LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 融合 Part5

 浩司とみなっちは、着替えを済ませると、黒塗りの大型リムジンに乗せられた。 車中 みなっちは、不思議な事に気づいた。 ビーチの炎天下 浩司が全く日焼けしていないのだ。
みなっち自身 自宅のマンションにいる時から強力な日焼け止めを塗り ビーチに着てからも頻繁に塗っていた。 しかし浩司は、何も塗っていない 割と色の白い浩司であったが、日焼けしていなのが、不思議であった。 浩司自身 全く気づいていない様子てある。
これもレジェンスの持つ能力の1つであった。 戦闘モード時以外でも微弱ながら融合者を守る防衛機能が働いている 微弱ながら身体全体を覆っているレジェンスのパワーフィールドが、皮膚に取って有害な紫外線を遮断していた。 強力なエネルギービームなどをバリヤーで防ぐのと同じである。
ヘリポートに到着した。  そこには、超大型ヘリが待機しており ローターを回していた。 7人がヘリへ乗り込むと、上空高く舞い上がった。
常に浩司の横に座っていたみなっちだが、浩司の前には、リンが座り常に監視していた。 "女の感・・・いやだれもが分かる リンは、車中からずーっと、こーちゃんに対して、甘く、艶やかで、切ない色目を使っている。 気づいていないのは、あの鈍いやつ(浩司)だけだ。 あいつ(浩司)は、どうもこの辺が、妙に鈍い。 しかしあの女(リン)が現れるまで、相当落ち込んでいたのに、あの女(リン)が現れると、急にいつもの皮肉を言い出した。 元気が出てきた証拠だ!! だが許せない!! 私がこんなに心配して、サービス(超ミニスカート、ビキニ姿披露など・・・)してあげたのに、無視しておきながら あの女(リン)のいかがわしいビキニ姿を見た瞬間 急に変心 絶対!! 絶対!! 絶対・・・!! 許・せ・な・い・!! あいつ(浩司)浮気しようとしている。 だから付いて来てはダメと言われても強引について来た。
あの女(リン) またこーちゃんにちょかいを出すに決まっている。 今でもそうだ。 絶対 あいつ(浩司)は、私を裏切らない自信はある。 でもあいつ(浩司)だって男だ。 変な気を起さないとは限らない だからついて来た。 悔しいが、あの女(リン) いかがわしいのにも程があり過ぎる・・・" などと勝手に焼餅を焼き 思い込みを巡らせていた。 まるで置かれている立場を理解していない。
"こういう面に関しては結構アバウトなみなっち・・・" (浩司談) "だれがアバウトじゃわい!!" (怒) (みなっち談)
当の浩司の方はと言えば、みなっちの心配をよそに、別の事を考えていた。 うまく相手を利用し相手の懐(基地)へ飛び込む事が出来そうだ。 アポリス・・・ 余りにも謎が多過ぎる。 マークじいさんやピエール神父の話では、情報不足 大雑把な組織構造と主要幹部以外 不明瞭 最っと詳細な情報を知りたかった。 相手の基地へ連れて行かれれば、欲しい情報の幾つかは手に入ると踏んでいた。 こうなると浩司の頭脳は、冴え始める 科学全般に深い知識を持つ浩司である。 情報分析能力に長けている。 他だし唯一の誤算は、みなっちが一緒に来てしまった事 1人なら何とか脱出出来るかも知れないが、みなっちを連れた場合の方法が、思い浮かばなかった。  それともう1つ リンが、盛んに色目を使い、モーションをかけようとしてい事には気づいていた。 しかし全く興味が無かった。 変身すれば、不気味な怪物になると思っていた (この点については、後に改めさせる事となるのだが・・・。) そんな女には、興味が無い。 全く興味が無い・・・ だが、まじかで見るリンの美しさは、言いようのない程であった。 思わずため息がもれそうになるぐいだ・・・ が、しかし隣には、世にも恐ろしい生命体(みなっち・・・?)からの鋭い眼光に、睨み続けられている。 余りの恐怖に心臓は踊り続け、全身冷たいものが流れ続けている。 目線を外し・・・無視する以外、何も出来ない・・・
リンと言えば、過去どんな男でも、その完璧な美貌とスタイルで落としてきたのだが、キャラン(浩司)に、あっさりとあしらわれてしまったのだ。 並大抵の屈辱ではない 最大の屈辱であった。
美貌、スタイルに自信過剰であった。 ちょっと色目を使い 甘く、艶やかで、切ない表情で、狙いを付けた男を完璧に落とし 一滴残らず吸収し その力を我が物にし 更に強化出来る特殊能力を授かっていた。 "後で、必ず落として見せる そしてその力 全てを吸収し我が物とし この私の前にひれ伏せさしてやる・・・" 強い気持ちで心に誓った。
超大型ヘリは、某孤島にある ヘリポートに着陸した。 一応無人島となっている島である。 周囲には、大型貨物船がドッキング可能ないくつもの桟橋や大型クレーン設備など・・・ 何に利用しているのであろう? 各種建物まで点在していた。
浩司はかなり前 ネット上の暴露記事で、この島の公共事業が、税金のムダ使いの1つに挙げられていた事を思い出した。
それも巨大な氷山の、ほんの小さな1点でしかないと言う、注釈付であった。
利用目的不明で、巨額な税金を投入され開発されたが、全く利用する事無く世界的規模持つ某大企業に無償で、譲渡されていた。 あの古代ピラミッドだったと言う山もそうだ。 ほとんど利用する車もないのに、2車線の完全舗装だ。 これら公共事業についても予定最低落札価格が、不正に大幅引き上げられ、それも談合受注 何故か? 野党どころか、マスコミの追及すら行われず、公正取引委員会、警察、検察についても、捜査すら行われていない ある数人の勇気あるフリージャーナリストが、ネット上で暴露したのだが、すぐに記事は、闇サイトとして、サイト事強制的に削除閉鎖され 逆にありもしない冤罪をデッチ上げられ逮捕゜、裁判 スキャンダルまみれのうちに、獄中で謎の病死、事故死をとげている。 その為か? だれも触れようとせず、いつの間にか藪の中 闇から闇へと葬り去られてしまった。 その結果 徹底した事前検閲制度が確立され 言論の自由の保障と言いながら言論統制が更に強化された。 検閲する側の権力者( 政治家、官僚、公務員)などにとって都合の悪いも物は全て事前検閲の対象としあらゆる横槍を入れあらゆる手段を用いて強引に握りつぶしてしまう・・・  "アポリスと政治家、官僚、公務員、各企業が、グルになって仲良しになっているのかな・・・? 使われたのは、人の税金だ。 政治家、官僚、公務員、各企業の連中の懐は、肥え太っていくだけで、決して痛まない。 都合の良い愛国心だか何だかを 勝手に押し付け強制し 国造りの美名の下 税金、年金の名の下で、たらふく分捕って(盗む)おきながら 政治家、官僚、公務員、各企業の連中の間で、福祉の名の下、袖の下、裏金、ワイロなどで分け合い それに伴う各種特権に胡坐をかき 絶大な権力に酔いしれ、溺れ、自己陶酔している。  ご立派な愛国心である。 損ばかりを押し付けられ 高い税金を搾り取られ、泣き寝入りを余儀なくされ、僅かな年金までも盗み取られ(記録が無いの1点張りで、何も調べず、高慢、傲慢な態度で追い返し 記録は既に抹消済み 盗んだ年金を己が貢物として懐に納める。 それでも食い下がれば、最後に決まって、"警察を呼ぶぞ"と脅迫し、その後 決まって税務調査と称して、税務署が入り 高慢、傲慢な態度で、ありもしない難癖をつけ、デッチ上げ、自作自演のストリーを作り上げ、警察、検察などと組んで、冤罪を強要し全てを巻き上げる・・・)ているのは、いつも立場の弱い自営業者ばかりだ。 強者が集団になって、少数の弱者を徹底的にイジメ抜く、典型的な弱者イジメである。 弱肉強食の世の中 文句言っても始まらないか・・・" とふっと呆れて思った。
全て、最終学歴、会社名(公務員)などの地位によって決まる 階層階級が固定されサラリーマン化した社会の成れの果て・・・。
江戸時代以上の露骨で、陰湿な身分制度が確立し、下克上を無くした。 ある面では、固定化による秩序と安定と平和もたらすが・・・ それは、全てにおいて、閉塞された停滞を意味する。
閉塞感によるストレスの発散、、不平、不満のハケ口として、集団で、少数の弱者を陰湿に、イジメ抜く。 現在の学校、社会などのイジメ問題と同じだ。
閉塞感によるストレスの発散、不平、不満の矛先を 少数の弱者に向けさせる事により、ガス抜きをし 固定化された秩序と安定を更に、より強固にしてきた。
多数の集団と、ちょっと違う ただそれだけの理由だ。 つまり多数の強者であるサラリーマン、OLと違う 会社に属していない、それだけの違いで、スケープゴート(生贄)にする。 子供は、大人の鏡だ。 大人と同じ事をする。
そして、この問題に対して、見せ掛けの努力をしましたとポーズをとるだけで、何もせず、全てに蓋をし放置してきた。 あるいは、問題の解決の為と称して、問題の本質を都合の良いようにすり替え、都合の良い部分の小手先だけの規制を強化し 規制する側の権力、支配権を更に強化、磐石にし 管理社会の強化を図ってきた。 つまり焼け太り・・・
固定化した 秩序と安定により 各種権力、地位、特権などを 永遠に維持する為である。
それにより、自分達は、多数の強者に属し、各種特権などに、恵まれた階級だと、認識させる為でもある。
もし問題解決に、取り組んだならば、今まで築き上げてきた秩序と安定の崩壊を意味する。
閉塞感によるストレスの発散、不平、不満のハケ口の矛先を 少数の弱者に向けさせる事により、自らの地位、特権などの安泰を図ってきた多数の強者に取って、今まで築き上げた秩序と安定の崩壊は、絶対に許されない。
あらゆる手段を用いても、握りつぶしてしまう。 今まで築き上げた秩序と安定こそ、唯一絶対であり 全てにおいて正しい・・・
それ程 権力、地位、特権など、甘美なものだ。
その結果が、これだ。 自浄能力を無くし・・・ いや元々存在すらしていない・・・ あるのは絶大な権力志向と、全てを支配する事のみ。 各種特権 絶大な権力に守られ、好き勝手な事をやりたい放題で、全くの無責任、何ら責任すら追及されず、不問、(無実の方に濡れ衣 つまり罪を押し付け どんなに無実、真実を語っても 聞く耳すら持たず、自作自演によるデッチ上げの冤罪を強要に自己陶酔し、刑務所に十数年ぶち込んでおきながら 無実が証明されても 直接謝罪すらせず、世間体をつくろう事しかせず、お茶を濁す程度でごまかし、全くの無反省 デッチ上げによる自作自演の冤罪を強要した くそ警察、くそ検察、低脳、無能の裁判官など 全く処分どころか不問 何ら罪にも問われない 国家権力によって全てが保護されている為だ、全て組織の一員として行った事であり、それを強要した組織が悪いと責任転換し、被害者面すれば、同情が集まるとでも思い込んでいる。 組織を隠れ蓑に、やりたい放題で、腐りきっている。 権力に甘え 溺れ 逆に事件を解決した称した功績?による 点数アップによるキャリアアップ、出世まで果たす有様・・・ 無数に存在する数々の冤罪事件がその典型、全てを証明している) それでいて全てを支配する事のみ絶対的価値しか持たない強者の集団である くそ政治屋、くそ官僚、くそ小役人と それら擦り寄り 甘い利権に群がり貪る特権階級化したくそ各企業人による衆愚政治の典型的、愚かな見本。 つまり寄生虫の集まり・・・(寄生虫曰く 俺様だって相手を選ぶ権利がある。 あんなど汚い者と一緒にするな!! 俺様だってあんなど汚い物に寄生しない・・・と怒りを込め猛烈に反論中!!) 現在この国の実情である。
末期症状・・・すら遥かに超えている。
ある建物の中へ連れて行かれた。 中は厳重なセキュリティが施されている。 至るところで、あらゆる監視システムが働いていた。 7人は、エレベーターの前へ立った。 リンがカードを差し込むとライトが、オレンジからグリーンに変わる キーボードが現れ IDとパスワードを打ち込む 最後に生体認証の後 ようやく扉が開いた。 エレベーターの内部は思ったより広い。 壁は、透明のチューブ状になっており 床からせり出したコンソールのキーで、上下 行きたい階へ動く仕組みとなっていた。 下層へと向かい始めた。 途中 別のチューブから白衣を着た男と例の戦闘服を着た数人の兵士とすれ違った。 エレベーターは、上下に蓋の付いたカプセル構造らしい・・・ 上部には、ワイヤーらしき物がない 下部の底には、半円球状の物体が1つついていた。 "多分 エレベーターの動力源だろう・・・ 未知の動力・・・ いや反重力を利用しているのか・・・?" 浩司には、何故だか? そう感じた。 色々な物に興味を示し注意深く観察し始めていた。 
結局 浩司は、アポリスとの全面対決 避けては通れないと感じていた。 あの古代ピラミッドだったと言う山で、あのシーンを目撃し そして、運命のイタズラなのか? レジェンスとの融合 最初の2体を含む複数のグロテノスを倒し(殺し) ここまで来てしまった。 今更 投げ出す事も 後戻りも出来ない。 深く関わってしまった。 退路を見出せないでいた。 活路の選択の1つとして、アポリスと敵対するヤーナ・・・、確かに熱心にスカウトしてくれる だが・・・? マークじいさんは、少しは物分りが良いかも知れないが、ピエールは危険だ。 何かを隠し利用しようとしている。 ヤーナに付いた所で、近い将来 アポリスとの全面戦争になるだろう。 戦争になれば、無関係の人達も巻き込まれ多数の死傷者が出る。 それだけは何とか避けたい。 だからと言って、俺1人の力で何が出来る。 物量に勝る戦略上の有利さを覆す事は、ほとんど不可能に近い。 劣勢を挽回する為の核兵器を中心とした大量破壊兵器の使用など愚劣の骨頂。 全地球レベルの生命体 全てに多大な影響、被害が及ぶ それでもネクストノイドを倒せなければ、核の冬 有害な放射線、残留放射能などによる汚染、環境の短期間での極度の悪化など・・・ その他で、こちらが死滅するだけだ。 それ以前に核兵器を中心とした大量破壊兵器の存在は、やつら(アポリス)の戦略の想定に入っているはず、使用させない為の何らかの対策を講じているはず。 大体 核兵器を中心とした大量破壊兵器の使用を前提とする事自体 戦略レベルでの発想の貧弱さの表れであり、物事を近視眼的にしか見ていない証拠であり、極端なハードウェアー信仰以外何物でもない゜。
使用する事の出来ない核兵器を始めとする大量破壊兵器の開発、製造、保有する事自体 戦略レベルでの低能の表れでしかない。
そんな極端な低レベル以下の発想しか出来ず、核兵器を始めとする大量破壊兵器の開発、製造、保有を高らかに宣言し 自ら超大国だといばり腐る独裁者のうじ虫以下(うじ虫ですら大変気を悪くしております あんなのと比較され・・・)は、いまだに存在する。
"核超大国になられた偉大な首領様に、全世界がひれ伏せ 貢物として、食料を持参し首領様詣でに集まる・・・" と自画自賛する有様だ。
呆れて物も言えない。
 "究極の無駄遣い" "単なる究極のバカの骨頂・・・" (浩司談)
相手に使用させない為の抑止力・・・ つまり恐怖の均衡・・・
だが人類発祥以来 数々の新兵器 大量破壊兵器などの開発、製造の言い分であり 先行攻撃不使用もその言い分である しかしこれら数々の新兵器 大量破壊兵器などの戦争に使用されなかった例はない。
必ず戦争時に、戦略上の目的達成の為と称し使用されている。
兵器・・・ つまり武器とは使用される為に存在するものであり お飾りではない。
核兵器を保有する事による政治的 外交交渉上の武器、恫喝などに利用出来ると言う意見もあるが、核兵器を開発、製造、保有する事による 軍事面での戦力の不均衡 アンバランスをまねき 経済、外交面での 貿易を中心とした 経済制裁、封鎖よる損失など、あらゆるリスク、デメリットの方が比較にならない程大きい・・・
勝つ為の戦略に必要なのは、無用な長物のハードウェアーを並べ立てる事ではない。
"敵を知り、己を知らば百戦して危う(殆う)からず" と言う 古代中国春秋時代の軍事思想家孫子(もしくは孫武の著とも言われる)の兵法書の有名な一節で、格言、名言でもある。 
情報の重要性を説いたものであるが、百戦して危う(殆う)からずは、ちょっと言い過ぎだと思っていた。
だが正確で的確な情報を把握する事は、勝利への第1歩である事には間違いない。
まず、アポリスの全容を・・・いやある程度のレベルまで知る必要性がある。 全地球の支配だけならば、裏でこそこそする必要性を感じない。 何か? ほかに最終目的があるはずだ。 それとこの世に完璧な物はない 組織としてのアポリス 兵器としてのネクストノイドにも弱点があるはずだ そこを1点集中すれば、ほんの僅かだが勝機の可能性を見出せるかも知れない。 それには、数多くの仲間が必要だ、だが無関係な戦いに巻き込めない 当然 数知れない死傷者が出る。 裏切り、その他 色々なものに悩まさせる・・・。 1人で戦うしかない。 本当に戦ってくれる仲間がいるのか? まずまともに相手にしてもらえない。 信じてももらえない。 孤立無援である。 頼りにする事など出来ない。 何よりも必要なのは、何故? 戦うのか・・・ 戦う意義は? 何を持って戦略上の勝利とし その後の歴史にどう影響を与えるかだ。 自分の望む方向へ歴史が動くのかだ。
その為の戦略が重要である。 戦略なくして勝利無し 何を持って勝利とするのか? だが何を望む?
重要な事は、いかに戦うずにして勝利を収めるかだ。 真の戦略家は、戦わずにして勝利を収めてこそ真の戦略家だ 戦争を起せば勝者はいない いるのは敗者だけだ  ただの人殺し・・・それも大量殺戮者に過ぎない。 勝てば敵を大量に殺した殺戮者 負ければ大量味方殺し どちらにしろ大量の血が流れ 命が奪われるのに違いはない。
戦わずにして勝つ事の重要性は、ここにある。
他人の生命を奪う権利など だれにも、どこにも存在しない。
戦争を前提として考える事自体 戦略家としてのレベルの低さの現われであり 低能無知をさらけ出している以外何ものでもない。
だか自分1人が背負うには余りにも重すぎる課題だ こんなものだれも背負いきれない。 全人類いや全地球の未来の運命を掛けた戦いになるだろう・・・ はっきと言って迷惑な話だ。 全地球、全人類の運命を任されると言う柄でもない。 まして、マンガや映画に出てくる、無敵の正義?のヒーローでもない。 あんな風に、単純明快、勧善懲悪だったら どんなに楽ができただろう・・・。 大体 俺1人 個人の携わるレベルの問題を遥かに超え過ぎている。 何故? 戦う事になったのか、何の為に戦うのか?  何を求めればいいのか? だったら逃げるのか? 逃げるが勝ちと言う言葉もある だがどこへ逃げる? 逃げた所で追っ手に追われ追い詰められるだけだ。 自分を守る為に、無益な血が大量に流される・・・ 自分1人なら何とかなるかも知れない。 だがみなっちまで、巻き込まれている。 みなっちは無関係だ だがアポリスは、そうは見ない みなっちに対して必要以上に攻撃を仕掛けてくる。 みなっちは俺が守らなければならない。 こんなどうでもいい俺見たいな人間を本当に好きになってくれている。 最後の最後まで守らなければ・・・
浩司は、死火山での戦い以後 あらゆる想定で、シュミレーションをし、思考し悩み続けていた。 もちろんレジェンスの驚異的エネルギーも含めてである。
望みもしない驚異的エネルギーを持つレジェンスと融合してしまい。 背負いきれない大問題の渦中に放り込まれてしまった。 レジェンスさえなければ・・・と言う思いが、死火山での戦いの後 みなっちの住むマンションで、衝動的に、包丁で首を切り落とし取り外そうとする行為に走った。 必死に止め浩司の胸の中で泣いたみなっちを見て、守らなければならない者に改めて気づいた。
浩司は、戦争嫌いで、反戦主義者である。 この戦争嫌いが、学生時代 戦史を独学するきっかけにもなっていた。 何故? 戦争がいけないのか? 何故? 戦争を起すのか? などだ。 その時偶然・・・いや必然だったかも知れない 戦略論、戦術論も独学する事になった。 その中にある歴史的背景も含めて・・・ 戦略家としての資質を育むきっかけになっていた。
だが 浩司本来の資質である 一匹狼的資質が、一緒に戦う仲間を増やし 1つの物事に対して、分担協力、組織だって物事を進めると言う考えを阻んでしまっていた。 浩司は、典型的自営業の家庭に生まれ育った。 何事も自分で考え 判断し 行動する 全責任は、自分が負おう だれも助けてくれない 全て自分の力だけでやらなければならない。 そうしなければ、生き残れない世界だ。
"決断したら即実行する そうすればおのずと道は開ける。" (クラッシャージョウ シリーズ 外伝 ドルロイの嵐 いやダーティペア シリーズ ダーティペアの大乱戦の中で、クラッシャータロスが、ダーティペアいや正式コードネーム ラブリーエンジェルのケイに語った言葉である・・・) (高千穂 遥著)
浩司を含む 一匹狼の自営業者は、決断したら即実行する そうすればおのずと道が開ける ではなく 道を開かねばならない。
この点が、浩司の思考、行動などに、大きな影響を及ぼしていた。
この点が、後世の歴史家の非難の対象となってしまった。
自分1人で、全てを背負い込み解決しようとした点である。
どんなにすごい最強のハードウェアーを持っても それを運用する人間の能力に大きく左右される事も 浩司は知っていた。
浩司には、ハードウェアーに対する 宗教心と同じ絶対的信仰心など全くない。
たった1つの最強のハードウェアーで、戦局・・・いや戦争全体を決する事が無い事も・・・ かって旧日本海軍が誇った戦艦大和が、いい例である。 当時史上最強と言われた戦艦大和1隻で、戦局、戦争全体に何も影響を与える事がなかった。 戦術上の無意味な勝敗のみである。
当時の米軍の基本戦略構想である 圧倒的物量差と、それを活かす為の高機動力重視の前になす術も無く 無様なまでの巨艦大砲主義の無用長物でしかなかった。
米軍が、第2次世界大戦中 広島、長崎に投下した、核爆弾など問題外だ、もはや勝敗は決していた。 圧倒的戦力差、兵力、物量などを中心とした巨大な戦力差を用いて包囲し、天然地下資源、食料などに乏しく海外からの船舶による海上輸送に頼らざるえず、補給路、補給戦が極めて脆弱な点、そこを絶てば、わざわざ核爆弾を使用する必要性などなかった。 外交圧力をかければ済んだ事である。 飢えたら負けだ。 それをわざわざ極端なハードウェアー信仰にもとずぎ、実験場にされた。 表現不能の惨劇 生きながら焼き尽くされ・・・ 瞬時に蒸発し・・・その他多数(とても文章で表現する事が出来ない・・・)、これが人間の行える蛮行かと思うような表現不能の惨劇・・・ 運良く生き延びてもその後の放射線、残留放射能によるあらゆる障害・・・ 被害にあわれた方々の事を考えると言葉さえ失ってしまい・・・いたたまれない気持ちになる。
全て宗教心と同様、絶対的なハードウェーに対する信仰心が生んだヒステリックなまでの 極端なエスニッククリーニング(民族浄化)であり、ジェノサイド(無差別大量殺人もしくは、皆殺し)であり、狂気のなせるわざだ。
事実 ヨーロッパ戦線では、核兵器は、使用どころか、想定すら入っていなかった。 当時ナチスは、核兵器の開発、製造に取り掛かっていたにも関わらずだ、人種、宗教、民族などが、ヨーロッパとは、多くが共有していた為である。
人種、宗教、民族が異なる日本に対してのみ使用された。
名目上は、日本本土に上陸し正面決戦における地上戦での戦死者の数、旧ソ連を参戦をさせない為の政治上の思惑、対日戦の早期終結など・・・を挙げられているが、ヨーロッパ戦線では、Dデー(ノルマンディ上陸作戦 通称史上最大の作戦)を始めとする膨大な物量、兵力差を生かした地上戦で、勝敗を決している。
そのきっかけを作った当時の軍部を中心とした 戦争賛美者、各企業人も同罪だ。 軍部に擦り寄り、美辞麗句を並び立て、自分達だけが、後方の1番安全な場所に隠れ、愛国心の美名を隠れ蓑に、戦争を賛美、鼓動、煽動し 他人を戦場に送り込み 膨大な甘い汁を貪り続けた。 犠牲になった他人の生命など、タダより安い 赤い紙切れ1枚で、徴兵され戦場に送られ犬死を強制させられた人達、その巻き添えをあった人達など、自分達の膨大な利益の為の便利な使い捨て以下の物でしかない。
自らの手を汚す事無く、汚い所は、全て他人に押し付け、きれいで所だけを、自らの手柄とし自己陶酔し、甘い汁だけを貪り続けた。
近代に入って・・・、いや人類発祥以来 戦争は、戦略目的ですらあいまいのまま突入するケースほとんどだ・・・ いや明確に存在する。 知っているのは権力者とその周りにうろつく各企業人だ。 短期決戦と言いながら常に長期消耗戦になるのがいい例だ。
明確な戦略目標、目的が存在しない為である。
いや真の戦略目的は、戦争を起す事 そして、戦争を長期に継続する事 どハデに演出効果バツグンの戦術、戦闘上の勝利に固執する事である。 それにより長期に渡り甘い汁を貪り続ける事だ。 これが、戦争の真の本質だ。
あんなやつらの為に、戦争を起す必然性などどこにも存在しない。
戦争など起さなければ済んだ事である。 戦略すら知らないバカ、低能、くず以下どもが、権力を握り 自己のおもちゃとして扱えば、結果がどうなるか・・・ いい見本だ。
結局 物量に勝る戦略上の有利さを覆えす事は難しい。 古代中国春秋時代の軍事思想家孫子(もしくは孫武の著とも言われる)の兵法書の中にもある "十をもって、一を攻める" 相手を大幅に上回る大兵力を用いて 遊兵を作らず 全兵力を持って一気に相手を叩き潰す。 いち早く情報を集積、素早く解析し伝達共有する。 大軍を維持する為の補給をいかに確保するかだ。 戦略の基本中の基本である。 無補給の戦い、無限の補給など有り得ない。
勝つ為の全ての条件を整える事が、戦略の最も重要な基本である。
浩司は、たった1人である。 1人で巨大な組織であるアポリスと 数知れないネクストノイドと戦わなければならない。
最強のハードウェアーとしてのレジェンスと融合していても 同時に全世界でアポリスが行動を起せば 1人で、全世界を同時にカバーするなど不可能だ。
そのエネルギー量は無限で、宇宙そのものを瞬時に消滅させるエネルギー量を誇り その気になれば、地球など瞬時に消滅させる事も出来る。 だがそれは、勝利でもない。 アポリスは、倒せるが、地球そのものが、消滅しては全くの無意味でしかない。 ハードウェアーとしてのレジェンスは、宇宙最強かも知れない・・・ しかし それを使う融合者 運用するソフトウエアー面で、浩司自身 自分の能力を全く頼りにしていなかった。 無力でありコントロール出来ないのだ。 暴走を起す危険性も孕んでいる。
浩司自身 決して、有能でも 優秀な人材でも無い事を知り抜いていた。
浩司自身 それ以上でも、それ以下でも無い事も・・・。
浩司自身 自分の行っている行為に対する愚かさや、バカさ加減を皮肉っているのを みなっちは、よく聞いている。
まともに運用出来ないハードウェアーなど、無用の長物に過ぎない。
まともにコントロール、運用してこそ、ハードウェアーが機能する。 運用するソフトウェアーの重要性を浩司は、熟知していた・・・。
まず 何故 戦うのか? 戦う意義は? 何をもって戦略上の勝利とし、歴史的な意義 何を持って自分の望む方向へ歴史が動くのか? 何よりも いかに戦わずして勝利を収めるのか。 それによって何を得て、何を守るのか? みなっちを守るはいいとして、その為に相手を殺していいのか? その事に悩み続けていた。 相談する相手もいない たった1人で・・・、唯一浩司が有利と言える点は、相手(アポリス)が、レジェンスの存在すら知らない点である。 レジェンスについて知っているのは、浩司とみなっちの2人であり みなっちは、全く理解していないし・・・、浩司自身 レジェンスの全てを知る訳でもなかった。 ・・・いや何一つ知らないに等しい状態だ。 何も見出せないまま 渦中の中心へと追い込まれていくのである。
1人でやれる範囲などたかが知れている。 それでもやれるだけの事はやりぬこうとした。 だがその為の戦う意義が、常に見出せないでいた。
浩司は、生涯 "何故戦うのか?" この自問に遂に答えを見出す事が出来なかった。

戦略とは、戦局、戦争のグランドデザイン(全体像)を描く事である。 
相手の全てを把握し それに対抗する為の相手を大幅に上回る兵力を整え、補給線を確保し 遊兵を作らず 全兵力を持って一気に相手を叩き潰す。 いち早く情報を集積、素早く解析し伝達共有する。 大軍を維持する為の補給をいかに確保するかだ。 戦略の基本である。 つまり勝つ為の全ての条件を整える事が、最も重要だ、そして勝利し 戦局、戦争の全体の流れ、その後の歴史を望む方向へ向かわせるのかが、戦略である。
"つまり歴史が、望む方向へ向かえば、わざわざ戦争など起す必要性はない。 戦略の最も重要なポイントであり 戦争など起さなくとも歴史を望む方向へ向かわせるのが、真の戦略家である。" (浩司談)
戦術とは、与えられた兵力、戦力などを用いて、与えられた条件の中  刻一刻と変化する戦場で、いかに戦い勝利を収めるかが、戦術である。
戦闘とは、個対個の戦いであり 相手に勝つ事により自分がいかに生き残るかなのだ。
少々の戦術、戦闘での敗北など、戦略上の勝利を収めれば、取るに足りない事。
重要なのは、いかに戦略上の勝利を収めるかだ。
その為のキーワードは、情報、補給である。
"正しい情報を正しく分析し運用する・・・" 浩司は、情報の重要性を何よりも熟知していた。
"情報を制する者は、世界を制する" 事実だと浩司は思っていた。
戦略は、正しいから勝つのであり 戦術、戦闘は、勝てば正しい。
戦略家としての資質を育む浩司は、戦略及び戦略上の勝利が、いかに重要かを知り抜いていた。
その反面 戦争の残酷さ、汚さ、醜さ、愚かさ、残忍さ、卑劣さ、愚劣さ、冷酷さ、野蛮さなど・・・ それにより多くの人の命が奪われ、憎しみ、恨み、悲しみ・・・ などの無限連鎖の繰り返ししか生まない戦争を何よりも嫌っていた。
戦争は、全て無意味であり、意味のある戦争など、人類発祥以来 全く存在しない。 浩司の持論である。
だからこそ 戦わずして、戦争を起さないで、勝利を収めてこそ、真の戦略家であり 戦わずして、戦争を起さないで、勝利を収める事により、戦略上、歴史的意義、意味が見出せると思っていた。
まず戦って勝利し、その中で、戦略的意義を見出そうとする事自体 無意味な他だの大量殺戮としか見えない。
"戦わなければ済んだ事・・・" 戦争など起さなくても、あらゆる方法、選択などを利用し勝てばいい・・・ と言う意味で、浩司が、よく語っていた言葉である。
戦争とは、いかに効率よく敵を殺すかだ、逆に言えば効率よく味方を殺させるか その点に尽きる。
戦争とは、ただの人殺しゲーム より相手を殺した方が勝ち 別の観点からみれば、兵力101対100の戦いで、1対1で相打ちさせれば、最後に1人生き残ったほうが勝ちである。 余りにも単純で下らない数の論理である。 "相手を大幅に上回る兵力などを用いて戦う戦略上の有利差はここにある。" (浩司談)

色々考えているうちに、ある階へ到着した。 エレベーターを降りると 浩司とみなっちは別々にさせられた。 猛烈に抗議するみなっちであったが、「大丈夫 大人しく従うんだ すぐ会える」 浩司の言葉に不満顔であったが、みなっちは、大人しく従った。 みなっちは、傍にいた別の兵士に引き渡されると 別のエレベーターで、更に下層へと向かった。 行き着いた先は、牢獄である。
キャラン(浩司)は、リンと4人の大男に囲まれ ある部屋へと案内された。 部屋へ入ると4人の大男は、部屋の外で待機した。 部屋は、高級幹部クラスの部屋であろう。 かなり広い 調度品など豪華絢爛。 最高級ホテルのスィートルームと変わらない。 ベッドなどダブルベッドより広く レースの刺繍の施した半透明のカーテンが取り囲んでいた。 部屋の雰囲気から女性用とすぐ分かる。
ちなみに、キャラン(浩司)の部屋は、10畳と日本人としては、広い方だが、畳で、複数の本棚とステレオ、2台のパソコンとパソコン用机が2台 椅子2脚 大きめの布団と言う有様 まるで場違いの王侯貴族のプライベートルームに思えた。 "金持ちと貧乏人とでは、こんなに違うのか・・・?" キャラン(浩司)の本音である。
リンに案内されるがまま 長いソファにキャラン(浩司)は、腰を降ろした。
リンは、「あるお方は、御多忙だ しばらくここでくつろいでもらう」 そう言うと 入ってきたドアとは別のドアを開け消えた。 部屋の中にまた別の部屋がある。 "金持ちって すごいなあー・・・" キャラン(浩司)は、自分の生活水準の低さを嘆いた。
しばらくすると 先程リンが出て行ったドアが開いた。 真っ赤なマイクロビキニの上に白いバスローブを着たファッションから 今度は、真っ赤なボディラインを強調したミニのドレス 胸の部分が大きく開き 大きく豊な胸を強調していた。 長い艶のある黒髪は、後ろで結んだファッションで、リンが現れた。 その姿は、一層艶やかであった。
両手には、トレンチを持ち 最高級のブランデーにグラスが4つ 氷にミネラルウォーターまで乗っている。 どこで調べたのだろう・・・ キャラン(浩司)の好きな銘柄の最高級ブランデーである。 キャラン(浩司)の嗜好まで調べあげている。 リンは、ソファに座らず、キャラン(浩司)の左斜め前に両膝をつきテーブルにトレンチを置いた。 氷を1つグラスに入れる 封を開けていないブランデーの栓を開け 氷を入れたグラスに注ぐ そして氷の入っていないグラスにそのままブランデーを注いだ。 氷入りをキャラン(浩司)に渡す。 キャラン(浩司がロック党である事まで調べあげられていた。
リンは、甘く、切なく、艶やかな表情でキャラン(浩司)を見つめる。 キャラン(浩司の持つグラスに自分のグラスを合わせる 乾杯の儀式だ。 しかしキャラン(浩司)は、グラスに口をつけない。 そのままテーブルの上に置いた。
それを見て リンは、「心配するな 毒や睡眠薬など入っておらぬ。」 と言い 甘く、切なく、艶やかに微笑んだ。
そして、さりげなく両手で後ろに結んだ髪を持ち上げ解く 解いた髪を軽く振り 完璧なボディラインを見せびらかす 全く下着を着用していない。 "下心丸出し" キャラン(浩司)には思えた。
この部屋は、リンのプライベートルームで、今は2人だけである。 邪魔者の小娘(みなっち)はいない。 リンに取って絶好のチャンスである。
「飲まぬなら 私が飲ませてあげよう」 リンは、そう言うとグラスのブランデーを一口 口に含むと 両手でキャラン(浩司)の両肩を押し ソファに押し倒した。 ビーチの時と同じくキャラン(浩司)の腰の両側に膝を置きまたがった。今度は逃げられないようにと、そのまま腰の上にお尻を下ろす。 両手でキャラン(浩司)の両肩を押さえた。これで逃げられないと思ったのであろう キャラン(浩司)の上に置いた腰を妙に怪しく動かす。 また目を閉じ 甘く、切なく、艶やかな表情で、直接 口移しで、ブランデーを飲ませようとした。
"貰ったー これで、キャラン(浩司)は、私の物 ゆっくり、たっぷり楽しんで、あのモニター画面で見た 驚異の能力 全て一滴残らず吸い取り 我が能力とし 最後にひれ伏せさせてやる・・・!!" 顔がほころぶ。
しかしタイミングが悪かった。 突然 呼び出しがかかった。
「リン様 リン様 大至急 作戦司令部におこし下さい。 将軍閣下がお呼びです。」 リンは、呼び出しに振り返った。 口に含んでいたブランデーを飲み込んでしまう。 もう少しの所であったのに・・・ 悔しさが顔ににじみ出る。
「運の悪いやつ{キャラン(浩司)}!!」 キャラン(浩司)の上から降りると もう1度 キャラン(浩司)の方を振り返り 「お楽しみは 後だ!!」 そう言い残すと 先程着替えに入った部屋へ入っていった。 素早く着替えを済ませ キャラン(浩司)のいる部屋へ戻る。 今度は、高級士官用制服に着替え 黒のフード付きマントを肩から掛けていた。 キャラン(浩司)を睨み 「この部屋から出るな!! 小娘(みなっち)の命が惜しければな!!」 そう言い残し 部屋を後にした。
"危ない所だった 危機一髪 人生最悪の日の1つだなあー" そう思いキャラン(浩司)は、ソファに横になり 腕を組み思考を巡らせ始めた。
"あのまま行ったら みなっちに八つ裂きにされる。 逃げようと思えば、俺1人なら多分何とか逃げられるだろう・・・ まだ1度しか使っていないテレポーテーションの能力 もし本当に出来るならば簡単だ。 この能力 まだ 俺とみなっちしか知らない。 多分 みなっちは、テレポーテーションに付いて理解していないだろう・・・? 他だし みなっちを連れて脱出となると話は別だ。 果たして、みなっちと2人でテレポーテーション出来るのだろうか?  出来たとしても レジェンスのエネルギーが暴走を起すかも知れない。 最悪の事態は避けたい。 それに、逃げるは後だ。 アポリスの情報 まだ何も手に入れていない。 他だし 国家そのものが、裏で支配されているのであろうか? いくら何でもこんな大それた秘密基地を国家が知りませんでした なんて有り得ない。 この島を無償で、譲渡されている。 裏でつるんでいるとしか思えない。 それに、エレベーター1つ取ってもアポリスのテクノロジーは、驚異的だ。 現代テクノロジーを遥かに超えている。 エルの科学技術を利用していると マークじいさん 言っていたなあー この程度ではないだろう・・・ 反重力を利用しているのか? まあー グロテノス1つ取っても そのすごさが分かる。 これだけのテクノロジーがあれば、遥か昔に全地球を 表から支配出来る。 謎だなあー・・・ 絶対的 数が不足しているとマークじいさん言っていたなあー この辺を探っておかなければ、次に、あの頭の額にある赤いネクスタル 変身と関係しているみたいだが、人間の身体に他の生命体のDNAを組み込み 強化改造し作り出されていると言う話だ。 ネクストノイドと自分達の間では呼んでいる。 下からグロテノス、デストロ、アピリムと大雑把だが、このような階級になっていると言う話だが、せめて、デストロには会って見たい。 あるお方・・・ 将軍? と言っていた 多分 デストロの1人だろう・・・ どんな力を持っているのか? どんなエネルギーを用いて瞬時に変身させるのか? DNAを瞬時に変換させ肉体まで変化させるのには、どんな技術でコントロールしているのか? 他にもこの基地を維持する為のメイン動力は? 高圧電線は引かれていない ヘリから確認済みだ。 原子力? だが原子力を利用した場合IAEA(国際原子力機関)の査察問題が絡む・・・その程度ではないだろう もっと大出力、高効率の未知の動力源があるはずだ。 ますば、この辺だなあー?
後は、じたばたしても始まらない 向こうさんの出方待ちだなあー" と思い ふて寝しようとした。
もう1つ気になる事が、頭をよぎった。
"それと みなっち・・・ あれ程付いて来るなと言って付いて来た。 今頃 泣いているだろうなあー" 浩司は、みなっちの事を思った。
"多分 膝を抱え 頭を埋めて泣いているだろうなー" そして、泣き顔を想像して見た。 思わず浮かんだ顔に、身震いした。 ふて寝した。
当のみなっちは牢獄の中 浩司の予想通り 膝を抱え 頭を埋めているが、別の事を考えていた。 "あの女(リン) こーちゃんに絶対 手を出している。 もし変なマネしたら 絶対許さない!! こーちゃんのあそことあそこ ぶった切って、バター炒めにして食べてやる。 そしてあの女(リン) ズタズタに切り裂いてやる!!" その剣幕は、浩司の想像通りである。

 リンは、龍(ロン)の前で片膝をついた。 リンの前には、数段の大きな階段があり 階段を上がった先には、玉座がつくられ龍(ロン)は、そこに座っている。
「でかしたぞ、リン 見事な働きぶりであった。」 龍(ロン)は、ねぎらいの言葉をかけた。
「これも ひとえに龍(ロン)様からの授かりし能力の賜物でございます」 リンは、顔を上げ答えた。
「ところで、捕まえてきたキャラン・サンダンスと言う男 今どこにおる?」
「私の部屋で・・・監禁しております。 部屋の前には、4人のハイパーグロテノス 更にフロアー全体に、多数の警備兵を配置しておきました」 リンの一瞬の言葉の詰まりを龍(ロン)は見逃さなかった。 そして、納得した様子を浮かべ微笑んだ。 「お楽しみの所を 邪魔したみたいだな」
「いいえ・・・ さような・・・」 リンは、かしこまった。
「お前に与えた能力だ 遠慮なく使えば良い その方、更に強くなる。」
「はっ」 リンは更にかしこまった。
「ところで・・・」 龍(ロン)は、立ち上がった。 「お楽しみを奪って悪いが、あのキャラン・サンダンスと名乗る男 すぐここへ連れて参れ わしが直々に調べたい事がある」
「はっ ご命令とあれば。」 リンは立ち上がった。
「リンよ 全ての調べが終われば、あの男 お前に与える 後は自由に楽しめ」
龍(ロン)の言葉に、リンは、深々と頭を下げ、部屋を後にした。

 キャラン(浩司)は、龍(ロン)の前に出された。 キャラン(浩司)は、腕を組み数段高い階段の上の玉座に座る龍(ロン)を見上げていた。 後ろには、片膝をつき、頭を下げたリン その後ろには1列に並んだ例の大男達4人が、同じ姿勢で、頭を下げている。
「連れて参りました 龍(ロン)様」 キャラン(浩司)の後ろからリンの声が響いた。
キャラン(浩司)は、龍(ロン)と呼ばれる男を観察していた。 まず気づいたのは、額のネクスタルである。 色が違う 赤ばかりだと思っていたが、龍(ロン)の色は、エメラルドである。 "何か階級・・・ いや得るエネルギーの違いか・・・?" ふっと思った。 次に戦闘能力を見極めた。 レジェンスと融合して以来 何となくだが、相手の戦闘能力を見極められる。 "さすがに、ものが違うなあー 将軍と呼ばれる事だけはある。 後ろの5人など比較にならない 束になって戦っても勝てないだろう・・・ 8大将軍と呼ばれるデストロの中に、東アジア担当が、龍(ロン)と呼ばれる人物だと聞いたが、間違いなく あのじじいだ。 あのじじい{龍(ロン)}の強さ 半端じゃないぜ。"
相手の強さを見極めた。
「これは、キャラン・サンダンス お初に会えて光栄じゃよ」 龍(ロン)もまた キャラン(浩司)の能力、強さを計っていた。 しかし計る事が出来ない。 目の前の男 他だの平凡な旧人類(ホモサピエンス サピエンス)程度でしかない。 キャラン(浩司)の能力は、戦闘モードに切り替わると瞬時に、レジェンスのエネルギーにより無限に増大する。 戦闘モード時以外は、平凡な人間の能力でしかない。
計りかねた龍(ロン)は、右腕を突き出し 右手人差し指をキャラン(浩司)に向けた。 指先が光ると同時に、細長いビーム(光線)が、キャラン(浩司)の足元 数cm手前を焼いた。
「なる程・・・」 龍(ロン)は、納得した表情を浮かべた。 "プロトタイプ(試作体)とは言え 強化を施した6体のグロテノスを瞬時に消滅させた能力に偽り内容じゃ・・・" この攻撃の瞬間 キャラン(浩司)は、戦闘モードに入り 瞬時に、数cm下がった。 目にも止まらぬ速さで。 この時 龍(ロン)は、キャラン(浩司)の能力の一端を計った。 "これは大したものだ 瞬時に戦闘能力を ハイパーグロテノス並に上げ わしの攻撃を見切って、数cm差で避けるとは・・・、だが能力の使い方が甘い・・・いや知らぬど素人じゃ わしがバリヤーを解除した瞬間 無防備になる所を狙わないとは・・・ 数少ないチャンスだったのを・・・ だがこれは、使える。" そう確信した。
"こやつを利用すれば、ギルのやつに横取りされた 例の物 取り返すのに利用すれば良い。 ギルのやつ まだ知らぬはず 例の物の真の力を 例の物さえ手に入れば、アピリムなど敵ではないわ わしこそが地球の最強の支配者となり この星を手に入れられる。 そして、古代滅亡させられた帝国を復活させる事もなー・・・」 龍(ロン)は、薄く微笑んだ。
"さて? どうやってこやつを引き込めるかだ・・・ 例の物さえ取り戻せれば用済みだ 新しい力の実験台にでもすれば良いだけ 後は、何故? 変身しなくてもあれだけのエネルギー、能力を出せるのか? その供給源などを調べれば良い。"
「キャラン・サンダンス・・・」
「キャランでいい」 キャラン(浩司)は、ふてぶてしい態度で、ようやく口を開いた。
「ところで、そのエネルギー・・・能力 どこで手に入れたのじゃ・・・ヤーナに、そのようなテクノロジーは無い 他に見当たる所も無い・・・?」 龍(ロン)は、本質を聞き始めた。
「貧乏育ちでね・・・」 キャラン(浩司)のお得意の皮肉である。 後ろの5人は、顔を上げ むっとした表情を見せる。
「・・・面白い男じゃ このわしにたてつくとはなあー 大した度胸じゃ・・・ その話は、後でゆっくり聞かせてもらうとするかー・・・」 龍(ロン)は、笑い出した。 気に入った様子である。
キャラン(浩司)は、表情一つ変えない 先程から龍(ロン)の隙を覗っていた。 "さすがー デストロと呼ばれるだけはある。 自分の周囲にバリヤーを張っている。 先程の攻撃の瞬間 解除して、また直ぐに張り直している。 こちらから仕掛けるならしてみろかー・・・ 俺の能力を測るつもりだなあー 攻撃出来るものならしてみろか・・・ だから俺を自由に動けるようにしているのか・・・ ここはまず相手の様子見だ。" キャラン(浩司)は、そう考えた。
「どうじゃ このわしの部下にならんか? わしに次ぐNO2の地位を与えてやっても良い・・・それに、そう・・・後ろのあの女 いい女だろう・・・ 欲しければリンもくれてやっても良いぞ・・・ 足りなければ、リンと同じレベルの女 好きなだけくれてやっても良い・・・」 龍(ロン)は、キャラン(浩司)の事が気に入ったのか? 思わぬ好条件を提示した。
「答えは、ノーだ!」 キヤラン(浩司)は、ぶらつきぼうに答えた。
「ノーか・・・ 置かれている立場を解っていないようじゃなあー 逆らえば、連れて来た女を殺す」 龍(ロン)は、キャラン(浩司)の表情を覗った。
表情一つ変えないキャラン(浩司)を見て、 「今すぐに返事をよこせとは言わぬ 少しは時間をやろう よく考えておく事だな・・・?」 立場の有利さを強調した。 そして立ち上がると ゆっくりキャラン(浩司)の方へ向かい、階段を下り始めた。 「どうじゃ 一つここを拝見させてやろう 逆らう事が、どれだけ無駄か、良く理解出来るだろう」
「ついて来い!」 龍(ロン)は、そう言うと 専用エレベーターのあるドアへと向かい歩き始めた。
"しめた・・・絶好のチャンス!!" キャラン(浩司)は、心で微笑んだ。 "色々な情報が手に入る"  しかし表情は変えない。
後ろにいた5人が立ち上がると キャラン(浩司)を取り囲んだ。 1人の大男が、顎で合図する。 キャラン(浩司)は、仕方ないと言う態度で従った。
エレベーターは、ある階で止まった。 正面は、長く広い廊下になっており 床を除いて、左右から上部にかけて、楕円形状の透明なチューブに覆われていた。 チューブの素材は、エレベーターの壁と同じであろう。 龍(ロン)は、廊下を歩き出した。 5人に囲まれたキャラン(浩司)も後に続く。
「ここは、我らネクストノイドの生産現場だよ。」 龍(ロン)は、右側の透明な壁から下を覗き込んだ。 キャラン(浩司)も5人に促され透明な壁から下を見た。 この廊下は、空中を結ぶ渡り廊下になっており 下は、広大な工場の生産現場ようであった。 大男でさえ十分に入れるような大きな円筒状のカプセルが、数列に並んで、いくつも整然と並んでいる。 円筒状のカプセルの上には、栓らしき物で蓋をされ いくつものファイバーケーブルからチューブが繋がっていた。 円筒状のカプセルの周囲には、白衣を着た科学者? 技術者? らしき人物が多数働いており 大勢の兵士達が監視していた。 いくつかの円筒状のカプセルの内部には、薄い色の液体に満たされており 全裸の男女が入っていた。 鼻から口にかけては、チューブと繋がったマスクがかけてある。 多分 酸素などの生命維持に使われているのだろう。 中には 身体の大半がグロテノス化している者もいる。
「どうかね? キャラン(浩司)」 そう言うと龍(ロン)は、再び歩き出した。 反対側へと着くと ドアを開け中へ入った。 そこは、ここ生産現場のコントロールルームの様だった。 各種モニター画面 マルチディスプレイ画面、計器、キーボードなど多数配置されていた。
「ここが、生産現場のコントロールルームだ。」 龍(ロン)は、説明を始めた。
「我らネクストノイド いや新人類と呼ぶべきかな? 元々 キャラン(浩司) 君と同じホモサピエンス・サピエンス 我々は、旧人類と呼んでいるが、それをベースに作られている。 少しは知っていると思うが、多分ヤーナの連中に、聞いているだろう・・・」 龍(ロン)は、キャラン(浩司)の表情を覗った。 全く無表情である。 それを見てまた話を続けた。
「我ら ネクストノイド(新人類)は、他の生命体のDNAの1部を組み込み あの特殊な能力を使っている。 ただ 他の生命体のDNAを組み込んでも無意味だ。 それだけでは、変身や特殊能力を使えん そこで・・・」
キャラン(浩司)の調べたい項目の1つである。
龍(ロン)は、もったいぶったように話を止めた。
手前にあった キーボードのキーを幾つか押した 正面のディスプレイの画面の1つに、人体の輪郭だけが表示された。 更にキーを押しながら龍(ロン)は、話し始めた。
「キャラン(浩司) 名前ぐらいは知っているだろう ナノテクノロジー・・・ 我らネクストノイドの身体には、多数のナノマシーンが入っている。 それによって、DNAを操作 身体を瞬時に変身させ 更に特殊能力を可能としている。 他だし 人間そのものが、発生させる生体エネルギー程度では、当然そんな巨大エネルギーなどを発生、供給不可能だよ そこで、このネクスタルがある。」 龍(ロン)は、額のエメラルドに輝くネクスタルを指差した。
ディスプレイ画面には、人体の輪郭内に無数の赤い点が点滅し動き回っている。 体内のナノマシーンを現しているのだろう。
「このネクスタルは、君も知らん 多重宇宙の1つの超高エネルギー宇宙と呼べる宇宙の1つとと常時繋がっており そこからエネルギーの供給を得ておる。 もちろんナノマシーンもコントロールし変身や特殊能力、生体兵器とも呼べる 各種武器も全てコントロールしておる。」
ネクスタルの秘密の1部で、知りたい項目の1つであった。 "なるほどー" キャラン(浩司)は思った。
"量子論のパラレルワールド(平行世界もしくは、多世界解釈)と言うべきか? 多重発生宇宙論か? そのどちらかであると思った。 量子論では、1つの時空間の中に無数の宇宙? 世界? 微妙に違う あらゆる可能性のある無数の宇宙? 世界? が同時に共存している可能性を趣旨している。 観察する時はじめてどの宇宙? 世界? が観察されるかで確定する言う解釈が存在している。 これが、パラレルワールド(平行世界もしくは、多世界解釈)である。 多重発生宇宙論では、無の世界の中で、宇宙誕生の瞬間 あらゆる可能性を秘めた多種多様な宇宙が、確率論的に発生し、同時に共存しているか、もしくは、ブラックホールに吸い込まれた物質は、ワームホールを通り別の宇宙に繋がっていると考える説を取る科学者も存在している。 
実は、キャラン(浩司)は、1度 イメージとしてであるが、レジェンスと融合している時 多重発生宇宙論を目撃している。
この場合 龍(ロン)の説明は、多重発生宇宙を指しているのだろう・・・ キャラン(浩司)は思った。
"それで、変身する瞬間 ネクスタルが光るのは、その為か・・・ 瞬時に変身するのには、大量のエネルギーを必要とする 一気に供給量を上げる為 光るのか・・・" キャラン(浩司)は思った。
「それだけではないぞ・・・」 龍(ロン)は話を続けた。 「このネクスタルは、テレパシー機能も備えており 互いの連絡を可能にし 更に上位の者は、下位の者に対して、精神コントロールも出来る優れ物だよ。」 龍(ロン)は、どうだと言わんばかり表情である。 "死火山でのフォーメーションプレイは、それだったのか・・・テレパシーによって互いの連絡を取っていたのか・・・" キャラン(浩司)は、嫌な思い出を思い出してしまった。
「ただネクスタルを額に埋め込んでもネクストノイドにはなれぬ エネルギーが強力過ぎて身体が持たぬ だから あのポット・・・それ あの円筒状の機械だ あれに入り 耐えられるよう 身体の改造を施す。」
「そしてだ・・・」 龍(ロン)は、近くの椅子に座った。 「今までは、強化改造するのに、適合するDNAの所有者以外不可能であったが、テクノロジーの進歩とは、恐ろしい物だよ 今では、DNAに欠陥さえなければ、可能となった。 現在 大増産中だよ。」 逆らっても無駄だと言わんばかりの言い方だった。 数の上でも絶対の有利差を強調している。
更に、リンを呼び寄せた。
「リン・・・ こっちらへ来い。」 
「はっ」 リンは、龍(ロン)の横へ立った。
「リンを含む この5人は、ハイパーグロテノスと言って、グロテノスの能力を更に強化 最大限まで、高めたタイプだ。」 龍(ロン)は、5人を見渡した。
「そうだ・・・」 龍(ロン)は、何か思いついた様に、手を一度叩いた。
「いいものを見せてやろう リンの強さだ。 驚くぞ・・・」
龍(ロン)は、手近にあったマイクのスイッチを入れ 「例の者どもを闘技場へ用意させろ デモンストレーションを行う すぐにだ!」
龍(ロン)は、立ち上がり リンにサインを送った。 「リン お前の強さを見せてやれ。」
「はっ。」 リンは、一礼し先に部屋を出た。
「わしらも行くとするかー」  龍(ロン)は、リンとは別のドアへ向かった。 キャラン(浩司)大男の4人に促され 渋々後をついて行く。
先程とは、別の通路であった。 途中 透明なチューブに覆われた通路の外に 巨大な装置が見えた。 何らかの動力発生源のように見えた。
「これが、この基地の全動力、エネルギーを賄う動力源だよ 話しても無駄だと思うが、教えてやろう・・・反物質反応炉だ。」
龍(ロン)は、自慢げに話した。
"なる程ねー・・・反物質 実用化していたわけかー 巨大なエネルギーを必要とする この基地の全エネルギーを これで賄っている理由かー・・・" 
正物質に対して その正反対の電荷を持つ反物質が存在する。 (宇宙誕生時に、正物質同様 反物質も同時に生成されたが、僅かな違いで、反物質は、正物質と対比消滅で、全て消滅 この宇宙には、存在しないが、人工的に生成は、理論的に可能) 正物質と反物質が衝突すると対比消滅が起き 光と熱エネルギーなどに変換する そのエネルギー量は、アインシュタイン博士の特殊相対性理論の基本の1つの方程式 世界で1番美しく、それも最もシンプルな方程式と呼ばれる E=mc2(Eはエネルギー量を表し mと言う質量×(かける)cと言う光速のスピードの2乗倍のエネルギーを得る)で表す事が出来る。
"大出力、高効率と言う理由かー・・・ これでは、IAEA(国際原子力機関)の出番は無いね・・・  原子力など、非効率の極みだよ・・・"
キャラン(浩司)は、少々呆れた。 現代科学の水準を遥かに超越している。
"それにしても あの龍(ロン)とか言うじじい ちょっとおしゃべ過ぎるなあー お陰で、少しは情報を得る事が出来た。 ネクストノイド、ネクスタル、反物質反応炉・・・ どれを取っても超驚異的 驚異のオーバーテクノロジーだよ・・・ これじゃーSFの世界の話しだ。 近未来テクノロジーですら遥かに超えている 机上理論を実用化している。 まだ全てでは無いだろう ほんの1部に過ぎないだろうけど・・・ ようは、逆らっても無駄 大人しく従え 従えば地位と美女 多数くれてやる・・・貧乏人には涙がチョチョ切れる程うれしい話だがねー・・・"
キャラン(浩司)は、ふっと呆れて思った。 キャラン(浩司)は、典型的自営業者の家庭で生まれ育った。 どんな事でも自分で考え 判断し行動する。 自力のみでやってきた。 頼れる者はだれもいない 頼れるのは頼りにならない自分だけである。 他人の下で、命令を実行し行動するなど想像も出来ない。 全て会社任せ 親方日の丸 群れて集団で行動し 鎧兜(学歴、会社名、出世など)で着飾り、それらを点数化し それのみで人をランク付けし 階層階級のみが、全ての価値の基準とする事しか出来ないサラリーマン、OLなどには、決して理解出来ない 一匹狼的資質である。 決して群れる事が出来ない 自力で何をやってのけたかに、重点を置いていた。 鎧兜(学歴、会社名、会社内での階級、地位など)など、無意味、無価値でしかない。
自動走路に乗る 着いた先は、大きなテラス・・・いやVIP用観戦室と言った部屋か? 正面には、例の透明チューブと同じ素材であろうか? かなり長く延びた窓の変わりに張られている。 右側は数段がり そこには、数列に並んだ各種ディスプレイ画面付きコントロール装置らしき物が並び 正面に座った 多くの科学者や技術者らしき人達がキーボードのキーを叩き操作している。 その後ろには、金属製の棒みたいな武器を持った兵士が、監視していた。
そして左側は、数段高くなった場所に、VIP用高級サロンと言った場所であった。 幾つかの丸いテーブルを囲む用 高級1人掛けのソファが、幾つも並んでいる。
中心にあった丸いテーブル席の高級ソファの1つに龍(ロン)は、腰を下ろした。 「キャラン(浩司) こちらに座りたまえ」 手招きをする。
キャラン(浩司)は、黙って従い 龍(ロン)の左側の1人掛けのソファに座った。
窓の外は、ドーム球場がいくつも入る程の巨大なドーム構造になっていた。 壁は、発光パネルであろうか? 隙間無く張り巡らされ やわらかな光がドーム内を照らしていた。
「龍(ロン)様 全ての用意が整いました。」 オペレーターの声が響く。
「まずリンを入れろ。 通常テストを行う。」 龍(ロン)の声が飛んだ。
2人の正面の窓の1部がマルチディスプレイ画面に切り替わった。 同時に、ドーム内の闘技場の床の1部がスライドすると そこからリンが現れた。 長い黒髪を後ろで結び 全裸である 各角度から撮影された映像が、マルチディスプレイの画面に映し出される。
「リン はじめい!!」 龍(ロン)の命令に、リンの額の赤いネクスタルが光った。 同時に身体が変化を始める 変身だ 額の両側から蝶の渦巻き状の触手が生え 胸は、マイクロビキニのような赤いガードが、申し訳ない程度に覆う 下の局部も同様 Tバック状に赤いガードが、同じく申し訳ない程度覆った。 背からは、蝶と同じ型の翅が2枚 色は、赤を中心としたカラフルな色合いである。 腕には、手首から肘にかけて、短いが、やわらかい白い羽毛ような物で覆われた。 足は、黒のロングブーツのようなガードが、つま先から太ももの半分ぐらいまでを覆った。 ヒールの高さは、ほとんど無い。 防具らしき物は、何一つ身に着けていない もし防具、鎧兜などを身に着けず、肉体のみで戦う 古代ローマ帝国の女剣闘士(グラディエーター)がいたならば、このようなファッションになったであろうか?
変身したリンの姿もまた格別美しかった。 赤を中心としたカラフルな色合いの2枚の翅が、リンの美しさをより一層引き立てている。
"ふーんー・・・?" キャラン(浩司)は、ため息をついた 予想は、ものの見事に外れたのだ。 不気味なバケモノにでもなると予想していた。 呆れるしかない。
「どうだ 変身したリンもまた格別に美しいだろう・・・ ハイパービューカーと呼ばれる ハイパーグロテノスの1タイプじゃ。」 龍(ロン)は、また自慢した。
"龍(ロン)に取って、最高傑作の1つであるだろう・・・" キャラン(浩司)は思った。
「まずはじめにデモンストレーションだ。」 龍(ロン)の声が飛んだ。
リンは、2枚の翅を羽ばたかせると、ゆっくり優雅に空中へ舞い上がった。
"空も飛べるのか・・・" キャラン(浩司)は思った。 制空権を取られると不利になる事を 死火山での戦いで思い知らされていた。
ある程度まで舞い上がると 今度は、高速で移動を始める 空中のあらゆる場所へすばやく移動を繰り返す。 ホバーリング(空中停止)も可能だ。 
その動きを見て満足な表情を浮かべた龍(ロン)は、「標的(ターゲット)を出せ!」と命令を下した。
闘技場の2箇所の床が割れ 2つの金属の塊が競り上がった。 1つは球体、1つは四角形で、かなりの強度がありそうであった。
リンは、ホバーリング(空中停止)し 四角形の金属の塊に狙いを定めた。 額の2本の触手から、強力で、細長いビームを発射 2本のビームは、四角形の金属に命中すると 三等分に切断してしまった。
「バタフライビームだよ リンが名づけた。」 龍(ロン)は、ニヤと笑った。
次に、球体の金属に狙いを定めると 何故だか急上昇を始めた。 ある高度ま上昇すると急反転し急降下を開始した。 急降下しながら豊な2つの胸の膨らみから 強力なパルス状ビームを発射 命中した球体の金属の塊は、何もなかったように消滅し 地面には、大きなクレーターまで出来た。 かなりの破壊力である。
"あんなのまともに喰らったら・・・" キャラン(浩司)は、ふっと思った。
「セクシービーム リンが名づけた。」 龍(ロン)は、笑い出した。
"頭からつま先まで、色気以外無し・・・" キャラン(浩司)も この点に関しては同感であった。
「あれでも かなりエネルギー量を、手加減をしておるからなあー 本気を出せば、あの程度ではないぞ」 龍(ロン)は、自慢した。
リンは、優雅に着地する。 色鮮やかな2枚の翅を1度優雅に羽ばたかせると背に、瞬時に格納した。
「例の失敗体を出せ!」 龍(ロン)はまた命令を発した。
今度は、大きく床の1部がスライドする。 下からは、台の上にグロテノスが眠らせている状態で、全身、両腕、両足などを金属のベルトで縛られ 腕にチューブやファイバーケーブルが幾つも取り付けられていた。 数は計8体
「シールド全開。」 龍(ロン)の命令だ。
「シールド フルパワー 全システム 異常無し」 オペレターの声が響く。
「やつらを 目覚めさせよ。」 そう言いながら 龍(ロン)は、キャラン(浩司)の顔を見た。
「リンの本当の強さを ご覧いただくかー・・・」 ニヤっと笑みを浮かべる。
チューブから何かの液体が、グロテノスに注入される。 同時に身体を縛り付けていた金属のベルトが外された。
目覚めた8体のグロテノスは、凶暴そのものであった。 キバを剥き出し、よだれを垂らす者もいる。
リンを見つけると 一斉に襲い掛かった。
「あの出来損ないの失敗体 知能、理性など全く無く ただの野生の殺戮本能しか持っておらん 他だしその能力は、その辺のグロテノスよりも上だがな・・・」 龍(ロン)は、説明した。
"全て 強化改造が成功する理由けでも無いのかー この辺も数の不足に起因しているのか・・・?" キャラン(浩司)は思った。
最初に並んで襲い掛かった2体のグロテノスに対して、リンは、見事な両足飛び蹴りを1体づつ同時に食らわした。 その反動を利用し 両手を地面につけバク転する。 2体のグロテノスは、大きく蹴り飛ばされた。
その動きは、カンフー、空手などの武道、拳法の技そのものである。 達人と呼ばれる人達よりも より早く、より正確、より強く、より技の切れも鋭い。
それを見た6体のグロテノスの動きが、一瞬止まった その隙をリンは逃さない 空中へジャンプ 大きく1回転し正面のグロテノスの左頬に、右膝蹴りを食らわした。 グロテノスの顔は大きく歪み キバが折れ飛び散る。 それを見た1体のバルドスが、口からヘルファイヤーと呼ばれる火炎放射をリンに向けて発射した。 リンは、着地と同時に片膝を地面につけ 両腕で顔を覆う 瞬時に背から翅が生え 羽はリンの正面を覆い隠した。 リンの羽は、バリヤーの役割を持っているみたいである。 ヘルファイヤーは効かない。 ヘルファイヤーの攻撃が止むと 翅をすかさず背に格納 両腕をヘルファイヤーを放った バルドスに向け突き出した。 手首から肘にかけて生えている白い羽毛が、針のようにいきり立つ 同時に1部を発射 白い羽毛のような無数の細かな針は、ヘルファイヤーを浴びせたバルドスをズタズタに切り裂いてしまった。
「ジェノサイドニードル・・・」 龍(ロン)は、キャラン(浩司)に技の名前を教えた。
ニヤっと口元に笑みを浮かべるリン 次のターゲットに狙いを付ける。
一方的ワンサイドゲームであった。 幾つかの武道、拳法の技が炸裂 最後に残った2体のグロテノスは、リンのセクシービームをまともに喰らい瞬時に跡形も無く消滅した。
余った余剰エネルギーは、シールドに命中しシールドが、破られそうになる驚異的な破壊力であった。
短時間で8体もの強力なグロテノスを血祭りに上げてしまった。
その成果に大満足の表情を浮かべ龍(ロン)は、キャラン(浩司)を見た。 「どうかね、・・・ リンの強さ、そして完璧な美しさ 欲しいとは思わぬかね?」
キャラン(浩司)は、両手を少し上げ 小首を傾ける 呆れたポーズである。
「見事であった リン こちらへ戻れ。」龍(ロン)は、命令を下した。
しばらくすると先程の高級士官用制服に着替えたリンが現れた。
龍(ロン)は、リンを呼び寄せ 自分の近く寄せた。 そして、キャラン(浩司)を見た。 「リンは、わしの作った最高傑作じゃ 非の打ち所の無い完璧な美しさ まだまだこれから更に強くなるよう進化するよう出来ておる すばらしいと思わぬかね」
"思ったとおり 龍(ロン)の切り札の1つか・・・ 敵として戦う羽目になる やっかいな相手だよ・・・" リンを見ながらキャラン(浩司)は思った。
「一段と強さを増したご褒美じゃ・・・ 何か良いものはないかのうー」 リンの強さにご満悦の龍(ロン) キャラン(浩司)の顔を見ると、何か思い浮かんだのであろう 表情が緩んだ。
「どうじゃ リン 褒美として、今から72時間の休暇をやろう その間に、このキャラン(浩司)を わしの前に膝まづかせて見ないか? やり方は、お前の自由だ。 2人きりにさせてやる。」
「はっ ご命令とあれば、全力を尽くします」 リンは、一礼をした。
キャラン(浩司)を見て 龍(ロン)は、「72時間以内に、リンと2人でよく考える事だなあー もし先程みたいに、ノーと言ったら 人質の女 このリンに処刑させる」
龍(ロン)は、ソファから立ち上がると 「リン キャラン(浩司)を連れて行け。」
「はつ」 リンは合図を送ると 2人の大男が、キャラン(浩司)の傍ら立ち ソファから立つよう促した。
渋々キャラン(浩司)は立ち上がると お得意の呆れたポーズを取った。 2人の大男は、キャラン(浩司)の両腕を押さえた。 
ものすごい力である。 今は戦闘モードに入れない 入れば この程度の力 すぐに振り払えるが、みなっちを人質取られ 下手に暴れれば殺される。 素直に従うしかない。
「私の部屋へ連れて行く」リンは、命令を下し 先頭に立ち歩き出した。


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