LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。



 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 第1次妖魔対戦 Part6

 ここまで、対SSS級妖魔 ルーシュトラーゼ用に、スタミナ等温存の為控えてきた真美の本来持つポテンシャル だが現状第3戦闘形態で、ルーシュトラーゼ親衛隊 SS級妖魔 3神将のエンペラーガードの三位一体のトリニティ・アタック。 1体づつのにバラけさせ各個撃破戦術に持ち込みたい狙いを完全に読まれていた。 見事な連携 3神将のエンペラーガードの全く隙を与えず、薄く1枚1枚 まさにスタミナをはぎ取っていく様な攻撃。 真美の第3戦闘形態を維持できる時間を知っている。 真美自身 妖魔戦闘中余り見せたことがない 両肩を大きく上下に動かし 身体全体から大量の汗を浮かべ、大きく喘ぐよう深呼吸を何度も繰り返す。 もはやスタミナ切れ 限界に達しているのが、だれの眼にも明らか。

 「身体が、バラバラに砕け散りそう・・・・・」 真美にしては、珍しく思わず、声にこそ出さないが、弱音を漏らしそうになる。 表情にも出せない。 ポーカーフェイスを装う。 こんな弱音敵妖魔に悟られては、隙を突かれる 相手は、ルーシュトラーゼ親衛隊 SS級妖魔 3神将のエンペラーガード 一瞬の隙、油断が勝敗を決める。

 それ以上に、精神面での疲労も蓄積されていた。 全く気の抜けない緊張感を持続状態が続いていた。 張りつめた糸が、何度も切れそうになった。 それを支えていたのは、羽衣となり真美を ポロポロの布となりながら常に、心のまさにテレパシーで、励まし続けていた敦子の存在。

 「真美ちゃんがんばって・・・・」 「真美ちゃん そんな事で負けちゃダメ・・・・・」 必死に支え続けていた。

 「何とか突破口を・・・・」 そう思いつつも 三位一体のトリニティ・アタック 全く付け入る隙を見いだせない。

 余りの絶妙なコンビネーション あのスピードと、動き さすがに最上位ランクSS級妖魔 互いに、一種のテレパシーによる交信で連携している。 間違いないだろう。 1対1ならばなんとかなる。 だが3体による三位一体のトリニティ・アタック 「詩織姉ーがいれば・・・・・」 思わず内心愚痴が漏れる。 同じラディエンスの力を持つ従姉妹。 だが詩織は、S級妖魔と戦えるの限度の力しか持ち合わせていない。 まともに戦えば簡単にやられる。 だがいつも並んで戦ってきた。 あ うんの呼吸はぴったり。 真美が1体の強い上位クラスの妖魔に集中して戦える様 いつもサポートしてくれていた。 時には、相手の妖魔の隙を作るフェイントなど、詩織の存在が大きかった。 今でも真美が、SS級妖魔3体と集中して戦えるよう 軍事学上 非常識の圧倒的戦力差 S級以下の妖魔 大多数を 詩織を始め残りの妖魔ハンター達が、一手に引き受けギリギリを遥かに超えた戦いを自ら強いていた。 その中で、代償として、西、沙耶、佐伯を失った。

 真美は、稀に見る戦略家としての資質を育んでいるものの 何故か? 余り戦術家、特に戦術用兵家としての非凡な才能を欠落していた。 兵を自在動かす。 その点 隊長の三村は、歴史上の歴戦、激戦を 兵を引き戦い何度も戦術的勝利を勝ち取った歴戦の猛者 独特の嗅覚に非常に優れていた。 真美は、個としての戦闘能力 相手の心理をかぎ分け読み取る嗅覚 つまり匂いのかぎ分ける能力には、際立った能力を随所に示しているだけに、アンバランス差が、良く目立っていた。

 「火線軸上に、3体のSS級と、SSS級のルーシュトラーゼを 並べられれれば・・・・・」 思わず内心そう思ったが、直ぐにその考えを自ら打ち消した。 もはや限界に達した第3戦闘形態 一気に最終大技バーストで、片づけようかと考えが過った。 一撃必殺の大技。 3体のSS級と、SSS級のルーシュトラーゼを一気に片づける。 真美自身の単なる愚痴であり ない物ねだり。 その為の必要な戦力を整え整備し状況を作りだすのが、戦略であり その様な状況に敵を追い込むのが、技術的補完である複数の戦術なのだ。 だれよりもその事を1番良く知っている。 敵が、こちらの思い通り動いてくれるなら何ら苦労などしない。 常に突発的イレギラーなどに悩まされる。 思い通り動いてなどくれない。

 何よりも3体の3神将と呼ばれるSS級 丁度真美を中心に正三角形の形の布陣を取り 互いに連携し攻撃を仕掛けてくる。 1体に気を取られると、2体のどちらかが、丁度死角から攻撃してくる。 決して簡単に止めを刺そうとしない。 少しづつ痛めつけ スタミナを消耗させようとしている。 真美の第3戦闘形態を維持出来る時間には、多少の変動があるものの限度がある。 それを知っての攻撃。 ゆっくりと、遊びながら少しづつ痛めつけ まるで薄皮1j枚づつ剥がす様に、スタミナを消耗させ 戦闘形態そのものが、維持出来なくなるまで、エネルギーと、スタミナを消耗させ 特に、大きなエネルギーを 一気に使い切る第3戦闘形態を解除後の 立っているのもままならない程のスタミナ切れを待つ 余りの疲労困憊に、意識すら失い倒れる事もある程だ。 それが狙い。 その状態になれば、真美を簡単に捕獲できる。 つまり1体が囮となって、その隙に2体が、同時 もしくは交互に波状攻撃を仕掛ける。 格下の相手ならば、それ程問題にならない 同時に、3体以上でも別に問題視しない真美であったが、さすがにSS級 レベルが格段違い過ぎる。 1体ならば、何とかなる。 だが同時3体は、やはり限度を超えていた。 それが、真美の持つラディエンスの力の最強戦闘形態である第3戦闘形態に移行しても。 それに、何と言っても真美に取って、ラディエンスの力が、余りにも強力過ぎるのも原因の1つであった。 ラディエンスの力を持って誕生した だが、真に使いこなせる存在ではなかった。 後世にその力を受け継がせ運ぶ為の箱舟。 つまり後世へと言う未来の新たな存在に受け渡すための容器に過ぎなかった。 その為 うまくコントロールできない状態であった。 コントロール出来ない力など、単なる無用の長物。

 動きが、緩慢になってきた真美 そのチャンスを逃さない。 常に真美の左後方で、攻撃を仕掛けてきたテタンクズーと呼ばれる 3神将SS級妖魔 一応ヒューマノイドタイプ(人間型)でこそあった 頭部に胴体、両腕、両足を持ち 2足歩行でこそあったが、頭部は、かなり人類とは、異なっていた 確かに、頭は、1つだが、丁度首から上が、タコの様な外観を持ち 首の上付近を一周するように、8本の収縮自在の触腕を生えており タコ同様 吸盤まで付いている。 主に、その8本の収縮自在の触腕で、敵を攻撃する。 身体全体が、タコ同様非常に軟体で無脊椎動物の特徴を最大限備えていた 骨格などの骨を持っていない。 その為 真美の放ったキック、パンチなど柔らかくまさにさざ波の様に、身体全体に拡散 全くダメージを受けていない。 だが真美は、パワー系ではない。 そのキック、パンチなど、たかが知れていた。 A,B級妖魔のパワー系にすら劣っていた。 それでも、身長2m 体重200kgを超える大男を 戦闘形態に入れば、投げ飛ばす程のパワーこそあったが、その程度妖魔相手では、非力。 真美の特徴は、ラディエンスの力を利用したエネルギー弾の複数の大技と、第3戦闘形態時に発揮するSSS級妖魔にも匹敵すると思われるスピードと、俊敏さであった。

 それと、テタンクズーのもう1つの武器は、近接戦闘時に、タコの様な丸い口から発する黒い墨の様な液体 射程距離こそ短いが、それを浴びた物質は、全て液体の構成物質である強硫酸の様な強力な溶解作用を持ち瞬時に、浴びた物質を溶解させる程強力であった。 その為 うかつに近接戦闘に持ち込めないでいた。

 何度か、大技の1つニードルを浴びせた だが、ニードルの極細のエネルギーで出来た針は、テタンクズーの表面の皮膚に、そのスピートを急ブレーキが掛かった様に、減速 柔らかく少し深く押し込まれるだけで、貫通どころか、傷1つ付けられない その他の攻撃も同様であった。 残すは究極の最終大技バーストのみ そう感じられずにはいられなかった。

 そのテタンクズーが、真美向かいいきなり突撃を開始 8本持つ触腕の3本を まさに長槍の様に変形 こうすると、元々軟体の構造のはずが、急に、最も硬い物質とされるダイヤモンドを思わせる程の硬質化 どんな物体をも貫く威力を持っていた。

 この攻撃を何度も受けている真美 今まで同様 まともに、両手で握るライトソードで受けない。 パワーが違う まともにライトソードで受ければ、圧倒的パワーの劣る真美 簡単に弾き飛ばされる。 今まで同様 本来持つスピードと、俊敏性を生かし 簡単に避け様とする。 それもこの攻撃 先程から続ける 最初の1体が突撃 これは、ある程度のフェイント(囮) 本命は、残り2体が、死角から攻撃のパターン そう思い込んでしまっていた。

 その繰り返される まさにワンパター化した攻撃と言う思い込みが、油断と隙を産んでしまった。 真美の死角に入った残り2体こそが、今度は、真美を 仕掛けたトラップ(罠)に掛ける為のフェイント(囮)であった。 またも死角から攻撃すると思わせたのだ。

 テタンクズーの最初の攻撃を 持ち前のスピードと、俊敏性を生かし 簡単に避ける・・・? 「うむ?」 僅かな微妙な違いに気づいた だが手遅れであった。 そこから違っていた。 避けたはずのダイヤモンドを思わせる程の硬質化した3本の触腕が急に元の軟体に戻り そのまま急展開 真美を多数の吸盤の付いた触腕で、グルグル巻きに締め付けた。 「しまったー!!」 思わず声が漏れる。 触腕に付いている大小様々な吸盤が、身体の色々な場所に吸い付き 触腕そのものの強力な力で締め付けられる。 余りの力 どんなもがいても 全く無駄な抵抗 余りの歴然としたパワーの差 思わず両手に持つライトソードが、手から零れ落ちる。 零れ落ちたライトソードが、真美の手から離れた瞬間 エネルギーで出来た刀の部分が消え グリップだけの状態で、全ての力を失った様に砂漠の上に落ちる。

 そのまま高く持ち上げられる。 まるで何かの見世物の様に。

 同時に、急速にラディエンスの力を失い。 あの淡く輝く身体から発する白い光も消え。 通常の状態状態に戻る。 真美 エネルギー切れ だれにも眼にも明らか。

 「こうなると、美しく、可愛く、か弱い 先程までの荒ぶり手こずらせた女にはみえないぜ、 いまは子猫の様なただ怯えているだけの女だぜー それにしても この美しさ絶世すら超えている こんな女 他にはいない」 何とも言えない 少し下心すら浮かべる様な嫌味の籠った表情を浮かべるテタンクズー。

 真美のエネルギー切れによる戦闘形態解除に呼応するように、テタンクズーの3本の触腕による締め付けも弱る。 戦闘形態に入っていなければ、真美は、強力な締め付けで、簡単に、身体全ての肉、骨などは、簡単に砕け散る。 殺す事は、出来ない。 後方にいるSSS級のルーシュトラーゼへの貢物である。 手加減しなければならない。

 3本の触腕による締め付けが弱る。 だが弱まった所で、どんなにもがいてもビックともしない。 今は、完全にラディエンスの力のエネルギー切れ。 通常一気に全エネルギーを使い切り 余りの疲労等で、意識を失うレベル。 通常1日以上は、意識を失った状態になる。 それに、ラディエンスの力も元に戻らない。 戦闘形態にも入れない。

 「無駄な悪あがきはよせ!!」 まるで赤子をひねる様な口調で言い放つテタンクズー。

 「もう1度 戦闘形態 第1でいい入れれば・・・・」 内心呟く真美。 戦闘形態に入る瞬間 身体から発する淡く白いラディエンスの力 それは、ただの光ではない。 真美自身ですらどういう原理か不明だが、ある程度の時空間を揺らす大気の衝撃波 そうソニック・ブームが発生する。 そのソニック・ブームを利用 この締め付けを解き放とう考えた。 精神を集中 いつもの様に、ラディエンスの力を高めようとする。 しかし何も起こらない。 ラディエンスの力が高まらない。

 何とか、脱出しようともがき喘ぐ真美を まさに嘲笑するかの様に見下すテタンクズー。 後方にいるSSS級のルーシュトラーゼへの献上する為の大事な貢物。 今ただの人間の それも年齢相応の平均的力しか出せない真美。 これでも3本の触腕による締め付け 腫物にも触る様な ちょっと触れるだけで、脆く崩れる物を そっと触れる程度の力でしかない。 それでもあんなにもがき それでも3本の触腕による締め付けを振りほどけない ちょっと力を入れれば、簡単に握り潰せる。 「何と脆い生き物・・・・・」 

 もう1体のSS級妖魔 3神将の1体ザンピースが、事も露わな不満顔を浮かべ近づいて来た。 手柄をまるで独り占めしやがってー そう言いたいのが、その表情から読み取れる。
 全身を まさに超硬質などんな攻撃を傷1つ付けられないまるで最強の鋼で出来た鎧で被われた全長2.5mを超える大柄な妖魔 その秘めたるパワーを妖魔界最強と目されていた。
 まるで、力自慢のカブトムシの様な外観 頭の額の部分から延びるそそり立つよう少し湾曲したまさにカブトムシそのものの触角が、その象徴とも言えた。

 「いつまで、持ち上げ鑑賞しているのだ?」 かなり不満な口調 「さっさとルーシュトラーゼ様の美しい花嫁として・・・・・」 そう言いつつ 砂の上に落ちた真美の主要武器 自らのラディエンスの力 発するエネルギーを物質化して作り上げたライトソード 今は、そのグリップだけの状態を拾い上げた。 指先の触れる部分にスイッチらしきボタンがある。 何気なくそのスイッチを押す だが何も反応しない。 そうこのライトソード ラディエンスの力を受け継ぐ星沢家の女性のみが、その力を物質化し作り出せる まさにワン・オブ・ウエポン(単一使用武器) 作り出した持ち主以外 例え他の星沢家のラディエンスの力を受け継ぐ女性でさえ光のエネルギーで出来た どんな物質も斬り割く高周波の様な鋭い切れ味を持つ刀の部分は、発現しない。 ある意味汎用性に欠ける だれもが使用出来る武器ではない。

 「ふん」 少しバカにした様に鼻を鳴らすザンピース。 戦利品として、自らのコレクションに加えようと思ったのか? 使えない武器などただのガラクタ それにどのみち主君であるSSS級妖魔ルーシュトラーゼに、一緒に献上する戦利品 むやみな事は、控えるべきであった。 だがいったいどんな物質で出来ているのか? あのどんな物質でもただ触れただけで、分子レベルから瞬時に切裂くと言う高周波並の鋭い切れ味を持つエネルギーの刀 興味を持たないはずなどない。 更に色んな部品を組み合わせ製作されていない。 どこにも繋ぎ目など見当たらない。 一体型で製作されている。 どのようにして製作されたか? 興味が尽きない。

 だが余りグズグズ見ている事が出来ない。 「お前こそ何をしている?」 逆に、言われるザンピース。 「あーあ・・・・・」 気の無い緊張感に欠けた生返事。 これで戦いが終了した気分になってしまっていた。

 ある意味無傷で、真美を捕獲する それが、この戦いの最も重要な戦略目標とも言えた。 真美さえ確保してしまえば、地球人類側には、妖魔の上位ランクに対抗出来る者は皆無。 残りの妖魔ハンターも圧倒的多数の妖魔の完全包囲網化に置かれ 真美が捕らえられているのに気づき、救助に向かおうとしていたが、現在の持場を死守するのが、限度であった。 このまま真美を妖魔界へ拉致されては、人類側の敗北が決定する。

 主だった主要国の最高指導者層 自国の地下基地のモニター画面を注視していた。 もはや敗北が決定的 最後の最終兵器 つまり人類にとっても最も忌むべきと言える最強の大量破壊兵器 つまり核兵器 その最終決断を迫られる場面であった。 それは諸刃の剣 人類に取っても多大な影響が、長期間続く 核の冬と呼ばれる時代。 全地球規模の放射能汚染 下手すれば、人類が、自ら墓穴を掘り 滅亡しかねない。 主だった主要国の最高指導者層 だれもが、両手を固く震えながら握りしめ 大量の汗をかいている。 下手すれば、自らの手で、人類を滅亡させる結果となる。 周囲の側近達には、「・・・・最終決断を・・・」 決断を迫られていた。 主だった主要国の最高指導者のだれかが、その最初の命令を下しそのボタンを押せば、次々と、他国も追随する。 そして、今 妖魔との戦闘が行われている地に、まさにゲリラ豪雨の様に、大量の核を搭載された各ミサイルが降り注ぎ、そこは、一瞬のうちに、まさに地上に突然現れた太陽の様な光を発し 例え使用された核兵器が、全世界にある核兵器の半分でも 地球表面を いったい何回完全に破壊する事が出来る程の膨大な各熱、各放射線、放射能 ソニックブーム(衝撃波)・・・・それらは、短時間で、地球を1周し 過ぎ去った後は、全ての物が、瞬時焼き尽くされ、余りの高熱で、瞬時に蒸発し・・・・ 余りの高熱等で、焼かれた荒涼とした 不毛の大地 それもそこには、生命の痕跡すら残っていない死の大地 それは、大気層などを持たないクレーターだらけの殺伐とした天体の様な光景。 だれもが、それが理解している。 だから決断に、迷ってしまう。 「おー 神々などと呼称する者よ 私は、どうすれば・・・・」 存在しえない物にしがみ付きたい頼りたい 自ら下さねばならない最終局面 それは、前門の虎 後門の狼 進むべき活路も 退くべき退路もない袋小路。 強く 固く 手の甲が真っ白になる程 強く握りしめられた両手 更に大量の汗が、まるで、枯れぬことなく湧き出し続ける泉の水の様に、流れ地面滴り落ちる。 だれもが最終決断を迫られていた。 た゜れが、最初に決断し命令を下し、最終ボタンを押すのか? それともこのまま何もせず妖魔の軍門化下り家畜化、奴隷化を選択するのか? 究極と呼ぶべき二者択一の選択。 どちらかを選ばれざる得ない状況下であった。 無人兵器をはじめとする各最新の強力な数々のハイテク兵器のいずれも妖魔には、無効であった。 全く効果認められず もはや妖魔に対して有効的対策方法は、古くから妖魔と戦い続けてきた各強力な霊能力と言う僅か少数の人間しか持ち得ない特集能力の持ち主 それもA級までが限度。 その霊能者達が、ほぼ壊滅状態であった。 もはや残された唯一の対抗手段 最終兵器と呼べる核兵器 果たして、妖魔に通用するのか? まだ1度も実戦で使用されていない。 妖魔には、妖力と言う特殊能力を持ち それが、妖魔身体から強力な生体エネルギーとして、発せられている。 それが、核反応から放出される各強力なエネルギーからバリヤーの役割すら当然考えられる。 それは、強力な妖力を持つS級以上と考えられていたが?

 決断の時が迫る。 自ら滅亡への道を それは、人類を滅亡へ向かわせた最初のトリガー(引き金)を引いた 最も愚劣な史上最悪の大量殺戮者としての指導者、首脳としての全ての汚名を被る・・・・を自ら選択するのか? このまま妖魔に屈服するのか? だれもが、最悪の時期に、その地位に付いてしまった事を 最悪の悪運を引いてしまった事を恨む以外方法がなかった。

 鈍る最終決断・・・・だれもが、人類を滅亡へと追いやった史上最悪の・・・・ そんな汚名を被りたくない そくな時だった。 溺れる者 藁をもつかむ・・・・・ そんな些細なラッキー(幸運) 僅かばかりの最後に残された唯一ラストホープ(最後の希望)の欠片らしき物が、重苦しい各主要国の地下基地のスピーカーから響いた。

 外部からのホットラインへの強制割り込み アクセス権などがなければ、超強力な鉄壁と思えるファイャーウオールなどの各種防壁、各所に仕込まれているウイルス、トラップ(罠)等で、完全侵入が阻まれ簡単に侵入出来るはずのない特殊軍事機密回線 どのような方法用いたのか? スピーカーから響く声 自信に満ちた まさに有能なそれも世界数人しか決して存在しない有能な経営者の声。
 そうそれは、真美の父 義人 全世界最大規模を誇る超巨大財閥の1つに数えられる星沢財閥の実質最高経営者であり 現社長兼CEO 全世界をあまねく星沢財閥系企業を総括する立場。

 主要国の地下基地の正面にある巨大なマルチ画面の1つに、義人本人が映し出される。 各国首脳クラスとは、旧知の者などが多数いる。 互いに、ファーストネームで呼び合う仲。 絶代、絶対的とまではないが、かなりの信頼関係を築き上げている。

 映し出される義人本人 だがいつもとは、まるで別人の様な表情 自信に満ち溢れ 各国首脳と、まるでポーカーを楽しむ様な 不敵で余裕を見せる態度、表情 時には、深慮遠謀な策士・・・・ あらゆる外交テクニックを駆使 自分に常に有利な状態を作り上げてきた当人とは、とても思えない憔悴しきった表情。 全ての手の内を決して明かさない。 いくつもの隠し玉を用意 それをさりげなく相手に感づかせながらも決して明かさずトップ外交、交渉の場に置いて、相手から自身に有利な条件を引き出させる。 まさに、マジシャン(魔術師)の交渉術 だが今の映し出された表情からは、その片鱗すら決して、見る事が出来ない。 ただ何かを必死に懇願する そうにしか見えなかった。

 そんな義人が各国首脳に必死に、訴えてきた。 「・・・・各国首脳 最終決断は、もう少し待ってく欲しい・・・・」 必死に懇願する。 「・・・・あそこでは、僕の最愛の妻と、唯一残された最後の娘が、人類の為に、まだ必死に戦っている」 必死の形相を浮かべる。 戦略的最終勝利を得る為には、些細な事などを切り捨てる・・・・ そんな冷徹、冷酷なまでの戦略家としての片鱗すらそこにはない。 現状を弁えず、ただ自らの家族の保身のみに囚われたただの男・・・・ そう言う風にだれの眼にも映る。

 「何を言い出すんだー」 ある主要国首脳の側近の1人が言いだす。 「これは、人類全体の生き残るための問題だー!!」 更に追い打ちをかける激しい怒涛の言葉次々と各主要国首脳の側近達の間から沸き起こる。
 誰もが、自分自身と、家族だけは助かりたい。 その為に、だれが犠牲になろうと、お構いなし。 特に、圧倒的権力の中枢部にいる人間の共通の精神構造。 こう言う連中の共通して言える事は、たった1つ 自ら全体の この場合 国家と、その国民に対して、奉仕すると言う観念など、口からのでまかせに過ぎず、国家と、その国民は、自らの為に奉仕する存在・・・・ そう言う考えしか持ち合わせていない。
 だがだれもが、余り非難出来る事が出来ない。 だれもが、自らの生存本能を放棄する事など、決して容易くない事であった。 極めて1部自殺願望に取りつかれ 自らの死を求める者以外 生命に取って、生き残る つまり生存本能は、生命に取って、必然の要素。 だれもが持ち合わせている基本的必然。 容易く他人を非難出来ない面は、確かに存在する。 だがここにいる者達は、国家、絶対権力と言う蜃気楼にも似たただの幻想にしがみ付き、他の人々より圧倒的絶対有利なポジションにいる。 自らが生存するため為に、決して、自らを犠牲にする事などない、他人を犠牲にし、他人の屍の上に、自らの生存を立てる事の出来るポジションにいる。 その点が問題であった。

 絶対権力と言う 自ら過信による妄想で作り上げた砂上の楼閣・・・・いや蜃気楼と言える 何ら実体のない物にしがみ付き 1度しがみ付いた物を2度と手放す事のない ある意味権力の亡者であり 脇目も振らず妄信している存在に過ぎない。

 そう言う輩に限って、権力側に必いる。

 その点に関して、百戦錬磨 よく心得ている義人 通常 どんな交渉時にも決して明かさず、残しておく最後の切り札 今 それを使う最終局面と判断していた。 義人が持ち得る最大にして最後の武器である。

 それは、星沢財団の直系に属するある民間宇宙開発会社が開発 生産 多目的商用衛星として天気、通信などに利用されている1基の民間商用衛星に、密かに搭載されていた 近未来兵器 目的 衛星軌道からS級妖魔への攻撃 近未来兵器として、近い将来実用化が期待されていた近未来兵器類の1つ。 それを義人直属開発グループが開発に成功させ 密かに民間商用衛星の1つに搭載 地球の衛星軌道に打ち上げられていた。 まさにこの日の為に、威力は、核兵器に比べれば、確かに劣る ある意味ピンポイント。 その為 核兵器の様に広範囲に渡り致命的と言える甚大で、いったいどれくらいの年月かかる知れない各種障害による影響は、少ない。 と言っても今この戦場を吹き飛ばす程の強力な威力はある。 その近未来兵器 それは、荷電粒子砲 砲弾として用いられる荷電粒子(電子、陽子、重イオン)を 粒子加速器によって亜光速まで加速し発射する。 その必要な膨大なエネルギーを 人工衛星の太陽光パネルにより供給されるが、他だし1弾発射すると、エネルギー再充填に、かなりの時間が必要とするなど まだ他にもいくつかの欠点もあった。

 だがあえてこの場面で使用する決断に至ったのは、主要各国の首脳に、最終決断 つまり核兵器の使用を留まらせる いやある程度の時間でいい稼ぐ為。

 それは、まさに天啓と言えた。 娘である真美の声 いやテレパーが、義人の脳裏に響いた。 「・・・・この状況下 主要各国の首脳が、最終決断の選択に迫られる だがもう少し もう少しでいい 時間を稼いで欲しい まだ負けてはいない お願いパパ・・・・」 そう言う悲痛な叫びが、何度も義人の脳裏に響いた。 真美には、今までの星沢家のラディエンスの力を遥かに凌駕するラディエンスの力の源流を運ぶ箱舟である その為その力は、歴代最強すら遠く及ばないケタ外れの驚異の力を持っている。 テレパシーの能力があっても何ら不思議ではない。 義人には、そう思えた。 きっとこの状況下 まだ逆転出来る可能性の何らかの策を持っている。 真美は、とても17歳の今時の女子高生とは、信じられない 軍事面に関しては、稀な戦略家としての資質を持っている。 元々40歳代のくたびれたSNEP(スネップ) それも星沢家とは、縁もゆかりもない それが、星沢家のラディエンスの力を遥かに凌駕するラディエンスの力の源流を運ぶ箱舟であった。 ある戦いで、それも偶然に、その戦いの場に、何かに導かれる様に、その現場に現れ そして、急遽覚醒した。 その代償による 性転換及び年齢退行 だが性転換及び年齢退行前の真美は、資料等などで知っているだけで、実物には1度も会ったこともない。 あの真美の今の姿しか知らない。 とても信じられない。

 その他の細かい事など今はいい 今は、真美を信じる。 冷徹なまでの企業経営者家としてのまさに本能と呼べる経営判断が、そう告げている。

 「・・・・ねえー 真美ちゃん・・・・」 ラディエンスの力の消滅後 聞こえるはずの無い敦子の声が、もがき苦しむ真美の脳裏に響く。
 一瞬驚きの表情を浮かべる真美 そのばす、今は、通常の状態 ラディエンスの力を解放 第2戦闘形態以上ではない。
 「今は、この戦いに参加している と言っても後方でモニタリングしている主要各国の首脳が、禁断の最終兵器 核兵器の使用の最終決断を迫られているの あんなの使われたこの美しい地球が・・・・ お願い真美ちゃん 何とか止めて・・・・・」 悲痛な敦子の声が響く。

 「でもどうやって・・・・」

 「私が、真美ちゃんの声をテレパシーで送る 何とか説得して」

 「でも私が・・・・・」 思案する真美 ある人物の顔が浮かぶ 世界最大規模の財閥の1つにして、各国首脳と太いハイプを持ち 知人、友人などの多数いる超大物 それは、真美のパパである義人 パパを説得の為のエージェント(交渉人) 最も打って付けのこれ以上ない人物。 「パパに頼めば・・・・・」

 「あっちゃん パパとテレパシーで会話できる」

 「ごめん真美ちゃん 私の能力は、送信のみ つまり送る事しかできないの」

 「それでもいい 何かパパに頼んでみる お願いあっちゃん 私の声 パパにテレパーで送って」

 「うん 解った 必ず止めて」

 霊体となっている敦子が、真美の心の声をテレパーで、送信を始める。

 いよいよ最後の切り札を見せる時 そう義人は、判断した。 対妖魔用と言え 対人 何と言っても敵対国の主要軍事なとの施設に対し地球衛星軌道上から それも強力な武器によるピンポイント攻撃が可能 それも多国間条約による宇宙への各兵器配備は、建前上厳しく禁止されている。 それをあえて破るのだ。 どんな非難、中傷など覚悟の上。 まあ主要国のほとんどが、守っていないのが現状だが。
 覚悟を決める。

 ・・・・「これからある攻撃プランを送ります。 それと同時に、攻撃を開始します。 その攻撃の成果 それを見極めてからにしてください。 最終決断を」 そう言い残すとともに、周囲のスタップに命令を下さす。
 同時に、週国のコンピューターに、攻撃プランが、送信される。
 宇宙からの 地球衛星軌道上から 商用衛星にカモフラージュされた星沢財閥が所有する人工衛星に極秘搭載された近未来兵器の1つ 荷電粒子砲。

 エネルギーは、フルチャージされており 目標は、たった1点 史上最強にして、妖魔神々にも匹敵する妖力を持つと言う SSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 まさに頭上から正確無比なピンポイントから撃ち抜く。 SSS級妖魔ルーシュトラーゼを倒せば、妖魔の軍勢に、動揺が走り形勢逆転出来るはず。 だが義人のみに秘密裡に報告されていた主問題点が、スイッチを押す義人を躊躇(ためらわ)わせた。

 「何をグズグスしている」 「あの言葉は、ただの大法螺か?」 各国首脳から罵声が飛ぶ。 だれもが、自分だけは生き残りたい 必死になっている。

 砲弾として用いる荷電粒子 粒子加速器によって亜光速まで加速 ピンポイントで、ターゲット(目標)を狙い撃つ。 時空間の面に対して、直進する 1度ピンポイントで、ロックオンすれば、地球衛星軌道上から亜光速のスピードのビームが狙い撃ち 例え妖魔の神々に等しいとされるSSS級妖魔でも逃げ切れないはず。 義人を躊躇わさせている問題は、ビームである為 ターゲットを貫く兵器 核兵器と違い、大きな 巨大な爆風などのソニックブーム(衝撃波)は発生しない。 2基の粒子加速器で、原子核と、電子を別々に加速 同じ速度まで加速した原子核と電子を発射直前にミックスし、射出時に電気的に中性な原子にして発射する)中性粒子ビーム砲。 それでもある程度までの そうターゲットを貫いた瞬間 その周囲に高温プラズマなどの発生が予測されていた。 今 そこで戦っている妻 由美 娘の真美 他に、唯一の人類の最後の希望として、戦う仲間の妖魔ハンター達 周囲の妖魔を この高温プラズマで、瞬時に焼き尽くすのは、問題ではない。 だがだがそう都合良くは行かない。 ある意味真美の最終大技 バーストと同様 ピンポイントで、狙った敵だけではない。 その周囲にも多大な影響を与える。 ポイントと至近距離にいたならば、ポイントと同様そのエネルギーをまともに受け 発生した高温プラズマで、瞬時に焼き尽くされ・・・ いやそれ以上に、原子に還元されるかも知れない。

 スイッチにかかる指先 力が鈍る押す事を対躊躇ってしまう。 「他人の事 言えた事じゃないなあー」 自嘲気味にだれにも聞かれないよう内心呟く義人。

 全ての責任は、自分取る 大言壮語を吐いたものの いぞとなれば、やはり覚悟が鈍る。 そんな時だった まさに天の声と言うべきだろう。 脳裏に娘の真美が現れた。 それは、あるシチューエーション そう難しい経営判断を迫られていた時だった。 真美は、そんな事知ってか? 知らずか? さりげなく言った言葉。 真美は、読書家でありある有名なシリーズ物のSF小説をいくつもの愛読している。 その中であるシリーズ物のSF小説の外伝でねあるキャラクターが、発した言葉を 何気なく呟いた。 それは、「決断したら即実行する そうすればおのずと道は開ける」 ある意味無責任にも聞こえる発言にも取れるが、その言葉が、何度も義人の脳裏に、真美の声で響く。 それが、まるで天からの啓示の声であるように、義人に決断を迫っていた。 後先の事を考えず、今 自分にやれる事をやる。 そう言う風に聞こえた。 そうぐずぐず悩んでいても状況の好転は望めない。 更に悪化の一途をたどり タイミングさえ失う。 それでは、ただの無用の長物。

 「今 このタイミングを逃したら次はない」 自ら鼓舞する様言い聞かす。

 「狙いは、SSS級妖魔1体のみ」 そう言いスタップに最終司令を飛ばす。 多分人生で最初で最後の大バクチ。

 目標ターゲットの到達終点温度の最終調整を行う 最少のミニアムまで絞り込む、机上計算理論上 1体のS級以下の妖魔でしか通用しない 妖魔の発する妖力によるバリヤー SS級以上では、破る事が出来ない。 だがそれでいい これで十分とは言えないが、ある程度時間稼ぎが出来る。 今の危機的状況を一瞬にして形勢逆転する事が可能な時間的余裕を稼げるはず。 脳裏に届く まさにテレパーの一種と思える 天啓の様な真美の声が、そう告げている。 最終兵器であり まさに愚劣の骨頂と言える 無用な巨大な長物核兵器を使用せず、今の状況 戦局の不利を打破する。 その為の支援攻撃・・・・・ そう告げている。
 覚悟を決めやるしかない。

 「真美ちゃん・・・・・」 霊体となり 真美と共に戦う敦子の声が、真美の心に響く。
 「真美ちゃんのパパが、例の新兵器を使うよ エネルギー量を最小のミニアムまで絞って 最も影響を受ける範囲を 目標ターゲットポイントから半径数十mまでって・・・・」 はっきりと言って高度軍事用語など、全く知らない敦子 いったいどう言う意味か? 理解出来ない。 荷電粒子・・・・ これ日本語? とさえ思う有様。

 真美には、これで十分であった。

 「あっちゃん 仲間の妖魔ハンター全員に、テレパシーを送って、荷電粒子砲が、撃ち込まれる 全員急速後方後退って」
 「うん解った」 そう言いつつ何かが何だか意味の理解出来ない敦子 特に科学的なの事は、大の苦手。

 「後は、運を天に任せるのみ・・・・」 冷静沈着で、冷徹、冷酷なまでに、鋭い経営判断を下し、常に最善を尽くす、世界でも最も優秀な経営者の1人に選ばれている義人にしては、余りにも他力本願な考え方が、脳裏を過っていた。 だが真美の天啓的な脳裏ら響く声と、その後に続いた 娘の真美と多分同年代? それに近い女性の声 「あなたの心の声 真美ちゃんに伝える・・・・・」 余りにも非科学的・・・・ だが妻の由美もそうだが、婿に入った星沢家の代々女性のみ伝えられるラディエンスの摩訶不思議な能力 そして、妻や、娘の所属する あの妖魔と対決出来るもう1つの能力 霊能力 何度もその不思議な能力を眼のあたりにしてきた。 妻や、娘にはない特殊な能力であるが、1種の精神感応とも言えるのか? テレパシーに似た特異な能力 あの部隊の1人に持ち合わせても 決して不思議ではない。 今は、それを信じるしかない。 人智を超えた特殊な能力を そしてそれに賭ける。

 「星沢社長兼CEO」 周囲のいるスタップの1人 レーダーによる解析担当者の声が飛ぶ。 何か動きがあった事が明白な声だ。 「妖魔ハンターが、戦闘エリアから急速後退を始めています」 レーダーに映し出される光点 敵味方を区別する為 色分けされている。 味方を現す光点が、今戦闘が行われているエリアから急速に後退離脱が映し出されていた。 これは、敵前逃亡とは、全く意味が違う。 まさに絵に書いたような戦線後退であった。 義人の意思が、妖魔ハンターに伝えられている 間違いない。 全員が有効影響範囲外に出た瞬間が、千載一遇の唯一のチャンス。

 「他だしお嬢様が!!」

 「どう言う事だ}

 「お嬢様を現す光点のみが、目標ターゲットポイントSSS級妖魔の近くで、動いていません」

 「動いていないだと!!」

 「推測ですが、お嬢様の光点と重なる様 3つのSS級妖魔を示すの光点があります。 つまり捕らえられていると・・・・・」

 星沢財閥が極秘に所有する 表向きは、民間の通信などに利用する人工衛星 この人工衛星に、例の荷電粒子砲が、搭載されており 地球軌道衛星を回ると言っても静止軌道からの 監視カメラでこの戦闘をモニタリングしているのだが、軍が所有するスパイ衛星に搭載 超高性能の解析能力をを持つ監視カメラ並の解析能力を持ち合わせていない。 識別するには妖魔ハンター全員が着用する特殊な素材で出来ている戦闘服 専用のレーダー波を受けると、各々固有の反射波を出しそれを色分けで、レーダー画面に表示される。 そして、妖魔は、各妖力のランクにより固有のエネルギー波を放出している。 それをラディエンスの力を持つ星沢家の女性 それに各霊能者が、感じ取っていた。 今まで蓄積された妖魔との戦闘データから妖魔の発する妖力の解析に成功 各ランクの妖力を こうして光点であるが、モニター画面に映し出す事が、出来る様になった。 それにより妖魔の陣形 各ランクの妖魔の配置が、こうして解る。

 スイッチに差し掛かっていた指先が、少し浮く。 今 撃てない。 唯一絶好のチャンスだと思われた瞬間だった。

 「待ってください・・・・ これは?」 光点の動きに変化が見えた。 別の光点が、真美に急速に近づいている。

 「お嬢様をお救いする為 龍神の1体 これは、零夜様の白龍神が、お嬢様の救出に向かっています」 レーター担当のの声が響く。

 ここにいる全員が、正面の巨大画面を注視する。

 「パパ 何をしているの? 今 このチャンスを逃したら・・・・」 上空からの巨大なエネルギーの放出 それも直撃を全く感じない。

 こんな至近距離 例え荷電粒子砲の直撃こそ避けられても 無傷とはいかない。 周囲に放出される巨大なエネルギーに呑み込まれる。 霊体となって、必死一緒に戦うあっちゃんの羽衣が、卵の殻の様に包込んでも 多分 間違いなく、瞬時に消滅する。 だが現状 今 ラディエンスの力が出ない。 羽衣を自身の周囲に展開するには、最低第2戦闘形態以上に、ラディエンスの力を高めなければならない。 それにこのまま真美自身消滅すれば、妖魔の戦略的見地の最大の1つが見失われる。 これ以上の無用な戦いを続ける意味を見失う。 妖魔の最大の戦略的勝利、意味? まだはっきりとしない。 何が、戦略的勝利と言う最大の目的なのか? こちらの宇宙へ来て、人類を滅亡させ 地球の支配者として、君臨? 多分違うだろう。 それならば、遥か昔 こちらの宇宙の地球へ現れた時 人類を滅亡させたはず・・・・ 色々な思考が、今の真美の脳裏を交差していた。 自ら死す事 それが、思考の中心をなしていた。

 その時だった。 上空に巨大な力を持つ物体が、猛スピードで、真美ら向かって突撃してくるのを感じる。 飛行能力を持つA級以下の妖魔数十体が、飛行を開始迎撃に向かう。 この力 仲間の妖魔ハンターの物でない。 まして、妖魔の力とは異質 真美と同じ星沢家の女性が受け継ぐ、ラディエンスの力でもない。 そうこれは、妖魔の住む別宇宙とは、別次元の驚異の能力を持つ龍神と呼ばれる異生命体の持つ驚異の巨大な力 そう仲間の妖魔ハンターの1人 零夜の使役する龍神 白龍神。 真っ白なまるでヘビの様な身体をくねらせ 向かってくる何者も その真っ赤に燃え盛る2つの瞳で、瞬時に焼き尽くす様な凶暴な瞳で突撃してきた。 迎撃に向かったA級以下の妖魔など、まさに問題外 あっと言う間に蹴散らし 真美を捕らえているSS級妖魔3神将のエンペラーガードの1体タコの様な外観を持ち8本の収縮自在の触腕で、真美をがんじがらめに捕らえているテタンクーズであった。

 「何をやっているクズどもが!!」 余りのA級以下の妖魔の数十体のふがいなさに対して、そう言いつつ残り2体のSS級妖魔が、白龍神の前方に立ちはだかる。

 さすがの白龍神も 前方に立ち塞ぐ2体のSS級妖魔 猛スピードでの突撃を止め 2体のSS級妖魔に対して、とぐろを巻く様な態勢を取り空中浮遊 燃え盛る2つの瞳で、睨みつける。 簡単な突破で出来ない。 口から熱い炎の吐息を小さく吐きながら2体のSS級妖魔を威嚇 隙あらばを伺っている。

 両者の間 眼には見えない可視光が、中央部で衝突 激しく火花を散らしているのをだれもが感じる取る事が出来た。

 2体のSS級妖魔 1体は、全身を まさに超硬質などんな攻撃を傷1つ付けられないまるで最強の鋼で出来た鎧で被われた全長2.5mを超える大柄な妖魔 その秘めたるパワーを妖魔界最強と目されていた。
 まるで、力自慢のカブトムシの様な外観 頭の額の部分から延びるそそり立つよう少し湾曲したまさにカブトムシそのものの触角が、その象徴とも言える ザンピース。 真美の放ったムーンライト、ニードル ことごとくその自慢の最強の鋼で出来た鎧で、直撃弾を粉砕 傷1つ付けられなかった。

 そしてもう1体 頭から被る黒のフードで、全身を包隠し 眼の部分だけしか表していない その眼の周囲の部分でさえまるで、漆黒の・・・・いや不気味な程の暗黒物質で出来たスカル(ドクロ)の様な黒 そして、瞳の色は、邪悪に燃え盛る赤黒い炎 そして、こちらは、更に不気味と言わざるえなかった。 真美の放ったムーンライト、ニードルなどの攻撃も 直撃弾であったにも関わらず、まるで、霧か蜃気楼の様に、何事も無くすり抜けてしまっていた。 まるで蜃気楼か、幻影に対して、攻撃している様な錯覚させられてしまっていた。 ただ攻撃の時 近接戦闘による肉弾戦であっが、手、足などを使って攻撃を仕掛けており 決して、実体をもたない蜃気楼、幻影等ではない。

 三位一体のトリニティ・アタックの攻撃時 密かに真美は、通常、防御時実体を別次元にあり 攻撃時の一瞬に実体を現しているのではないかと、推測していた。 

 まさに時間(とき)だけが、一瞬の静寂に包みこまれた様に思えた。 これが、白龍神を使役する零夜と、その祖母小夜子の共同作戦である事に気づく者はいなかった。
 ここが砂漠である事も だれもが失念していた。

 最初に、その僅かな異変に気付いたのは、やはりSSS級妖魔ルーシュトラーゼ 僅かな足元の砂漠の 決して、だれも気づかない微妙な振動に気づいた。 表面の砂が僅かに震動する それも少しずつ大きく、「うん?」 少し怪訝な表情を浮かべる。 何かを感じ取っている。 だがそれが何なのか? そこまでは、解らない。

 突如真美を捕らえているテクングズーの足元だけが、まさに直下型の縦揺れ地震の様に大きく激しく上下に揺れた。 ここハルマゲドンの丘全体が、大きく揺れたのではない。 激しく揺れたのは、そうテクングズーの今立っている場所を中心に、僅か半径3mのピンポイントのみ。 それも上空に巨大な重力源 それも天体同士衝突の歳 地表が迫りくる天体の重力に引っ張られる様な激しい揺れ だが、それも極めて極小の狙いすました様なピンポイントのみ 普通自然現象としては、絶対に有り得ない。 何者かが故意に仕掛けてる。 それも妖魔のS級以上の強力な妖力に匹敵する巨大なエネルギー。

 「な・・・・何だー!!」 思わず大声を上げるテクングズー。 だが立っているのもままならず、思わず捕らえていた真美を空中に放り出してしまった。

 「し・・・しまったー!!」 焦りと、後悔の念を思わず浮かべる。 せっかくその手に捕まえた最上級のターゲット(獲物) SSS級妖魔ルーシュトラーゼに献上する貢物をその手から手放してしまった。 突如の不意に襲われた状況でこそあったが、決して許されるミスとは言えない。 万死に値するミスを犯してしまった。 表情を強張らせると同時に、そのミスを取り戻そうと、必死に踏ん張っていた上空に引っ張れそうになり激しく上下に揺れる地面を蹴りジャンプ そのタコの様に軟体で、収縮する8本の腕を伸ばした。 だが、重力が、変動しているのか? 思う様にスピードも出ず、更に自らの意思とは、違う方向に向かう。

 上空へ放り出された真美 ようやく自由に身体を動かせると思ったのもつかの間 まさに上空の先、成層圏を突破 そのまま宇宙空間へと、その重力源に向かって、徐々に、まさに引っ張られている。 身体ですら、いつも感じている重さの数倍以上に感じ・・・・・ いや実際そう言う状態 この閉ざされたまに円柱の空間だけが、重力が異なり大きくなっている。 上空で発生した超ミニブラックホールに吸い込まれている それも一定の極めて限定的範囲内だけが、その影響を受けている。 そう思えた。

 真美のその考えは、正確であった。 妖魔の住む別宇宙とは、また違う無数に、同次元上に存在するマルチバース(多元宇宙)の1つ そう神楽家が使役する また異なる別宇宙の超生命体 龍神の持つ 秘められた特殊能力 最強の聖龍神が持つ 最強にして最大の大技 黒い穴 そう超ミニ疑似ブラックホールであった。

 孫娘の零夜が使役する白龍神が敵妖魔を引き付けている間 祖母の小夜子の使役する聖龍神が、最強にして最大の大技 黒い穴そう超ミニ疑似ブラックホールを発生させた これで限度の威力の 発生させた超ミニブラックホールの寿命は、非常に短く、瞬時に消滅する。 だがその影響を与える方向は、中心点に対して、全域ではなく特定の方向だけに向けられる。

 時空間そのものを引き伸ばす巨大な重力源が、消えた。 そう疑似と言っても超ミニブラックホール寿命は、非常に短い。 真美もテクングズーも 身体が元通りの重さしか感じなくなった。 かなり上空高く持ち上げられた身体が、地面へと、そう今度は、地球そのものが持つ重力に引っ張られる様落下する。

 「きゃあー!!」 思わずこの時ばかりは、女の子らしく怯えた悲鳴を上げる。 真美は、今 ラディエンスの力を高めた戦闘形態ではない。 自由に飛行する能力を発揮出来ない。
 このまま地面に激突? その瞬間 何か大きな温もりを持つ巨大な手が、まるで生まれたばかりの我が子を愛おしむ母親の手の様に、真美をやさしく包み込む。 その巨大な大きな手 そう聖龍神のヘビの様な胴体から生える2本の短い両腕の手の温もり。 落下し始めた真美を 聖龍神が、見事キャッチ そのまま急速戦線離脱。

 「逃すものかー!!} その様子を見ていたもう1体の龍神 白龍神と対峙していた2体のSS妖魔 だが、ここぞとばかり白龍神の必殺の大技、火炎を口から吐き その動きを封じる。 同時に、白龍神も反転 急速後退を開始。

 その時だった 上空遥か先 成層圏を超えた彼方 地球衛星軌道上から とてつもない巨大なエネルギーをここにいた妖魔全員が感じた。


 「今だ義人殿 撃て!!」 霊体となりテレパシーを送っていた敦子 小夜子の声を義人に伝えた。

 この模様を指令室で見ていた義人 その脳裏に響く声に誘われる様モニター画面を見る。

 同時に、「社長兼CEO お嬢様の救出 2体の龍神が成功 急速戦線離脱しています。 今がチャンス」 モニター画面を見ていたオペレーターの声も響く。

 「今だ!!」 大声を上げると同時に、義人は、手にかかっていたボタンをプッシュ。

 静止衛星から延びる砲身が、光る。 同時に、ターゲット(目標)に、ロックオンしていた人類が持つ最強の破壊力 核兵器に次ぐ最大理論上威力を持つ荷電粒子砲が、まさに、地上のターゲット(目標)に向け火を噴く。 亜光速まで加速された荷電粒子 まるで地球を貫く程の威力すら感じさせる程の巨大なエネルギー。

 だが、そのエネルギーを感じながらも 上空を見上げ余裕の不敵な笑みすら浮かべるSSS級妖魔ルーシュトラーゼ。 「下らん!!」 不敵に言い放つと同時に、自身の身体が、透明のエネルギーに包み込む。
 「その程度で、この私を倒せるとは、よもや思っていないと思っていたが・・・・・なめたまねを」 何事でも無い様呟いた。

 巨大なエネルギーを持つ荷電粒子が、SSS級妖魔ルーシュトラーゼを直撃 亜光速まで加速されており さすがの妖魔の神々にも匹敵すると言う驚異の妖力を持っても逃げるが不可能 だれもがそう思えた。
 だが、逃げもせず、そのまま直撃を喰らい消滅・・・・? のはずが?  爆発に伴うソニックブーム(衝撃波)も その後湧き上がるきのこ雲 何も発生しない。 計算上 真美の最終必殺の大技 バーストにも匹敵すると思われた荷電粒子 だがいとも簡単に弾かれた・・・・・? 、SSS級妖魔ルーシュトラーゼに直撃の瞬間 身体を包み込んでいた透明のエネルギーによりコーティングされた身体が、まさにカウンター攻撃の様に、そのまま発射した方向へ押し返された。 それも更に、SSS級妖魔ルーシュトラーゼの持つ妖力のも加えられ威力が倍増された。

 上空高く 何か巨大な爆発が起きる。 荷電粒子砲を発射した人工衛星が、自ら発射した荷電粒子砲 更にSSS級妖魔ルーシュトラーゼの持つ妖力のも加えられ威力が倍増された荷電粒子をまともに直撃 瞬時にそこに何もなかった様に消し飛んだ。

 「そんなバカな・・・・・」 ボタンを押した義人の茫然とした声が響く。
 SSS級妖魔の健在の表示が、モニター画面に映し出されている。 だれもが決して見間違える事がない程はっきりと。 人類側が持ち得る唯一の対抗兵器と言っても過言がないと思われた荷電粒子砲 だが荷電粒子そのものが弾き飛ばされた。 それも直撃弾を 身体全体をまさにミラーコーティングし、反射させた それも発射ポイントに ただ茫然とその史実を受け入れるしかない。 唯一虎の子の存在荷電粒子砲 真美の持つ最終必殺の大技 100体以上の妖魔を瞬時に消滅させる威力を持つバーストに匹敵する威力を持つと計算されていた荷電粒子砲が発射した人工衛星に向け カウンター攻撃の様に、反射 搭載していた人工衛星に直撃 瞬時に宇宙のチリと化した。 もはや残された武器は? 指令室内が、重い空気に覆われだれもが、口を開こうとしなかった。 ただ唯一の救い? と言えるのは、直撃を喰らうはずの地上には、何も被害がなかった。 ただそれだけであった。




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