LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 融合 Part8

 話し合いの末 みなっちの意見を取り入れる事となった。 レントゲン、CTスキャンなどで、何も映し出すことが出来なければ、医師として、手探りでのオペ(手術)は、リスクが大き過ぎる それに、浩司の容体も、心拍数、血圧、体温など各種モニターのデータでも、悪いなりに非常に安定していた。
24時間体勢での要観察、数人の看護婦が交代で、容体を把握する事となったが、みなっちが、「私もそばで付き添う」と言い出した。
頑固な一面もあるみなっちである 言い出したら聞かない。
みなっちが、24時間体制で付き添い、看護婦が交代で、各種モニターチェックする事となった。
容体が急変した場合 目視による緊急手術(オペ)行う。
みなっちは、近くの椅子に腰掛け浩司を見つめていた。
翌日となった 不寝番で浩司の傍にいた みなっち  窓の外から光が差し込んでくるのに気づいた。
まるで朝が訪れてきた感じである。
"ここは地底のはずなのに・・・" 不思議に思うみなっち 何気なく窓へ向かった。
白のカーテンを少しばかり引く 外の風景を見て驚いた。
何と上空には、青い空、白い雲、太陽まで輝いて見える。
周囲には、大小いくつかの建物が建設中であった。 少し離れた場所にはピラミッド型の建物も建設中である。
中心部と思われる場所には、ゴシック調の教会まで建設中であった。
近くには、湖まである。
至る所で、草木が生え まるで楽園のような美しい景色であった。
近くで、モニター類のチェックをしていた看護婦の1人が答えてくれた。
「ここはねー 半円球上のドーム構造になっているの 上部の壁は、発光パネルになっていて 太陽まで、映像だけど人工的に映し出しているの 朝、昼、夕方と自然に近い光量や青い空、雲や夕焼けまで風景を映し出しているのよ 他だし雨や雪など降らないけど・・・ 夜になると星や月まで輝いて見えるのよ 結構ロマンチックよ 自然環境が、人工的に再現された自然に近い環境なのよ」
「すごいんだ・・・」 みなっちはただ驚くばかりである。
「全て 1万2000年以上前にエルが残した遺跡と、テクノロジーの1部だけど」 看護婦の1人は、やさしく微笑んで答えた。
「気候も日本の平均的四季に合わせてあるのよ 今は夏だから お昼過ぎになると、近くの湖 みんなホリディレイクと呼んでいて、そこの砂浜 ホリディビーチと呼んでいる場所で、休暇の人たちが水遊びもしているのよ すばらしいでしょう」 もう1人の看護婦が自慢げに言った。
「マークじいさんは、ここを聖なる場所と呼んでいるけど、ピエール神父は、ここをニューエデンと呼んでいるわ」
「あら・・・ どういう事?」 モニター類の数値をチェックしていた もう1人の看護婦がつぶやいた。
「どうしたの?」 先程みなっちの疑問に答えた 看護婦が近づきながら言った。
「これを見て 全ての値が急激に正常値に戻りつつあるのよ・・・」
ふっとみなっちは、浩司を見た 顔色がかなり良くなってきている シーツを被せてあるので解らないが、みなっちにしか解らない程の微弱な自らの発光も消えている そんな感じだった。
「すぐドクターを呼んでくるわ」 そう言いながら看護婦の1人が部屋を出た。
「う〜ん・・・」 ドクターは唸った。 まだ意識の戻らない浩司の腹部を触って唸ったのだ。
レントゲン、CTなどに何も写らない 手からの感触に頼らずえない。
モニター類のデータ、手からの感覚では、かなり状態が改善しつつあるように思えた。
とても信じられる事ではない。 これ程の大怪我を自己治癒力だけで、それも僅か1日と言う短時間で、ここまで回復するなど奇跡としか思えない。
ここの医師、看護婦のほとんどが、C宗教の素朴な信者。 ピエールをはじめヤーナに属する幹部クラスの神父がスカウトした人材であった。
医師、看護婦としても、かなりの高評価を得ている優秀な人材ばかりである。
「とにかくもうしばらくこのまま様子を見よう・・・」 医師は、そう決断した。 それ以外何も手のうちようもなかった。
しばらくすると浩司が、ようやく意識を回復させた。
最初に気づいたのは、やはりみなっちであった。
「こーちゃん・・・」
「ここは・・・?」 まだ意識はかなり朦朧としていた。 何度も口で息をしいる。
まだ定まらない視線で、みなっちの姿を確認した。
「みなっち・・・ 無事だったか・・・?」 声もまだ弱々しい
「何を言っているの・・・」 みなっちは、浩司の傍に寄った そしてそーと酸素マスクを外し 浩司の口に軽くキスをした。
「こんな・・・ こんなボロボロの身体になって、本当に死んでしまうかと思ったんだよ でも神様が、奇跡を起してくたんだよ ずーと、ずーと神様にお願いしたんだよ こーちゃんを助けって だから神様が、こーちゃんを守ってくれたんだよ。 あんな大怪我を負っても一晩で、奇跡的とも言えるまで、回復させてくれたんだよ」
みなっちは、思わず浩司を抱きしめた。 その瞳には涙が浮かんでいた。
浩司には、神の力ではなく、レジェンスよる自己防衛、自己治癒力が働き、自己治癒させたんだと、まだはっきりしない朦朧とした意識の中で、何となく感じていた。
浩司は、起き上がろうとすると、みなっちは止めた。
「まだ起きちゃーダメ けが人は、大人しく寝ていなければ・・・」 みなっちは、涙目でやさしく微笑んだ。

翌日の昼過ぎ、浩司が意識を回復し 怪我の回復も驚異的と判断が下され、面会可能と判断されると、早速 マークは数人の側近を連れ浩司に面会を申し込んだ。
一般病棟の個室に移された浩司は、みなっちのアドバイスもあり 渋々OKを出したのだが、みなっちや医師、看護婦以外 余り他人とは話したくない気分であった。
みなっちから ここは、マークから聞かされていた聖なる場所で、地底奥深くあるヤーナ最高機密の秘密基地だと言う。 それに嫌なピエール神父を始めC宗教関係者が多く、話と言っても ヤーナへのスカウトと、あの孤島基地の詳しい話を聞くだろうと思ったからだ。
龍(ロン)に叩きのめされ、死ぬ1歩手前までの完全敗北であった。
自らの甘さが招いた事ではあったが、元来反戦主義者で、戦争嫌いである。 その辺が何とも言えない思いもあった。
「重体だったこーちゃんを ここへ連れてきて、適切な治療を受けさせてくれたのは、マークさんのおかげなんだから・・・ 会って感謝を言わないと・・・」 みなっちに言われ渋々ながらOKを出した。
マークは、側近を病室には入れず、ドアの周囲に配置させ1人で中に入ってきた。
「浩司殿 怪我の具合はいかがかな?」
起き上がろうとした浩司を みなっちは止め ベッドの横にあるスイッチを押した。
ベッドの半分が、ゆっくり持ち上がり始め ちょうど少し倒したような座椅子の形になる。
浩司の上半身は、持ち上がったベッドにもたれかかる形になった。
「無理をなさるな・・・」 心配顔でマークは言った。
「そうよ まだ怪我 完全に治っていないだからね」 みなっちも言った。
「ところで、浩司殿・・・」 マークがしゃべり始めた。
「ちょっと待って下さい。 先に助けてもらった礼を言わないと」 浩司は感謝の言葉を言った。
「それと、助けてもらった礼と言っても悪いのですが・・・ みなっち 例の物を」 浩司は、みなっちを呼んだ。
みなっちは、大事に持っていたバックからある物を取り出した。
浩司が、孤島の基地の中で、科学者らしい人物から手渡された何枚かのCD-RWの収められたケースであった。
みなっちは、それをマークに手渡した。
「これは・・・」 マークは少し驚いた。
「多分 重要な情報が、データとして収められていると思って・・・」 浩司は何気なく言った。 川村に渡される予定だったCD-RWである。 かなりの情報が収められているの容易に想像がついた。
簡単ないきさつを マークに話した。
「・・・う〜ん そう言う事か・・・ 早速 調べる事にしょう よくこんな物を・・・」 マークは、病室の外にいた側近の1人を呼び寄せ ケースを手渡した。
「至急 情報分析を始めるのじゃ」 マークの言葉に、うなづくと手渡された男は、病室を後にした。
「ところで 浩司殿 だれに、ここまでやられたんじゃ? 浩司殿の実力では、グロテノスにやられたとはとても思えんのじゃが・・・?」」 マークは、早速本題に入った。
「龍(ロン)と呼ばれる 将軍の1人」 浩司は、自嘲気味に答えた。
「龍(ロン)? あのデストロの1人の・・・」 マークは、また驚いた。 無理も無い事である。 名前以外正体不明の8大将軍の1人 大幹部である その戦闘力は、グロテノスが何体束にかかっても勝ち目の無い底知れぬ戦闘能力を持ち テレパシーによって、グロテノスをも精神コントロール出来る実力を持つと言われる。
「その龍(ロン)と戦って、このザマですよ」 自嘲気味に浩司は言った。 ケタ違いの実力を見せ付けられたのだ それ以外何も言うべき言葉もなかった。
「龍(ロン)とは、どんな人物じゃった?」 マークは、興味を示した だれも見た事がない 謎の人物である 貴重な情報を聞き出そうとした。
浩司は、見たままの事を話した。 身長は、約160cm程度の小柄なモンゴロイドである事 顔立ちが、中国風である事 歴代の中国の皇帝が愛用した民族服を着ていた事 年齢は、見た目で70歳を超えている感じだった事 それに、龍(ロン)が、独自に開発したと思われるハイパーグロテノスと言う グロテノスを更に強化した特殊タイプもいる事 その他・・・
他だし 龍(ロン)を始めとするハイパーグロテノスとの戦闘については、ほとんど何も話さなかった。
「うーん」 マークは、腕を組み唸った。 「ハイパーグロテノスと言う 更に強化されたグロテノスまでいるとはのう・・・」
「詳しくは あのCD-RWに収められていると思いますが・・・」 浩司は、答えた。
浩司とマークの会話はしばらく続いた。
いよいよマークは、最も重要な本題に入った。
「どうじゃ 浩司殿 わしらの組織ヤーナへ・・・ そうお嬢さんも一緒じゃ 参加してもらえんかのうー もちろん怪我の回復が最優先じゃが・・・ このまま元の生活に戻っても 命を狙われるだけじゃ また今回の様な大怪我も負う事にもなるじゃろうし アポリスを倒さなければ、元の生活には戻れんはずじゃ・・・」 
マークに取って浩司の存在は、必要不可欠であった。 浩司の話では、8大将軍の1人 デストロである龍(ロン)に叩きのめされ瀕死の重傷を負ったとは言え、格下であるが、グロテノスを何体も倒しているのは事実だ。
だれ1人 倒した者がいないグロテノスを倒すのに、我々人類(ホモサピエンス・サピエンス)では不可能なスピードとパワー そして何と言っても、あの強力なエネルギー弾まで使用している。
現在 アポリスに対し 軍事面を始め色々な面で、かなりの劣勢に立たされていた。
グロテノスですら、今だ攻略方法が無いのが現状である。
マークを始め 極少数の幹部しか知らない 対グロテノス用特殊兵器を開発中であったが、開発に成功しても軍事面での劣勢を挽回出来るとは、余り思っていなかった。
浩司の戦略思想で言えば、物量面 特に兵力面で数が・・・ 用は、全ての総戦力差が余りにも違い過ぎる。
軍事面での浩司の強力な戦闘力を 絶対必要であった。
それと、科学に対する膨大な知識、独自理論、独自解釈もだ。
特に、未完成の量子論に対する独自解釈は、1部の科学者でさえ、高評価している。
もう1つは、考古学上の神々=EBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)説の中で、古代行われたと言う 核兵器を始め 現在のテクノロジーを遥かに超えるハイテクウエポンまで、使用されたと言われる戦争に対する 戦略的見地から述べられている戦史観である。 マークは、浩司に、軍事面での戦略家として資質も育んでいるのを見抜いていた。
あらゆる面で、アポリスに対して劣勢を 少し挽回する為には、浩司の存在がなくてはならなかった。
しかし、浩司は、極度の宗教嫌いで、反戦主義者である事も知っていた。
龍(ロン)に叩きのめされたのも この反戦主義が、影響したと、この時点では思っていた。 
レジェンスの存在すら知らないマークである。
反戦主義でなければ、互角に戦ったはず。 そうでなければ、あのグロテノスを瞬時に倒すなど不可能だと思っていた。
そして、浩司の戦闘力の秘密を明かし利用出来れば、軍事面 特に兵器開発のテクノロジー面での、劣勢を挽回出来るはずと思っていた。
それとピエール神父に対する牽制の意味合いもあった。
川村がもたらした情報の1部が、意図的に抜かれているのに、気づいていた。
裏で、何かを画策している。
何気なく浩司の表情を覗った。
浩司は、両手を頭の後ろに回した しかし乗り気がない表情である。
極度の宗教嫌いの浩司が、ピエール神父を始めC宗教関係者と、うまく行くはずがない。
1度ピエール神父自ら、直接スカウトした時などは、大口論になったいきさつは、ヤーナでは有名になっていた。
自分の部下・・・ いや同志となれば、C宗教側に対して、かなり牽制出来る。
ヤーナとは言え 必ずしも一枚岩でない、典型的 呉越同舟状態である 複数の勢力が、同盟関係を結んでいるに過ぎない。
あらゆる面で、1枚でも強い 切り札となるべきカードが欲しかった。
その為には、絶対必要不可欠な人材であった。
問題は、性格である。 典型的自営業者の家庭で生まれ育ち、かなりの1匹狼的性格、資質を育んでしまっている点である。
何事も他人を頼らず 自分で考え 判断し 行動する。 自力のみでやってのけようとする点であった。
悪い言い方をすれは、独断専行タイプ。
組織の一員として、協調性に欠け 集団行動に、なじめない点。
マークは、不安視しいた。
マークは、この時点 アポリスと全面衝突時 つまり全面戦争突入時に、マークの側近で、右腕であり 最も信頼のおける ヤーナ軍事部門の最高司令官と共に、兵を率いて戦う、指揮官としての役割も期待していた。
つまり兵を率いて戦う 戦略を実行する為の 戦術用兵家としての能力である。
浩司1人で、アポリス全てを倒すなど、到底不可能など解り切っていた。
多数の兵を率いての総力戦になる。
一匹狼的資質の浩司が、はたして、兵を率いる事が出来るかだ。
先頭に立ち 物事を進めるリーダー性である。
浩司は、生涯 少数の仲間と共に戦う以外 ほとんど単独の戦いであった。
用兵家として、兵を率いて戦う事がほとんどなく、その能力については、未知数のままであった。
それと恋人の存在もある みなっちと呼ばれる 浩司の恋人は、極端な宗教嫌いの浩司の恋人としては、信じられない事に、C宗教の素朴な信者であった。
男と女の仲は、決してロジック(論理)ではない。 まして理論などの方程式では、解き明かす事が出来ない不思議なものであると、マークは思った。
だが大きな問題点でもあった。 C宗教の選抜きのスーパーエリートであるピエール神父が、浩司の恋人を引き入れてしまった場合 恋人に、頭が上がらず、尻に引かれた状態の浩司は、 嫌々ながらもピエール神父率いるC宗教側についてしまう可能性が高かった。
この点に関しては、マークは、ある策を打っていた "そろそろ来るはずだがー"
マークは、左腕の腕時計を見た。
この時 浩司は、マークの思いとは、別の事を考えていた。
余りマークの話を聞かず、ある基本戦略構想を考えていた。
マークが、見抜いたように、浩司は、戦略家としての資質を育んでいる。
それは、人類を始めとする 全地球上の生命の進化と生存の観点から見た基本戦略構想であった。
こう言う時 純軍事的な戦略構想ではなく、こう言う方面からでも思考をするのは、いかにも浩司らしい一面でもあるのだが・・・
常に、あらゆる可能性を考え複数の基本戦略構想を思考する。
この時点 アポリスに対して、軍事上の戦略的勝利を収めるなど、ほとんど不可能である事を知り抜いていた。
総戦力と言えば簡単だが、数、物量・・・その他が、余りにも違い過ぎる。
わざわざ巨大戦力を持つ圧倒的多数の敵と、スポコンマンガみたいに正面から戦う必要性などない。
全く勝ち目のない戦い。 自ら殉教者となり 犬死・・・・ その様な発想は、浩司にはない。
"軍事上が、不可能なら 他方面・・・ 歴史的意義、方向性などから戦略上の勝利を収めればいい" と考えていた。
それは、悠久の地球の歴史からの発想であった。
約40億年前 地球上で、最初の生命が誕生したと言われ、それ以来 途切れるむ事無く生命は、地球上で生存している。
元々1つのタイプの生命しか存在しかなかった最初の生命が、気の遠くなるような長い年月をかけて、無数に進化、多種多様化、分化を繰り返しながら、現在まで生存、存在している。
時系列的には
1、化学進化
2、原始生命体(化学進化による生命誕生直後の状態を有する生命)
3、共通祖先
4、真正細菌(バクテリア)と古細菌
と言う順番で進化が行われたと定義されている。
まず地球上に、化学進化によって最初の原始生命体が誕生 その後 同様に化学進化によって、複数の異なるタイプの原始生命体が誕生し その中から、LUCA(ルカ = Last Universal Common Ancestor = 全生物の共通祖先)と呼ばれる1つのタイプの原始生命体が誕生し、やがて地球上に現存する全生物の3ドメインの系統である 真核生物、古細菌、真正細菌(バクテリア)に分化し進化してきと考えられている。
他にも、ドメイン以外 二帝説(原核生物帝、真核生物帝)、エオサイト説(真正細菌ドメイン、古細菌ドメイン)と、分類する説もある。 まだ確定していない。
他のドメインの系統も存在したかも知れないが、途中何らかの原因によって絶滅したと考えられている。
これらの定義 つまり現存生命の定義に、分類されないウイルス 2011年になってウイルスの分類において分類されている階層不明の巨大核質DNAウイルス (Nucleocytoplasmic large DNA viruses) は、第4のドメインである可能性も示唆されている。 2013年には、極めて巨大で、既知のウイルスの観点には当てはまらない性質を持つパンドラウイルス属が発見されている・・・・ など まだかなり不確定な要素が多い。
LUCA(ルカ = Last Universal Common Ancestor = 全生物の共通祖先)以外にも化学進化により誕生した複数の異なるタイプの原始生命体も 全て何らかの原因によって絶滅したと考えられている。
全てLUCA(ルカ = Last Universal Common Ancestor = 全生物の共通祖先)もしくは、その子孫によって絶滅させられた可能性も否定出来ない。
他にも 1部の原始生命体は、LUCA(ルカ = Last Universal Common Ancestor = 全生物の共通祖先)によって取り込まれ、分化が起こった言う考えもある。
現存する3ドメインの系統の1つ真核生物の細胞内に共生するミトコンドリアでないかと考えられている。
最初の原始生命体の起源は、地球上ではなく 他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到着したと言うパンスペルミア説などもある。
他にも プロゲノート(遺伝子型と表現型の対応関係の成立しいない生物)やコモノート(環状のDNAを持つ遺伝の仕組みが成立している生物) センアンセスター(プロゲノート、コモノートとは異なり、各遺伝子の系統樹分岐パターンの違いを含めた曖昧な共通祖先を意味する概念的な生物)などの考えも提案されている。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』他 多数参照)
生命の多種多様化、多様性である。 ポイント、キーは、ここにあると思っていた。
浩司の思考の基本は、一定の枠に囚われない発想の柔軟性と、多様性にあった 一定の枠内での決められた1つの思考パターンしか認めない宗教を 毛嫌いする理由の1つでもある。
効率面から考えれば、1つの生命タイプの方が効率的であるのに、何故? 進化、分化、無数に多種多様化したのかだ。
それは、地球の環境の極端な変化である。 地球誕生以来 環境は常に一定不変ではない 常に、短時間で劇的極端な変化を何度も繰り返している。  氷河期ですら 全球凍結(アイスボール)を含めて、過去何度もある。
スノーボールアース(Snowball Earth, 雪球地球、全球凍結、全地球凍結)とも呼ばれる。
スノーボールアース(Snowball Earth, 雪球地球、全球凍結、全地球凍結)は、現在確認されている限り 今から22億年前と、6億年前の 2度以上起きているのが、確認されている。
大気の諸成分にしても、生命誕生時には、ほとんど酸素がなかった それが、最初に光合成をおこなったとされるバクテリアに属するのか? 色々意見が分かれるところだが、シアノバクテリアと呼ばれる生命体が、最初だと言われている。 (現在もオーストラリア シャーク湾に生存)
光合成によって、生命を維持するエネルギーを得て、その廃棄物として、酸素を放出した。
当時 地球に生存していた生命に取っては、酸素は、有害で、危険な物質であった。 浴びると酸化し死に至る。
最初の地球上の 有害で危険な公害と言っても過言はない。 現在 大気の約20%を占めている。
(元々地球内部のマントルの対流による磁場の形成 つまりバン・アレン帯によって、ある程度 有害で、危険な宇宙から降り注ぐ放射線を2重構造で防いでいたが、更に、この酸素が、海中から大気圏内へも放出され 上空にO3(オゾン)層の形成により、更に激減 後の生物の海中から地上、大気圏内つまり陸上への進出を可能とした。 {マントル対流については、プルーム理論を参照してね}
2重構造のバン・アレン帯と、O3(オゾン)層の3重構造で、生命に取って、有害で、危険な宇宙から降り注ぐ放射線などを ほぼ遮断している)
現在この酸素を エネルギー源として利用している生命体は、人類を含めて、多数存在する。
全地球規模の環境の極端な変化は、突然に起きる それも短時間で極端に変化する。
その代表例が、シベリアで見つかった今から約2億5000万年前 ペルム紀末(以前は、二畳紀と呼ばれていた)からトリアス紀(三畳紀)に切り替わる P-T境界と呼ばれる地層年代である。 地質年代上 古生代から中生代に切り替わる時期 地球の歴史上最大級と言われる、巨大なマントルの上昇流であるスーパーホットプルームが原因と考えられる、複数の火山の同時大爆発である。 その証拠は、シベリア洪水玄武岩と呼ばれる火山岩が広い範囲に残されている。 そのエネルギー量はすさまじく、マグマや噴煙は成層圏まで達したと言われ その後 短時間で、極端な環境変化が起こった。
プルームテクトニクスが原因と考えられる 超大陸の形成と分裂に際する大規模な火山活動による環境変化である。
同時に、現在日本で、近い将来最有望資源と考えられている深海のメタンハイドレートの大量気化が起こりメタンガス(CO2=二酸化炭素の20倍以上の温室効果をもたらす)により、更に温室効果が促進されるという悪循環が発生し、環境が激変したと考えられる。
対応、適応出来なかった地球上の生命のほとんどが絶滅してしまった。
生命のカタストロフィー(大量絶滅)と呼ばれている。 この後 ペルム紀(二畳紀)末、30%以上あった大気の酸素濃度が、トリアス紀(三畳紀)初頭には、10%以下までに減少 低酸素時代の幕開けでもあった。 他にも火山から発生した大量の二酸化炭素の放出による温室効果 つまり急激な温暖化など様々な要因があるが、短時間で今までとは、別の環境に極端に変化をしてしまった。 この時 低酸素などの極端な環境変化に、適応できた恐竜の祖先が、後の大繁栄の基礎になったと言われている。
P-T境界時の短時間で、環境の極端な変化が起こり 生命の多くが絶滅してしまった。
運良く生き残っても、エサとなる生物が、絶滅した為 同時に絶滅した生物も多数存在したと考えられる。
つまり 食物連鎖の崩壊である。 ある特定の生物が、絶滅すると、その食物連鎖内のほとんどの生物が、絶滅する。
それと生物間の共生関係も同様だ。 特定の生物に共生し生存している生物も共生関係にある生物が、絶滅すれば、同時に絶滅する。
生態系とは、1つの大きなリングである。 1部分が崩壊すれば、リングそのものが崩壊する。
いわゆる共倒れ・・・ (浩司談)
自然とは、絶妙なバランスの上で成立している。 1つの崩壊が、全体に多大な影響を及ぼす。
これ以外にも 歴史上最低10回以上は、生命のカタストロフィー(大量絶滅)が、起きている。
極端な環境変化の原因は、様々であるが・・・
地質年代における大量絶滅は、現在以下の通り

冥王代〜始生代(原生代) 後期重爆撃期により、初期生物に大量絶滅を起こしたとされる。 41億年前から38億年前の期間。 生命は後期重爆撃期の直後に誕生したか、あるいは、冥王代初期に誕生して後期重爆撃期を生き抜いたと考えられる。

次に、原生代 シアノバクテリア他酸素発生型光合成細菌による大量の酸素供給が、在来偏性嫌気性原核生物の多くを大量絶滅させ、併せてもたらされた等の二酸化炭素、メタン等の温室効果ガスの減少で発生するようになった、何度目かのスノーボールアース(全球凍結、全地球凍結)も大量絶滅を起こしたと考えられている。
原生代末期のスターチアン氷河時代およびマリノニアン氷河時代(約7億3000万年前〜約6億3500万年前)に、地球表面全体が凍結するほどの激しい氷河期が訪れ 大量絶滅を起こしたと考えられている。

次に、代表的なもので、原生代末の大量絶滅(V-C境界)
超大陸の形成と分裂が原因と推定され、ゴンドワナ超大陸の形成と分裂が原因と推定、超大陸の分裂に際してはスーパープルームが地上まで上昇してきて非常に大規模な火山活動が起こり、地球表面の環境が激変するため、大量絶滅が起こると考えられている。 約5億4500万年前。

次に、カンブリア紀末 まだ詳細不明。 だが約5億1000万年前に起きた発生した大量絶滅は、原因が破局噴火である可能性が提唱されている。

オルドビス紀末の大量絶滅は、我々の住む太陽系の近くで起きた 約6000光年以内と推測されるスーパーノヴァ(超新星爆発)が原因の有害で危険な放射線の一種 電磁波であるガンマ線バーストが地球に向け放射され 地球を取り巻くO3(オゾン)層の破壊が原因と推測される 全生命の約85%が絶滅、約4億3500万年前。

デボン紀後期の大量絶滅 炭素、酸素、ストロンチウムなどの同位体測定による古環境解析から、気候の寒暖、海水面の後退、乾燥化、低酸素化などの大きな環境変化が、8〜10回も発生したことが判明している。 全生命の約82%が絶滅  約3億6000万年前。

先程説明した ペルム紀(二畳紀)末の大量絶滅(P-T境界) 全生命の約90〜95%が絶滅 約2億5000万年前。

トリアス紀(三畳紀)末の大量絶滅 中央大西洋マグマ分布域(Central Atlantic Magmatic Province)における火山活動との関連が有力視されている。
全生命の約76%が絶滅 約2億1200万年前。

恐竜が絶滅したとされる、有名な白亜紀末の大量絶滅(K-T境界) ユタカン半島の隕石落下説が、有望視されているが、K-T境界線よりもかなり深く(つまり古い時代に)入り込んでおり、隕石が落下した後も恐竜は相当期間にわたって生きていたのではないかという説さえある。
もう1つの疑問として(なぜ多種多様な恐竜だけ小型種を含む全ての種が滅び、似た生態を持っていた鳥類、爬虫類や両生類は絶滅を免れたのか)というものがあるが、現在のところ有効な解釈はない。
全生命の約70%が絶滅 約6500万年前。

そして人類による人為的な原因も多々ありの完新世の大量絶滅 現在進行中?などである。 (これについては、未確定) 未確定を含めると計10になるが・・・
原因は、様々だが、短時間での極端な環境変化の結果 生命のカタストロフィー(大量絶滅)を引き起こしている。
(これ以外にも小規模な生物の絶滅は、無数に存在する)
ペルム紀(二畳紀)末からトリアス紀(三畳紀)に切り替わる P-T境界は、歴史上最大級と言われ 全生物の約90〜95%もが絶滅している。
その為 生命は、極端な環境変化による 生命のカタストロフィー(大量絶滅)後 新たな環境下でもいくつかの生命を生存させる為 ある戦略を用いた 環境が比較的安定している間に、異なった環境に適応出来るよう 多種多様な生命を生み出し 環境が極端に変化し大半の生命が絶滅しても いくつかの生命を生き残らせる方法を選択した。
カタストロフィー(大量絶滅)の直後に、空席になったニッチ(生態的地位)を埋めるべく、生き延びた生物による急激な適応放散である。
極端な環境変化による 生命のカタストロフィー(大量絶滅)にも耐え、生き残り 新たな環境に適応出来た生命は、新たな環境下 必ず短時間で、複数の生物へと分化、進化する 生命進化のビックバン(大爆発)である。
最初の生命進化のビックバン(大爆発)は、約5億3000万年前のカンブリア大爆発だと言われている。
一般的に、古生代カンブリアン紀、約5億4200万年前〜5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門(ボディプラン、生物の体制)」が出そろった現象であるとされる。
約数十種類しかいなかった生物が、この時約1万を超える生物に爆発的進化増加し、この時期現在生存している生物の基本的な形態のほぼすべてが一挙に出現した。 これが、生命進化のビックバン(大爆発)と称せられるカンブリア大爆発である。 この時代の化石の分析がすすむに連れて、驚異的な事実が明らかにされてきた。 カンブリア時代の生物には、分類不能な門が20種類以上も発見された。 現在の動物門の枠組みには収まりきらない生物のことを奇妙奇天烈動物(きみょうきてれつどうぶつ)と呼び、または、カンブリア紀のモンスター(怪物)たちとも呼ばれる。
環境変化もしくは、当時の環境に余り適応出来なかった為か? 絶滅した門だと考えられている。 (有名なのはアノマロカリスと呼ばれる 捕食タイプのの生物である。 我々人類の先祖は、ピカイアだと考えられている) 生物の分類は上位分類より以下の通りになっている。 生物、ドメイン、界、門、網、目、科、族、種である。 他にも分類が提唱されているが。
このカンブリア大爆発についても、原因は謎だが、一説によると その少し前に起きたスノーボールアース(Snowball Earth, 雪球地球、全球凍結、全地球凍結)が原因だと述べる科学者も存在する。
このスノーボールアース(Snowball Earth, 雪球地球、全球凍結、全地球凍結)終了直後 出現したエディアカラ生物群がある。 それ以前 単純な単細胞生物が、主力であったのだが、この時期 直径数十cmにもおよぶ多種多様な軟体性の生物が出現し、地球最古の多細胞生物ではないかと考えられている。 その後 バージェス動物群と入れ替わるように絶滅している。 これが、約5億4500万年前に起きた原生代末の大量絶滅(V-C境界)だと考えられている。
原因は、プルームテクトニクスによる超大陸の形成だと考えられている。
他だし分子遺伝学の進歩から遺伝子の爆発的多様化はカンブリア大爆発のおよそ3億年前に起こっていることが解かり、カンブリア初期に短期間に大進化が起こったわけではないとの考え方が主流となってきている。 すなわちカンブリア大爆発は(化石記録の)爆発的多様化であり、必ずしも進化的な爆発を意味しない・・・などがある。
現在の生物との繋がりは、バージェス動物群であるとされているなど、様々な説がある。
エディアカラ生物群は、進化の形成過程の中で途絶えてしまった側枝であり、それ以降の生物とは全く関係が無いかもしれないという見方もある。
反面 エディアカラ生物群に属するいくつかの生物は、従来カンブリア紀に入ってから突然出現したと考えられていた動物群の直接の祖先であるとされる考えもある。
スノーボールアース(Snowball Earth, 雪球地球、全球凍結、全地球凍結)終結からカンブリア大爆発まで、少なくとも3200万年も経過していることから、関係があったとしても間接的なものにとどまると言う説もある。
他にも多種多様な様々な説がある。
過去 生命のカタストロフィー(大量絶滅)の直後 必ず空席になったニッチ(生態的地位)を埋めるべく、生き延びた生物による急激な適応放散による生命進化のビックバン(大爆発)が起き 生命のカタストロフィー(大量絶滅)以前の生命の種類より、更に多種多様に分化、進化、誕生させ、新たな繁栄を始めている。
生命のカストロフィー(大量絶滅)による 大半の生命の絶滅は、生き残った生命にとっては、願ってもいない、生存権の拡大を意味する。
ライバル関係や、ピラミッド構造の生態系の頂点に君臨し 捕食生命体となっていた種としての生命体は、新たな環境に適応出来ず、必ず絶滅している。
生存を重視する為 突然変異による進化出来ず、耐え忍んでいた・・・ いや時より誕生する極僅かな突然変異体は、その生物としては、脆弱な可能性がある その為 子孫を残す事無く捕食され、もしは、死滅した可能性もある。 生き残った生命は、このチャンスに、新たな環境下 新たな生存圏を求め各地へ進出 爆発的に増殖、進化、分化する。
これが、生き延びた生物による急激な適応放散による生命進化のビックバン(大爆発)である。
そして、新たな環境下、更に、多種多様化し、多様性を持った 新たな生態系を作り上げている。
1部 生きている化石と言われる オウムガイ(約4億5000万年〜約5億年前誕生 その後 ほとんど進化していない) シーラカンス(約4億年前誕生 白亜紀末の大量絶滅(K-T境界)で、ほとんどのシーラカンスの種が、絶滅したが、現在2種 3000万年前〜4000万年前に、分化したとみられ、その後 交配がなされていない) 中にはゴキブリのような存在もあり 多分後40億年後 太陽が内部の全ての水素原子を燃やしヘリウム利用し始め急膨張 火星軌道オーバーまで膨張する時まで、つまり地球が太陽に飲み込まれるその日(ザ・ディ)まで、進化せず生き延びるだろうと言われている。 など何度も繰り返しあった 生命のカタストロフィー(大量絶滅)からも生き残り、ほとんど進化しなかった生物も存在する。
原因は謎だが、異なる環境適応能力の高さか? たまたま生存環境が、ほとんど変化しなかったのか・・・? 全くの謎。
生命の誕生後 地球は、生命に取って、決してやさしい揺りカゴではなかった。
常に荒らしい凶暴なキバを生命に対してムキ出しにしてきた。
地球の歴史の中で、ほんの一瞬で、劇的なまでの極端な環境の変化を何度も繰り返してきいる。
その都度 生命は絶滅の危機に瀕してきた。
生命は、生き残る為の生存競争に常にさらされている。
生命は、生き残る為の対処法として、進化と言う武器を身につけたのかも知れない。
生命進化による多種多様化は、繰り返し起こる 極端な環境変化による生命のカタストロフィー(大量絶滅)後でも、生き残る為の戦略である。 必ずいくつかの生命が、生き残れるからだ。
生物の多種多様性が重要で、多種多様な生物の保存が、重要なのは、ここに理由の1つがある。
それを人類にあてはめて考えていた。
今から約500万年前(他にも300万年前など 各諸説あり) 最初の人類(類人猿)が誕生したと言われる しかし生物として、1種ではなく複数の種が、常に、同時に共存していた。
何度も生物としての進化と絶滅を繰り返してきているが、常に、同じ時代に複数の種が、同時共存していた。
より進化していた種が、今の現在種 ホモサピエンス・サピエンスに繋がっていたのではない。
進化によって、その環境に1番適応した生命は、その生物としての頂点に君臨する。 しかし必ず 環境の変化時に絶滅している。
つまり環境の変化に、適応できない。 その環境のみしか適応出来ないからだ。
より進化しているとは、その時点での環境により適応しているか? 否かだ。
進化とは、突然変異による生命の分化である。 現時点での環境に、より適応した生命が、繁栄し種としての頂点に君臨する。
メスが、より強いオスの子孫を残そうとする。 より強いとは、現時点での環境に、より適応してるかだ。
これを繰り返す事により、その環境に、より適した特徴をもつ生命となる。
つまり生存競争で、頂点に立てず敗者に甘んじていた生命の歴史でもある。
逆に考えれば、環境に余り適応出来ていない生命は、決して生命として繁栄し頂点に君臨出来ないが、環境が極端に変化した場合 新たな環境の方が、より適応出来る可能性が高い。 つまり生き残る可能性が高い。
生命の進化とは、勝利した生命の歴史ではなく、敗れた生命の上にこそある。
つまり生存競争で、頂点に立てず敗者に甘んじていた生命の歴史でもある。
今から約20万年前 現在種ホモサピエンス・サピエンスの直系の1つ前の種 ホモサピエンスから現在種ホモサピエンス・サピエンス共通の祖先 ミトコンドリア・イブと呼ばれる ニグロイドの女性が誕生した。 (浩司は、このミトコンドリア・イブについては、EBE's=イーバーズ 地球圏外知的生命体)のDNA操作によって誕生したと自説で述べている)
当時 他にも、絶滅してしまったが、同じ人類(ホモ属に属する)であるが別種の ネアンデルタール及びクロマニヨン(現在種ホモサピエンス・サピエンスに繋がった種だと言う説もある)も共存していた。
この時代 急速な環境の変化に、適応出来なかったのか? 原因は、大きな謎であるが、ネアンデルタールは、約2万年以上前 クロマニヨンは、約1万年前に滅亡したと言われる。 (1部の学説では、最後に生き残ったネアンデルタールは、ホモサピエンス・サピエンスに取り込まれた言う説もあるが、はたして異種交配が可能であったか? 色々諸説がある)
他にも インドネシアの孤島フローレス島では、2003年に、鍾乳洞の発掘調査中 偶然に、後にホビットと呼ばれるホモ・フローレシエンシスで、大人で身長110cm程度の小人の人類の化石が発見されている。
生息期間は、約10万年前から約1万2000年前の間と推測される。
脳容量は、約380cm3程度で、アウストラロピテクスもしくは、チンパンジー程度で、ホモサピエンス・サピエンスの約1400cm3の約1/3以下程度しかない。
ホモ・フローレシエンシスは、その小ささ(おそらく島嶼化による小型化)からホビット(イギリスのファンタジー小説 The Lord of the Ring=日本名 指輪物語に出て来る小人属)とあだ名を付けられている。
ホモ・フローレシエンシスはその大きさと年齢から、実際に最近まで生きていた現生人類と共通しない特徴を持つホモ属の興味深い例と考えられている。 すなわち、いつの時点かで現代人と祖先を共有するが、現代人の系統とは分かれて独自の進化の過程をたどった。
しかしホモ・フローレシエンシスが本当に別の種であるかは未だ議論が続いている。
一部の科学者は、小人症を患ったホモ・サピエンスであると考えている。
この仮説は、フローレス島に住む現代人が小柄であるために、ある程度説得力がある。
小柄さと小人症によって本当にホビットのような人が生まれた可能性はある。
別種説への他の主要な反論は、現生人類と関連した道具類とともに発見されたという点である。
少し話しがそれたが・・・
この時代までは、人類は、種として多種多様性を持っていた。
当初ニグロイドしかいなかったホモサピエンス・サピエンスからやがてモンゴロイドが誕生し モンゴロイドからコーカソイドが誕生したと言われる。 (他にも各種諸説あり)
(浩司は、この点について、ニグロイドの1部に、EBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)のDNAの1部を組み込み モンゴロイドを誕生させ 誕生したモンゴロイドの1部に、更に、EBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)のDNAの1部を組み込み コーカソイドを誕生させたと自説で述べている 浩司が、現在種ホモサピエンス・サピエンスは、EBE's(イーバーズ=地球外知的生命体)によって、改造され生み出されたと 自説で述べている)
見方によれば、現在種ホモサピエンス・サピエンスは、3種存在している事となるが、生物学上 1種1亜種であり、全ての人類は生物学上 種としては全くの同種である。  この点を浩司は、大きく危惧していた。
地球環境が、短時間で極端に変化した場合 絶滅の危険が、非常に高いと思っていた。 
いつ どう変化するのか? 予想不可能 環境の極端な変化に対応出来なければ、絶滅しかない。
ネアンデルタール、クロマニヨンの絶滅(・・・いや絶滅させた?)によって、(ホビットと呼ばれる小人の人類 ホモ・フローレシレスは、火山噴火によって、絶滅が有力視されている)1種(ホモサピエンス・サピエンス)しかいなくなった我々人類は、種としての多種多様性を失い種としての限界に達したのかも知れない。
現在の人口爆発は、この絶滅への前兆ではないかとさえ思っている。
地球と言う1つの閉ざされた環境圏内において、地球本来の持つキャパシティを遥かに超える急激で異常な人口増加を辿っている。
ロウソクの最後の灯火(ともしび)と同じだ。 ロウソクは最後のロウが燃え尽きる時 その炎の勢い急激に増し 消える。
現在の人口爆発も ロウソクの最後の灯火(ともしび)と同じく、人類絶滅のサインなのかも知れない。
たとえ人類が絶滅しても 他の生命体が生き残れば、それでいいと言う考えもあったが・・・
他だ 人類の種としての生存を考えた場合 今のうちに、複数の種を生み出しておくべきではないか? と考えていた。
確かに宇宙開発による 人類を宇宙空間に送り出すのも 選択の1つであろう・・・
地球上と異なる環境である。 ニュータイプとでも呼べる スペースノイドいやアストロノイドと言うべきか? 中長期無重力に対応出来る人類を 人工的作り出せれば、全く別種である。 絶滅の危機を防げる可能性が高い。
中長期無重力状態に対応する為には、DNAの大幅な変化が必要とする。 中長期無重力における 筋力の低下、骨の密度の異常な低下など 様々な対応が必要である。
逆に考えれば、現在の地球の重力に余り対応出来ない種となるが・・・
DNAの大幅な変化による新たな環境適応出来る種への進化しなければ、対応不可能である。 よって全くの別種になる。
それと同じ理由で、ネクストノイドについてを考えていた。
ネクストノイドとは言え、人類だ。 他の生命体のDNAの1部を組み込まれ改造 人工的によるが、見方を変えれば、別の1種であるのだ。 人工的に生み出された 別種としか言いようがない。
エルと呼ばれる かって我々人類が神々と呼んだ EBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の1種なのか、複数なのか? 不明だが、その驚異のオーバーテクノロジーの産物であったが・・・
地球環境の極端な変化時に、どちらかが生き残れる可能性がある。
浩司は、この時点 思い描いていた基本戦略構想の1つは、ネクストノイドとの共存であった。
何も ネクストノイドとの間に、戦争を起し 戦って軍事上の戦略的勝利を収めるばかりが、勝利ではない。
米ソ冷戦(コールドウォーズ)時代 西側諸国と東側諸国の激しい対立時 西側諸国は、経済力を中心とした国力差で、東側諸国の大半を自己矛盾による自己崩壊に導いた。
相対的意味で、西側諸国の勝利でもある。
それも表面上 一滴の血を流す事なく・・・
ネクストノイドを 人類進化の一形態として、我々ホモサピエンス・サピエンス側に取り込み 共存と言う方向へ歴史を動かしてしまえばいいと思っていた。
ネクストノイドを含む 多種多様化した複数の種としての人類を作り出し 次の生命のカタストロフィー(大量絶滅)まで、共存、生存、存続させ 次の生命のカストロフィー(大量絶滅)後の全く異なった環境下でも 1種以上の人類を生き残らせる事であった。
他だし ネクストノイドについても上位の者が、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)、生体兵器としての圧倒的攻撃力や破壊力など クリアしなければならない問題点も山積みであったが・・・
人類の種としての生存の為には、必要な別種でないかと考えていた。
他だし 本当に共存が可能なのだろうか? と言う思いもあった。 ネアンデルタール、クロマニヨンにしても、一時期共存していたが、絶滅している。 諸説の中には、我々現在種ホモサピエンス・サピエンスによって、絶滅させられたと言う説を述べる科学者もいる。
事実 ホモサピエンス・サピエンスによる 無益な乱獲などが原因で、数多くの種が、絶滅もしくは、絶滅の危機に瀕している。
完新世(現代)の大量絶滅(未確定)の大きな原因の1つ。
ホモサピエンス・サピエンスは、非常に、好戦的で、自分以外の種、他の生命体・・・ いや自分以外の生命体の存在そのものの認めない生命体なのかも知れない。
自分の周囲の非常に狭いカテゴリーの中で、他の異質の存在そのものを認めず、排除、絶滅させる傾向が非常に強い。
だから戦争が、人類発祥以来 絶えないのかも知れない・・・ はたして人類を次ぎの時代に、種として進化させ、多種多様化による存続させる必要性があるのか? だれが、それを決めるのか? 色々悩みが尽きなかった・・・
全面戦争になれば、どちらかが絶滅するまで戦う事になるだろう・・・
アポリス側が勝利した場合 1部の男女は、繁殖用とて生き残らせられるのかも知れない・・・ ネクストノイドも その素体ベースは、我々ホモサピエンス・サピエンスだ。 もしホモサピエンス・サピエンスを絶滅に追い込んだ場合 その供給源は?
ネクストノイド同士いや、片方だけが、ネクストノイドの場合でも繁殖が、可能なのだろうか?
他の生命体のDNAを組み込み改造する 体内には、大量のナノマシーンもある はたして生殖能力があるのか?
この辺が、謎であるが・・・?
究極の平和とは、自分以外の全ての生命体を滅亡させる事 戦う相手がいないければ、戦争は起きないと言う 極論も存在する。
この極論は別としても だれの支配下による平和なのかだ。 平和とは、1部の支配者によって支配された 余り戦争の無い時代を指す。
だれが、ネクストノイドとの共存時代の支配者になるかだ。 新たに起きるであろう 環境の極端な変化時までの・・・ そして、変化時に、どちらかを生き残らせ 新たな生命のビックバン(大爆発)による 生命の多種多様化と その後の繁栄・・・ その時までを
当然 支配者も何世代も代わっていくであろうが・・・
その支配者を決める為に、やはり戦争は、避けて通れないのかも知れない・・・
新たな支配者による平和を構築する為の戦争・・・ 大いなるパラドックス(矛盾)である。
これは、浩司自身の考えであって、現実は、ネクストノイドの存在そのものを認めず その生体兵器としての危険性などから 絶滅させる為に、戦おうとしている陣営に、今属そうとしている。
ホモサピエンス・サピエンスのみを 唯一の人類の種として生き残らせる為に・・・
だからこそ、何とか戦争だけは、避けようと考えていた。
平和と言う目的の為 戦争が行われ 無益な大量の血、命が浪費される。
平和とは、大量の血と命によって、塗り固められた途方も無い世界なのかも知れない。
だからこそ値打ちのあるものかも知れないが・・・
だが逆説的に考えれば、平和とは、支配者によって支配された秩序と安定の固定化でしかない。
全てを階層階級(身分制度)に固定化し磐石の物にしてしまえば、争い(戦争=殺し合い)は起きない。 同時にそれは閉塞された停滞を意味する。 何も変化も進歩も無い社会だ。
どの階層階級(身分制度)に属する場所で生まれたか? によって全てが決まる。
最初から その地位を与えられれば、争い勝ち取る必要性が無い。
中世の封建制度が、この典型だ。
これでは何も、変化も進歩もない これらを打破するにはカオス(混沌)、無秩序の状態、実力による下克上しかない。
カオス(混沌)、無秩序は、這い上がる為に、必ず争い(戦争=殺し合い)が起きる。
戦争=殺し合いをやっているよりは、全てを階層階級(身分制度)の固定化による秩序と安定の名の下 閉塞された停滞による平和の方がマシなのかも知れないが・・・。
更に、上から重しを乗せ完全に身動き出来ない状態にしたのが、20世紀最高のSF超大作の1つと呼ばれる "デューン" シリーズ (フランク・ハバード著書) 砂漠の神皇帝で、ゴッド・エンペラー(神皇帝)  レト・アトレイデ・ジュニア(2世)の治世の時代の"強制された平和"である。 もう1つは、現在復活の兆しのある北の超大国 かって、マルクス・レーニン主義の名の下 力による各民族を 頭ごなしに押さえつけられた平和?が、保たれていたが、"つまり民族問題は、一切存在しない"、重しが取れた瞬間 独立と共に、今まで鬱積していた各民族のエゴが噴出 出口の見えない、解決の糸口さえ見つからない民族紛争が勃発している。
はたしてどちらが良いのか? アンビパレンツ(二律背反) パラドックス(矛盾)である。
種としての人類のどちらを生き残らせるのか? 共存だって可能なのかも知れない・・・ しかし現実的には・・・?
戦後の支配者をだれにするのか? だれの支配下による平和と言うものを作り上げるのか?
つまる所 だれが?支配者となり、甘い汁を貪るかの下らないお上の権力争いに過ぎない。
こんな下らない理由の為に、戦争を起す必然性などない 戦わずして他の方法を考え選択すれば済む事だ。
"何故? 戦うのか・・・" その意義が見出せないでいた。
元来 反戦主義者である。 基本的に、あらゆる方法、選択を用いて、戦わずして勝つ事を考える浩司に取っては、この基本戦略構想は、当然の結果とも言える。
浩司は、人類の種としての生存、存続を 前提に思考していた。
その基本を 生命進化による 多種多様化、多様性に、求めようとしていた。 多種多様化し多様性を持つ 複数種の人類の共存である。
この時点 この基本戦略構想を含めて、複数の基本戦略構想を思考し 何度も思考シュミレーションを繰り返していたが、この基本戦略構想は、用いられる事無く 思考だけの基本戦略構想の1つとして、消えていった。
もしこの基本戦略構想が、用いられた場合 その後の歴史にどのような影響を及ぼしたのか?
単なる推測の域でしかない。
"それに、生命のカタストロフィー(大量絶滅)は、早くとも数千万年・・・いや数億年後の事だろう・・・ 今からこんな事を考えていても・・・" と言う思いもあった。
浩司は、この時点で始まっていた・・・ いやそれ以前から始まっていたのかも知れない 地球上の現存する全生命に取って最重要な事に、全く気付いていなかった。
浩司は、生涯この事について、全く知る術もなかった。
そんな事を考えている時であった。
何やら 華やいだ若い女性の声・・・ 多分2人であろう こちらに向かってくる足声が聞こえた。
足音が個室の前で止まった。
ドアが開くとともに、元気のいい 2人の若い女性の声が響き渡った。
「みなっち・・・ 元気だった!」
みなっちは、驚きの余り キョトンとした表情であった。
2人の若い女性 1人は、身長155cm程度で、やや丸々と小太り気味 メカネを掛け 背に達する長い髪を茶髪に染め 後ろで結んでいた。 美人とは言えないが、愛嬌のいい笑顔が特徴である。
もう1人は、身長165cm程度のやや長身で、典型的 中肉体型 髪は、ややショートで染めていない黒髪。 こちらも美人とは言えないが、どこにでもいる普通の感じであった。
何と、この2人の女性 みなっちの高校時代からの 大の仲良しであった。
地元の公立中学卒業後 みなっちは、有名な進学高校へ入学した。
その時 同じクラスメイトとなり、この2人と知り合った。
すぐに意気投合 大の仲良しとなった 高校の3年間クラスも同じ いつも共に行動していた。
高校卒業後 各々目的に合わせ別々の大学へ進学したが、友情は途切れる事なく、現在まで続いている。
「しのちゃんに、やすちゃん・・・ 何故ここに・・・?」 余りの驚きに 言葉が続かない。
小太り気味の女性 名前は、しのぶ 愛称 しのちゃん
やや長身の女性 名前は、やすこ 愛称 やすちゃん
2人共 数ヶ月前まで、別々の会社に就職していたが、アメリカ合衆国の新興コンピューター会社に、ヘッドハンティングされ、転職を決めた。
それをみなっちに話すと、高校時代の同級生で、仲の良かった女友達数人に、声を掛け 盛大に送別会を開いた。 みなっちは、送別会を仕切る幹事の1人になった。
最後に、花束贈呈も みなっち自身が行っている。 数日後 2人共、アメリカ合衆国へ旅立っていたはずであった。
マークの策であった。 恋人のみなっちに、頭が上がらず、尻に引かれている浩司を 仲間として引き込むには、みなっちをこちら側に、引き込むのが、最良の策と考えた。
みなっちを 引き込めば、嫌々でも引き込める。 その為に、みなっちの周辺を丹念に調べ挙げた。
すぐに、この2人の女性が、浮上した。
各々の大学卒業後 別々の会社に就職していたが、2人共 コンピュター関連 特に、PCを使う仕事に従事していたのも 決め手となった。
PCを使いこなせる人材も 不足していた。
早速2人をスカウトし 成功 当初の予定とは、違っていたが、今が絶好のチャンスと思い この策を用いた。
ちなみに、新興コンピューター会社は、実態の無い ヤーナの人材集めの為のダミー会社。
大の仲良しが、こちら側にいれば、みなっちも自然とこちらの陣営に入ってくるはず、C宗教の信者とは言え、ごく素朴な信者に過ぎない。
熱心、狂信的な信者ではない。
それに、この2人は、日本で最大信者数を誇る B宗教の信者ではあったが、今の日本の若者同様 無神論者ではなく、無視論者 全くの宗教無視 他の宗教 C宗教最大のイベント クリスマスイブの時など 宗教的意味無視 そのイベントだけをちゃっかり利用する 典型的 現在の日本の若者であった。
ピエール神父率いる C宗教側に寝返るなど想像もつかない。
マークに取ってはうってつけの人材であった。
ちらっと浩司の表情を見た。
浩司は、両手で頭を抱え 顔面蒼白となり 怯え 何かつぶやいていた。 「あ・あ・あ・悪夢だ・悪夢だ・悪夢だ・・・」
浩司は、この2人をよく知っていた。
みなっちと付き合い始めた頃 紹介されていた。
当然 浩司のあの性格である 2人は、事ある事に、浩司の性格、品格などを 口うるさく注意していた。
"それでは、みなっちの彼氏にふさわしくない・・・" と常に言われ続けている。
みなっち1人ですら 手を焼いている状態である。
3人が束になった時のすさまじさは、想像を絶する・・・ 全多重宇宙最強を遥かに凌駕しているだろう・・・
浩司は、ベッドから両足を床に下ろした 鬼のいぬまに・・・ と言う魂胆。 音もたてず この場から逃げ出そうとした。
ちらっと みなっちの鋭い横目で睨みつけられた。
「こら・こら・こら・・・ おのれは、どこへ行こうとしているのだ?」
「ちょっと トイレ・・・」 すっとぼけた答えを返したが・・・?
「おのれは、1人でトイレへ行けるのかね? まだ車椅子を使わなければ、動けぬ身体で・・・」
浩司の顔は引きずる。 全てみなっちに、読まれていた。
この時点 浩司は自力歩行が出来るまで、回復していたが、医師に、余り無理をしない方がいいと言われ 車椅子を使用していた。
3人の話し合いの末 当然浩司は、含まれていない 蚊帳の外 浩司のヤーナへの参加が、本人の意思とは無関係に決定された。
3人の会話の余りの凄まじさに、マークでさえ呆気に取られてしまった。
何とすさまじい・・・・ などの言葉では、決して言い表せない 日本人の世界の冠たるにして、最強を誇る 女子会パワー ただ呆気に取られる・・・・ それ以外何も出来ない。
浩司の意思など、最初から全く聞く事すらなかった。 ただの個人所有物の以下・・・・・
マークは、この結果に大変満足した こうもうまく行くとは思ってもいなかった。
マークは、帰り際 「浩司殿の待遇などについては、数日中に正式決定する運びじゃ 悪いようにはせん 期待してくれ・・・」
そう言い残し 満足な表情を浮かべ、しのちゃん、やすちゃんを従え去っていった。
病室は、浩司とみなっちの2人だけとなった。
「あのなあー みなっち・・・こう言う事は・・・」 浩司は、みなっちを見た。
「私の決定した事に 何か? 不満!!」 鋭く言い返された。 反論すら許さない言い方である。
何も答えず 浩司は、頭を抱え、黙り込んでしまった。

数日後 マークの使いの者が、病室に現れた。 退院日の前日のお昼前であった。
正式に、浩司の待遇についての決定事項を 書簡で渡すと共に、口頭でも伝えた。
信じられない事に、いきなり ヤーナ最高評議会 評議員待遇 最高評議会への出席、意見の発言など、評議員と同等である。 他だ最終議決権だけは認められなかった。
ヤーナ内でのNO1に、限りなく近い待遇である。
異例中異例の大抜擢。
ヤーナ最高評議会は、10人の評議員で、構成されていた。 マーク率いる旧島民側5人と、ピエール神父率いるC宗教側5人である。
それぞれ、選挙によって選ばれているのではない、2つの側から、5人ずつの代表者を送り出していた。
浩司の待遇は、マークが、他の評議員を強引に説き伏せ決定された。 他だし最終議決権に関しては、政治上のバランスの問題もあり ピエール神父率いるC宗教側に、譲歩せぞるえなかった。
当初 C宗教側から反対意見が続出した。 特に、無神論者で、C宗教の過去からの数々の汚点や宗教的な考え方など、名指しこそ避けているものの あからさまにネット上で非難している点 他にも旧島民でもなければ、C宗教の関係者でもなかった点などであった。
しかしだれ1人倒した者などいない グロテノスを何体も倒している実績 特に、ネクストノイド以外 絶対不可能な、スピード、パワー。エネルギー弾まで使用出来る驚異の戦闘能力 数少ない戦略家としての資質を育んでいる点など、無視する事は出来なかった。
ここ聖なる場所も 元はと言えば、旧島民側が発見し そこに残されていたエルのテクノロジーなどの提供を C宗教側が受けているなど 考慮せざるえず、妥協する他なかった。
それと同時に、ヤーナ最高評議会直属の軍部隊への配属である。 直属の軍部隊と言えば聞こえがいいが、僅か、1000人程度の少数であったが、現時点唯一の実戦部隊でもある。 それも最高司令官補佐であった。
最高司令官は、評議員ではなかったが、評議員に次ぐNO2ランクの1人で、マークの側近中の側近 マークの右腕と呼ばれ、マークの最も信頼の厚い人物であった。
兵士の間では、絶大な人気を誇っている。
戦略面では、構想能力に、やや欠けていたが、戦術面では、戦闘時における的確な判断能力に優れ。的確に兵を投入し 兵を自由自在操る 用兵家としての能力にも定評があった。
彼の下で、浩司を 戦術面 用兵面などを 学ばせる予定であった。
ゆくゆくは、戦略、戦術両面に優れた名将、知将の誕生を期待していた。
浩司は、これら地位、待遇について、全く関心を示さなかった。
元々こう言う地位などに関して、全く興味も関心も何も無い。
「あっ そうですか・・・」 の一言で片付けてしまう有様である。
自力で何をやってのけたかに、重点、価値を置く浩司に取っては、当然とも言える返答であった。
後に、この一件に関して、浩司自身 "買いかぶり過ぎ・・・" とコメントを残している。
浩司自身 それ程 優秀な人材でない事を知り抜いていた。
みなっちの待遇は、浩司の秘書官及び 医療部事務であった。
医療部事務にも 配属されたのは、みなっちの応急手当の能力を ヘリに同乗していた医師が高く評価した為である。
事務の仕事の傍ら 更に本格的に、応急手当を学ばせようとした。
ヤーナも決して人材が豊富ではなかった。 むしろアポリス以上に、人材が極度に不足していた。
1部の人材を除き、1人で2〜3の仕事を掛け持ちするのが、当然の状態であった。
退院後の住まいの割り当ても告げられた。
1階平屋の4LDKが、割り当てられた。 幹部クラス用で、場所は、N30-R34と呼ばれるブロックにあった。
この病院の近くである。 退院後 しばらく定期通院が必要と言われた浩司に取っては、ありがたい場所であった。
近くに、ピエール神父を始めC宗教幹部はいない。 この点には大いに満足した。 教会からもかなり離れている。
すでに、必要な物は、全て運びこまれていると言う。
最後に、IDカードとパスワードを 浩司とみなっちに手渡された。
浩司には、川村が所持していたブレスレットタイプの通信機も 説明書と共に手渡された。
説明書には、超光速通信機となっていた。 Super Velocity of Light communication 頭文字を取ってSVL通信機と呼ばれていた。
これは、最高幹部もしくは、川村のようなスパイしか渡されない 貴重品でもあった。
聖なる場所 発見後から長い年月をかけ調査の過程で発見されたものであった。
発見時 僅かな数しか見つからず 現在 1つを分解 分析中ではあったが、エルの誇る 驚異のテクノロジーの1つである 簡単に再生産出来る品物ではなかった。 現在の通信技術どころか、テレパシーをメインの通信に使うアポリス エルの残したテクノロジーの最大の受益者でありながら このテクノロジーについては、全く知らなかった よってアポリスでさえ、この通信を傍受する事が不可能である。
まだ分析段階であったが、光速を超えるスピードでの通信が可能で、有効範囲が、半径100光年を超え 100光年の彼方でもタイムラグ(時間差)無しで通信が、可能だと考えられていた。 もう1つの特徴は、障害物による遮断もない驚異のテクノロジーの1つである。
この時 浩司は、みなっちの住まいの場所を聞いたのだが、みなっちが、「う・ふ・ふ・・・内緒・・・」 のうれしそうな一言で片付けられてしまった。
何か? 企んでいる様子である。
住む場所さえ確保出来れば良し。 元々浩司は、余り裕福でない家庭に育っている。 評議員待遇であったが、ヤーナ所属時代 その生活ぶりは、極平凡であった。
生活ぶりにに関して、他人から非難される事が無かった。
ヤーナの主要幹部も、派手な生活を営む者は、少数であった。
特に、C宗教の神父、関係者たちは、宗教的な意味合いもあるのだが、清教徒的な素朴で、質素倹約もしくは、平凡な生活を営む者が多くいた。

翌日 退院手続きを済ませ、マークを始め 数人の側近と共に、新しい住まいへ向かった。
車中から 空を見上げた とても人工的に作られた発光パネルが天井を覆いつくしているとは思えなかった。
青い空、白い雲 太陽まで、映し出されている。
入院中 マークや、その使いの者が、色々ここ聖なる場所について教えてくれた。
場所は、O県Y島近郊の有名な海底遺跡の地底奥深くあると言う。 浩司は、ここへ来る時 重体で、意識を失っていた為 何も見ていない。 エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が残した遺跡基地 構造は、半円球型のドーム構造で、大きさは、半径数10kmにおよぷと言う。 巨大な人工構造である。 現在までの研究結果では、エルの居住及び、緊急避難施設として、使われていた可能性が高いと言う事である。
旧島民の祖先が発見 現在ヤーナ最高機密基地で、対アポリス用 中央作戦本部の所在地 現在の人口は、旧島民、C宗教関係者、スカウトされた人材を含めて、1万人を少し超える程度 実際は、川村のように、地上で、アポリスに対する作戦行動に、従事する者が、少なからずいた。 マーク、ピエールのような評議員でさえ、1年の半分以上は、地上で、各種作戦などに従事している。
膨大なエネルギーを必要する基地のエネルギー源として、エルが残した反物質反応炉が数基 水や空気の浄化など、複数のメインコンピューターよる相互コントロール・・・ もちろんエルの残したテクノロジーの1部であったが・・・ 将来的には、10万人を超える人々が、生活すると言う。
特筆すべき事は、全ての自給自足が可能だと言う。 もちろん今乗っている車も電気エンジンで、ガソリンなと利用していない クリーンな環境であった。
途中 何ヶ所かの建設途中の現場を通り過ぎた ほとんど働いている人が見当たらない 無人の見た事も無い工作機械が動いているだけである。
これもエルの残した 驚異のテクノロジーの1部であった。
それをモニターチェックし 操作している人が数人いる程度である。
まるで未来の世界に来た気分であった。
それに、龍(ロン)のいた 孤島基地が大爆発をし 跡形も無く消し飛んだ事件 被害は甚大であった。 周辺の沿岸部は、壊滅的打撃を受け 多数の死者、行方不明者、ケガ人を出し 現在必死の捜査活動、復旧に努めていると言う。
原因は、"予測予見不能の死火山の突如の大爆発と、それに伴う巨大地震、大津波の発生など・・・" と政府が発表したが、あの孤島は、死火山ではなかった。
真実は、往々にして、隠匿されるものである。
マークから聞かされた話では、基地内部の反乱分子による 反物質反応炉の暴走させた事が原因だと言う。
それに、今 元の生活に戻っても アポリスの魔の手が、浩司、みなっち周辺の人達にもおよんでいると言う 今 元の生活に戻っても周囲の人達に、多大な迷惑、危害が及ぶ可能性が高い ここはひとまず身を隠した方が得策だとマークに言われていた。
浩司とみなっちは、この大災害の被災者で、行方不明者リストに名が載っていた。
たまたま この周辺沿岸部に旅行中 津波に飲み込まれ被災したとなっている。
行方不明になれば、周囲の人達への監視が残るものの、下手な手出しはしないはずと言われた。
この時点 浩司、みなっちの生死については、アポリスでも確認が取れず、忽然とその姿を消した状態となっていた。 2人の行方を追って捜査範囲を拡大必死その行方を追っていた。
アポリスは、ヤーナの秘密基地の聖なる場所については、この時点 単なる噂程度の認識、情報しか持ちえていなかった。
そのアポリスの動向を監視していたのが、姿を見せない川村率いる数人のスバイであった。
特に、川村は、ヤーナの命令であったが、ある小細工を施していた。
潜入捜査を得意とし、情報を盗み出すのには、世界でもトップクラスの実力の持ち主であったが、敵を情報戦のトラップ(罠)にかけるのは、それ以上に好きであった。
川村自身の持つ 能力の高さ、個人技による部分が大きかったが、見事にハメられ 浩司とみなっちの行方を追って、見当違いの至る場所をのたうち回るアポリス側の姿は、さぞ川村にとっては、痛快だったであろう・・・
この一件に関して、後に川村は、"余りにも うまく行き過ぎて、後々の事を考える、こちらが怖くなるほどでした" とコメントしている。
詳しいいきさつを 川村から聞かされた浩司は、"これは、情報戦と言うより、詐欺、ペテンに属する事だよ・・・" と両手を少し上げ 呆れていた。
決して、他人が参考にしマネの出来る事ではなかった。
川村の持つ 個人の能力の高さが、成せる技であった。
川村の流した数々の偽の情報に、見事に踊らされていた。
しかし この龍(ロン)の日本最大拠点の基地の大爆発は、その後 人類を含む地球上の全生命体に取って、未曽有地の大きな災いのトリガー(引き金)となる事を知る者は、だれ1人としていなかった。
レジェンスと融合している浩司でも不可能であった。 レジェンスには、予知能力は無い。
対ネクストノイドに、全力を傾けた浩司には、そんな余裕すらなかった。
色々な話、出来事を聞かされた浩司であったが、浩司自身 自分が望まない方向へと運命に翻弄されているのが、嫌であった。
浩司としては、元通りの平凡な生活に戻りたかった。
割り当てられた新しい住まいに到着した。
4LDKの平屋で、庭には芝が植えられ 車が、数台置ける駐車スペースもある。 周囲の道路と歩道には、木々が植えられ並木道になっており 静かで閑静な場所であった。
玄関前に、複数の荷物箱が届けられていた。
妙に届いていた荷物が多いと思ったら みなっちの荷物も同時に、運び込まれていた。
4LDKは、家族持ちの幹部用である。 当初は、浩司とみなっちは、別々の住まいを割り当てる予定であった。
浩司は、マークの住むエリア みなっちは、仲良しのしのちゃん、やすちゃんが、住む1人住まいの女性用のマンションタイプの住まいが、割り当てられる予定であったが、みなっちが、それを知ると、猛烈に抗議した。 浩司は、生活面で、だらしない部分があった。
それを心配して、みなっちが、同居すると言い出した。 全ての面倒を自分が見ると言う。 認めなければ、浩司のヤーナ入りを取り消すと言う脅し付きである。
自他共に認める恋人同士であったが、正式に結婚している訳でもなく、C宗教関係者が多く、倫理面で問題視されたが、1度言い出したら頑固な一面もある みなっちである 強引に認めさせてしまった。
しばらくすれば、正式に結婚するのだから・・・と言うこじつけの様な理由で許可された。
浩司とみなっちの同棲生活は、ここから始まった。 しかしこの2人は、生涯結婚する事は無かった。
みなっちが、同居を 強引に認めさせてしまった理由として、浩司の生活面で、だらしない部分があり、だれかが面倒を見なければと思ったのも事実であった。、ヤーナ入りを勝手に決め手しまったものの、少数の人を除いて知らない人ばかりである。
しのちゃん、やすちゃんの住む女性用のマンションタイプの住まいでも 決して悪くはなかったのだが、今まで1人住まいを続けて、少し寂しい思いをしていた。 しかし1番の理由は、浩司と離れたくなかったのが理由である。
だがこの先 2人の人生に取っては、かけがえの無い貴重な時間となった。
部屋には、最新鋭の超高性能PCが2台 デスクトップタイプとノートタイプが備え付けられており、IDとパスワードを入力すれば、ヤーナのマスターコンピューターに直結する 最高幹部用であった。
家具、調度品など 決して高価な物ではなかったが、実用性に優れている物ばかりである。
他だし くまのプーさんグッズが多いのは、みなっちの趣味。
「どうじゃ 浩司殿 気に入ってもらえたかのう・・・」 マークが問いかけてきた。
マークの側近の1人から 分厚い資料や、明日からのスケジュール表などが手渡される。
マークは、浩司に対して、最高の誠意を示そうとした。
「良過ぎるぐらいですよ・・・」
浩司の答えに、満足の表情を浮かべた。
浩司としては、寝室、書斎、風呂、トイレ、キッチン、PCがあれば十分であった。
他に何も必要としていなかった。
"こら・・・大事な人を忘れているぞ・・・" (みなっち談)
夕方になった 大部分の荷物の収納も終わると、マークは、一緒に来た側近と共に、帰り支度を始めた。
帰り際 「今日は、疲れたじゃろう ゆっくり風呂でも入って休みなされ 明日から大変じゃ 明朝 時間通りに、迎えの者が来る。 迎えの者と一緒に、本部へ来るように、お嬢さんも一緒じゃ 重要な会議がある」
そう言い残し 浩司の住まいを後にした。
みなっちは、早速キッチンに入り夕食の用意を始めた。

翌朝 みなっちが目覚めると、浩司は、もう起床していた、リビングで、昨日手渡された資料に目を通している。 テープルの上には、自分で入れたのだろう グラスに氷入りのアイスティが置かれている。
昨夜深夜まで、浩司は、PCから各種データを呼び出し 何かを調べていた。
「早く 寝ないと明日朝早いのだから・・・」 みなっちの心配をよそに、浩司は仕事に没頭していた。
「ちゃんと寝たの?」 みなっちは声を掛けた。
「大丈夫 数時間は寝たよ」 浩司は、さりげなく答えた。 浩司は、自営業者である。 普段の生活は、朝は早くから深夜まで働きづめであった。 浩司に取って、これが普通の生活パターンであった。
生活面で、だらしない部分がある浩司であったが、いつも早起きで、深夜まで、必要な資料などに目を通している事については、みなっちは、感心した。
迎えの者が来る時間が近づいた。 みなっちは、どんなファッションにするか、色々悩んでいたが、結局フォーマルなファッションを選んだ。
半そでの白のブラウスに、ひざまでのスカート ハイヒールである。 スタイルの良いみなっちは、何を着てもよく似合う。
本部へ行くのである。 フォーマルなファッション以外では・・・と思いであった。
浩司の方は、相変わらずラフ カジュアルな半そでのシャツに、動きやすいやや細身のカジアルズボン 踝まであるスポーツシューズ このファッションを見て、さすがにみなっちは、「今日が初めての出勤日で、それも本部で重要な会議よ」 と心配したが、浩司の方が、「俺のネクタイを締めた姿 似合うと思うか・・・?」 の一言である。
"確かに、余り似合わない・・・" みなっちもそう思った。
浩司のネクタイ姿を見たのは、何度かの冠婚葬祭時の 黒の礼服だけ。 その時も余り似合っていなかった。
"だがこの場合 似合う、似合わないの話しではないはずなのだが・・・" みなっちは、そう思った。
浩司は、この後も 緊急徴収の重要会議以外(この時は、戦闘時が多く 各種戦闘用迷彩服を着ていたが) ラフで、カジュアルなファッションで通した。
ここにいた人達は、休暇時を除いて、作業時の作業着以外 仕事時は、男性は、ノータイであったが、フォーマルな服装 女性もみなっち同様フォーマルなファッションがほとんどであった。
別に服装に規定はなかったのだが・・・ 後に浩司は、テクノロジー研究開発部にも所属し ゲスト研究員としての仕事もこなしたが、仕事時は、やはり作業着と言う事で、白のドクター着を着用し、戦闘時は、各種戦闘用迷彩服を着用していた。
だが浩司のラフで、カジュアルなファッションは、ここでは、極少数派であった。

本部へ到着した。 建設中のピラミッド型の建物である。
ゲートをくぐると 警備兵のチェックを受けた。 浩司もみなっちもIDカードを提示する。
浩司のIDカードを確認した警備兵が、近くにいた仲間の警備兵を呼んだ。
数人が集まり、じろじろと浩司を見る。
「あの 噂に聞く グロテノスを何体も倒したしたと言う・・・」 思わず1人の警備兵が、浩司に問いかけた。
その表情は、かなり驚いていた。
噂でもちきりとなっていた人物である。 ハリウッドのアクションスターのような人物を想像していたのだ。
だが目の前にいる人物は、平凡な男性に過ぎない。
かなりのギャップであった。
「一応 そうらしいけど・・・」 浩司は、さりげなく答えた。
「さあ2人共 こちらへ」 迎えの者に、案内されるまま2人は、エレベーターに乗り込んだ。
ある階に到着した。 案内されるままに、ある部屋へ入る そこは、中央作戦本部であった。
正面には、大きなマルチデスプレイが置かれ 何列にも並んだ机には、それぞれ専用のPCが置かれ そのPCに向かって、男女数10人のオペレーターが働いていた。
その中に、しのちゃんとやすちゃんの姿を みなっちは確認した。
手を振って挨拶すると、しのちゃん、やすちゃんも微笑んで小さく手を振った。
2人共 中央作戦本部直属のコンピューター担当のオペレーターであった。
エルの残した マスターコンピューターを中心に、末端同士が繋がる巨大なネットワークシステムである。
そこに、現代テクノロジーの最先端であるPCを繋いだのだが、想像を絶する苦労の連続であった。
発見当初から 1部機能が生き続けていた事が、大きかった。
建設途中のまま 原因不明の急遽放棄の状態で、残されていた。
現在では、エルの残した情報の大部分は、プロテクトにより 重要なトップシークレットなど引き出す事が出来ないが、この基地内での生命維持、エルの残した 1部非戦闘用の各種建設機器、水、食料、大気圧、空気の浄化、各種生産機器、メイン動力であり、全エネルギーの生産、供給源である 反物質反応炉のコントロール管理などの運用システムや、この基地を維持する為の機器 新たに構築したシステムについてなどは、可能となっていた。
2人共 生命維持、各種生産機器の運用などを担当していた。
1部 引き出す事に成功した兵器情報により 現在 急ピッチで、ある武器を開発中である。
別室に案内される そこには、数人の評議員をはじめ 何人かの幹部クラスが、各々席に座り雑談していた。
最高評議会会議室である。
かなり広い会議室であった。
中央には、Uの字型のテーブルがあり テーブルの前には11脚の椅子が並べられていた。
正面には、大型のマルチスクリーンが備え付けられている。
しかし マーク、ピエールの姿が見当たらない。
一斉に浩司に、注目が集まった。
何人かは、マークの側近として、顔を合わせているが、C宗教の神父、幹部クラスとは、初対面であった。
「あれが、噂に聞く・・・ ピエール神父と大口論となった・・・ あのグロテノスを倒した男・・・」
それぞれ、近くにいた者同士で、囁きあった。
1部の人達を除いて、余り好意的でない反応である。
「よく お越し下さった 浩司さん」 マークの側近の1人 スティーブと呼ばれていた 50歳過ぎのモンゴロイド系ネイティブ・アメリカンが、近づいてきた。 数回 病室で、顔を見せていた男である。
スティーブは、浩司に対して、好意的であった。
マークの側近の1人で、評議員を務めている。
浩司をUの字型のテーブルの前にある 椅子の1つに案内した。 テーブルの前には、浩司のフルネームがアルファベットで、記されたプーレトも置かれている。
「浩司さん 今日からあなたの席はここです。 それよりも・・・」 スティーブは、両手を叩き ここにいた全員の注目が集まるようにした。
「ここに、お集まりのみなさん 先にこの場をお借りして紹介させていただきます。 数日前から正式にヤーナのメンバー入り 同時に、最高評議会 評議員待遇及び、軍事部門 最高司令官補佐に、就任していただいた 和田 浩司さんです」
拍手は、まばらであった。 C宗教側ばかりでなく、旧島民側でも 余り好意的でない人もいる。
ヤーナに加入と同時に、異例の大抜擢である。 それも史上最年少。 ここまでの地位を獲得する為に、それなりの実績を残して来た人達にとって、余り面白くない存在であった。
1人 コーカソノイドの男が、会議室に入ってきた。 黒の神父姿の長身で、スポーツマンタイプの男である。
浩司が、入院中、1度も、顔を見せていなかった男であった。
お互い全く相容れない存在でもある。
「ようこそ 我が、ヤーナ最高評議会へ 和田 浩司評議員待遇」 にこやかな笑顔で言った。 ピエールである。
浩司のヤーナ入り及び最高評議会 評議員への抜擢を 最も反対すると思われたピエールであったが、何故か? C宗教側で、唯一賛成に回り、他のC宗教側選出の評議員を マーク共に、認めさせた。 他だし最終議決権に関しては、難色を示し その妥協案として、評議員でありなから、最終議決権を持たない 評議員待遇と言う 妙な? 地位になってしまった・・・
ピエールは、右手を差し出した。
浩司は、一応右手を出し 握手を交わした。 "見え見えのパフォーマンス・・・" 嫌々握手を交わしながら 浩司は、ふっと思った。
"何か裏で画策している・・・" 嫌な感じがしてならなかった。
「では、和田評議員待遇・・・ いや浩司さん 神々により選ばれ授かりし力を 是非我々ヤーナにお貸し下さい。 神々の正義の実現の為に・・・」
表情にこそ出さなかったが、浩司は、呆れ虫唾が沸いた その神々=EBE's(イーバーズ 地球圏外知的生命体)のよく解らない 存在するのか全く不明の正義 その正義とやらの為 これから何人もの人を殺せと言っているように聞こえた。
思わず立ち眩みを起しそうなり 心の中で、印を結び、呪文(マントラ?)を唱えそうになった。 "エロエロエッサイム? エコエコアザラク?  ・・・以下省略・・・ 悪霊退散? (多分 このような呪文だったと思う・・・?=作者の無知です。 悪しからず)" 表情、言葉にこそ出さなかったが・・・
浩司は、ヤーナ入りする数ヶ月前までの間、ネクストノイドについて、独自に調べようと、各種オカルト、ホラー、怪奇系の雑誌、本、DVD、ネット、ネット小説などで、徹底的に調べていた。 特に、バンパイヤ、UMA(未確認生命体)の類を中心だったが、何もヒントになるような物は見つからず、何故か? ネット小説、DVDなどで、バンパイヤなどを倒す時の印や呪文(マントラ?)が、妙に記憶に残っていた。
これ以降 ピエールと顔を合わせると、意味不明の勝手な印を 心の中で結び、呪文(マントラ?)を 心で唱えていた。
ここにいた他の評議員も集まり 雑談が始まった。
今日は、ヤーナを動かしているNO2以上の最高幹部のみしか、出席及び、発言を許されない、重要会議であった。
最高幹部の秘書官も一応出席出来るが、後ろの席で座り、会議中 一切発言は、許可が無い限り出来なかった。
みなっちは、スティーブに案内され 後ろの秘書官席の1つに座り その光景を見ていた。
やはり 注目は、浩司の持つ不思議な能力であった。
スピード、パワー、そして、瞬時にあのグロテノスを消滅させる 脅威のエネルギー弾である。 そして、川村から持たされた情報の中にある 空をも飛べる能力についてであった。
ネクストノイドでない ホモサピエンス・サピエンスには、絶対不可能な特殊能力である。
「自分にも よく解らないですよ ある偶然の産物・・・」 そう答えた。 話しても信じてもらえないだろうし それに、浩司自身 このレジェンスから得られる驚異のエネルギーについて、余りよく解っていなかった。  もう1つは、人類のコントロールレベルを超える驚異のハードウェアーなどの発明(例を挙げると 核兵器など・・・)を手に入れると ロクな事に利用しない 全て歴史によって証明されている 戦争を避けたい浩司にとっては、秘密にしておきたかった。
話せば必ず、戦争に利用され 多くの人々が殺される・・・
そんな時だった 1人の大柄な男 モンゴロイドである 浩司と同じ日本人が、軍の制服姿で入ってきた。
身長は、約185cmを超え がっしりと鍛え抜かれた体格である 髪も短く刈り上げられ いかにも軍人と言うタイプであった。
「おお 永井最高司令官」 1人の評議員がその男の名を呼んだ。
永井は、立ち止まると 背筋をビーンと張り詰めすぐに敬礼をした。 「遅くなって申し訳ありません」
「まだ時間はあるよ さあーこちらへ来た前」 スティーブは、永井を呼んだ。
「紹介しよう 数日前 ヤーナに加入した 和田 浩司評議員待遇だよ 君の元で、補佐の仕事もしてもらう 評議員待遇が、君の下で補佐と言うのは、やりにくいだろうが・・・」
「お初にお目にかかります 和田評議員待遇殿 お噂は、かねがねお聞きしております」 永井は、浩司の前で敬礼した。
「浩司でいいですよ 永井最高司令官」
資料のリストに載っていた 顔写真入りのプロフィールを浩司は、思い出した。
優秀な軍人であり 苦労人でもあった。
公立高校時代まで、空手部所属の文武両道の優秀な学生の1人であったが、家庭が貧しく 大学へ進学出来る余裕はなかった 無料で、入れる大学として、防衛大学へ進学 卒業後 そのまま陸上自衛隊へ入隊 超難関の1つ特殊部隊に志願し、優秀な成績で部隊への入隊が認められた。
その後 エリートコースである アメリカ合衆国 陸軍特殊部隊グリーンベレーへ3年間の留学経験を持つ 将来を有望視されていた人材であった。
年齢は、30歳代後半 マークの最大の側近の1人である。
ヤーナの兵士の間では、絶大な支持、人気を誇っている。 過去大きな戦闘こそなかったが、小さな小競り合いでも、自ら先頭に立ち 最前線で、的確な陣頭指揮を取り 味方の被害を 常に最小限に抑える手腕は、ピエールを始めとするC宗教側でも高く評価されていた。 個人的には、特殊部隊出身だけに、猛勇を誇り、特に下で働く部下を非常に大事にした。
最高評議会評議員に次ぐNO2の1つである 軍事部門 最高司令官が現在のポジションである。
地位的には、浩司の方が1つ上であるのだが、軍事面では、浩司は、単独の戦闘経験はあるものの その時点 ヤーナの一員ではなかった。
永井に取って、浩司は、噂は聞いているものの、扱いに難い やっかいな存在を押し付けられた気分であった。
マークが、ドアから入ってきた。
「浩司殿 来ておられたか」 マークは。浩司の姿を見て、すぐに声を掛けた。
マークは、そのまま議長席、ピエールは、副議長席に座る。
全員が、各々の席に着席した。
「まずは、新たにヤーナに加入し、最高評議会 評議員待遇になられた 和田 浩司殿じゃ 先程 紹介は、済んでおる見たいじゃが・・・」 マークは、先に浩司を紹介した。
隣の席にいた スティーブに促され 浩司は、立ち上がった。 スピーチを求められた。
「和田 浩司です。 宜しくお願いします」 浩司は、何を話していいのか解らず 簡単な自己紹介した。
元々外交的でない性格の浩司である 人前でのスピーチは苦手であった。
これ以降 浩司は、スピーチを求められても 極めて簡素で、短いスピーチで有名となる。
「さて 全員集まっているようじゃ・・・ さっそく会議を始めるとしょうかのう・・・」 マークは、立ち上がり 正面のテーブルの無い マルチスクリーンの前へと歩き出した。
「事前 配った資料、最高幹部のみ閲覧可能なPCからのアクセスデータ、そして、最新の資料は、今から配られる資料に記載されおる アポリスの最新データじゃ」
女性職員が、数名表れ 秘書官を除く 出席者全員に資料を配った。
この会議の出席者は、評議員及び 各部門の最高責任者のみ ヤーナを動かしている最高幹部である。 各々秘書官は、会議室には入れたが、一切資料に目を通す事も、発言も認められていなかった。
「このデータは、浩司殿より 龍(ロン)の拠点基地からもたらされたデータで、現在までに解析したデータじゃ」
幹部全員 配られた資料に目を通し始めた。
「いよいよ アポリスのやつら グロテノスの量産化体制に着手した模様じゃ それに、最新タイプのハイパーグロテノスと呼ぶ 更に、戦闘能力を大幅向上させたタイプも完成しておるみたいじゃのう・・・ 詳しくは、テクノロジー研究開発部主任のアンダーソン博士に説明してもらう事にしよう・・・ さあー博士こちらへ」
1人 平凡なコーカソイドが、正面のマルチスクリーン横へ向かって歩き出した。 年齢は、50歳代中盤 髪を短く刈り上げ七三に分け 眼鏡もかけていた、典型的科学者タイプである。 白のドクター着を着用し 右手には膨大な資料を持っていた。
アンダーソン博士は、工学系を専門とする科学者で、世界でも有数の工学博士の1人であった。
後に浩司は、テクノロジー研究開発部のゲスト研究員として、彼と共に、各種データ分析なども担当した。
工学系は苦手としていたが、量子論、特殊及び一般相対性理論などの宇宙物理学を得意としたアマチュアの研究家でもあった浩司は、アンダーソン博士に、宇宙物理学に関して、高い評価を得る事になった。
正面マルチスクリーンの左の壇上に立ったアンダーソン博士は、1度咳払いした 説明を始めた。
「評議員及び、各部門最高責任者のみなさま 和田評議員待遇より もたらされたアポリスのデータで、現在解析が終了した部分についての説明をさせていただきます。 まず資料の最初の1ページをめくって下さい・・・」
そこには、ヤーナ幹部でも知らなかった驚愕の事実が、次々と語られていった。
1部の部分については、1人の男を除くが・・・。


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