LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 第1次妖魔対戦 Part3

 翌日 前日のうんざりした気持ちを引きづりつつ。 そして、まさにウフコック(煮え切らない)複雑に絡み縺れ合う色々な思いを抱え込みながら 首都T内にあるHD国際空港のロビー 決戦の地に向かう準備と言っても身体1つ 後は、主要武器の こういう時 肌身離さず持つ ラディエンスの力を持つ者の象徴と言えるライトソード ラディエンスの力により生み出した まさにワン・オブ。ウエポン(単一仕様武器) 生み出した本人以外使用出来ない。 あの妖魔を簡単に切り裂く威力を持つ。 腰のベルトのフックにぶら下げている。 後は着換えなどを旅行用のカート。 海外への旅行ならかなり気分がウキウキでもするのだろう。 しかし向かう先は、荒涼とした岩、砂だけの 何も無い砂漠 それも2000年以上の長き渡り 戦争、戦闘の争いが絶えない地 死んだ数えきれない多数の兵士達などの怨念、無念、憎しみなど・・・あらゆる憎悪と、血で塗られた場所。 メギドの丘が正式名称であるらしい。 J宗教その発生のC宗教、I宗教の経典の1つ オールドバイブル(旧約聖書)には、神々などと呼称する勢力と、アンチ(反)神々などと呼称する勢力が、最終決戦を行う地と、解釈する者達もいる。
 ある意味 人類の未来を掛けた戦いには、最もふさわしいのかも知れない。 真美を含むラディエンスの力を持つ星沢家の女達と、全世界から集められた異質の異能、特殊能力の霊力を持つ霊能者のにわか仕込み混成部隊と、妖魔最強の妖魔の神々にも匹敵すると言う史上最強のSSS級を筆頭に、圧倒的多数の妖魔軍が、ここで、死闘を演じる。 真美達が負ければ、人類は、妖魔の軍門に下り、絶滅か、よくて奴隷、家畜化・・・・ つまり未来は無い。
 それも勝算無き戦い 普通であるならば、こんな大それたこと、その重圧、プレッシャーに押し潰されてしまうのだろうが、今の真美には、複雑に交錯するまるで出口の無い迷路 ラビリンスに迷い込んだかの様に、答えの無い世界を彷徨っていた。 妖魔界へ・・・・ 1度決めた 全てと決別して、敵を知り己を知らば百戦して危うからず・・・・ 戦略の基本を全く無視 何ら情報も無い妖魔界 行あたりばっかりの片道切符 いったい妖魔界とは、どういう世界なのか? 呼吸に必要な大気があるのか? 妖魔も確かに呼吸はしている。 多分推測では、地球と余り遜色はないと、推定されている。 大気圧? 妖魔の母星の大きさ 何より基本は、真美の住む宇宙と、妖魔の住む宇宙は、全くの別宇宙 未完成の大統一理論ですら、微妙に異なる可能性もある。 それによるエネルギーの4つの基本相互作用・・・・・ 考えただけでは何も解らない。 何よりも戦略の基本の1つ補給線を 全く無視 ただの無謀 無補給で戦おうとしていた。 数えればきりがない。 行きだけの片道切符 望む物は、死。 生きて帰ると言う発想はない。 戦略なき つまり勝算無き戦い。 自ら死ぬことだけを望む荒唐無稽の発想 これでは戦争ではなく、最も卑しむべきただの破壊と、殺戮・・・・・ 逆に考えれば、自らの力を誇示する為? そう言われても反論出来ない。

 何のために戦う? 最も重要なポイントは、自ら死ぬこと・・・・ そうすれば、半妖魔は生まれない。 それだけならば、ただ自決すれば良い。 それだけ。 矛盾 まさに迷宮 ラビリンス ただの堂々巡り。
 何故そこまで、妖魔界行にこだわるのか?

 「・・・何1人でぼーっとして・・・・何を考え、思い悩んでいるの?」 突然後ろから頭を軽く叩かれる。 そう詩織。 何か1人で思い詰めている真美を後ろからどついた。

 ここは、首都TにあるHD国際空港のロビー内 と言ってもこの日は、一般乗客は、全てシャットアウト もちろんマスコミも 入れるのは、この戦いに向かう妖魔ハンターや、自らある意味義勇兵として参加するフリーの退魔師と、近い家族 そして、軍部、政府の関係者の上層部のお偉い様だけ。
 いつもなら数多くの世界中から集まる、または向かう観光客、ビジネス客などで、ごったがえしにぎあう空港内のロビー 各ショップ、売店も閉鎖されており まるでゴーストタウンの様に、不気味に静まりかえっている。

 真美も詩織も妖魔ハンター専用に開発されている 砂漠戦専用に開発されているグレーを中心とした戦闘迷彩服を着用。
 政府が用意した専用機の到着を待っていた。 空港付近の上空は、防衛軍の無事生き残った最新の戦闘機、地上は、戦車などで厳重に警備されている。 虫1匹入れない物々しさ。

 「・・・まさか、この場に及んで怖気付いた・・・?」 真美の顔を真剣に覗き込む詩織。 だが、その見つめる眼差しは、全く緊張感、悲壮感などとは、無縁 元々詩織も絶世と呼べる程の美少女 それも無邪気な程と思える程の愛くるしい笑顔の持ち主 その瞳は、まるで、イタズラ好きな西洋 ヨーロッパ系のファンタジー小説などで、おなじみの伝説などに出てくるフェアリー(妖精)の様に、イタズラに満ちた輝きを帯びている。
 「・・・・まさか、真美ちゃんが、こんな程度で怖気づくなど有り得ない・・・・」 そう語っている。 何度も歴戦の大激戦の修羅場を2人並んで、戦い生き残り勝利してきた。 あん、うんの呼吸は抜群。 同じラディエンスの力を持つ者。 生死を共に戦ってきた戦友・・・・ いやそれ以上 それに真美は、詩織にとってかけがえのない 何よりも大事な独占私有物!! 何人たりとも・・・いや 相手が、これから生死を掛けて戦うことになる妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級妖魔だろうと、指1本・・・・ いや近づく事さえ絶対に許されない。 真美ちゃんは、私 そう詩織1人の物? 者? どんな事があろうと、真美ちゃんは、私が守る。 意気込む詩織。

 今回最も頭を悩ますのは、もはや戦略面に関して、ほとんど、何もない。 ただ敵妖魔を撃退する。 ただそれだけ。 問題は、戦術面。 敵妖魔は、あの妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級筆頭に、数千・・・・いや数万かも知れない規模をもつ史上最大規模 それをたった100人程度で迎え撃つ。 個々の特殊能力である霊能力で、圧倒的数の不利を補う。 それ以外にない。 出来る限り密集隊形を組む・・・・ など、問題は、あのSSS級の妖魔 全員・・・・ いや全人類の総力を挙げても勝機などない。 唯一の希望は、1ランク下のSS級を殲滅 まだ本来持つポテンシャルの限界が解らない真美。 そうあのラディエンスの力の源流の箱舟。
 しかしその真美が、今回の最大のターゲットであり問題点であり ネックでもある。
 現状 SS級、SSS級と戦えるのは、真美1人。 真美がいなければ、もはや白旗を上げるしかない。 真美が妖魔に拉致されれば、その時点でゲームセット。
 真美を守りつつ、真美には、SS級、SSS級をたった1人で担当し掃討してもらうしかない。 ある意味二正面作戦を展開する。 だがそこが最大の難問でもあった。
 もしもの場合 最悪ケースももちろん想定しなければならない 真美が妖魔に負け 妖魔界へ拉致されそうになれば、その場合 真美には、自ら自決してもらうか? だれかがその手を汚してもらう。 あくまでも最悪ケース。 頭を抱え考え込む、小夜子と、三村 こちらも責任は、余りにも重大 全人類の存続、存亡がかかっている。 真美1人守れなくて、全人類を守れない。 だが真美1人を犠牲にしなければ、全人類を守れない。
 同時に、2つの矛盾(アンビパレンツ)を抱え込んでいた。
 唯一SS級、SSS級に拮抗出来る力、能力を持つ真美自身 その能力であるラディエンスの力 それも源流である箱舟としての力 覚醒こそしているが、非常に不安定な状態であり、うまくコントロール出来ず、暴走すらあり得る。 不安要素。 それに真美自身 現在精神状態が、非常に不安定、いったい何を考えているのか? 計りかねていた。
 下手すれば命取りなり兼ねない。 小夜子は、真美の秘密を知る数少ない人物。 だがこの時 うっかりその最も重要なポイントを忘れていた。 真美は、元々男 それもある程度場数、修羅場を踏んだ中年の。 多分本来の年齢以上に、
 真美の今の余りの美しさなどに惑わされ、うっかりと。
 年齢相応の少女の考え。 そう思ってしまっていた。
 真美は、ある程度 熱く熱しやすい まさにクソガキと思える考えと、それに相反する極めて冷酷 そう全てを凍結させる 多分時空の流れすら止める絶対零度とまでは行かないが、極めて冷酷、冷徹な戦略家としての側面 まさに正反対の性質を 同時に共存させ、常に葛藤していた。 まさに矛盾の固まり。 そして、導き出した答えは、妖魔界へ行き 戦い死ぬこと。 何よりも、今 それを最も切望していた。
 小夜子は、人生経験 それも普通の老女ではない 多くの妖魔との戦いを踏んできている。 並大抵ではない。 だが、その点 妖魔界へ行きたがり 死ぬことばかり求める真美の考えが、どうしても理解出来なかった。
 生まれ持った男としての闘争本能と、その結果の死を。 決して女の浅知恵 そんな単純な類の物ではない。 これは、男と、女の本質的な考えの違い。 決して理解出来ない 深い、どんな海の海溝よりも更に深い 基本的な違いなのかも知れない。 性別と言う 決して乗り越える事の出来ない。

 そんな時だった。
 何故か? 周囲が、急に騒がしくなる。 場違い・・・? いや違う 何だか騒然とした雰囲気 ここは、関係者以外絶対立ち入り禁止 マスコミ等は、完全に封鎖されているはず。

 ある黒ずくめの まさに、メン・イン・ブラツクと思える強固な肉体を持つぬつの集団 だれが見てもその素性は解る 戦争、戦闘を生業とする本物のプロの傭兵集団 それも特殊部隊。 それもかなり強者が、ここをガードする警備兵を押しのけ向かってくる。 その存在は、だれもが、その周囲にいる事を阻み圧倒する威圧感を放っている。 決して、近づくことすら断固拒絶している。
 だが防衛軍の所属の特殊部隊員ではない。 民間? いや間違いない金で雇われているシークレット・サービス。
 周囲を丁度円形にし、だれかとても重要と思えるVIPを丁重に保護しながら 真美、詩織のいる方向へ向かってくる。 円形の内部にいる人物 複数? 大柄で強屈なシークレット・サービスに囲まれている為 だれだか判断出来ない ただ小柄な人物が複数 それだけは解る。

 「真美ー!!」 その円形の内部から真美を呼ぶ声が響く。 それも大人になりかけた少女のまるで、かなりやの歌声の様な美しい声 そうその声の人物 真美も詩織も良く知る人物 そう真美の親友の1人 綾。

 「何故 ここに綾が・・・・?」 唖然とした驚きの表情を浮かべ、ほっとんと小さな呟き声を漏れる真美。 そうそのはず、ここは、現在関係者以外絶対に入れない閉鎖区画。 厳重に警備され虫1匹入れないはず。

 先頭が、真美、詩織の前に立ち止まると同時に、まるで観音開きの様に、2つに割れる。 同時に複数の少女達 綾、香、加奈、それに薫の4人、いつも真美、詩織とつるんでいるメンバーが、その姿を現す。
 4人共 真美、詩織の顔見るなり もう半べそ状態に、顔をぐちゃぐちゃにさせいきなり飛び込んできた。
 とても直視出来ない 酷い顔 思わず 「せっかくの美少女台無し・・・・」 思わず呟き声が漏れそうになる。 それ程まで追い詰められた表情に見えた。
 「真美・・・・ 真美・・・・ 真美・・・・・」 思わず綾より少し小柄な真美に抱き着く。 その傍らでは、同じく涙で眼を腫らした状態で立ち尽くす香と加奈。
 まるで、葬儀の時の様に、まさに最後のお別れと思わせ表情と態度。
 「まだ私 死んでいないわよ・・・・」 思わず突っ込みを入れたいところであった。 ただ内心呟くだけ。
 「それよも 良く ここに入れたわねー」 少しようやく馴染んできた と言ってもどうしてもぎこちない事務的にしか思えない 自身そう思っている何気ない笑顔を浮かべ聞く真美。 だれもが、そう思う程 鉄壁と思える警戒厳重な区域。 簡単に入れない 例え政府の大物でも 許可された者以外。

 「そこは、我が一条家 ちょっと裏工作を・・・・」 ちょっとイタズラぽっく意味ありげに笑みを浮かべる。 「実は、パパに頼んだの・・・・」 そう言って、ようやく少し微笑んで、顔上げ真美を見つめる綾。 その笑顔の裏には、間違いない 綾の持つ小悪魔的・・・・・? 良からぬ意味が多分に含まれている。

 「真美・・・・ もうー止めない 存分に戦ってー とも言わない 決して、決して 逃れない宿命なんてない・・・・・ でも・・・・ 真美の帰る場所 いるべき場所 それは、私達のいる所 武勲なんてたてなくていい ただ ただ ちゃんと私達の元へ帰ってきて ただそれだけ それだけを言いたかったの それは、ここにいる香、加奈ちゃんも同じ」 微笑む綾。 「それに、真美が時々使う 何だか? 変な中年の一癖も、二癖もある男の人が使う何だか良く意味の解らない? 蛇(じゃ)の道は蛇(へび) ようやくその意味少しは理解出来たの だから使わせてもらった」 うれしそうに、意味ありげに微笑む綾。

 果たして本当に意味理解したのか? 心配になる真美。 変に違約していなければ・・・・ まあー考えるのは止そう。 自ら強引に幕引き図る。 多分間違いなく、ロクでもない事に利用している。 それも本来の意味を強引に・・・・・

 "私の本来のいるべき場所" その言葉真美の胸に大きく突き刺さった。 自分のいるべき場所は、修羅の掟の支配する血も涙もない、冷酷で、殺伐とした最も忌むべき戦いの場 戦場 そして、そこで死ぬべき・・・・ そう思っていた。 例え敵が妖魔と言う 人類外の我々の住む宇宙とは異なる、多重宇宙に存在する もう1つの別宇宙に存在する敵対する知的生命体であっても 数多く殺してきた大量殺戮者。 血で手・・・いや 全身を返り血を浴び汚れた卑しい、忌むべき存在 そんな卑しく忌むべき汚れた自分をまだ大事な友達だと思ってくれている。 こんな度汚い私自身を。 そしているべき場所を あの光輝く暖かい世界で、待っていると。

 「真美お姉様 2階級特進してなんて・・・・」 涙声で語る香 2階級特進 それは、戦場で戦死した兵士に与えられる最後の褒美 香が、こんな事知るはずがない。 間違いなく上の兄3人の入れ知恵。

 「真美ちゃん 私 またお見合いの話が来たの 今度こそと思っている 前回色々トラブルあったけど、今度のお相手 すごく誠実そうな人なの まだ写真を見ただけだけど、お見合いの席には、だからまた一緒にいて」 加奈は、涙眼を我慢し笑顔を向ける。 加奈なりの誠意 戦場に向かう兵士は、何か必ずやり残して行くと言う それは、全て片づけてしまうと、生きて帰ってこれない 変なジンクスがある。 それは例え部屋の片づけ、掃除 その他 もろもろ 何か1つでいいやり残した事があれば、それをやり遂げる為 生きて帰ってくる。 加奈なりの気配り。

 本当に良い友達に恵まれた? いや・・・・? 真美が期待していたのは、とことん嫌われ 生きて帰ってくるな!! 死んで来い!! もう2度その面(つら)見たくない・・・・などであった。
 普通 大事な友達に対しては、綾、香、加奈の言うとおりである。 持つべき掛け替えのない大事な友達としての反応である。

 「これじゃー 絶対死ぬな!! どんな事があっても 生きて帰って来い じゃないの?」 そう悩み思う真美。 自身の戦略上 死ぬ事こそ後顧の憂いを絶ち 人類の生存、存続・・・・と言った戦略上の勝利を得られる。 ただ死ぬのであれば、自決すれば簡単。 だがそれでは意味がない。 この戦いで、1体の究極の妖魔の神々にも匹敵する妖力を持つと言われるSSS級を始め 何体かのSS級、S級を道連れ 寂しがり屋の真美 冥途の土産として、一緒に連れて行く。 万に1つもない だがうまく勝利出来き 生き残る事が出来れば、あの漆黒の穴 妖魔がこちらの宇宙へ来る為に利用する あの4次元ワームホールに入り 妖魔界へ行き そこで戦死する。

 真美自身唯一残された戦略上の勝利 後顧の憂い 人類に取って最悪のシナリオ それは、S級以上の妖魔と交わり誕生すると言う 妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級を超える究極の半妖魔と言うべき 真美の持つラディエンスのそれも源流の力 その力を運ぶ箱舟 その力を真に解放し 同時に、妖魔のあの強力なS級以上の妖力を合わせ持つ存在を 絶対に誕生させない。

 元々本来は、そう今の姿に、ラディエンスの力の突如覚醒による 性転換、年齢退行する前は、男 それも40歳代のだれも愛する家族も、愛してくれる者のいないSNEP(スネップ)=solitary non-employed persons それも典型と呼べる。 死んでもだれも困る人も涙の1粒すら流す人もいない。 孤立無援。 だが、この力 ラディエンスの力の覚醒により 全く想像すら出来ない そうまるで異世界 そんな場所に急に迷い込んだ。 本来持てるはずのない大事な物、者が、そう大事な守るべき大事な人達。 その大事な人達を守る。 もう思い残す何もないはず。 あの時 そう年末年始のあの事件で、決して知られてはいけない真美の秘密の1部を見られてしまった。 あの時 真美自身自分がどれ程 汚れた、卑しいか・・・・ あの光輝く眩しく、暖かい温もりに満ちたあの世界には、自分の居場所はない。 そして決断したはず。 心底嫌われれたはず、もう死んでも困らない。 あの光輝く眩しく、暖かい温もりに満ちたあの世界に誘い 包んでくれた大事な人達を 妖魔から守る その為の戦って死ぬ・・・・・と、だがこうしてまだ、あの光輝く眩しく、暖かい温もりに満ちたあの世界で、帰ってくれるのを待つ。 こんなに汚れ、卑しい真美自身を 大事な友達として・・・・ はっきり言われた。 せっかくの決断が、鈍り、揺らいでしまう。

 相反する課題? 

 「真美」 「真美お姉様」 「真美ちゃん」 綾、香、加奈 3人が涙を流し思わず、真美を抱きしめる。 決して、逃さない そう言う強い決意の表れ 抱きしめる両腕に力が籠っている。

 「真美 絶対に誓って、絶対生きて帰ってくるって・・・・」 涙声で言う綾。

 「そうじゃなければ、この両腕、絶対に離さない」 続けて語る綾。 香、加奈も、大きく頷く。

 「それは・・・・・」 思わず口ごもる真美。 どう対処し、どう答えれば良いか?

 「このわしが、責任を持って、真美ちゃんを お前さん達の元へ返す」 そうやさしい老婆の声が響く。
 この様子を少し離れた場所から見ていた妖魔ハンター室長の小夜子。 真美が困り果てた表情を浮かべ、思わず助け舟を出した。
 「だから 真美ちゃんを離してくれぬかのうー」

 もう余り時間が残されていなかった。 そろそろ専用機への搭乗の時間であった。


 専用機機中 窓の外 ただ雲海と、その下に広がる青い海 それだけの世界 何も口を開かず、じっと見つめている真美。
 色々な思いが、複雑に交差しているのが、だれの眼にも明らか。 それは真美だけではない。 この専用機に乗る妖魔ハンターの面々全く同じ。 だれも必要以上に口を開こうとしない。 重い雰囲気に包まれている。
 帰りの無い片道キップ それに乗車した。
 隊長の三村は、両腕を組み 両目を閉じたポーズを何時間も続けている。

 周囲は、日本軍の残り少なくなった最新鋭のF-35 6機を中心に、F-15などにより厳重に警備され また通過する各国の まさに虎の子の戦闘機により厳重に、最優先に警備されていた。 もちろん海上でも アメリカ海軍の主力イージス艦により飛行ルートの徹底的に、上空の不審飛行物に対する厳しいチェックが行われていた。 もちろんほとんど無傷で残っている 地球軌道上で監視するスパイ衛星による連動しての監視も怠っていない。
 数日前のあの世界規模の戦いで、生き残った各国の本物の霊能力を持ち 何とか生き延びた妖魔と戦ってきた霊能者 まだ戦いの傷も癒えていないが、ほとんどこの戦いに参戦する為 自国の軍による最重要警備で、戦いの地となる中東I国の別名ハルマゲドの丘に、急遽作られたベースキャンプに続々と集合していた。
 人類が持つ最新鋭ハイテク兵器も 通常兵器なども 全く通用しない敵 妖魔 唯一の可能性は、強力な最終兵器と言える 使用は、人類に取って絶滅の危機との表裏の関係にも核兵器のみ。
 もし この戦いで、敗北すれば、ためらわず、核兵器を持つ国々が、最終手段として、まるで、ゲリラ豪雨の如く、ここに集まっている妖魔大軍に向け撃ちこむ、真美でなくてもだれもが想像が付く。 つまりこの戦いに、参戦する 妖魔と対抗出来る神秘の力 ラディエンスの力を持つ星沢家と、下級のA級以下ならば、何とか拮抗出来る力を持つ霊能者の にわか仕込み急遽混成部隊が、人類に取って、最後の砦、希望であった。
 「負けて、妖魔の奴隷、家畜以下の扱いを受けるよりも 戦って、死んだ方が、はるかにマシさ・・・・」 この戦いに、参戦する霊能者のほとんどの気持ちであった。

 「全面バックアップする」 各国政府の口先だけのお約束事 こんな政治屋の言葉を信じるバカなど、この戦いに参戦する者には皆無。
 だが、この戦いに後がない つまり崖っぷちの戦いである事を疑う者は、この戦いに参戦する全ての者達の共通認識であった。
 最後にして、最大の戦い 決して大げさではない。


 真美の隣に座る由美 ただ真美をまるで大事な物を 守る様にしっかりとその両腕に抱きしめていた。
 小さな そう生後まだ1年にも満たない幼い我が子を愛情を注ぎ抱きしめる様に、由美の脳裏には、泣きじゃぐる幼い我が子を 母親があやしながら 我が子に対する愛情を持って、その胸に包み込むと、母親ま鼓動で、子が落ち着く、自身何度も経験がある。 何故か? 今 それが最も重要に思えた。
 血の繋がらない親子であるのに。
 真美には、まだ何も話していない。 しかし真美は気付いている 1部心伴わない非難、中傷を真美に浴びせている者達の存在を。

 「そんな女など、さっさと妖魔に渡せ そうすれば全員助かる・・・・・」
 妖魔の目的は、真美であった事が知れ渡っていた。
 だれもが、自分だけは助かりたい 生命(いのち)と言う まだ定義があやふやな物であったが、あくなき生存本能 決して、声を大にして非難出来ない面もある。
 だれもが、死にたくない。

 ただでさえ不安定な精神状態の真美 出来る限り細心の注意を払い 真美の耳に届かない様に気配っていた。

 大半は、この戦いに赴く者達の勝利と、無事の生還を祈りひたすら続ける者達ばかりであったが。
 出来る限り 真美には、この事だけを真美に伝えている。
 「みんな心から応援している・・・・」と。 だがこんな単純な手に引っかかる真美ではない。 その事を良く知る由美。
 最も恐れているケース それは、戦いの最中 自らを人質として、差し出す。 真美ならば、一緒に戦い捕虜となった者達を取り戻す為やりかねない。
 自らの生命(いのち)を最も軽く、全く価値の無い物と見下してしまう傾向を 由美は感じていた。
 「どして、この子 こんな風に自分の事 考えるのだろう・・・・・」 由美には、良く理解出来ない真美のある意味 心の闇と言うべき面であった。
 最も美しい女神すら凌駕すると言う容姿 逆に、余りにも光輝く眩しいばかりの恒星(太陽)の面ばかり直視してしまい 必ず同時に対となり存在する全く対称性の面である 心の奥底にある 決して表面には現れない 心の闇には、だれも気づけない。 SNEP(スネップ)として、歩んで来た男の時代を。 これも真美の持つ本質の1部を形成している事も。


 用意された 仮設の宿舎に入った。 この周辺の近くのホテルを間借り 設備などこの周辺では、極めて普通の標準 それでも文句を言う者達はだれもいない。 屋外のテントでのベースキャンプに比べれば、贅沢。
 ここで、パパ義人と合流。 かなりくたびれ表情 だが、そんな面を全く見せない。
 明日は、いよいよ決戦の日 僅かな時間を惜しんで、何か画策した様子だ。
 部屋に入る だれも盗聴などされていないか? 周到に確認する。
 真美と、由美をソファーに座らせ ようやく重い口を開いた。
 それは、星沢財閥の会長でもある由美でも噂程度でしか知らない最高機密であった。
 「すまん由美 婿養子であるこの僕が、単独で、星沢財閥を潰す事になる・・・・・」 最初にそう謝罪の言葉を述べた。
 主だった内容は、以下である。
 星沢財閥の傘下の複数の部門で、極秘裏にある近未来の超ハイテク兵器を極秘裏に開発していた。 それは紛れもなく世界征服を目的とはしていない。 対妖魔用の超強力な特殊ハイテク兵器。
 妻である由美 娘である真美を守り 過度な負担軽減の為でもある。 運用の仕方1つで、人類に対しても強力な武器となる諸刃の剣。

 近未来兵器として、開発される可能性の高い プラズマ兵器 プラズマ砲であった。

 星沢財閥が総力を挙げ完成 星沢財閥が打ち上げた民間用の人工衛星の1つに、極秘裏に搭載されていた。
 プラズマの性質上、物体に触れると急速にそのエネルギーを周囲に与えてプラズマ状態ではなくなってしまうため 真空、大気中では何らかの方法で、エネルギーの拡散を閉じ込めなければならず、プラズマは磁界によって閉じ込めることが可能なので磁界によって絞り込み 1つのエネルギー弾として、地球軌道衛星上から、目標にピンポインで攻撃する。
 光速でターゲット(目標)攻撃 つまり撃ち抜くビームを当初研究開発の目標としていたが、磁界に閉じ込めビームを地球上のターゲットまでの距離には、膨大なエネルギーが必要な為 一定の大きさの球体に、プラズマを磁界に閉じ込め撃ち込む方が、よりエネルギーの効率 特に充填に、時間のロスが少なく済んだ。
 他だし光速で、ターゲット(目標)撃ち込むビーム比べ プラズマを磁界に閉じ込め1つの膨大なエネルギー量を持つ球体をターゲットに命中までの発射から命中までのタイムロスは、約30万km/secのビームよりも 遥かに時間を要する欠点もあった。
 だがその威力は、真美の持つラデイェンスの力の最終必殺の大技バーストに匹敵すると、計算されている。
 まさに近未来のオーバーテクノロジーのスーパーハイテクウエポン。

 「・・・・もし2人に何かあれば、僕は躊躇わず妖魔 特にSSS級に対して使用する。 その後 どんな非難、中傷を受けようと、僕は甘んじて受け入れる・・・・・」
 今まで、胸の内に秘めていたとてつもなく重い物を吐き出すように語る義人。 まさに覚悟が決まっている。 その瞳から絶対と言うべき強い決意の光が伺える。

 その言葉に、何故か余り感銘を受けない真美。 絶対の揺るぎない決意は伝わる。 だが別の観点からこう言う事を見てしまう真美の欠点。 戦略家としての資質を育む 冷徹、冷酷な側面。
 どんな優れた兵器としてのハードウエアーも運用するソフトウエアー つまり使う人の能力によって、大きく左右される。 新たに開発された近未来のオーバーテクノロジーのスーパーハイテクウエポンと言っても たった1つ兵器、武器で、戦局が大きく変わらない。 戦略の基本・・・・ そんな程度 世界で100人に入る超優秀な経営者の1人に、毎年選ばれる父親である義人が、そんな程度理解していないはずがない。
 軍事面の戦略も 経営戦略も 基本は同じはず。
 妖魔の中にも妖力として、電流、電波を自在に操れる妖魔もいる。電流、電波 PC コンピューターによる電子コントロールによる兵器 下手にハッキングされた場合・・・・・ 余り考えたくない。
 新開発された新たな兵器を敵に奪われ 利用 壊滅的敗北を期した例など、戦場に無数にある。 その威力が大きい程 壊滅的な被害を受ける。
 こう言う兵器は、最後の切り札 最終場面まで、ひた隠し 最後の一撃で利用 そんな程度知らないはずがない。
 結局 運用するソフトウエアー つまり使う人の個人の能力・・・・

 だが、その気持ちだけは、十分に受け取る。 使用させる場面を作らない。 難しい戦術・・・・・ 圧倒的戦力差 少数で多数を撃破 戦略の邪道・・・・・ 敵妖魔が、何らかの奇策を与える隙があれば・・・・
 たまに、こう言う事があるから歴史に残る。 ほとんどミラクル(奇跡)。
 下手な子細工など大軍で、正面から撃破されはば、一溜りもなく押し潰される。
 まあー この辺は、上のお偉い様の考える領域 1兵士の身分 相応にわきまえるべき。

 「・・・十分にバックアップは取る 地中海には、最新の医療船を配備済み 多国籍軍の護衛艦に守られている・・・・・」 義人の熱心な話が続く。 地球衛星軌道上にも 民間商用人工衛星で、カモフラージュしていた数基のスパイ衛星による監視体制 まさに、1国の軍並の総力戦 下手な小国よりも圧倒的軍備 星沢財閥が、総力を挙げている。 さすがに、この点に関しては、義人 抜かりがない。 情報と、後方支援 戦略の基本。
 ただ それだけで勝てる程 甘い敵ではない。 妖魔。

 同じ時間 別室では、妖魔ハンター室長 小夜子と、唯一残された孫娘 零夜が、話し合っていた。
 「・・・・すまぬのうー 零夜 お前の大事な母親 わしの娘 お前さんが、まだ小さかった頃、妖魔との戦いで、失わせてしまった。 さぞわしの事 恨んでおるじゃろう・・・」 神妙な面持ちで語る小夜子。

 「何を言うのおばあちゃま おばあちゃまの事 恨んだ事など1度もない 母を殺したのは、あの憎き妖魔 それに、私をここまで大事に育ててくた・・・・・」
 「それに、母の形見 この霊玉石 私に譲ってくれた そして、母の敵 妖魔と戦う力 最強の霊獣 白龍神を操る力を鍛えてくれた 感謝以外何もない」 必死に答える零夜。 その答えに脆く涙が毀れそうに小夜子。
 代々妖魔と戦う宿命を背負う神楽家。 女性しか生まれない不思議な家系であり その為の力 神楽家の代々受け継ぐ一子相伝  最初に生まれた女子が受け継ぐ強力な霊能力 そう最強の霊獣 龍神を自在に操る力。
 小夜子を除く神楽家は、代々短命の家系 それは、病死、事故死などでは決してない。 激しい妖魔との戦闘による戦死。 90歳を超える小夜子は、稀にみる いや史上最長の長寿を誇っていた。
 小夜子の最初に産んだ娘であり 唯一生き残っている孫娘零夜の母は、30歳で、妖魔との戦闘で死んでいた。 生後1年にも満たないまだ幼い1人娘の零夜を残して。
 神楽家も直系の本家は、もはや小夜子と、零夜の2人を残すのみとなっていた。 確かに分家筋は、古都K市の外れ山深い奥地で、続いている。 だが本家の様な強い 史上最強と謳われる霊能力を受け継ぐ者達は、皆無。 だからこそ早く孫娘の零夜には、強い霊能力を持つ共に生涯を寄り添う伴侶を見つけ子孫を伝えて欲しい。 その為の伴侶は、見つけた。 だがいつも2人は、喧嘩ばかり とても祝言を・・・・ と言いにくい状況であった。 零夜は、もうすぐ34歳になる。 早く可愛いひ孫を と強い思いを抱いていた。

 「ちょっと おばあちゃま 外の風に当たってくる・・・・」 そう言い残し零夜は、部屋を出た。

 どうやら深夜の密会、逢引(デート) 少し薄く微笑む小夜子。 どうやら取り越し苦労? あーいつも喧嘩ばかりしていても 運命の赤い糸は、2人は、しっかりと結びつけているようだ。

 「お待たせ まったー」 妖艶な純和風美女零夜 ベンチに座り 満天に輝く夜空の星々を眺める1人の男性に近づくと、さりげなく男性の座るベンチの左側に腰を優雅に下し 同じく満天に輝く夜空の星々を 同じ姿勢で見つめる。 いつも大都会の人工の光に邪魔され 余り見ることの出来ない星々まで、満天いっぱいに光輝いている。 まさに暗い夜空に輝く美しい宝石の様に。
 余りの美しさ 思わず見とれ 息をのむ。 絶対大都会では、見られない絶景。

 「こう言う星々 真美ちゃん詳しいだよなあー」 ほっりと独り言を呟く佐々木 妖魔ハンターの1人であり 零夜の為に、小夜子が見つけ出した許嫁 そして婿になる証として、神楽家代々婿が使う妖刀 魔斬を寄与されている。

 「そんな話をする為に、わざわざ呼び出したんじゃないでしょ?」 少し微笑む零夜 その微笑みの裏にある物 それに気づく佐々木。 実は、佐々木も同じ気持ちであった。 明日と言う日。 不安がない・・・・ と言ったら絶対にウソになる。 明日妖魔の大軍と、残った僅かな残存兵力で、戦わなければならない。 それもまさに崖っぷち もはや後方に撤退する事が出来ない絶体絶命の状況下 敗北は、人類存続に関わる。 後のない戦い。 元々防衛大出身 軍事面に関して、隊長の三村に決して引けを取らない。 現在の兵力差など、勝機がほとんどない事を知り抜いている。 それでも戦わなければならない。
 「どうせ死ぬなら戦って死んだ方がマシ・・・・」 今の率直な気持ちであった。
 だか、その前に、伝えておきたいことがあった。 そう今 左に座る まさに、純和風美女である零夜 今までの気持ちの全てを伝えておきたかった。 最も素直な気持ちを。
 だがうまく言葉に出来ない。
 そんな佐々木の両太ももの上に、まるで甘えた子猫の様に、両目を閉じ、寝そべる零夜 まねで暖かい温もりに包まれ安心した表情を浮かべ小さく微笑みを浮かべる。
 「解っている 答えは、YESよ」 相手の佐々木を安心させる様 やさしく愛情を持って答える。
 全ての愛情を総動員 最高のスマイルを浮かべ答える必要など零夜にはなかった。 間違いなく佐々木もそんな風に返事を望んでいない。
 日常のそうさりげなく それで十分。 2人共 もういい大人 直接的な必要などない。 さりげなく それでいい。 互いの気持ちは、通じ合っている。 1番大事な根幹部分で、それが愛と言う1つの言葉の定義をなす部分の1つであることも。

 そーっと右のズボンのポケットから1つの丁重に包装された少し小さい箱を取り出す佐々木 零夜に渡そうとする。
 「待って これはまだ・・・・ そうこの戦いが終わって、生きて帰ってから・・・・」 そう言いながら佐々木の眼を見つめる零夜 その瞳の奥には、絶対的信頼感が見て取れる。
 箱の中身は、想像が付く、間違いない だが今受け取るケースではない。 そう思う零夜。 何故か真美の変な中年のそれもある程度修羅場を潜った男の持つ雑学知識の1つが、脳裏を過る。 「戦場に向かう兵士は、何か1つは、やり残して行くと言う それは、どんな些細なことでもいい 部屋の掃除、片づけ・・・・でもいい 何かやり残して行くと言う。 それは、全て片づけてしまうと、生きて帰ってこられない変なジンクスがある。 何かやり残していかなければ、それをやる為必ず生きて帰ってくる・・・・ そう言うことであるそうだ。 2人に取って、最も大事なこと・・・・・ これからの2人の人生に取って、こんな大事な事をやり残しておけば、それを成し遂げる為必ず生きて帰ってこれる そう零夜は思った。 何気なく佐々木の顔を見つめる。 どうやら佐々木もその気持ち理解しているようだ。 これからの2人のかけがえのない人生の最も大事な事 これ以上ないやり残し。

 やさしく信頼満ちた瞳で見つめる零夜を見て、佐々木は、明日の妖魔との戦いにある事が、脳裏を過っていた。
 もし この戦いに、最後の希望として、戦う俺達が敗北したら・・・・ 戦場で、たら、ればは、絶対の禁句である事は、知り抜いている。 一応防衛大を卒業している。 それに妖魔との実戦も数だけは、こなしてきた。
 間違いなく俺達が、敗北決定的になれば、主要核所有国 使うだろうなー 多分  この点 室長の小夜子さん、三村隊長 それに、あのこう言う点に関して、異常なまでの戦略眼の持ち主の真美ちゃん 気づいているだろうなー そう思った。 敗北が決定的になった瞬間 最終手段として、ある程度の原子、水素、中性子などの戦術核兵器 この戦場に向かって撃ち込まれる。 敵味方など関係ない。 政治屋や、軍のお偉い様 自らの保身の為 大鑑巨砲主義の愚劣の骨頂など・・・・・ まあーいわゆる建前上政治的判断 多数を守る為などと称して。 所謂俺達は、その為の捨て駒。 真美ちゃんだったら どんな辛辣な毒舌を吐く事やら・・・・ 何もかも証拠となる物を焼き尽くして・・・・ いやこの場合 焼き尽くす程度ではない 消滅・・・・ いや瞬時に蒸発させてしまう そしてそこには何も残らない・・・・ 証拠隠滅 残るのは、強烈な残留放射能汚染と、死の灰など・・・・ 除染不可能 数億年以上と言われる半減期・・・・ 思わず苦笑いを浮かべる佐々木。 余り うれしくも、楽しくもないシュミレーション。

 「何 1人でにやけた顔 浮かべているの?」 思わず零夜につ込まれる。
 何か不審そうな顔で睨まれる。 慌てて取り繕う佐々木。 浮気ではない事だけは、信じられている。 多分・・・・ 変な事の そう男の欲望? 願望? 程度と思われている。

 「このまま美しい夜空を見上げ こうしている時間 永遠に続けばいいのにー」 零夜の間違いな切なる願い。


 翌朝と言っても まだ夜明け前 まだ天空には、無数の輝ける宝石? 光輝く星々が煌めく。
 そんな時間 この戦いに参戦する 僅かと言っていいだろう 予想される妖魔軍は、推定1万体を迎え撃つ 各国の生き残った人類最後の希望? と呼べる特殊能力者約100人。
 主要国の有志連合が、組織されバックアップに回るが、主要国の通常軍備兵器は、全く妖魔に通用しない。 正面装備もかっての大鑑巨砲と呼ばれる戦艦、空母などばかりで、人海戦術は、ただむやみに戦死者をふやすだけ、最新の無人兵器などの高度ハイテク兵器の大半は、失われていた。
 レーダーに映りにくいステルス製戦闘機は、全て失われていた。
 ただ眼となり耳となる地球軌道衛星に打ち上げられている軍事用スパイ衛星が、無傷が、せめてもの救いであった。 ただコンピューターシステムへのハッキング? と言う懸念が残されていた。
 電流電波など自在に、妖力が操れる妖魔の存在が、顕在化していた。

 主な作戦内容は、以下であった。
 戦闘開始の夜明けとともに、近くの海上の戦艦と、爆撃機によるスパイ衛星からのデータによるピンポイント攻撃を開始、敵妖魔軍に、先行ミサイル攻撃を浴びせ 妖魔の出だしを削いだ後 地上の特殊能力者の部隊で、地上攻撃開始。 少し後方には、戦車部隊による支援攻撃であった。

 最後の訓示が終わる。
 急遽編成された部隊ごとに分かれる。 真美達日本の妖魔ハンターは、この部隊の中核をなし。 先陣を切る役目を担っていた。 つまり最初に特攻する。
 最も妖魔との対戦経験が豊富 各々の特殊能力もスバ抜けていた。 最初に敵妖魔軍の中央突破 敵妖魔軍を分散させ各個撃破。
 全部隊を指揮するのは、妖魔ハンター隊長三村 この人以外だれも適任はいない。

 三村の戦術は、機動性、破壊力に優れた真美、詩織、風吹を先頭に、両横を小夜子の聖龍神と、零夜の白龍神でカバー そのまま全部隊で、紡錘陣形で、敵妖魔軍の中央突破 敵妖魔軍を分散させる。

 敵妖魔の狙いは、真美 だが真美を先頭から外せない。 真美の持つ驚異の力なしに、勝機など有り得ない。
 最強の部類に入るS級、SS級、そして神々にも匹敵すると言う究極の妖魔SSS級を真美に担当してもらい 残り約1万の妖魔を 全員で担当する。 真美にはこれ以外の妖魔を決して近づけない。
 現代の戦争は、個々の能力よりも全体の組織力を重視した組織戦である。 だがあえて逆の個々の能力、戦闘力を重視した戦術を取らざる得ない。 圧倒的数の不利を補う為に。 戦術的勝利を重ねる事により戦略的勝利を見出すではない。

 真美自身この時点ある事を考えていた。 昨夜余り眠れずなかったのもこの為だが。 それは時空間に開く漆黒の妖魔がそこを通り現れる4次元ワームホール 妖魔の持つ妖力により生み出される妖魔の住む宇宙と、この宇宙をつなげるある種のトンネル。 タイミングを見計らい こちらに現れた全妖魔を引き連れ飛び込む。 それはそれでいい その後だ。 問題は。 複数ある それら全てを破壊し、2度4次元ワームホールを生み出す事を出来なくすれば・・・・ それは、人類側の戦略的勝利。
 妖魔の宇宙へ行った自分自身 途中なぶり殺し 2度と、帰れない片道切符 まあーそんな事どうでもいい 2度と妖魔がこの地球に現れないようにする。 それこそが、本当の勝利。 だがどうすれば・・・?

 色々思いが巡る しかし何も結論が浮かばない。 机上の空論? 良い方法があれば。

 そんな時だった。 丁度夜明け。 指定された空間に、何ら前触れもなく突如 まさに全ての色彩を呑み込む漆黒の闇の空間が、10・・・・20・・・・ いやそれ以上 開かれる もしブラックホールであれば、時空間は、想像を絶する超巨大な重力源により強烈にその中心部に向かって、引き伸ばされ中心部に向かって、永遠と思える引っ張られ呑み込まれてしまうが、この漆黒の まさに完全な円形のまさに穴は、まさにある意味その正反対の性質を持っているように感じられた。 理論上 ブラックホールと正反対の性質を持つ まさに対称性理論に基づくホワイトホール。 何もかも そこから吐き出される。 そんな不気味な感じを抱かせる漆黒の闇の穴。
 そこから最初からその数を数える事すら無意味と感じさせる無数の妖魔の大軍が、次々と整然と隊列を組み現れる。
 余りの数の多さ。 1体1体の放つ醜悪と思える妖力を伴う妖気。 それらが1つの強大な妖力となり 周囲を戦う前にして、敗北感を抱かせるように、全てを呑み込み圧倒する。

 対する人類側の最後の切り札達 余りの圧倒的数の妖力に、流石に言葉を失う。 ただ見つめる事しか出来ない。

 左耳に当てられたレシバーから通信が、本部から届く。 「敵 妖魔 推定1万体超える・・・・・」
 上空 衛星軌道上から監視スパイ衛星からのリアルタイムによる情報解析。

 そこは何も無い ただの荒涼とした砂砂漠 ほとんど遮る物などない。
 そこに布陣する妖魔軍。 圧倒的数に物を言わせ 部隊を大きく3つに分けている。 中央、右翼、左翼 そして、中央を少し後方に下げた凹陣形を引く。
 狙いは、同時3方向から完全に包囲し 数の多さの圧倒的有利を生かした 包囲殲滅戦。
 敵妖魔 距離にして直線で約1km 遮るものがない 肉眼でも良く認識出来る。 異様な程の発せられる巨大な邪な妖力 思わずだれもが余りの迫力に呑み込まれ悪感が走り身震いする。
 これ程のまとまった巨大な妖力感じたことなかった。

 戦う前にもはや戦意喪失 ただ息をのみ呆気に取られ前方の妖魔の大軍を見つめる事しか出来ない。
 希望的観測だけの絶望の戦い ここにいるだれもが、そう感じていた。

 更に追い打ちをかける出来事が起きる。
 最初の心理戦。

 遥か先にあるにある地平線の先が、白々と 今まで漆黒の闇に覆われた世界を侵食し始める。 そう夜明け開戦の時間。

 睨みあう両軍の丁度中間地点に、何ともいえない巨大な妖魔が現れる。 そう世界中のTVの電波をハッキング 自らの力を誇示 この戦いを指定したあのSSS級 妖魔の神々にも匹敵すめと言う究極と言える妖力の持ち主。 ヒューマノイドタイプ(人間型)で、頭の先から黒のローブで被い それも足元の地面に着く程長い。
 そして顔も丁度の両目の部分以外頭から被るローブで隠している。
 唯一と言える隠されていない両目 見つめた者全てをそのまさに強引な魔力、催眠術によるマインドコントロール(精神支配)で、引き込み支配する程強力な眼力であり その瞳は、漆黒の闇をも上回る黒を想像しがちだが、冷酷無比 何もかも絶対零度で、凍り付かすほどの冷気を持つアイスブルー だが、その色は、アイスブルーでありながら限りなく漆黒の 全ての色すら存在しない闇の黒 そんな風に感じられた。

 ゆったりと自然体でありながらも 全てを威圧する程の力を全身から発している まさに頂点立つ者の威厳に満ちた だれもが、その威厳ひれ伏す程の迫力がある。 だが何故か? 強力な妖力を感じない。 そうそのはず 確かに立体感はある。 だが、それはまさに映像 3Dの それもそこにリアルに存在している様に感じられる程であった。 だがそれだけではない様だ。

 「やはり・・・・」 余りの迫力に魂までも奪われた状態であったここにいた全ての者のなかで、唯一の例外 そう真美。
 左の隣いる詩織が、真美の漏れた小さな声に反応する。 「どういう意味?」
 「あのSSS級 妖力を自在にコントロール出来るのよ それも0(ゼロ)から自身の最大レベルまで、自在に。 だから感じなかったのよ あれ程頻繁に そうほぼ毎日顔を合わせていながら・・・・・」

 はっとした表情を浮かべる詩織 思い当たる人物が1人 「まさか?と思うけど、あのSSS級 ジークと言うんじゃないでしょうね?」 真美の顔を見つめる。

 そう正解であるようだ。 真美の口元が薄く それも冷酷に、少しだけ笑いを浮かべる。 真美の持つ変な癖。
 この様なケースで、時より見せる 多分真美本人無意識で見せる仕草。 これから起きる まさに修羅の掟の世界を楽しみしている。 そんな風にすら感じさせていた。 ある面真美の持つ冷酷な一面を現している。

 その瞬間 何かを語りだすSSS級妖魔 見た目 頭から黒ローブで全身を覆っているため判断が付かないが、かなり若い そうまだ10歳代後半の男のまだどこかあどけなさを感じさせる 大人成り切れない少年の様な声を発する。 現状の見た目とは、かなりの異質に感じられる。 ただその言葉には、やはり全身から発する妖力ではない。 王者の風格 全てを支配する者の威厳を感じさせていた。

 「朕こそ 支配者の中の最も偉大な支配者 我が偉大なる全ての頂点に立つ妖魔の世界と、この世界の支配者となる存在・・・・・」 まるで、太古の いや現存する最古の叙事詩を思わせる、言語、文法の言葉が続く。 自らの偉大さを殊更強調する意図が伺える。

 何を言っているのか? 全く理解出来ない詩織 言葉が外国語より更に難解に聞こえる。 隣の真美を見る どうちら外国語ならぬ 真美の受け売りガラクト(銀河共通語)クラスの超難解な言語を まるで母国語の初歩レベル程度にしか思っていない様子 それも大袈裟な悲劇の舞台のセリフ程度にしか、思っていない様子に見える。 ただ呆れて物も言えない そういう表情を浮かべている。

 最後に、お決まりの常套文句 降伏勧告・・・・・ と、自らの偉大さを 事細かく強調 戦うことの無意味さ。 真美を差し出す事など。

 「それで終わりか!!」 図太い 何もかも底から震わせる男の低い声が響く。 そうこの声の持ち主 妖魔ハンターの隊長にして、この急遽編成された特殊能力者部隊の指揮官でもある三村の声。
 耳の穴指で掃除しながら 半端欠伸をし 退屈そうな表情を浮かべている。

 「その辺にしておけよ そんな能書き退屈で仕方ない」 何も者にも屈しない豪胆な態度 三村らしい 百戦錬磨の真の強者。

 「たった1人・・・・ そう近い将来の俺の嫁さんを 守れなくて、全人類以前に、最も大事な男が務まるか?」 こんな場で、とてつもない発言。

 思わず反論したくなる真美 だれが三村の嫁? 一難去ってまた一難? だが今 そんな事言い争っている場合ではない。 どさくさに紛れ・・・・・ 思わず苦虫しか潰せない。
 戦う前に効果的フェイントを掛けられた気分の真美。
 「何だか、こっちが出鼻を挫かれた気分・・・・」 誰にも気づかれない様 内心呟く。

 周囲を見ると、反応が真美とは、全く異なっている。 敵意、殺意などどす黒いオーラが充満している。 それも前方に展開している妖魔軍 その頂点立つSSS級に向けられているのは、ある意味当然だが、もう1つ別の そう味方の1人にも向けられている・・・・ 多分・・・・ 間違いない こんな場で、どさくさに紛れ とてつもない発言した およそ約1人に対して。 まさに憎しみを籠った眼で・・・・ だがその発言をした本人は、全く素知らぬ涼しいとは違う まるで、これから狙いをつけたターゲット(標的)と認識している妖魔と言う草食獣を狙う野生の凶暴な肉食獣の 狙ったターゲット(獲物)は、絶対に逃がさない鋭い眼で、前方を睨んでいる。

 「てめーえの名前 まだ聞いていなかったな あの世への冥途に旅立つてめえの名前聞いといてやろう せめてものはなむけだ!!」 流石に豪胆さ、場馴れしている三村 物怖じない態度で、堂々と、何よりも自分の方がはるかに強いと周囲に認識させるよう大胆に言い放つ。 まさにハッタリ。 少しでも不利な状況を せめて精神的有利に運ぼうとする苦肉の策でもあった。

 「それは、それは、ご丁寧に」 鼻で笑っている。 見え透いた手には乗らない。

 「その豪胆さ免じて・・・・・」 頭からすっぽりと覆っていたローブを後ろへ ローブによって、眼だけしか見えなかった顔が、その瞬間露わになる。

 ここにいた いや人類側の部隊全員・・・・ いゆA級以下の妖魔の間さえ 大きなどよめきが起きた。 そうそのはず、妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級 その素顔を見た妖魔は多分いない。
 噂・・・・ 程度しか知らない妖魔ばかりであった。

 まさに超絶、完璧、もはやこれ以上は、絶対存在しない。 まさに神々のレベル・・・・ どんな言葉を尽くして決して表現出来ない まさに美の化身。

 某複数の宗教などと呼称する物の忌まわしき聖書? 経典などと呼称する物?の中に、天界など呼称する場所らしき所があり かって神々?などと呼称する物の使い走りに天使?と呼称する物達がいた。 その中で、その長として、最も美しいされたルシファー 様々な事情で、天界と呼称する場所から追放され 地獄などと呼称する場所に落ち堕天使などと呼称された まさにその再来 いやそれ以上の美しさであった。

 だがその容姿 何となくだが見覚えが? 「やはり・・・・」 思わず納得の呟き声を漏らす真美。 周囲の反応とは、全く異なっていた。 そうそのはず、周囲の部隊員全員が、余りの美しさに、思わず声を失い ただ見とれる それ以外何も出来ない 一種の金縛りに似た状態に陥っていた。

 「あなた ジークね 本来の容姿は、多分今の容姿なのだろうげど・・・・」 相手を見透かしたような口を叩く真美。 かなりの確率で、自信が、その発した言葉から伺える。

 不敵な薄笑いを浮かべるSSS級妖魔 だが高貴な者の持つ威厳に満ちた態度で、こう答える。 「良くぞと、褒めてやりたい所だが、その程度見破れない様では、我が妃にふさわしくない」

 「そう 朕 人間などに変身していた時 ジークフリート・ハインリッヒ・フォン・シュトラーゼ 愛称ジークと名乗っていた・・・・・」 その瞬間 ジークに瞬時に変身する。

 「だが、その実体は・・・・」 そう言いつつもとの姿に、「妖魔界 最強にして、神々にも匹敵する SSS級妖魔 その名を ルーシュトラーゼ」 高々と宣言する。

 誰の眼にもそれが、ハッタリなどではないと映った。 自信過剰でもない 確かな漲る物を感じずにいられなかった。
 そうそのはず、眼の前に布陣する人類側唯一の妖魔の妖力と拮抗する特殊能力を持つ霊能者部隊 だが、その程度の取るに足りない特殊能力などの 物の数ではない。 例え100人をやや超える数があろうと、瞬時に、瞬殺 いやその程度ではない。 完全に消滅させる程の能力 妖力を持っていた。 確かな自信の裏付けがあった。 1人を除いて。 まだ本来の力 能力に目覚めていない。 自らと匹敵する力を持つ者。
 人類の流行のコンピューターゲームなどと言う物の考え方で言うならば、経験値、スキル、ポイントなどと言う数値によって、自身、相手の能力を数値化し、強弱を決め対戦する。 全くの下らないナンセンス。 あれをそうあの人間の女を除いて、大なり小なり似たような考えしか持ち合わせていない。 どんなに大きな妖力を持っていようと、それを運用する者の能力次第で、ただの無用の長物化する。 人間の言葉の1つで表すならば、ただの宝の持ち腐れ・・・・・ だがあの人間の女は、それを良く弁えている。 自らの持つあの力を決して過信していない。 少々の能力差など、運用の仕方でどうにでもなる その事を良く弁えている。 侮れぬ相手。 だからこそ積年の夢 我が妃となるべき者。 あの日 我が手中から まるで粉末の様な細かな砂が、我が手から零れ落ちて行くように消えたあの日・・・・ 今度こそは、決して逃さぬ。 2つの力の融合 これこそが、乱世を制する究極の力。 そして、朕と、我が子こそが、全ての覇王、覇者となる。

 真美を見つめるルーシュトラーゼ だがその後方に控える先程から大口を叩く男の顔 何故か余裕の表情を浮かべ、少し口元が薄く笑う。




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