LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)

 第4章 決戦 Part5


 「少しは、本気で、我々に立ち向かってくる気になったかな?」
自信に満ちた声を上げる プロンズ色のBP-2を装着するピエール。
偶発的遭遇戦で始まった戦闘であった。
当初 逐次投入の愚を 犯したアポリス軍であったが、直ぐに態勢を立て直し 3個師団を投入 半包囲網を敷き 数の絶対的有利差を活かした力を始めた。
指揮するのは、8大将軍の1体 デストロである ヨーロッパ担当のデューク。
約10体ものグロテノス兵を引き入り 神々の正義軍など呼称するピエール率いる約1万体のバトロイドに、圧迫を加えていた。
戦力差 約10倍 どうみてもアポリス軍が、圧倒的有利であるはずだが、圧迫し、圧力こそ加えているものの 全く敵軍全面崩壊どころか、後退の気配すら見せていない。
兵力を1カ所に集中させ 守りを固めた陣形の その中心部で、余裕のある態度で、戦況を見守るBP-2。
何やら 秘策でもあるように感じられていた。
「火線を 正面に、1点集中」
BP-2は、SVLを利用したテレパシーで、各バトロイドに命令を下す。
それまで、個別に対応していた各バトロイドが、手に持つ主要武器である 独自開発した新たなユニバーサルウエポン 超高性能エネルギーライフル銃 ARM28の左側側面にあるスイッチを切り替えた。
今までは、連射型の光粒子弾で、対応していたのが、一斉に射撃を止め ピエールの命令に従い 正面に構える1個師団に銃口を向け 構える。
それを確認するBP-2。
すかさず右手を上に高く上げ振り下ろす。
「ファイヤー(撃て)!!」
SVLを使ったテレパシーで命令を下す。
約1万体のバトロイドが、同時に、トリガーを引く。
銃口からは、強力なエネルギーを伴う ブラスター(火球弾)が、火を噴く。
1発 1発のブラスター(火球弾)が、途中1つに結びつき 大きな火球となり 正面の師団を直撃 同時に、直撃を喰らった約半数のグロテノスが、瞬時に燃え尽きる。
未知のナノマシーン入りの超合金で出来たフェイスマスクで覆われている為 その表情を伺う事が出来ないが、してやったりの 不敵な笑みを浮かべているのが、その尊大とも思える態度から伺う事が出来る。
「神々の残したオーバーテクノロジーである 神々の無敵の武器に敵など存在しない」
自信に満ちた声を上げるBP-2。
「正面の敵に対して、全軍突撃」
j間を置かず命令を下すBP-2。
約1万体のバトロイドは、一斉に、手に持つARM28の銃身を持つと、ARM28のグリップの底が開き レーザーで出来た 約60cmの剣が 光を発し現れる。
"レーザーソード"
まさしく名前の通り。
DNAを改造 戦闘用の生体兵器であるものの 各種武器を持たないバトロイド 他だしスピード、ハワーなどの身体能力は、平均的なグロテノスの身体能力を上回る。
各種武器さえあれば、グロテノスとの1対1の戦闘であれば、圧倒的有利に戦いを進められる。
同時に、一斉に、半数に減らされた正面の師団に突撃を開始する。
一糸乱れぬ まさに、統一された行動 完璧と思えるマインドコントロール(精神支配)化に置かれた 約1万体のバトロイドを巧みな用兵で動かす。
狙いは、中央突破。
そして、正面師団の後方に構える 本陣にいるデュークの首。

 だが、この見事な戦術にも動じないデューク。
すぐさま 両翼の2つの師団に対して、テレパシーによる命令を下す。
神々の正義軍の後方に素早く部隊を移動させ、後方からの挟撃を開始する。
「もう逃げ道はないぞ・・・」 不敵な笑みを浮かべつぶやくデューク。
ヨーロッパの旧名門貴族出身 母国では、過去に貴族制度は、廃止されていたが、その名残りは健在であった。
母国の陸軍士官学校卒のまさに絵に描いたようなエリート。
陸軍士官学校時代 サッカーのエースストライカーとして、その名を轟かせ 卒業時には、複数のプロチームのスカウトからルーキーとしては、当時史上最高額の高額な契約を持ちかけられた程の逸材でもあった。
190cmを超える長身 ハリウッドの美形男優真っ青の甘く整ったルックス 高貴で洗練された振る舞い・・・・・
どれをとっても 全く非の打ち所がない。

"だれかさんと、大違い・・・・" みなっち談。
"どうせ 俺なんか 貧乏な自営業者で、落ちこぼれ高校卒の性格破綻者で、ぶ男のがさつなクラッシャー・・・ イジイジ・・・・ 浩司談。
"少しは自分の事 理解しているみたいだな!!" (追い打ち) みなっち談。
"日頃の恨みじゃ" (更に追い打ち) みなっち談。
"・・・・・・" 浩司談。 かなりイジけています。 "涙"
余談です。 悪しからず。

 同じエリートならば、ピエールも全く引けを取っていない。
アメリカ合衆国のバイブルベルトと呼ばれる中西部の大都市郊外の高級住宅地出身。
両親共 熱心なC宗教信者で、父親は、大企業のエリート街道まっしぐらのサラリーマンでもあった。
幼い頃すら 勉強、スポーツ共に、非凡な才能を見せ 飛び級での大学進学を勧められた程の逸材でもあった。
高校卒業時には、全米の最も優秀な高校生の1人にも選ばれ 卒業後 C宗教最高の神学校へ推薦入学 1度もトップの座を渡した事のない神童と騒がれた C宗教始まって以来の最高のエリート中のエリートでもあった。

 他にも2人共 共通点が存在する。
キャラン(浩司)は、思考的には、戦略家としての資質を育み 戦争の全体像 戦局の流れ 最終的には、歴史の流れ そのものを重要視し その為 情報、戦力の補充 補給戦などに、重点を置いた考えた方をしていた。
少々の戦術的敗北など、戦略的勝利を収めれば、とるに足りないもの・・・ などがる基本的な考え方でもある。
歴史さえ 自ら望む方向へ動かしてしまえば、戦争など不要。
戦わずして、勝利を収めてこそ、真の戦略家・・・・ など 基本的な考え方で、持論でもあった。
他だし その為の仲間を増やし 多数を味方につけるなどの努力を怠っており 何事も1人だけで、やってのれよとする1匹狼の性格の持ち主で、基本的行動は、まさに1匹狼そのもの。
考え方と、性格、行動が全く一致しない 全く矛盾の塊の人物でもあった。
その点に関しては、ピエール、デューク共 自ら編成 もしくは、与えられた部隊を率いて、あらゆる作戦を用いて、眼の前の敵を撃破 勝利する 戦術用兵家でもあった。
常に変化する戦場で、いかに勝利を収めるか・・・ に重点を置いた考え方をしていた。
戦略と、戦術・・・・ 似て非なるものであり 未だ明確な区別は難しい。
特に、キャラン(浩司)は、戦術は、戦略を達成する為の技術的な補完・・・・ と言った考え方を持っていた。
戦術的勝利で、戦略的勝利を覆す事は出来ない・・・・ その事を良くわきまえている。
また 戦術的勝利を繰り返す事で、戦略的勝利の意義を見出す・・・・ など愚劣の骨頂とさえ思っていた。
こんなもの ただの最も忌むべきジェノサイド(大量殺戮)。

 正反対に、ピエールは、戦術的勝利に固守する姿勢を見せていた。
戦闘中 自らを 自ら信じるC宗教の 神々などと呼称する物のエージェント(代理人)であり 旧、新両約聖書に出てくる 最高の預言者とされる 大工の息子Y、十戒で有名なMなどと同様の 歴代最高の預言者と称し 自らド派手なパフォーマンスを繰り返す行動ばかり。
「結局の所 自らを誇張してのアピールと、ド派手なパフォーマンスだけで、戦争の全体像 戦局の流れなど 何一つ変わっていない・・・・・」 などと、キャラン(浩司)に、辛辣で、超激辛の評価を下されていたが・・・・

 まくさに猛将・・・・ そう呼ぶべきすさまじい攻撃、破壊力で、突進する ピエール率いる神々の正義軍。
後方 退路を遮断された だが、前方の敵を粉砕すれば、帰路は開かれる・・・・ 少々の味方の損害など気にしない。
何と言っても BP-2を装着するピエールを除く、全兵士は、バトロイドに、改造され マインドコントロール(精神支配)で、BP-2を装着するピエールのSVLを用いたテレパシーの支配下に置かれ 自らの自由な思考を持たない。 ただ命令されるがまま。
何ら感情や、恐怖もない。
退路を断たれても 何も感じていない。
デュークの本陣まで、後1歩のところまで迫った。
そこへ ある部隊が、わけ入り デャークの本陣をガードする。
ミュースキャット・麻子の率いる アピリム親衛隊の精鋭部隊の1部。
デュークの前に、跪くミュースキャット・麻子。
「デューク様 アピリム親衛隊 副隊長麻子 ただ今参上しました」
余り良い顔しないデューク。
「何をしに来た」
憮然と言い放つデューク。
ここからが、面白いところ ただの邪魔者としか、その眼に映っていない。
「アピリム様の命令です。 ここは、私めに、お任せを」
同時に、アピリムからのテレパシーが、デュークの脳裏に響く。
「デューク ここは麻子に任せるのだ」
デストロであるデュークは、グロテノスと違って、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を受けない。
基本的に、テレパシーは、ネクストノイド同士の通信手段で、主に、戦闘中に用いる手段である。
戦闘中 敵勢力に、ハッキング(傍受)されない為の 理想的とも言える通信手段である。
互いの精神による通信。 電波などの通信手段と違って、他にハッキングされる心配ない。
それを応用したのが、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)。
強力な精神力を用いて、上位モデルが、下位モデルを 精神的に支配し、思い通りにコントロールする。
確かに、ネクストノイド最上位モデルは、アピリムであり 最も強力な精神力を伴うテレパシーを発信できるる。
その下のモデルが、デストロである。
更に、下位モデルであるが、大多数を占めるのが、戦場での主戦力となるグロテノス。
だが、1対で、大軍を指揮し、全ての兵力をコントロールするのは、物理的に不可能。
その為の 各戦場における指揮官としてのデストロが、存在する。
戦場は、常に流動的で、変化する。 個別に対応、判断しなければならない。
その為 デストロにも アピリムと同等の強力な精神力を伴うテレパシー機能が備えられ 大多数のグロテノスを テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)出来き、アピリムと言え デストロを テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を受けない仕組みになっている。 同等の強力なテレパシーを発信できる為 他からのテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を遮断してしまうのだ。
デストロ同士でも同じく、テレパシーによる通信は出来るが、マインドコントロール(精神支配)は出来ない。

 苦虫を潰したような表情を浮かべるデューク。
せっかくの楽しみょを奪われた子供様な表情でもある。
だが、アピリムの命令は絶対。
「解った 呼吸を合わせ 兵を引く」
少し憮然と言い放つ。
だれからも見られぬ様に、薄笑いを浮かべる麻子。
これで邪魔者もなく ピエールとサシでケリ(決着)が付けられる。
麻子は、ミューグロテノスのミュースキャット ある事故がきっかけに、偶然誕生した突然変異のミュータントとも言える 全く別種のグロテノス。 ミュータントであるが為 BS(バトルスタイル)への変身能力が失われ、常に、BS(バトルスタイル)のまま状態であった。
デストロ程ではないものの 余りテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を受けないタイプでもある。
だが、その戦闘能力は、グロテノスと違って、エネルギーの消費問題は、存在しない為 常に、デストロ程ではないものの常に消費と同等のエネルギー供給を受けられる為 ハイパーグロテノスと同等の高い戦闘能力を維持出来る。
常に、消費と同等のの高いレベルのエネルギー供給を受けられ エネルギーの消費問題が存在しないのは、最上位モデルのアピリムと、上位モデルのデストロだけ。
同じネクストノイドでも グロテノス、ハイパーグロテノスは、戦闘時 供給を上回るエネルギーを消費し 生体兵器としての戦闘をする為 常に、エネルギー切れの問題を抱えている。
特に、デストロに近い戦闘能力を持つハイパーグロテノスは、その分 エネルギーの消費が早い。 デストロに、近い高出力武器を一気に使用する その為 エネルギー供給が、追いつかず 一気に消耗する 致命的欠陥でもあった。
元来 ハイパーグロテノスは、局地戦用、白兵戦を想定された生体兵器でなく、大量破壊用に特化した生体兵器として、開発された違いでもあった。

 新たな増援部隊の登場 前線へ出る。
「ふん 新手か・・・・」 余裕の言葉を発するBP-2 だが、ある違いに気付く。
後方からの攻撃が、突如終了 同時に、新手の後方になった 今までの部隊が、撤収を始める。
「部隊の交代・・・・」 少し疑問を感じる。
このタイミングで、前後からの挟撃を 突如中止するなど、戦術上あり得ない せっかくの有利な状況をミスミス放棄するなど、勝ちを自らの手で放棄する事になる。
一瞬 上空からの核兵器の投下もしくは、それに類似た大量破壊兵器の投入も 頭に過る。
だが、その場合 前方に現れた新手の部隊を 捨て駒として失う結果をもたらす・・・・
前方に現れた部隊を 電子アイでズームする。
兵力およそ300体 こちらの約1万を 大きく下回る。
「あれだけの少数 なめた真似を」
少し怒り口調が漏れる。
だが、直ぐにある事に気付いた。
今まで戦っていた 3個師団規模の部隊は、確かに後方に撤退したが、完全撤退ではなかった。 そのまま戦闘地域から 少し離れた場所で、周囲を取り囲んだまま待機した。
そして、同時に正面の約300体の部隊の中央部が、2つに割れる。
そこから 現状の血と血で争う 戦闘地域とは、余りにもかけ離れた衣装を身にまとった女性? いや確かに女性である だが、身体は、どう見ても女性タイプのBS(ハドルスタイ)に変身したグロテノス。
それもネコに似た。
身体に纏う衣装は、血を血で争う殺伐した戦場とは、全く不釣り合いの 白を中心に、美しいレースで飾られた豪華なロングドレス それもあのオードリー・ペプバーンが主演した有名なミュージカル映画のマイ・フェア・レディ(My Fair Lady)で、着用した 親友でもあるジバンシー作の有名なドレスであった。
元々細身の身体であったが、ミュースキャットになる直前40歳代中盤であったが、その体型は、20歳代の状態をほぼ維持されており ミューグロテノスのミュースキャットとなった今の身体でも 20歳代当時のボディーラインに戻り 細身の女性向けのデザイン・・・・ いや細身であったオードリー・ペプバーン用にデザインされたロングドレスであったが、大のお気に入りであり良く似合っていた。
「Miss麻子・・・・」 BP-2から言葉が漏れる。
荒涼した岩と、砂だけの砂漠であるのに、まるで別天地 そう美しい花畑で、楽しくタンスをする様に現れた ミュースキャット麻子。
右手には、白の日傘を持っている。
そして、一礼すると、突然タ゜ンスを始めた。
いや ダンスと言うより 美しい花畑の上を 優雅に舞う 美しい蝶のようにさえ見えた。 いや見方を少し変えれば、美しい草花が咲き誇るお花畑で、無邪気な笑みを浮かべ、舞い遊ぶ少女の様にも見えた。
余りの場違いに、ピエール率いる神々の正義軍からの攻撃を止んで、全員が、ミュースキャット麻子のダンスを見つめる。
見る者 全てを引き込む ミュージカル風のダンス。
まさに今 ミュースキャット麻子は、大劇場の超満員の大観衆が見守る中 華やかなスポットライトを浴びたステージに1人立ち 華麗なダンスを披露するヒロインであった。
柔軟な身体を活かし ブロードウェーのミュージカルもしくは、往年のミュージカル映画全盛期のダンスを彷彿させる華麗なダンスを披露。
時には、華麗に、時には、情熱的、時には、妖艶に、時には、官能的に・・・・
大人の女の持つ全てを 全ての喜怒哀楽をダンスで表現する。
思わず息を飲みこませ 見る者全てを圧倒させる。
洗練され成熟した真の大人の女性が持つ 艶やかで妖艶 どこか甘く危険な香りのフェロモンを周囲に漂わせる。
だが、その華麗なダンスの中に秘められた どこか、言いようのない激しい憎悪と、その正反対の深い哀愁を帯びているのを 読み取る事の出来る者は、はたしているのだろうか・・・・?
その理由を知る者は、多分 麻子本人以外知る者はいない。
「ねえー 私のダンス見ている・・・・」 ダンスをしながら この世にもはやいない今は亡き将来を誓い合ったフィアンセに、心で語りかける麻子。
「このダンス あなただけに捧げる・・・・・」
「もうすぐ 私もあなたの元へ行くは」
「私の事 忘れたり、嫌ったりしていないでしょ・・・・」
思いの全てを 華麗なダンスに乗せる。
この華麗なダンスは、あの世で待っている 今は亡きフィアンセに捧げる 永遠の愛の誓い。
ダンスが止まる。
両手で、白のロングスカートの1部をつまみ上げ 一礼する。

 「ブラボー!!」
余りの美しさ、華麗なるダンスに見とれ 思わず大声を上げ絶叫 拍手するBP-2。
ダンスなどの芸術に深い造詣を持つピエール 余りの圧倒的素晴らしいダンスに思わず最大の称賛を 惜しみなく送る。
BP-2ばかりではない ここにいた全員が、総立ちとなり 惜しみない拍手と、大歓声の「ブラボー!!」を連呼 その熱狂は、そう巨大なスタンディングオベーションとなり 華麗なダンスを披露したミュースキャット麻子を最大級に称賛する。 いつままでも無限に続くかと思える程の万上の大歓声と、惜しみない拍手の嵐。

 胸に飾られているハートのペンダントを 握りしめるミュースキャット麻子。
華麗に着用していた白のロングドレスを脱ぎ捨てる。
右腕を突出し BP-2を着用するピエールを 指さす。
「愛しのピエール神父様 いよいよ最後の決着を付ける時が来ましたわ」
BP-2を睨む麻子。
「ここは、あなた様と、決着を付ける為のデスマッチの為に用意されたコロシアム」
「さあー 出てきて 私とサシで勝負を」
言い放つ麻子 その瞳には、1点の曇りの無い揺るぎない強い決意に溢れていた。
もはや 麻子には、思い残す事は、ほとんどなかった。
神聖にして不可侵の唯一の誓いであったA真理宗教の信者は、この地上から全て一掃した。
その為だけに生き抜いてきた、
だがその復讐も終えだ だが、やはり何も生まれなかった。
ただ一抹の虚空しさだけが残った。
もはや何もない抜け殻の様な状態。
だが、ピエールとの決着だけは付けておきたかった。
どんな結果になっても。
ピエールは、常に口にしていた。
「神々を信じろ・・・・・と」
「神々を信じる者は救われる・・・・・」
だが、その神々がいったい何をしてくれたと言うのか?
愛しの心から愛したフィアンセを 何故? 私から奪ったのか?
その点については、絶対 納得出来なかった。 そして許すことも・・・・
「全て神々のお導き・・・・・」

 「相変わらずの色気の過剰演出・・・・」 両腕を組み 麻子を見つめるBP-2の口から 思わず漏れる。
「心を悪魔に売り渡した者 やはり神々の御手に帰すべき」 つぶやきながら ゆっくりとミュースキャット麻子に向かって歩き出す。

 「現れましたね ピエール神父様」
両手10本の指の爪を約20cmに伸ばした。
伸びた爪から青白い光が発する。 高周波。
高強度を誇るの金属も高周波で、瞬時に切断する威力を誇っていた。
ミュースキャット・麻子の主要必殺武器 ネイルソード。
不敵な笑みを浮かべながら戦闘態勢に入る。
「ここは、2人だけの世界 邪魔は無用」
その言葉に、率いるアピリム親衛隊の1部の部隊が後退を始める。
BP-2も右手を上げサインを出す。
同じくバトロイド兵も後退する。
全ての状況が整った。
麻子は、この戦い 勝ち目がほとんどない事は、解っていた。
ピエールが、現在着用するPS(パワードスーツ)であるBP-2ならば、まだ勝算が十分にあった。
しかし 現在 更に、強力に進化したG,,G<,P(グレート・ゴット・プロテクター)を 所持している。
BP-2の上から更に装着する 最強のPS(パワードスーツ)。
まだ本来の戦闘能力は、未知数であったが、多分 秘められた戦闘能力は、変身前のアピリムと同等 そう予測されている。
まともに、正面から戦っても勝算などない。
それも1対1。
だが、あのG,,G,,P(グレート・ゴット・プロテクター)も エルと呼んだEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残したオーバーテクノロジー。
麻子を含む ネクストノイドも同じ。
つまり同じテクノロジーを用いて開発された物。
共通の弱点も存在した。
狙いは、その1点。
頭の額の部分に埋め込まれ露出している ネクストノイドのネクスタルと基本は同じ レアスタル。
強力な生体武器のエネルギーの供給源である ネクスタルは、多重宇宙の中にある 非常にエネルギー状態の高い別宇宙と繋がり そこから高エネルギーの供給を受けている。
BP(バトルプロテクター)も同じ 強力な各種武器のエネルギーを レアスタルから供給されている。
そのエネルギーの供給源も多重宇宙の中にある 非常にエネルギー状態の高い別宇宙。
自ら高オネルギーを発生していのではない。
BP(バトルプロテクターの数少ない・・・・ いや唯一と言える弱点。
だが、更に高性能、高機動力・・・ などを誇るGP(ゴッドプロテクター)を装着されれば、そこを1点集中で狙うのは、非常に困難。
相撃ち覚悟。 多分それ以外に方法はない。
最後の冥土の土産 それは、ピエールの生命。
「私は、寂しがり屋なの・・・・」 内心 薄く微笑む。

 「G,,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を 装着しなくて、この私に勝てるかしら?」
構えながら挑発する。
神々の最強の鎧と豪語するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を 装着した状態で倒すことが出来れば、その効果は高い。
ピエールは、このG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を装着し、今まで、数々のグロテノスに対して、圧勝してきた。
神々の最強の鎧を纏う 神々のエージェント(代理人)として、自らの行いを神々の正義と呼称 単純明快の勧善懲悪の図式を用いて、反ネクストノイドのホモサピエンス・サピエンスを集結させ その勢力の拡大を図ってきた。
1人の強力な個性で、神々の正義軍は、存在する。
そして、エルのオーバーテクノロジーの1部を使い ピエールの元に集結してきた人々を 別の生体兵器 バトロイドに改造し率いている。
バトロイドは、ネクストノイド以上に、強力なテレパシーによる マインドコントロール(精神支配)を受け まさに、ピエールのマリオネット(操り人形) 自らの意思を持たない。
ピエールさえ倒してしまえば、神々の正義軍は、自滅 ピエールに縋ろうと集まって来る人々も その拠り所を失う。
千載一遇のチャンス。

 そんな麻子の挑発にも ピエールは、全く別の反応を示した。
「Miss麻子よ・・・・・」
いつもの説教が始まる。
だが、麻子には、何ら感銘も何もない ただの馬の耳にも念仏・・・ ただの雑音、騒音。
「下らない話に、お相手している暇などありませんわ いざ勝負を」 そう言いながらミュースキャット・麻子は動いた、
柔軟性と、俊敏さを兼ね備えたミュースキャット。
素早く不動立ちのBP-2の前に現れ 高くジャンプ。 ネコの鳴き声を上げ上空から10本のネイルソードで斬りかかる。
寸前にうまく避けBP-2 だが反撃をしない。
そのままミュースキャット・麻子の攻撃を 見切った様に、寸前で全て避ける。
「なかなか やるわねーピエール神父様」
ここまでの猛攻をうまく避けられているのにもかかわらず余裕の発言のミュースキャット・麻子。 だが、決して、追い詰められハッタリをかましていない その表情から読み取る事が出来る。
「ここまで、懇意しても心を改めないのですね Miss麻子」 憐みと、同乗の混じった声を発するBP-2。
「やはり 貴女は、神々の御手に帰すべき・・・・・ 仕方ありませんねー」 そう言い終わると、BP-2の左腕は、ソード(剣)の型に変形する。
かって我々人類が、神々と呼称したエルと呼ばれEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、今から約1万2000年前に、この地球に残していったオーバーテクノロジーの傑作 エル自身が装着しており ピエールは、これを神々の鎧と呼んだ 未知の超合金で創られ 尚 その未知の超合金内には、多数のまナノマシーンが注入されており 自在に変形させ各種武器となる。
その武器形態の1つ エクスカリバー。
ピエールが幼少期に良く読んでいた 円卓の騎士 アーサー王の物語に出てくる アーサー王が所持する剣で、湖の乙女(Lady of the Lake)から授かった魔法が宿るとされる聖剣。
もしくは、アーサー王が岩に刺さった剣を引き抜き、ブリテンの王者であると証を立てるのに使われたともされる 伝説の聖剣。
ソード(剣)の刃の部分から薄赤い光が発光する。 ある種のエネルギーを剣の刃の部分から発生させ 分子レベルから切り裂く事が出来る。
「さあー Miss麻子 勝負」
少し姿勢を前傾にし戦闘態勢に入るBP-2 丁度瞳の部分の2つの電子アイが鈍く光を発する。
静まり返る周囲 だれもが息を飲み見守る。
静寂だけが支配する世界の中で、殺気だけが、周囲を支配し張りつめた空気が周囲に充満するる。
所々で、ただ乾いた風が、小さなつむじ風となり荒涼とし乾いた砂漠の小さな砂を巻き上げる。
互いに、暗黙のルールに従うように、じりっと 間合いを詰める。
どちらも仕掛けるのに、丁度良い距離。
どちらも相手を完全に、その瞳に捉えておりすぐに対処出来る様に構えている。
互いに睨み合いながらも 相手の隙を伺う。
僅かな時間であったが、永遠に続くように感じられた。
風が止んだ。 ミュースキャット麻子の頭部にあるネコの耳の形をした いやまさに柔らかい毛で覆われた猫耳が、小刻に小さく震える。
それが、サインとなった。
先に、やはりミュースキャット麻子が仕掛けた。
必殺の間合いに入り 少し身体を低くし BP-2の腹部を目掛けて右手を水平に振る。
一瞬 右手から伸びるネイルソードが、BP-2の腹部を水平に斬る・・・・かの様に見えたが、BP-2の反応も素早い 左腕を変形させたエクスカリバーの刃の部分で受ける。
2つの異なる性能を誇る刃が衝突 片方は、伸びた爪から青白い光が発する。 高周波 そして、もう一方は、刃の部分に高エネルギーを発生させている。 全く異なる性能 だが・・・・
衝突部分から赤と青の入り混じった火花が飛び散る。
どちらもオーバーテクノロジーの産物。 分子レベルから切り裂く鋭い切れ味を誇るが、互いのソード(剣)を切り裂く事が出来ない。
全くの互角。
性能だけでは、勝負が付かない。 
激しい攻撃を繰り返すミュースキャット麻子 その攻撃を見切り寸前で受け止めるBP-2。
BP-2の反撃も 柔軟性に富んだ身体を誇るミュースキャット麻子 身体にヒットする寸前で、アクロバテックな態勢で避けられ 左腕のエクスカリバーは、ただ空を斬るだけ。
左腕のエクスカリバーが、空を斬るたび 「どこに狙いをつけていらっしゃるのですか? ピエール神父様」 麻子の嘲笑した声が響く。
遂に、ミュースキャット麻子の攻撃が、ヒットする。
右腕と、腹部の表面であったが、一筋の大きな切断の傷跡が付く。
切断された伸びた爪から青白い光が発する。 高周波の奥からは、生身の肉体が、露出する。
生身の肉体までは達していなかったが、初めての大きな損傷であった。
今までは、相手が格下のグロテノスばかりであったが、未知の超合金の表面に薄い掠り傷程度しか負わされた事しかなかった。
直ぐに、未知の超合金内部のナノマシーンが、傷の部分を修復 元通り何もなかったように修復する。
だが、ピエールのプライドは、傷つけられた。
神々がその身体に装着していた神聖にして不可侵な鎧。
その神聖な鎧に、初めての大きな傷をつけられてしまった。
ミュースキャット麻子のネイルソードと、BP-2のエクスカリバー 性能は、互角 それは、認めざる得ない。 勝負は、個としての戦闘能力の差がものを言うはず。
特に、この様な近接戦闘における、白兵戦においては、その差が、大きく勝負を左右する。
ここまでの所 ミュースキャット麻子が、一方的にリードしていた。
だが、焦りの態度を見せない。 悠然と構えている。
そのはずであった。
本来の実力を出し切っていない。
もう1つ上 対アピリム用の究極のPS(パワードスーツ)を まだ使用していなかった。
全てが、規格外の圧倒的パワー、スピード・・・などを誇る超高性能戦闘用PS(パワードスーツ) その名もG,,G<,P(グレート・ゴット・プロテクター) これこそまさに究極の神々の力を宿す究極のPS(パワードスーツ)。
ピエール自身そう信じていた。
その力を手にする者 ピエール自身こそ まさに、神々により選ばれし神々のエージェント(代理人)たる 神々の御言葉を人々に伝え 神々への道標を示す預言者。
その力を利用すれば、今 目の前の敵 ミュースキャット麻子に勝てる・・・・ だが格下相手に、GP(ゴッドプロテクター)を利用するなど、ピエールのプライドが許さない。
何よりも G,,G<,P(グレート・ゴット・プロテクター)は、アピリムを倒す為の切り札。
アピリムを倒す事 神々の意思。
あのアピリム・・・・ ファーストを。
神々の天啓を授かった時 自らの呪われた身体の秘密を知った。
ピエール自身 特殊なDNAを持って生まれた。
それは、神々の最大の裏切り者であり反逆者である あのアピリム ファースト(1番目)と同じ特殊なDNAの持ち主である事も。
特殊な改造を受ければ、自らアピリム そうあのファーストを含む 今から約1万2000年以上前 神々を守る戦士として創られたアピリムは、セカンド(2番目)、サード(3番目)の3体。
そして、それから約1万2000年後 突如偶然に誕生したのが、フォース(4番目)となるピエール自身であった。
だが、この力は、神々を裏切り、反逆した者と同じ力。 アピリム ファーストと同じ力 同じ戦闘能力を持てる。
だが、神々を信仰するピエールは、これを呪われた物と受け止めた。
アピリム ファーストは、その力ら溺れ 神々を裏切り 反逆した。
その同じ力が、自らの身体に流れているなど。 嫌悪感にさいなまれ自らの運命を呪った。
いつの日か、その力に溺れ アピリム ファーストと同様 神々を裏切り、反逆する自分自身を。
それと同時に 神々が纏っていた鎧を知った。
神々は、地球外の複数、多数の異星の知的生命体の集団 外形を始めその形態は、千差万別。
その為 汎用性を高める為 その鎧は、その神々の外形、形態に合わせ自由に変形出来 神々の持つ驚異の力をも持っている。
神々の纏う鎧こそ 自ら呪われた力、運命から救う唯一の方法だと。
その鎧を手にし 復活した神々の敵アピリム ファーストを倒してこそ この呪われた力から解放 神々への道が開かれる・・・・ そうピエールは、確信した。
神々がその身体に纏っていた鎧を着る者こそ 正当で、神聖にして不可侵な選ばれし神々のエージェント(代理人)たる 神々の御言葉を人々に伝え 神々への道標を示すメシア(救世主)=預言者。
それこそが、ピエール自身。
キャラン(浩司)は、ピエールのこの性格については、気付いていた。
盲目的、狂信的、選民思想・・・・・ たっぷり皮肉と言う超激辛のスパイスを入れ  内心いつもバカにしていた。
全ての宗教に言える事だが、神々だか何だか知らない物に選ばれた・・・・ と思い上がる選民思想 そのものが、全宗教の本質を現すものの1つである。

 「あらー どうしましたの? ピエール神父様」 嘲笑した笑みを浮かべ見下すミュースキャット麻子。
自身の戦闘能力は、あのBP(バトルプロテクター)を上回っていてる 確かな手ごたえを感じている。
このままでは、ピエールに勝ち目はない。
必ず、G,,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を装着するはず。
過去 仲間であったパーサーカー5(ファイブ)のミューグロテノス3体が、その性能の実験台にされ 無残に殺されていた。
確かに、あの時 あの南アメリカでの戦闘時にも そうであった。
あの時も ミュースキャット麻子は、ピエールのBP-2の戦闘能力を上回り押し気味に戦いを進めていた。
だが、あの初めて、ピエールは、新兵器としてのG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を装着 周囲にいた仲間のパーサーカー5(ファイブ)の 3体ものミューグロテノスを次々と虐殺した。
圧倒的 戦闘能力の差を見せつけられた。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を装着されては、勝ち目などない。
だがあえて、装着させる。
そして、唯一の最大の弱点を思われる 額のレアスタルを1点集中の 相撃ち覚悟で、破壊してみせる。
それが、この私の 残された最後のケジメ。
ピエールの生命を冥土への土産に、私の事を待っていてくれる愛するフィアンセの元へ・・・・
「そのままで、この私に勝てるかしら・・・・」 更に挑発する。
「偉大なる神々の神聖な力を見くびるでない・・・・」 BP-2の発する言葉に、"いい子ねー 挑発に乗ってきた・・・" 内心 細く微笑む。
BP-2の周囲の砂が、ゆっくりと舞い上がりる。
まるでその中心にいるBP-2を取り囲むトルネード(竜巻)の様に、激しく回転を始め地面から上空へと伸びる。
どこからか? 高エネルギーが、送り込まれているのだろう。
激しく回転する砂から 放電現象に伴うスパークが、周囲に飛び散る。
直撃を受けた 少し離れた場所で、この模様を見ていた数体のグロテノスが、瞬時に黒焦げなる。
雷の放電現象よりも 更に強力なエネルギー。
思わず、ただ息を飲む周囲。
「現れるわよ・・・・」 小さな声を発するミュースキャット麻子。
BP-2の後方に突如 巨大な漆黒の大きな穴が開かれる。
漆黒の大きな穴の中から 何やらブロンス(青銅色)の未知の金属で出来た 大きな そうB,P-2を飲み込んでしまいそうな巨大な卵が、周囲の大気を揺らしながら ゆっくり現れる。
B,P-2の後方に現れると同時に、真ん中付近からゆっくりと、外側に向かい大きな口を開く B,P-2を飲み込む程の大きさに開くと、中から極彩色の光を発し B,P-2を包み込む、すると、B,P-2の身体が少し空中に浮かび ゆっくりと、巨大な卵の中心部へと吸い込まれていく。
B,P-2を吸い込んだ巨大な卵は、開いた口を閉じる。
同時に、ブロンズ(青銅)色の表面の未知の金属全体から極彩色に輝き始め 周囲に、強烈な極彩色の光の爆発が起きる。
全長を含めた大きさが、二回りは、巨大化した BP(バトルプロテクター)に似たヒューマノイドタイプ(人間型)のシルエットを持つ物体が、ブロンズ(青銅色)の光を発しながら出現する。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) 今から約1万2000年前 エルと呼ばれる我々人類が、神々などと拝め呼称したEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残した 最強のPS(パワードスーツ) ピエールの切り札。
「見るが良い 神々の偉大なる力を・・・・」 不敵な声を発するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
徐に右腕を上げ 右手人差し指で、天を指さす。
突如 指さした上空に、不気味な真っ黒な暗雲が立ち込め 上空を覆う。 同時に、巨大な雷鳴が何度も轟 そのソニックブーム(衝撃波)は、地面をも揺らす。
「喰らえ ゴッドサンダーホルト(神々の雷(いかずち))!!」 G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)が、叫ぶと同時に、上空に立ち込めた不気味な真っ黒な暗雲から無数の雷が、地面に落ちる。
間一髪の所で、避けるミュースキュット麻子。
だが、避ける事の出来なかった大半のグロテノス兵は、雷の直撃を浴び、瞬時に、炭化した黒焦げの死体となり 炭化した黒焦げの死体は、地面に倒れるどころか、そのまま砕け細かな灰となって、微風に乗って周囲を舞う。
ケタ違いの電気エネルギー。
「見たか 神々の偉大なるお力を」 言い放つG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
まさに、自身が、神々でもなった様な言いぐさであった。

 ちなみに、このサンダーボルト かなり離れた場所の上空で、リンと対峙こそしていたが、睨みあいと、言葉による対決だけで、具体的戦闘行動に出ていなかった キャラン(浩司)にも数本の雷が、直撃したのだが、簡単なバリヤーで、防いでいた。
この原因をノルンからのテレパーで知り 「下らないただの盲目的ハードウェアー信仰による無差別ジェノサイド(大量虐殺)・・・・」と、こき下していた。
「いかにもピエールらしい やりかた・・・・」 皮肉を込めて、そう思った。

 周囲に展開していた圧倒的多数のグロテノス兵を 一瞬にほぼ壊滅に近い状態まで、一気に減らす。
主なだった敵は、ミュースキャット麻子1体。
そして、更に後方に陣取る8大将軍デストロの1体 デュークのみ。
さすがのデュークも 苦虫を潰した表情を浮かべていた。
予想以上・・・・
だが、苦虫を潰した表情であっても 決して、慌ててはいない。
どっしりと構え 余裕の態度であった。
ざわつく自身の部隊に対して、「あの程度で騒ぐ出ない」 凛とした自信に満ちた1言で、瞬時に静まる。
面白そうに、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を見つめるデューク。
あれだけの兵力を一瞬に失いながらも まだ全兵力は、アポリスの方が、圧倒的多数で有利な状況に、何ら変化はない。
慌てる必要性などない。
それに・・・・
少し口元が、不敵に微笑む。
「キャラン(浩司)以外 少しは、やりがいのある敵だと言う事かー」 少し呟く。
「私の期待を裏切らないでもらいたい」 余裕に満ちた言葉が漏れる。

 ここまで余裕の表情すら浮かべていたミュースキャット麻子であったが、さすがに、このケタ違いの威力に、度胆を抜かれた表情となった。
前回より 更にパワーアップしている それもケタ違いに・・・・・
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を見る。 額のレアスタルの輝きが増す。
更に、エネルギーを補充 高めているのが解る。
だが、どんなにパワーアップしようと、最大の弱点は、額のレアスタル。 あそこさえ破壊すれは、後は、ただのガラクタのブリキの塊。
コントロール、エネルギーの補充・・・・ 全ての機能が、あの1点に集中している。
両手を地面につけ 低い体勢に入るミュースキャット麻子 まさに、ターゲット(獲物)を狙うネコ もしくは、肉食系のネコ科の野生動物。
両手を地面につけ 低い戦闘態勢のまま ゆっくりと、両腕を組み 見下したまま動かないG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の周囲を 移動する。
口元に不敵な笑みを浮かべると、同時に、飛び掛かる。
瞬時に、場所の移動を繰り返す。
余りの高速移動 眼には、まるで分身術の様に、多数のミュースキャット麻子が、同時に襲い掛かるに見えた。
だが、不動のG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
一瞬 両目の電子アイが光ると同時に、多数に見えたミュースキャット麻子の1体に向け、更に、全長などの巨大化に合わせ巨大な大剣となったエクスカリバーを一振りする。
確実に、本体を捉えていた。
他は、ただの幻影。
両指から伸びたネイルソードで、受けるミュースキャット麻子 だが、その圧倒的パワーの前に、後方へ大きく弾き飛ばされる。
空中で態勢を立て直し数回転しながら着地する。
「少しは、出来るようになりましたねー ピエール神父様」 だが、その表情には、先程までの余裕は感じられない。
今の攻撃は、ほぼ全力であった。
ミューグロテノスでこそあったが、大きなエネルギーを用いての 一撃必殺 大量破壊型ではない。
近接戦闘、白兵戦を念頭に、柔軟性に富んだ身体能力 高機動性に重点を置いたモデルであった。
ベースであるグロテノスの1種 ネコに似たスキャットそのものが、柔軟性に富んだ身体能力 高機動性に重点を置いたモデル。
それが、突然予想外の変異してのミューグロテノス化 本来の特徴を 更にケタ違いに高まっていたが・・・・
だが諦め 逃げる事が出来ない。
再度 両手を地面につけ態勢を低くし 戦闘態勢に入る。
「正面から まともに行っても 結果は同じ うまくフェイントをかければ・・・・」 内心呟く。
フェイントに引っ掛け その隙に必殺の間合いに入り 1点集中であのレアスタルを破壊する。
それ以外 方法は思い浮かばない。
敵 G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) あの高速に動きに、簡単に対応した。 スピードなどの機動性、俊敏性など、今のミュースキャット麻子よりも 遥かに上。
予想以上に・・・・ それもここまでとは・・・・
巨大化による 動きの鈍重化など 当初から想定されていなかった。
前回でも かえって動きが、より高速化していた。
だか、前回より更に高速化している。
自己進化能力でもあるのだろうか・・・・?
ミュースキャット麻子の脳裏を過る。

「ふ・ふ・ふ・・・・ん 驚いている様子だな だが、この神々の鎧の史上最強にして最高傑作である G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の本来のポテンシャル この程度ではない」
低い戦闘態勢のまま 警戒こそしているが、動きが止まったミュースキャット麻子を見下す。
「動かないなら こちらから行くぞ」
そう言いながら 突如 静から動へ転じる。
あの巨大なG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)からは、想像も出来ない俊敏な動き。
だか、予想だにしない事態が起こった。
日本人である キャラン(浩司)、ミュースキャット麻子、リンなどは、過去何度も経験しているものでもあったが・・・・
突如 地中から湧き出るような不気味な低い音 そう大きな地鳴りが、迫ってきた。
「地震・・・・・」
ここにいたキャラン(浩司)、ミュースキャット麻子、リンなどの日本人や、地震の多い地域で生まれ育った全員が、瞬時に思った。
巨大な地震発生直前に来る前兆。
同時に、最初は小さな横揺れから始まった。 やがて揺れは、大きく縦揺れと変化し 地上に立っていた全ての者が、立っていられない程の激しい揺れに変わる。
ここにいたバトロイド、グロテノスもさすがに、立っていられず、足元はすくわれ砂の地面転げまわる。
震度7を超える 超激震。
激しい揺れは、約1分間程続く。
だが、ここにいた全ての者は、永遠続くかのように思える程の時間に感じていた。
I国 そのものは、非常古く安定したプレート(地殻)の上にある為 非常に地震の少ない地域であった。
小さな身体に感じる程度の地震でさえ 数十年に1度あるか? 程度。
これ程の巨大な地震は、有史以降記録に無い程であった。

 「みなっち・・・・」 上空で、地上の激しい揺れを見ていたキャラン(浩司)のテレパシーに、ノルンが答える。
キャラン(浩司)の表情は、半分青ざめていた。
地震の それも巨大地震の非常に多い日本で生まれ育った者さえ 滅多にない超巨大地震。
今すぐにでも みなっちの元へ駆けつけたい気持ちであった。
しかし みなっちの元へ行けば、当然 敵アポリスも後を追ってくる。
みなっちを無用な戦闘に巻き込む結果となる。
自重・・・・
焦る気持ちを無理やり抑え いつものポーカーフェイスを装う。
「マスター 美那美さんの生存確認 無事怪我もないそうです・・・・ それより・・・・・」
ノルンからのテレパシーが届く。
直ぐにノルンは、みなっちの左腕にしている特殊ブレスレットから みなっちの現状を確認していた。
確かに地面を転がった だが砂がクッションの役割を果たし衝撃をある程度吸収 少し砂まみれなった程度。
みなっちも日本人 地震の多い地域で生まれ育ち 地震は何度も経験している。
これ程の巨大地震は、初めてであったが、揺れが収まると同時に、直ぐに冷静さを取り戻していた。
「怪我もなく無事を確認出来れば、今はそれでいい」
続きを言いかけたノルンを制する。
キャラン(浩司)も スーパーコンピューターであるノルンさえ気づいていなかったが、この巨大地震が、人類に取って、後々大きなターニンク゜ボイントの1つであった事を・・・・
何故? ほとんど地震のないこの地域に、それも歴史上有数の巨大地震が起きたのかを・・・・

 地震の非常に少ない地域で生まれ育ったピエールも 余りうまく対処出来なかった。
巨大になったG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) その分重量も増大化している。
重くなった重量により 激しい揺れをまともに受け、動きを止め立ち止まる>
生まれて初めての経験でもあった。 小さな身体に揺れを感じる程度の地震が数回あるだけ。
これ程大きな揺れは、生涯の初の経験でもあった。
うまくバランスを取立つていることがままならず、そのまま足元をすくわれ転倒・・・・ だが、その瞬間 地上数cm程度身体を浮上させなんとか回避する。
その瞬間 無防備な姿をさらけ出してしまった。
丁度、地震の揺れは急速に収束に向かい収まりかけていた。 ほとんど身体に感じる揺れはない。
その僅かな隙を ミュースキャット麻子は、逃さなかった。
激しく揺れていた時間さえ 注意深く沈着冷静に、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の動き観察していた。
僅か一瞬の隙を狙うた為に。
今が、そのチャンス 今この瞬間を逃したら2度目はない。
態勢を低くし、無防備に、地上数cmを倒れかかった態勢で、浮いているG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)目掛け飛び掛かる。
狙いは、額のレアスタル1点。 相撃ち覚悟の捨身の攻撃。
一瞬の不意を突かれるG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)

 ピエール自身 生涯初の巨大地震の体験に、かなり動揺していた。
パニックこそ起こさなかったが、もしマスクの下の顔を見る事が出来たならば、かなりうろたえた表情を浮かべていただろう。
ここは、砂漠の為 建物などなく建物の崩壊、損壊など眼のあたりせずに済んだのが、幸いしたのかも知れない。
もし ここが人口が集中し、多くの建物などがある都心であったならば、建物の崩壊、損壊などによる多数の死傷者を眼のあたりにし、まさに地獄図。
その後 ピエールみたいな各種宗教団体が、被害者救済の大義名分を隠れ蓑に、被害地域に入り 自分達が、信じる神々の天罰が下された・・・・ 自分たちの信じる神々を信じれば救われる・・・・ など、都合の良いマインドコントロール(精神支配)で、被害者をたぶらかし 巨大地震のショックで、精神的不安定で、まともな判断が、出来なくなっている被害者を 巧みに勧誘、取り込み 刷り込みと言うマインドコントロール(精神支配)で、自分たちにとって、都合の良いマリオネット(操り人形)に仕立て上げ、勢力の拡大を図ったであろうが・・・・

 ミュースキャット麻子が、眼前に迫る。
両手の爪から伸びる10本のネイルソードが、怪しい光を発する。
「捕えた・・・・」 ミュースキャット麻子 右手を突出し 爪から伸びる5本のネイルソードが、丁度仰向けの状態で、地上数cmの所で、空中浮遊し、無防備な態勢のG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の額のレアスタルを 貫く・・・・・
だが、後数cmの所で止まる。
何か 眼で見る事が出来ない巨大なエネルギーを持った壁・・・・に阻まれる。
それ以上押し込めない。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)には、膨大なエネルギーを利用したバリヤー機能を備えている。
特に、ウィークポイントである 額のレアスタルは、何もデフェンス(防御)もなされないまま そのまま額に露出している。
致命的とも思える 最も重要な部分を そのまま何も無防備に、デフェンス(防御)機能を施さないまま露出させるなどあり得ない。
何らかの対策を施してあると、見るべきであった。
もしプロテクター内に格納してしまうと、多重宇宙の高エネルギー状態の別宇宙と繋ぐ4次元ワームホールとの兼ね合いで、装着生命体に、多大な影響が及ぶ為 あえてプロテクターの額の部分に露出させているのだが、そのウィークポイントを守る為 巨大なエネルギーを運用、利用出来る長所を利用し 肉眼で見る事の出来ない高出力バリヤーで、ガードしていた。
そのままミュースキャット麻子を 後方へと大きく弾き飛ばす。
一瞬の不意を突かれ不覚を取ったものの 直ぐに我に返るピエール。
態勢を立て直す。
「不意打ちなど、偉大なる神々の力を宿す私には通用しない」
再度戦闘態勢を取る。

 少し悔しさを滲ませた表情を浮かべるミュースキャット麻子。
唯一の最大のチャンスだったのに・・・・ の思いが過っていた。
まさかあれ程の高出力のバリヤー それも肉眼では見る事の出来ない まさにスティール製のバリヤーでガードしていとは・・・・
情報不足であったが・・・・
逆にあれ程 高出力のバリヤーでガードされている事は、最も重要に部分であると言う事の裏返しでもあった。
多分 唯一の最大のウィークポイント。 間違いない。
確信に至るミュースキャット麻子。
だが、敵のウィークポイントを見つけ出しても そこを攻略する方法が見つからなかった。
それも短時間 この戦闘中には、ほぼ不可能に近い。 目の前の敵は、あのピエール それも多分 エルと呼ばれたEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残した 約1万2000年前のテクノロジーでこそあったが、まだ全て解明に至っていない 驚異のオーバーテクノロジーの最高傑作の1つと思われる 戦闘用PS(パワードスーツ)であるG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
本来持つ戦闘ポテンシャルは、まだ未知数。
だが、今ここで、倒さなければならない敵。 冥土への土産としては、最高級。

 「さすがの あのミューグロテノスである ミュースキャット麻子と言えども問題外とは・・・・」
この戦闘を傍観する8大将軍の1体 デュークは呟く。
それでも楽しげな表情を浮かべ。
敵は、強ければ、強い程面白い 倒しがいがある。 そう言う心境であった。
ここは、戦場 戦いに勝ち生き残らなければならない修羅の掟の支配する 狂気の世界。
自分より相対的弱い相手に勝ち 生き残ってこそ意味があるばずなのだが、元々ヨーロッパ出身で、軍の士官学校時代 サッカー部に所属 エースストライカーとして、その名を全世界に轟かせ程の実力の持ち主 他にもフェンシングもオリンピックに出場すれば、圧倒的強さで、ゴールドメダル間違いなしと言われた程のスポーツマンでもあった。
ある意味 強い相手と戦い勝・・・ こそ・・・・・ ある種のスポーツマン精神の持ち主であった。
より強い敵に勝ってこそ意味がある・・・・ 更なる成長・・・・・ など、戦争 その中の戦闘を 1種スポーツであり ゲームととらえている。
負ければ、明日も、次の戦いもない あるの死あるのみ・・・・
だがデュークは、戦争、戦闘を史上最高のスポーツであり、ゲームととらえていた。
今 劣勢に立たされているミュースキャット麻子を助太刀する気などない。
そんな事をしても ミュースキャット麻子の為にもならない。
己自身の力で最後までやり遂げなければならない 例えどんな結果になろうと。
先程 面向かって話した時の眼、態度、今までのピエールとの数々の因縁・・・・ その全てを今この戦いで、全ての決着を見る。
「そろそろ ウォームアップ必要だな・・・・」 戦闘見ながら独り言を呟くデューク。
もはや勝負の行方は見えている。
ケタ違いの圧勝。

 弱点を見つけ出したものの 圧倒的戦闘能力差を思い知らされる。
G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)の表面に、掠り傷1つ付けるどころか、必殺の間合いにすらはいる事が出来ない。
ほとんど不動立ちの状態のG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
ポカーフェイスを装うにも 悔しさが、表情に滲み出る。
これで、何度目の弾き飛ばされたのだろう・・・・・ もはや機動性、柔軟性を活かした まるで、体操選手の様な華麗な着地すらおぼつかなくなり 地面に叩きつけられる。
頼みの10本のネイルソードも 全て途中からへし折られ 機能すら危うくなってきていた。
意識が、少し遠のく。
瞼の奥には、フィアンセの何もかも温かく包む素敵な笑顔 あのまるで、西洋の子供向けのおとぎ話のヒロインのプリンセス(姫)になった様な幸せだった日々が蘇る。

 もはや地面うずくまり立ち上がれなくなったミュースキャット麻子に向かい、ゆっくり まるで王者の貫録を示すように近づくG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
まるで憐みを持って、見下す視線を浴びせる。
「Miss麻子 今からでも遅くない 悔いを改め 偉大な神々の言葉に耳を傾け 心を開きなさい・・・・」
「その神々が、いったい何をしてくれたー!!」 薄れゆく意識の中で、あらん限りの大声を発する。
最後の悪あがきの様にすら聞こえる。
うつ伏せの状態から何とか、身体を仰向けの状態にする。
「さあー 殺せ」 そっと眼を閉じる。
もはや達観した様な表情を浮かべる。
その瞬間 何か? 昔に捨て去り、忘れていた感覚が、頬を一滴の液体となって、流れ落ちた。
涙・・・・
あの日に枯れ果ててしまったもの・・・・
もはや2度流す事もないと思っていたもの・・・・
「まだ残っていたのね・・・・」
思わず自虐気味に、薄く微笑む。

 最後の覚悟を決めた。
何かが、ミュースキャット麻子の前に立ち塞がる気配した。
どこからともなく1人の若い女性が現れ、ミュースキャット麻子の前に、大きく両手を広げ立ちはだかる。
凛とした鋭い眼付 G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を睨みつける。
その瞳には、不退転の強い意志が感じられる。
「これ以上 麻子様を傷つけるのは、お止めください」
涙声を枯らしながら 必至に訴える若い女性の声が、殺伐した修羅の掟の支配する世界に響く。
「優子ちゃん・・・・」 若い女性の名前が、思わず漏れる。

 「そこをどきなさい」 諭すように言うG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
眼の前に現れた若い女性 どう見てもネクストノイドではない。
特徴である額に、ネクスタルがない。
進化も出来ないホモサピエンス・サピエンス(旧人類)と、蔑まされ、貶められている差別階級。
「絶対に、どきません」 凛とした口調で言い切る。
「貴女の庇おうとする女 神々の敵にして、我々人類の敵 ネクストノイド」
「麻子様を殺すならば、先に、この私を殺してからにして下さい」

 「何故? こんな危険な場所に来たの 早く、そこをどきなさい優子ちゃん」 声を絞り出すミュースキャット麻子。
「絶対嫌です!!」 はっきりと言い切る。
2人の出会いは、数年前のある出来事がきっかけであった。
ある日の小雨が降り続く寒い夜 仕事を終え帰宅中の高級車の後部座席座る ミュースキャット麻子。
いつもの帰り道 ある朽ち果て放棄された公園の中の風景が目に入った。
突然 専用の運転手に向かって、「止めて」と言う。 ぱっと 大きく眼を見開く。
何故か解らない? だがその眼に一瞬 あの亡きフィアンセの幻影が見えた。 そして、そこに誘っている そう感じた。
どうして、そのような行動をしたのか? ミュースキャット麻子自身も解らない・ 何か? 運命の導き? だったのかも知れない。
車が止まると同時に、ドアを開け 傘もささず飛び出す。
そして、小走りに公園へと向かう。
車中から見た光景は、薄汚い身なりの母と娘。
何故か? 気になった。
壊れかかったベンチに座り ひどく苦しみながら咳き込む年老いた母の背中を必死にさする娘の姿であった。
2人の前に立つミュースキャット麻子。
突然現れたミューグロテノスに、怯えた表情を浮かべる母と娘。
この時より少し前からネクストノイドによる 改造を受ける事の出来ない ホモサピエンス・サピエス(旧人類)と蔑まされた階級の人狩りが、警察を中心に、日常堂々と行われていた。
ホモサピエンス・サピエス(旧人類)ハンティング。
2人共 額には、ネクストノイドの証であるネクスタルもなければ、改造待ちを示すIDカードすら持ち合わせていなかった。
後に、犯罪者になる・・・・ 犯罪者予備軍・・・・ こいつが犯人だ・・・、など証拠など何もいらない警官の主観による勝手な思い込みで、決めつければただそれだけでいい。
後で、証拠似なるような物を ねつ造、偽造するだけで良かった。 それすら必要としないケースの方が大半であったが。
全て 正義と平和の為と言う大義名分 そして輝ける進化したネクストノイド(新人類)を守る正義の行為。
改造も受けられない階級であるホモサピエンス・サピエス(旧人類)に対して、無制限に自由裁量が与えられていた。
何をしても自由 好きな時 好き放題 やりたい放題 殺しても 何ら罪すら問われない。 ただの害虫駆除。
それこそ 後に、犯罪者になる・・・・ こいつが犯人だ・・・、など無実の罪を着せ法に乗っり、処分した正義の行為・・・・
蔓延り出した時代であった。
怯えた表情でミュースキャット麻子を見つめる2人。
今この場で、害虫駆除の名目で殺される。
だが、ミュースキャット麻子の表情、態度 明らかに違っていた。
心から心配した表情で問いかける。
「どうされました?」
怯えながら答える娘。
「母が・・・ 母が・・・・ 突然苦しみだして・・・・・」
理由を聞くミュースキャット麻子。
娘は、怯えながらも ここまでのいきさつを語り出した。
親子3人で、つつましく平凡でありなかせらも幸せ日々を送っていた。
だが、あの日 そうA真理宗教による サリンを使った地下鉄内での無差別テロ。
その被害者が、父であった。
地下鉄の車両内で、眼の前で直撃を浴びたのだ。
意識が朦朧とする中 見知らぬ男性の肩で支えられ次の停車駅で下車するものの そこで力つき 肩で支えてくれた男性と共に帰らぬ人となった。
その男性こそが、何と運命のイタズラなのか? ミュースキャット麻子のフィアンセであった。
その後 母は、女手1つで、私を育てる為 早朝から深夜まで、バイト、パートを掛け持ちで、1日たりちも休まず必死に働いた。 だが時代は変わった。
ネクストノイドによる13日間戦争による勝利による社会変化 進化したネクストノイド(新人類)への改造を受けられる、公務員、企業などの組織に属する各種特権を持ち、所属する組織によって、手厚く守られた階層と、その家族のみ バイト、パートなどは、何ら守ってくれる組織などを持たない自営業者同様 進化する事の出来ないホモサピエンス・サピエス(旧人類)と蔑まされた階級に陥れらた。
そして、母は、今までの無理がたかり不治の病に侵されるも 治療を施してくれる病院、医者どころか、薬すら思うように手に入れる事が出来なかった。
思わず はっとした表情を浮かべるミュースキャット麻子。
あの世に旅立ったフィアンセの導きだと信じた。
今 目の前にいる2人を救えと・・・・
そして、眼の前にいる2人は、私同様苦しんでいる同じ被害者。
このまま何もしないで、放置するなど・・・・
「事情は、良くわかったわ」 そう言い終えると、ケータイ電話取り出す。

 ここは、ミュースキャット麻子などのアポリス最高級幹部などしか利用出来ないVIP専用の世界最高技術を誇る病院。
母親は、やはり末期の病気であった。 残された寿命は、後1年。
ネクストノイドへの改造を受けられれば完治するが、病気の進行と、体力面 何と言ってもDNA適正率が、母どころか、娘までも規定値に、遠く及ばない結果であった。
ネクストノイドへの改造不可能。
残酷な結果に、涙ぐむ母 自分自身の生命などどうでも良かった、せめて娘だけでもネクストノイドへの改造を・・・・ が、切なる願いであった。
ほぼ無一文であった母娘に変わり 入院中の費用から生活費まで全てミュースキャット麻子が面倒をみた。
母親の病状が安定すると、今度は、2人を自らの屋敷に迎え入れた。
ミュースキャット麻子は、何と言ってもアポリス最高幹部 あのアピリム直属の親衛隊の副隊長にして、敵には、恐れられているパーサーカー5(ファイブ)の一員。
目も眩む高給取りであったが、意外と質素な生活であった。
寄与された大邸宅に、1人住まいで、使用人などもいない。
空き部屋など多数有 母親の状態を考慮して、1階の南向きの大きな部屋に、2人を住まわせた。
あの2人は、ミュースキャット麻子と同じ苦しみを共有する被害者 どうしても他っておく事が出来なかった。
A真理宗教の信者全員を皆殺しするばかりが、復讐ではない・・・・
2人は、ここまでしてくれた恩に、少しでも報いおうと、大邸宅の掃除からミュースキャット麻子の身の回りの世話をした。
だが、ミュースキャット麻子は、2人に対して、決して使用人などと見下した態度を取らなかった。
「あなた達2人は、私の大事な家族・・・・」 が口癖。
そして、1年後 その母親は、病死した。
娘は、母の死後も 今までの頂いてき返しきれない恩を少しでも返済しようと、常に、ミュースキャット麻子の傍で、いつも世話をしていた。
「母と、私を救って下さった最大の この生命を捧げても返しきれない恩人」
「あなた様が神々の敵だと言うネクストノイドである麻子様をその手にかけるならば、先に、この私を殺してから その屍を踏み越えからにしてください。 私は、あなた様と同じ、ネクストノイドへの改造さえ DNA適正率が、低い為 受ける事も出来ない 卑しい進化する事も出来ないと蔑まされているホモサピエンス・サピエンス(旧人類)です」
両手を大きく広げ 立ちはだかる優子 その表情、発する言葉、態度 全くの1点の曇りさえない。 強い 何ものにも屈しない決意が現れていた。
「さあー 私を先に殺しなさい」

 動きが止まり躊躇するG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) さすがのピエールも眼の前に立ちはだかる女性を殺す事をためらう。
悪魔に魂を売った者を庇う者 唯一絶対の正義である神々の敵 ためらう必要などないはず。
宗教と言う非常に閉ざされた極めて単純明快、勧善懲悪の世界を 何ら疑問も持たず無心に信仰する。
唯一絶対の正義である神々に教えに反する決して許す事の出来ない愚かな行為。
どうして、ここまでにして唯一絶対の正義である神々の声、教えに耳を傾けず 反逆するのか?
眼の前に立ちはだかる優子と呼ばれる女性 今 止めを刺そうとするミュースキャット麻子 何と言ってもかっての同志であり 今 ここパルマゲドンの丘の別の場所で、ネクストノイドとの戦闘中であり ピエールとは、正反対の無神論者である 浩司さん・・・ ピエールには、決して理解出来ない考えの持ち主達。
だか、立ち止まっていられない 例え敵が、女、子供であろうと、唯一絶対の正義である神々の声、教えに耳を傾けず 反逆する者は、唯一絶対の悪でしかない。
神々の御手に帰し裁きを受けさせる存在。
意を決するピエール。
「どかぬなら排除するのみ」 そう言いながら 優子を右手1本で持ち上げる。
BP(バトルプロテクター)の数倍の大きさ その秘めたパワーもケタ違い。
まるで、重さすら感じさせない。 簡単に持ち上げ横へと投げ飛ばす。
かなり手加減したのだろう 少し離れ場所にお尻から落下 下は砂である衝撃をほぼ吸収しダメージはほとんどない。
「さあー Miss麻子 今 神々の御手に帰り 正義の裁きを受けるが良い」
左腕をドリルに変形 高い金属音を上げ鋭く回転させる。
砂の上に、仰向けに倒れ ほとんど動く事の出来ないミュースキャット麻子の額のネクスタルに向け振り下ろす。
その瞬間 何がまたも立ちはだかる。
優子であった。
ダメージが、ほとんどなく直ぐに立ち上がり身体を呈してミュースキャット麻子を守る。
鋭く回転する巨大な左腕のドリルは、立ちはだかった優子の胸を貫く。
「優子ちゃーんー!!!」
絶叫にも似たミュースキャット麻子の悲鳴が響く。
周囲に温かい鮮血が飛び散る。
ミュースキャット麻子の身体にも大量に落ちてくる。
優子の血を浴びたミュースキャット麻子。
止めようのない強い怒りが、全てを支配する。
強い怒りに身体が震える。
同時に、今まで感じた事の無い強いエネルギーの流が、額のネクスタルを通じて全身を駆け巡る。
"Absolute Area( 絶対領域)"
"Absolute Area( 絶対領域)については、薄々知っていた。 ハイパーグロテノス巨大なパワーを生み出す領域 他だしそこに行くと、何ら意志を持たないはずのネクスタルが、突然 覚醒 自ら意志を持ち 身体を乗っ取る・・・・
だが、別の新たな意思を感じない。 麻子は、麻子のまま。
これは、"Absolute Area( 絶対領域)ではなかった。
残っていた全てのエネルギーが、強い怒りにコントロールを失い 全身に流れただけであった。
だが、そのお蔭で、ほとんど動かなくなった身体が、少しは動く。
「お願い・・・」 今は亡きフィアンセの名前を心の中で叫ぶミュースキャット麻子。 「私に・・・・ 私に、最後の力を・・・・」 無意識に、自然と、左手で、あの時お揃いで買った 今は1番大事な形見となっているハートのペンダントを握りしめる。

 優子の胸を貫いたドリルを抜き 優子の死体を投げ捨てる。
「バカな女だ」 はき捨てるG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
再度 ミュースキャット麻子のの額のネクスタルに向け左腕のドリルを振り下ろす。
しかし貫いたのミュースキャット麻子の幻影。
実体は、既にそこにない。
そのまま少し砂を掘る。
周囲に張り巡らす高感度センサーが、ミュースキャット麻子の身体を瞬時に捉える。
上。
「これでお終いですわ ピエール神父様」
ミュースキャット麻子の声が、上から響く。
全てのエネルギーを放出 自爆攻撃。
上から襲い掛かるミュースキャット麻子。
優子が、まるで、ゴミクズ以下の扱いで殺された。
その怒りが、ミュースキュット麻子に、最後の力を与えていた。
最後の一撃・・・・・
だが、無情にも届かない。
数倍の巨大な大きさを持つG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター) 動きも俊敏 左腕のドリルは、正確に額のネクスタルを 貫く。
その瞬間 ミュースキャット麻子の小さな声が、漏れた。
だれにも聞く事の出来ない小さな声。
多分 永遠の愛を誓った今は亡きフィアンセの名前であったのだろうか・・・・・?
突き抜かれるその瞬間 僅かな時間 ほんの一瞬であったはずなのに、ミュースキャット麻子には、長く感じられた。
左手には、胸に飾られたハート型のシルバーのペンダントを きっく握りしめていた。
そう結婚を誓い合った日 2人で買ったお揃いのペンダント。
脳裏には、あの日 そう今は亡きフィアンセにプロポーズされ 「イエス」と、少しはみかみながらも小さく一言答え あの幸福感に包まれたあの瞬間の出来事が、蘇っていた。
人生最良の瞬間・・・・
そして、永遠の愛の誓いに、今は亡きフィアンセに送ったあの言葉 純愛の言葉、
ジャワハルラール・ネール元インド首相が、娘に贈った 娘への手紙の有名な1節。
(『父が子に語る世界歴史』より) (娘=インディラ・ガンジー元インド首相 1984年10月31日 テロリスト SE宗教の2人の警護警官により暗殺)

 「愛は平和ではない。 愛は戦いである。 武器のかわりが誠実(まこと)であるだけで、それは地上における もっともはげしい、きびしい 自らを捨ててかからねばならない戦いである。 我が子(娘)よ このことを覚えておきなさい」

 眼の前 そう何もかも包み込む暖かく光輝く世界 その中心には、まるで全身を包み込むオーラが暖かく薄い黄金色(こがねいろ)のオーラに包まれた やさしく微笑む今は亡きフィアンセの姿。
「もう十分だよ 君は、十分に苦しんだ。 もう苦しまなくていい・・・ さあー ここへおいで・・・・」 そう誘っている。
やさしく微笑み右手を差し出す。
思わず差し出された両手を 包み込む様両手で握る。 ずーと待ち焦がれていた この暖かさ・・・・ 思わず両目を閉じ 思わずやさしい笑顔が漏れる。 もう忘れていた? いや永遠に失ったと思っていた あの頃の笑顔。
そのフィアンセのいる 何かも そう全てを包み込むあの温かい光に包まれた世界へ・・・・・

 額のネクスタルを貫かれると同時に、自爆。
眩いばかりの怪光と共に、爆炎が、G,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)を包み込む。
直ぐに収まると同時に、そこには、掠り傷1つ負わず、何事もないよう不敵な態度で立ち尽くすG,G,P(グレート・ゴット・プロテクター)。
次のターゲット(獲物)に狙いを定める様 ある一点を見据える。
そこは、少し離れた場所に陣取る 先程まで戦闘をしていたデューク率いる部隊 その中心にいるデューク。
だが、どうも次のターゲット(獲物)は、デュークではない。
デュークの隣にいつの間にか来ていた もう1体のデストロ 8大将軍デストロの中心である あのギルであった。
どうやら 次のターゲット(獲物)は、ギルに狙いを定めた様子であった。
両目の電子アイが、不気味な光を発する。




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