LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part4

 何もない広い空間に、キャラン(浩司)は、追い詰められた。
周囲を何層の円陣に取り囲まれ、何体かのグロテノスが、突如 異なる方向から襲いかかって来る。
グロテノス同士 頭の額にあるネクスタルの機能の1つテレパーシーで、互いに密に連絡を取り合いながらフォーメーションプレイで、この広い空間へとキャラン(浩司)を追い込んでいた。
襲いかかるグロテノス1体を相手にしていると、別の方向から数体のグロテノスが襲いかかって来る。
一瞬の気の休まる時などない なぶり殺しの状態であったが、レジェンスの無限のコントロール不能のエネルギーのおかげで、押されつつも何とか持ちこたえていた。
必殺の技とでも言える マグナムアタックなどのエネルギー弾は、利用出来ず、手足のみでの戦う肉弾戦勝負である。
それは、グロテノスも同じであった。 超高エネルギー状態の別宇宙と4次元ワームホールで常時繋がる頭の額にあるネクスタルからエネルギー供給を受け キャラン(浩司)同様 エネルギー弾などを利用出来る。
だが今ここで利用すれば、フレンドリーファイヤー(同士討ち)の危険性を伴う。
メインの技が、腕や爪を変形させ 相手を切り裂く事の出来る チーターに似た高速の動きと両手の爪を約30cmまで伸ばし切り裂くキイルネイルを持つテーメム、両腕を鎌、槍、刀などに変形させ、相手を突き破ったり、切り裂く事の出来る、かまきり虫に似たダガト、パワーを得意とする、トカゲに似たバルドス、熊に似たベアード、亀に似たカータルなどが次々と、間を置かず襲いかかって来る。
だが最新最強タイプのハイパー系 ゴリラに似たハイパーエレコング、ゾウに似たハイパーテラドンなど20体のハイパータイプは、腕を組み薄笑いを浮かべながら この戦闘を楽しむかの如く眺めているだけである。
お楽しみはこれからと言う表情である。
この中で、飛行能力を有しているのはダガトのみ、残りは地上戦用のグロテノスもしくは、ハイパーグロテノスであった。
左右には2体のダガト 両腕を鎌に変形させコンビネーションプレイで、斬りかかって来る キャラン(浩司)も両腕、両足表面数cmにバリヤーを張り応戦していた。
レジェンスからのエネルギーほとんど上がらず、苦戦状態が続いていた。
バリヤーのおかげで、身体にかすり傷はない だがスピード、パワー不足で、ダガトの鎌に、蹴り込んでもへし折るが事が出来ない。
この基地での戦闘 いつになくエネルギーが上がらず、スランプ状態である。
元々コントロール不能 上がれば無限に上昇 下手すれば、一瞬で、宇宙そのものを"無"の状態へと還元してしまう危険性を伴う・・・その危険性だけは、現状では少なかったが、突然急上昇する事もある。
1体のダガトが、キャラン(浩司)の脇腹を狙い 鎌を水平に斬り掛かった。
寸前の所でジャンプ 1回転し着地した所を ベアードが、「どこを見ていやがる!!」と叫びながら右肩から猛烈な勢いでキャラン(浩司)に体当たり 強烈なショルダーアタックである。
身体表面のバリヤーのおかげで、威力をかなり軽減されたが、全てを防ぎきれず、そのまま突き飛ばされた。
床に叩きつけられ そのままスライデング。
何とか立ち上がろうとした所へ 今度は動きの速いテーメムが、両手の爪を伸ばしキイルネイルで斬りかかって来た。
何とか避けながら後方に回り込み 左回し蹴りをテーメムの後頭部に食らわした。
テーメムは、そのまま床に叩きつけられる。
両肩で大きく息をするキャラン(浩司) この広い空間に追い詰められてから ある1点に意識が集中していた。
中央部にある円筒状の物体であった。
天上部と床の部分から目に見えない可視光線の強力なエネルギーシールドに守られ その中から2つの光点が、7色の極彩色の光を一定間隔で変化さていた。
まるで、生物の心臓の鼓動ようであった。
"俺のレジェンスのエネルギーに対応している・・・" 何故だかそんな気がしていた。
"あの物体・・・ まさか・・・ あれがB,P(バトルプロテクター)・・・ するとあの中心部で、一定間隔で、次々と7色の極彩色の光を発してるのが、レアスタル・・・"
そう思いつつも キャラン(浩司)は、グロテノスからの波状攻撃に、防戦一方であった。
"何故? そんな重要な物があるこの広い空間に俺を追い詰めた・・・?" 疑惑の念が、防戦しつつも頭をよぎった。
「何をボケていやがる!!」 1体のバルドスが、しっぽを水平に振りはらった。
しっぽは、キャラン(浩司)の脇腹に直撃・・・ いや直撃の瞬間 ジャンプ しっぽは、足の下を通過した。
"レジェンスとB,P(バトルプロテクター)との間に、どんな関係が・・・"

その頃 永井、ブラウン、ピエールのいるヤーナ側は、アポリス側に対して、有利に戦闘を展開していた。
浩司が、グロテノス全てを1人に集中させ 数の上で、兵力がほぼ同数になり 個人の戦闘力による差が出ていた。
ここまで、戦闘を模様眺めてしていた 麻子とロイが遂に動き出した。
麻子は、ムチを片手に、ピエールの前に立ちはだかった。
ロイも永井1人に防戦一方の数人の兵士を下がらせると、1人何も手に武器を持たず現れた。 そして戦闘服の上着を脱ぐと、Tシャツ1枚で、永井の前で入念な準備運動を始めた。
「そう言う事か・・・」 永井は思わずつぶやき 不敵な微笑みを浮かべた。
ロイの意図を悟った。 右手に持つサバイバルナイフを腰のホルスターに戻し 迷彩色の戦闘服を脱ぐと、同じくTシャツ1枚になり 首、手首、足首などを回し始め入念な準備運動を始める。

「ピエール神父様 貴方のお相手は、この麻子がしますわ」 そう言いながら麻子は、ムチの先を数回床に叩きつける。 ムチの先から電流ガスパークする ムチの先から電流が流れる仕組みなっていた。
その目は、ピエールを捉え全く隙がない。
全身からは、すさまじいばかりの殺気がみなぎっている。

その様子を見たブラウンは、永井、ピエールの間に、だれも入れぬよう、巧みに自軍の兵士を配置した。
「すごい闘いが見られるなあー」 思わず口走った。
永井とロイ ブラウンも同時期所属していたアメリカ合衆国陸軍特殊部隊 グリーンベレーで、歴代史上最強と目された2人であった。
永井は、日本人らしく空手、柔道、中国のカンフー、太極拳など東洋の武道、武術、拳法に精通し、達人とまで呼ばれる実力を有している。
ロイも同様 ボクシングを中心とした西洋の武道、武術、戦闘に精通し、こちらも達人と呼ばれる実力である。
2人の試合は、いつも決着がつかぬまま引き分けであった。
ブラウンは、今この場に、この様な最強の敵が自分の前に現れなかった事を少し残念に思えた。
やはり血が騒ぐ、どうしょうない習性である。
永井VSロイ ピエールVS麻子 2組から発せられる すさまじいばかりの闘気に圧倒されたのか? ここにいたヤーナ、アポリス 両軍兵士は、戦闘を止め 2組のこれから始まる戦闘を食い入るように見つめ始めた。
ブラウンは、もう1つ別の場所へ移動した 浩司とグロテノス、ハイパーグロテノスの戦闘が気になった。
こちらは、もはや人間のレベルを遥かに凌駕しいた。 目にも見えぬ高速のスピード、あらゆる物体を破壊するパワー 人間には不可能の驚異の破壊力を持つエネルギー弾使用する。
"浩司さん 無事だといいんだが・・・"
ふと ブラウンは、浩司が、移動していった方向を見た。

キャラン(浩司)のキックがカータルの腹の甲羅部分を捉えた 強力なキックにカータルは宙を舞う そのまま円筒状の物体を守るエネルギーシールドに激突 バリヤーに近い強度を誇るカータルの甲羅が、瞬時に真黒に炭化 そのまま灰となって四散した。
強力なエネルギーシールドである。
"これが、簡単に取り出せない理由か・・・"
"やはり あれは、今この場で破壊しておくべき物かもしれないなあー" そう思いつつ周囲を円陣で取り囲むグロテノス及びハイパーグロテノスを見た。
ここまで、腕を組み 戦闘を眺めていたハイパーグロテノスが動きだした。
ここまでに、30体のグロテノスの中 何とか20体のグロテノスを倒すか、戦闘不能状態にしていた。
しかし20体のハイパーグロテノスは、まだ1体も戦闘に参加していない。
グロテノスを遥かに超える戦闘力を誇る。
残り10体のグロテノスと、20体の無傷のハイパーグロテノス 思うように上昇しないレジェンスからのエネルギー・・・ 全てを倒すに事が至難に思えていた。
横目で、B,P(バトルプロテクター)が収められている円筒状の物体を見た。
"目立ったエネルギー供給源が見当たらない・・・ 多分B,P(バトルプロテクター)から供給されるエネルギーによって、あのエネルギーシールドを発生させているのだろう・・・"
"あのエネルギーは、並ではない かなり強力だ、レジェンスのエネルギー弾で、ぶっ飛ばすしかあるまい しかしそんな強力なエネルギー弾を撃てば、このマザーシップ(母船)タイプのUFOどころか、この基地でさえ持つか・・・? イチかバチかでやるには、ここには、多くの仲間がいる リスクが大き過ぎる・・・"

「私の愛のムチ たっぷりと味わいなさい!」 麻子の強烈なムチが、ピエールを襲う。
麻子は、アポリス内でNO1のムチの使い手である。
サバイバルナイフを右手にピエールは、難なくムチを避ける。 50歳代中盤でありながら、20歳代前半の特殊部隊隊員と遜色のない運動、反射神経、スタミナ・・・いやそれ以上かも知れない・・・ 抜群の運動能力を誇るピエールである。
「Miss.麻子 いい加減におよしなさい 神々は、あなたを決して見捨てはしません。 今まで犯した悔いを改め 心を開き神々の声に素直に耳を傾けなさい」
麻子の猛烈なムチの攻撃を避けながらも ピエールは、麻子を諭そうとした。
しかしピエールの声は、麻子の心に響かない、逆に麻子の心の奥底にしまい込んでいる大事な部分の逆鱗に触れるだけであった。
「その神様が、いったい何をしてくれたと言うのか・・・!!」 すさまじいばかりの雄叫びを上げた。
A真理宗教に、大事なフィアンセ(婚約者)を奪われた憎しみが燃え上がった。
"私から1番大事な人を奪って・・・ あの人にいったいどんな罪があると言うのか・・・? その時神は、何もしてくれなかった 何故?役立たず神など信じなければならない!!" 無意識に左手で、胸に飾られているシルバーの小さなハートのペンダントを握りしめた。
激しい怒りが、麻子の身体を突き動かす。 更に激しさを増した麻子の攻撃が始まる。
唸りを上げ 鋭いムチがピエールを襲う。
素早く移動し、次々と場所を変えながら逃げるピエール しつこく追い続ける麻子。
ピエールは、思うようにムチを使わせない為に、出来る限り狭く入り組んだ場所へと誘い込もうとした。
ピエールでもこのままでは、ムチの攻撃 いつまででも避け切れない。
ムチの使えない場所で、麻子の間合いに入り込み勝負をつけようと考えていた。

一方 永井とロイ お互いに1歩も引かぬ激しい攻防を繰り広げていた。
お互いのパンチ、キック 拳法などの技が炸裂 しかし寸前に見切られ避けられる。
うまく相手をとらえても 直前に急所を外され思うようなダメージを与える事が出来なかった。
全くの互角の戦いである。
永井、ロイ 2人の脳裏には、グリーンベレー時代の1度も勝敗の付かない数々の試合が蘇っていた。
永井は、瞬時に身体を低くし、ロイの足を狙い足払いを掛ける。 しかしその動きを読んだロイは、素早く数回バク転し、ファイテングポーズを取り 永井に、向かって行く 攻撃は、ガードされるか、避けられるか、うまくヒットしても必殺の急所は、うまく外され ダメージを与える事が出来なかった。
お互い 大粒の汗が噴出し 大きな呼吸を何度も繰り返す。 しかし相手を見る目は、全く衰えていない すさまじい闘気に満ち溢れた燃える眼光であった。

永井VSロイ、ピエールVS麻子 激しい攻防が繰り広げられていた。 2組み共気付かぬうちに、ある場所へ移動していた。
そこは、幅5m程の橋の上で、死闘を続けていた。
橋の下には、ネクストノイドへの改造する為のポットが、整然と無数に並んでいる。
1つ1つのポットの中には、人間が1人づつ男女問わず入っており、何かの液体に満たされていた 鼻と口には、チューブの付いたマスク、手や足、身体には、いくつものチューブやファイバーケーブルが繋がれており眠った状態であった。
まだ人間の状態の者から 半分グロテノス化した者 ほとんどグロテノス化した者など、多様であった。
1部ポットの中には、上部の蓋を開け液体のみしか入っていないポットもある。
ここそ間違いなくネクストノイドへの改造がおこなわれる場所であった。
先程の偵察部隊は、だれにも見分けの付かない程の精巧に出来た ダミー用のホロスコープ(3次元立体映像)であった。
ポットの周囲には、複数の白衣を着た 科学者、エンジニア(技術者)らしき人物が、1つ1つのポットから送られるデータがモニター画面に映し出され、データに合わせキーボードを叩き、微調整をおこなっている。
ポイント事には、警備兵が配置され 科学者、エンジニア(技術者)らしき人物をつぶさに監視している。
この改造のおこなわれる場所は、天上までかなりの高さがあり 通路用としての橋が上部に何本も掛かっており。
中央部には、透明の大きなチューブが4本 龍(ロン)の基地同様 反重力を利用したエレベーターとなっていた。
その橋の2本で、永井VSロイ、ピエールVS麻子が、壮絶な死闘を繰り広げている。
下で働く警備兵、科学者、エンジニア(技術者)が、上の橋で戦う 永井VSロイ、ピエールVS麻子の戦いに気付き声を上げた。
「だれか? あそこと、あそこの2ヶ所の橋で、戦っているぞ!」
各々指差し 上部の橋を見上げる。
そこへブラウン率いるヤーナ側の部隊が、永井、ピエールを追って現れた。
グロテノス、ハイパーグロテノス以外のアポリス兵士の部隊を激戦の末 完全壊滅、ただヤーナ側の損害も少なくなかった。
50人の兵士のうち、20人の兵士が戦死 残り30人となっていた。
ブラウンは、残った残存兵力を集結させ 永井、ピエールが、移動していった方向ら向かい 後を追ってきた。
上部に掛かる橋ではなく、いきなりポットが並ぶ場所へ突然現れた。
それに気付いたアポリスの警備兵との間に銃撃戦が始まった。
火力の差が出た。
ここは、重要なネクストノイドへの改造施設である。 警備兵の主要武器は、ショックバトンを中心とした軽火力程度の武器しか所持していなかった。
ここにいる科学者、エンジニア(技術者)の1部が反抗した時 制圧の為程度である。
強力な火力の武器を使用すると、施設そのものを破壊する恐れが高かった。
一方ヤーナ側は、対グロテノス用に開発された強力なエネルギービーム、エネルギー弾を発射するER01Tライフル銃を 全兵士が所持しいる。
先程の戦闘の様に、お互いに入り乱れての混戦ならば、アポリス側にもある程度分があったが、遮断物に身体を隠し それぞれの場所で布陣、陣形を整え撃ちあいになった。
この差は余りにも大きかった。
あっと言う間にアポリスの警備兵は、撃ち減らされていく。
アポリスの警備兵は、至急増援を求めた。 ここは、最重要施設の1つである。 出来る限り無傷もしくは、被害を最小限度で、ヤーナ側を制圧したかった。
逆に、ヤーナ側は、ここを徹底的に破壊した方が、グロテノスの生産を少しでも遅らせる事が出来る。
圧倒的戦力差のある現状 軍事上 戦略的意味がある。
事実 今 この基地にいるヤーナ側の兵力は、ほぼ現在持ちえる最大規模の兵力に近い状態であった。
一方アホリス側は、確かに極東の日本にある戦略上の最重要拠点基地の1つであったが、全世界に多数の基地を持ち その総兵力は、ヤーナ側とは、比較にならない圧倒的兵力差であった。
そして、開発生産中の主力生体兵器のグロテノス、最新タイプで更に戦闘力が大幅向上しているハイパーグロテノスなど、1体の戦闘力は1隻の空母すら上回る程の強力な生体兵器である。
とても正面から立ち向かって戦える相手ではない。
だが今 戦っている相手は、グロテノスではない、ホモサピエンス・サピエンスの警備兵である。
エネルギーレベルを対人用に下げていた。
ヤーナ側の兵士が撃った エネルギービーム、エネルギー弾が、ポットに命中し 透明の表面部分を突き破り 中に入ってる液体が周囲に飛び散る 中に入っている改造途中のグロテノスに命中 改造途中の為か、全く防御力もなく 次々と倒されていく。
下での撃ちあいに気付いたロイと麻子は、「この勝負 後日にお預けだ!」 と叫び 戦いを止め 近くのエレベーターに向かって走り出した。
このままでは、ポット全てが破壊され中にいる改造途中のグロテノスが、全滅の危機であった。
増援部隊を指揮し、下にいるヤーナ側兵士を制圧しなければならない。
左耳に小型のレシーバーを装着しており ギルからの勅命が下った。
まだネクストイドへの改造が行われていない ロイ、麻子などのホモサピエンス・サピエンスの兵士には、ネクスタルがない よってテレパシーによる通信が出来ない その為 左耳に、小型のレシーバーを装着していた。
「逃がさん!!」 永井、ピエールは、各々ロイ、麻子を追った。
ロイ 麻子は、増援部隊と合流 部隊には、グロテノス、ハイパーグロテノスはいない ホモサピエンス・サピエンスの兵士だけである。
グロテノス、ハイパーグロテノスは、キャラン(浩司)が、この基地内いる全てを一手に引き受けていた。
2つの部隊をそれぞれ指揮し ロイ、麻子は、戦線の立て直し計りはじめた。
兵力の上では、100対30と大幅に有利な状況である。
だが、2つの部隊の連動に欠いた。
2人とも指揮官であったが、初めて指揮する部隊である。
お互いに、名前などは知っていたが、それぞれの部隊を率いて合同での実戦どころか、戦闘訓練ですら行った事がなかった。
お互いの兵士に対する指揮 動きが予想出来なかった。
それに対して、永井は、自分が育て上げた部隊であった。 ブラウンは、グリーンベレー時代からの親友で、現在 永井の側近の1人。
現在ヤーナ内で、永井に次ぐ NO2の副司令官である。
常に、永井の命を受け別働隊を指揮もしくは、永井の部隊と連携し共同戦線を取ってきている。
指揮系統も永井を頂点に、一本化している。
ここにいるピエールは、永井に次ぐ規模の複数の規模の部隊の指揮官であり、評議員で、副議長であったが、戦闘時においては、永井の指揮権が優先され 永井の指揮下に入る。
戦略構想力にやや欠ける永井であったが、戦術指揮官、用兵家としての能力は、極めて高い。
両翼を伸ばす陣形で、ロイ、麻子率いる部隊が、迫ってきた。
数の多さは活かし力でねじ伏せる戦術にでた。
戦況を見守りつつも永井は、ある点に気付いた。 左右両部隊の動きが合っていない。
アポリス側の部隊間に連動が欠いていた。
「あそこだ! あそこに攻撃を集中させろ!!」 永井は、ある1点を指差し叫んだ。
そこは、アポリスの2つの部隊の支点になってる。 キーポイントになってる場所であった。
激しいヤーナ側からの攻撃に、アポリスの2つの部隊の動きが止まった。
その隙を永井は、逃さない。
「中央突破!!」 永井の号令に、ヤーナ側は、陣形を集中させた。
「突撃!!」 永井の号令が飛んだ。 永井を先頭に、永井自身が指差した方向へ突撃を開始した。
アポリスの2つの部隊の分断にかかった。
永井は、どんな戦闘でも常に最前線で指揮し、先頭に立って戦う。
自ら先頭に立っ事を自らに課していた。 自ら先頭に戦ってこそ部下の兵士が信頼が得られる。 
連動の取れないアポリス側は、ヤーナの中央突破の猛攻の前にあえなく分断され陣形が大きく崩れた。
間を置かず 永井は、時計周りに部隊反転 そのまま麻子率いる部隊を半包囲網を敷き 猛烈な攻撃で、わずかな時間で、ほぼ壊滅状態へと追い込んだ。
見事なまでの 中央突破 各個撃破である。
分断され陣形の再編に手間取ったロイ率いる部隊は、麻子の部隊の救出の為 紡錘陣形で、ヤーナ側に突撃を開始した。
直ぐに、ロイ率いる部隊の攻勢に気付いた永井は、隣にいたブラウンに言った。
「パターンV」 ブラウンは、レシーバーで、各兵士に連絡 陣形をV字型の縦深陣形に変え 各々の兵士は、遮断物に身体を隠し 紡錘陣形で突撃してくるロイ率いる部隊を迎え撃つ ロイ率いる部隊が 懐深く誘い込み 永井の「今だ ファイヤー!!」 掛け声と共に、一斉射撃を開始した。
ロイ率いる部隊も 両側面からの激しい攻撃に、瞬く間に撃ち減らされていく。
兵力30人の永井率いる部隊に、兵力100人のロイ、麻子の合同部隊が、見事に、分断され各個撃破 僅か短時間で、撃ち減らされ叩きのめされてしまった。
70%以上の兵力を損失である。
ロイの果敢な猛攻で、1点を切り崩し そこから脱出 ロイ自身が最後尾を守り ロイ率いる部隊は、何とか麻子率いる部隊と合流した。
永井の神業に等しい用兵であった。 3倍以上の兵力差を アポリス側の2つの部隊の連動に欠いていた点を突き 高機動性と火力に勝る点を利用した。
永井以外 決してマネの出来ない見事な戦術であった。
そして、永井の育て上げた1人1人の兵士の能力の高さ、永井の命令に即対応する能力の高さがなせる戦術でもあった。
永井が、ヤーナの兵士の間で、絶大な人気を誇る理由の1つでもある。
"常勝" 
もしロイ、麻子が自分の部隊を指揮したならば、ここまで手痛く叩かれなかっただろう・・・。
慣れない別部隊である。
兵士1人1人の能力を把握出来なかった。 指揮系統が混乱した。
数体のグロテノスがいたならば グロテノスを中心に力で押しつぶしにかかったはずだが・・・" ・・・たら ・・・れば" は、戦場において禁句である。
与えられた兵力で、いかに勝つかが、部隊を指揮する指揮官の使命であり 能力だ。
あらゆるケースを想定し戦力を整えて置く事が戦略の基本である。
だが、麻子もロイも部隊の指揮官であるが、戦力を整える司令官ではない。
決して、ロイ、麻子の指揮官として能力がレベルに達していなかったのではない 逆に、高いと言えるレベルであった。 しかし相手が悪過ぎた。
ロイ、麻子共に、部隊崩壊を防ぎ合流 再編しつつも組織的に反撃を開始 ここにも非凡な指揮官としての能力の高さが覗える。
しかし勢いに勝る永井率いるヤーナ側に、押され 防戦一方であった。

ヤーナ側も有利に展開しつつも 内情は、決して楽な戦いではなかった。
将兵の疲労が、限界に達しつつあった。 3倍以上の兵力と戦い ほぼ同数近くまで、撃ち減らしたが、最後の1手で、ロイ、麻子の組織的反撃に、押しつつもコールドゲームとはいかなかった。
戦略の基本の1つである補給である。 手持ちの兵士以外 他からの増援が望めない。
兵士の補給も大事な要素の1つであった。 これを無視して勝利など有り得ない。
"後 1部隊・・・ いやせめて10人いれば・・・" 永井は戦況を見守りつつ思った。 ないものをねだっても仕方がない。
粘り強く応戦され 膠着状態になりつつあった。
ここは、アポリス基地内である このまま膠着状態になり 更に増援部隊が加わった場合 将兵の疲労が激しく 補給、増援が望めない現状 撤退を余儀なくされた。
"ここまでか・・・" 永井は、苦虫をつぶしながら そう思った。
もはや限界点に達しつつあった。

一方 ロイ、麻子は、現状を打破する為 自ら動いた。
こちらも増援の望みが薄である。 自らの力で切り開くしかない。
高台2ヶ所から同時に、ヤーナ側兵士を1人づつ狙撃し相手を混乱させようと、ロイは考えた。
「麻子部隊長・・・」 ロイは、高性能狙撃用ライフル銃を麻子に手渡し 上のある場所を指差した。
そこはポットの上蓋の部分で円形で水平になっており 上から狙撃するのに、絶好のポイント(場所)が2ヶ所あった。
「ロイ部隊長・・・」 麻子は、小さくうなづいた。
1人、また1人と撃ち減らされていく この現状を打破するには、これしかないと思った。 このままでは、全滅も時間の問題のように思えた。
「上から狙撃する 援護を頼む」 2人は同時に言った。
2人は、高性能狙撃用ライフル銃を右肩にかけ それぞれのポットを登り始めた。
2人共 ポットを見ながら思った。 そのポットの内部は、ある液体が満タンに入っているだけで、中にはだれも入っていない。
2人共 この戦闘に勝利した後 ネクストノイド それも最新タイプのハイパーグロテノスへの改造が行われる予定となっていた。 今登っているポットは、麻子、ロイの為に、準備され全ての用意がほぼ完了した専用のポットであった。
上部の蓋の部分へと登った。 そこは、水平になっており うつ伏せになってライフル銃を構えるのに、もってこいの場所であった。
適当に遮断物もあり身体を隠せる。
上部の蓋の部分は、ポットから真横へとスライドしており 大きく口を開いていた。 直系は、約3m 蓋の部分からポットの内部が覗き込める。 中には黄緑色の液体が充満していた。
蓋の上で、うつ伏せになり 高性能狙撃用ライフル銃を構える スコープを覗き ターゲットを絞り 狙撃を開始した。
まずは、あいさつがわりに、永井の近くにいる兵士にターゲット(狙い)を絞った。
同時に2つの乾いた銃声が、響き渡った。 永井の近くにいた2人の兵士の脳天が突き破られた。
永井は、すぐに狙撃ポイントを探そうと、周囲を見渡した。
「あそことあそこに、人影が・・・」 1人の兵士がある方向を指差し叫んだ。
指差す方向を見ると 数m高くなったポットの開いた上蓋の上からうつ伏せになりライフル銃を構える2人の姿を確認出来た。
「いかん・・・」 永井は叫んだ。 あの位置からでは、こちらが丸見えであった。
上から狙い撃ちされる。
「全員 物陰に隠れろ!!」 永井の命令が飛ぶ。
「ヨシア、ジミー」 永井は、近くにいた2人の兵士に声をかけた。
「俺が援護するから 爆弾を仕掛けろ ここを爆破する 同時に撤退する」
「はっ 永井司令官」
その時だった。 何か?巨大な爆発に伴う 横揺れの巨大地震が起こったように地面が激しく揺れた 立っていられるどころか、たとえ寝ていても身体が大きく転がってしまう。 震度7クラスの大きな揺れであった。
周囲のあらゆる物は、大きく揺れ倒れ 上からは、物が落ちてくる。
ポットの上の蓋の部分で、うつ伏せになり 狙撃していた麻子、ロイも大きな揺れに耐え切れなかった。
体重の軽い麻子は、悲鳴を上げながら ポット内に吸い込まれるよう滑り落ちていった。
それに気付いたロイは、麻子を救い出そうと 少し上体を起そうとした。
「麻子部隊長・・・」 ロイは叫んだ。
その瞬間 足元が大きな揺れに足が取られ そのまま別のポット内に転げ落ちてしまった。
ポット内の黄緑色した液体内にもがく2人 不思議な事に身体を浮かそうと必死に泳ごうとしても浮かない そのまま中心部へと吸い寄せられていった。
それに気付いたピエールは、うつ伏せになり 大きな横揺れに耐えながらも ポットの下 前部にあるコンソールパネルに向かって、ER01Tライフル銃をエネルギー弾に切り替え 乱射した。
コンソールパネルは、爆破炎上 同時にポットの開いていた蓋の部分が閉じ ポット内の下部の部分から無数のバブル(泡)が発生 ポット内の上部からいくつものチューブが伸び 麻子、ロイの2人の身体を突き刺した。
もし音が聞こえたならば、2人の絶叫、絶命の叫びが響いたかも知れない。
コンソールパネルの破壊によりコンピューターによるコントロールが不能となりポット内の各種装置が、勝手に動き出した結果であった。
余りにも無残であった。
ようやく振動が収まり始めた。
ポット内に落ちた 麻子、ロイの2人は、力なく、頭、腕などを下げた状態になっていた。 ポットの下部から発生する激しいバブルで、はっきと見とれる事は出来なかったが、だれの目にも絶命したようにしか思えなかった。
この激しい揺れに、アポリス側の兵士は、ほとんど倒れてきた物体の下敷きになり絶命していた。
至る場所から炎が上がり この場所には留まるのは難しい状態である。 このままでは爆発を起こす危険性が高い。
「ここから 直ちに撤収する」 永井は、命令を下した。
この大きな揺れで、ヤーナ側も倒れてきた物体の下敷きになり絶命した者 大けがを負った者も出た。
死体を回収する余裕はない。
大けがを負ったの者を比較的軽症の者が肩を貸し 撤収を開始した。
"ところで浩司さんは、無事でいるのだろうか・・・" 永井はグロテノス、ハイパーグロテノスと共に、別の場所へ移動してしまった浩司の安否が気になった。
SVL通信機で、調べると、浩司の生体反応が確認出来る。
場所は、それ程離れていない。
永井は、生き残っている兵士を確認した。
軽症で、戦闘可能なのは、永井自身を含めて、ピエールとブラウンの3人でだけあった。
永井は、ピエールの顔を見た。
「ピエール神父 一緒に浩司さんの救出へ行っていただきたいのだが…」
「はい解りました」 ピエールは、そう言うと、自身の持つER01Tライフル銃の確認をした。 大けがを負った兵士からスペアのエネルギーパックをいくつか受け取る。
次にブラウンを呼んだ。
「ブラウン この者たちを連れて、この基地から脱出してくれ」
「はい司令官」 ブラウンは、永井に敬礼した。
ブラウンは、兵士を1ヶ所に集め 自ら先頭に立った。
「俺は、ピエール神父と浩司さんを救出した後 脱出する」
永井は、そう言うと ピエールと2人 浩司が向かった方向へ進みはじめた。

この大きな巨大地震に似た横揺れは、キャラン(浩司)とグロテノス、ハイパーグロテノスとの激しい戦闘時に起きた。
キャラン(浩司)の撃った マグナムアタッタクが、B,P(バトルプロテクター)を包み込んでいるエネルギーシールードに命中 2つの強力なエネルギーの衝突による大爆発が原因であった。
残り10体のグロテノス まだ無傷の20体のハイパーグロテノスとの激しい攻防が続いていた。
何とか 3体のグロテノス、2体のハイパーグロテノスを倒したが、身体全体で何度も大きく息をしている。
スタミナ切れ寸前に見える。
思うようにレジェンスからのエネルギーが上がらない。
だが突然 レジェンスからのエネルギーが急上昇する瞬間があった。
その僅かな瞬間に、一撃必殺で、数体を超えるグロテノス、ハイパーグロテノスを倒してきた。
だが直ぐに急下降する。 同時に猛烈なスタミナ奪われた状態となっていた。
飛びかかってきた 1体の象に似たハイパーテラドンをジャンプキックで、地面に叩きつけた。
パワーアップのみを中心にハイパー化したのが、裏目に出ていた。
ノーマルタイプのグロテノスで、同タイプのテラドンとスピードの面で、全く進歩がなく 元々パワー系である。
動きが、グロテノスの中でも最も遅い。
ハイパーテラドンは、立ち上がるり 何度か、首を左右に振った。
憎悪の目つきでキャラン(浩司)を睨む 我を忘れたのか? いきなり長く伸びた鼻を高く持ち上げ キャラン(浩司)に向かって、大きく口を開いた。
「俺様をなめんじゃねえ・・・!!」 雄たけび上げると、口の中で、小さな光点が現れ 1点に向かってエネルギーが収束しはじめた。
ハイパーテラドンの必殺技の1つ ハイパーテラドンホーンである。
強力な音波を1点集中させ相手に叩き込み破壊する 強力な音波武器である。
キャラン(浩司)に向かって、強力なハイパーテラドンホーンを発射した。
瞬時に避けながら キャラン(浩司)は、ハイパーテラドンに向かって、右腕を突き出し右手手首を立てた。
マグナムアタックの構えである。
今 僅かながらレジェンスからのエネルギーが上昇している。
右手手のひらの前に小さな光点が現れ エネルギーが小さな1点に向かい収束を始める 撃つ瞬間 右斜め前方から チーターに似たテーメムが、キイルネイルを伸ばし 最高速で襲いかかってきた。
キイルネイルこそ何とか避けたが、まともに体当たりを喰らった。
「し・・・しまったー」 思わず声が漏れた。
体勢が崩れ狙いが外れたまま マグナムアタックを発射してしまった。
狙いを大きく外れたマグナムアタック弾は、2つのB,P(バトルプロテクター)を覆う エネルギーシールドに着弾 2つの強力なエネルギーの衝突による 熱、光、ソニックブーム(衝撃波)を伴うエネルギー爆発が起きた。

「やつめ・・・何故? エネルギー弾を使わぬ・・・」 モニター画面の1つを見ながら苦虫を潰した表情でギルはつぶやいた。
B,P(バトルプロテクター)を取り出す方法の1つは、B,P(バトルプロテクター)装着者による エネルギーシールドの解除司令である。
無理にコンピューターにアクセスし エネルギーシールドを解除しようとしてもアクセス拒否される。
アクセス出来るのは、B,P(バトルプロテクター)装着者のみ。
下手に、B,P(バトルプロテクター)を保管している機械を破壊すれば、B,P(バトルプロテクター)は、自爆する仕組みになっており 強力なエネルギーシールドによって触れようとする者は、瞬時に炭化する。
だが、裏技が1つあった。
あのレジェンスであった。
レジェンスの融合者が使うエネルギー弾が、エネルギーシールドに、着弾すると、B,P(バトルプロテクター)を守るエネルギーシールドが、中和もしくは、レジェンスのエネルギーを吸収するのか? この部分が欠落していたが、解除出来る仕組みになっていたのをギルが、発見した。
その為 この基地内に残存する全てのグロテノス、ハイパーグロテノスを キャラン(浩司)との戦闘に投入 このB,P(バトルプロテクター)の保管されている空間へと追い込んだ。
もう1のモニター画面に映し出されている キャラン(浩司)自身が、レジェンスのエネルギーによって自ら発光する 特殊なフィルターを通してしか見られない 淡い白い光の光量が、非常に弱々しい事に注意していた、突然 瞬時に、急上昇・・・ 思いきや急下降を何度も繰り返していた。
"全くコントロールが出来ておらんわい・・・ だがこのままではらちがあかぬ・・・" そう思いつつ ギルは、直接テレパシーで、戦闘の指揮を開始した。
"ハイパーテラドン・・・"
"はっ ギル閣下"
"やつに テラドンアタックを喰らわせろ"
ハイパーテラドンは、ギルの意思のまま 右肩を突き出し 猛烈な勢いで、キャラン(浩司)に向かって突進した。
たが動きの遅い ハイパーテラドンである 簡単に避けられしまう。
振り返った所をキャラン(浩司)のジャンプキックを まともに喰らってしまった。
大きく後ろへ蹴り飛ばされる。
首を大きく左右に振りながら立ち上がると、またもテレパシーによるギルの司令が飛んだ。
"やつに向かって必殺のハイパーテラドンホーンを発射しろ"
更に もう1体 この戦闘を眺めていたテーメムにも テレパシーによる司令を下した。
"テーメム キラーネイルを出し わしの命令に合わせ やつに襲い掛かれ"
ハイパーテラドンの発射したハイパーテラドンホーンをキャラン(浩司)が避け 右腕を突き出し 手首を立てる マグナムアタックの構えを見せると テーメムに命令を下した。
"今だ 襲い掛かれ"
テーメムは、キャラン(浩司)に向かって最高速で、飛び掛った。
"さあーキャラン(浩司) 貴様のレジェンスのエネルギー弾を あのエネルギーシールドに向かって撃て!" ギルの口元が薄く笑った。
ギルの狙い通り テーメムに襲われたキャラン(浩司)は、狙いが外れ マグナムアタック弾は、B,P(バトルプロテクター)保護する エネルギーシールドを直撃した。
直撃と共に、強烈なエネルギー爆発が起きた。
「各種モニター、映像 ブラックアウト!!」 中央司令室の兵士の叫び声が上がる。
爆発に伴う 強烈な揺れが、基地全体を襲う。
あらゆる機材が、この揺れで倒れ、1部火災を起している。 すぐ無傷、比較的軽症の兵士が消火器を使い、消火を始めた。
正面の巨大なマルチモニターは、全て画面が粉々に粉砕されてもはや使い物にならない状態である。
"とんだ計算違いじゃったか・・・" 立ち上がりながらギルは思った。
ギルですら 2つの強力なエネルギーの衝突にる大爆発を予想だにしていなかった。
"よくこの基地 あのマザーシップ(母船)タイプのUFO この衝撃に耐えたものじゃわい・・・" そう思いつつ 正面のマルチモニター画面を見た。 完全に使い物ならない状態である。
"ところで あの戦闘どうなっておるのじゃ・・・" マルチモニター画面が使えない現状である。
まずは、テレパシーによる キャラン(浩司)との戦闘に参加していた 偵察用グロテノスである カメレオンに似た グウルスを呼び出そうとした。
しかし何度も テレパシーに呼び出しにも応答しない。
"グウルスのやつ あの爆発に飲み込まれやられたか・・" そう思いながら 他のグロテノス、ハイパーグロテノスもテレパシーによる呼び出しを試みた しかし結果は同じであった。
"全員 全滅か・・・" "すさまじい爆発じゃったからのう・・・" そう思いつつ この中央司令室にいる オペレーター要員の兵士を見渡した。
ほとんど全員 何らかの重軽傷を被い 1部タンカで運ばれる者 各機材の下敷きになり 救助されている者もいた。
全員 まだ改造を受けていないホモサピエンス・サピエンスである。
改造され 強化されたネクストノイドと違って、身体の構造は、脆弱で弱い。
"後 残っておるグロテノスは、外に配備した数体のみか・・・" 外に配備した 偵察用のカメレオンに似たグウルス、かまきり虫に似たダガトなどを思い浮かべた。
"今は、まだ投入は、出来ぬなあー" もはや虎の子の存在である。
近くにいた まだ改造を受けていないホモサピエンス・サピエンス兵士 2人を呼び寄せた。
「B,P(バトルプロテクター)のあった場所へ偵察用カメラを持って調べて来い」
2人の兵士は、ギルに敬礼すると、早速 偵察用カメラを持ち B,P(バトルプロテクター)のあった場所へ向かった。
各々の前に設置してある 使えそうな小型のモニター画面を修理している オペレーターに聞いた。
「使えそうなモニターは?」
「数台あります」 
「よし そのうち1台を 偵察に行った者からのカメラ画像に回せ」
「はっ」
次々とギルの元へ 基地内外からの被害報告が届き始めた。
その中には、ネクストノイドへの改造が行われるブロックからの報告もあった。
ほとんど壊滅状態で、改造が行われていた者の大半は、死亡 1部生きている者もいたが、途中コンビューターの故障により プログラムに異常をきたし どうなっているか? 現在不明と言う報告も入ってきた。
それと、麻子、ロイ率いる部隊が、全滅 全員戦死と言う報告もあった。
時間の経過と共に、被害が膨れるばかりである。
被害は、想像以上に甚大であった。
"はたして、B,P(バトルプロテクター)は、無事であるか・・・? あの大爆発で、失っては大きな損害である。 今後の大いなる計画に大いなる支障をきたし、修正を余儀なくされる" そう思いつつ もう1人 気になる人物を考えていた。
キャラン(浩司)である。
"よもや あの大爆発 生きてはいまい・・・" ギルはそう思った。

キャラン(浩司)の放ったマグナムアタックが、狙いを外れ B,P(バトルプロテクター)を覆う エネルギーフィールドに直撃 2つの強力なエネルギーの衝突による大爆発の瞬間 キャラン(浩司)は、ある行動に出た。
"このままでは、この基地及び周辺地域が消し飛ぶ・・・" そう思い 全く思うよう上がらないレジェンスのエネルギーを強引に上げ この空間全体に、瞬時にバリヤーを張った。
一か八かである。
バリヤーによって、爆発に伴う巨大なエネルギーは、バリヤー内に収める事には、成功したが、強力なソニックブーム(衝撃波)までは、押さえ込めなかった。
それが、この基地内外を襲った巨大な地震に似た揺れであった。
キャラン(浩司)自身 身体表面のレジェンスからのエネルギーが、バリヤーの役割を果たし 爆発エネルギーに耐える事が出来たが、強力なソニックブーム(衝撃波)で、自身の張ったバリヤーの壁まで、弾き飛ばされ叩きつけられた。 バリヤー内で暴れていた 強力なエネルギー渦が治まるのを確認すると、そのまま意識を失ってしまった。
戦っていた、グロテノス、ハイパーグロテノスは、自身バリヤーを張る能力がなく エネルギーなどに耐え切れず悲惨な死体となって周囲に転がっていた。
全員 戦死である。
キャラン(浩司)が意識を失うと同時に、バリヤーは、解除された。

最初に、この空間に現れたのは、浩司を探しに来た 永井とピエールであった。
2人は、何と表現してよいのか解らないガレキとなり荒れ果てた空間を見渡した。
所々には、バラバラに引き裂かれ、1部炭化したり、消滅したりしている 無残な状態となっているグロテノス、ハイパーグロテノスの死体が目に入った。
とてもまともに直視出来る状態でない。
永井はある場所に気付いた。 そこには、死体・・・いや 五体満足の状態で倒れている人物を発見した。
「あそこに、だれか倒れている」 永井は、その方向を指さすと小走りに走りだした。
ピエールも後を追う。
それは紛れもなく浩司であった。
"まだ生きている・・・ 外傷もほとんどない・・・ ただ意識を失っているだけか・・・" 浩司の状態を的確に判断した永井は、軽く浩司の頬を叩いた。
顔をしかめ 浩司は、意識を取り戻し始めた。
大丈夫の様子である。
永井は、周囲を見渡した。
"これだけの敵をたった1人で・・・" そう思いつつ 聖なる場所での戦闘訓練での大粒の汗をかき スタミナ切れで、息を上げていた姿 この基地で見せていた あの驚異の生体兵器 グロテノス、ハイパーグロテノスを相手に互角以上の戦闘を随所に見せていた同一人物には、とても思えなかった。
"聖なる場所での戦闘訓練で、手抜きをしていたのか? いや違う どう見てもあれが本来のポテンシャルの限界であるはず・・・ マンガなどに出てくる 無敵のヒーローは、変身すると、戦闘能力が、ケタ違いに上昇するパターンがよくある。 しかし浩司さんは、全く変身しない。 するのは、今戦っている ネクストノイドの方である・・・ どこで、こんな驚異の戦闘能力を身につけたのであろうか?" そんな事を考えている時であった。
何か? 人の気配? 殺気・・・? を感じた。
気配、殺気のする方へ何気なく目を向けた。 直ぐそばにいたピエール同様である。
何かを感じ取っていた。
ER01Tライフル銃を持つ手に少し力が入る。
隙なく敵の動きを感じ取ろうとしていた。
浩司が、ようやく意識を取り戻し 目をゆっくりと開け始めた。
ぼんやりとした表情で、ゆっくりと周囲を見渡し始めた。 まだ少し記憶に混乱が生じている様子である。
少し離れた場所には、瓦礫が積みあがっており その瓦礫の下から 僅かな光だが、規則正しく極彩色の強い光が漏れているのに気付いた。
"あの光は・・・" 記憶が戻り始めた。
"あの爆発の原因は、俺のエネルギー弾と、エネルギーシールドの接触によるもの・・・ あの爆発程度では 破壊しないのか・・・?"
周囲には、無残に引き裂かれ、バラバラになった グロテノス、ハイパーグロテノスの死体が散乱しているのが、目に入った。
近くに2人のライフル銃を持つ男を確認する。
"永井とピエール 何故? ここに・・・" そう思いつつ ゆっくり起き上がろうとした。
永井とピエールは、身体を低くし 鋭い眼つきで、隙なく周囲を警戒し、全身で何かの気配を感じ取ろうとしているのが、すぐに解った。
起き上がろうとした浩司に、永井は気付いた。
「浩司さん そのままの体勢で・・・」 永井は、左手で、サインを出しながら 小声で言った。
ここは、1部天上が落ち瓦礫が覆われた場所があり 身体を隠す場所は何ヶ所かある。
浩司も気配を感じた。 "殺気・・・ ネクストノイドではない これは、ホモサピエンス・サピエンスだなあー それも多数 囲まれている それにこの気配は・・・ やつだ やつがいる あの8大将軍の1人 ギルだ!! あのB,P(バトルプロテクター)を回収にきたのか・・・?"
瓦礫の積み上がっている方向から感じた。
その時だった ギルが単独でその姿を現した。
「またお目にかかれたのうー キャラン(浩司)君」 ゆっくりと起き上がった キャラン(浩司)を見た。 そして、素早く銃口を向けた 永井とピエールを睨んだ。
「そこにいる2人は、評議員のピエール神父と、永井最高司令官だな」 ギルは、銃口を向けられても 表情一つ変えない。
「君達の新兵器 エネルギー弾を発射出来るライフル銃 だがその程度の威力では、わしには通用せん」 そう言いながらギルは、右腕を大きく上げた。
一斉に軍用ライフル銃、サブマシンガンなとで、武装した兵士が多数姿を現した。
銃口を キャラン(浩司)、永井、ピエールに向け 周囲を取り囲む。
「抵抗してもムダじゃ 武器を捨てたまえ」 ギルの命令に、仕方なく永井、ピエールは、ER01Tライフル銃を足元に置く。
「よくやってくれたのうー キャラン(浩司)君 君のおかげで、あのB,P(バトルプロテクター)を防御していたエネルギーシールドを 破る事が出来たよ」
数人の兵士が、先程 キャラン(浩司)が気付いた 瓦礫を取り除き始めた。
瓦礫を取り除く事に、周期的に7色のそれぞれの光の色に変化 強烈な極彩色の光が、漏れ出し周囲を照らし出す。
直径5cmの、2つの5角形の物体が現れた。 中心部には、約1cmの半球体状のレアスタルと呼ばれる部分があり 周期的に7色のそれぞれの光の色に変化を繰り返し周囲を照らし出していた。
2人の兵士が、それぞれ5角形の物体の両端を指で押さえ取り上げた。
その様子をギルは、笑みを浮かべる。 「さあーここへ持って来るのじゃ」
「あれが、B,P(バトルプロテクター)・・・?」 キャラン(浩司)は、ギルに向かって言った。
「そうじゃ あの5角形の物体こそ、B,P(バトルプロテクター)じゃよ かって我々人類が神々と呼んだ もしくは、エルとも呼ばれる宇宙人が、各々の目的別に開発し 装着した生命体の持つ本来の機能を大幅に向上させる強化プロテクターじゃよ 一種のパワードスーツとでも呼ぶべきじゃのうー 例え異なる環境・・・ 例えば宇宙空間でもこのプロテクターさえ装着すれば、生存可能じゃ ここにある2つのプロテクターは、戦闘用に開発された物じゃが、その能力は、わしにも解らぬ・・・ だが 神々もしくは、エルと呼ばれる宇宙人が、この地球に残していった 最大級のオーバーテクノロジーの1つじゃよ」
ギルは、笑い出した。
「わしらネクストノイドが、装着すれば、戦闘能力が、どこまで増幅されるか、このわしにも見当がつかぬわい」
更に大声を上げギルは笑った。
「そしてキャラン(浩司)君 貴様が融合しておるレジェンス それを探し出す為か? もしくは、融合者から奪い取る事も目的の1つとして開発されたのが、このB,P(バトルプロテクター)じゃ その証拠に、貴様のレジェンスのエネルギーに反応し 貴様がB,P(バトルプロテクター)に近づくにつれ 中央部のレアスタルのエネルギーが反応が強さを増してきおった。 貴様の放ったエネルギー弾が、B,P(バトルプロテクター)の防御するエネルギーシールドと接触し大爆発を起したが、これは、飛んだ計算違いじゃったが・・・ そのお陰でエネルギーシールドは、解除され 約1万2000年以上前から長い活動停止しておったB,P(バトルプロテクター)が、蘇り 活動を開始した 今 だれにでも装着可能となった」
ギルは、キャラン(浩司)を見た。
「キャラン(浩司)君 君には感謝するよ 君のお陰で、B,P(バトルプロテクター)を取り出す事が出来たのじゃからのう・・・」
もはや勝利を確信したかのような笑い声であった。
"レジェンスとは・・・? 浩司さんとどんな関係が・・・?" そう思いつつピエールは、2人の兵士の持つ2つのB,P(バトルプロテクター)に、目が向いた。
"あの龍(ロン)の孤島基地からもたらされた情報の中にも、レジェンスと言う未知の何か?についての言及が僅かだがあった・・・ だがそれよも あのB,P(バトルプロテクター)こそ 私が、長年探し続けていた物" ピエールは、"まさに神々の鎧・・・" そう思った。
"神々が残して下さった 大いなる力は、神々の忠実な下僕たる 私にこそ最もふさわしい・・・  神々の反逆者たるネクストノイドなどに渡してなるものか・・・" そんな思いが頭を過ぎる。 少しばかりピエールが、2人の兵士の方に向かって動いた。
周囲を取り囲む アポリスの兵士が、一斉にピエールに向かって銃口を向ける。
その一瞬の隙をキャラン(浩司)は、見逃さなかった。
"そうー させてたまるかー" そう思いつつキャラン(浩司)は、戦闘モードに入った。 レジェンスからのエネルギーが身体を駆け巡る。
だが 思うようにエネルギーが上がらない。
それでも全速で、2人の兵士に向かって高速で走り出した。
だれの目にも止まらぬ速さである。
すぐ気付いたギルも キャラン(浩司)の後を追い 高速で走り出した。
しかしキャラン(浩司)の方が少し速かった。
一瞬にして、ギルに向かって、並んで歩いていた2人の兵士の前に現れた。
2人の兵士に向かって身体を低くし足払いを喰らわした。
2人の兵士は、バランスを崩し 背中から倒れる。 だが2人共倒れる瞬間 B,P(バトルプロテクターを 上と投げ出してしまった。
"あんな物 後々やっかいだ・・・" そう思いつつキャラン(浩司)は、上へと放り投げた2つのB,P(バトルプロテクター)に照準を合わせ 右手人差し指を向けた フィンガービームの構えである。
元々キャラン(浩司)には、ハードウェアーに対する信仰心などない。
人類が、過去から現在まで、自らのコントロールを超えるハードウェアーを手に入れると、ロクな事に利用しない事をよく知っている。
核兵器などその典型だ。
今 この場で破壊しておくべきと考えた。
しかしフインガービーム発射直前 ギルの猛烈なタックルをまともに喰らってしまった。
キャラン(浩司)の身体は、弾き飛ばされる。
2人の兵士の手からB,P(バトルプロテクター)が、上へと投げ飛ばされたと同時に、もう1人の男が同時に、猛然とダッシュした。
ピエールである。
ピエールは、ギルが、浩司に向かって、タックルを喰らわせ 弾き飛ばし B,P(バトルプロテクター)を奪い取るより先に、2つ共見事にキャッチ それを見たギルは、ピエールに向かって、走り出そうとしたが、前方を阻まれた。
キャラン(浩司)である。
キャラン(浩司)は、ギルのタックルで、弾き飛ばされたが、直ぐに立ち上がり 高速でギルの前に立ちはだかった。
両者睨みあいとなる。
「永井司令官 早くこれを」 そう叫びながらピエールは、近くにいた永井に、B,P(バトルプロテクター)を1つを放り投げた。
永井は、素早く受け取る。
「永井司令官 真ん中のレアスタルを指で押したまま頭の額に当てて」 ピエールは、自ら見本を見せながら叫んだ。
「何故・・・?」 永井は一瞬 戸惑った。
「いいから早く」 更にピエールは叫ぶ。
"ピエールのやつ 何故? B,P(バトルプロテクター)の装着方法を・・・" ギルは、どこから最高機密の1つが漏れたのだろうと思った。
川村を始め、ヤーナの潜入スパイの能力の高さであった。 どんな最高機密でも簡単にバレないよう盗み出していた。
他だし 盗み出した最高機密の1部をピエールは、意図的に隠していた。 その1つである。 ピエールの他 僅か数人の側近以外 ヤーナ最高幹部の評議員でも、それを知らない。
何もせず ただ軍用ライフル銃を構え 成り行きを見ていた 周囲を取り囲む 自軍の兵士に向かって、ギルは叫んだ。
「何を ぼんやりと見ておる さっさとあの2人を射殺しろ!!」
しかし時は、既に遅かった。
永井、ピエールは、B,P(バトルプロテクター)の真ん中のレアスタルを指で押し そのまま頭の額に当てた。
その瞬間 2つのレアスタルを中心に、眩いばかりの光が発生し 光が爆発した。
爆発と同時に、周囲数mの範囲で、あらゆる兵士、物を弾き飛ばす。
光のエネルギー ソニックブーム(衝撃波)である。
キャラン(浩司)、ギルもソニックブーム(衝撃波)で少し弾き飛ばされた。
「しまった 手遅れになってしもったわい・・・」 ギルの表情に、焦り、失敗など浮かんでいた。
2つのB,P(バトルプロテクター)を取り出し 1つをアピリムに献上、もう1つを自ら装着し、"大いなる計画" の実現の為の絶対必要な最重要ハードウエアーであり、根幹の1つあった。
B,P(バトルプロテクター)を 奪い取られ 永井、ピエールに、装着されてしまった。
何としても奪い返さなければならない。
このままでは、"大いなる計画" の後退、大幅修正が余儀なくされ、実現そのものが、危ぶまれてしまう。
それも この失態を招いた原因は、今 目の前にいる あのレジェンスと呼ばれる "無" そのもののポテンシャル・エネルギーを持つと言う エルと呼ばれる かって我々人類が、神々と呼んだ、我々人類の改造主である宇宙人が、探していた物体との融合者 キャラン(浩司)。サンダンスと名乗る男であった。
キャラン(浩司)が、現れた事により 計画に、大きな狂いが生じ始め そして、この1件である。
どんな計画にも、イレギラー出来事は、必ずつきものであったが、全く予想外、想像すら出来ないイレギラーであった。 このイレギラーな存在は、決して許せるものではなかった。
ギルは、立ち上がりながら、永井とピエールの方向を見た。
光は、消え始め 中から何かが、ぼんやりと何かが現れ始めた。



                                                     TOPページへ
                                             第2章 神々の鎧 Part5へ NEXT



                 copyright (C) lejens  All Rights Reserved ページ内の無断転載厳禁



inserted by FC2 system