LEJENS  レジェンス

 LEJENS以外のSF小説です。
 LEJENSとは全く無関係のオリジナル小説です。


 妖魔ハンター

 作者 飛葉 凌(RYO HIBA)

 高校2年生編 Part8

 地球標準時間で、約1000年以上の昔 ここは妖魔の住む我々地球のある宇宙とは、同次元内にありながら平行宇宙にある無数に存在する多重宇宙の1つ、別宇宙の妖魔の住む宇宙にある惑星。
 我々人類の住む地球と同じく岩石型 もしくは、地球型と呼ばれる惑星であった。 大きさは、地球の4倍を超えるスーパー・アース(巨大地球型惑星)。
 地球同様 主成分が岩石や金属などの固体成分。
 やはり地球同様、惑星が誕生後 やがて生命体が誕生 長い年月をかけ分化を繰り返し突然変異による進化によって、多種多様性を獲得 やがて複雑で、高度な知的生命体が誕生する。 それが、妖魔であった。
 妖魔には、極めてレアな特殊能力を持っていた。 それが、妖力と呼ばれるある種の超能力とも呼べる特殊能力。
 そして、いつの頃か、ラディエンスと名付けられた女性妖魔が誕生。 成長と共に、妖力を どんどん高め いつしか、妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級の妖力を身に付けていった。
 生まれた時から ラディエンスには、他の妖魔の持つ妖力とは、性質が異なる不思議な妖力を宿していた。 妖魔では、超レアな妖力 多分史上唯一と思われる光の力を持ち それを物質化、実体化する力であった。
 妖魔界では、古からの言い伝えがあった。 それは、妖魔の神々にも匹敵すると言うSSS級の女性妖魔が現れた時 その女性妖魔と交わり我が子を産ませた者は、その子と共に、戦乱明け暮れる妖魔の覇者、覇王となり支配者となれる・・・・ であった。
 力こそ唯一絶対の妖魔に取って、妖魔の支配者こそ 究極の最終目標であった。
 それを知ったラディエンス 更に、自分を求め戦乱が激化 それに嫌気がさしてしまった。
 余りの惨さ 言葉では、決して言い表せない悲惨な状況。 自らその根源である事・・・・ ラディエンスは、意を決しこの激化した戦乱を少しでも改善を図ろうと、自ら逃亡を図った。 それは、自ら住む妖魔の惑星内のどこかに、身体を潜めたのではない。 そして、その宇宙内の別の星 惑星、準惑星、衛星、小惑星でもない。 決して、他の妖魔が来られない場所。 そうそれは、自らの妖力により4次元ワームホールを発生させ 別の宇宙へ逃げる・・・ であった。
 まさか? 別宇宙まで、追っては来ないと考えた。
 自身が消えれば、戦乱の激化が、収まると考えた。 小競り合いが続くが、大規模化しないと。
 そして、チャンスを見計らい自らの妖力によって、4次元ワームホールを発生させ 別宇宙に逃亡した。 その宇宙こそが、我々人類の住む宇宙で、逃亡先が、地球標準時間で、約1000年以上の昔の日本であった。
 別に狙ってのではない。 量子論の不確定性原理による偶然でもあった。 4次元ワームホールの開いた先が、たまたまなのか?  運命のイタズラ? 運命に導かれた? なのか? 当時の日本であった。
 まさにそれは、量子のもつれ? 未完成の量子論の解釈の1つ、ニールス・ボーア中心としたコペンハーゲン解釈? 全て不確定性の確率論的にしか表す事が出来ない。 相対的意味に置ける 確率が、高いか? 低いか?
 そして、4次元ワームホールの開いた先が、たまたま 多重宇宙の1つ それも妖魔の住む宇宙と、これもまだ未完成の究極の理論と言われる 全てを統一する万物の大統一理論の支配 多重宇宙 それぞれ異なる万物の大統一理論に支配され異なる物理法則の支配する無数の宇宙の中で、非常に良く似た 微妙な違いしかない 真美達が住む宇宙であった。

 地球人類の そうモンゴロイドに似た、外観を持つラディエンス それも地球人類とは思えない程 まさに神々と思わせる程の絶世の美貌と完璧なスタイルを持つラディエンス。 ここならば追って追われず・・・ の思いが生まれた。
 この別宇宙の全く知らない惑星 地球と呼ばれる惑星に来た時 初めて使用した4次元ワームホール その為 莫大なエネルギーを消耗 かなり衰弱した。 たまたま初めて会ったこの惑星の知的生命体 そう我々人類 ラディエンスと非常に良く似た外観を持っていた。
 なんとなくだが、親近感が持てる存在でもあった。
 初めて会った まさにファーストコンタクト それが、当時身分制度のあった日本の 当時としては、特権階級の貴族階級にこそ属していたが、下級貴族の 当時まだ10歳代前半の 愛らしい、愛くるしいルックスを持つ可愛い娘 星沢家の祖となる娘であった。
 たまたま自宅の敷地内にある庭園で、遊んでいた所 大木にもたれかかっり弱っていたラディエンスを見つけた。
 初めて、見た瞬間 余りの驚きに、言葉が出ない。 互いに、驚きの余り大きく開いた口が、塞がらずただ見つめあうしか出来なかった。
 まさに、神話に出てくる神々しい美しさを持つラディエンス 初めて見た瞬間 余りの美しさに、言葉を失った娘。
 ラディエンスを見るなり怯えるどころか、心配した表情を浮かべていた。
 かなり弱り衰弱していた全く見知らぬラディエンスを我が家に向かい入れ看病したのだ。
 天より現れし天女、もしくは、天より降臨した女神と思ったのかも知れない。
 下級貴族の娘であった、やはりある程度、学を学んでいた。 当時の娘としてはだが。
 当時の それも貴族より下の階級であったならば、それすら理解出来なかったかも知れない。 ラディエンスを救った娘のある程度の学の知識が、ラディエンスを救った。
 ある程度 力が回復 その救ってくれた娘に、ラディエンスは、自ら持つ力の1部 ほんの暇つぶしであったが、見せた。
 その力を見せるたび、その娘が、大変喜んでくれた。 せめてもの恩返しでもあった。
 だが、この状況も長くは、続かなかった。 やはり追っ手が、ここにも来た。 何よりもその時見せる その娘の憧れの表情 殺伐とした戦いの世界しか知らなかったラディエンスに取って、新鮮な 今まで感じた事の新たな驚き共に、心休まる時でもあった。
 何度もの追っ手との戦闘を無事撃破 たまたまA級以下の数体の妖魔であった為でもあったが。 次々と現れる新手の追っ手の妖魔との戦い。 こちらを疲弊させる戦術、疲弊し、力が落ちた瞬間を狙い必ずタイミングを見計らいS級、SS級、SSS級の妖魔が追ってくる。
 全く無関係のこの惑星の生命体を 無謀な戦いに、巻き込めない。 SS級、SSS級との戦闘になれば、この惑星そのもを 焦土化 生命のいない死の惑星と化する。
 その頃 毎晩 天啓?  予知能力? 予知夢?と言った類の夢を見続けていた。
 助けてくれた恩人である娘が、八つ裂きにされ殺され この惑星に住む人類も ラディエンスを追って来た妖魔の大軍に蹂躙され 滅亡する夢であった。
 そして、その最悪の状況を回避する方法も また夢で見ていた。 自らの力を封印 自らを消滅する事であった。 自らを消滅させても この力を完全に、消滅もしくは、封印する事も出来ない。
 受け継がれる。
 何故そうなるのか? どうして、自らの消滅と共に、この力を消滅させる事が出来ないのか? だが・・・・
 この力 いったい何なのか? 妖魔の力 妖力の1種? それとも全く異なる力? ラディエンスには、解らなかった。
 そして、遠い そう遙か未来に、自らの力を受け継ぐ、まさに箱舟となる人類が、1人誕生する。 ただその先は、全く不明であった。 それが、この先 近い将来起こる最悪の結果を 唯一回避する方法に思えた。
 現状の危機の一時しのぎ 危機を未来と言う時間帯への先送り。 何ら根本的解決方法ではない。 だが、現状 この地球で、これ以上の戦いに、無関係の人間を巻きこめない。
 現状 考えられる最もベターな方法と思えた。 単なる問題の先送りであったが・・・・
 ラディエンスには、余りはっきりとしないが、漠然とした未来が見える 予知能力の1種を備えていたのかも知れない。
 それは、1つの答えしかない1つのもはや確定した過去としての未来ではない、 常に、枝分かれする 多種多様性を持った常に変動し無限の可能性を秘めた未来の数々。 その中で、最も可能性が高いと思われる物の1つ。 それに掛けるしかない。

 ラディエンスは、遙か未来に、自らの力を受け継ぐ者を守る守護者として、救ってくれた娘に、自らの力の1部を分け与えた。
 S級以下の妖魔と戦える戦闘能力を 代々受け継ぐように、そして、その力受け継ぐ子孫は、代々絶世の美貌を持ち 2人の娘を産む、最初に生まれた子に、正統に力を伝承 次に生まれた子には、最初に生まれた子程ではないが、ある程度の力を持つようにした。 遙か未来に、自らの力を受け継ぐ者を 妖魔から守る為に。
 それは、ラディエンス自身のリインカーネーション(輪廻転生)ではない。 妖魔から人間として、生まれ変わり前世の記憶などを持つ転生者として、再生する事を意味しない。 それは、肉体でも まして実在するか? 疑わしい魂など呼称するわけの解らない物質? でもない。 ラディエンス自身の本来持つ力の全てを まさに、箱舟として運ぶ人類が現れる。 いつか解らない 多分 遠い未来に。
 その人類を 妖魔から守る。 決して、2つの力を1つの者が持つ存在を誕生させてはいない。 元々同じ妖魔の持つ特殊能力 妖力 だが、何故か? ラディエンスの持つ力と、他の妖魔の妖力が、かなり異質なのか? 原因は、解らない。 ただ1つだけ言える事 決して、2つの力を1つの者が持つ存在を誕生させていけない。 ラディエンスは、強くその事を感じ取っていた。
 妖魔の覇者、覇王となる存在・・・・ そんな程度のレベルではない。 もっと・・・もっと 何か? 恐ろしい・・・・災い・・・・? それは決して起こってはならない事・・・・・ 何故だか? そうなる・・・・
 この後の未来の人類ならば、多分 こう表現するだろう。 それは、、決して、開いてはならない パンドラの箱(パンドーラー=ギリシャ神話に登場する 最初の女性で、神々によって作られ人類の災いとして地上に送り込まれた。 人類最初の女性とされる。 パンは、「全てのもの」であり、パンドーラーは「全ての贈り物」を意味する) 全ての禍いをもたらすために触れてはいけないもの・・・ なのかも知れない。 例え最後に、希望 が残されていても・・・・
 ラディエンスは、自分を救ってくれた娘に、自らの力の1部を 分け与えると、自らを封印 完全消滅した。 その力を永遠に封印出来ないものの 遠い未来までは・・・・ それを信じて。

 代々星沢家直系には、娘2人しか生まれず、絶世の美貌を持つ所以となるのは、ここにあった。 それは、ラディエンスの与えた力の1部。 そして、この特殊能力を ラディエンスの力と呼ぶのは、まさにこの力を与えたSSS級女性妖魔の名前である ラディエンスからであった。
 そして、真美が持つラディエンスの力は、まさに、SSS級女性妖魔ラディエンスが、自ら封印した力そのもの。 まさに究極もしくは、源流そのもの力であり 真美が、妖魔の手に落ち妖魔の子を産めば、真美の持つ究極もしくは、源流のラディエンスの力と、妖魔の持つ妖力の2つの力を持つ究極の妖魔が誕生する。

 SSS級女性妖魔ラディエンスの完全消滅を知った妖魔達 わざわざ別宇宙にあるこの地球など用はない。 1部 SSS級女性妖魔ラディエンスの力を受け継ぐ、地球人類の女性の存在こそ知ったが、ラディエンスの力を受け継ぐ子を産めない 何と言っても あのSSS級の妖力も持ち合わせていない。 妖魔に取っては、無価値であり無意味 わざわざ危険を冒してまでのメリットはない。 他だのリスクでしかない。
 その為 時より失われたラディエンスの力の欠片でも・・・を探しに、所謂ちょっとしたお宝の破片を探しに、A級以下の弱い妖力しかない妖魔が、地球に出没 だが、何も見つからず、その腹いせ的な自らの力を誇示しようと、人類に対して、暴れ、災いと、死をもたらしたが、人類の1部が本来持つ特殊能力である 強い霊能力を持つ霊能者と、ラディエンスの力を持つ星沢家の女性に殲滅させらていた。
 しかし S級以上の強い妖力を持つ妖魔達は、いつの日か、必ずSSS級女性妖魔ラディエンスの力受け継ぐ、人類の女性が誕生するのを知っていた。 その女性が現れるまで、チャンスを待つ事にした。
 妖魔は、我々人類とは、寿命が、極端に違う 人類の数十倍もの寿命があった。 他だし戦死しなければだが。 非常に長寿でもあった。
 そして、SSS級女性妖魔ラディエンスの力受け継ぐ、人類の女性が、本来の力を取り戻した時 それこそが、チャンス 最強の2つの力を持つ我が子が生まれる。
 その地球人類の女性を手に入れた者こそ 産ませた我が子と共に、全妖魔の覇者、覇王となれる。

 だが1体のSSS級妖魔だけは、他の妖魔が知らない その先にある物を 全てではないが知っていた。
 2つに欠けたパーツが1つになる。 それとも妖魔の持つ妖力の欠けた部分を補い1つの完全な物、大いなる力として、真に覚醒をもたらすのか?
 妖魔の持つ妖力の1種でありながら 異質の力との融合・・・・・ その先にある物 はたしてどんな物なのか? それは、決して、だれも知らない。 それを手にした者こそ 全てを支配する者となるはず。


 ドライスラーを倒し意識を失う直前 真美は、後悔の念ばかり心を過っていた。
 知られたくない、もう1つの そう多分こちらが、本来の真美自身 自身そう思っていた。
 ラディエンスの力の覚醒に伴う 性転換、年齢退行 人類に、災いと、死をもたらす妖魔と戦える力を得た。 それまでの人生 それなりに、経験を積んでいる。 妖魔との戦い 正義などと言う死語・・・ いや元々存在しない物などを語るつもりはない。
 そんな下らないナンセンス。 どちらの陣営に生まれたかだ。 陣営側を守る それを正義など呼称しているに過ぎない。 下らない相対的なもの。 反対側の陣営は、悪となる。
 妖魔と言っても 別宇宙に生まれた知的生命体 人類を守ると称して、戦い 結局戦争と言う大義名分による殺しを行っているに過ぎない。
 "毒を以て毒を制す・・・・" 故事ことわざ通り。
 殺戮者には、別の殺戮者を以て戦わせる。 まさに正論。 同じ穴の貉(むじな)同士戦わせる。
 自らを 決して、褒められたものでない。 ただ敵が、妖魔 それだけの事 自らは、ただの殺戮者。 血で汚れた自分。 まさに自身を 汚れた どぶさらい・・・ 最も忌むべき卑しい人間とさえ思っていた。
 そんな自分の本来を知らない ただ他の同年代の女の子より 少しばかり美貌 少し可愛いの部分しか知らず、大事な友達として、見てくれる綾、香、加奈 ラディエンスの力の覚醒に伴う 性転換、年齢退行すら知らず、突然少女になった自分。 どうして良いのか解らず? ただオドオドするしか出来ず、戸惑うばかりの自分を いつもやさしく、親切にしてくれていた。 本当に大事なかけがえのない友。
 そんな大事な友達に、知られたくない本来の自分を見られてしまった。  最も忌むべき卑しい自分。 隠せるなら最後まで、隠し通したかった。
 どんなに、言葉を尽くし弁明しても消すこと事が出来ない。 まさに業(ごう) もう大事な友達としてはいられない。 あの暖かな温もりに満ちたまだ見果てぬ世界に、もう居場所はない。
 本来は、男 それもくたびれた40歳代の独身男 スネップ(SNEP=solitary nin-employed persons) 愛する者も 愛してくれる者もだれもいない 死んでも悲しむ者も・・・・ 元々あの暖かな温もりに満ちた世界は、決して本来の自分の居場所ではない。 本来は、憎しみ、憎悪、醜い争いや果てしのない闘い、そう血で血を争う殺戮と、殺伐した・・・などが支配する 修羅の掟の支配する世界こそが、最もふさわしい。 そうそれこそ自分自身の世界であり 最もふさわしい本来いるべき居場所。
 綾、香、加奈・・・ 本当に、最も大事な友達 本当に、本来持ち得ない暖かい温もりと、夢に満ちた世界を見せてもらえた。 決して、見果てぬ夢の世界を。
 綾、香、加奈・・・・の為にも やはり妖魔界へ行こう。 そして、災いと、死をもたらす妖魔を 1体残らず、この手で殲滅。 綾、香、加奈・・・・ これからも幸福に満ちた世界で、いつまでも幸せが続くように。 その為にも 血で汚れ 最も忌むべき卑しい どぶさらいの自分が出来る ここまでやさしく、親切に接してくれた大事な友達である綾、香、加奈対する せめてもの唯一の恩返し。
 多分・・・・ いや間違いなく 本来の自分を知られた 決して許してくれない。 他だの蔑視、軽蔑などの対象。 最も忌むべき人間として、汚物塗れの大量殺戮者・・・ としか見てくれない。 大事な友達などと2度と呼んでもらえない。 でも・・・ それでいい これでもう思い残す事などない。 嫌いになった人間などどうなってもいい・・・ これで心置きなく妖魔界へ行ける。
 くたびれた40歳代の独身男 スネップ(SNEP=solitary nin-employed persons)である自分だが、唯一違う物 それは、自分自身の中には、守らなければならない大事な友人達がいる。 相手が、そう思ってなくていい、それが、自分自身の勝手な思い込みであっても、それが、せめてもの慰め、救い・・・・・
 そう思いつつ意識が、強大な力に呑み込まれ失う。

 その頃 後方へ避難した綾、香、加奈の3人 防衛軍の特殊車両内で、軟禁状態でいた。
 ここで待つように言われた。 所持品 特に、携帯電話は、その場で、一時預かりで、取り上げられた。
 3人共 一言を発しない。 多分盗聴されている。 それに数ヶ所には、監視カメラが設置されているのに、直ぐに気づいた。 とても会話出来る雰囲気ではない。
 暫くすると、出入り用の後方の重い特殊な合金で出来た いかにも耐圧、耐熱、防弾に優れたドアが、ゆっくりと開く。
 そこには、一瞬だが、先程見覚えのある巫女服を着る老婆が、厳しい表情を浮かべ立っていた。
 「待たせて 悪かったのうー」 そう言いつつ、特殊車両内に入ってくる。 開いたドアの先には、軍用ライフルを持つ防衛軍の兵士2人が、鋭い眼を光らせこちらを見ている。
 巫女服を着る老婆 そう妖魔ハンター最高責任者にして、室長の小夜子であった。

 「真美は? 真美は? 無事なの?」 巫女服を着る老婆を見るなり 綾は、立ち上がり老婆を 問い詰める様に近づく。

 「心配には及ばぬ 無事じゃよ」 少し微笑みながら小夜子は、答えた。

 それでも納得出来ない表情を浮かべる綾 「無事なら 真美に会わせて!!」 必死に懇願する。

 「今は、それは出来ぬ」 はっきりと言い切る小夜子。
 「申し遅れたが、わしは、神楽 小夜子と申す者 真美ちゃんの所属する部隊の最高責任者・・・・・」 簡単な事だけを述べる小夜子。

 「ところで、お前さん達 真美ちゃんのクラスメイトで、友達じゃそうだのー・・・・・」 小夜子は、輝星高校の文化祭に、2度来ており 少し顔に見覚えがあった。

 「・・・・と言う理由じゃ お前さん達3人は、決して見てはならぬ物を見てしまった。 これは、国家最高機密 国家・・・ いや人類に取って、最大の脅威でもあるじゃよ・・・・」

「・・・・今まで見た事を 決して他言しない それには、誓約書・・・・などとやぼは言わぬ 必ず、漏えいする。 それでじゃ お前さん達3人は、先程見た事全ての記憶を消させてもらう」

 思わず不安な顔浮かべる3人 良くアクション、スパイ映画などで用いられる薬、もしくは、機械で出来たコンピューター制御の拷問器が思い浮かぶ。 こう言う時の常套手段。
 だが、出入り口には、軍用ライフルを持つ2人の兵士 下手に逃亡を図れば、その場で、射殺 そう言った雰囲気であった。

 そんな不安な表情を見せる3人に、不安を消すようなにこやかな表情を浮かべる小夜子。
 「薬か何かで・・・ 思っているじゃろうが、そんなやぼなどせぬ これでもわしは、霊能力者 霊能力を使い 記憶の1部を消す事が出来るんじゃよ」 微笑みを浮かべる小夜子。
 「それに、何ら痛みも伴わぬ ただ目覚めた時 記憶が失われ忘れておる ただそれだけじゃよ」 安心した口調で語る小夜子。
 「大人しくしていれば、何ら危害を加えぬ それに、これは、お前さん達の為でもあるんじゃよ 妖魔の存在、秘密を知ってしまったからには、生命の安全が保障出来ぬ 記憶を消してしまう事が、最も安全な方法なんじゃよ 解ってもらえるかのう?」

 「私の事なんてどうでもいい それより 真美 真美よ あの娘(こ) あんな生命のやり取りをする危険な戦いに・・・・ ・・・・お願い真美を 真美を あんな危険な戦いを辞めさせて、私・・・いや私達の元に返して・・・・ あれじゃ真美 余りにも可哀想・・・・・自分を血で汚れた大量殺戮者として、忌み嫌い 自身を呪ってしまう・・・・ そんな真美 見たくない!!」 思わず両目を両手で抑え泣き出す綾 必死に、真美を こんな危険な戦いから救い出そうとする。 香も加奈も同様であった。 2人共 泣き出してしまう。

 思わずもらい泣きしそうになる小夜子 「本当に、真美ちゃん 良い友達を持ったのうー」 思わず呟く。
 「だがのうー それは出来ぬ あの娘(真美)には、人類全体の存亡が、あの少し小さく華奢な身体に背負っているからのうー 真美ちゃんが、残された唯一最後の希望なんじゃよ。 ・・・本当に真美ちゃんの事を思ってくれるなら お前さん達の記憶を消した後も 今まで通り 親切に、やさしく接してやってくれぬかのうー それがあの娘(真美)の本当の為になるんじゃよ」 やさしく諭す様語る小夜子。

 だが納得出来ない表情の綾 「あんた達 大人は、恥ずかしくないの? 何故真美なの? 真美を返して、真美はまだ年端もゆかない17歳の女の子 そんな真美に、人類全体の存亡・・・ なんて背負わせるなんて 余りにも酷よ」 ものすごい剣幕で小夜子を睨みつける。
 返す言葉もない小夜子。 小夜子自身 真美の秘密を知る数少ない人物の1人。 それは、決して、口外してはいけない 国家最高機密以上の最高機密 死んで墓に入っても喋れない。
 それに、確かに、綾の言う通り 余りにも真美には、色々な事を背負わせ過ぎている。 そう思っていた。

 「何を言っても 大人達には、やはりムダ 実力行使させてもらう・・・・」 タンカを切る綾。 本当は、使いたくない 多分使っても効果はない。 これを使うと、綾自身 まさに特権階級にいる事で、胡坐をかき 驕り高ぶる権力を振りかざす卑しい女だと思われてしまう。 そんな自分が許せない。 でもこのままでは、埒が明かない。 何とか? 今 真美が置かれれている状況から救い出したい。 何も無抵抗のまま状況に流される・・・ そんな事したら自分自身に対して、一生後悔する。 そんな自分が許せない 大事な友達を見捨てるなど出来ない。 覚悟を決める。 どんな非難、中傷も甘んじて受け入れる。 真美を取り戻す為ならこんなもの 何も感じない。 真美は、大事な親友。
 「いい私の事知っている 私の家 国家との関係が、最も深い大企業群の1つを率いる一条財閥よ その気になればあなた達なんか、どうにでも出来るのよ」 胸を張り言い切る。 堂々と自信に満ち 威厳に満ちた態度こそ 相手を威圧出来る。 帝王学の初歩。

 少し憐みの表情で、綾を見つめる小夜子。 こんなコケ脅し全く効果がない。 まだまだ小娘の浅知恵。 世間の荒波を知らぬかー。 仕方あるまい。 内心思う。
 権力者の裏表を嫌と言う程見てきた。 もし妖魔の大軍が現れたら 今の防衛軍では、とても対抗出来ない。 人類の持つ各種兵器、武器では、妖魔に対抗出来ない。 簡単に殲滅させられる。
 妖魔と対抗出来る力を持つ者 それは、各種特殊能力 星沢家の持つラディエンスの力と、強力な霊能力を持つ霊能者で構成された対妖魔特殊部隊 妖魔ハンターのみ。
 権力者どもは、自己保身の為 我々妖魔ハンターに泣きつく。 自らの生命を守ってくれと・・・・ そんな程度の連中だ 権力者と言う者は。
 真っ先に考える事は、自らを守る事 それこそが、最重要課題であり 何もよりも最優先される。 そんな程度。
 自らの生命を守る者達を切り捨てるなど、有り得ない。
 だが、ここまでしてまで・・・ そんな綾を見て小夜子は思った。 「真美ちゃんは、本当に良い友達に恵まれているのうー・・・・」 内心呟く。

 やはり効果など全く微塵もない。 こうなったら最終手段 実力行使 綾は、強引に前方を塞いでいる小夜子の横を通り抜けようと試みた。
 だが横を通り抜けようとした瞬間 小夜子の右手が、綾の後ろ首に触れた。 得体の知れない強力な力が、綾の身体を駆け抜ける。 そのまま意識を失い前のめりに倒れる。
 史上最強の霊能者の呼び声高い小夜子 相手の意識だけを失わせるなど、造作も無い事。
 「すまんのうー」 申し訳なさそうに呟く。
 「これも 真美ちゃんの為でもあるんじゃよ」 意識を失った綾に語りかける。

 そして、意識を失った綾からある神楽家に伝わる秘術の1つを執り行う それは、記憶の1部の抹消。
 その様子を見て、半端諦めた表情を浮かべ、何も抵抗せず、香、加奈も素直に従った。 勝ち目など無い事を悟った。

 「これからどうなっちゃうの?」 不安な表情を浮かべ呟く香。

 「大丈夫じゃ ただ記憶の1部が消えるだけじゃ 何も心配などいらぬ」 やさしく語りかける小夜子。


 目覚めた綾 いつもの爽やかな目覚め・・・・ のはずが、何か異常に頭が重い クラクラ眼が回りそう。
 周囲を見渡す 見覚えのある部屋の中 そうここは、加奈の家の客間(ゲストルーム) 重厚な純和風建築の部屋。
 少し頭振りながら 上半身を起こす。 ここは、畳部屋 ベッドではなく布団。
 「確かー 加奈ちゃんのお見合いで、相手先の家に行って・・・・」 必死に記憶を辿り始める綾。 その後の記憶が、はっきりしない。
 だが、ある事に気付く。 「そうよ 真美」 周囲を見渡す 丁度布団が、3組 川の字に並べられていた。
 綾が、1番右 丁度真ん中には、いつもの熊の縫い包みを抱き 幸せそうに眠る香。 そして1番左は、頭の半分以上 丁度両目のちょっと上まで、掛け布団を被り まるで芋虫の様に少し丸くなった姿で眠る真美が、眼に入る。 加奈の姿がない。 そうここは、加奈の実家 加奈は、間違いなく自室のプライベートルーム。

 近くに有った目覚まし時計を見る 何と日付が、加奈のお見合いの日よりも2日も経過している。
 「どう言う事?」 理解出来ない。

 ぼんやりと 曖昧であったが、記憶が少しずつ蘇り始める。
 「そうよ・・・・」 内心呟く綾。
 実は、綾は、本人ですら生涯気付く事がなかった ある特殊能力の持ち主であった。 ただそれが、微弱でもあったが。
 それは、余り霊能力が利かない体質の持ち主であった。
 小夜子の取り行った秘術 記憶の1部末梢 だが、綾には、効果が限定的であった。
 記憶の曖昧な点があったものの 時間の経過と共に、少しずつ思いだしていった。
 「あーそうだった」 警戒する綾 少し思いだした。 「そうあの神楽 小夜子と名乗った老婆 記憶の1部を消すと・・・ それも真美に関する事・・・・ ここも監視されているはず、記憶が残っていると知れたら・・・・ 記憶を失ったフリをしなければ・・・・」
 もう1度 真美を見直す。 間違いなくそこで、死んだように眠っている。 確かに、真美を返して貰えた。 私達の元へ。 そんな真美を見つめていると、またぼんやりとだが、記憶の少し曖昧だが、思い出してきた。
 そうあの時 妖魔と呼ばれるバケモノと対峙 その両手に握る見たこともない合金?で出来たバトンを握りしめ その先端部分から 淡い とても神秘的な白い光を放つ そうまさに光る刀 ライトソードが伸びていた。
 そして、対峙している時の真美の表情 あの神秘的 まさにこの世界に降臨した美少女女神すら思わず嫉妬してまう程の美貌・・・・ それだけではない どこか愛らしい、可愛さも持ち合わせた いつもの表情とは、全く別人 まるで男 それも中年の それも生死を掛けて生命のやり取りをし戦う戦士 全く冷酷無比の鋭い表情と、狙いを付けた獲物(ターゲット) 一瞬の隙に襲い掛かろうとする肉食獣の様な隙の無い鋭い眼 視線 まるで別人。
 あの美貌と相反する また別の意味で、とても信じられない光景。 思わず あれが真美? と思ってしまった。
 2つの真美・・・・ でもどちらも真美。
 色々な思いが交錯する。
 頭の半分以上 丁度両目のちょっと上まで、掛け布団を被り まるで芋虫の様に少し丸くなった姿で眠る真美。 真美を見つめていると、いつもの悪魔の囁きが・・・・ この衝動 決して抑える事の出来ない まさに欲望?
 我慢の限度? 隣で、幸せそうに、いつもの愛用の熊の縫い包みを抱き眠る香を そっと起こす。 ヒソヒソ・・・・・ 見つめ合い 何やら良からぬ企み まさに悪魔の微笑みを浮かべる。 無言で、頷く。
 一斉に、掛け布団を被り まるで芋虫の様に少し丸くなった姿で眠る真美に襲い掛かる。 まるで獰猛な肉食獣が、獲物(ターゲット)を襲い掛かる様に、情け容赦などない。
 「ちょっとしたお戯れ、友達同士のスキンシップ・・・・?」 悪魔の微笑みを浮かべながら すまし顔の綾。
 「女の子同士 減るもんじゃないし・・・・」 そう言いつつい香 いつもの様に、真美を後方からうれしそうに抱きついている。

 真美 まだ寝ぼけた状態でありながら 妖魔以上の最強の敵? にオモチャの如く扱われたの言うまでもない。

 綾は、いつもの小悪魔的表情を浮かべ 真美をオモチャにして、弄んでいた。 他だしこれは、表面上のある程度演技が含まれていた。 半分は、本気?
 「絶対監視されている・・・・」 「こうして、いちゃついていれば・・・・」 「記憶が消えていると思うはず・・・・」
 まさに、美しく咲き誇る百合の花園。 実は、タダ、いちゃついているだけ・・・・?
 「どう うらやましでいょう・・・・ 同性 女だからこそ・・・・友達同士だから・・・ 許される禁断の・・・・」 綾の心の中に潜む小悪魔が微笑む。 監視している者達に対して、学校の担任である桃花の如く、表面にこそ出さないが、心の中で、不気味な微笑みを浮かべる。
 それは、かなり際どい行為 まさに、真美に対するセクハラ攻撃、いやそれよりも遥かに激しいゲリラ豪雨セクハラ?
 真美の寝る布団の中に、潜り込み 真美の微妙で、敏感な部分を撫でまくる? 綾曰く「多少は・・・・?」
 実は、イチャイチャ、ベタベタしているだけ。
 「どうせ 監視しているの男に決まっている。 それも経歴が浅い若いウブな坊やばかり・・・ それも数人程度 こんなの見せつけられて、どうなっちゃうかしら?」 綾に潜む悪魔が微笑む。
 1種のハニートラップ(色仕掛け)? 食い入るようにモニター画面を 超絶興奮した恍惚の表情を浮かべ、見ている様子が目に浮かぶ。
 美少女2人に、ロリ系のツインテールの可愛い女の子が、1つの布団の中に、何やら良からぬイチャイチャをしている。 これをLIVEで、見て興奮しない若い男など、綾の辞書に存在しない。
 こう言う面に関して、綾は、良く勉強している。 男のこう言った方面の心理面に関して、女が、男中心の中で、互角以上に戦うには、実力+(プラス) 女であるが故の武器? 最大限に利用する。
 これをネタに強請(ゆすり) こちら側に、今監視している者を 仲間に・・・・ 綾の将来利用する持ち駒の1つに加える。
 将来 世界相手、大きな仕事をしたい綾 上に行けば、そこに綺麗な世界がある・・・・などと言う戯言 全く信じていない。 上に行けば、行く程 汚い・・・・ 財界の裏の常識以前・・・・・
 その為に必要な武器 女であれば、女を磨く・・・・ 女である事を最大の武器にする。
 綾自身 良家の清楚なお嬢様の体現者であり これは、綾の並々ならぬ努力の結果でもある。 それにまさに、美の女神達を凌駕し、嫉妬させる美しさを持つ真美程の超絶美少女ではないが、自身 かなりの美少女であり どこか、優雅なセレフを醸し出している事に、気づいている。 これを武器として利用する。
 今までの綾ならここまで事をしなかった。 やはり他人の眼を気にして、ちょっとお戯れ程度で、止めていた。
 だが、真美を綾なりに、守りたい、あの様な生命のやり取りをする戦場から連れ戻したい一心が、そうさせていた。
 あの時 そう 神楽 小夜子と名乗った老婆に対して、タンカを切った時 綾の中の細く張りつめていた細い糸が、切れた。
 今まで、我慢していた鬱積した物が、その瞬間 怒涛の如く崩れ 一気に暴走した。 小さな裂け目 穴から やがて、巨大なダムが、一気に崩壊するのに。良く似ているのかも知れない。
 綾の心の中に潜み チャンスを伺っていた、可愛い小悪魔が? その本性を遂に現した?

 だが、これは、綾の余りにもひどい思い込みであった。
 実は、確かに監視されてはいたが、隠しカメラ数台のによる監視などなかった。
 時々、数人が、交代で、監視している程度。 それも妖魔から守る為であった。
 余りにも、スパイ、アクションなどのTV、映画等の意識し過ぎ。 事実は、小説より奇なり・・・・ ではないが?
 そこまで、監視する程の予算、人員もいない。 国家財政が、壊滅的危機1歩手前の状態であったのも原因。
 単なる取り越し苦労。 杞憂に過ぎなかった。

 真美の身体を 十二分に堪能 オモチャとして、弄んだのだから 元は、取れた?

 いつもの真美なら 突然? いつもの? 襲撃? に、朝は、苦手、かなりの低血圧の為 目覚めが悪く、眼が覚めても暫くの間は、ほとんど思考が回らない ボケーとした状態 夢遊病者? ママと、詩織姉ーの 猛烈なディーブキスで、全てが吸い取られ ようやくお目覚め? 覚醒するのだが。 いつもならこの襲撃? 身体のあらゆる場所を 特に不要と思われる場所中心 胸の2つの膨らみなど・・・・ 完全に覚醒していれば、眼を白黒させ 思考が、フリーズ 頬を真っ赤に染め そのまま両手で、膝を抱き丸くなり防御の態勢に入るのだが、様子が、何だかおかしい、確かに、両目は、涙こそ流していないが、真っ赤に充血させ涙目になっている。 何かを思い詰めた表情 綾を真っ直ぐ見つめる両目が、何かを必至に語っている。 助けを求めている・・・・ いや違う 真美が、真美が、私達の手の届かない遠くの世界へ行ってしまう・・・・ 最後のお別れ? そんな感じが、伝わる両目が、そう語りかけている。
 真っ赤に充血させた両目 泣きじゃくってはいない 少しなんだか、妙にやつれた表情 間違いない ほとんど寝ていない。 いつも注意している 「睡眠不足は、美容の敵・・・・ しっかり寝ないと・・・・」 そう真美に、言い聞かしている。

 そう真美は、前日の夜 防衛軍の対妖魔特殊部隊の兵士と共に、ある極秘作戦を決行した。 妖魔ハンターの部隊員ではなく、そのサポートに回る特殊部隊の兵士達。
 ある種の証拠隠滅。 工藤家の者全員を眠らせ その隙に、眠っている綾、香、加奈を部屋に戻した。 加奈は、自室へ 綾、香は、ゲストルーム(客間)へ 布団を引き そこに寝させた。
 防衛軍の特殊車両内で、意識を取り戻した真美。 直ぐに、普通ならママもしくは、時より詩織が、精神面でのケアに回るのだが、今回は、室長である小夜子が、直々であった。
 国家最高機密の1部を見られてしまった。 その時 対処方法の1つ マニアルに従って、見た者全ての者の記憶の1部 妖魔関わる記憶を消去する。
 だが、今回は、真美のクラスメートであり大事な友達である 綾、香、加奈の3人 綾、香は、巨大企業の創家の本家の娘であり 加奈は、この地域一帯の古くからの名士の娘 いつも以上に慎重を期した。
 小夜子は、綾、香、加奈の3人の記憶の1部 妖魔との戦闘などの記憶を消去した事を真美に伝えた。
 その時のやり取りも真美に話した。 特に、綾が、必死に真美を守ろうとした事も そして、その事を絶対に悟られぬ様に。
 「・・・・真美ちゃん 本当に良い友達を持っているのうー・・・・」 やさしく微笑み語りかけた。 真美の表情が、いつもと違っていた。 決して知られたくない秘密を見られた。 自責の念に囚われている。 そして、微妙な表情が、全てを語っていた。 また良からぬ思いに囚われている。 そうそれは、真美自身が妖魔界へ乗り込む・・・・ それは、絶対に阻止しなければならない。 真美が妖魔界へ行く、それは、未曽有の人類存続の危機 現状 真美1人が、S,SS,SSS級妖魔と対抗出来る 人類に取って、唯一最後の希望。 だがこれは、諸刃の剣 妖魔が狙うのは、真美の持つ妖魔と対抗出来る唯一の力 そうラディエンスの力 それも究極の源流の力を運ぶ箱舟 つまり真美自身。 この件については、何度も話し合った。 強引に今までは、阻止した。 だが、いつまで続くか? 真美は、見た目通りの年端も行かない17歳の少女で、まだ世間の荒波を知らず、考え方も年齢相応ならば、また別だが、その中身は、外観からは、決して想像出来ない 40歳代の男 かなり色々な面で、苦労を重ねており 年齢以上に、色々な事を経験、社会の表裏などに、精通している。 自身の置かれている立場も ある時 ふいに語った自分自身 決して、意識して語ったのではない自然と出た何気ない言葉 そうそれは、「・・・どうせスネップ(SNEP=solitary nin-employed persons)だもの・・・・」 元々本来置かれていた立場。 非常に危険な考え 愛する者も 愛してくれる者もだれもいない 死んでも悲しむ者も 困る者もいない 孤独な身・・・・ 元来は、40歳代の男 それもかなりの修羅場のいくつも踏んでいる。 自らを下賤な者と見下している。 それにやはり男としての野生の闘争本能なのか? 戦闘中 敵 妖魔が強ければ、強い程 妙に、沈着冷静となり 異常なまでに、冷酷無比となり 冷血な戦略家としての面を見せる。 多分 生まれつきの資質なのかも知れない。 自らですら戦略を達成する為の 単なる使い捨ての駒にしてしまう。 全く価値の無い者と見下してしまう。
 そう真美は、妖魔界へ行き 死ぬ事を望んでいる。 自ら死ねば、最強の半妖魔は生まれない。 何と言っても 自らをスネップ(SNEP=solitary nin-employed persons) 愛する者も 愛してくれる者もだれもいない 死んでも悲しむ者も 困る者もいない 孤独な身 そんな自分が、人類に、災いと、死をもたらす戦いに、身体を置き戦う 死んでも悲しむ者も 困る者もいない 死んでも・・・ いや死ねば、人類に取って、最大の存続の危機となる最強の半妖魔は生まれない。
 真美ちゃん流に考えれば、戦略的勝利 つまり歴史の流れ 妖魔を2度と、この地球に現れない それが最終戦略目標。 戦略達成は、決して綺麗事だけでは、達成出来ない。 冷酷無比、冷血など・・・ その為の手段を選べない。 たった1人の犠牲で達成出来れば、最小限のコストで済む。 そう考えている。
 だが、たった1人を 守れなくて、人類全体を守る事など出来ない。 それこそ真美ちゃんに言わせれば、綺麗事。
 だが、繰り返しになるが、自らをスネップ(SNEP=solitary nin-employed persons) 愛する者も 愛してくれる者もだれもいない 死んでも悲しむ者も 困る者もいない 孤独な身 そんな自分が、人類に、災いと、死をもたらす妖魔との戦いに、身体を置き戦う 死んでも悲しむ者も 困る者もいない 最もこの点に関して、適任。 死んでも・・・ いや死ねば、人類に取って、最大の存続の危機となる最強の半妖魔は生まれない。
 それに、妙な程 強い敵 妖魔を求めている。 まさに、男としての野生の闘争本能 強い敵と戦い勝利する。
 これではいけない。 真美ちゃんは、もう男ではない。 子を産み生命(いのち)を かけがえのない生命(いのち)を後世に繋ぐ重要な役割を持っている女。
 人類と言う生命(いのち)を後世に繋ぐ為の大事な1人。 それに気づいてもらわなければ・・・・ 1人の女として・・・・

 必死に、いや気づかれぬ様 さりげなく説得する小夜子。

 だが、だからこそ その点を担う綾、香、加奈を守る為・・・・ 結局堂々巡り 加奈の家のゲストルーム(客間)に敷かれた布団に入り 頭の半分以上を 掛布団を掛け 答えの見つからない まさにメビウスの帯(わ)・・・いや違う そうそれは、ラビリンス(Labyrinth) 迷宮。 出口の見つからない その中で、迷ってしまう・・・・
 気持ちの整理が付かず、揺らぐ。 ほとんど不眠で、考え込んでしまった。 自分の本当の居場所・・・・ 答えの無い世界? 今 いる居場所が、本当の居場所? それってどこ? 多分永遠に探し求める世界?


 気持ちの整理を付かず、鬱積した気持ちを抱えたまま 時間が流れた。
 2月に入り 昨年以上のバレンタイン・デーの狂想曲に振り回され。
 男女問わず、チョコ、チョコ、チョコ・・・・・ 埋没・・・・
 3月のホワイト・デー 一応クラスの男子全員 バレンタイン・デーには、義理チョコを配った 平等に全く同じ販価品の まさに、義理チョコ。 これ以上ない程の義理チョコ。
 絶対勘違いさせない。 非常に解りやすく 表面の包装紙には、義理チョコ の文字がプリントされている。 これで間違えるヤツは、絶対いない。 自信有。
 今年も 本命無。 一応妖魔ハンターの男性陣全員 クラスの男子と全く同じ物。
 配った もちろんパパと、執事の中本は、別格、別枠だが、(かなりの高級品) 配った男性全員 期待は、本命 最低 友 以上 だが、そんなに世間 特に、真美は、甘くない。 超絶の激辛。
 本人に言わせれば、何気ない何でもない事が、話が一気に、アインシュタイン博士の宇宙項同様 斥力となり空間を超光速で膨張・・・・ 信じられない話に、ワープ航法を超えた跳躍されてしまう。
 真美が配る瞬間 期待に胸を膨らませ 表には、義理チョコ の文字がプリント その瞬間 うれしさと、真美から貰えた喜びと、儚い期待が。脆くも崩れた挫折の 妙な表情を浮かべていた。
 もちろん いつも真美をからかう小林、クラスメイトである アーベル公国の次期国王序列第1のプリンス(皇太子)のジークも同様。 全く同じ物。
 真美に言わせば、ジークが、外国の次期国王序列第1のプリンス(皇太子)だろうが、全く意味を持たない。 全て平等。 身分の違い クソ以下。 国際外交問題に発展・・・ 知った事ではない。
 本命など、永遠にない。 私(俺)は、本来男だ。 ただそれだけ。
 「これは、悪い意味の悪平等主義・・・・」 などと言う、外野からの声 全くスルー、無視、封殺、抹殺・・・・

 だが、3月のホワイト・デー当日の早朝 自宅に、アーベル公国の次期国王序列第1のプリンス(皇太子) そうクラスメイトの男子1人 ジークから 巨大なプレゼントが届けられた。 もちろんバレンタイン・デーのお返し。 長方形のまるでビルの様な物が、配達業者から届けられた。 もちろん余りの巨大さ 配達人数十人により 壊れ物注意により 慎重に運びこまれた。 アーベル公国駐日大使及び上級大使館員複数の立会う。 中身を開ける そこから現れた物体? まさに巨大なウエディング・ケーキ? それも表面には、チョコを流してあった。
 それを見たメイド達全員 眼には、燦然と輝く無数のお星様達が、光輝いていた。 甘い物は、別腹の大好き。
 開いた口が塞がらない真美。 ただ唖然と見つめるだけ。 供えられていたメッセージ・カードには、「Dear フロイライン・真美・星沢 ・・・・ ここからは、詩的 特に甘い まさに、ラブレターの内容 そして、最後に、近い・・・ 直ぐそこにある未来の妃である・・・・ 君に・・・・ の文字」 思わず、怒り燃えた表情を浮かべ破り捨てたくなる。 だが自重。 やはり今ここには、アーベル公国駐日大使及び上級大使館員複数の立会っている。 国際外交問題に発展・・・・ 一応 引きずった超業務用の笑みを浮かべた。 全く内心とは、裏腹。

 昨年のホワイト・デー狂想曲 しっかりと学習 後部座席スモークガラスの高級車ずらりと並ぶ。 数台の1台に、詩織と乗り込む。 残りの高級車は、輝星高校の女子生徒の制服を着るメイド2人づつ乗車 つまり真美のダミー。 それぞれルートを変え 護衛車付で出発。 どの高級車に、真美が乗っているのか? これでは解らない。

 無事学校のエントランスに到着 詩織と共に降りる。 ここでも先に登校したクラスの女子全員が、打ち合わせ通り周囲をガード。

 クラスに入る。 クラスの男子全員から次々とお返し 一応業務用の笑顔を浮かべ受け取る。
 唯一何も渡さない? ジーク ちょっと意味ありげに、真美を見つめ微笑む 一応業務用の笑顔で、「ありがとう」の一言で片づける。

 「真美ちゃん」 小林の声。
 「明日の夕方の3年生の卒業パーティの件・・・・」 そう切り出された・
 そう明日 詩織、薫などの3年生の卒業式 在校生は、数日前に、3学期末の進級テストが、終了しており。
 真美 学年17位の 上位グループの1人 好成績で、3年生への進級が、決定している。
 明日 午前中の授業 午後から3年生の卒業式。 一応 超低空飛行の詩織 何とか、欠点、赤点はなくギリギリの成績で、(ある意味 実に驚異的 在学中1度も欠点、赤点による追試を受けていない それもギリギリ ボーダーの少し上で・・・・)卒業 4月から 輝星大学へエレベーターで、進学 花の女子大生をエンジョイの予定。 他だし真美と離れ離れなるのを 大変残念と、悔しがっていた。 学校のある場所が違う。 常に真美を手元に置きたい独占私有物・・・・と言う思いの表れ。

 「うん 大丈夫 夕方の卒業パーティ 出席」 一応業務用の笑顔を浮かべ応える。 内心は、いつもの裏腹 死んでも行きたくない。 あの恐怖のトラウマ パーティードレス着用。 だが3年生全員の総意 他にも綾も呼ばれていた。 学級委員である小林は、強制であるが、クラス代表として、副学級委員、書記。 それに、ジークもである。 特に、卒業する3年生女子からの熱烈ラブコール。
 綾は、ウキウキ 真美と一緒 着ていくパーティードレスの合わせ 数日前から 真美の家 行きっぱなし。 真美の部屋の隣の巨大なクローゼット部屋に入り 本人のパーティードレスそちのけで、真美のパーティードレス選びに大忙し 香、加奈もお手伝い。 初めて、真美の巨大なクローゼット部屋に入った時 3人共 眼を白黒させていた。 余りの豪華絢爛、ゴージャス。 全て超1流デザイナー作の 真美の為の1品オリジナル 世界唯一の まさに芸実的作品の数々 ドレスの山。 総額はたして? 多分天文学的単位 これだけは、自信を持って言い切れる。
 「・・・これだと、ちょっと栄え過ぎるし・・・・ 主役は、卒業生だから・・・・ 少し落ち着いたシックな・・・・」 などと言いながら真美のドレス選びに、翻弄。 「・・・・真美 余りにも美しいから 何を着ても 似合いすぎて・・・ これでは他の人が、霞んでしまうし・・・・」 などと、超お悩み。
 学校の女子制服ですら かなりドレスアップした他の女子よりも 華麗に見えてしまう。 「美し過ぎるのも問題・・・・」 綾の本音。

 明日の卒業パーティーが、ワクワクの綾。 楽しい想像を巡らせていたその瞬間であった。 もう直ぐ朝のショート・ホーム・ルームが始まるはずが・・・

 突如 耳を塞ぐ、猛烈な爆発音が、同時に、複数の場所から上がる 爆発に伴う巨大なキノコ雲 爆発時に起こる強力なソニックブームが、校舎を大きく何度も揺らす。

 「おい 爆撃 北の個人崇拝独裁国からのミサイル攻撃? 戦争開戦? 宣戦布告? ・・・・・」 など 1部国際情勢詳しい男子生徒の声が上がる。
 震え上がる女子生徒達 互いに、恐怖の顔を浮かべ抱き合う女子生徒数人。
 闘争本能? 妙に血が騒ぐのか? 不敵な笑みを浮かべる男子生徒数人。

 「おかしいわよ もしミサイルによる攻撃ならば、着弾前に、轟音が響くはず?」 真美が、不審に思った事を 口にする。
 「それに、爆撃機による攻撃ならば、その前に、スクランブルした迎撃機によるドックファイ(空中戦)トが・・・」
 「そう 真美ちゃんの言うとおり」 小林が、割って入る。 多少の軍事オタクでもある。 実家は、小林重工業 次期跡取り 武器などの製造メーカーでもある。

 「それじゃ 宗教組織による自爆テロ・・・・」 ある男子生徒が呟く。
 「それにしては、爆破規模が、大き過ぎる」 別の男子生徒。

 窓の外に、見慣れない不気味な物体が、飛行していのを 数人のクラスの女子生徒が、目撃 恐怖に怯え 震え あらんばかりの悲鳴を上げる。

 「妖気 それも数が数えきれない・・・・・」 内心呟く真美 S級からD級まで。 真美の眼が一瞬鋭く光る。
 それも早朝 堂々と、市街地に向け攻撃? 今まで有り得ない事 だが、これは現実 妖魔が、堂々と人類に対して、総攻撃を開始した? それしか考えられない。
 それは、遂に、妖魔との全面戦争開戦を意味する。

 同時に、耳みを突き刺す、巨大な轟音多数が、上空から響く、防衛軍の最新迎撃用戦闘機多数 それに対空攻撃用の戦闘ヘリも多数。
 地面から キャタピラを動かす轟音と震動が響く、戦車、特殊車両 多数 防衛軍が、出撃。 市街戦を開始する。

 数台の防衛軍特殊車両が、校門から まさに突入 非常事態発生の校内放の声を打ち消す。
 この模様を1部 生徒が、スマホのLIVEニュースを見ていた。

 「大変だ、未知の生物が、一斉に、世界の主要国の主要都市に攻撃を開始したって!!」 大声で叫ぶ。
 「宇宙人?」
 「いや違うらしい UFOに乗っていない それにその未知の生物そのものが、特殊能力を持った 生体兵器? 防衛軍の最新兵器が、次々とやられているらしい?」
 あちらこちら スマホのLIVEニュースを見る生徒の声が上がる。

 「星沢理事 ここは神聖な学びの場 あの様な物騒な乗り物で、確かにここは、星沢理事の経営企業の1つ・・・・ですが、ここは、学びの場ですし・・・」 困った声を上げる校長。 真美のママ 由美が、防衛軍の護衛兵士を 何人も引き連れ 校舎に入ってきた。 確かに、理事長はいる。 だが、それは、ダミー 実質経営者は、由美 理事長など、ただのお飾り 由美の下で働く、社員の1人に過ぎない。

 防衛軍の20両を超える戦車が、学校の周囲を取り囲む。 それを見て怯える多数の生徒。
 だれの眼にも明らか? 今 戦争が開始された。 それも交戦相手は、予想されていた仮想敵国の1つではなく、未知の生物による攻撃 首都Tは、その戦場。
 この国も 世界で非常に、巨大な経済力と、世界最先端の科学技術力を誇る 重要な主要国。 そして、ここは、その首都 この国、あらゆる中心が集中している。

 由美の傍には、戦闘迷彩服を着ていない文官? が1人。 間違い それもかなり高い地位。

 由美が、真美のクラスに入る。 続いて、兵士数十人 真美と、生徒を引き離す。

 真美を見るなり由美が口を開く 「この状況 理解出来るわね」 厳しい視線を真美に向ける。
 口元を引き締め 真剣な表情で、ママを見つめ 小さく1回頷く。

 黙り込む このクラスの生徒達。 余りの異様な雰囲気に呑み込まれ 言葉さえ発せられない。

 「契約書に書かれている 特例条項 第○○条 第○○項を適用 星沢 真美 貴殿は、只今より防衛軍に、正式編入 対妖魔特殊部隊 大尉として辞令を発する。 それにより今までのアルバイト契約は、破棄される・・・・」 由美の傍らにいた高級文官が、辞令書を読み上げる。

 「真美ちゃん・・・・」 少し涙目で、見つめる由美。 まさかこんな日が来るとは、予想はされていた。 ただいつ来るのか? それだけであった。 願わくば、永遠に来て欲しくなかった 特例条項が、適用される日。
 それは、人類が、今まで経験した事の無い 絶滅への最終戦争。
 妖魔の大軍が一斉に、人類に対して、宣戦布告する。 人類の存亡掛けた戦い。
 真美、詩織の様なアルバイト契約 他に訓練生など、正式に、階級が与えられ 防衛軍の軍人として、任官 戦いを強いられる。
 人類の存亡を掛けた戦いに、徴用される。
 真美が、2年前妖魔ハンターに、まだ4月から高校へ進学する未成年と言う事で、昨年の詩織同様 正式契約ではなく、学生としてのアルバイト契約であった。
 その内容は、防衛軍高級文官により契約内容の説明を受けた。 もちろん由美も同伴。
 そして、いくつかの特例条項が、設けられていた。
 その1つが、今 読み上げられた内容。

 「真美お嬢様 これを」 後ろにいた執事の中本が、特殊な合金で出来たケースを開け 見たことの無い特殊な淡い白い特殊合金で出来たバトンを真美に渡す。 両目に涙を浮かべ その手 全身が、余りの悲しみに震えている。
 真美専用 真美が、自らのラディエンスの力を物質化し作り出した愛用の真美だけが使用出来る ワン・オブ・ウェポン(単一仕様武器)と呼べる武器 ライトソード。 ラディエンスの力を受け継ぐ者の証。

 「中本」 執事を呼ぶ真美。

 周囲からは、怯えた声で、「真美ちゃん・・・・」と、呼ぶ小声がいくつか、今直ぐ消え入りそうに響く。
 余りの展開 周囲の状況 もはや思考が、ほぼ停止状態のクラスメイト。
 主要国の主要都市 未知の生物 それもまさに、最強の生体兵器による 猛攻撃を受け 各国の軍隊が、応戦 次々と敗れていく状況下 まとも思考するなど、何も情報も知らない者には、無理がある。

 「これを」 上着のブレザーを脱ぎ、リボンタイを外す。 それを中本に渡す。 そして、白のスクールシャツの首からのボタンを2つ外し 両袖の先のボタンを外し 肘上までまくり上げる。
 真美の眼 鋭く何かに気づき警戒している。
 戦闘迷彩服に着換え戦う時間的余裕はない。
 ちょっと問題だが、超ミニスカートの今着る制服で戦うしかない。
 そう妖魔の発する妖気を感じている。 同じラディエンスの力を持つ ママである由美も同様 1体ではない 多数。 こちらに近づいている。 学校周辺での戦闘 かなりの確率。

 「防衛軍の文官、それに兵士さん達」 真美が声を発する。
 「もうすぐ 妖魔の大軍が、上空、地上両面から 攻め込んでくるわ 直ちに、ここの生徒、教職員を安全な場所へ避難、誘導を」
 階級など関係ない ここの兵士には、真美より上の階級の者もいる。
 だが、この場合だれの命令に従うべきか? ここにいる兵士全員が、良く心得ている。
 妖魔と戦える特殊能力者。
 「全員 私の大事な人達 私の力 知っているでしょう。 もしもの事があったら タダでは済ませない。 それと・・・・」 ママである由美を見つめる。 「ママ、詩織姉ーと共に、地上の妖魔を迎撃 上空から来る妖魔は、私が・・・・」

 早速 真美の命令に従う兵士達。 ここのクラスメイト全員に、避難を即す。
 「真美、真美 行っちゃダメ!!」 兵士達に、強引連れられそうになる綾が、悲痛な叫び声を上げる。

 「そうよ 真美ちゃん 私達と一緒に、逃げよう」 加奈も。

 「真美お姉様 香と、一緒に」
 「そうだ真美ちゃん あんなバケモノ まとも戦えるなど・・・」 小林も。
 「そうだ 星沢」 「早く一緒に逃げようぜ」 次々と男子生徒の声が上がる。 だれもが、あの華奢で、少し小柄な真美が、あんなバケモノと、戦うなど、想像すら出来ない。

 「ゴメン 私 私 あのバケモノ そう妖魔と戦うのが、宿命・・・・」
 少し俯き答える。 そして、1粒の光る液体が、眼に光った。 もはや覚悟が、決まっている。

 「さあー 私から離れて」 クラス全員教室の外へ追い出される。 それを確認 真美は、気合を入れラディエンスの力を解放 全身から淡い白い光が発し 輝く。
 それを教室の外 廊下から見るクラスメイト 余りの神秘的な光景に、思わず言葉を失う。
 もはや 何も隠す必要はない。 真美が隠していた秘密の全部が、知られた。 いやまだ1部残っているが。
 身体が、淡い白い光を発し輝く 同時に、淡い白い光の1部 手に持つライトソードに集まり まさに光の剣となる。
 背中の後方には、色鮮やかな羽衣が、出現 真美の後方 背中側の少し離れた場所で、優雅に舞う。
 真美 第2戦闘形態。

 ただ絶句 それしか出来ないクラスメイト。 マンガか、特撮SF? それ以外考えられない光景。 今 現実に、眼の前で起こっている。
 同じ人間とは、決して思えない 神々しいばかりの神秘的、神話的 どんな言葉でも決して、表現出来ない美しさ。

 真美の姿 まさに、美少女女神、天女が、降臨した いやそれ以上に、神秘的な美しさ。

 「真美 どんな事があっても行っちゃーダメ!! 早く 一緒に、みんなと一緒に、逃げよう!!」 真美を呼び止める綾の 悲痛な叫び声。
 「真美が、真美が、私達の元から 遠くへ、遠くへ・・・・ 絶対手の届かない遠い別世界へ行ってしまう・・・・」 今 綾の心に これしかなかった。
 これが、真美を止める 最後の唯一残されたチャンス。 このチャンスを失えば、2度と・・・・

 小夜子により 記憶の1部抹消を逃れた綾。 一条家の情報網を使い妖魔、及び、その専門対策部隊 別名妖魔ハンターに付いて、調べた。
 やはり ある程度まで、全てが、国家最高機密の厚いベェールに被われ、深い闇の中。 他だし解った事の1つ それは、妖魔ハンターの創始者が、星沢家。
 古(いにしえ)の そう今から約1000年以上前の昔から 妖魔が、時より現れ 人類に、災いと、死をもらす者達である事。 それに対抗したのが、驚異の神秘の力を持つ その名前は、伏せられていた。 それを受け継ぐ代々の星沢家の女達。 それだけであった。
 後は、古くからの霊能者である 退魔師。
 そして、真美は、その星沢家 直系の1人娘。 星沢家は、代々女の子が、2人しか生まれない不思議な家系。
 他だし 真美は1人娘。 ある古い新聞の記事に、真美が生まれる前 星沢家に、悲劇が訪れた。 3歳の長女と、1歳の2女が、謎の事故死を遂げていた。 そして、その後 真美が生まれたと言う事であるらしい。
 真美は、決して、もちろん義務教育課程を 教育基本法 特例条項による選任の個人教師で、中学まで行っていない。 その間の事についても いつも適当にはぐらかす。
 重要と思われる知り得た情報は、ここまで。
 これ以上は、一条家の力を持っても無理であった。 これ以上深入りは、大変危険を伴った。 例え一条家であっても。

 だが、無情にも 綾、香、加奈 そして、クラス全員の心の叫びは、真美に届いてこそいたが、動かす事は出来なかった。

 近く戦闘機の撃墜による地上への墜落 爆破 墜落現場の周囲の建物が、燃え上がる。 学校の周囲に展開した戦車も数両 吹き飛ぶ轟音が鳴り響く。
 燃え盛る炎 まるで血で出来血柱となり 揺らめき、真っ赤に周囲を染め上げている。

 「遂に、来たわね」 真美 細く冷酷なまでの不敵な笑みを浮かべ微笑む。
 まるで、最後を決めた男の戦士。 これから死地へ旅立つ者の微笑み。

 ごめんね 綾、香、加奈、そしてクラスのみんな 私は、血で汚れた 最も卑しい人間 ただ敵が妖魔と言うだけの 大量殺戮者。 ただのどぶさらい・・・・ 内心呟く もう失う物はない。
 心の中で、最後の別れを告げる。
 心の全てを固く閉ざす。 もはや徹するのみ。 大量殺戮者としての自分自身に。
 人としての心を殺す・・・・ ただ徹する・・・・

 真美が持つ いやその箱舟である真美自身の持つ特殊能力 ラディエンスの力を解放 第2戦闘形態 その姿を見られた・・・ いや見せた ある意味 普通の人間とは、全く異質 身体全体が発光する 異様な姿 クラスメイト達と、繋がっていた 細く張り詰めた糸 まさに蜘蛛の糸が、その瞬間 大きな音を上げ切れた・・・・ そんな気がした。
 もはや だれもが、1人の女? いやもう同じ仲間、人間として、見てもらえない。
 今 暴れまくり 人類に、災いと、死をもたらす、汚れ? 妖魔と同じ。


 窓をライトソードで、斬り開け 戦場、多数の飛行能力を持つ妖魔が待つ上空へ飛行を開始する。
 真美だけが持つ 飛行能力。 大半の首都防衛用戦闘機は、撃ち落とされていた。
 対地支援には、制空権確保が、軍事学上の常識。
 まずは、上空を被う妖魔の殲滅 S級はいない 全てA級以下。 他だし数が圧倒的多数。
 待ち構える 飛行能力のある妖魔の大軍に向かい 突撃を開始する。


 後の時代 この日を そう3月15日を ホワイト・デーとは呼ばず、ブラック・デーと、呼称される様になる。
 人類が、1部を除く大半の人類が、初めて妖魔の存在を知り その妖魔と、最初の大規模戦闘となり 人類が危機的状況に陥った。
 後の時代 この日をまた最初の妖魔大戦 開戦日と、歴史に記される。 第1次妖魔大戦と・・・・



 ここで、妖魔ハンター 高校2年生編は、終了です。
 いよいよ人類が、自らの存亡を掛けた 妖魔との本格全面戦争に突入します。
 真美の運命はいかに? それを知るのは、作者のみ(当り前?)。
 真美の運命を握る作者 いったいどのように考えているのか?
 作者しか知らない 超国家レベルの最高機密? 超大袈裟。
 次章 第1次妖魔大戦 お楽しみに。
 作者より。




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