LEJENS レジェンス LEJENS以外のSF小説です。 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。 妖魔ハンター 作者 飛葉 凌(RYO HIBA) 第1次妖魔対戦 Part7 その様子を 聖龍神の両手に包み込まれていた真美 僅かな隙間から垣間見ていた。 ただ茫然自失 パパ義人から荷電粒子砲の詳しい内容の説明を受けていた。 もちろん色々な宇宙物理を中心とした科学にかなり詳しい。 専門の科学者程ではないにしろ かなりの部分まで理解していた。 人類に取って、対妖魔用最終最強の兵器だと、思っていた。 自ら持つ最終の大技 "バースト" よりも更に上の威力を持つ そう思っていた。 それを簡単に、身体全体を特殊なミラーコーティングに被い エネルギーそのものを正確に反射させた。 それも自らの妖力を加えて、威力を更に大幅に上げて、例え・・・・ ・・・・たら ・・・・ればは、戦場に置ける禁句 その為に用意周到に、勝つ為の準備を整えておくのが戦略の基本 その点を良く弁えている。 だが、SSS級妖魔ルーシュトラーゼ 人間に姿を変え ジークと名乗って、真美の学校の同じクラスに潜入 その有り余る巨大な妖力を消し 真美ですら気づかせなかった。 直接対決時 瞬時の まさに千載一遇のチャンス時 (ゼロ)もしくは、超至近距離から 相討ち・・・・ いや対消滅? 覚悟の最大限にラディエンスの力を高めて、必殺のバーストを撃ちこめば・・・・・ 僅かに勝機有 そう思っていた。 だが、これでは、バーストを放っても結果が同じ。 SSS級妖魔ルーシュトラーゼは倒せない。 放った真美自身が、ミラーコーティングによるカウンター攻撃によりバーストの餌食。 瞬時に、消滅する。 真美自身死して、消滅する事自体何ら問題ない。 自らそう願っている。 問題は、無傷で、SSS級妖魔ルーシュトラーゼが、生き残ってしまう事。 「私 寂しがり屋なの だから冥途の土産に、SSS級妖魔ルーシュトラーゼのその生命を・・・・・」 などと下らない考えなど過らない。 冷徹。冷酷なまでに、戦略家に徹する。 自らの生命など、戦略目標達成の為 ただの使い捨ての道具であり 将棋、チェス等の使い捨て用の駒のたった1つに過ぎない。 たった1つの最終兵器的超強力な破壊力を持つハードウエアーで、戦局、戦争そのものが、決して決まらない。 その事は、真美自身良く弁えている。 自信の持つ最終大技 "バースト" その典型。 運用する側 つまり運用する人間の能力に大きく左右する。 結局まさに、これも表裏の関係 対称性に位置するソフトウエアーの能力。 真美自身 このソフトウエアーの能力に付いて、自らを全く評価していない。 全くアテにすらならないとさえ思っていた。 ただの無用な長物だけを持つ巨砲大鑑主義の極めて無様な骨頂。 そう思えていた。 真美の最後の切り札 "バースト" 完全に封じられたと同じ状況に陥った。 直接対決時の戦術の根本的見直しを迫られた。 勝算なき戦いは、避けるのが戦略の基本 だが、もはや退路はない。 今ここで退くのは、人類側の敗北を意味する。 退く事は出来ない。 正面からぶつかり活路を見出すしかない。 この世に完璧と言う言葉は、完璧に存在しない そう思っている真美。 必ず、ウイークポイントはある。 だが戦いの最中 果たして見出す事が出来るのか? 長所と欠点は、表裏一体 物質を除いて、全て対称性に出来ている。 上があれば、必ず下がある。 光と闇、山が高ければ、谷は深い・・・・ 昔からの格言 そんな事を考えていた矢先だった。 緊張感の極限状態が続いていた。 今 聖龍神の両手に包み込まれて少し安堵の気持ちがあった。 僅かな隙 一瞬 強い妖力を感じるのが、僅かに遅れてしまった。 突然 聖龍神の身体が激しく揺れた。 「きゃー!!」 思わず悲鳴を上げる真美。 妖魔からの攻撃 追尾してきた2体のSS級妖魔が、聖龍神に対して、攻撃を仕掛けてきた。 真美の救出の為大技を使いほとんどの力を消失した聖龍神 身体を激しくくねらせもがき苦しむ。 苦悶に歪む 大きな口を開け苦痛の叫び上げる。 それでも真美を包み込んでいる両手を胸に当て意地でも手放さない。 少し遅れて白龍神が到着。 先程2体のSS級妖魔の前に立ちはだかり時間を稼ごうとしたが、簡単に両脇をすり抜かれていた。 今度こそ名誉挽回 口から高温の火炎を2体のSS級に向け発射 聖龍神が後退する時間を稼ごうとする。 だが、2体のSS級妖魔 白龍神からの火炎など、全く異にかやさない。 何事もなかったように、しつこく聖龍神への波状攻撃を繰り返す。 「お願い聖龍神 私を放して」 真美は、思わず大声を上げた。 2体のSS級妖魔の攻撃を喰らうたび聖龍神の力が、弱まっていくのをひしひしと感じ取っていた。 このままでは遠からず、聖龍神は、その力を失う。 2体同時に、SS級妖魔との対決 1体でさえかなりしんどい。 だが、そんな事言っていられる状況下ではない。 だがどんなに真美が聖龍神に言っても、聖龍神は、真美をその手から手放そうとしない。 自らまるで駒の様な身体を丸め その中心に真美を置き デフェンス態勢に入る。 何がなんでも守り通そうと強い意思を感じさせていた。 「聖龍神 私 もう回復したから」 そう言いつつ真美は、ラディエンスの力を高め第1戦闘形態に入った。 気まぐれ まさにそう呼ぶにふさわしいこの力 うまくコントロール出来ず、常に激しい変動する。 先程まで、全く高まらず、この様な事態に陥った。 だがようやく少し回復の兆しが見えた。 最低レベルであるが、第1戦闘形態まで、高められた。 その瞬間 いきなり聖龍神の両手が開いた。 真美の懇願を聞き入れたのとは違う。 苦痛のうめき声上げ、遂に手放してしまった。 さすがの聖龍神と言え、2体のSS級妖魔の波状攻撃に、耐え切れなくなった。 そのまま地面に墜落? いや別の手が真美をキャッチする。 今度は、真っ白なまるで、白雪の様な大きな手 そうもう1体の龍神 白龍神。 そのままキャッチした真美を 自らの後頭部に乗せる。 真美のラディエンスの力が、ある程度回復したのを感じ取った。 だがまだ自由自在に飛び回る飛行能力は回復していないのに気付いた。 だが真美が、強い戦闘意欲をみなぎらせている。 このまま後頭部に乗せ真美と共に、強敵SS級妖魔との空中戦を選択したのだ。 そして、もう1体龍神 それも史上最強の龍神と言われる聖龍神もいる。 数の上では、3対2 分があると読んでいるのだろう。 その頃 後方へ緊急退避した生き残っている妖魔ハンターの面々 真美を除く全員が近くの岩陰などに身体を伏せていた。 圧倒的破壊力を核兵器以外の最強兵器 荷電粒子砲 だが直撃弾を簡単に、それもまさにカウンターの如く弾かれ 発射した人工衛星まで破壊された。 もはや打つ手は、生き残っている妖魔ハンターの個々に頼るしかない。 真美の救出に向かった2体の龍神 真美の救出には成功したものの 追ってきた2体のSS級妖魔に退路を断たれ戦闘を余儀なくされていた。 それにラディエンスの力を失っていた真美も最低レベルだが、力の回復の兆しがある。 真美自身を含めて、この全く安定しない 常に、大きく変動 それも置かれた状況など全く無関係に大きく、激しく変動するラディエンスの力に、いつも振り回されている。 だが、今 数少ないチャンスが、巡ってくる兆しがある。 ハイレベルの世界最高峰のプロのスポーツのゲーム(試合)ではない。 これは、互いの生命のやり取りをする戦争だ。 引き合いに出すべきではないが、勝利の女神に、力づく、強引に振り向かせ微笑んでもらには、相手の僅かなミス 小さな1点を強引に大きくこじ開け、致命傷を与える。 今がその時 周囲に点在する仲間である妖魔ハンターの生き残っている面々を見ながら隊長の三村は、そう判断した。 戦略眼に関しては、やや評価が低い。 だが戦術用兵家としては、史上屈指の1人と誉れ高き人物 与えられた戦力を最大限に活かす事に関しては、右に出る者はいないとさえ言われている。 ワイルドギース時代から個々の戦闘に置いて、常勝無敗 ここまで圧倒的戦力差こそなかったが、不利な戦力差の戦いでも 常に、戦術的勝利を収めてきた。 それも決して、後方の安全な場所から指揮するのではなく、自ら最前線の先頭に立ち、自身の部隊を率いて戦い勝利を収めてきた。 まさに歴戦の猛者 その名にふさわしい男である。 残存戦力 手持ちの駒 いかに生かすか? 相手 そう敵妖魔軍に歩調合せ戦う必要などない。 数の面では圧倒的劣勢 もはや勝敗は、決まっていると思える状況下 いつもの事 いつもよりケタがかなり違う。 だが、それでも勝ち抜き生き残る。 打つ手は、やはりあれしかない。 最も得意とする戦法 妖魔軍の最大の戦略的有利差 そのケタ違いの数 その数にもの言わせ極めて正論である包囲殲滅戦を極めて単純に狙って来る。 だが、各部隊の連携 つまり情報の伝達にやや劣っている あれだけの大部隊 どうしても布陣し動かすのに、ある程度タイムラグ(時間差)生じる。 そこが狙い目 こちらは、少数だが、かえって1つに固まり臨機応変に自在動く事が可能。 それに、今ここにいない真美ちゃん程ではないが、全員機動性に優れている。 攻撃型の紡錘陣形をひき 1番手薄な側面から中央突破 分断を図り 各個撃破を図る。 今はそれしかない。 決断したら即実行する そうすればおのずと道は開ける・・・・ 今はそれを信じて、出来るだけの事をする。 三村は、決断した。 「おい 詩織ちゃんに、風吹」 近くのまだ10歳代後半の若いメンバーを呼ぶ。 「いつもの戦法で行くぞ 中央は、俺 詩織ちゃんは、右 風吹は、左だ」 大声を 自らと、自ら率いる妖魔ハンターの面々を鼓舞するよう言い放つ。 「そして、勝つ それと、今 2匹の龍神と共にあのSS級妖魔2体と戦う真美ちゃんの援護に行くぞ」 三村の声に、全員 気合の入った このハルマゲドンの荒涼とした人類最終戦争の地にふさわしい・・・・ と呼ばれる数千年の長きに渡り 数多くの戦闘が行われた砂漠に、この地に永遠の眠りつく全ての者を呼び覚まし震えださせる様轟音となり鳴り響く。 「おう!!」 その一声。 今まで数の上での圧倒的不利に受け身の戦いを強いられてきた。 だが今度は、立場が逆転 こちらから積極的に攻める。 その気迫に満ちた表情が妖魔ハンター全員から漲る。 全員が1つに固まり攻撃型の紡錘陣形を引く 三村の命令通り素早い動き 正面からこちらを包囲しようと3方向から凹陣形を引き突撃する妖魔軍に対して、あえて果敢に正面に狙いを付ける三村。 独特の戦場に置ける嗅覚 正面突破を図り敵妖魔軍を2つに分断 右か左に回り込み各個撃破を狙う。 まさに怪鳥の雄叫び上げ正面の敵に、飛び込む 「全員ひるむなあー 俺に付いてこい!!」 三村のまさに、百獣の王ライオンが、相手をその獰猛の雄叫びで威嚇する様な大声を上げる。 梅雨払い 少し前に出た詩織と、風吹が、その持てる能力をいかんなき発揮 次々と、正面から襲い掛かる妖魔軍の軍勢を薙ぎ払っていく。 確かに数の上では、圧倒的妖魔軍が有利 比較すらならない程の数 だが大多数を占める軍勢は、B、C、D級の相対的に置いて、妖力の強くない。 妖力の弱い妖魔。妖力の強いA級、更に上のS級などほんの一握りの極めて少数派 その点を見越しての戦術であった。 それに妖魔は、過去から個対個の戦いによる武勲を重視する傾向が強く、余り組織だった戦いをしない傾向があった。 今でも確かに兵法に乗っ取った組織戦、集団戦でこそあるが、各妖魔の互いの連携の練度は、余り高くない。 2〜4体の少数のまさにプラトーン(小隊)規模なら多分 妖魔の世界でも仲間同士なのだろう 互いに、あ うんの呼吸の合うのもいるが、これ程の大規模 各指揮官クラスの大軍を動かす用兵家の能力は決して高くない。 多分妖魔の世界の戦いは、個対個の戦いによる武勲を重視 大軍を用いて、組織戦での戦いが余りなかったのだろう。 我々人類側は、組織戦での戦いを強いてくるので、それを見よう見まねマネ、パクリをしているに過ぎない。 うまく各妖魔の妖力の特徴を利用 部隊を編成 場面、場面による適所適材投入などの訓練など、まず行っていないとしか思えない。 ある意味武勲と言うエサをちらつかせ それを目当てに急遽寄せ集めたに過ぎない。 三村は、そう読んだ。 三村の読みは、ほぼ的中していた。 正面の部隊の中央突破する。 分断に成功。 そのまま右に回り込む 半数以下に減らされた部隊の1つの各個撃破の殲滅に入る。 特に、三村の両横に入った詩織と、風吹の活躍は目覚ましい物があった。 次々と正面に現れる妖魔は、まとめて10体程度をほぼ瞬殺していく。 風吹は余裕か? 余りの歯ごたえのなさに、時より不満顔すら浮かべていた。 「こら風吹 気をぬくなあー!!」 三村は罵声を浴びせる。 一瞬の気抜けが命とりになる。 それが戦場の鉄則。 ここは、命のやり取りをする場。 だがどうやらこの部隊 A級以上の妖魔は、配置されていない。 B級以下のそれも寄せ集め。 まさに烏合の衆。 妖魔側に取って、これ程の巨大な軍勢の戦いは、史上初であった。 今までとは、圧倒的にケタ違いの総力戦であった。 前回の奇襲攻撃は、個々による個人戦によって、主要各国に大きな打撃与える事に成功したが、元々組織による総力戦など皆無 個々の戦いによる妖力のランクアップこそが、絶対的価値観であり 全ての基準と言って、言い過ぎとは言えない。 最終的には、妖魔の神々に匹敵すると言うSSS級になる事 そして、全妖魔の頂点立ち 君臨、支配する。 その為に必要なな物 それこそ1部の極少数の妖魔しか知らないある秘密。 遥か大昔 妖魔界で、生まれし女妖魔でありながら 多分唯一SSS級まで上り詰めたラディエンスと呼ばれた女妖魔 妖魔でありながら妖魔の持つ妖力とは異なる異質のラディエンスと呼ばれる力を持ち その後色んないきさつで、地球に現れ その後 謎の消滅 そして、現代に蘇ったその本流の力を運ぶ まさに箱舟たる真美 真美を手に入れた妖魔こそ、SSS級に匹敵もしくは、それすら凌駕する力を得る事が出来る。 それが、最下位のD級の妖力を持たない妖魔であっても。 この戦いに参戦している全妖魔の狙いであった。 元々個人技が最も重視され 少数の仲間による戦い以外 1つの統一された巨大な組織による集団による集団戦など、皆無に等しくまるで経験がない。 互いの連携に欠如 その点を戦場の独特の嗅覚を持つ三村は、決して見逃さない。 僅かな綻び、隙を逃さず、小さな点でしかない様な穴 その点を徹底的に攻めまくり やがて巨大ダムを決壊させる程の致命的な穴に拡大させる。 三村しか出来ない 稀に見る戦術家であった。 右に旋回と同時に、分断された半部隊を 逆に半包囲網で囲み 圧力を加える。 見事なまでの戦術 三村以外不可能と思える闘い方披露する。 だがここまでだった 決して、自戦力が、圧倒的少数である点は、忘れていない。 ただ敵妖魔の軍勢が、A〜Dまでの急造混成部隊であり 個としての戦闘能力が妖魔ハンター側が上回っている過ぎないなど、良く弁えていた。 常に、三村の指揮のもと組織戦に精通した歴戦の猛者揃い その僅かな有利な点を最大限に利用していた。 だが、逆にそれすら意味を持たない強大な妖力の持ち主S級以上の妖力を持つ妖魔 どこかで、この戦いを模様眺めしている。 気配を消し まるでターゲット(獲物)を狙う肉食獣の様に、その鋭いキバを研ぎ澄まし じっとこの戦いを見ている。 いつのタイミングで現れるか? その1点のみ。 複数・・・いや多数かも知れないS級妖魔が参戦するまでに、敵妖魔軍の戦力を出来る限り削除しておく。 今 やれること。 後一押し その時だった 複数の女性の激痛の悲鳴 そうこの声 詩織の母であり 由美の妹 良美の声 断末魔でこそないが、相当の深手を負った声が響く。 由美、良美 姉妹で並んで、互いにかばい合いながら戦いを続けて来た。 霊能力とは、全く異質のラディエンスの力受け継ぐ、星沢家の長女、2女 良美は、2女であり 直系の長女のみ正統に受け継ぐラディエンスの力 2女の為 長女に比べ格段力が劣る。 それでもあらん限りの力を振り絞り 自らのラディエンスの力を物質化し作り上げたワン・オブ・ウエポン単一仕様武器)とも言える ラディエンスの力を持つ者の象徴と言えるライトソードで、必死にここまで戦ってきた。 だが今1番のウィークポイント(弱点)でもあった。 「何か、とてつもない強い力 まさしくS級妖魔の妖力 来る それも複数 別々の方向から」 由美、良美の姉妹 同時に、小さな呟き声でこそあったが、強い気配を感じ取り 互いの死角をカバーし合う様デフェンス態勢に入った。 同時に、4ヶ所から何か? まさに黒い旋風 決して、肉眼では見切れないとてつもない 何か得体の知れない力が、瞬時に2人の姉妹の周囲を駆け巡った。 多分真美の最大戦速に近いスピード もう肉眼では追いきれない 感覚を研ぎ澄まし いわゆる心眼と言うべき気配、感覚だけで捕らえなければならない。 全盛期 まだ若かりし頃の由美 この様な妖力を持つS級妖魔との対決を何度か経験 その経験が本能となり何とか防ぐ。 だが長女の由美と違い 2女であり ラディエンスの力も劣る良美 これまでS級妖魔との直接対決の経験もない。 流石に対応出来ない。 数ヶ所から血を流しながら地面に前のめりに崩れ落ちる。 「良美ちゃーん!!!」 姉である由美の悲痛な叫び声。 目立った外傷は少ない。 だが妹である良美から発するラディエンスの力が、急速に弱まっている。 どうやら外側からの直接の打撃ではない 内側からの何やらの致命的ダメージを与える攻撃なのだろう。 傍らで倒れた良美 だが由美は、その良美を抱え後退する事すら出来ない。 4つの黒い旋風 直ぐに反転 再度由美に、襲い掛かってくる。 血を分けたたった2人の姉妹 今直ぐにでも負傷者を後方へ下げたい。 今ならまだ助かる。 だがそれが許される状況下でもない。 持場に穴を開ける事も出来ず。 穴を開ければ、一気にそこから崩壊する。 たった8人 今7人だが、1万を超える妖魔を相手に、戦線を築き 全員孤軍奮闘している。 互いを信じて。 人類に残された最後の希望、防波堤として・・・・ いやそれ以前に1人の母として、そう今 離れた場所で、あの3体のSS級と死闘する娘 真美を守るため その真美を救出に向かい一緒に戦っている 神楽家が使役する最強の龍神 2匹の聖龍神と、白龍神 そして、真美と合流する。 そして、当初のプラン(計画)通りに・・・・ 妖魔に勝ち生き残る その為の最善の方法 そう信じる。 だが現実は、重症を覆っい傷ついた妹 良美を後方に退避させ事も出来ない。 このままでは見殺し。 その時だった。 「お母さん!!」 悲痛なまだ大人に成り切れない少女の悲痛な叫び声。 そう声の持ち主 良美の1人娘 と言っても実は、本当の血を分けた自ら産んだ娘ではない。 だが実の母娘以上の強い繋がりを持つ その点 由美と真美との関係にも似ている。 ある日 そう17年以上前 ある山深い奥地の小さな集落で起きた 複数のC,D級妖魔による集落皆殺し事件 その時 まだ生後多分10日も経っていない 小さな女の赤ちゃんを除いて、惨殺された公式には、国家によって抹消された事件 たまたまその時 その近くに良美がいた。 妖魔のり気配を感じその気配する方向へ向かった。 そこに小さな山間の集落があり 集落に住む人達全員 複数のC,D級妖魔により惨殺されていた。 1足遅かった。 だが一軒の家から 生後間もない赤子の泣く声が響く。 そこへ行くと、その子両親だろう 我が子を守ろうとした男女の惨殺された死体 それにその周囲には、複数のC,D級妖魔の何かとてつもない力を喰らい倒れた死体が散乱していた。 しかし可愛いべビーベッドで泣き叫ぶ幼い生まれてまだ10日ぐらいしか経っていない赤子だけは、何故かかすり傷1つ追わず無事。 その子に近づく良美 その子から発せられる強力な力 そう代々2人の娘しか生まれず、最初に生まれた長女にその正当な力を受け継ぎ、2女には、長女と比べて、ある程度の力を受け継ぐ、妖魔と戦う神秘の力 ラディエンスの力 人類で唯一星沢家に生まれし女にしか受け継げない力 だが、その子からは、信じられない力が発せられていた。 「どうして・・・・」 意味が理解出来ない。 「この力 私達しか受け継げないラディエンスの力 それなのに、何故この子から それも姉さんに近い いや同等? と思える強い力が・・・・」 そうこのラディエンスの力 同じ力を持つ者は、互いに共鳴し感じる事が出来る。 「多分 この子の持つラディエンスの力を知った妖魔が、この子の生命を狙いに・・・・」 そう思いつつ良美は、ベビーベッドで泣く赤子 まるで生まれたばかりの実子を愛おしむ母の手で抱きかかえる。 すると、不思議なことに、今まで泣き叫んでいた赤子は、泣くの止め 良美に向かった少し笑った。 まるで、今抱きかかえている良美が、実の産んだ母であるかのように、精一杯の愛情を見せる可愛い、愛おしい笑顔を見せた。 「この子を守り育ててあげられるのは、この私しか・・・・」 そう思った。 多分同じラディエンスの力を持つ者の同士の共鳴反応だったのだろう。 そしてその子を包んでいた産着には、「詩織」と言う文字が刻まれており それでその子の名前を「詩織」と命名 夫との間に出来た実子した。 偶然にもその一部始終を見てしまった詩織 思わず何も考えず持場を離れ母である良美の元へ駆け寄ろうとする。 「持場を離れるなあー!!」 三村の声 静止しようとしている。 今 詩織が持場を離れれば、陣形は、崩壊する。 だが三村の命令も詩織の耳には届かない。 今ここは、冷酷なまでの修羅の掟だけが支配する世界。 下手な感情など何も役に立たない。 「詩織さん ここへ来てはダメ 持場を死守しなさい」 詩織の動きを見て三村同様 詩織の静止しょうとする由美。 詩織の心に、「来ちゃー ダメよ」 弱々しいラディエンスの力を持つ者同士が、通じ合える一種の以心伝心そうテレパシーに似た言葉が心に響く。 ラディエンスの力には、テレパシーはない。 だが詩織の心の耳には確かに聞こえた。 間違いない母 良美の声。 思わず立ち止まる詩織。 その表情には悔しさが漂っている。 今直ぐにも母良美の元へ行きたい。 だが今それが、決して許されない。 動きが止まった詩織 全面に展開する妖魔軍 その僅かな隙を逃してくれる程甘くない。 一斉に詩織に襲い掛かった。 その時 まるで大空を支配する伝説の怪鳥の様な雄叫びを上げ 1人若い そうまだ高校生ぐらいの若者が、間に立ち塞ぐ、そう妖魔ハンター次代のエースと目され、武道の天才、神童と謳われる風吹。 左右の手に、1本づつのヌンチャクを持ち 2本のヌンチャクを巧みに、それもだれの眼にも止まらぬ速さで、詩織に襲い掛かろうとした妖魔兵を次々に撃破する。 2本のヌンチャク 見た目通り通常のヌンチャク 他だし風吹の霊能力 フュージョンによって、材質そのものからまるで別物になっており 1撃を喰らへば、例えA級妖魔でも簡単に撃破する程の破壊力を持つ。 霊能力を使わず、あの史上最強の男と言われる三村と、模擬戦で、ほぼ互角の実力を有する。 「何をぽけっとしているのですか?」 「気持ちは良く解りますが」 風吹の叱咤の声が飛ぶ。 今 だれもが手が一杯の状態。 そんな時だった。 「みんなあー お持たせ!!」 若いまるで、この世に降臨した美少女女神の澄んだ美しい声が響く。 そうこの声 間違いない真美の声。 声のする方向を見る。 金色に輝く聖龍神の頭部に跨り、白龍神を従え こちらに向かって、急行している。 逃げ出した真美を再度捕らえようとし囲まれたSS級妖魔3体 倒したのか? いや違う。 うまく巻いたのか? それもどうやら違う。 何の前触れもなく突如後退 戦線離脱した。 普通考えられない。 3方向から完全に包囲網を築きあげながら 不敵な笑みを浮かべ、突如後退した。 その様子に、呆気に囚われるも 大至急仲間の妖魔ハンターの元へ駆けつけた。 聖龍神から飛び降り ママである由美の元へ着地する。 同時に一気に第3戦闘形態に入る。 何をするのか? だれの眼にも一目瞭然。 「あの部分に風穴を開ける。 開いたら零夜さん 白龍神で、良美おばさまを 後方へ」 真美の言葉に大きく頷く零夜。 同時に、真美の最終必殺の大技バーストの構えに入る。 それを見ながら妖魔ハンター室長小夜子が、困った顔を浮かべながら呟いた。 「困った娘(真美)じゃわい」 「今日はここが潮時かも知れぬ」 西に大きく傾き始めた太陽を見ながら小夜子が呟く、真美の狙いは、余りにも単純明快であった。 真美は、バーストで開く風穴を そこを脱出路にする。 叔母である良美を白龍神で、後方へ そのつもりだ。 だが戦線は、膠着状態へと向かいつつある。 このままでは、無意味な消耗戦になる。 ここは、一時撤退態勢を立て直すしかない。 消耗戦になれば、数の上 圧倒的不利。 数に呑み込まれ何も痕跡すら残されないように消滅する。 それに生き残っている妖魔ハンター全員 長時間の戦闘 各々の持つ特殊能力の限界まで高めここまで戦ってきた。 だがそろそろ限界 疲労の色が濃くなってきている。 無限のスタミナ、回復力などない。 交代要員も まして予備戦力、予備要員もいない。 ここは1度後方へ撤退すべき。 それは、どうやら妖魔側も同じようだ。 中心になって戦っている 多数のA級以下の妖魔も 目立って動きが悪くなってきている。 その証拠に、真美ちゃんが、バーストの構えに入っただけで、その軸線上のいる妖魔の慌てふためき右往左往ぶり されに、最も重要なのは、真美ちゃんじゃ 必殺の大技バーストを撃てば、全エネルギーを一気に消耗 その場で意識を失い 下手すれば、数日間は、意識が戻らない。 そこまで考えておるのかどうか? ただ叔母である良美ちゃんを助けたい その一心じゃろう 何も後先の事など考えておらぬ。 本当に困った娘じゃ・・・・・ そう思いつつ近くにいる隊長の三村に、それとなく 全員の即時撤退のサインを送る。 三村が大きく頷く、どうやら同じ事を考えているようだ。 ここが限界点 そう判断している。 他だしそれは、相手との問題 ほとんど短時間しか戦闘に参加せず、模様眺めしているS級以上の強力な妖力を持つ妖魔 真美が意識を失った瞬間 総攻撃をかけてくる その可能性は、否定できない。 こちらの思惑通りになれば・・・・ そううまく行くか? 簡単に問屋は下してくれまい・・・・ 「今よ!」 零夜に声を掛ける。 同時にエネルギーを1点に集中高めていたバーストを正面に向かって放つ。 膨大な算出不能なエネルギーが光の線となり 正面に軸線上で、恐怖に怯え慌てふためき右往左往で、逃げ回る妖魔軍の主力部隊の1つに直撃 瞬時に直撃を喰らった正面に軸線上の部隊は、消滅 直撃こそ避けられたが、その付近にいた妖魔兵も 余りの威力を持つバーストから発するソニックブーム(衝撃波)により大きく弾き飛ばされる。 その後は、全くそこに、何も存在していないかのような ただ何もない通路、風穴が、直線に続く。 その光景に思わずただ茫然とまるで魂が奪われ見つめる事しか出来ないA級以下の多数の妖魔 噂には聞いていた。 妖魔の神々にも匹敵すると言う最上級のSSS級妖魔に匹敵すると、噂される真美の最終必殺の大技 "バースト" その威力を眼にした。 ただ余りのすさまじい威力に怯え まさに石で出来た石像に様に、その場で硬直しか出来ない。 その隙に、零夜は、白龍神を使う そっと、深手を負っている良美を両手で抱える白龍神 そのに飛び乗る零夜 そのまま全速で、真美が開いたまさに、周囲を妖魔軍に囲まれたこの状況下、唯一の撤退出来るセフティーゾーン(安全地帯)に、全速飛行を開始する。 今しかない。 全く動かない石像化した様な妖魔の中を。 にゃっ 少し口元を動かす真美 同時に、全てのエネルギーを使い切った様に、第3戦闘形態から通常状態へと解除 そのまま意識を失い後方へと倒れ掛かる。 地面に頭から落ちる。 その直前 何かの不思議な影の様な物体が、両手を伸ばし真美を救い上げる。 そう隊長の三村の霊能力 "ファトム"。 こうなる事を見越して、三村は、真美がバーストを放った瞬間 ファトムを真美の後方へ向かわせ 倒れる瞬間を支えた。 「全く無茶な無理ばかりしやがる」 そう言いつつ三村は、「今だ 撤収!!」 三村の後方にいる全妖魔ハンターの隊員に、命令を下す。 こちらの動きに合わせ妖魔も後方に撤収するばす。 このまま戦っても混乱状態 指揮系統が乱れ ただの乱戦になる。 無用な戦力の浪費は、妖魔も同じはず。 そう読んでいた。 他だしこれは、三村の願望に近い 例え無意味と思える無様な消耗戦になっても数の上 圧倒的に多い妖魔軍 1体の妖魔でも生き残れれば勝なのだ。 戦争、戦場での数の有利差はそこにある。 「やつらは、その点に気づいている その為 これ程の巨大戦力を用いている」 そう呟く。 良美を抱えた白龍神が、真美の開いた風穴を全速で突き切る。 それに合わせ妖魔ハンター全員が、密集隊形を組む。 先頭は、最強の龍神 聖龍神。 まさに浮き足たち茫然自失の妖魔軍勢を更に威嚇する様大地を揺るがす低く大きな雄叫びを上げる。 まるで、この場の支配者は、自らだと宣言するかのように。 祝詞を称える小夜子が、異変に気付いた。 強大なそうもはや算出不能な妖力を持つ妖魔 そう間違いないあの妖魔の神々にも匹敵すると言う この妖魔軍を率いるSSS級妖魔ルーシュトラーゼ そして、それ以外にも3体の強力な妖力を持つSS級3体を率いて。 「止まれ聖龍神!!」 思わず声を上げる。 空中停止する聖龍神の前に、突如SSS級妖魔ルーシュトラーゼ その背後には、3体SS級妖魔を従え現れる。 だが、殺気を全く感じない。 「ここまでのあなた方 人類 妖魔ハンターの戦い 感服しました」 微笑みを浮かべながら穏やかな口調 だが何か含みを持っている。 密集隊形のまま立ち止まり戦闘態勢に入る妖魔ハンター全員 その言葉簡単に鵜呑みにする気などない。 「よくぞそれだけの少人数で、これ程の巨大な大軍相手に善戦・・・・」 「何が言いたいんじゃ!!」 思わず口を挟む小夜子 長々と話をする気などない。 少し呆れたポーズを取るルーシュトラーゼ。 「もはや日没 互いに疲弊、疲労が激しい」 そう言いながら周囲を見渡す。 「そこで提案なのですが、ここは、互いに一時撤退 明日早朝の日の出まで、休戦としませんか?」 そう言い放つ。 「・・・・」 ただ鋭い眼で睨む小夜子。 簡単に信じる事など出来ない。 それを察してか? 「全員素早く退却せよ」 号令を発する。 まるで何か催眠に掛けられた夢遊病者様に、ぞろぞろと、周囲を点在していた妖魔兵が、まるで押し寄せた大波が、何も無かったかのように引いていく。 更に後方にいた3体のSS級妖魔も うやうやしく大きく後退する。 周囲には、護衛する妖魔1体いない まさに無防備。 そう演出する。 「これでどうです」 「今 あなた方の目の前にいるのは、この私し1体」 だが言葉とは裏腹に、余裕の表情を浮かべている。 だず妖魔ハンター全員 全くその言葉を信じていない。 そのはず1体になったと言え その秘めたる妖力は、退却した妖魔全員が束になっても全く歯が立たない程の強力な妖力を秘めている。 この瞬間襲い掛かれればここにいる全員 間違いなく何も抵抗すら出来ず瞬殺される。 それ程ケタ違いの妖力を持つ。 頼みの綱は、真美1人 だが今 全エネルギーを使い果たし意識を失い眠り続けている。 「信用とていいじゃな」 小夜子が言い放つ。 こちらが、撤退しようとした矢先 向こうから提案してきた。 何かこちらの考え、動きを読まれている。 余り気分の良いものではない。 だが、妖魔ハンター全員 今は、休息が必要。 だがこの様子 不敵に口元を緩め小型無人偵察機ドローンから送られる映像を見ている。 これから何やら良からぬ事を始めようとしている。 そんな大軍勢を率いる後方安全地帯陣取るある国の軍隊。 世界最大の人口を有し 特に陸兵部隊の総兵力は、抜きに出た多さを誇るアジア最大の超軍事大国C国。 その軍を率いる最高幹部達。 こう言う場面が訪れる そう信じて待ち望んでいた。 必ず来る。 SSS級妖魔ルーシュトラーゼが、1体になるその時を。 虎視眈々と息を潜め まる、凶暴なで肉食獣が、狙いを付けた獲物(ターゲット)を 風下で、息を殺しその時が来るのをひたすら待ち続ける。 まさにそれであった。 襲い掛かる瞬間を。 今がその時。 不敵に口元を少し歪ませる。 「命令が下った 全軍目標に向かい最大戦速で突撃開始 目標を殲滅せよ」 勝利を信じて疑わない自信に満ちた号令を下す。 数万規模の大兵力 そのほとんどが地上部隊の陸戦兵力 かってこれ程巨大な兵力を一気に投入にした戦線は、多分歴史上存在しないだろう。 その様は、まさに怒涛の如く押し寄せる巨大な津波の様に、荒涼とした岩砂漠を同じ柄の砂漠用の迷彩色の戦闘用軍服で埋め尽くし、地鳴りを上げ砂漠の細かな砂を高々と舞い上げ押し寄せてくる。 先の妖魔との初対戦が、余りなく、ほとんど被害がなかった。 他の主要国の戦いをそれなりに研究していた。 最新のハイテク兵器など全く通用しない。 だがどんな強者でも無限と思える兵力の数を持ってすれば、必ず勝利出来るそう信じていた。 もしこれでダメでも最後の強力な最終兵器である最強の核兵器が、もはや何発も撃ち込める準備が、本国に整えられ後は、発射ボタンを押すだけである。 もちろんここで投入した兵士は、使い捨て駒 これだけの兵力を一気に失うのは、確かに痛手だが、まだこの程度損失した兵力など、物の数ではない。 それを遥かに上回る大兵力が、まだ本国に残されている。 問題などない。 そして、人類に取って、最大の敵である妖魔の支配者であるSSS級妖魔ルーシュトラーゼを倒した最大の功労国である我が人民国家が、地球及び人類の支配権をその手中に納め 全て自国の文化、基準、社会制度・・・・によって支配する。 我が国こそ中原(世界の中心と言う意味)の華(全ての文化の中心)の名を国名に頂く人類社会の支配国に最もふさわしい。 野心、野望をむき出しにした笑みを浮かべる総司令官。 数こそが、最大の武器 そう信じて疑っていない。 余りにも急速に、まるでインフレーションを起こした様に急膨張する人口 それを抑制すると称して、1人っ子政策などと称する対外向けのポーズ 裏では、戸籍に載らない闇っ子が急増加 統計にこそ載らないが 推定数億人に存在すると言われている。 今ここにいる兵士 特に一般地上部隊の兵士のほぼ全員が、戸籍に載っていない闇っ子で占められており この戦いの活躍で、正式な戸籍が寄与される・・・・などの各種特権がある。 ようはただの使い捨ての駒兵士 戦況がそれでも不利に推移すれば、本国に整えられている核ミサイル ICBMを何発も撃ち込めばよい。 ここにいる全陸上兵士が道連れになっても大した戦力の消耗にはならない。 元々使い捨ての駒 せいぜい有効利用させてもらう そう思いつつ不敵に笑み浮かべる総司令官。 怒涛のまさに砂煙を巻き上げ進撃するC国軍地上陸戦部隊 その数数十万を超える史上最大規模の大部隊 あの第2次世界大戦で、有名な史上最大の作戦 ノルマンディー上陸作戦 通称Dディを遥かに超える兵士数 ほとんど戦車などの重火器兵器など見当たらない 陸戦用歩兵 指揮官クラスが乗るジープなどに搭載されている、ガトリング砲や 歩兵が扱える小型対戦車ミサイル程度の軽火器類程度 まさに黒づくめではないが、砂漠を埋め尽くし覆う兵隊蟻の大部隊がたった1体の敵 ターゲット(獲物)に向かって、怒涛の如く突撃してくる。 手には軍用ライフル以外 各々が、中国刀、中国剣、青龍刀、単剣、双剣、短穂剣、長穂剣、双手剣などの武器を腰に携えている。 主に近接白兵戦を想定しているのが明白だが、最新の強力な破壊力を持つハイテク兵器類が、全く通用、効果がない。 逆に古い時代から霊力を秘めていると謳われる名刀、名剣なら使用する人の本来持つ能力によるが、使い手によって十分有効的な武器となる。 他だしこの史上最大規模の歩兵の携えている武器は、世界の工場となった工業力を生かした大量生産の安価な模範品に過ぎない。 そんな事知らず、敵はたった1体 これだけの歩兵で、一気にかかれば、赤子をひねるより簡単・・・・ そう教え込まれ 敵の首 もしくは、それに準ずる活躍した者には、ここにいる歩兵のだれもが欲しがる戸籍 それも農村戸籍ではなく、都市戸籍が与えられ その他各種特権、優遇措置などの報奨 それを手に入れる為に参加した者 にわか仕込み素人 戸籍がない為学校にも行っておらず、まともな教育、読み書きすらまともに出来ない闇っ子と呼ばれている者ばかりであった。 「何を血迷った事を・・・・!!」 思わず苦虫を潰した表情を浮かべ、吐き捨てる小夜子。 だれの眼にも明らか、ただ数だけ、統一され、連携された動きなどまるでないど素人大軍 「もしは、禁句だが、今 真美ちゃんが、意識を取り戻しており この状況を見たらどんな辛辣な毒舌をまき散らした事か・・・・?」 思わず呟く小夜子。 それ程常道を逸した暴挙。 あの真美の美しいとても同じ人類とは思えない美しさ それが、ポイントを正確に見抜き その最も重要なポイントに対して、すさまじい情け容赦のない一刀両断、毒舌を言い放つ時がよくある。 真美の秘密 元々数々の壮絶な修羅場を潜り抜けてきた40歳代の未婚のスネップ それが、どんな事象だか、本人すら知り得ない生まれ持ったラディエンスの力の覚醒により 今の姿、年齢に性転換してしまった。 余りのギャップ 全く接点など、とても見いだせない。 だがその本質は、40歳代の未婚のスネップ。 決して、現在の見た目の17歳の少女ではない。 地響きを上げただ闇雲に、大声を上げ突進するC国地上陸戦の兵士達。 だがそれを見ても顔色1つ変えない SSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 ただ呆れた表情と、口元を不敵に少し歪める程度。 全く数にしていない。 どこからともなく黒い影が3体 そうSS級妖魔の3体が、忽然と現れ進撃を妨げる。 異様に発する巨大で、何もかも死を発する圧倒的妖気に、数十万を超えるC国軍兵士全員が呑み込まれ だれもが微動だ出来ない だれもが死にたくない。 本能がそう告げている。 だれが我を忘れ1歩でも前に出れば、そこには、一瞬にして大量の死が訪れ そこには、大量の亡きがらと血の海と化する。 だれもがそう感じ取っていた。 ここにいるだれもが、他人の屍の上に立ちその甘美な特権をその手に入れる。 それが最大の望みだ。 都市部に生まれず、貧しい農村部に生まれ 戸籍 それも農村戸籍も与えられず、その為各種権利 例えば学校にすら行けず、ただの農作業用の家畜と対して変わらない扱い。 ただの労働力。 伝統的に多産が幸福と言う観念 1夫婦に5人以上の子だくさんなど、取り巻く環境の劣悪 そこに軍が眼を付けた 全世界への建前上の1人子政策 都市部では、かなり厳密に守られたが、人口の過半数を遥かに超える農村部では有名無実化 最初に出来た子が、女の子ではなく男の子が生まれるまで、親は、決して出生届を出さない、男の子が生まれても、もしもの保険と言う意味合いで、また数人の男の子が生まれるまで子供を産み続ける。 もちろん最初に生まれた男の子以外 出生届など出さない。 名目上1人っ子政策が守られている。 貧しい農村部には、農民戸籍も持たない 所謂闇っ子が、溢れていた。その為 徴兵制を強いてこそいるものの軍への入隊年齢に達して、戸籍を持つ最初に出来た男の子を徴兵に応じる親などいない。 極度の兵士不足に陥りかけた。 そこで半端お目こぼしで、見逃されてきた農民戸籍も持たない闇っ子に眼を付けた。 正式な、都市、農民戸籍を持つ者よりも圧倒的数が多い。 そういった闇っ子で、体力だけは、抜きに出ている男子を 半端人さらい同然、人身売買で、それも僅かなお金 それでも貧しい農家に取っては、かけがえのない現金収入と引き換え軍へ売られていった。 そこでにわか仕込み軍事訓練と、政府に取って都合の良い教育と言う名の元のマインドコントロール(洗脳)、いやインプリント(刷り込み) 軍で功績を上げれば、夢にまで見た都市戸籍が与えられ 煌びやかな大都市での まるで、TVや映画の様な憧れの生活が与えられ、保障されると言う触れ込み。 その下に隠された物など知る由もない。 ここにいる他の兵士が何人犠牲になろうと、構わない。 自分だけが生き残り その多数の屍の上に立ち、最大級の功績を上げ各種特権をその手入れる。 それだけが目的であった。 不敵な笑みを浮かべ立ちはだかる3体のSS級妖魔。 ただ冷酷に、口元に薄笑みを浮かべる。 まさにこの程度の数 ハンディすらならない。 そう言った表情であった。 小さな砂漠特有の風が砂を巻き上げる。 一瞬の沈黙 それが合図となった。 全身から巨大な妖気を高める。 同時に足元の砂は、大量に重力に反してゆっくりと舞い上がる。 ほとんど視界が効かない。 ただ砂煙にC国軍兵士数十万を超える兵士が覆われる。 不気味な静寂に包まれる。 何が起きたのか? ここで対峙したC国の1部後方から命令を下していた高級将官以外ですら解らない 舞い上がった細かな砂が、ゆっくりと落下しようやくぼんやりと視界が開けてくる。 そこで見えた物 ただ無残に焼きただれ、また粉々に粉砕されたなど あらゆる原形すらとどめない変死体が散乱しあたり一面を覆っていた。 だれの眼にも明らか? 生存者はいない。 ただそこは、変死体で埋め尽くされ 死体の流した大量の血によって、塗り固められた赤い砂だけが漂っていた。 言葉を絶し ただその模様を まるで魂を奪われ 何も理解出来ない表情を浮かべ見つめる事しか出来ない。 僅かに残った高級士官たち。 史上最強の作戦と謳われた 第2次世界大戦で、フランスのノルマンディー地方に、当時の連合国が、大軍を上陸させた規模を大幅に上回る規模の兵士 数十万を遥かに超える大軍 それが、僅かに数秒で、それも人類最大の汚点、汚物と言える愚劣の骨頂の核兵器などの大量殺戮兵器などの使用ではない。 僅か3体のSS級妖魔 その高められた妖気によって、瞬時に全滅 それも1部後方で、命令を下していた高級将校を除いて。 自らこれこそが、史上最大の作戦と、自ら高らかに豪語すら目論んでいた。 だが結果は、逆 史上最大の殲滅戦 一瞬に数十万を超える兵士を失った。 ある意味 史上最大の大量味方殺し。 「お・・・・おい」 ようやく高級士官の1人が我に返る。 「本国の・・・・本国の総司令部にこの状況を伝えねば・・・・」 まるで全ての生気を吸い取られ蒼白の表情 言葉が震えている。 まだ後方にこれ程の規模ではないが、予備兵力数万を超える規模の大軍が控えている。 混戦なった時 投入するこちらも闇っ子がほぼ全員と言った使い捨て用のまさに駒であった。 だがむやみに使い捨て用と言っても今ここで投入する事など出来ない。 この時点 史上最大の殲滅戦を起こした将官としての汚名 本国へ送還となり軍法会議かけられ極刑はまのがれない。 これだけの使い捨て用といっても史上最大の規模の大兵力を用いて、たった1体 それも最下位レベルのC,D級妖魔1体すら 傷つける事すら出来ず、瞬時に失った責任は大きい。 本来のプラン(作戦)である大兵力を用いてSSS級妖魔を取り囲み混戦状態を作り上げ、最後に本国から核兵器搭載のICBM(大陸弾道弾)を射ち込む だがそのSSS級妖魔を取り囲む以前に、格下のSS級妖魔に、一瞬に数十万を超える大兵力を殲滅させられた。 「下らない余興・・・・・」 全く数にすらしない口調で言い放つSSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 「我ら妖魔の持つ力を知らぬとは・・・・」 少し哀れ気味に言い放つ。 「あの国に古(いにしえ)から伝わる格言 "敵を知り己を知らば、百戦しても危うからず・・・・" ただのお飾りのだったのか・・・・」 勝ち誇りここにいる全人類に対して、まさに諭す様 ムダな抵抗などするな そう言いたい含みを持たせ 澄み切ったボーイソプラノの美しい音色で、聞こえる様 多分地球いる全人類に対しても その美しいボーイソプラノの音色が、心にまで響く様言い放つ。 意識を失っていた真美を抱っこしていた三村 数々の人類同士の戦争の歴史に残る様な激戦、1兵士として、または、プラトーン(小隊)などの指揮官として、最前線で戦い生き残ってきた真の強者(つわもの) 眼を覆いたくなるほどの修羅場、地獄図を何度もその眼に見てきた。 だがここまで惨い数十万の将兵の一瞬にして、虐殺され 死体と、その流した、まさに血の海と化した戦場 ここまでは、初めてであった。 吐き出す言葉さえ出ない ただ魂の抜け殻となり茫然と見つめるしか出来ない。 そんな時だった両手で抱える真美の 多分三村以外気づく事がなかっただろう 意識を失いメルヘン童話に出てくるようなヒロイン そうスリーピング・ビューティ(sleeping beauty=眠れる森の美女)の様な だれか 決して三村自身ではない 真美のハート(心)を射止める様な男のキスでもしなければ、目覚める事が無いような深い意識の底に沈みこんだ眠りについてた真美 退却路を作るため全てのエネルギーを使い果たし 下手をすれば数日間は、決して目覚める事がない。 今最も無防備の状態 だが何故だか? 今までとは、少し様子が違う。 三村の勘違いなどではない 何か互いを引き寄せあう強力な磁力の様な物に、引き寄せられるよう 抱きかかえる真美の身体が、僅かながら 第2戦闘形態以降に発する神々しいばかりの淡い白い光が発し始めた。 ただ唖然と見つめる事しか出来ない三村 いったい真美の身に何が起こっているのか? 「どう言う事だ?」 思わず言葉が漏れる。 ただ不思議な事に、真美が発する神々しいばかりの淡い白い光 強力な霊能力を持つ三村でさえこの力を まるで微弱な電気を浴びた様に感じるが、何故か力を感じない? ただ発光している そんな風に感じられた。 深い闇の底に落ち込んだ様な眠りに付く真美の口元の表情が少し動いた。 「通常1日以上は、決して意識が回復しないはず」 思わず呟き声が漏れる。 見間違いではない。 何か巨大な力に引き寄せられるよう真美が、ぼんやりとだが、その両目を開き始めた。 何かに導かれる様に、両目を開ける真美。 確かに意識を失い混沌した状態で、眠り続けていた。 深い闇の世界にただ漂っていた だが何かに誘(いざな)われるよう急遽覚醒が始まった。 同時に押し寄せる大津波の様に、意識を失っていた時間の周囲で起きた出来事が、その瞬間を見ていたように、それも僅か瞬時に刻まれる。 いったい何が起こっていたのか? 全てを把握していた。 そして今の状況も。 「三村隊長 下して」 まだ完全に目覚めていない。 だが三村の両腕に抱き上げられているのは解っている。 「すまん」 そう言いつつ三村は、やさしく真美を下す。 両足をしつかりと地面につけるが、少しふらつく真美。 まだスタミナ等は、全く回復していない。 慌てて三村が後ろから支える。 太陽は、今 地平線の彼方へと沈み サンセットからトワイライトへと。 天空には星々が。 TOPページへ 第1次妖魔対戦 Part8へ NEXT copyright (C) lejens All Rights Reserved ページ内の無断転載厳禁