LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part5

 光が消えると共に、ぼんやりと何か? ヒューマノイドタイプ(人型)の輪郭を持つ物体が2つ その姿を見せ始めた。
何か? 未知の超合金で覆われている。 古来 ヨーロッパの戦闘用に利用していた 金属で出来た甲冑・・・いや鎧とは、かなり違っている。
まして、今 流行している ロボット系のアニメに出てくる 直線を多様した機械的ロボットとも違う。
身体能力を ケタ違いに強化するパワードスーツの一種であるのだが、身体に、かなりフィットしている まるで生きた超合金にでも覆われている感じであった。
どちらかと言うと ボディビル体型を超合金にした感じである。
1つは、どちらかと言うと やや濃い色のシルバー(銀色) もう1つは、やや濃い色のブロンズ(青銅色)である。
頭部も完全に未知の超合金で覆われており 目の部分は、やや吊り上っていた。
どちらかと言うと ややヒール(悪役)系である。
頭部の額の部分には、直径1cmのレアスタルが輝いており その周囲を半透明の半球体がガードしていた。
2体共 色以外に、外観も微妙に異なっている。
1体 やや濃い色のシルバー(銀色)の方は、しきりに、両手を見ている。 何かまだ漠然と戸惑っている感じであった。 もう1体 やや濃い色のブロンズ(青銅色)の方は、胸を張り 自信に満ち溢れた態度であった。
やや濃い色のシルバー(銀色)の方は、永井が装着したB,P(バトルプロテクター)で、後に、B,P-1と呼ばれ やや濃い色のブロンズ(青銅色)の方は、ピエールが装着したB,P(バトルプロテクター)で、後に、B,P-2と呼ばれる。
1体のB,P(バトルプロテクター)が、ギルに向かって、突撃する。
やや濃い色のブロンズ(青銅色)のB,P-2であった。 ピエールが装着している。
とても未知の超合金で出来たパワードスーツの一種とは、思えないスピードであった。
グロテノスの中でも最速のスピードを誇るテーメムなど比較にならない早さである。
ギルに向かって、果敢に勝負を挑んできた。
パンチ、キックが、ギルに向かって繰り出される。
ギルに対して、押しているように見えた。
ギルは反撃しょうとせず 後退して行く。
しかし さすがに8大将軍の1人 ネクストノイドでもケタ違いの戦闘能力を誇るデストロであるギル 変身前でもあのスピードを見切っていた。
1発もヒットしない。
それどころか、B,P-2の激しい攻撃も 目を閉じたまま 寸前で、全て避けていた。
"装着者の能力をケタ違いに強化するB,P(バトルプロテクター)・・・ だが装着したのが、旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)では、この程度か・・? まだ使い方もよく解っておらんじゃろう・・・ 初めての装着じゃ いきなりの戦闘で、このわしをここまで、追い込んでいるのじゃからのうー だが甘いわい・・・"
ギルはそう思いつつも B,P-2から少し後退する 両手をへその前で、球体を作るポーズを取り 何か目に見えないエネルギーを集中し そのままB,P-2目掛けて突き出した。 何か強力なソニックブーム(衝撃波)をまとも喰らった。 B,P-2は、そのまま弾き飛ばされる。
地面に叩きつけられB,P-2であったが、何事もなかったように直ぐに、立ち上がった。
ギルの技の1つ 念動力を使った サイコパワーであった。
"B,P(バトルプロテクター)を装着したからと言って簡単に倒せる相手ではないか・・・" ピエールは、左腕を瞬時に変形させた。
未知の超合金の内部には、ネクストノイドの体内と同様 多数のナノマシーンがある 脳からの司令が、レアスタルを通じて、ナノマシーンに伝達 各種武器に変形する。
左腕は、瞬時 肘から指先にかけて、ソード(剣)の形に変形した。 ソード(剣)の刃は、両側にあり 鋭利な刃の部分から 約1cmの幅で、何か? 薄赤い光が発光していた。 ある種のエネルギーを剣の刃の部分から発生させ 分子レベルから切り裂く事が出来る。
この後 ピエールは、このソード(剣)を イギリスに古くから伝わるアーサー王伝説で、アーサーが岩に刺さった剣を引き抜き、ブリテンの王者であると証を立てるのに使われたされる 伝説の聖剣から名をもらい エクスカリバーと名づけた。
「ギル 貴様を神々から授かりし聖なる力・・・ この聖なるソード(剣)で、切り裂き、神々の元へ送り審判を受けさせてやる!!」
まさしくピエールの声であった。
B,P-2は、エクスカリバーの剣先をギルに向け構えた。
"ピエールのやつ 装着方法どころか、武器の使用方法までも・・・ どこまで、B,P(バトルプロテクター)の秘密を知っておるのじゃ"
ギルは、表情にこそださなかったが、苦虫を潰した。
B,P-2の足元 後ろの瓦礫が少し崩れた。
何か腕の様な物体が2本伸びたかと思うと 後ろの瓦礫は大きく崩れ 瓦礫の下から何か巨大な物体が飛び出した。
それに気付いた浩司は、B,P-2に向かって叫んだ。 「ピエール 危ない後ろだ!!」
B,P-2は、振り返り対峙した。
瓦礫の下から飛び出したのは、先程の爆発で、死んだと思われていたハイパーテラドンであった。
ハイパーテラドンは、無傷ではなかった。 各部分で、大きな傷を被い かなり出血している。 もう先は長くない様子である。
「まず貴様から 神々の元へ送り 神々の正義の審判を受けるが良い!!」 B,P-2は、そう叫びながら ハイパーテラドンへ向かって エクスカリバーを上段から振り降ろした。
エクスカリバーの剣は、ハイパーテラドンの数m手前に振り下ろされる。
ハイパーテラドンの身体には、全く触れていない。
エクスカリバーの剣から発せられた赤い光のエネルギーが、ハイパーテラドンに向かって、一直線に襲い掛かった。
ハイパーテラドンの身体は、頭上から真二つに切り裂かる。
エクスカリバーの威力は、すさまじく 余った威力は、後方数mに渡って地面までも真二つに切り裂いていた。
B,P-2は、エクスカリバーの剣先をギルに向けた。
「ギル 今度は貴様の番だ!! 神々より授かりし 聖なる剣の力で、貴様も切り裂き 神々の正義の審判を受けるが良い」
「ほっほほ・・・ 大した威力じゃのう・・・」 ギルは、余裕のある笑みを浮かべた。
「だが、わしを相手に、こんな所で遊んでいる暇があるかのう?」
ギルは、ポケットから透明な球体を取り出した。
球体からホロスコープ(立体映像)が浮かび上がってきた。
そこには、A-3ポイントで、多数のグロテノスを中心としたアポリス兵士に取り囲まれ押される ヤーナ側の兵士の姿が映し出された。
基地内にいた グロテノス、ハイパーグロテノスは、浩司によって片付けられたが、基地外に配備されていたグロテノスは、無傷のままであった。
A-3ポイントで、布陣していたヤーナ側に対して、アポリスは、基地外にいた全兵力をA-3ポイントに集結させ 総攻撃を開始した。
指揮をする ドレークは、目前の現れた大軍に、パニック状態に陥り 全く指揮出来ず、各部隊は瞬時に切り崩された。 そこへ負傷兵を抱えながら合流したブラウンが、状況を瞬時に判断 指揮権をドレークから強引に奪い取り 戦線の立て直しを図った。 バラバラにされた各個部隊を再集結させ陣形を整えつつ反撃を開始した所である。
だが ブラウンの必死の抵抗も空しく 戦力差があり過ぎる 強力な生体兵器としてのネクストノイド 各種のグロテノスの破壊力は、ケタ違いであった。 前方に広く展開 そのまま前進せず、ヤーナ側の陣形に対して、各種エネルギー砲 エネルギー弾などを発射 次々とヤーナの兵士が撃ち減らされていく このままでは全滅も時間の問題である。
「どうかね このまま このわしともう少し遊んで、味方の全滅の見物をしゃれこむかね・・・」 ギルは、余裕のある笑いであった。
だが、ギルには、全く余裕がなかった。
最大の懸案事項であったB,P(バトルプロテクター)を 事もあろうに、敵対するヤーナ側の永井とピエールに奪われ装着まで許してしまった。
そして、主力のグロテノスの大半、最新タイプのハイパーグロテノスの全てをキャラン(浩司)に全滅させられ 後は基地外に配備していたグロテノスの1部隊と、まだネクストノイドではないホモサピエンス・サピエンスのいくつかの部隊を残すのみ。 現状戦力で、このまま戦線維持が難しい状態であった。
1度 撤収 改めて戦力の再編 補強 補充に迫られていた。
残存戦力の全てをA-3ポイントに集結しているヤーナ側にぶつけ 相手の戦力を削ぎながら ヤーナ側の動きに合わせ撤収する作戦に出た。
このまま戦闘の継続は、共倒れになる可能性が高い ヤーナ側もそれを望まないはず 奪われたB,P(バトルプロテクター)は、また後日 新たな作戦を考え奪い返せば良い。
そう思いギルは、キャラン(浩司)、永井、ピエールの3人を見た。
「さあーどうするかね?」
ギルの言葉に、3人共も動揺している様子が手に取るようにわかる。
このまま味方を見殺しにする事が出来ない。
「ギル 貴様を神々へ送るのは、次に会う時まで預けといてやる!!」 B,P-2は、ギルに対して、指差し そう言い放った。
「それは、楽しみじゃなあー」 ギルは大声を上げ笑った。
「次ぎに会う時は、B,P(バトルプロテクター) 貴様達から奪い返してくれる!!」 そう言い残し ギルは、忽然とその姿を消した。
"いつも沈着冷静を装うピエールにしては、珍しくかなり興奮していたなあー まあー時々 こんな面も確かに見せるが・・・" 浩司はそう思いつつ B,P-1,B,P-2を見た。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、ギルの消えた方向をまだ見ていた。
"あの部隊には、みなっちもいる 急がねば・・・" 浩司は、そう思いつつ戦闘モードに入ろうとした。
しかしレジェンスからのエネルギーが全く身体を駆け巡らない。
"おかしい・・・" 再度 戦闘モードに入った。 今度は微弱ながら身体にエネルギーが駆け巡る。
"とにかく急ごう・・・" そう思いつつ浩司は、A-3ポイントへ向かって走り出した。

激しい攻防の続くA-3に、突然見た事もない2体のヒューマノイドタイプ(人型)の物体が2体 中間地点に、何の前触れもなく突然その姿を現した。
1体は、やや濃い色のシルバー(銀色) もう1体は、やや濃い色のブロンズ(青銅色)である 色以外にも形状も微妙に異なっている。
ヤーナ側、アポリス側も このヒューマノイドタイプ(人型)の2体の正体 敵なのか、味方なのか解らず、戦闘は一時小康状態となり 互いの陣営が武器を構えつつもその動きに注視した。
「敵さんの新手か・・・?」 思わずブラウンは、小声でつぶやいた。
そこへ大粒の汗を大量に流し 息切れ直前の状態の浩司が、ブラウンの横に現れた。
「浩司さん無事でなにより・・・」 そう言いながらブラウンは、浩司の周囲を確認した。 そこには、2人の人物の姿が見当たらない。
「ところで、永井司令官とピエール神父は?」
浩司は、何の前触れもなく突然その姿を現した2体のヒューマノイドタイプ(人型)の物体を指差した。
「あの2体だよ 右側のシルバー(銀色)が、永井司令官 左側のブロンズ(青銅色)がピエールだ」
「どうして? あんな姿に?」 意味の理解出来ないブラウンは、驚きの表情を見せる。
「先程 例のB,P(バトルプロテクター)を手に入れ装着 あの姿になった・・・」 浩司は、簡単ないきさつをブラウンに話した。
先程まで、ブラウンの足元で怯え、ただ神々への祈りの言葉を小声で発し続けていたドレークは、十字を切ながらつぶやいた。 「ピエール神父 ついにあなたは神々への道の1歩を歩みだされたのですね」 感動にも似た表情で、ピエールの装着したB,P-2を見つめた。
数体のグロテノスが、2体のB,P(バトルプロテクター)の前に現れた。
蜘蛛に似たリアンズ、とかげに似たバルドス、亀に似たカータル、くわがた虫に似たアギラ、最後に1体 かまかり虫に似たダガトが、少し遅れて現れた。
「貴様達は、だれだ!!」 1歩前に歩みながらバルドスは、右腕を2体のB,P(バトルプロテクター)向けた。
「ふ・ふ・ふ・・・」 B,P-2は、腕を組み 少し笑い声を上げる。
「テレパシーも通じない貴様ら 味方ではあるまい」 バルドスは、少し姿勢を低くした。 いつでも戦闘に入れる態勢である。
後ろの4体のグロテノスも同様の体勢に入る。
「その通り 我々は、天より貴様達 ネクストノイドを天に送り返し神々の裁きを受けさせる為に現れた 神々によって選ばれた神々の正義の戦士」 B,P-2は、右腕を突き出し5体のグロテノスに指差した。
このセリフを吐いた当のピエールは、一糸乱れぬ真剣な態度であったが、そのセリフを聞いていた周囲の様子は、かなり異なっていた。
あぜんとした表情を浮かべる5体のグロテノス 全員 腹を抱え大声で笑い出した。
ピエールのセリフを聞いていた浩司、ブラウンも呆れた表情を見せる。
浩司など5体のグロテノスの方に、逆に同情した。
"今時 こんな臭いセリフ 幼児向け勧善懲悪のヒーロー者でも使うかどうか・・・?" こんなセリフを吐かれた5体のグロテノスを哀れに思ってしまった。
隣にいた 永井が装着したB,P-1も 浩司のよく取る呆れたボーズ 両手を少し上げ 小首を傾けてい.る。
リーダー性の全く無い浩司であったが、変な所で、皮肉を言う、呆れたポーズを取るなどの悪い癖が、ヤーナ内で流行しており 永井もその感染者の1人であった。
"俺はウイルス(病原体)か・・・?" "・・・" "(汗)" (浩司談)
"その通り それも最強の毒性と感染力を誇る!!" (みなっち談)
ただ1人 ドレークだけは違っていた。 感動の眼差しで、B,P-2を見つめる。
「素晴らしいです ピエール神父・・・」 小声で言った。
そこへ みなっちとマークが、数人の護衛を伴い現れた。
戦闘が小康状態となり 互いに銃口こそ向けていたが、だれ1人として発砲せず睨みあい状態であった。
このチャンスに突如出現した2体のヒューマノイドタイプ(人型)の物体を その目で確かめようと危険を顧みず 最前線のここまでやってきた。
「こーちゃん 無事だったのね よかった・・・」 胸を撫で下ろしながらみなっちは、浩司の隣に来た。
そんなみなっちの言葉も 浩司の関心は、今 始まろうとしている 2体のヒューマノイドタイプ(人型)の物体と5体のグロテノスに向いている。
「みなっち 何故ここに来た?」 浩司は、正面を見据えたまま言った。 今ここに、みなっちにいてもらっては困る 先程から戦闘モードに入ろうとしても全くレジェンスが反応しない 身体に無限のエネルギーが駆け巡らない状態であった。
もし戦闘が始まれば、みなっちを守る事は出来ない。
タイミングを見計らい 安全と思われる場所まで、後退しなければ危険だ。
ここは最前線である。
そこへ低い姿勢で、マークが近づいて来た。
「浩司殿 あの2体は?」 マークは、浩司の隣で、物陰に身体を隠しながら聞いた。
「それを こーちゃんに聞きにきたんだからねー」 みなっちも浩司の顔を覗き込む。
「あれは、B,P(バトルプロテクター)を装着した 永井司令官と、ピエールですよ」 浩司は、みなっちをマークが身体を隠した マークの後方に押しこめながら答えた。
「あの2人 B,P(バトルプロテクター)を手に入れ 装着したのか?」 マークの顔が少し綻んだ。 今までグロテノスなどのネクストノイドに対抗する武器などなく 常に防戦であった。
浩司が現れ 何とか 互角以上に戦える人材を1人得たが、1人では何ら意味も持たない。 浩司は、ヤーナに加入こそしたが、その不思議な能力 グロテノスを遥かに超える驚異の戦闘能力の秘密を一切明かしていない。
ようやくエルと呼ばれる かって我々人類が、神々と呼んだ宇宙人の残した驚異のオーバーテクノロジーによって、新型のエネルギーライフル銃 ER01Tライフル銃の開発に成功し量産化 何とかグロテノスの対抗手段を得たものの それだけではまだアポリスには、対抗するには、戦力不足である。
そこへ思わぬ情報を入手した。
アポリスの秘密基地の1つに、エルと呼ばれる かって我々人類が、神々と呼んだ宇宙人の残した驚異のオーバーテクノロジーの1つ 戦闘用に開発され 汎用パワードスーツとでも言うべきB,P(バトルプロテクター)と呼ばれる兵器があり 装着すれば、装着者自身の戦闘能力をケタ違いに大幅に向上させる。
エル自身 標準装備として、装着していたらしく 戦闘用以外にも各種目的に合わせ複数のタイプが存在していたらしい。
アポリスの秘密基地の1つ ここに今から約1万2000年以上前 何らかの大きな戦闘があり 撃墜され墜落した大型のマザーシップ(母船)内に、2つの戦闘用B,P(バトルプロテクター)が残されており アポリスが、それを発見し秘密基地を建設 エネルギーシールドにより守られていたB,P(バトルプロテクター)を取り出そうとしたが、取り出せずいた。
そこに目を付け ヤーナは、持ちえる最大戦力を投入 B,P(バトルプロテクター)奪取計画を立案 実行に移そうしたが、思わぬアクシデントがあり ピエールを始め数名のヤーナの人材が人質に取られてしまった。
急遽 人質奪還計画に作戦を変更したのだが、人質奪還作戦中 幸運にもB,P(バトルプロテクター)を奪取に成功 永井とピエールが装着した。
今まで入手した情報によれば、B,P(バトルプロテクター)の戦闘能力は、グロテノスを大きく上回るとされる。
アポリスの主力生体兵器である グロテノスと互角以上に戦える戦力が3人に増えた。 B,P(バトルプロテクター)を 研究、開発、量産化出来れば、今後の戦いを有利に運ぶ事が出来る。
マークは、そう思いつつ2体のB,P(バトルプロテクター)を見た その時だった 2体のグロテノス 蜘蛛に似たリアンズが、B.P-1 亀に似たカータルが、B,P-2に向かって突撃 戦闘が始まった。
とかげに似たバルドスと、くわがた虫に似たアギラが、バックアップに回る 連携プレイ狙いだ。 1体かまきり虫に似たダガトだけは別の方向へ動き出した。
木々の幹に隠れ 身体を低くして様子を覗っていたキャラン(浩司)、みなっち、ブラウン、マーク、ドレークのいる方向へ突進 慌てて全員逃げ出す。
浩司は、みなっちの手を取り 走り出した。
走り出してすぐ みなっちは木の根に足をとられ 前のめりに転んだ。
「みなっち 大丈夫?」 浩司は、倒れたみなっちの両肩を両手で支え立ち上がらせようとした。
ダガトは、その瞬間を見逃さなかった。
無防備に背中を見せるキャラン(浩司)に対して、猛突進した。
「くたばれ キャラン(浩司)!!」
その声に気付いたキャラン(浩司)は、足を滑らせ転んだみなっちの前に立ち 両手を大きく広げた。
「キャラン(浩司) 貴様の相手はこの俺様だ!!」 ダガトは、そう叫びながら右腕を長槍の形に変形 キャラン(浩司)の腹部に向かって突き出した。
「浩司さん 危ない!!」 それに気付いたブラウンは、振り返りER01Tライフル銃の銃口をダガトに向け発砲した。
しかし少しタイミングが遅かった。
転んだみなっちの前に立ち塞がり 両手を広げた浩司 そのまま戦闘モードに入り バリヤーを張ろうとした。 しかしレジェンスは全く反応しない身体にレジェンスからの無限のエネルギーが駆け巡らない 元々コントロールの不能の不安定なエネルギーである この基地での戦闘中 思うように上がらずにいたが、ここへ来て全く反応しない状態となっていた。
レジェンスからのエネルギーが身体を駆け巡らなければ、普通の人間にしか過ぎないキャラン(浩司)である。
ダガトの突き出した 右腕を変形させた長槍は、キャラン(浩司)の腹部を突き破った。
その瞬間 キャラン(浩司)は、大量の血を口から吐き出した。
「こーちゃん・・・」 立ち上がったみなっちは、口元に手を当て 顔面蒼白となり 小さく身体が震えだす。
突き刺されたままゆっくりと顔を後ろに向け みなっちを見つめる浩司 かすかに微笑む 「は・・・はや・・・く逃げろ・・・」 最後の力を振り絞るように言った。
そのまま目を閉じ 頭、腕が力なく垂れ下がる。
それを確認したダガトは、勝利を確信 表情は、勝ち誇ったよう 薄笑いが浮かぶ。
この光景を見ていたみなっちは、腰が抜けたように地面にしゃがみ込む 余りのショックの大きさに、何が起きているのか? 余り理解出来ない状態となった。
「こーちゃん こーちゃん こーちゃん・・・」 何度も小声でつぶやく ダガトに突き刺された浩司を見つめるだけである。
みなっちの側に、マークとブラウンが駆けつけた。
呆然自失状態となっているみなっちをマークが後ろから支える。
「浩司殿 浩司殿・・・!!」 マークの必死の叫び声も もはや浩司の耳に届かない。
ブラウンは、ER01Tライフル銃の銃口をダガトに向け右膝を地面に着け構える しかしトリガーを引けない。
引けばエネルギー弾が浩司の身体に当る。
4体のグロテノスと戦闘中だった2体のB,P(バトルプロテクター) 永井が装着するB,P-1、ピエールの装着するBP-2がマークの叫び声に気付き 声のした方向に振り向いた。
「つ・・・ついにやったぞ この俺様が、あのキャラン(浩司)を倒したぞー!!」 そう言いながらダガトは、キャラン(浩司)を突き刺したままの右腕をゆっくり持ち上げ始めた。
何体もの仲間のグロテノスを倒した憎っくき敵キャラン(浩司)を自らの手で倒し その勝利の証を示すよう キャラン(浩司)の死体を突き刺したまま高々と持ち上げた。
「うおー・・・!!」 左腕も高々と上げ大きな雄叫びを上げる。
周囲に自らの力と勝利を誇示するかのごとく・・・
それを見た B,P-1、B,P-2の動きが止まった。
"まさか・・・ あの浩司さんが・・・"  B,P-1、B,P-2を装着する永井、ピエール共に同じ思いが頭を過ぎった。
この基地内での戦闘で、何度も見せていた、人間のレベルを遥かに凌駕した 驚異の戦闘力を何度もその目で見ていた。
信じる事が出来ない・・・ この程度の相手に殺られるレベルではない・・・ 何かの間違い・・・ 2人の共通する思いであった。
ダガトは、横目で、みなっち、マーク、ブラウンを見た。
3人共 動きが止まり 他だこちらを見ているだけである。
それに、今 目前に、ヤーナの最高権力者 超大物のマークの姿を確認した。 こいつを捕まえれば、最高幹部の1人に間違いなく昇進 抜擢される。
こんな大チャンス 生涯に1度巡ってくるか? 最上級のターゲット(獲物)である。
その時だった 右腕で、持ち上げていたキャラン(浩司)の胸元から 淡い白い光を放つ球体の付いたペンダントが首からぶら下がっているのに気付いた。
「男のくせにこんなものしていやがったのか?」 戦利品の1つとして取り上げようと、ダガトは左手を伸ばした。
中央司令室で、この戦闘を見ていたギルは、テレパシーを使いダガトに向け叫んだ。
"それに 触れてはならぬ!!"
しかし少し遅かった。 ダガトの左手は、ペンダントの先にある淡い白い光を放つ球体が収められている透明のカプセルをしっかりと握り締めていた。
その時だった。
一瞬の出来事であった。
眩いばかりの淡い白い光が輝いた・・・ いや爆発したと表現した方が適切かも知れない・・・  光は、ペンダントの球体から発せられ ペンダントの先の球体を中心に半径2mの範囲に急膨張 キャラン(浩司)、ダガトを 淡い白い光が包み込む 余りの強い光に、キャラン(浩司)、ダガトの姿が確認出来ない。
瞬時に光が消えた 消えたと同時に、そこには、何もなかったように、キャラン(浩司)、ダガトの姿がどこにもない。
瞬時に消滅していた。

この場面を中央司令室のモニター画面で見ていたギルの脳裏には、ある警告が蘇っていた。
レジェンスについて、1部解除されたエルのコンピューターのデータのなかで、"レジェンスと融合した生命体以外の生命体が、レジェンスに触れると レジェンスの持つ無限のエネルギーにより 触れた生命体は、光のエネルギーに転換され消滅する。 決して融合生命体以外 触れてはならぬ・・・" と言う警告であった。
それを思い出し ダガトにテレパシーによる警告を発したが、時間は、すでに遅かった。
ダガトは、既に左手にレジェンスを握りしめていた。
そして、警告通り ダガトを構成している全物質は、光のエネルギーに転換され消滅した。
だが、ギルには、腑に落ちない疑念が沸いていた。
"キャラン(浩司)のやつ・・・ 何故あの程度・・・ ダガトの右腕を変形させた長槍ぐらいで・・・ 簡単に避けられるか、バリヤーをも張る能力すら持っておる。 簡単に串刺しされたんじゃ・・・"
ダガトとの戦闘が不可解でならなかった。
ギルですら この程度で、キャラン(浩司)が死んだとは、とても信じる事が出来なかった。
"ダガトとの戦闘・・・ いやその前から そうB,P(バトルプロテクター)に近づき B,P(バトルプロテクター)のエネルギー反応が高まりと歩調を合わせるかのように、妙に、レジェンスのエネルギー反応が低下しおったわい 何らかの関係があるのかのう・・・? 確かに串刺しにされ死んだように見えた・・・ しかし レジェンスは、融合者の生死とは関係なく 強力なエネルギーを発しおった。 あの白い怪光と共に、キャラン(浩司) ダガト、そしてあのレジェンスまでもが、瞬時に跡形もなく消滅しおった。 本当に、何も残さず全て消滅したのかのう、それとも・・・ どこかに瞬時に移動しおったか・・・? そして、レジェンスと、その融合者であるキャラン(浩司)は、どこかで生きておるのか、わしすら想像のつかぬ未知の世界で・・・" ギルは、立ち上がるとまた腕を組み 先程 白い怪光と共にキャラン(浩司)が消えたモニター画面を見つめた。

「まさか・・・」 B,P-1を装着する永井がつぶやいた。
B,P(バトルプロテクター)は、両目が電子アイとなっており 浩司の首からぶら下がっているペンダントの先の球体から白い怪光が発せられると同時にブラックアウト 装着者の目を保護していた。 B,P(バトルプロテクター)は、両目の電子アイ以外にも 各種センサーが付いており その情報がレアスタルを通じて直接脳に伝えられ まるで肉眼で見ている見る事が出来る。
永井は、浩司が白い怪光に包まれた瞬間 何かの壁を通り抜けるように、忽然とその姿を消えるのを見た。
そして、浩司を突き刺していたダガトが、強力なエネルギーによって、ダガトを構成している全物質が光のエネルギーに転換されるのも見ていた。
白い怪光が消えると同時に、電子アイのブラックアウトが解かれた。 今 そこにいたはずの浩司、ダガトの姿は、何もなかったようにどこにも存在しない。
B,P(バトルプロテクター)からリアルタイムで伝えられる各種センサーからの反応も 浩司、ダガトが消滅した事を示している。
「浩司さん・・・ どこに・・・」 そう思いつつ 周囲を再確認しようとした 浩司のいた場所のすぐ近くに、地面に顔を伏せている みなっち、マーク、ブラウンの姿を確認した。
浩司の首からぶら下がっているペンダントの先の球体から白い怪光が発せられると同時に、ブラウンは、瞬時に、みなっち、マークの顔を地面に伏せさせていた。
歴戦の猛者であるブラウンは、考えるよりも先に身体が動く。
怪光が消えると同時に顔を上げた。 3人共 目がやられていない様子である。
みなっちは、ゆっくりと周囲を見渡す 浩司がいない事に気づくと、半狂乱状態となり叫び、暴れだした。
「こーちゃん こーちゃん こーちゃん・・・」 みなっちの悲痛の叫びが周囲に響き渡る。
「いかん・・・」 このまま放置しておく事が出来ない。 ブラウンは、そう言いながらみなっちのみぞうちに、拳を入れた。
みなっちは、両手でみぞうちを押さえながら その場に倒れた。
一部始終を見ていた B,P-2を装着するピエールからB,P-1を装着する永井に、B,P(バトルプロテクター)間のみにしか使用出来ないB,P(バトルプロテクター)専用SVL通信が届いた。
「永井司令官 ここは、私にまかせ 残存兵をまとめ撤退を開始して下さい。 ここにいるグロテノスは、私1人で十分です。 ここを片付けてから私も行きます。 さあー早く!!」
B,P-1は、小さくうなづくと、大きくジャンプする。 みなっちの側に着地すると、意識を失っているみなっちを右肩に担ぎ上げた。
「マーク議長 全軍に、撤退命令を」
マークは、大きくうなづいた。
「全軍 直ちに撤退」 マークの司令が全軍に発せられる。
みなっちを担ぎ上げたままB,P-1は、B<P-2の方向に振り返った。
「頼みましたよ ピエール神父」 B,P(バトルプロテクター)専用SVL通信を送った。
先程の怪光で、目をやられた4体のグロテノスは、もはや戦闘を行える状態でなかった。
左腕をエクスカリバーに変形させたB,P-2に、次々と切り裂かれていく。

 数日の時間が過ぎた。
ここは、O県Y島の海底の更に、地底 奥深くにある ヤーナ最高秘密基地 聖なる場所。
「ところで、お嬢さん具合は・・・」 マークは、近くにいたスティーブに聞いた。
「かなり落ち着きを取り戻した様子です。 現在仲の良い友達のしのぶとやすこが、交代で看病にあたっています」
「そうか・・・」 マークはつぶやいた。
今回 ヤーナ始まって以来 大規模な本格戦闘 成果は、あのグロテノス以上の戦闘力を発揮出来る2体のB,P(バトルプロテクター)を手に入れた事であった。
これから始める 2体のB,P(バトルプロテクター)の研究で、かって我々人類が神々と呼んだ宇宙人が、約1万2000年以上前に残していった遺物とでも呼ぶべきか? 現代のテクノロジーを遥かに超える 驚異のオーバーテクノロジーの産物のコピーを作り出す事が出来れば、今後アポリスとの戦争を有利に運ぶ事が出来る。
だが それを手に入れる為の損失は、非常に大きかった。
元々B,P(バトルプロテクター)の入手と、基地占拠計画であったが、数人の人質を取られ 急遽 人質奪還計画に作戦を変更したのだが、その為の犠牲が大きかった。 現在手持ちにある最大戦力を投入し 人質の奪還に成功と、その過程で思いもよらぬB,P(バトルプロテクター)の奪取にも成功したが、その為 手持ちの兵力の35%が戦死 40%の将兵が怪我を負った。
弱小勢力に過ぎないヤーナに取って、多大な損失であった。
何よりも マークに取って1番期待をかけていた、浩司の戦死も痛手であった。
浩司の活躍がなければ、あの状況下での人質奪還もB.P(バトルプロテクター)入手も不可能であった。
"浩司殿は、常々ハードウエアーに対する 過剰な依存心に警告を述べておった。 どんなに優れたハードウエアーも 運用する人間の能力に大きく左右されると・・・ 正しく運用してこそ機能する 運用出来なければ タダのガラクタ 無用の長物だと・・・"
マークは、物思いにふけった。
"確かに、浩司殿の言う通りじゃ 2体のB,P(バトルプロテクター)を手に入れたところで、アポリスの物量戦略の前に勝ち目はない。 数の面での違いが多き過ぎる。 2体のみで、全世界を同時にカバーするなど不可能じゃ・・・"
色々考えを巡らせていた。
1つ気になると事を 率直に近くにいたスティーブに尋ねた。
"お嬢さんは、まだ浩司殿が、死んで消滅したと認めておらんのかのうー"
スティーブは、マークの問いに、大きくうなづいた。
「浩司さんは、死んでいないと・・・ どこか知らない未知の世界へ行っただけだと・・・ 自分にそれを感じる事が出来ると・・・ 落ち着きを取り戻して以来言い続けています。 それに、同じような事を 永井司令官も供述しております」
「ほおー永井司令官も・・・」
マークは、少し驚いた表情を浮かべた。
「はっ マーク長老 装着したB,P(バトルプロテクター)の電子アイで、浩司さんが、何か? 次元、時空の壁とでも言うべき物を通り抜けたのをこの目で見たと・・・ 他だし確証がないが・・・ と述べております」
「うーん・・・」 マークは腕を組んで考えた。
"確かに 浩司殿は、我々の理解を遥かに超えた不思議な能力の持ち主じゃからのうー どこか我々の知らぬ世界で生きておるのかも知れぬのうー"
マークは、窓の外の景色を見た。 窓の外には、人工的 ホロスコープ(3次元立体映像)で、映し出されている青い空 白い雲が映し出されている。 マークは、その先の まだ見知らぬ未知の世界へ思いを馳せていた。

 同じ頃 数日前 ヤーナとの大きな戦闘で、甚大な被害を受けた 日本国内にあるアポリスの最重要戦略拠点基地 かって1万2000年程前起きた 大きな戦闘で、エルの巨大なラグビーボール型 マザーシップ(母船)が、撃墜され墜落 地底に突き刺さる形で、埋まっており その周囲をピラミット型構造物に覆われ アポリスによる発見後 最重要戦略拠点基地として、建設が極秘裏に進められていた。
「ギル将軍」
1人の兵士が、中央作戦室のモニター画面に映し出された。
「どうしたんじゃ」
ギルは、モニター画面を見た。
「はっ マザーシップ(母船)内にある ネクストノイド改造ポット内に、現在確認中ですが、5名の生存者を発見しました。
「ほおー 5名 何とか生き残っておったか」
ギルは、腕を組んだ。
数日前のヤーナとの戦闘で、ほとんど壊滅状態になった ネクストノイド改造ポット施設 破壊され使い物にならなかったポットの撤去作業を続けていた。
ポット内にいた改造中の者は、全員死亡したと思われていたのだが、撤去作業中 僅か5名であったが、生存者が発見された。
「発見者の中に、戦死したと思われていた、ロイ部隊長、麻子部隊長の両名も含まれている模様です」
「何!! ロイと麻子 生きておったのかー!!」
思わずギルは、叫び声を上げた。
「他だし 発見場所が、ポット内で・・・」
モニター画面に映し出されていた兵士が思わず言葉を濁した。
「どうしたのじゃ 何故? 続きを言わぬ」
「はっ 生存が確認された ロイ部隊長、麻子部隊長の両名も含む5名全員 ポット内で、コンピューターの誤作動による改造ミスが、原因だと推測される ミュータントとでも呼ぶべき状態になっており このままでは、自己崩壊も時間の問題かと・・・ 現在 担当の科学者、技術者が、生命維持に努めておりますが、額にネクスタルを打ち込まなければ、生命の保障出来ないと、報告を受けております」
ギルは報告を受けながら立ち上がった。
「何故? ロイと麻子がポット内にいたのじゃ」
「多分 戦闘中の何らかのアクシデントが原因ではないかと・・・」
「それに、生存者が、ミュータント化したとは、どういうことじゃ?」
「それは、ネクストノイド改造の最高権威でもあらせるギル将軍に、色々お調べいただきたいと、科学者どもが述べております」
「よし 解った わし自ら調べ指揮を執ろう」 ギルは、そう言いながら歩き出した。

 ここは、我々が住む宇宙とは、別の宇宙 無数に存在する多重宇宙の1つ かって、浩司が、レジェンスによって導かれ レジェンスのテレポーテーションによって連れて来られ レジェンスとの融合した小惑星の内部をくり貫かれ建設された レグと呼ばれる遥か遠い昔絶滅した古代 超銀河団すら往来した想像絶する高度テクノロジーを持つEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が残した秘密施設 その一画に奇妙な物体が、各種センサーによって丹念に調べられていた。
全く生命体の存在のない見られない機器だけの施設  ただ見た事もない機器が 全長約2m程の卵型の淡い白い光を薄っすらと発する物体を丹念に調べていた。
この施設を管理する 思考を持つコンピューターですらこの物体に対して、明確な答えが導き出せずにいた。
地球標準時間で、数日前 突然 何ら前触れもなくこの一画に現れた。
この物体 人間の心臓の鼓動のように、一定間隔で、光量の変化を繰り返していた。
各種センサーを使用しても物体の内部をスキャン(透し)出来ない。
だが、思考を持つコンピューターは、この物体の内部に何があるのか? 予想がついていた。

 それから数ヶ月の時間が流れた。
ここ聖なる場所では、中心部に大きくそびえ建つ まだ建設途中のゴシック調のC教会で、数ヶ月前 アポリスとの間で起きた 大きな戦闘による戦死者の合同慰霊祭が行われていた。
この慰霊祭を取り仕切ったのは、ピエールである。
アポリスとの大きな戦闘後 ここまでの間 小さな小競り合い程度の戦闘がいくつかあったが、いずれも大きな戦闘までに発展する事なく比較的小康状態が続いていた。
ピエールの事を芳しく思わない少数のヤーナ幹部は、この合同慰霊祭の本質を見抜いていた。
これは、ピエールの為の政治ショー 見え見えのパフォーマンスを繰り広げられる事を知っていた。
今回の出席者は、この戦闘で戦死した、遺族、恋人、友人と、ヤーナのNO2以上の最高幹部であった。
みなっちも この合同慰霊祭に、黒の喪服を着て参加していた。
だが、戦死者名簿に最愛の恋人の浩司を載せる事に強固に反対してきた。
"だって こーちゃん 死んでいないもの・・・ 私より先に死なないと約束しているもの・・・ 確かにこの目で、こーちゃんが串刺しにされ その後 白い光に包まれ消滅したのを見たわ こーちゃんには、みんなが知っているとおり不思議な能力があるのよ 前 1度 ここに連れ来られ時も大怪我を負っていたわ でも僅か数日で、奇跡的な回復したのよ 今回は怪我が大きくて時間がかかっているだけなの 私には理解るの 何と説明すれば良いか? でも私には感じているのこーちゃんが、どこか知らない未知の世界で、生きていてじっくり怪我の治療をしているのを・・・"
この日まで、言い続けていた。
マークの計らいもあり 浩司の戦死者名簿に載せるのは、一時的に棚上げとなった。
合同慰霊祭の出席も 聖なる場所へ来てから知り合い戦死した知人、友人の為であった。
少し高くなった段の上では、ピエールによる雄弁な政治ショーが繰り広げられていた。
ほとんどピエールの話も聞かずみなっちは、ただ浩司が無事戻ってくる事だけを みなっの信じる神に祈り続けていた。
"神様 早くこーちゃんを・・・"
段の上では、ピエールの雄弁な政治ショーが、最高潮に達しつつあった。
「ここにお集まりのみなさま 戦死した者たちの死を決してムダにしてはなりません。 彼ら、彼女らは、神々と共に生き 神々と、ここに残された愛すべき者たちの為に、神々の敵 アポリスと戦い 神々の元へ召されていったのです。 彼ら、彼女らの崇高で、勇敢な神々に選ばれた 真の神々の戦士なのです。 彼ら、彼女らの勇敢な活躍により 私と、ここにいる永井最高司令官は、神々が装着していた 聖なる鎧 まさしく神々の力の証である神々の鎧を手に入れる事が出来ました・・・」
壇上で、熱弁を振るうピエールを右斜め後ろのVIP席からマークは、もしこの場に、浩司がいたならば、何と言ったかを考えていた。
マークも少なからず、浩司の悪影響を受けていた。
"浩司殿なら こう言ったじゃろうのうー エルと呼ばれる かって我々人類が、神々と呼んだEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、残していった 1万2000年以上前のロートルのオーバーテクノロジーのハードウェアー 運用する人間の能力次第で、無用の長物 たった1つや2つのハードウエアーを手に入れたところで、戦局全体に影響を及ぼす事もない・・・"
そんな事を考えている時であった。
ピエールは、壇上の前に立った。
「ここにお集まりのみなさま 見て下さい。 これこそが神々の力です」 ピエールは、両腕を少し広げ叫んだ 「G,P(ゴットプロテクター!!」
子供向けの正義?のヒーロー者顔負けの演出ぶりである。
ピエールの身体数cmに渡って光輝いた。 瞬時にブロンズ(青銅色)の鎧とでも言うべき物に包まれた物体が現れた。
B,P-2を装着したピエールである。
「これこそが、神々より授かりし 真の神々の力 神々の鎧なのです」
B,P-2は、右腕を大きく上に向かった突き上げた。
礼拝堂の内にいた観衆は、一斉に立ち上がり万感の拍手が起こる。
「今こそ 神々への信仰心と共に、立ち上がり 神々の戦士となって、神々の敵 神々が与えた試練 アポリスを倒し 神々への道を歩む時間なのです」
ピエールの演説は、最高潮に達していた。
礼拝堂の中では、割れんばかり大きな拍手が沸き起こっていた。
この演説を冷ややかな目で見ていたマークは、「全くの ピエールの為の盛大な政治パフォーマンスショー いつもの事じゃが、これでは、死んでいった者の達の精霊が浮かばれるのやら・・・ 浩司殿が ここにいたならば同じ思いを抱いたはずじゃ・・・」 そんな思いが脳裏を巡っていた。
まさしくピエールは、典型的煽動タイプの神父であった。
そんな時であった。 側近の1人が、マークに耳打ちをする。
マークは、うなづきながらも 顔色が青ざめていく、マークは、立ち上がると、ピエールの演説を止めた。
ピエールからマイクをもらい受け、深刻な表情で、今 側近から聞かされた話を語り出した。
「ここで重要なお話しをしなければなりません。 今 アポリスが、全世界同時に武装蜂起を開始しました・・・」
ここにいた観衆全員が、どよめき声を上げた。
後に13日間戦争と呼ばれる アポリスによる全世界制服の幕開けであった。
だがこの時点 アポリスの戦力は、同時に全世界を支配するだけの戦力を整えていなかった。
まだ準備不足の状態であった。
その為の戦力アップに努めている最中でもあった。 正面から軍事力を行使だけでは、全世界を支配するには、膨大な戦力と、時間を要する。 それに、先進国を中心とした軍事力は、決して侮れなかった。 特に核兵器を持つ国々が、核兵器を使用した場合 バリヤーを張れないグロテノス、ハイパーグロテノスでは、耐える事が出来ない。 一瞬に蒸発してしまう。
残留放射能などの問題もあった。
その為 先進国などの主要国を中心に、各国の政治、軍部の内部に、アポリス側の人材、協力者を主要ポストにつけ、裏からの支配も同時に進めていた。
何故? まだ準備不足の段階で、アポリスが、全世界支配に乗り出したのか?
アポリスでさえ予定外のイレギラー出来事が、きっかけであった。
きっかけとなった出来事は、今となってはだれ1人として知る者はいない。
全ての準備を整え7日間で、全世界を制服する計画であったが、準備不足で突入した為 計画は大幅に延長を余儀なくされた。
世界各地で、予定外の抵抗に合い その制圧の為 当初の予定よりも6日も延び 13日もの時間がかかってしまった。
そして、全世界制圧後 アポリスによる世界統一政府を樹立を宣言。
ここに人類史上初の世界統一国家が誕生した。
だが、この支配も決して完全な物ではなかった。
準備不足が原因による 不完全な支配による 世界各地で、単発的レジスタンス(抵抗)活動に手を焼く結果をもたらした。
そして、この隙を後に利用される結果をもたらした。

13日間戦争中 数々のドラマが生まれた。
中東の一角の某国 アポリスによる世界同時蜂起が起きると同時に、政府要人、軍部上層部の主要ポストは、既にアポリス側の人材となっており 組織的抵抗がほとんど行える状態ではなかった。
突然 直ぐ側にいた人間が、子供向けヒーロー者の敵役のような怪物に変身 抵抗する者達を次々に処分していった。
核兵器などの強力な大量破壊兵器以外の 通常兵器程度では、全く歯が立たない 戦闘機、戦車などのハイテクハードウエアーも 変身したグロテノスにとってオモチャ程度に過ぎず 次々と壊滅させられていった。
この機に乗じて 1部 反政府的行動を取り続けてきたいくつかの部族が共闘、軍事基地の1つを武力制圧し 最新鋭の戦車を中心に各兵器を略奪 その勢いに乗り無法な盗賊化 各街々を襲い略奪の限りを始めた。
それら盗賊化した者達を制圧する為 中東担当のギルは、研究開発中の5人編成のある部隊に、初めての実戦投入を下した。
後に、パーサーカー5(ファイブ) (狂戦士5人集=見境なく死を振りまく伝説の竜騎兵) と呼ばれ恐れられた地獄の最強部隊であった。
「ロイ」 猫に似た女性型グロテノスが、近くにいた鷲に似たグロテノスに声を掛けた。 通常のグロテノス、ハイパーグロテノスとは、どこが違っている。
「なんだい? 麻子」 鷲に似たグロテノスが、猫に似た女性型グロテノスを見つめる。
そうこのパーサーカー5(ファイブ)こそ 数ヶ月前 日本で起きたヤーナとの最初の本格戦闘で、破壊されたポットの内の生き残りで構成されていた。
通常 デストロ、グロテノスなどのネクストノイドは、人間のDNAに、他の生命体の改造したDNAの1部を書き加えるのであったが、この5人は違っていた。
元々のDNAに、他の生命体の改造したDNAが、完全に交じり合った状態になっていた。
原因は、コンピューターの誤作動であった。
失敗体である。 通常 この場合 死に至るか、運良く生き延びても 人間としての理性などを失い 残るのは野性の獣としての殺戮本能しか残らない。
だがこの5人は、人間としての理性を失わず、想像絶する壮絶な苦痛に耐え生き延びた。
人並み外れたなどとなまやさしい言葉では言い尽くせない 強靭な精神力が、5人を支えた。
特に、唯一の女性である麻子は、地獄などと言う生易しい言葉では言い尽くせない 想像絶する壮絶な苦痛に耐えた。
唯一の形見であり、麻子を支えだったハートのペンダントを 両手に強く握りしめ耐え抜いた。
"こんな・・・ こんな・・・ こんな所で死んでたまるか・・・!!" ハートのペンダントを 両手に強く握りしめ 最愛のフィアンセ(婚約者)を奪い取ったA真理宗教への 言葉で言い尽くせない復讐心が、想像絶する壮絶な苦痛を耐えさせた。
そして、ロイは、永遠のライバルである永井に対するライバル心が支えた。
他の3人も似たような事情であった。
強靭な精神力が、5人を支えた。
その結果 誕生したのが、グロテノスの中で、最新最強タイプ ハイパーグロテノスをも上回る戦闘力を持ち ハイパーグロテノスの最大の欠点である エネルギー消費量の問題を解決した 新種のグロテノスであった。
だがその引き換えに、致命的 欠陥もあった。 他のネクストノイドと違い変身能力がない。 そして、通常ネクストノイドへの改造が行われると、寿命が約10倍に伸び 改造時直前の状態で、ほとんど老化しなくなるが、寿命、老化共に、通常の人間と全く同じスピードで進行する。
何よりも 変身能力がないのが、致命的であった。 戦闘形態である 人間と他の生命体の掛け合わせた姿 つまりグロテノスのままでしかいられなかった。
元の人間の姿に戻る事が出来ない。
その為 仲間のグロテノスからは、新種の新人類と言う意味からミュータントと呼ばれ 分類上 ミューグロテノスと言う 新たに創設された部門に分類された。
鷲に似たタイプ ロイは、ミューホーカー、猫に似た女性タイプ 麻子は、ミュースキャットと呼ばれる ミューグロテノスであった。
あの日から ここままでの道のりは、決して平坦ではなかった。
だが、この日 初めて日の目を見せるチャンスが訪れた。
仲間のグロテノスに自分達の実力を見せつけ 自分達の存在を知らしめるチャンスであった。
ミュースキャット麻子の顔は、不敵に微笑む。 
「ここは、私1人に任せて あんな雑魚 私1人で十分よ」 ミュースキャット麻子は、ロイに妖艶なウインクをして魅せる。
ここは、中東の砂漠地帯 真っ青に晴れ渡った空には、雲1つない。
周囲には、何の遮断物もない。
その砂漠地帯に、轟音を上げ 10車を超える戦車を先頭に、砂煙を舞い上げ突進を続けていた。
戦車隊の先頭に、突然 麻子が出現した。
先頭の戦車の砲台から周囲を双眼鏡で見渡していた1人の髭面の男が、その姿を発見した。
「何だー おかしなモンスター(怪物)が、前方に現れたぞ それも1匹」 舌をなめずり回すように言う。
「どこだ」 無線を聞いていた男がハッチを開け 周囲を見渡した。
この戦車を中心とした盗賊団の族長である。
髭面の男から双眼鏡を奪い取ると、髭面の男の指差す方向を見る。
そこには、全身 マントをまとった 顔が猫に似た 女性タイプのモンスター(怪物)の姿を確認した。
「あれが 例のグロテノスと呼ばれる モンスター(怪物)かい・・・」 この族長 この手の男にありがちな、怖いもの知らずであった。
「よし てめえら この俺様達の力を見せる時だ、このまま全速前進 あのモンスター(怪物)を踏み潰せ!!」
周囲から 「オー!!」の威勢のいい掛け声が響き渡る。
目前に迫った 女性タイプのモンスター(怪物)は、微動だにせず、こちらを睨みつけている 「あのモンスター(怪物)のねーちゃん ビビって動けなくなったかー!!」 族長は、高らかに笑い声を上げた。
その瞬間 ミュースキャット麻子の姿が消えた・・・ いや違う 目にも止まらぬスピードで、上空に高らかとジャンプする。
ジャンプと同時に、身体を包んでいたマントを投げ捨てた。
全身艶の良い黒い毛に覆われながらも、人間の女性のスタイルの良い美しいボディラインであった。
艶やかな大人の女の色気を醸し出している。
空中で数回転し 戦車の間に着地 着地と同時 両手10本の指の爪を約20cmに伸ばした。
伸びた爪から青白い光が発する。 高周波を発生させた。
高強度を誇るの金属も高周波で、瞬時に切断する威力を誇っていた。
ミュースキャット麻子の必殺技の1つ ネイルソードであった。
ミュースキャット麻子の素早く、俊敏な動きで、10車を越える戦車が次々と切り裂かれスクラップにしていく。
途中 襲いかかって来た盗賊団も同様であった。 軍用ライフルの銃弾も、ミュースキャット麻子のアクロバティックな柔軟な身体に命中せず、逆にキラーネイルの高周波によって、次々と切り裂かれていった。
僅か短時間で、ミュースキャット麻子は、10車を越える最新鋭の戦車を持つ盗賊団を たった1人で壊滅、全員1人残らず血祭りにあげてしまった。
圧倒的な戦闘能力であった。
「どうロイ 軽く料理してあげたわ」 ミュースキャット麻子は、正面にいたミューホーカーロイにウインクして見せた。
予想をはるかに超える活躍に、気をよくしたギルは、中東各地で、膠着状態に陥っていた各戦闘地域に、パーサーカー5(ファイブ)を投入 目覚しい活躍を続け 全てに死をもたらす地獄の部隊 狂戦士5人集=見境なく死を振りまく伝説の竜騎兵 パーサーカー5(ファイブ)の名声は、世界中に響き渡り 恐れられる存在となった。
13日間戦争の大活躍が認められ パーサーカー5(ファイブ)は、異例の大出世を果たす。




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