LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 高校1年生編
 Par6

 ここで妖魔ハンターについて、記述しょう。
 別名 妖魔ハンター 正式には、防衛省 対妖魔特殊部隊 国家、防衛省 最高機密。
 妖魔とは、パラレルワールド(多世界解釈、平行宇宙、世界)の別の平行して存在する 微妙に異なる無数の世界 その1つに、妖魔の世界がある。 そこに誕生した生命体。
 妖力と言う 特殊な能力を持ち 妖魔ハンターでは、妖力の力の違いにより S,A,B,C,D級の順に5段階に分類 最強は、S級。
 妖魔は、妖力を使い いつの頃からか? 定かではないが、この世界の地球に現れるようになった。
 もちろん こちらの世界に来るには、異なる次元の壁を通過しなければならない。
 量子論と、一般相対性理論の応用である ワームホール(別名虫喰い穴)の4次元ワームホールを 妖魔自らの妖力で発生させ こちらの世界と自由に行き来している。
 妖魔が、4次元ワームホールを発生させ この世界に来る時 必ず、この世界に、結界とも呼ばれる亜空間フィールドが発生する。
 亜空間フィールドは、この世界に、約数十mに渡って、別次元を形成 発生後 約1時間後 漆黒のトンネルが開き そこから妖魔、妖獣が現れ 更に亜空間フィールドから この世界に現れる。
 他だし 妖魔が元の世界に戻る為 亜空間フィールドを発生させると、同時に漆黒のトンネルが形成される。
 何故 この様なタイムラグ(時間差)が起こるのか? まだ解明されていない。
 この亜空間フィールドが、発生しても何も特殊能力 霊能力の無い者には、全く感じず、亜空間フィールドの発生している空間を 何も無く自由に往来出来る。
 亜空間フィールドを感じる事が出来る者は、霊能力を持つ霊能者と、ラディエンスの力を持つ星沢家の者だけ。
 他だし 非常に捕らえ難い別次元である為 発生ポイントから少しで離れると感知出来ない。
 それに、亜空間フィールドは、ラディエンスの力を持つ星沢家の者以外 入る事が出来ない 特殊な空間でもある。
 ラディエンスの力を持つ星沢家の者が、亜空間フィールドを見つけると、亜空間フィールド内部に入り そこで、妖魔と対決する。
 こちらの空間では、大きな被害が発生する為 被害を未然に防ぐ目的もある。
 そして、1部 S,A級妖魔は、妖獣と呼ばれる 我々人類の感覚すれば、ペットに近い 他の生命体を自由に扱っている。
 妖魔は、我々人類に、災いと、死をもたらす存在。
 妖魔が現れると、大量の死と、災いが起こり それに対抗する為 古(いにしえ)の時代より 退魔師と呼ばれる 霊能者が、壮絶な死闘を繰り広げてきた。
 霊能力とは、全く異なる ラディエンスの力を持つ星沢家も 古(いにしえ)の時代より 退魔師の分類に入る。
 今から約75年前 当時各々がフリーで、妖魔と対決していた退魔師が、危機的状況に陥った。
 その頃までは、主にC,D級の妖魔しか現れず、最強の目されていたのは、B級であった。
 そのB級と、互角に戦えるのは、最強の退魔師。
 だが、そこへA級が現れ 尚且つ、今まで1〜2体程度 単発に現れていた妖魔が、一挙大軍で現れた。
 各々フリーで、戦ってきた退魔師は、次々と殺され危機的状況 更に人類そのものが、存続の危機的状況に陥る。
 その危機を打破する為 当時から世界的大富豪の1つで、代々妖魔と戦ってきた星沢家が、中心となり 政府に、妖魔に対する 専門部隊を設立させた。
 それが、現在の別名 妖魔ハンター 正式には、防衛省 対妖魔特殊部隊 国家、防衛省 最高機密である。
 当時 生き残っていた 霊能力を持つ退魔師を全国から集めた。
 この当時も、やはり現在同様 エセ、自称が数多くいた。
 その中心メンバーが、設立者でもある 当時星沢家 当主 星沢 弥生(ほしざわ やよい) 真美のママである由美の祖母で、詩織の祖々母でもある。
 そして当時最年少のメンバーが、日本の古都に、代々伝わる神社の1つ 龍神を祭る某神社を治める神楽家 当時15歳の神楽 小夜子(かぐら さよこ)であった。
 小夜子は、設立当時からのオリジナル・メンバーで、現 妖魔ハンター 最高責任者で、最高司令官でもある。
 代々退魔師の家系で、小夜子は、神楽家歴代最強の素質を持つと言われ 神楽家 たっての推薦でもあった。
 メンバー入り当時の模様が、記録に残されている。
 白の羽織 赤の袴の巫女の正装姿で現れる。
 身長現在換算145cmの小柄でありながら 腰まで届く一糸乱れぬ黒髪 全く隙のないまるで獲物のを狩る野生動物の様な鋭い目付きでありなから これまた見た事も無い清楚で、可憐な 稀に見る美少女であった記述されている。
 メンバー全員の前に立つと 直ぐに床に正座 ピンと背筋を伸ばし 一礼 「このたび お仲間になるよう命じられた神楽 小夜子と申す者に御座います。 代々神楽家は、妖魔と戦う退魔師の家系 この命 生まれし時より 平穏に暮らす 民の為に捧げるもの もはや無きものに御座います・・・」と、とても15歳の少女とは思えない落ち着き 大人びた口調であったと記述されている。
 当の本人は、当時の事を 遠い、若かりし頃の昔話じゅ 憶えておらん・・・ と言って笑っている。

 ここで、現在の実戦メンバーの紹介
 室長 神楽 小夜子 90歳 詳細は、先程説明通り 創立時からのメンバーで、最古参 霊能力は、代々伝わる 霊獣 聖龍神の使い手、その技を見た者は、現メンバーにはいないが、今だに、最強の噂が絶えない。
 霊玉石と呼ばれる自らの霊能力の力を実体化し作り出した黄金の石を左腕のブレスレットにはめ込み 通常 霊獣 聖龍神を封印しているが、妖魔と戦闘時に封印を解放し戦う。

 隊長 三村 健一 52歳 元ワイルドギース出身 前に詳細は、述べられているので省く 霊能力は、ファントムと呼ばれる 自らの霊体を実体化し戦う。

 神楽 零夜 33歳 室長 神楽 小夜子の唯一の孫娘 霊能力は、祖母と同様 代々伝わる 霊獣 白龍神の使い手。 現霊能者では、最強と目される。
 祖母 小夜子同様 霊玉石と呼ばれる自らの霊能力の力を実体化し作り出した白い石を左腕のブレスレットにはめ込み 通常霊獣 白龍神を封印している。
 祖母である小夜子と、霊玉石の色の違いは、霊能力の差と、扱う霊獣 龍神の違いもある。
 祖母である小夜子は、最強の霊獣 龍神 黄金色に輝く 翼を生やし龍 聖龍神を操るが、孫の零夜は、1ランク下 全身真っ白な 白龍神を使う。 生まれ持った霊能力の差でもあった。

 倉持 沙耶 28歳 こちらも前に詳細は、述べられているので省く。 霊能力は、梵字を書いた護符の使い手。 特に邪鬼と呼ばれる 梵字を書いた護符を小さな鬼に変化させ戦う。

 佐々木 直人 38歳 防衛士官大卒の軍人出身 防衛大時代 各種検査の結果 稀に見る霊能者と解かり 特訓を受けてきた。
 身長178cm 軍人らしい鍛え抜かれた鋼の様な体型 霊能力は、火輪車 自らの霊能力で、無数の火炎の輪を作り出し 攻撃する。
 通常 戦闘では、妖刀 魔斬を使用。 代々神楽家の婿が使用する武器で、何でも死んだA級妖魔の骨で作られ 小夜子より許婚の証として貰った。
 魔斬自身 強力なA級妖魔の妖力を発し 自らの霊能力で、封印しており 封印を解放すれば、その妖力を使えると言われている。
 実は、小夜子が、唯一の孫娘 零夜の為に選んだ 許婚? フィアンセ? 神楽家は、その霊能力を維持する為 ある一定レベル以上の霊能力の持ち主しか、結婚を許されない。
 零夜の仲は、良いのか? 悪いのか? 全く不明 いつも顔を合わせると 角を衝き合わせ 夫婦漫才? 犬も食わぬ夫婦喧嘩? ばかり・・・
 良く 真美にちょっかいをかけている。
 実は 真美を 年齢の離れた妹と思っている。
 隊長の三村は、自分の娘だと思って 愛情?のセクハラ攻撃中!! いつも撃沈・・・ 自業自得。

 佐伯 昌信(さえき まさのぶ) 25歳 身長175cm 高卒後 防衛軍に入隊 その後各種検査で、佐々木同様 稀に見る霊能者と解かり 特訓を受けてきた。
 風林火山と呼ばれる大技を持つが、通常の戦闘では、日本刀で戦う。 名刀 破皇。
 妖魔のみを斬る 魔剣。
 代々 ある退魔師の家系が、所持していたが、妖魔との戦闘で絶え 小夜子が、預かっていたのを 佐伯に寄与した。
 風林火山とは、炎の風を起し敵を焼くが、一撃必殺の大技の為 1度使用すると、暫く使用出来ない。
 非常に軽薄な男で、いつも本部で、真美、詩織、沙耶や後方支援の女子職員に、声を掛けている。
 ナンパ師 いつも声をかけられる真美も詩織も うんざりしている。

 西 勇作(にし ゆうさく) 22歳 身長177cm 代々退魔師の家系の唯一の正統男児後継者 弱気の性格の為 本家一堂により この妖魔ハンターに修行の為 入る。
 霊能力は、ライトニング・スターと呼ばれる 身体の周囲に、光球を発生させ 自由に打ち込める。

 ここまでが、正式メンバーの隊員 史上稀に見る霊能者、霊能力の持ち主でもあるが、B級妖魔と互角程度。
 三村隊長と、零夜が、1段階上のA級と何とか、戦闘出来る程度。
 ここからは、霊能者、霊能力とは、異質の力 ラディエンスの力の持ち主で、2人共 まだ高校生の為 アルバイト契約。

 中崎 詩織 16歳 身長168cm ほぼ大人の女の完成に近づいた それもかなりのプロポーションの持ち主でもあり かなりの美少女でもある。
 真美のママ 由美の妹の娘で、1人子。
 本人の強い希望と、自身の母の強い要望もあり A級妖魔と互角以上に戦える実力を買われ 妖魔ハンター入り。
 それ以前は、母と共に、フリーの活動をしていた。
 本来の目的は、憧れの首都Tで、花の女子高生をエンジョイする事。
 その為 本部のある首都Tで、母の実家の星沢家に、下宿し、輝星高校へ入学した。
 星沢家の血を引くが、直系でない為 ラディエンスの力は、劣る。
 だが、その戦闘能力は、驚異的で、ラディエンスの力を解放すると、ライトソードを自らの力で作り出し戦う。
 そして、ラディエンスの力により 人間離れした 驚異のスピードで自由に動ける。
 だが、このラディエンスの力での、大技はない。 ここが直系との違い。
 他だし その実力は、アルバイト契約でありながら、妖魔ハンターのエース。

 星沢 真美 15歳 身長155cm 本小説の主人公 細かな記述は、無数の述べられているので省略。
 星沢家とは、全く無縁であったが、何故か? ラディエンスの力を持っており ある事件で、急遽覚醒。
 元々40歳代中盤の男が、ラディエンスの力で、女にDNAレベルから性転換 それも15歳の少女に年齢退行。
 星沢家の実子として、迎え入れられる。
 その能力は、過去ラディエンスの力を持つ者を遥かに凌駕し まだだれも持っていなかった ニードル、バーストと名づけられた驚異の大技を持つ スピードも詩織を遥かに凌ぎ 自由に空中飛行も可能 まだ力のコントロールが不安定。
 他にも 由美 直伝のムーンライトも使える。
 その素質は、S級妖魔を超えている。

 ここまで2人がアルバイト。

 S級が現れた時 臨時に出動するのが、真美のママである 星沢 由美(ほしざわ ゆみ) 40歳代後半。
 現星沢家 当主 星沢コンチェル会長 過去S級と 唯一互角に戦ってきた だが年齢から来る衰えは隠せない。
 過去3歳と、1歳の自ら産んだ娘2人を S級妖魔 ドッペラーに殺された暗い過去を持つ そのショックで、2度子供を産めない身体になる。
 その後 真美を 自ら産んだ3女とし 星沢家の後継者に指名する。
 そして、星沢家の宿命、運命でもある 妖魔との対決を課す。

 以上が主だったメンバーである。

 通常主要メンバーが、本部待機 出動要請を受け ヘリ、特殊車両を使い現場へ向かう。
 緊急時を除いて、何人かは、待機。
 緊急時は、現場で、全員集合。
 もちろん防衛軍、各省庁による 現場 厳重封鎖。
 普段 これ以上ない程 たるんでいるのに、さすがに、戦闘中 その眼付きは、違う 負けは、即 死を意味する。


 話しを真美の学校生活に戻そう。
 暑い日が続き始めた。 7月に入り期末テストも終わった。
 もう直ぐ夏休み。
 真美 奮闘? 順位1つ上がり学年17位。
 今日は、珍しく午前中だけの授業。
 明日土曜日で、学校は休み。 開放感いっぱい 少女、貞操の危機・・・・?
 実は、真美は、夏休み前の最後の土曜日の計画に、無理やり参加させられていた。
 本人は、拒絶以外無い。
 フルメンバー もちろん学校の・・・ 真美、詩織、彩、香、加奈、何故か? 薫お兄様もいる。
 全員で、いつもの帰宅部の部室化?している 駅近くの大型ショッピングモールのグルメゾーンで、昼食 そのままショッピングゾーンに突入。
 美少女揃い 特に真美は、よく目立つ ここにショッピングに来た人達の注目を一身に集め 本人は、恥ずかしさの余り なるべく後ろで、小さくなっていた。 だが・・・ いつもの真美とは、かなり様子が変?である。 どこか物悲しそうな表情を浮かべ 暗い。
 とにかく他人に、見つめられるのが苦手。
 向かった先は、超有名な水着シッョプ 薫の計らいで、薫の親の経営する企業グループの1つに、屋内外の、巨大プールを経営 VIPで入れるチケットを用意 このメンバーをプールに誘った。
 全員何故か? 学校用水着しか持っておらず、この日全員で購入する事になった。
 週一スイミングスクールに通う綾は、学校用以外 スイミングスクール指定の競泳水着を持っていたが、ビキニなどのファッション水着は持っていない。
 普段の詩織なら 薫のこの解せない誘い(目的 真美)に、乗らない だが、気丈に振舞う真美だが、ある悲しい出来事を経験していた。
 妖魔ハンターは、本当の修羅の世界 お母さんやおば様の言うとおり、血で呪われている・・・と思った。
 それは、1週間前の金曜日 2時限目 期末テスト 最後の教科終了後に起こった 妖魔ハンター最大の危機の1つと、後に記述される最大級の戦闘であった。。
 来週 月曜日から答案用紙返却があるが、それまで自由。
 開放感いっぱい まず真美ちゃんと帰宅部恒例の部活・・・ と元気のいい詩織であった。
 真美の手を強引に引っ張り 校門を出る。
 いつものショッピング・モールへ直行と思いきや・・・ 携帯電話が鳴る 真美も同様 この着メロ 妖魔ハンター専用携帯電話の緊急コール 詩織が、代表して出る。
 「・・・今 真美ちゃんも一緒・・・うん解かった・・・」 この近くにある某場所へ行くよう本部からの命令。
 真美の手を取り 急いで向かう。
 黒塗りの特殊車両 妖魔ハンター専用 そこには、腕を組んだ三村隊長が待っていた。
 「期末テスト中 悪いな・・・」 少し申し訳なさそうに言う。
 「大丈夫 私も真美ちゃんも 先程全教科終了よ」
 「それなら安心」
 真美を先に、車へ押し込み 詩織も乗り込む。
 三村は、ドライバーシートに座り 車を急発進させる。
 かなり荒い運転。
 「緊急事態 解かるな」 かなり詰まった緊迫感を漂わせる。
 「ポイント○○にて、多数の妖魔、妖獣出現 クラスA〜D級 A級も1体でない 現在確認中が、10体は、軽く超えている。 俺達の力では、こんなに多数のA級など対応出来ない それに、B〜D級もとんでもない数だ・・・ それに未確認ながらS級もいるかも知れない・・・」
 真美、詩織共 真剣な眼差しで、1度首を縦に振る。
 2人の緊張感が伝わる。
 こんな規模 今までにない。
 通常 CかD級が1体 多くて3体程度、こんなの初めて、緊急事態の意味が解かる。
 「・・・お前さん達の力が、必要だ・・・」 突然サイレン・・・ パトカーだ。 余りにも荒い運転に、現行犯検挙? いや違う 先頭に着くと、先導を始めた。
 否が応でも人類存続の危機的状況なのか、解かる。
 そのままヘリポート そこには、真美のママの由美が待っていた。
 「はい これ」 2人に、微妙に型の違うバトンを渡す。 それぞれのライトソード 2人のカバンを執事の中本が受け取る。
 「お嬢様方 戦闘服は、ヘリ内に用意されております。 お着替えは、ヘリ内で・・・」
 切羽詰まっている。
 心配そうにママ 由美は、娘の真美 姪っ子の詩織を見つめる。
 「2人共 どんな事があっても生きて帰ってくるのよ」 由美のこんなセリフ初めて聞いた。
 2人は、真剣に小さくうなづく。
 「私も この後 直ぐに行くわ 先に、このヘリで、先行部隊と合流して」
 由美は、中本と共に。自家用車に乗り込む。
 「俺と、由美さんは、残っている待機の連中と、訓練生全員を集め 直ぐに向かう」
 大型輸送ヘリに乗り込んだ真美と、詩織に言った。
 「えー 訓練生も・・・」 真美は、声を上げて驚く 詩織も。
 「人手が足りない 緊急事態だ」 そう三村は言い残し ヘリのドアを閉める。
 ヘリは、上空に舞い上がる。
 2人は、カーテンで仕切られた空間で、素早く戦闘服に着替えた。
 一言も喋らない。
 腰のベルトのフックにライトソードを掛ける。
 「目的地まで、あと60秒・・・」
 パイロットの声が飛ぶ。
 下方の地上 鬱蒼と生い茂る木々 至る場所から 火柱、土煙が上がっているのを 2人は、肉眼で確認する。
 激しい戦闘が繰り広げられている。
 誰の目にも明らか・・・
 「この付近に着陸出来るポイントがありません 少し離れた場所に・・・」
 「いい ここでいい このままホバーリング(空中停止)して」 突然真美が言い出した。
 「パラシュートで 降りるつもり」 驚く詩織。
 「詩織姉ー 1度 私 空飛べる所 見せたでしょう」
 真美の真剣さに 少し震えながら詩織は、小さくうなづく。
 「私が おんぶするから しっかり捕まって」
 真美は、そう言い残し ラディエンスの力を解放する。
 真美の身体から 白い光が発光。
 「さあー 早く・・・」
 詩織は、真美の背中に捕まる。
 「ドアを開けて」
 真美の声に、ここにいた防衛軍 妖魔ハンター担当の女性士官が、ドアを開けた。
 「しっかり捕まっているのよ」
 そう言い残すと、真美は、空中へと身体を投げた。
 急降下 しっかり眼を閉じる詩織。
 だが 急降下は、突然止まった。
 水平移動を始めている。
 真美は、詩織をおんぶしたまま 空中を飛んでいる。
 「詩織姉ー あそこに着陸するわよ」
 ゆっくり地上に着地する。
 すぐさま ライトソードを構え 光る剣を完成させる真美。
 一方 詩織は、妖魔ハンター専用の携帯電話を取り出し コール。
 「・・・うん 解かった」
 携帯電話を切る。
 「全員バラバラにされ戦闘中 私達は、東へ向かい そこで戦闘中の零夜さんと沙耶さんに、合流しろって・・・」
 思わず息を呑む詩織。
 早くも20体を超える それも全部B級の妖魔に、周囲を囲まれていた。
 詩織も慌てて ラディエンスの力を解放 身体が真美程ではないが白い光を発光 構えたライトソードが完成すると、白い光が消える。
 2人は、背中合わせに構える。
 「真美ちゃんは、自分の正面の敵を 私は、自分の正面の敵を殺る」
 「うん・・・」 小さく返事をする真美。
 敵は、じりっじりっと間合いを詰めてくる。
 一瞬の静寂 真美、詩織の2人 緊張の為 早くも顔に汗が浮かんでいる。
 小さな 地面に落ちた小枝を折る音が、響いた。
 それが、合図となる。
 「どうりゃー!!」
 真美、詩織の2人は、声を合わせ、正面の敵に猛然とダッシュ 斬りかかった。
 実力は、真美、詩織の方が上 だが、妖魔は、数に物を言わせ善戦。
 B級である 3〜4体程度なら 問題がない。
 だが、1人で、10体を超える妖魔を相手にしている。
 かなり手こずっている。
 真美、詩織共 長い髪をポニーテールにして結び それぞれ違う柄のシュシュで結んでいた。
 その長い髪が、動きに合わせ まるで生き物のように動く。
 何とか全部始末した。
 斬り殺された妖魔の死体が、周囲に散乱する。
 2人共 全身で大きく乱れた呼吸を繰り返す。
 「B級と言ってもこれ程の数だと・・・」 詩織がつぶやく。
 「それより 零夜さんと沙耶さん・・・」 詩織が、東の方向を向く かなり心配顔になる。
 零夜、沙耶共に強力な霊能力を持っている。
 だが実力的には、真美、詩織のラディエンスの力に劣る。
 零夜は、A級が、何とか戦える程度 沙耶にいたっては、B級と互角 あくまでも これは、1対1での戦闘。
 1対複数ではない。
 「真美ちゃん 急ぐわよ」
 真美、詩織は、東の方向へ急いで走り出した。

 「数減らないわねー」
 こちらも並んで戦う 零夜と、沙耶。
 一緒に来た、佐々木 直人と、はぐれ、引き連れて来た、弱い霊能力しかなく通常兵器で、武装する兵士は、戦闘開始後、バラバラにされ各個撃破の餌食となり全滅。
 生き残っているのは、この2人だけ。 佐々木は、以前行方不明 連絡が取れない。
 だが、佐々木が、この程度で、殺れるはずかない・・・。
 お互いの霊能力を最大限に上げ 多数のC,D級 4体のB級 相手に善戦していた。
 緒戦で、仲間とバラバラにされた。
 各個撃破戦術 多数を持って少数を叩く 戦術の基本。
 うまくやられてしまった。
 やはり 妖魔ハンター同士が固まり 戦わなければ・・・ 分断されお互いの連携を断ち切られてしまっている。
 それでも 2人が持ちこたえているのは、個々の能力の高さである。
 緒戦で、分断され1人1人となったが、零夜と、沙耶は、何とか合流に成功した。
 その反面 自分が戦っている妖魔も引き連れてしまったが・・・
 援軍が、望めない状況。
 真美、詩織も 参戦したのは知っている こちらへ向かうよう命令も受けているのも知っている。
 だが、まだ来ない。
 途中 足止めを喰らったのは、用意に想像出来る。
 下手すれば、ここに現れた まだ見ぬA級 全部と対決を余儀なくされているかも知れない。
 あの2人である。 負ける事は考えられない。 考えられるのは、足止め。
 とにかく あの2人が来るまで、この戦線をキープするしかない。
 零夜は、解放した 霊獣 白龍神 まさしく伝説の全身白色の龍 この龍を 霊能力で、自由に操り 多数のC,D級の妖魔を相手に戦っている。
 印を結び ひたすら白龍神を操る祝詞を唱えている。
 そして、沙耶も 梵字を書いた護符を邪鬼に変え 同様に戦っている。
 だが数の多さに、苦戦 押し切られそうになっていた。
 その時だった 「零夜さーん、沙耶さーん」 若い女の声 そうこの声は、詩織ちゃん・・・
 同時に、無数の光る小さな針が、妖魔を次々と、細かく切り裂いて行く。
 「これは、真美ちゃんの必殺の大技 ニードル・・・」 同時に2人は思う。
 真美の放つニードルが止むと同時に、詩織が、猛然と、多数の妖魔の中へ突入 次々と切り裂いて行く。
 少し遅れて真美。
 これで戦線が立ち直る。
 2人の最強エースコンビ やはりラディエンスの力の持ち主 戦闘能力が違う。
 零夜と、沙耶は、直ぐに、真美、詩織のバックアップに回る。
 見事なコンビネーション。
 あれ程 苦労した 多数のC,D級妖魔が、次々と倒される。
 残るは、4体のB級のみ
 あっと言う間に2体のB級が、真美と詩織に斬り捨てられる。
 残るは、2体のB級 零夜、沙耶に余裕が浮かぶ。
 「詩織ちゃん、真美ちゃん 下がって、残りは私達が処理する」 零夜が、真美、詩織に、やさしく微笑みかける。
 「えー」 ちょっと不満顔の詩織。
 「最後ぐらい 先輩に花を持たせなさい」 少しきつい口調の沙耶。
 渋々 戦線離脱 後退する真美と、詩織。
 零夜と、沙耶の2人は、霊能力を高める。
 零夜の霊獣 龍神 沙耶の邪鬼が、それぞれのB級妖魔を襲う。
 勝負あり 2体のB級妖魔を 喰いちぎられ、引き裂かれていく。
 「大丈夫でしたか?」 真美は、零夜と、沙耶に聞く。
 「ありがとう ちょっとやばかったけど・・・」 零夜と沙耶の本音。
 もう少し真美と詩織が現れるのが遅かったら 本当に解からない状態であった。
 真美と詩織の2人に、ここまでの戦闘を話す 零夜と沙耶。
 戦闘開始の緒戦から 多数の妖魔に囲まれ 1人1人に分断され 1人での戦いを余儀なくされた事。
 これ程の数の妖魔である 裏で操つる、まだ姿を見せぬA級が複数いるか? 更にS級の存在も考えられる。
 そして、最終目的は、これ程の戦力を一気に投入した。 考えられるのは、1つ それは、妖魔ハンター全員の命・・・
 ぐずぐずしていられない。
 早く全員合流し、お互いにカバーしコンビネーションを組まなければ、各個撃破の対象にされ 1人1人始末される。
 とにかく急いで、集結 集結ポイントへ急ぐ、一致した。

 その頃 訓練生3人と、非番だった 佐伯 昌信、西 勇作を連れ 由美と三村は、戦場の先端にヘリで降りた。
 続々と、霊能力が弱いが、各々手に、銃器、日本刀、サーベル、凪刀などの各種武器を持った兵士が、別々のヘリから降りる。
 やはり 至る場所から火柱、土煙が上がり 激戦が繰り広げられているのが解かる。
 「ここから早足で、集結ポイントを目指す。 情報によると、敵 妖魔の数 とにかく多数 数えられないそうだ それも現在B級〜D級 まだ姿を見せていなが、A級も何体か解からないが、確実にいる。 それに、未確認だが、S級の存在も考えられる みんな気を抜くな」
 三村の大声が響く。
 「そして、やつらは、我々を 1人1人に、分断し、各個撃破にするつもりだ、いいかどんな事があっても仲間から離れるなー」
 全員 息を飲む。
 三村、佐伯、西は、それぞれの霊能力を高め解放する。
 由美も ラディエンスの力を解放 ライトソードが、完成。
 全員 表情が、引き締まる。
 「行くぞ 野郎ども!!」
 三村の一声に、全員 「おうー」 歓声が響く。
 ようやく ここで、佐々木が現れ、合流する。
 ここまで、1人で、激戦をしていたのを物語っている 身体の至る場所に傷を負っている。
 だか、軽傷。
 それに瞳の奥には、強い意志を発している。
 まだ十分に戦える。
 後は、この戦場にいる 女性人4人。
 まだ戦場内では、激しい戦闘音が、響いている。
 まだ死んでいない。
 救出、合流にはいる為にも、素早く合流地点に向かう必要がある。

 やはり 戦場に入ってすぐ 歓迎された。
 ここにいたのは、敵妖魔の主力部隊。 圧倒的に数である。
 8体のB級を中心に、多数のC,D級の 手荒い歓迎を受ける。
 やはり 霊能力が低い兵士の何人かは、血祭りに上げられる。
 由美の後方には、3人の訓練生が、D級相手だが、奮闘していた。
 やはり 初めての実戦 まだ年齢も達しない若者。
 2人は、男で、3月に高校を卒業し この部隊の訓練生として配属された。
 代々退魔師の家系 それなりの霊能力を持つ やはり幼い頃から退魔師としての修行を積んでおり、覚悟が出来ている。
 自ら持つ霊能力で、必死に戦っている。
 だが、まだまだ修行不足 1対1ながら苦戦している。
 もう1人 女の子 それも娘の真美と同じ年齢。
 今 真美の通う輝星高校とは、別の高校に通う 高校1年生 この娘も 代々退魔師の家系の巫女見習い。
 やはり幼い頃から退魔師としての修行を積んでいるが、初めて見る妖魔に驚き 恐怖が先に立ち 思うように霊能力が使えない。
 訓練生の初めての実戦には、荷が重過ぎる状況 敵 妖魔の数が多すぎる。
 由美でさえ これ程の数の妖魔と対峙するのは、初めて。
 それに、本部で、真美と、この娘 杉村 敦子(すぎむら あつこ)は、気が合うのか? よく2人でおしゃべりして笑っている。
 娘 真美の為にも 訓練生を守らなければならない。

 戦闘開始して、数分後 状況は、五分五分 一進一退の攻防。
 圧倒的戦力差があるものの妖魔ハンター側が、善戦。
 やはり 隊長三村の存在が大きい 大声を張り上げ 陣形を崩されないよう奮闘している。
 数々の戦場を渡り歩いたワイルドギース出身 戦闘を熟知している。
 数で圧倒する妖魔。
 三村は、敵 妖魔の狙いが、各個にバラバラにし、各個撃破を狙っているのを知っている。
 その為 ここにいた妖魔ハンターの部隊を 1つに集め バラパラにされないよう密集させ 守りを固めた陣形を引く。
 方円型の陣形。
 だが、妖魔側も数の多さに物を言わせ 凹型の陣形で、半包囲網を築き圧迫。
 それでも三村は、自らの霊能力 ファントムを使い戦いながら 最前線で指揮する。
 一気に、陣形を崩され 各個にバラバラされてもおかしくない状況の中で、驚異的である。
 更に数分後 戦闘状況が、好転した。
 新たに4人が加わった。
 真美、詩織のエースコンビに、零夜、沙耶もいる。
 「真美ちゃん、詩織さん 無事だったのね・・・」 ここまで、苦戦しながら右側面を防御 耐え抜いていたが、2人の元気に姿を見て、思わず笑みを浮かべる由美。
 内心 かなり心配していた。
 2人が、戦場に入り 戦闘を開始したとの報告の後 連絡が途絶えていた。
 激戦のさなか 連絡出来ない状況に陥っていた・・・ と推測されていた。
 これを見て、三村は、戦術を変更する。
 防戦から 反転攻勢に切り替える。
 その中心は、やはり真美、詩織のエースコンビ。
 真美、詩織を 前方最前線に出し 円錐型の陣形に変える。
 そして、三村自身 1人で、最後尾を担当。
 狙いは、やや薄い正面の敵 妖魔の凹陣形の1点集中突破。 敵 妖魔の兵力を2つに分断させる。
 「真美ちゃん、詩織ちゃん 前方のやつらを蹴散らせ、突撃前進だ!!」
 三村の命令が飛ぶ。
 「アイアイサー!!」 真美、詩織が、声を合わせる。
 2人は、ライトソードを構える。
 敵の動きを 的確に捉えている。
 右側の詩織が言う。
 「真美ちゃん 私の合図で、突っ込むわよ」
 「OK 詩織姉ー」
 2人の表情に隙がない。
 一瞬の静寂の後。
 「今よ」 詩織の声が飛ぶ。
 猛然と前方の敵 妖魔の正面に展開する部隊を切り崩しに掛かった。
 「野郎ども 真美、詩織の後に続け!!」 三村の指令が飛ぶ。
 「おう!!」
 ここにいた全員の勇ましい掛け声が上る。
 全員、陣形を保ちながら 真美、詩織の後を果敢に続く。
 そして、左右側面の敵を次々粉砕。
 この戦術眼 三村以外 多分不可能。
 的確に敵 妖魔の大群の弱点を見抜いていた。
 左右を固め半包囲網を引く妖魔側 だが、左右に戦力を集中させ 正面が、やや手薄であるのに気づいていた。
 だが、妖魔ハンター側も 戦力が劣り 正面突破する戦力がなかった。
 ここで、真美、詩織のエースコンビが参戦。
 圧倒的、機動性と、破壊力を持つ2人。
 ここが勝負どころと見た。
 敵 正面の中央突破の先頭を 真美、詩織に担当させ 全戦力を用いて、今の密集型の円錐型陣形て、突撃 敵を正面から2つに分断 分断された一方の敵を包囲し 凹陣形を用いて殲滅。
 その後 反転 残りの敵も包囲殲滅する。
 まず 敵の最も弱い部分を叩き 切り崩し 敵の連動を断ち分断させ 各個撃破する。
 戦闘に慣れている。 優秀な戦術指揮官 それが三村だ。
 先頭を切って、次々と目の前の敵 妖魔を 斬り裂く 真美と詩織。
 その勢いに飲まれ、左右に散りばめる妖魔。
 その勢い だれにも止められない様に思えた。
 後少しで、分断・・・ だが、ここで真美の身体に異変が起きた。
 今まで、自らの身体からの 白い光の発光が、急に、ゆっくりとしたストロボの様に、点滅を始める。
 「やばい・・・」
 ここにいた妖魔ハンター全員が思った。
 星沢家に生まれし女が持つ 驚異のラディエンスの力 だが、真美は、歴代最強と呼ばれる人物よりも ケタ違いの力を持ちながらも うまくコントロール出来ない。
 身体が白い光を放つ状態が続くのは、歴代 真美しかいない それが、歴代最強と呼ばれる人物よりも ケタ違いの力の証拠にもなっている。
 だが、うまくコントロール出来ない コントロールしている時は、一定のレベル発光状態が続く。 安定している証拠でもある。
 一端 コントロール出来なくなると、今の様に、急にストロボの様に、点滅状態になる。
 更に間の悪い事が起きた。
 ここで、姿を見せていなかったA級妖魔が、忽然と現れた。 それも10体。
 真美の戦闘能力異変に、気を捕らえ 動きが、止まった隙を狙われた。
 一気に切り崩され バラバラにされる。
 必死に命令を出し 陣形を保とうする三村の悲痛の叫びが、周囲に木霊する。
 だが相手が悪過ぎる。 10体のA級である。 それも互いにフォメーション組んでいる。
 あっと言う間に蹴散らされ 1人1人のバラバラの状態にされた。
 真美も同様 バラバラに蹴散らされている時 近くで怯えていた まだ訓練生の杉村 敦子を助けていた。
 だが防戦 仲間達から 遠く引き離される。
 「あっちゃん・・・」 3月某日 由美に連れられ 初めて、妖魔ハンターの本部に行った。
 もちろん 妖魔ハンターなる為 それは、星沢家の女の運命であり 宿命・・・
 真美は、初めての戦闘 それもまだその時点 妖魔ハンターの一員ではなかったが、あのS級のドッペラーの身体を半分 消滅させた実績を買われ いきなり アルバイト契約であったが、訓練生を飛ばし 実戦部隊配属となった。
 この時点 S級に対抗出来る人材は、真美しかいない事情もある。
 史上初ではない 時々いる。
 昨年の詩織も 真美と同じ アルバイト契約であったが、いきなり実戦部隊配属 ちょっと前には、零夜も いきなり本契約の実戦部隊配属 大学の卒業直前に、契約した。
 もう少し古いと 隊長の三村 こちらは、ワイルドギースから転向組。
 由美も 高校卒業時に、いきなり母と組んでの実戦部隊配属であり 珍しい事ではない。
 フリーで活躍している退魔師をスカウトに成功した場合 実績にもよるが、いきなり実戦部隊配属もいる。
 だが、通常 数年の訓練生期間がある。
 代々退魔師の家系で、本人にある一定レベル以上の霊能力を持つ者 あるきっかけで、霊能力が見つかった者は、その能力を開花させるまで、訓練生となり 特訓を受ける。
 敦子も 代々退魔師の家系で、ある地方都市の神社の生まれであった。
 今年の2月 中学卒業を控え 両親に付き添われ ここ妖魔ハンターの本部に来た。
 稀に見る霊能力の持ち主で、代々退魔師の家系の神社の巫女になる運命。
 ここで、霊能力を開花させる為でもある。
 アルバイト契約の訓練生 4月から 一般高校に通いながら訓練を受ける契約であった。
 真美が、初めて由美と本部に来た時 偶然 見習い訓練生として、敦子が、本部にいた。
 敦子の真美に対する 第1印象は、やはり 見た事も無い これ程の神秘的 神々しいばかりの絶世の美少女が、この世にいたとは・・・ 驚きであった。
 そして、約1時間後 地下の訓練施設で、訓練中 真美が、真美の母と、室長共に訓練場へ入って来た。
 その時 真美の能力の一端をその眼で見る事になる。
 身体が、自ら白い光を発する。 とても神秘的な光景。
 少し小柄で、華奢な身体・・・ 同じ女の子 いやそれより同じ人間だと思えない程 スピード、俊敏さなど驚異的であった。
 とても敦子の目に止まらぬスピード 信じられない思いで見つめていた。
 訓練の休憩中 初めて会話した。
 同じ年齢 何故か? お互い親しみを覚えた。
 その後 会うたび よくおしゃべりをする。
 他愛も無い内容ばかり 真美の方が、ほとんど聞き役であったが・・・
 真美に取っても、初めての同年齢の友達が、実は、敦子である。
 敦子に取って、真美は、憧れの存在であり 目標でもある。
 初めての実戦 まだこの時点 妖魔ハンターの一員ではなかったが、それも相手は、S級で、ドッペラーと呼ばれる それを 一瞬にして身体の半分を消滅させる。 敦子の持つ霊能力と違う ラディエンスと呼ばれる 不思議で、驚異の能力を持つ・・・
 そして、正式なアルバイト契約と同時に、いきなりの実戦部隊配属。
 訓練生から始める敦子 大財閥のお嬢様でもある真美 でも そんな所 全く見せない 会う度 いつも仲良くしてくれる。
 とても大財閥のお嬢様と思えない どこにでもいる庶民の娘見たいで、どこか引っ込み思案 何だか、自分の身体にオロオロして戸惑ってばかり そんな姿が、妙に初々しく保護欲をそそる そんな所が、とても愛らし思わず独占したくなる。
 でも戦闘訓練になると、人が変わる まるで戦場で戦い、命のやり取りをする男の人のそのもの。
 そんな真美が、大好きになった。
 いつの日か、必ず 追いつこうと決めていた。
 「あっちゃん 怪我ない・・・」
 10体を超える妖魔 うち2体はA級 それらを相手に、ライトソードを構える真美。
 後ろの敦子が、気になる。
 現在 ラディエンスの力が、かなり落ち込み上がらない。
 ほとんど発光していない状態。
 まだ 霊能力が、ほとんど開花していない敦子を守りながら A級2体を含む 10体を超える妖魔と戦わなければならない。
 厳しい状況下。
 「怪我はない それより・・・」 言葉を濁す敦子。
 「何?」
 「私の事 気にしないで、存分に戦って、私も訓練生と言っても 妖魔ハンターの一員 死ぬ覚悟出来ている」
 「変な事 言わないで、死ぬなんて・・・」 真美は、強い口調であった。
 絶対 敦子を守る 強い決意の表れでもある。
 「うーん いいの 私は、退魔師の家系の霊能者の端くれ 民の為 この命 捧げる者・・・ それがお勤めだもの・・・」
 少し達観しているような敦子の口ぶり。
 「ダメよ そんな事言っちゃー あっちゃん いつの日か、素敵な男性見つけて、素敵な恋をするって、いつも言っているじゃん!! 死んだら恋も出来ないよ!!」
 必死に励ます真美。
 その真美の言葉に、我に返る敦子。
 「そうよねー もう大丈夫よ 真美ちゃん 私だって、少しは、霊能力使えるもの 自分の命 何とか守る・・・」
 「その意気込みよ」
 「真美ちゃんって、強いんだ・・・まるで、男の人見たい・・・」
 敦子の言葉に、内心思わず苦笑いする真美。 つい数ヶ月前まで、男であった。 正体がバレた・・・ いや そんなはずはない。
 「そんな事ないよ ただ・・・ 死にたくないだけ・・・」
 そう真美の本音である。
 今の女の身体のまま 死にたくなかった。 早く元の男 氷室 拓真に戻り 本来の平凡な生活に戻りたいだけ。
 とにかくまず 敦子を怯えさせている2体のA級 敦子も霊能者 妖魔の妖力の差 感じる事が出来る。
 敦子は、両目を閉じ 印を結び、祝詞を唱えて自身の霊能力を高める。
 敦子の霊能力は、羽衣と呼ばれる技。
 敦子の後方から 突如 羽衣と呼ばれる 白い布の様な物体を自らの霊能力で発生させ その羽衣を自由に操り 攻撃、防御する。
 「私の側 離れちゃダメよ」 真美は、後ろの敦子に注意する。
 だが、真美が、ラディエンスの力を使ったスピードを出せば、敦子は、ついて行けない。
 余りの違いがあり過ぎる。
 目の前に現れた妖魔を斬る。
 それ以外 戦闘方法が浮かばない。
 突如 1体のC級の妖魔が、真美に、正面から襲い掛かった。
 瞬時にライトソードで斬り捨てる。
 1体ならば何とか対応出来るかも知れない。 同時に複数の場合 思う様に動けないのは、致命的。
 「あっちゃん 少し下がって」 真美は、かけに出た。
 少し後退する敦子を確認 強引にラディエンスの力を上げた。
 真美の身体は、強烈に輝きだす。
 "しめたー" 真美は、ライトソードを左手に持ち替え 右手を突き出し 手首を立て、ラディエンスのエネルギーを 右手手の平の前に集中させる。
 同時に、白い球体が発生。
 「はっ!!」 気合いを込める。
 真美の必殺技の1つ ニードル。
 白い球体から 無数の小さな光る針が、発射 周囲の妖魔を次々と切り裂く。
 残るは、2体のA級。
 だが 力が続かない。
 急激に落ちる。
 ほとんど発光していない状態に戻る。
 このまま自由に動けない状態では、A級2体相手に、この妖魔の数である かなりしんどい。
 その時だった この一瞬の隙を突かれた。
 「真美ちゃん 危ない!!」 敦子は、声を上げると同時に、真美の右側に立ち 自らの身体を壁 更に羽衣を壁にし 真美を守ろうとした。
 一瞬時間が止まった様に、真美は感じた。
 この巨大な妖力 S級・・・ ドッペラー… いや違う ドッペラーの感覚ではない だが間違いなくS級・・・
 妖力のする方へ振り向いた。
 カバーに入った 敦子の姿が目に入る。
 同時に、白銀の長い槍が、敦子の羽衣を突き破り 敦子の身体までも貫いた。
 刺された部分から鮮血が飛び散る。
 呆然と言葉を失う真美。
 敦子を貫いた槍は、急速に後退する。
 崩れ落ちる敦子。
 敦子の倒れた地面には、大量の血が流れる。
 「お初に、お目に掛かりますよ 星沢 真美さん」
 茂みの中から1体の妖魔が現れる。
 その声は、男にしては、少々キーが高い。 だが非常に悪意の籠り 冷血さを感じさせる声でもある。
 身長は、160cmと、かなり小柄 狡賢い顔である。
 「私 あなた方が、勝手にランク別に分ける S級の妖魔 四天王の1体 名前を ソノベーノと申します 以後 お見知りおきを・・・」
 少し頭下げ 西洋風社交界の挨拶。
 だが、真美の目には、地面に崩れ落ちた敦子しか入らない。
 力なく両膝を地面につける。
 「あっちゃん・・・」
 真美は、敦子の左手をやさしく握る。
 呆然自失の状態・・・ 両目から涙が浮かぶ。
 敦子は、真美を守ろうと、自ら盾となった。
 「星沢 真美さん 私のお話聞いていらっしゃいますか?」 怪訝そうな顔で、真美に近づくソノベーノ。
 だが、真美には、聞こえない。
 「真美ちゃん・・・」
 敦子から 弱々しい声が漏れた。
 「無事でよかった」 弱々しく眼を開き 少し笑みを浮かべる敦子。
 「何を言うの それよりあっちゃんの方が・・・」
 「いいの これでいい・・・ 真美ちゃんさえ無事であれば・・・」
 弱々しい 死に行く者の消えいく最後の声であった・・・
 敦子は、微笑みを浮かべながら ゆっくり目を閉じた。
 「あっちゃーん!!」 真美の悲痛な叫びが、周囲に木霊する。
 うなだれ両目をしっかり閉じ 零れる涙が止まらない。
 「よくも・・・ よくも・・・ よくも・・・ あっちゃんを・・・」 怒りと、憎悪、悲しみの入り混じったすさまじい声。
 更に、怪訝そうな表情を浮かべ、ゆっくりと、真美な近づくソノベーノ。
 「それは、詭弁 星沢 真美さん あなただって、私達の多くの大切な仲間 その手で殺していらっしゃる」
 「うるさい!!」 真美は、大声を上げると同時に、両目を開き ソノベーノを睨む まるで鬼神のようなすさまじい表情 もはや自制心、平常心を失い 全てを 怒り、憎悪、悲しみに奪われている。
 「あなたがた妖魔が、この地球に現れ 私達に、災いと、死をもたらすからよ だから私達は、戦っている」
 そう言いながら 真美は、立ち上がり ソノベーノに向けライトソードを構える。
 真美の身体が、異常に発光する。
 白い光が、まるで炎の様に、揺らめきながら増大 更に大きく増大する。
 ここへ 生き残っている妖魔ハンター全員が集結した。
 危機的状況に、遂に、室長の小夜子も 戦闘に加わった。
 黄金に輝き 翼を生やした 霊獣 聖龍神を解放 駆使。
 次々と隊員を救出 直ぐに部隊を再編を三村が行い 遠くへ引き離された真美の救出に向かった。
 当然 生き残っている妖魔を引き連れてしまっている。
 「真美ちゃん 無事・・・」 近寄ろうとした 由美は、絶句した。
 余りの真美の変異振り・・・
 怒り、憎悪、悲しみ・・・に、我を忘れている。
 ただ復讐しかない。
 「ここにいる全ての妖魔!!」 真美は、叫んだ。
 「1体残らず 今この場で、この私が殺す」 これ以上無い冷血なすさまじい言葉。
 「さあー 束になって掛かって来なさい」 普段の真美を知る者には、信じられない 冷血、冷酷な言い方。
 まだ100体を超える妖魔。
 「ふん 身の程知らずが・・・」
 ソノベーノの一言に、ここにいた妖魔が集結する。
 「たった1人で、これだけの数 相手に出来るとでも・・・」 薄笑いを浮かべるソノベーノ。
 「うるさい!! 妖魔全員 皆殺しにする」 真美は叫び声を上げると同時に、更にラディエンスの力を解放した。
 炎の揺らめく 真美の身体から発光する白い光 更に増大し 炎の先端は、天空まで高く舞い上がる。
 「そんな こけおどし 通用しませんよ」 薄笑いを浮かべ余裕の表情のソノベーノ・・・ だが身体は、じりっ じりっと後退を始めている。
 真美から 見た事も 聞いた事も 感じた事も無い 強大なエネルギーを感じ始めていた。
 他の妖魔同様 恐怖を感じている。
 「覚悟はいい」 真美の最終通告。
 「いかん・・・」 この様子を 呆然と見ながらも 我に返った小夜子はつぶやく。
 「例の封印 使う気じゃ」
 小夜子のつぶやきに、三村は、素早く反応。
 「全員 緊急退却 逃げろー!! とにかく全速後退 どこかで、身体を隠せ そして、能力の全てを使って 自分の身体を守れ!!」
 三村の一声に、全員 恐怖の表情を浮かべ 慌てて後方に、全速で退却を始める。
 「おば様 早く!!」
 詩織の近くで、呆然と真美を見つめている由美の手を引っ張る。
 余りにも変わってしまった真美を ただ見つめる事しか出来ない。
 あの表情 ただ怒りと、憎悪に支配されている そして瞳も同様 冷血、冷酷・・・ そしてその奥には、悲しみしかない。
 詩織に引っ張られながらも 真美を見つめていた。
 数体のD級妖魔が、恐怖に怯え こっそり抜け出そうとした。
 だが真美は、逃さない。
 抜け出そうとした数体の妖魔を睨む すると真美自身を覆っている白い光の炎の1部が、まるで手の様に数本伸び、数体の妖魔を握る。
 その瞬間 数体の妖魔は、白い光の炎に包まれ 瞬時に焼き尽くされる。
 「だれも逃がさない」 怒りと、憎悪と、悲しみに満ちた眼で、まだ100体を超える妖魔の大群を睨む。
 「行くわよ」 これ以上ない 冷血、冷酷な口調 真美は、足元正面に、構えていたライトソードを突き刺した。
 ゆっくりと、両手を前へ突き出す。
 両手の前に、強力な光球が発生 エネルギーが集中する。
 その様子を 恐怖に怯え見つめる妖魔 感じた事も無い強大な力に、もはや身動きが出来ない。
 真美は、突き出した両腕を少し引く 真美の両目から 悲痛の涙が大量に零れ落ちる。
 「はー!!」 ものすごい気合の入った叫び声と、同時に、少し引いた両腕を前に押し出す様突き出した。
 真美の必殺の最終大技 バースト。
 真美の両手から とても信じられない 巨大な白いエネルギービームが、集結し恐怖におののき、身動き出来なくなった 100体を超える妖魔に直撃する。
 信じられない強力なエネルギービーム どうする事も出来ない。
 直撃を喰らった妖魔 そこにあった全ての物体・・・ 全てその場で、跡形も無く瞬時に消滅する。

 直撃直前 1体の妖魔だけが、上空高く逃げ出したのを真美は、気づかなかった。
 S級妖魔 ソノベーノ。
 地上の 言葉に表現出来ない すさまじい状況を 恐怖に怯えた表情で、目撃しながらつぶやく。
 「な・・・なんたる ち・・・力・・・ 信じられん あの力 この私でさえ 直撃を喰らったら 一溜まりもなく・・・」 恐怖で言葉が続かない。
 「あのような ラディエンスの力・・・ 初めて・・・ とてつもない力 こんな力に対抗出来るのは・・・」
 だが ある事に気づいた。
 「なる程・・・」 ようやく少し 腹黒い笑みが浮かぶ。

 「はあ・はあ・はあ・・・」
 両腕を前へだらんと垂らし 大きく全身で大きく呼吸する真美 顔には大量の汗が流れ 全身からも大量の汗が流れ落ちる。
 まるで、生気が抜けた表情で、今 自分の放ったバーストの後を見つめる。
 そんな真美に、小夜子を先頭に、ゆっくりと近づく。
 「気が済んだかい 真美ちゃん」 やさしくもあり厳しくもある口調であった。
 ゆっくりと、声を掛けた小夜子の方へ振り向く真美。
 「おばあちゃ・・・」 真美は、その瞬間 全てを使い切った表情で、意識を失い崩れる様 地面に倒れ・・・ その瞬間 大きな2つの手が、地面に倒れ落ちる真美を寸前の所で、抱き上げた。
 隊長の三村であった。
 真美が、倒れる瞬間 猛然ダッシュ 地面に倒れ落ちるギリギリの所で、抱き上げた。
 完全に意識を失う真美を見つめる。
 まるで、我が子を見つめるやさしい父親の眼差しであった。
 「無理しゃがって・・・」 小さくつぶやく。

 その様子を 上空から あのソノベーノが見ていた。
 「なる程・・・ 確かに力は、とてつもなく強力・・・ だが、一気に力を使い切るか・・・」 これ以上無い 不敵な笑みを浮かべる。
 「ふん まあ これでいいかー」 そうつぶやくと、自身の周囲に、亜空間フィールドを発生させ 亜空間フィールド内に出来た 漆黒のトンネルへと消える。
 同時に、亜空間フィールドも消滅。

 「真美ちゃーん」 慌てて由美が、三村し、抱き上げられている真美に走り寄る。
 死んだように、意識を失い眠る真美を見つめる。
 「戦死した あの杉村 敦子と言う訓練生と仲がよかったそうじゃなあー」 小夜子の言葉に小さくうなづく。
 「あの訓練生の死を見て、我を失い 怒り、憎悪、悲しみに、心が奪われ 暴走・・・ あれ程 使ってならぬと、封印をきつく申したあの技を 見境もなく使った・・・ 困ったもんじゃわい・・・」 本当に困った表情を浮かべる小夜子。
 「由美ちゃん お前さんの娘 長生き出来ぬかも知れぬのー」
 小夜子の言葉に、小さくうなづく。
 「はい 小夜子さん これは、ラディエンスの力を持つ 星沢家に生まれし者の宿命・・・」
 「この娘(こ)に取って、この驚異の力 決して、この娘(こ)を 幸福にはしてくれまい・・・」 小夜子も死んだように眠る 真美を哀れな表情で見つめた。




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