LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 融合 Part4

 画面が急にブラックアウトになった。 慌てるオペレーター達 「6体のグロテノス 生体反応無し 完全消滅・・・・」 オペレーター達の絶叫が飛ぶ。 全ての様子をモニター画面で見ていた龍(ロン)は、思わず目の前のコの字型のデスクを両手で叩いた。 「何てやつだ・・・プロトタイプ(試作体)とは言えハイパータイプに近い戦闘力、防御力を持つ6体のグロテノスを瞬時に消滅させるとは・・・」 奥歯をかみ締めた。
「あやつ キャランと呼べと言っていたなあー・・・ グロテノス以上の力を持つと言うのか?」 思わず口走ってしまった。 無理も無い事である。 ある程度の戦闘力を持つと思っていたが、グロテノスと同等と認識していたに過ぎず、捕まえて、何故変身しなくても あれだけの戦闘力があるのか秘密を調べようと考えていた。 6体のハイパータイプを作り出す為のプロトタイプ(試作体)であれば、簡単に捕まえられると思っていた。
椅子に持たれかかると大きくため息をついた。 物事を冷静に考え始める。 そしてある事を決断した。 「あれどもが完成したら キャランを捕まえるのに使おう・・・ その前にやつの戦闘データを詳しく分析し 対抗出来るよう改良を加えねば・・・ それとやつは使える・・・わしの計画に・・・ キャラン・サンダンスか・・・」 目の前にあるコの字型のデスクから 三次元モニター画面が浮かび上がってきた。 画面の中には、5体のポットが映し出された ポットの中には、それぞれ一つずつ人のシルエットが浮かんでいた。

死火山の方向から突然 巨大な怪光を目撃した神父達は、数台の車とジープで死火山へと向かった。 死火山の麓に到着した神父達は、余りのすごさに言葉を失った。
死火山は、跡形も無く消滅し 死火山のあった場所は、何か得体の知れない巨大な力によって、すり鉢状に大きく削り取られ何も残っていない。 何か手掛かりを探そうと付近の捜索を始めるとすぐ 倒れている浩司を発見 命に別状はなかったが、完全に意識を失っていた。 大至急保護し 別のアジトへ向かった。 車中 神父は何度も浩司に声を掛けるが、ショック状態が大きく 意識が戻らない浩司であった。 
別のアジトでは、みなっちは、浩司の帰りを待ち続けていた。 死火山で、何か? 謎の巨大な怪光が発生 その後 死火山は、跡形も無く消滅したとのの報告を聞いて、浩司が死んだのか? と思い泣き出す寸前であった。 
死火山から戻ってきた神父達 車が到着するとタンカを持った救護班が駆けつける。 タンカの上には、浩司の姿があった。
「大丈夫 死んではいませんよ 命には別状はない 他だ・・・何か強烈なショック状態で意識が戻りません」 浩司の乗るタンカに駆け寄ったみなっちに、神父はやさしく声を掛けた。
すぐ用意された部屋のベツドに浩司を寝かせた。 傍らによりそうみなっち。
「死火山は、報告通り 跡形も無く消滅 その麓で、浩司さんがあの状態で倒れているのを発見し 保護して連れて来ました。 何が起こったのか? まだ何も解りません。 今 浩司さんを助けられるのは、美那美さん あなたしかいません。 私が呼びかけても・・・ とにかくあなたの力が必要だ 私は部屋に戻り今後の対策を考えなければならない。 もし何か必要な物があれば、部屋の外に2人護衛を付けておくから頼んで下さい」 神父は、一気にしゃべり終えるとみなっちの顔を見た。
みなっちが、小さく1度うなづくのを見ると 神父は部屋を後にした。
みなっちは、ベッドで眠る浩司の側に立った。 こんな状態の浩司を見るのは初めてである。
何か強烈なショック状態で意識を失っているのが、すぐ解る。
「こーちゃん、こーちゃん 起きて みなっちだよ こーちゃん・・・」 浩司の耳元でやさしく声をかけるが、何も反応がなかった。
「こーちゃん 大好きだよ・・・ 愛している・・・」
みなっちは、浩司の口にやさしくキスをした。 目から涙が一滴(ひとしづく)こぼれた。
浩司は、夢とも現実ともつかない世界で戦っていた。 脳裏には、何度もあのシーンが、フラッシュバックを繰り返し浮かんでいた。
球体のバリヤーを張り 4体のグロテノスのエネルギービームに耐えていた。 エネルギー量が急激に上がりバリヤーが押し戻されそうになった為 押し返そうとバリヤーのパワーを上げた。 その瞬間 何とも言えないとてつもなく巨大なエネルギーがレジェンスから自分自身を通して放出されるのを感じた。 バリヤーの表面に新たなエネルギーが発生 一瞬にして数kmまで急膨張した。 しかし浩司の目には、超スローに見えた バリヤーの表面に発生した新たなエネルギーが、徐々に同心円状に広が始め バリヤーの外側に新たに膨張するエネルギーの球体となった。 球体内は、とてつもない巨大なエネルギーが渦巻き 球体内に取り込んだ全ての物質を瞬時に消滅させていった。 "これって 超ミニ宇宙を急膨張させた インフレーションのエネルギー・・・古い真空エネルギー・・・?" 何故だかそう感じた "このままでは・・・" 直ぐに止めようとしたが、止められない コントロール出来ない・・・。 怒り狂ったようにレジェンスから自分自身を通じてエネルギーの放出量が増大して行く。 そして次々と6体のグロテノスを取り込むと消滅させた。 あれ程 2度と殺しはしないと誓いが、脆くも崩れ去っていった。
その時 ある事を思い出した。 レグの基地内で警告された エネルギーの暴走である。 エネルギーが暴走すると止められない 最悪の場合 宇宙そのものを瞬時に消滅させると言う警告であった。
それを思い出し 必死に止めようとするが、ますますエネルギー量は増大 暴走する 遂に死火山全てを消滅させた。
"このままでは、地球が・・・ 宇宙が・・・" と思った瞬間 忽然とエネルギーの放出は消え 同時に膨張した球体も消滅した。
"これが、エネルギーの暴走・・・?" 計り知れない恐怖に襲われた。 自分自身で、地球・・・いや宇宙そのものを消滅させてしまうと言う恐怖だ。
そんなエネルギーを持ってしまった自分自身が、怪物以上・・・いや究極の恐怖の存在に思えてきた。 浩司は決して気の強い男ではない、ごく普通の神経、精神の持ち主に過ぎない。
そして、何も出来なかった自分に、急激な無力感が襲ってきた。
自分自身の中で、もう1人の自分が語り掛けて来る。
"止めようと思えば止められた 何故 直ぐに止めなかった。"
"いや 止められなかったんだ・・・ コントロール出来ない。"
"いや 止められた 止める気持ちがなかったからさ このまま全てが消滅してしまえばいいと思っていたからさ そしてそれを楽しんでいたかったからさ・・・"
"いや 違う 違うんだ・・・"
自分自身に対して 何度も自問を続けていた。
何度も 何度も 繰り返し脳裏に浮かび消えていく そんな時だった だれが呼ぶ声が、遠くから聞こえてくる。 聞き覚えのある どこか温かみや やさしさに包まれた声である。 そう・・・みなっち みなっちの声だ。 小さく華奢な身体で必死に脆く崩れそうな浩司の心を支えようとしている。
"・・・みなっち・・・"
ふっと我に帰った。 "どうもベッドに寝かされているらしい・・・" 周囲を見渡すと 見覚えの無い場所? 部屋? であった。
窓から外を眺めると 深夜だろう 真っ暗である 周囲は静かに眠っている。
浩司は上体を起した。 何気なく窓の反対側を見ると、ベッドの前で膝まずき両腕をベッドの上に枕がわりに乗せ 小さな寝息をたて眠るみなっちの姿があった。 浩司の看病に疲れそのまま眠ってしまったのだろう。
浩司は、自分に掛けてあったシーツをみなっちの上に掛けると みなっちは目を覚ました。 半分眠気眼で浩司の顔を見つめる。
「ようやく気づいたのね・・・」 浩司にやさしく声を掛けた。
「おなか空いた・・・?」 みなっちは問いかけた。
「いや・・・大丈夫」 浩司は答えた。
「ちょっと待っててね 今 何か飲み物貰ってくるから・・・」 そう言いながらみなっちは立ち上がり部屋から出て行った。
しばらくすると、冷たいジュースを持って、みなっちは戻ってきた。 途中 神父に浩司が意識を回復した報告したが、神父は、今2人だけの方がいいだろうと言って、部屋には来なかった。
浩司は、今回の戦いの全てをみなっちに話した。 みなっちは、他だ聞いているだけであった。 とても理解も想像も出来る内容ではなかった。 他だ 浩司が、想像を絶する戦いをした 精神面に置いても・・・ それだけは理解出来た。
最後に浩司は言った。 「俺 バケモノに見えるか・・・?」
「うーん こーちゃんは、こーちゃん バケモノなんかじゃない・・・」 小さく首を横に振った。
「今 この場で俺を殺してくれ 頼む このままでは宇宙そのものを消滅させてしまう・・・」 浩司は頭を抱え込んだ。
「だめー!! そんな事言っては・・・ こーちゃんがいなければ、みんな・・・みんな・・・グロテノス見たいな怪物にされるか、殺されてしまうんだよ・・・ だめ・・・そんな事 言わないで・・・」 みなっちは、やさしく浩司の頭を胸に抱いた。 涙がこぼれる。
こんな事を言う浩司を初めて見た。 いつも相手を見下し皮肉ばかり言う浩司の心の弱さ 脆く、崩れそうな心の弱さである。
次の朝 みなっちは、神父に頼み 強引に浩司を2人が住む街へと連れ帰った。 神父は、しばらくここで静養した方がいいと言ってくれたが、頑固な面もあるみなっちは、聞き入れなかった。
ここは、別のアジトとは言え 宗教的なものが多過ぎる。 大の宗教嫌いで、無神論者の浩司をこんな所に置いていたら 治るものも悪化するのが目に見えている。
自分の住むマンションの一室に連れ帰り 浩司が落ち着くのを待った。

あれから何日かの日々が流れた。
浩司の事が心配で、仕事の帰り 毎日 自営業で自店で働く浩司の店に寄るのが、みなっちの日課となっていた。
他だ 余り話さず 黙々と働く浩司の姿を見て、ある作戦を思いついた。

その頃 別の場所 そう孤島にある秘密基地では、龍(ロン)が満足な表情を浮かべていた。
キャランと名乗る男のエネルギーの正体が突き止められずにいたが、あの戦いで色々なデータが解析されていた。
その一 戦闘に関しては、ずぶのど素人である事。
その二 エネルギーを利用した技のコントロールが滅茶苦茶で、コントロール出来ない点。
その三 エネルギーの有効射程距離は、半径数kmと判断された。 
事である。 
死火山を消滅させた距離が、有効射程距離だと判断が下された。 
戦闘時 必要以上の膨大なエネルギーを放出し 必要以上にあらゆる物を消滅させてしまう点であった。 全く呆れ返るほどのど素人ぶりである。 そのエネルギーも龍(ロン)は、自分自身が張るバリヤーで防げるレベルと判断された。
ネクストノイドのように強化改造もされていない 他だの旧人類(ホモサピエンス サピエンス)でありながら これ程の膨大なエネルギーをどこから供給しているのか? 体内からのエネルギー量などたかが知れている。 他からのエネルギー供給源が見当たらない。 もし体内から発生させていれば、エネルギー量の膨大さで身体は持たない。 必ず他から得ているはずである。 ネクストノイドの場合 頭の額に埋め込まれているネクスタルから得ている。 ネクスタルは、パラレルワールド(並行発生宇宙もしくは、多世界解釈)の中の 他の超高密度エネルギー別次元と常時繋がっており 必要に応じて一定量供給される。
キャランと名乗る男のエネルギーの正体と供給源については、今後の課題と残った。 
もう1つは、今 目の前で片膝をついている5体のハイパーグロテノスが完成し 各種テストもクリアし実戦投入が可能となった点であった。 特にこの点については、龍(ロン)は、大いに満足していた。
一列に並んでいるハイパーグロテノス 今は、人間の姿だ フードの付いたマントを頭から被っている。
「リンよ・・・」 龍(ロン)の呼びかけに、真ん中の人物はうなづき一歩前出るとまた片膝をついた。
「はっ」 一段と頭を下げる。
「頭を上げよ」 「はっ」 一歩前へ出た人物はフードを下げ 頭を上げた。 そこから浮かび上がる顔は、この世の者とは思えなかった。
長い黒髪を垂らし その顔は、モンゴロイドの女性であった。 それにしても余りにも美しい女性であった。 まるで地上に舞い降りた美の女神を彷彿させる美しさである。
「リン お前には大いに期待しておるぞ、後ろの者を連れ あのキャランとか言う人物 どんな手段を使っても構わぬ 必ずわしの元へ連れてまいれ。」
「はっ」 リンの口元が、薄く笑った。
その頃 最強と名高い有名な武道家、拳法家の謎の失踪事件が幾つか起きたが、気にする人はほとんどいなかった。

いよいよ作戦当日の日がきた。 みなっちは、いっになく朝早起きし 全ての準備に取り掛かった。 口からは陽気なリズムがハミングし楽しそうな笑顔である。
名付けて "こーちゃん 元気を取り戻せ" 作戦である。 数日前から その準備に追われていた。 季節は真夏へと向かっていた。 ビーチ、プールを中心に連日どこも大賑わいを見せている。
今年の夏は特に暑く 余り雨の降らない年であった。
数日前 休日を利用し 久し振りに仲の良い女友達と2人 大都市の有名デパートへショッピングに出かけた。 この日の為である。 途中何度も警察による検問に出くわした。 
例の死火山の突然の消滅 正体不明のテログループによる 新型爆弾の可能性があると政府が発表した為である。 もし大都市などの人口密集地で行われた場合 取り返しの付かない大惨事が想定された為であった。 現在 死火山一帯は、完全に閉鎖され 厳重に警備されている。 この事件の核心を みなっちは、浩司から聞かされ犯人も知っている。 しかしだれに話しても狂人扱いされ 精神科の病棟へ送り込まれるだけである。
それにしても日本人は平和ポケであった。 戒厳令こそ布かれていないのを幸いに、有名リゾート、テーマパーク、有名観光スポットは、連日 大勢の人々が押しかけどこも大盛況であった。
有名デパートに到着した。 各超1流もしくは、有名ブティック、ブランドショップが、店子として入店しており 連日若い女性を中心に、大賑わいである。
ショッピングの内容を見た女友達は、何度もみなっちの額を触れた。 高熱に犯されているのではないかと本気で心配した。
普段のみなっちのショッピング内容を知る女友達は、驚きの色を隠せず、最後のショッピング内容を見た瞬間 あるオマケつきの大騒ぎになりそうになった始末であった。
前日 浩司に携帯電話で明日休日かを再確認 海に行く約束を取り付けた。 浩司は自分の愛車で行く事を提案したが、みなっちは電車で行く事を強引に決めてしまった。
当日 朝 浩司は待ち合わせの駅へ時間通り到着 待ち合わせの場所で待っていると すぐ息を切らせながら走って来るみなっちを見つけた。 さすがに電車に乗り遅れる理由には行かず 時間を厳守した。
大きく息を切らせながら 「おっはようー こーちゃん」 元気のいい みなっちの挨拶だ。
「おはようー みなっち」 浩司は、あの事件以来元気がない。
しかしみなっちは、いつもと違っていた。 「おい 君 私を見て少しは、感動と言うものがないのかね・・・?」 みなっちのファッションがいつもとまるで違っていた。 普段は、ジーンズを穿き シックでハイセンスなファッションを好むみなっちが、大変身をしていた。
白の露出の多いキャミソールに、数段フリルのついたピンクの超ミニスカート、生足にサンダルである。 
数日前のデパートで買ったショッピングの1部てある。 女友達に高熱に犯されたと思われても仕方が無い。 普段のみなっちのファッションを知る人物には、信じられない大胆なファッション、イメージチェンジである。 後はブランド品のショルダーバックを肩から掛け 片手にはリックサック サングラスは、黒 これだけは、夏の愛用品。
しかし 小柄で華奢なみなっちであったが、このファッション 最高に良く似合っていた。 胸も程好く膨らみ スタイルの良いみなっちには、ピッタリである。 まるで、有名な若い女性向けファッション雑誌のキュートなモデルそのもの。
みなっち自身 "我ながら行ける" と実は感心していた。
しかし 浩司は、相変わらず 「良くお似合いだよ・・・」 と余り関心の無い返事であった。
「この超ミニを見て 何か感じない?・・・」 無表情の浩司を見て、更に追い討ちをかけた。 「こんな超ミニのスタイル 高校生の時以来だぞ・・・あの時は、もう少し長かったけど・・・」 「もう少し 関心を持ちたまえ 君」 浩司の鼻を摘んだ。
浩司の方はと言うと、相変わらずラフなファッションである。 白の半そでのシャツに、ブルーの細身のジーンズ 足首まである長めのバッシュ ホットブラウンのポルシェのサングラスだけは、いつもの愛用品。 片手には小さめのボストンバック。 まるで平凡。
美女と野獣ならぬ かわいい、愛らしい、キュートな彼女とその他 比較にもならない。
みなっちは、いつもと違う点に気づいた。 普段この時期 浩司はシャツのボタンを2つ以上開けているので注意していたが、今日は、1つである。
"やっぱり かなり気にしているんだなあー" と思った。
死火山での出来事の翌日 みなっちの自宅のマンションへ浩司を連れて帰った。 浩司は、無心に首にかけている あのレジェンスと言う不思議な球体の付いたペンダントを外そうとしていた。 ペンチなどを使っても チェーンは全く切れない。 最後に浩司は、台所から包丁を取り出し 自分の首を切り落とそうとしたのだ。
慌てて止めたが、首筋には、切れた後が数本ありかなりの出血をしていた。 不思議な事に出血はすぐ止まり 傷跡も何も無かったのようにすぐ消えた。
レジェンスと言う不思議な球体を憎んでいた。 やはり他人には見られたくないのだろう・・・ いや自分自身が見るのさえ嫌なのだろう・・・隠す為にボタンを1つしか外していない。
自殺まで考えるまで、浩司は、精神面で追い詰められていた。 それ程 あのレジェンスと言う不思議な球体から出る エネルギーに浩司の人生は、滅茶苦茶されてしまったのだ。 
望んでいない 驚異と言うエネルギーと融合し 戦いたくない相手と戦わなければならず、浩司の精神はズタズタに切り裂かれていた。 それを見て 今回の作戦をたてたのであった。
だから 浩司を元通り元気にさせようと、思い切り大胆なファッションにチャレンジした。 この大変身したみなっち様を見せて、元気を復活させようと試みた。 実は、内心一度チャレンジして見たかったのも事実だが・・・
だが、最初の作戦は、余り効果の無い様子であった。
"次を見ていろ・・・!!" 内心 変にファイトを燃やしていた。
電車の中でも、朝 腕によりを込めて作ったサンドウィッチに、みなっちの大好きなアイスティーを水筒のカップに入れ 浩司に手渡したが、浩司は食欲が無く 余り食べなかった。 あの日以来 浩司の食事量は、大幅に減少していた。 何も喉に通らない様子である。 その割には、全く痩せていなかった。 実は浩司自身も、何となく気づき始めていたのだが、何も飲食しなくても生きて行ける様になっていた。
生きる為に必要なエネルギーは、全てレジェンスから供給されていた。 それにより全ての細胞、臓器など何も飲食しなくても必要量のエネルギーなどが補給され 正常に活動する。 みなっちには、そんな事知る筈もなかった。
他だし メンタル(精神)面は、別であったが・・・ この点において、後に、浩司=キャランの数少ないが、大きな致命的とでも言える弱点となる。
有名なビーチの前にある駅で、2人は下車した。 一緒に下車した多くのカップル、家族連れ共にビーチへ向かう。 空は雲一つない快晴 真っ青なスカイブルーの空がどこまでも広がっている。 平日の午前中の早い時間だと言うのに、ビーチは、多くの人々で賑わっていた。
海の家で、2人は着替えを済ませた。 先に着替えた浩司が、海の家の中で待っていると みなっちが着替えを済ませ出てきた。 今度は白を中心としたフード付きのヨットパーカーを着ている。 他だしかなり大き目で、お尻まですっぽりと覆っている。 前には、ジッパーが着いており ジッパーを下げると脱げるようになっていた。
「お待たせ・・・」 元気のいいみなっちである。
ボニーテール風に後ろで髪を結び 浩司の前へ来ると、何か企んでいる様な笑みを浮かべた。 じらす様に そーっとジッパーを下げて外すと ヨットパーカーを思い切り広げて見せた。
何とビキニ!! それも紐タイプのトライアングルビキニ もちろんショーツも両横紐タイプである。 色は、オフホワイトを中心にファッションピンクの色鮮やかなフリルで飾られている。 かなり大胆 浩司が、度肝を抜く事を期待したのであった。
「どう? かわいいでしょう よく似合っていると思わない?」 愛くるしい笑顔を浮かべ みなっちは聞いた。
確かによく似合っていた。 小柄で華奢なみなっちであったが、ルックスは、愛らしく、かわいく スタイルも良く 胸も丁度いい大きさのみなっちには、似合い過ぎる程 よく似合っていた。 そしてこのフリル付きタイプのビキニを選んだのが、大正解である。 みなっちは、ホワイト、ピンク系 フリルのついたデザインがよく似合う。 全てがマッチしていた より一層みなっちの魅力を引き立ている。 実は、このビキニ姿 最高に自信があった。 試着室で何度も確認した。 最後に、試着室に女友達を呼んで、見てもらったのだが、みなっちのビキニ姿を見た瞬間 何か? とてつもなく恐ろしい物を見たように、顔から血が引き 全身が震え出す "つ・・・つ・・・遂に、みなっちが発狂した。 全てあの彼氏が悪い・・・etc" などと叫び、慌ててバックの中から携帯電話を取り出すと 精神科へ電話しそうになり 店内が大騒ぎなりそうなオマケがついていた・・・ "憶えていろ・・・" みなっちは、女友達に、この次 こちらが復讐してやると 心に硬く誓った。
「こーちゃん 前 一度 私のビキニ姿見て見たいと言ったでしょう・・・ だから がんばって初チャレンジしたのたがら・・・ 何とか言って感動しなさい・・・君・・・!!」 ヨットパーカーを脱ぐと、浩司の前で優雅に舞って見せた。 色々なポーズを取り眩しく輝く笑顔を見せる。 まるで地上に舞い降りた 愛らしく、かわいいキュートな天使である。
女友達が精神科に電話しそうになったのも理解出来る。 普段のみなっちを知る人には、天地が引っ繰り返るような・・・ いや人類滅亡の日が来たような・・・ 信じられない大胆さである。 でもその心配をよそに、本人はと言えば、このビキニ姿がとても気に入り 最高にうれしいのであろう・・・ 何度も浩司の前で笑顔いっぱい はしゃいで見せる。
「あ・・・あ・・・すごくかわいい よく似合っているよ」 内容とは裏腹にまるで感情がこもっていない。 
みなっちは、むっとした顔を見せる きつい目つきで浩司を睨む。 「君の辞書には、感動と言う言葉がないのかね・・・」 浩司の鼻を思い切り摘んだ。
この自信ある かわいい大変身したみなっち様を見せる事で、浩司が喜び 元通り元気になると期待してたのだが、期待は脆くも崩れ去った。
"あいつ(浩司) 相当 性格 ひん曲がっている・・・" みなっちの本音である。
ところで、浩司の方とは言えば 相変わらずラフである。 スカイブルーを基調とした 何本かのラインの入ったトランクスタイプの海パンに、白のTシャツ 平凡・・・。
2人は、ピーチパラソルを1つと、ゴザと枕タイプのエアークッションを2つずつレンタルし ビーチの1ヵ所に陣取った。
ピーチパラソルを立て 日陰にゴザを敷き 2人共エアークッションを枕代わりに仰向けに寝転んだ。 2人共 余り会話せず、お互いサングラスを掛け 透き通るような青い空を見つめていた。 みなっちは時より 持ってきた強力な日焼け止めを熱心に身体に塗っていた。
それ以外は、白のヨットパーカーを着ていた。 浩司以外のだれにも余り見せたくない様子であった。 他だし前は、ジッパーを締めてはいなかったが・・・
浩司は、みなっちの気持ちを痛いほど感じていた。 しかし話のきっかけをうまくつかめずいた。 話し始めると またとんでもない事を言い出すのではないか? と恐れていた。
みなっちは、時より売店で、大好きなアイスクリームやジュースを買って、浩司に手渡していた。 途中 ビーチに繁殖している 何人ものナンパ師に声を掛けられたが、無視 余りにもしつこいのには、"私の彼氏にバラバラにされるぞ・・・" とすごんで見せる有様であった。 みなっちのビキニ姿は、それ程 眩しく、可愛く、魅力的であったのも事実である。 ヨットパーカーの両袖に腕を通していただけなので、ビキニ姿がよく目立っていた。 これには、微妙な女の心理が働いていたのも事実。
みなっちは、みなっちで、どうすれば浩司が元通り元気になるか? 必死に模索していた。
そんな時だった。 歓声とビンタの音と男の哀れな悲鳴が上がり 音は、2人のいるピーチパラソルに向かって近づいてくる。
浩司は、何気なくそちらの方向へ目をやると ある一団が、こちらへ向かって来る。
先頭には、そう身長は、170cmぐらいであろうか? やや長身のモンゴロイドの女性だ。 年齢は、20歳代中盤か? 白の大きな麦わら帽子風の帽子を被り 細目の真黒なサングラスを掛け 水着は超大胆ですごかった 真っ赤な超マイクロトライアングルビキニ 露出は最大 肩からは、足の膝まである白のバスローブを掛けていたが、前は結んでいない。 これを見よと言わんばかり見せびらかしている。
ルックスは、見たこともない程の完璧な絶世の美女 ため息がもれる程の・・・ この世とは思えない程の・・・ 表現不能と言える程の余りにも美しい美女であった。 スタイルも同様 全ての無駄な贅肉は、そぎ落とされ、必要な部分には必要なだけついている。 それもボディビルダーとは違う、必要な肉は、女性らしい美しい曲線を描きながら引き締まっている。
もし美女と言う競技があれば、間違いなく鍛え抜かれたトップアスリートだ。 そして超マイクロビキニで申し訳ない程度に隠された大きく豊な胸。 完璧な美貌 完璧なスタイル まさに人類史上最高の美女と言っても過言は無い。
美女の歩く姿を追って、一斉に男性達の目が釘付けなり 歓声やどよめきがおき 美女を見た男性全てが、目尻が下がり、大きな口を開け よだれを垂らし 必死に美女の姿を追う。 それを見ていた彼女や妻は、彼氏や夫に、強烈なビンタを食らわしていたのだ その音や哀れな男の悲鳴が、あちらこちらで上がる。
そして、ビーチに繁殖している男だけのナンパ師達は、美女に猛烈にアタックをかけ様とするが、全て失敗に終わった。
美女の両横後ろに、2人ずつ身長は、2mはあろうか、一見してその道のプロのボディーガードもしくは、シークレットサービスとわかる大男達に阻まれてしまう。
美女と同じく黒のサングラスを掛け、黒の帽子 この暑いビーチを黒のジャケットにズボンに、黒のネクタイで、身を固め 不思議と汗一つかいていない。 まるで、Man in back。
大男達の僅かな隙間に、幸運にも美女の前にたどり着いたナンパ師が1人いたが、無視され 片手で大きく突き飛ばされてしまった。
それを見たナンパ師の仲間は、いきり立つが、大男達のサングラス越しの鋭い眼光に怯えてしまう有様であった。
周囲に強烈なフェロモンを撒き散らしながら 浩司とみなっちのいる方向へ歩いていた。
浩司は、すぐにみなっちに声を掛けた。 「みなっち 早く逃げろ 嫌なお客 ネクストノイドそれもかなり手強いグロテノスが来るぞ!!」
きょとんとするみなっち 浩司は、瞬時に、5人がグロテノスである事を見抜いた。 今まで対戦したグロテノスとは、ケタ違いに強力な事も・・・ 他だし 何故だか? 殺気をまるで感じなかった。
みなっちは、もたついている間に、美女を先頭とした一団は、浩司とみなっちの前に現れた。
美女の額には、前髪に隠されているが、やはり赤いネクスタルがある。 後ろの4人の大男達も帽子の隙間から 少し覗いていた。
間違いなくネクストノイドである。
浩司と言えば、逃げるそぶりも無く大胆に ござの上に仰向けに寝ていた。 エアークッションを枕代わりにし、両手を頭の後頭部とエアークション間に入れ 足を組んだまま サングラス越しに空を眺めている。
まるで相手にする気など全く無いと言うそぶりである。
美女は、浩司の左横に立った。 サングラス越しに浩司を見下ろす。
浩司を一瞥すると 「お初にお会いする キャラン・サンダンス」 まるで男の様な言い草だ。
「キャランでいい」 キャラン(浩司)は、仏頂面で、そっけなく答えた。
この浩司の姿を見て みなっちは、浩司が少し頼もしく見えた。 ようやく本来の浩司に戻りつつある しかし何か? 腑に落ちない・・・。
無視されたと思い 「ふん・・・」と言いつつ美女は、帽子を取り サングラスを外し バスローブを脱ぐと 後ろに立つ大男の1人に手渡した。
その姿は、まさにこの世の者とは思えない ため息が漏れ・・・ 表現出来ない程の美しさであった。 美貌もさる事ながら 見事、完璧としか言いようの無いプロポーション 真っ赤な紐タイプの超マイクロトライアングルビキニ ショーツは、両横紐タイプのハイレグTバック ほとんど全裸に近い 申し訳ない程度に隠してあるだけだ ナイスバディになければ、こんなファッションは出来ない。 そして、背まで伸びた長く艶のあるストレートの黒髪が、美女の美しさをよりいっそう引き立てている。 近くに集まったギャラリー達からは、ため息が漏れ 目尻が下がり 大きく口を開け 更によだれが垂れる・・・。
「私の名前は、リン 憶えてもらおう」 そう言うと大胆にもキャラン(浩司)の上にまたがり 両膝をキャラン(浩司)の腰の両側に下ろした。 両手で、艶やかに色っぽくキャラン(浩司)のサングラスを外し 側の砂の上に置く キャラン(浩司)の頭の両側に両手を降ろすと 目を閉じた 「お近づきの印じゃ・・・」 妙に色っぽく 艶やかで、切ない声と表情で、キャラン(浩司)の唇を奪おうとした。 どんな男でもイチコロである。 絶世の美女に、こんな風にされて落ちない男はいない。
しかしキャラン(浩司)は、左手でリンと名乗る美女の口を押さえた。
「何しやがる 大してイイ男でもないくせに・・・」 リンは叫んだ。
浩司は、この言葉 何も思わなかった。 事実である 世間一般の浩司に対する女性の評価は、並の上 自己評価は、下でないと思う程度である。 みなっち以外の女性に、まともに相手にされた事がない。 あの性格である。 しかしその性格が、功を奏した。
ある方向へ顔を向けさせ 右手の人差し指で、その方向を指差した。 まるで相手にする気がない。
背けさせられた方向には、目尻が吊り上り ものすごい剣幕のみなっちが、2人の成り行きを見ていた。
みなっちとリンの目線が合った。 目線は、見えない可視光線となり2人の中間点で激突!! ものすごい火花を上げスパークしている。 そして、みなっちもリンも身体全体から紅蓮の炎が燃え上がり 周囲を真っ赤に染め始めていた。
みなっちもリンも その剣幕で相手を殺しかねないすごさである。
余りのすごさに、周囲で成り行きを見ていたギャラリー達は、怯え 震え上がった。
リンは、目を瞑り下を向き笑いだした。 そして、みなっちを睨みつけ言い放った。 「もう遅い小娘!! この男 私が貰った!!」 大胆にキャラン(浩司)の上にまたがっている 自分の有利さを強調したのだ。
ちなみに、小娘呼ばわりされたみなっちの方が、少し年上 みなっちは、小柄で華奢 愛らしく、かわいいルックスで童顔の為 実年齢よりもかなり若く見られていた。 どう見ても20歳程度にしか見えない。 リンは、年齢相応。 最後に一応 浩司も実年齢よりも若く見られていたが・・・蚊帳の外・・・。
だが下を見ると そこにはだれもいない もぬけの殻である。 そこにだれもいなければ、四つん這いの惨めな姿でしかない。
キャラン(浩司)を探すと・・・ いた!! あの小娘の後ろで、腕を組み立っているのでないか? 「いつの間に・・・」 悔しさが滲み出る。
ギャラリー達からは、一斉に拍手と歓声が沸き上がった。 イリュージョンの大脱出を見た気分である。
キャラン(浩司)は、人生最大の危機???を 超せこい方法で、脱出したのだ。 みなっちとリンが睨み合っている隙に、そーっと音も立てず足の方から脱出を試みた その際レジェンスの最小の超せこい戦闘モードに入り 高速のスピードで、抜け出し みなっちの後ろに立ったのだが・・・。
あれ程 忌み嫌っていたレジェンスの能力を使ってしまったのだ。 しかしこの場合 早く逃げなければ、みなっちに、ねちねち言われ あらゆる暴言を浴びせられ 挙句の果てに八つ裂きにされただろう・・・ その方が、浩司に取って幸福だったかも知れない。 あのレジェンスからの解放を意味した・・・?。
「よ・く・も・・・ この私に、恥をかかせたなあー!!」 リンの剣幕は、一段と凄みを増してくる 今にも飛び掛りそうな勢いである。
「そんな事の為に、ここに来たのではないだろう? 何か? 話でもあるんじゃないの? アポリスの姉さん・・・」 キャラン(浩司)は相変わらず 仏頂面で言った。 しかし要点は付いている。
リンは、手足に付いた砂を落としながら立ち上がった。 "ふん・・・"と言う表情で首を横に振った。 後ろに控えていた4人の大男は、一斉に展開し 周囲に集まったギャラリー達を押し戻し始めた。
ギャラリー達からは、不満の声が上がるも 大男達のサングラス越しの鋭い眼光に睨まれると、怯え、渋々承知したかの如く散会していった。
「これで、良かろう。」 リンは、まだキャラン(浩司)とみなっちを睨みつけている。
「話か?」 キャラン(浩司)は、外されたサングラスを拾い かけ直した。
「あるお方が、お会いになるそうだ、一緒に来てもらおう」 睨みながら言い放つリン。 相手に有無を言わせない言い方だ。
「ノーと言ったら・・・」 相変わらず仏頂面のキャラン(浩司)の返事である。
リンは、連れて来た4人の大男達を見渡し 「今 ここで、ここでこいつらが変身して暴れだしたらどうなるかな?」 凄んで見せた。
「そりゃー 大変だ 地獄図だなあー」 まるで他人事のような言い方で、皮肉を言った。 キャラン(浩司)は、両手を少しだけ上げ 呆れたポーズを取る。
皮肉家 キャラン(浩司)らしい答えである。 普通この場合ならば、"汚いマネしやがる・・・" などのセリフを吐く しかしこんな時でも皮肉を言うのが、キャラン(浩司)らしい。
"今までの落ち込みは、どこへ行方不明になったのやら・・・ 自殺まで考え込んでいたのに、いつの間にやら立ち直っている・・・" (みなっち談)
今 落ち込んでいられる状況ではないのだ。 このビーチには、何千・・・いや何万かも知れない 大勢の人々がいる。 今まではとは比較にならない強力なグロテノスが暴れだしたら 瞬時に死人の山が築かれ 白いビーチは、、真っ赤に染まるだろう 大勢の人々が人質に取られているようなものである。 瞬時に皮肉家としての頭脳が、活発に活動を開始した。 こうなるとキャラン(浩司)は、あらゆる物が見え 瞬時に状況を把握、判断出来る。
「選択の余地無しか・・・ 困ったもんだ・・・」 キャラン(浩司)は、また他人事のような言い方で、右手で後ろ髪をかいた。 リンの顔を見ると 勝ち誇っているのが良くわかる。 しかし何も出来ない。
「少しは、物分りがよさそうだな」 リンは、完全に勝ち誇っている。
キャラン(浩司)は、また少し呆れたポーズを取る 少し考えた後 「条件がある」 キャラン(浩司)は、みなっちの前へ立った。
「言ってみろ」 リンは、余裕を浮かべている。
「ここにいる人達に手を出すな。 それと後ろにいる彼女 無関係だ 自由にして欲しい。 それと最後に 先方に会うには、この格好じゃ失礼だ 今着替えさせて欲しい」 この場合 この方法以外の選択の余地が無かった。
「小娘は、連れて行く それ以外は、私の名誉に懸けて守ろう。 他だし下手なマネをしたら ここは、血のビーチだ いいな!」
浩司は、みなっちの顔を見た。


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