前逃亡 みなっちをとにかく安全と思われるアルファーベースへ そして、戦わずして、エルには、お帰りいただく様・・・・ 以外選択の余地はないなあー・・・・

 勝算なき戦いなど ただの無謀な殲滅戦に過ぎない。 戦略家としての資質を育むキャラン(浩司)である。
常に、戦略的見地から物事を思考する。
物量差などの戦力差 もはや 最初から勝負にならない。
大軍を用いて、少数の敵をt完全包囲 殲滅 叩く・・・・ 戦略の基本。
その為の準備を 用意周到にする・・・・

 「白旗でも振るか・・・・・」 少し呆れて呟くキャラン(浩司)。
他だし 相手つまりエルが、白旗の意味が解ればだが。
余りにも絶体絶命のピンチ かえって冷静となり 第3者的な発想に陥っていた。

 そんな事を考えている時だった。

 「アピリム・フォースよ 我の命に・・・・・」
「お待ち下さい 我が主よ・・・・・」 声が怯え震えながらも懇願していた。
このままでは、殺される。
「・・・・それならば何故 忠実なる下僕(しもべ)である私に、我が主と同等の力を持つB,P(バトルプロテクター)や、最強の戦闘用のG,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)を私に寄与されたのでしょうか?」
「ふん・・・・ たかが貴様らの時間で、約1万2000年前に廃棄しそこねた 今や過去の遺物でしかないローテクの産物・・・・・」
「・・・・」 言葉を失うピエール 
「約1万2000年前の過去の遺物でしかないローテクの産物・・・・・」 呆然とした態度で、打ちのめされる。
これこそ神々と同等の最強の力と信じていたピエールに取って、最後通告に等しい言葉であった。
全く信頼もされておらず、神々が与えた試練などではなかった。
ただの使い捨ての駒以下 与えられたのは過去の遺物と言える もはや何も役に立たないガラクタ以下・・・・・

「・・・・・」 何かの言葉が、響いた。
その言葉が、脳裏に響いた瞬間 何かの強力なビーム・・・?
何か? 細いが、強力なエネルギービームが、G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)の額のレアクスタルこど身体を貫いた。
そのビームから発する光の方が、ほんの僅かであったが、遅れて届く。

 「まさか、物理学、素粒子学上の仮説上の素粒子の1種 スーパーブラディオン・・・・・」
その様子を模様眺めしていたキャラン(浩司)。
唖然とした表情で、小声で呟く。
スーパーブラディオン(superbradyon) 光速よりも速く動く仮説上の素粒子の1種 もう1つ有名な仮説上の素粒子の1種で、超光速と動くとされる"タキオン" と違って、正の実数の質量とエネルギーを持つとされている。
そうでなければ、何かが、G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)の額のレアクスタルこど身体を貫いた後 光のビームが、突き刺さった様には、決して見えない。

 G,G,P(グレート・ゴッド・プロテクター)が、爆発する だが、爆発に伴うソニックブーム(衝撃波)などは、またも何か極小の1点に向かい吸い込まれる。

 「たかが下等な生命体のただの実験体の運良く生き残った子孫の分際で、我々と同等だと思い上がりおって・・・・」
まさに、生殺与奪権は、我にあり・・・・ と言わんばかりの言い種であった。

 「またも 超ミニブラックホール・・・・」
キャラン(浩司)自身が使えるレジェンスの能力をケタ違いに使う 本来 "無" から対生成された2つのレジェンス その秘めたるポテンシャル・エネルギーは、全くの同等 だが、もう1つのレジェンスの融合者は、キャラン(浩司)とは、比較すらならない程であった。
貴様など敵ですらない・・・・ そう言う心境に陥る様 心理戦を仕掛けられている。 そう感じるキャラン(浩司)。
これが、レジェンスの持つ まさに無限のポテンシャル・エネルギーの1部。
様々と見せつけられている。
その無限のポテンシャル・エネルギーを自在に使いこなすソフトウエアーとしての能力、レベルの違い。

 「ヤハヒム・・・・・」 何故か? この言葉が、脳裏に響く。 どうやら もう1つのレジェンスの融合者の名前 そう感じるキャラン(浩司)。
実体は、まだ見えないが、ただ感じる事が出来る。
そうキャラン(浩司)同様 ヒューマノイドタイプの外形を持つ EBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体) そして、地球標準時間で、数十万年以上 全く老化せず生き続けている。

 猛烈な これ以上ない 嫌悪感が、身体を揺さぶる。
同時に、近くで、この様子を見ていたあのアピリム・ファーストが、いたたまれなくなったのか? やはり鬱積した積年の恨みに我を忘れたかのように、猛然と、あの超巨大な旗艦と思われる中心部に位置するマザーシップに向かって、飛行を開始する。

 「行くな アピリム!!」
キャラン(浩司)の 必至の叫びが、ただ虚しく響く。

 「ヤハヒム・・・・!!} 雄叫び上げ 猛烈に突撃を試みるアピリム・ファースト だが、その行く手を阻む様に、何か、そう見えない壁に衝突 そのまま弾き飛ばされる。
「バリヤー・・・・」 そう唖然と表情で呟く、だが、電磁場などを利用した光の壁ではない。
別種 そう 眼に見えない巨大なエネルギーが、展開されており それが壁となって行く手を阻まれた。
ネクストノイド最強のBS(バトルスタイル)に変身後のアピリム・ファーストの力を持ってしても破れない 強大な まさにエネルギーシールド。

 「あの時の死にぞこないが・・・・・」
「我に 復讐・・・・ 片腹痛いわ・・・・」 まさに嘲笑。 全く相手にすらしていない。

 大きく弾き飛ばされたアピリム・ファーストは、地面に叩きつけられ 衝突時に発生する小さな爆煙が舞い上がる。
ただの別種のバリヤーとの衝突ではなかった。 衝突時別種のバリヤーのエネルギーにより身体内部のあらゆる機能が、大きなダメージを受けていた。 ただのダメージではない アピリム・ファーストもBS(バトルスタイル)に変身時 かなり強力な自己修復能力を持っている。 あるレベル以下のダメージならば、短時間で元通り回復する。
ある程度の自己修復能力がなければ、局地戦での白兵戦などの戦闘時 生体兵器としての運用を 極めて注意しなければならない。
用は、荒く使えない。
華奢では困る 耐久性と同様。
そうでなければ、生体兵器としての意味がない。

 よめめきながらもようやく立ち上がるアピリム・ファースト。
大きなダメージを受けているようだ。
何と言っても アピリム・ファーストの象徴の1つと言える 背中から生えるゴールドに光輝く2枚の翼。
2枚共 無残にも生え際から まさにねじ切られ 凄惨を現している。
だが、この程度では負けていられない。 その眼を強く語っている。 強い光を帯びた眼は、ヤハヒムがいるマザーシップを鋭い眼光で睨む。
同時に、残りのエネルギーを極限まで高めようとした。
その瞬間・・・・・
先程のG,G.P(グレート・ゴッド・フロテクター)の時と同じ現象が起きた。
何かのエネルギーで出来た まさにエネルギーの槍・・・・・ 額のゴールドに輝くネクスタルを貫く。 ほんの僅かのタイムラグ(時間差)であったが、数本のエネルギーの槍が、身体の数ヶ所を同時に貫く。
丁度両足の太ももの部分に1本づつ、そして両腕 少し太めのエネルギーの槍が、丁度腹部であった。
ほんの僅かである エネルギーの槍の発する光が、遅れてアピリム・ファーストの額のネクスタル、身体の数ヶ所に向かい光速で、直進 突き刺さった様に見えた。
普通の人間の眼には、決して、この違いを見抜く事が出来ない。
だが、キャラン(浩司)は、レジェンスの融合者 光速でも見極められる。

 「アピリム・・・・・!!」 何故か? 敵であるはずのアピリムに対して、叫び声を上げるキャラン(浩司)。
上空から降り注いた複数のエネルギーの槍に、少し後方に倒れ気味に、串刺しにされた状態で、宙吊りになったアピリム・ファーストに駆け寄る。
おびただしい量の鮮血が流れ落ちる 凄惨な現場。
突き刺さったエネルギーの槍を どうやったのか解らない ただ夢中で、全身に流れるレジェンスのエネルギーを高め引き抜く。
何故? 敵であるはずのアピリム・ファーストを助けようとしたのか? 自身全く理解不能であった。
はっきと言って、ピエールは、ある意味で、見殺しにしている。
ゆっくと、やさしく地面に、鮮血だらけのアピリム・ファーストを寝かせ 左腕で頭だけを持ち上げる。
これ程 まさに即死状態になっていてもおかしくない。
特に、生命線である額のネクスタルは、突き破られている。
だが、アピリム・ファーストは、まだ微かであったが生きていた。

 「キャ・・・・ キャラン(浩司)」 今にも消え入りそうな弱々しい声を上げる。

 何か? 強烈なメモリー(記憶)が、テレパシーとして、キャラン(浩司)の脳裏に、一気に大量に流れ込んできた。
言葉による会話ではない。 テレパシーによるもの・・・・ だが、キャラン(浩司)と、アピリム・ファーストは、互いにテレパシーの使用領域、波長などの根本的な違いにより テレパーによる会話は出来ないはず。
流れ込んできたテレパーを使ったメモリー(記憶) それは、今から約1万2000年前のアピリム・ファーストのあの事件の記憶の全てであった。 そして、エルに関する知る限りのデータ。 そして、自ら立てた戦略プランである "大いなる計画" の全容。
"大いなる計画" 全人類をネクストノイド化し 無数の大型スペースシップ(宇宙船)で、エルの本拠地に乗り込み ヤハヒムを始め 全エルを叩きのめす・・・・ 私怨による復讐劇であるが・・・・
元々人類は、エルによって、局地戦用の近接戦闘に置ける白兵戦用に、我々現在種の前の種であるホモ・サピエンスを改造 生体兵器ネクストノイドの基本ベースとなるホモサピエンス・サピエンスとして創られた改造種 そして、今 人類と称しているのは、その子孫。

 今にも消え入りそうな微笑みを浮かべるアピリム・ファースト。
まさに、何かをキャラン(浩司)に託した。 そう言う笑みであった。
「エル・・・・を あのヤハ・・・・ヒ・・・・ム・・・・を・・・・・」
最後の言葉であった。
眼を見開いたまま その長きに渡って生き続けた人生の終焉を迎える。

 右手で、見開いたままの両目を閉じさせ 地面に寝かせるキャラン(浩司)。
「・・・・・」 キャラン(浩司)なりの哀悼だったのか?
人類で多分 最初の夢の統一征服者であり支配者 アピリム・ファースト。
今 その長き約1万2000年以上と言う人生に終止符を打った。
大半は、カプセルの中の眠りの状態であったが・・・・

 直ぐに傍らに、いつの間にかハイブット・ユニキュラーが、両膝を地面に着け 頭を下げた状態でいる。
「ア・・・・アピリム様・・・・・」 呆然自失となっていた 受け入れられない状況 ただ涙声。
今まで、築き上げてきた全てが、今 この瞬間 崩れ去る・・・ そんな心境であった。
そうあの日 今からもう数百年も前の話 ある古文献を元に 大西洋にあるバミューダ海域の孤島で、アピリムの眠るカプセルを発見・・・・ そうあの日・・・・あの日から全てが始まった。
そんな思い出だけが、走馬灯に様に脳裏を横切っていく。
全てを失った抜け殻の様に・・・・・

 「キャラン(浩司)とか、言ったなあー・・・・」
例のテレパシーによる声が、キャラン(浩司)の脳裏に響く。
「この我こそ 全宇宙を支配する者 貴様らが、神々などと呼称する物の中の 唯一絶対の最高神 名は、ヤハヒム・・・・・」

 冷酷な表情を浮かべながらも 左胸のポケットからタバコを取り出し 1本口に咥え火を付ける。
一服 もし未だ宗教などと呼称する物に、絶対の信仰心を持つ者が見たならば、神々などと呼称する物を恐れぬ 何と不届きもの・・・・ と思わせる高慢な態度に見えただろう。
だが、キャラン(浩司)は、筋金入りの無神論者。 相手は、キャラン(浩司)同様 この宇宙を構成する物質 素粒子の集合体 ただの炭素系 有機化合物に過ぎない。 崇拝などと呼称する対象ではない。
「もし そうだとしたら?」
まるで、相手にしていない。

 「我と同じ2つあるレジェンスの1つ そうホワイト・レジェンの融合者 だがまだ覚醒どころか・・・・」

 「それがどうした?」
話を遮る。

 「それもよかろう・・・・」
完全に見下している。
「たかが、太古のローテクの生体兵器である アピリム・ファースト程度に、手こずっているとは? レジェンスの融合者としての能力・・・・・」
反論する気にもなれなかった。 全くの事実。 レジェンスの持つ本来のポテンシャル・エネルギーを うまく運用出来ず苦戦を強いられていた。
反面納得出来ない面もあった。
これは、キャラン(浩司)と、アピリムとの私怨による戦いの側面が強い。
確かに、未来の人類の命運・・・・などと言う大義名分こそあったが。
だれも邪魔を許される物ではない。
2人だけの決着。

 「・・・・まだレジェンスの持つ本来のポテンシャル・エネルギーに覚醒していない貴様などから レジェンスを奪い取っても 面白味もない・・・・・」

 何を言っているんだ? と言った表情を浮かべるキャラン(浩司)。

 「・・・・貴様の最愛の恋人と称する 伴侶とも言うべきかな? 貴様らの生体では? その相手の女 この我が貰い受けた・・・・」

 「みなっち・・・・・} 小さく叫ぶ。
先程から 全く気配を感じなくなっていた。 もしや? の思いがあった。
やはり やつらの手に・・・・

 「返して欲しくければ、この広大な宇宙へ来い それもレジェンスの持つ本来のポテンシャル・エネルギーに覚醒してからだ・・・・・ 今の貴様には、何ら価値もない」
まさに、格下の敵ですらないと言わんばかりの言い種であった。

 「みなっちは、あの巨大なマザーシップタイプのUFOの内部・・・・」
そう思いつつキャラン(浩司)は、レジェンスのエネルギーを急速に高める。
一気に、マザーシップタイプのUFOにテレポーテーションして、みなっちを救出・・・・・
「・・・・?」
だが、何か? 巨大な重力に似たエネルギーで、抑え込まれる。
全身が、金縛りの様な状態で、テレポーテーションが出来ない。
気持ちだけが、焦る。
このままでは、みなっちが・・・・

 まさに気合。
強力な金縛りを強引に破る。

 「良くぞ 破ったなあー だがその程度」
高笑いの声が、テレパシーとなって脳裏に響く。
同時に、今度は強力なビームがキャラン(浩司)に襲い掛かる。
光速を超える超光速のスーパーブラデイオンではない。
スピードは、光速以下。
だが、バリヤー展開も間に合わない。 直撃。
その瞬間 何がキャラン(浩司)の身体に体当たり 弾き飛ばす。

 「リン・・・・・!!」 必至の形相で、大声で叫ぶキャラン(浩司)。
そう体当たりしたのは、あの世紀の絶世の美女 美貌の死神・・・・ などと恐れられていたハイパー・ビューカー リン。
キャラン(浩司)との戦闘で、意識を失っていたが、ようやく意識を取り戻し この戦闘を見ていた。
自らの出番が必ず来ると信じ 待っていた。
だが、キャラン(浩司)の絶体絶命のピンチに、考えるよりも先に身体が、勝手に動いた。
自らを キャラン(浩司)の盾となった。
1本のビームが、リン背中から腹部を貫く。
その完璧と、だれもが認める美しい身体は、まさに宙を舞う。
そのまま前のめりに、地面に倒れるリン。

 「リン・・・」
弾き飛ばされたものの直ぐに、態勢を立て直し 地面に、うつ伏せに倒れたリンに駆け寄るキャセン(浩司)。
リンの態勢を うつ伏せから仰向けに直し 頭を左腕に乗せ抱きかかえる様にする。

 「リン しっかりするんだ」

 その声に反応 閉じていた眼 ゆっくりとだが開く。
視線が、定まっていない。
「キャ・・・・ラン(浩司)・・・・・」
今にも消え入りそうな弱々しい声。
何故なのか? 一瞬ほっとした表情を浮かべる。
「この私としたことが、たかがこんな程度の男に・・・・ やきがまわったもんだ」
自嘲気味に言い放つ。
「こうして、貴様に抱かれ 腕枕で死ねるのは、悪くは・・・・・」
全ての力を失った様に、頭を少しだけ横へ力を失ったようにうなだれる。
その表情は、何かに満足した表情であった。
まるで、幼い少女のくったくのない無邪気な笑顔・・・・ キャラン(浩司)には、そう見えた。
多分 人生で、最も美しい笑顔であったかも知れない。

 「リン・・・・ おい・・・・リン」
キャラン(浩司)の声は、決して届かない。
やさしく地面に寝かせる。

その瞬間 別の何が、急速にマザーシップタイプのUFOに向かい飛び立った。
ハイブリット・ユニキュラー。
「アピリム様の敵・・・・・!!」 大声を発する。 憎しみを込めて。

 だが?

 飛び立った瞬間 やはり 先程のG、G、P(クレート・ゴッド・プロテクター)同様 額のネクスタルに、何かが貫通する。 僅かなタイムラグで、エネルギーの槍が、突き刺さった様に見える。
光速を超える超光速スーパーブラディオンを利用した技。
同時に、ハイブリット・ユニキュラーの身体は、爆発、消滅する。

 これにより残りのネスクストノイド 主に、グロテノスなどを支配していたテレパシーによるマインドコントロル(精神支配)の呪縛が解けるはずであったが?
元々キャラン(浩司)の基本戦略目標の1つ ネクストノイド最上位モデルのアピリム、その下に位置する 残りの8大将軍でもあるデストロを倒し 残りのグロテノスなどを支配していたテレパシーによるマインドコントロル(精神支配)の呪縛を解き、解放する・・・・ であった。

 「そろそろ 昔のゴミの処分でも始めよう・・・・」
嫌な言葉が、テレパシーとなり 間違いなく全人類の脳裏に響く。
その言葉の意味する物?

 だが周囲に展開するまだ生き残っている大多数グロテノスなどの様子が、おかしい?
全員 両手で、額のネクスタルを抑え もがき苦しみ始める。
次・・・ 次と、ネスクタル内部から小さな爆発が起こり 同時に、頭部が吹き飛ぶ。
頭部が吹き飛んだ身体は、地面へと倒れ始める。

 その様子を見ながらも身動き1つ出来ないキャラン(浩司)。
またも例の強力なエネルギーによる金縛り 先程とは比べ物にならない程強力であった。
余りの強力なエネルギーにより押しつぶされそうな程であった。
もしブラックホールの特異点に入ったならば、こんな感じなのかも知れない。

 周囲の無数に思えるグロテノスは、次々と頭部が吹き飛び地面に倒れていく。
どうやらあのエルのUFOの大艦隊から発せられた ある種の周波により 自動的にネクスタルが、自爆を起こしている・・・・・

 僅か数秒であった。
この地球人類の頂点で、君臨、支配していた全世界中の 約数百万を大きく超えるネクストノイドは、絶滅した。
眼の前の・・・・ いや 今 地球上の至場所で起こっている惨劇に、ただ強力なエネルギーによる金縛りで、何も出来ないキャラン(浩司)。
ただ傍観。
歯ぎしりし悔しさを滲ませた表情を浮かばせる事しか出来ない。
自ら何も出来ない無力差を痛感させられる。

 続いて、「殺(や)れ」
全く情け容赦のない ただの無用の不要物の廃棄を命じる そんな口調であった。

 そり言葉り持つ意味に直ぐに気付くキャラン(浩司)
「やめろーーーーーーー!!」
その言葉だけが、虚しく殺風景な荒涼とした岩砂漠 人類最終戦争が行われる地とされた ここハルマゲドンの丘に、響いた。

 最盛期 最大70億人を超える人口を誇った人類。 現在種 ホモサピエンス・サピエンス。
僅か数分間の出来事であった。
まさに、史上最悪の "ジェノサイド" 大量殺戮。
宗教などと呼称する物を信じる者に取って、神々などと呼称する物が、最後の審判の日に、地球に降臨 神々などと呼称する物に選ばれし選民のみが、救われ 待ち望んでいたミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)の到来 神々などと呼称する物の絶対の支配下 統一された精神体の1部となって、永遠に生きる・・・・となると、預言されていたと呼称していたが、現実は、もう1つ それは、全人類の1/3以上が絶滅すると言う アポカリプス(黙示録)。
この僅か数分間で、全地球上の人類の約95%以上が、永遠に失われる結果となった。
推定約3億人以下 生き残った人口の数。
まさに蝋燭の最後の風前の灯火に似た状況へと、一気に追い込まれた。

 それは、だれもが、多分想像し得ない幕引きとなった。
ヤハヒムのテレパシーによる指令 その瞬間 全地球を覆い尽くしていた大小様々なUFOからの一斉ビーム砲などによる射撃であった。
攻撃目標は、全人類と、その生活基盤を支える全てのインフラン施設 全ての軍事施設、基地、ダム、工場、発電所 油田、鉱山・・・・主要施設の全て。
一斉射撃の終わった後の地表の全てが、まさに、地球の衛星 "月" と思わせる程の大小様々な来たばかりのクレーターのみ。
まさに生命の痕跡すらない死の惑星と化した様に思わせる光景であった。

 事前に調査済みであったのか?
全て正確に、目標ポイントを攻撃された。
地下深く、または、強固な山の中心部をくり抜き作られた軍事施設も 地面深く、山ごと削り取られる様に、徹底的に破壊され そこには、巨大な隕石が衝突したと思われる程の 巨大なクレーターだけが残されていた。
UFOの大軍から浴びせられた無数のビーム、エネルギー砲、エネルギー弾は、まるで、短時間に襲うゲリラ豪雨の様にすさまじく降り注ぎ、この時点生き残っていた人類の95%を超える人類は、そのターゲット(目標)として、殺傷処分 まさにその言葉ふさわしい結果であった。

 待ち望んでいた神々などと呼称する物の降臨による"ユートピア"が、訪れたのではなく 来たのは"デストピア"。 アポリプス(黙示録)であり そこは、ただの世紀末。 そして、待ち望んでいたはずのメシア(救世主)は、決して、現れなかった。

 UFOの大軍からの まさに地獄のゲリラ豪雨射撃中。
何も防御出来ないヤーナの議長マークにも 何本もの細いビームが襲い掛かった。
「マーク議長!!」
傍らにいた ヤーナ軍 最高司令官永井が、装着するBP-1が、身体を呈してマークを庇う。
数本の細いが、相当強力なビームが、あの強固なBP-1の未知の合金で出来た特殊装甲を 難なく貫通する。
「永井司令官!!」
マークの悲痛な叫び声が木霊する。
人類に取って、驚異のオーバーテクノロジーの産物であったBP-1 だがエルに取っては、約1万2000年前の もはや戦闘用の武器としての価値すらない ただの太古のローテクでしかない。
まさに、約1万2000年前のもはやテクノロジーとすら呼称すら出来ない程のレベルの差を 様々と見せつけられる結果となった。
約1万2000年と言う時間 その間格段に進歩していた。

 数分間のまさに、地獄の一斉射撃が止んだ。
まるで、別の惑星と化した地球。
大量に舞い上がった土煙が、少し晴れてきた。
ようやく強力なエネルギーによる金縛りが解けるキャラン(浩司)。
余りにも変わってしまったハルマゲドンの丘をただ呆然と見る事しか出来ない。
ここには、自身以外 生命の痕跡を探すのは、とても無理に思えた。
あるのは、出来たばかりの大小様々なクレーターのみ。
月面もしくは、水星などの表面の方が、遥にマシに思える程であった。

 「キャラン(浩司) 貴様の時間単位で、約1万2000年前の残していったゴミの処分も ほぼ完了した・・・・・」

 「・・・・この女を返してほしければ、我の元へ来い・・・・・」
その言葉がテレパシーで脳裏に響くと同時に、地球を覆い尽くしていた大小様々な外形を持つUFOの大集団は、次々と消えていった。
3次元ワームホールを利用したワープ航法。

 みなっちを拉致した思わせる旗艦の超巨大なマザーシップに向け 飛行を試みようした。
だが、先程まで喰らっていた強力なエネルギーによる金縛りの後遺症か? 全くレジェンスのエネルギーも高まらず、ただ見つめる事しか出来なかった。

 「みなっち 必ず助けるからなあー!!」
消えゆく超巨大なマザーシップに向け そう叫ぶ事しか出来なかった。
キャラン(浩司)自身 ただの負け犬の遠吠え・・・・ そう思えた。

 変わり果ててしまった地球・・・・・




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