LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)

 第4章 決戦 Part3


 同時刻 キャラン(浩司)の動きに合わせるかのように、世界各地で、一斉に、進化出来ない旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)と蔑まされ差別されてきた人々が、自らを守る為の自衛組織であったが、所詮烏合の衆の弱小勢力であり 互いの連結に欠けて反乱勢力が、一斉に立ちあがり 世界各地で、反乱、暴動を起こした。
あらゆる差別を受け虐げられてきた人々である。
この時期 世界各地で続発する各天地異変の数々、巨大地震、突然の火山の大爆発、カテゴリー5を超える壊滅的破壊力を持つ巨大ハリケーン(台風)・・・・ あらゆる天地異変の数々、それに合わせるかのように、新型猛毒性、致死性の高い各種新型最強とも呼べる決して1種だけではない多数のウイルスの蔓延・・・・など。
それらにより 自らを進化した新人類 ネクストノイドと呼び、各種恵まれた特権と、手厚い保障と、保護下の恩恵を甘受する特定の特権支配者階級に対して、日頃の鬱積した不平不満が遂に頂点に達し爆発暴動となった。
最初は、小さな暴動であったが、瞬時に世界中に広がり大規模暴動へと発展 まだ破壊を逃れていたアポリスの重要拠点施設へ殺到 そこを警備する手薄となっていた警備兵との戦闘状態に突入。
数の上では、まだ圧倒的多数である旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)。
その中心となっていたのが、ネクストノイドへの改造を受ける権利すら持たない 進化も出来ない劣等ホモサピエンス。サピエンス(旧人類)として、社会の最下層に落とし込まれあらゆる差別、弾圧などを受け 社会のあらゆる不平不満のガス抜き、ハケ口として利用されて続けてきた自営業者、農民、漁民などであり ネクストノイドへの改造の権利こそ有していたが、後回しにされ続けていた零細規模のサラリーマン層などであった。
宇宙からの光線 エネルギー兵器(キャラン(浩司)の命令によりスーパーステルス製 スパイ及び、攻撃用人工衛星ポッパーからのブラスター砲による攻撃であったが、その事実を全く知らない)による攻撃 主だったアポリスの戦略上重要拠点施設の破壊を 天からの啓示と受け取ったのかも知れない それがきっかけになった。
実は、裏で扇動したのは、ピエール率いる神々の正義軍であった。
遂に、浩司と、アピリム率いる現在のこの地球を支配するアポリスが、全面正面対決の極秘情報を入手 場所は、ピエールの信じるC宗教の旧約聖書に記されている 人類最終戦争が行われると言われる 神々と、悪魔の最終戦争の地とも言われる ハルマゲドンの丘。
これを千載一遇のチャンスと見た。
まさに絶好の好タイミング。
両者が、全面対決すれば、互いに無傷では終わらない。 必ず疲弊する。
このチャンスを生かし漁夫の利を得る。
疲弊した両者を倒し 自ら信仰するC宗教の神々と、その子である大工の息子Yなどのメシア(救世主)、預言者を頂点とした来たるべきミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)を実現させる。
ピエールの命令を受け、各地に散らばるアポリスの敵対、反乱勢力とコンタクト タイミングを合わせ世界各地で暴動を起こし 後方を攪乱させる。
一見すると、浩司を後方からバックアップしているようであったが、実は、ピエールには、ある秘策があった。
自らこそ大工の息子Yなどのメシア(救世主)、預言者と同列の 現在に蘇ったメシア(救世主)であり、預言者であると言う事を世界にアピールし世界の全ての人々に認めさせる。
それに何よりも周囲 つまり地球を取り巻く環境も好都合であった。
まさに、ピエールが信仰するC宗教の経典である旧、新両約聖書に記術されていると言う預言 人類の滅亡を描いているとされる滅びの日 アポカリプス(黙示録)が、まさに現在進行形で起こっていた。
世界各地で続発する各天地異変の数々、巨大地震、突然の火山の大爆発、カテゴリー5を超える壊滅的破壊力を持つ巨大ハリケーン(台風)・・・・ あらゆる天地異変の数々、それに合わせるかのように、新型猛毒性、致死性の高い各種新型最強とも呼べるウイルスの蔓延・・・・など まさに記述通り。
だれもが、人類の滅亡の日が迫っていると思わせる状況であった。
こう言うパニック的状況に陥ると、まともな判断が出来ない人々が続出する。
自らの生存と保身・・・ それ以外考えられなくなると人々が多数現れる。
他人を犠牲など問わない 自ら生き残れれば・・・
そう言う時 人々が求める者は、メシア まさに救世主。
自らの苦しみ困難などに直面した場合 自分に代わってだれが、代わりに全てを解決してくれる存在を・・・・
自らの努力での解決を怠り 全て他人任せの他力本願。
どこやらの親方日の丸、会社と良く似た構造。
こう言う状況下で、まともに判断出来なくなった人々の望む存在として、ピエールは、自らの存在をアピールした。
「・・・・破滅の日は、近い 神々を信じる者は救われる・・・・」 「これこそは、天からの啓示・・・・」などの、古今東西 飽きもせず、数千年の長きに渡って使い古されたワンパターン(効果てきめんではあるが…・)の常套文句を巧言令色、美辞麗句で、言葉を美しく並び立て、まともに判断出来なくなった人々を 聖書、経典などと言う物の中と言う極めて視野の狭い極小の世界 まさに、量子論で許されるこれ以上分割出来ない最少範囲の量子単位以下 10-44{10の-(マイナス)44乗よりも更に極小の閉ざされた世界でしか、物事を判断出来なくなってしまうように、完全なマインドコントロール(洗脳)の支配下に置かれた人々を。 
「神々を信じる者は救われる・・・・」
最も良く使われる暗示のキーワードの1つ。
それにより自由な思考、行動などに制限を課してしまう。
何もかも画一化された まるで昔なつかしい金太郎飴のような 全ての思考が画一化された まさに、統一された精神体の1部となり 全く同じように考え 同じように感じ 同じ価値観を持つ・・・・
同一としか言いようのない人々が、急激に、大増殖し始めていた。
だれもが、大災害に怯え、自らのみが生き残りたいが為に、存在すらしないものに、縋ろうとしていた。
そこを 言葉巧みにピエールは利用し 新たな信者と言うの名のピエールの命令に、何も疑問も持たず、絶対服従するマリオネット(操り人形)を増やし 勢力の急速な拡大を図ってきた。
数こそ最大の武器。
平時の平和な時代ならば、こんなにうまく行くはずがなかった。
だが、現在は、人類と言う種が、この地球上で誕生して以来初めてと思われる世紀末を思わせる天地異変の数々。
この状況が、ピエールに取って追い風・・・・ いや最大限に利用出来る状況を生み出していた。 歴史は、ピエールの望む方向へと、動き出している・・・・ そう感じられていた。

 ピエールの野望実現の為の 偶然のアシストとなるべき後方の攪乱 キャラン(浩司)に取って、少しでも有利に利用しなければならないはずだが、生かせない・・・・
キャラン(浩司)に取って、この状況は、希望的観測であって、自ら描いていた戦術の1つではなかった。
望んでこそいたが・・・・
まさに計算外・・・・ の一言。
これを行うと、後始末 つまり反乱、暴動を抑えるのが大変になる。
1度コントロールを失い無秩序を生み出すと、新たな秩序を構築するのに、それ以上に大量の流血を伴い 力による平定しか方法が残されていない。
リスクが大きい。
その為あえてこの戦法を選択から外していた。
後方の攪乱は、ゲリラ戦術における常套手段でもあるにも関わらず。
親友の川村が生きていれば、小規模であるが、効果的な後方の攪乱を行ったかもしれないが・・・・
だがまさかこのタイミングで、ピエールが動くとは思ってもいなかった。 それも後方を攪乱する戦術も・・・・
派手なパフォーマンスばかりを繰り返すピエールである。
この手を打ってくるとは、考えていないだろうと予想していた。
だが、この時点 キャラン(浩司)は、地球上の拠点となる複数の地域で、ピエールの鼓動された人々が、大規模で反乱、暴動を起こしたとは知らなかった。
もし知っていたならば、戦術の変更を考えなければならなかったかも知れない。
キャラン(浩司)と言え万能ではない。 今目の前の戦闘に集中すべき時 いち早くノルンは、ホッパーからの偵察画像で、世界各地で、同時に反乱、暴動が起きた事をいち早くキャッチとていたが、この情報を マスターであるキャラン(浩司)に伝えなかった。
今 不要な情報を伝え集中力を乱すタイミングではない・・・・ と判断した。
「マスター 何をぼーっとされているのですか? 動きが止まり危険です」
ノルンからのテレパシーが脳裏に響く。
思考、感情を持つレグのオーバーテクノロジーの最高傑作とも言えるスーバーコンピューター テレパシーによる声であったが、かなり焦っている声であった。
無防備に、周囲の自ら起した惨状を見つめていたキャラン(浩司) その声に余り反応しない。
今 この情報を伝えれば、集中力を削がれ 更に動きが悪くなると判断した。
同時に、複数を思考しながらの戦闘は不可能。
今 そのタイミングではない。

 キャラン(浩司)のここまでの戦い方は、主に、ゲリラ戦術のヒット&ウエー(一撃離脱)戦法を多用してきた。
出来る限り余分と思える戦闘を極力避け 本来の目的を達すると、直ぐに撤収していた。
余りの惨い、残忍の戦場 グロテノスの死体の散乱、精神衛生上耐えられるものではない。
余り見ない様にする為でもある。
本来 残っているグロテノスの掃討作戦を行い 敵兵力を削除しなければならない時でさえ撤収していた。
その為 敵アポリスでは、キャラン(浩司)には、目的となる戦略はなく、戦術的勝利を積み重ねる事で、戦略的価値を見出そうとしているのではないか? と言う疑念も持たれた。
拠点を持たず・・・・ いやどこかに拠点があるはずだが、見つける事が出来ず。
神出鬼没に現れ 目的を達した思えば、残りの残存戦力に対して、掃討作戦を行わず、まるで蜃気楼に様に姿を眩ます。
その点7についてギルは、キャラン(浩司)の本来の性格 非常に徹し切れず、修羅の掟の支配する世界の不向きなタイプ 精神構造の脆弱性、覚悟の不徹底・・・ など 本来の反戦主義・・・・・
そう分析していた。
その点に関しては、ギルの情報分析は、的を得ていた。
興味こそあるが、当事者としてではなく第3者・・・・ つまり傍観者でいたい・・・・
大半の人々がそうであるように・・・・
元々社会的集団行動に馴染めない1匹狼 ピエールと違い 自ら先頭に立ち周囲を強引にでも引っ張るリーダーシップに欠けている・・・ など。
その為 自ら先頭に立ち組織的勢力を築き上げ抵抗するのではなく、無謀と思える いやそれ以前の たった1人で、反旗を翻し戦いを挑んできた。

 動きが、突然止まったキャラン(浩司)。
周囲に展開する多数のグロテノス 止まった動きの真意を測りかねていた。
何かの罠? 策?
だが、顔色 血色が良くない。 多数の自ら切り刻んだグロテノスの無残な死体に怯えいる。
そう見受けられた。
だが、これはただの演技? と言う疑念が同時に浮かぶ。
あれだけのグロテノスを一瞬にして切り刻む驚異の戦闘能力。
普通 考えられない。
静寂が訪れた様な間が生まれていた。
その時 8大将軍 デストロの1体ギルからのテレパシーによる指令が飛ぶ。
「何をグズグズしておるか!! 今がチャンス 一斉に総攻撃をかけろ!!」
そのテレパシーによる声に反応 テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)で、意識を奪われ マリオネット(操り人形)化したグロテノス。
中、長距離砲の持つグロテノスからの一斉射撃が始まった。
その動きにようやく気付いたキャラン(浩司)。
だが、僅かな遅れの為 逃げる事は不可能 一瞬バリヤーを張るタイミングも遅れが生じた。
数発のエネルギー弾などの直撃を喰らい その威力までは、防ぐ事が出来ず そのまま後方に弾き飛ばされ 地面に叩きつけられる。
身体全体から発するレジェンスのエネルギーが、もう1つのバリヤーの役割の果たしているお蔭で、傷こそないが、ダメージを受けた。
少しよろめきながら立ち上がるキャラン(浩司)。
その様子 地球衛星軌道上の複数のホッパーからの監視画像で見ていたノルンが、マスターであるキャラン(浩司)の命令に背いた。
マスターの危機。
地球衛星軌道上に待機するホッパーに攻撃指令を下す。
ホッパーから細長い銃身が何本の砲門がせり出す。
高出力型 高い指向性を持つ不可視帯域のコヒーレント光 つまりレザー光線の1種 ただし威力はケタ違い。
キャラン(浩司)を取り巻く多数のグロテノスにターゲットを定めロックオン ロックオンと同時に、一斉射撃を開始した。
地球衛星軌道上の複数のポイントから同時に、高い指向性を持つ不可視帯域のコヒーレント光 つまりレザー光線が、地球上の1点に向け 光速の光の直線となり突き刺さる。
頭上からの突然の襲い掛かる光速の光の直線 ターゲットとしてロックオンされたグロテノス 頭上で何か光った? と思った時点 もう終わりであった。
正確無比のピンポイント。
相手は、光速 秒速約30万km/sec(秒) 危険を察知し逃げるなど不可能。
そのまま頭上からの光の直線は、身体は、真っ直ぐ貫き地面に突き刺さる。
数十体を超えるグロテノスが、第1弾の餌食となる。
続けざま第2波がグロテノスを襲う。
次々と倒されるグロテノス。
もうこれは、戦闘と呼べるものではない。
ただの一方的ジェノサイド(虐殺)。
そこはただのキリング・フィールド(The Killing Fields) 殺戮の地。
制空権・・・・ いや更に上空の制宙権を握った方が、戦いを有利に進められる要因の1つであるのだが・・・・その為 戦闘開始と同時に、制宙権をキャラン(浩司)は、いち早く確保に乗り出した。
だが、この作戦は、Take3であった。
まだこの手を打つのは時期尚早であった。
この手を使えば、一方的とも思えるジェノサイド(虐殺)になるのが、見えていた。
その為 キャラン(浩司)は、プラン(作戦)の1つとして考えていたが、余り用いるのに、躊躇(ためら)っていた。
戦場ではなく、悲惨な まるで核攻撃を喰らった様な凄惨な惨状になる。
はたして理性が保っていられるのか?
数少ない対策方法の1つ・・・・ それは・・・・
「人としての心を殺す・・・・」
全てを大義だ・・・ などと言うものに責任転換し 自らの意思ではなく仕方ないなどとしてしまい 自らの心を守る・・・・
だが、それてはある面で、現状のネクストノイド及び、ピエール率いる 神々の正義軍など呼称する 新たな生体兵器バトロイドと同じ・・・・
1部上位の者によるテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)により 自らの意思ではなくただ操られている 心、自由な意志を持たないマリオネット(操り人形)と同じ。
自らの意思の放棄。
「・・・・や・・・・止めろー ノルン!!」 キャラン(浩司)の悲痛のテレパシー。
「はい 解かりました・・・・・」 少し消沈気味のノルンからのテレパシーが響く。
マスターであるキャラン(浩司)の危機的状況に、ノルンは、独自の判断で、援護に回った。
このままでは、マスターが危ない。
全てマスターの身体の安全が最優先事項 その為あえて命令を受ける前に、独自判断で、Take3を発動させ 援護に回った。
だが、マスターであるキャラン(浩司)の現状における深層心理を読む事などは出来ない。
「俺が命令するまで待機と伝えたはずだ!!」 かなり怒りが感じられる。
「申し訳ありません・・・・」 消沈のノルン。
マスター為 マスターの身体の安全ょ最優先事項・・・・
「もう いい 今後 俺の命令があるまで動くな」

 この様子を本陣の巨大マルチモニターで見ていた アボリス最高位のアピリムを筆頭とした幹部連 思わず言葉を失くした。
間違いなく宇宙 多分地球衛星軌道上からの 未知のエネルギー光線 今 地球衛星軌道上には、アポリスの人工衛星は、全て破壊されおり 地球上の宇宙監視レーダーサイトも全て破壊されている 確認が出来ない。 やはりキャラン(浩司)のバックには、かって我々人類が神々などと呼んだエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)以外の まだ知られていないEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)との何らかの協定、密約など結びその支援を得ているのか?
規模は不明だが、ある一定数の宇宙艦隊が、地球衛星軌道上に待機 キャラン(浩司)の対地支援を行っている。
それも手の届かない地球衛星軌道上から・・・・
またも先程の疑念が持ち上がる。
だが、アピリムは、顔色1つ変えていない 眼を閉じ何か感覚だけで探っている。
そして落着きを払い余裕の表情すら浮かべている。
エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が創り出した最強の生体兵器 本来持つ戦闘能力は、多分本人以外だれも知らない。
今 アピリム本人は、光センサーにも似た研ぎ澄まされた超感覚を この地球衛星軌道上に解き放ち何かを探っていた。
そして何かを感じ取った。
「ふん 小賢しいマネを・・・・・」 小さく独り言を呟く。
そう眼にも見えず 各種センサーにも反応しない スーパーステルス製の人工衛星ホッパーの存在を アピリムの持つ超感覚だけで、正確の位置までも。
まさに王者の風格を漂わせ ゆっくりと玉座が立ち上がると、そのまま1人何も設置されていない場所へ移動する。
後に従う親衛隊に離れるよう指示を出す。
眼を閉じ両手を少し広げる。 同時にゴールドに輝く額のネクスタルが、燦然と強い光を放ちアピリムの周囲を丁度タマゴの殻の様に包み込む。
今度は、閉じていた両目を大きく見開き 研ぎ澄まされた超感覚で確認した場所へ身体周囲を取り囲むゴールドに光り輝くエネルギーを解き放つ。
ゴールドに光り輝くエネルギーは、光速のエネルギービームとなり 地球衛星軌道上の数カ所を貫く。
同時に、数カ所で大きな爆発が起こる。
予備機を除く 地球衛星軌道上の全てのスーパーステルス製の人工衛星ホッパーを撃破。
「ふん 下らぬ子細工・・・・・」 少し憮然とした表情で言い放つアピリム。
アピリムだけが持つ特殊戦闘能力の1つ
自身の全ての感覚をある一定距離ではあるが、広げる事が感知する事が出来る。
その感覚により 眼にも見えず、レーダーなどの各種センサーにも反応しない レグの驚異のオーバーテクノロジーの1つ スーパーステルス製の人工衛星ホッパーを捕捉 そのポイントへ自身ま長距離エネルギービームを発射 全て撃破。
これで、制宙権を振出に戻った。
現在 多数の飛行能力を持つアポリスが、またも制空権を確保する。

 「マスター・・・・・」 慌てた声のテレパシーが届く。
ノルンからである。
地球衛星軌道上に戦闘配置していたスーパーステルス製の人工衛星ホッパーからの反応が、全てブラックアウト つまり沈黙した。
何かの強力なエネルギー反応を 地球上から感知したと同時に、ホッパーからの反応が消えた。 つまり別の場所で待機している予備機を除く、全ホッパーが跡形もなく撃墜・・・・ いや破壊、消滅させられた。
バリヤー機能は搭載されていないが、有害な宇宙空間 各種放射線、太陽フレアー、ヘリオス、小さなスペースデブリ等・・・・などから衛星本体を守る為 外販はかなりの強度を誇り 少々の物理的攻撃 レーザー光線などのエネルギービームなど耐えられる強度であった。
それが、瞬時に跡形もなく消滅させる程の強力なエネルギービームの直撃 それも同時に10カ所を超えるポイントを攻撃された。
さすがのノルンも驚愕を禁じ得ない。
だが、落ち着いた口調で、キャラン(浩司)は、テレパシーで返答する。
「慌てるな この程度の損失・・・・」
自ら言い聞かす様に・・・・
頼みの綱とも言える制宙権を失った。
だが、まだ3機の予備機がある。
とにかくバックアップ・・・・ 地球衛星軌道上からの監視は、絶対必要。
「ノルン」
「はい マスター」
「予備機の投入を」
「はい」
「他だし 地上のモニター以外 攻撃は、命令があるまで禁止 それと・・・・」
「何でしょうか?」
「どうも 宇宙・・・・ つまり 太陽系外が何故だか気になる 全天も監視してくれ」
「ラジャー(了解)」
先程から漠然としていたが、何かとてつもない強いエネルギーを 太陽系外から感じていた。
良く解らない ただ 同じレジェンスのエネルギー・・・・・
確か? ノルンの話では、レジェンスは、2つあり 1つは、今 融合しているホワイトレジェンと、もう1つは、ブラックレジェンと呼ばれる・・・・
量子論上の無の状態から宇宙は、突然誕生する。
レジェンスは、その無の状態から無の状態を生み出し 2つに分離した無の状態 超対称性理論を用いれば、全く異なった性質 つまり正反対の性質を持つ無。
光と闇、上と下、右と左、前と後ろ・・・・・など 1つの物が生まれる時 全くその正反対も同時に誕生する。
互いに共鳴しているのだろうか・・・・・
今 そんな事 考えても仕方ないなあー
どこか引っかかっていた。

 虎の子とも言える唯一の支援兵器を失ったキャラン(浩司)。
ようやく平常心を取り戻し 周囲を取り囲む多数グロテノスと、たった1人での戦闘を繰り広げていた。
アピリムがいる本陣の方向から強いエネルギーを感じると共に、ゴールドに光り輝く強いエネルギーを目撃 同時に複数の光のビームが上空へと、光速で伸びて行くのを確認 同時に、上空で、何かが爆発するのを目撃する。
「やられたかー・・・・・」 内心呟く。
だが、表情1つ変えない。
だが内心 少々驚いていた。
「ここまでのポテンシャル・・・ 本来持つ戦闘能力の1部か・・・・」 内心 少し苦虫を潰す。
実は、ここまでの戦闘能力を持つとは思っていなかった。
近接戦、白兵戦をメインにしたモデルだと思っていた。
自らの意識、感覚を広げ ある一定範囲だが、眼にも見えず 各種センサーにも反応しない スーパーステルス製の人工衛星ホッパーの正確な位置まで、意識、感覚だけで、正確に掴む特殊能力まで持ち合わせているとは、想像していなかった。
エルと呼ばれる かって我々人類が、神々などと呼称したEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の作り出した 最高傑作の最強汎用ユニバーサル生体兵器 本来持つ戦闘スペックは、底知れない・・・・
「前回 初対決の時 倒しておけば・・・・」 悔やんでも後の祭り。
前回 初対決の時 最大限の戦闘形態スタイル まだ見ていないが、変身前の段階であったが、後1歩の所まで追い詰めた だが横槍が入り取り逃がしていた。
今にして思えば、後悔先に立たず・・・・ である。
倒せる時に倒しておかねば 後々後顧の憂(うれ)いとなる。
自ら招いた結果でもある。
「少々の戦術的敗北など、戦略的勝利を収めれば取るに足りない・・・・・」 内心 自らに言い聞かす。
「戦略的勝利を収める事が出来ればだが・・・・」 皮肉まじりに思った。
「それ以前の問題かなあー」 現状置かれている立場を思った。
だが失った物を取り戻す事は出来ない。
今 持ちうる全てを利用し戦闘を継続するしかない。
物量、補給・・・・・ つまり継戦能力・・・・ 改めて戦略の基本を思い知らされる。

 「それにしても減らないなあー・・・・」 かなりのグロテノスを倒した だが、一向に減りめがついた感じがしない。
無限の補給能力がある・・・・ そう錯覚しそうな気分になる。
一気なレジェンスの大技を使い 大量殺傷の甘美な誘惑に誘われる。
だがそれは出来ない。
確かに考えは劇甘 だが、必要以上の殺傷は避けたい。

 思うように、本来持つ戦闘能力を発揮せず、小手先だけで、戦闘を続けるキャラン(浩司)を モニター画面に注視していたギルは思った。
「やはり予想通り・・・・」 内心呟く。
先程の 突如茫然自失となったケース その後 押され気味に戦闘を続けている。
虎の子とも言える ステルス兵器を失う・・・・
元々戦闘 つまり修羅の掟の支配する非情の世界である戦闘に不向き 元来 反戦主義者 極度の戦争嫌い・・・・・
肉体面では、無限のエネルギーを誇るレジェンスと呼ばれる 未知のポテンシャルエネルギーの融合者 だが、その精神面は、全く異なっている。
ここまでの戦闘で、肉体面での疲労がなくとも 精神面での疲労がかなり蓄積されてきているはず・・・・
それが今の緩慢な動き・・・・・
まず、ここが最初に仕掛ける場面・・・・・
ここで、手持ち戦力で、強い相手をぶつけ 更に追い込む・・・・
この日 この時の為に開発した最新鋭のハイバーグロテノスMark3を投入する場面。
対エネルギー弾などの技に特化したカウンター兵器 さあどうでるキャラン(浩司)。
ギルは、内心細く微笑みながら 眼の前の玉座に座り ネニター画面の戦闘を不敵な笑みで注視するアピリムに上申する。
「アピリム様 ここは、例の対キャラン(浩司)用に開発した最新の部隊を投入する場面かと・・・・」
「うん そうだな この場面で使用するのも面白いかも知れぬ」 同意するアピリム

 キャラン(浩司)の周囲を取り囲み 隙の無い波状攻撃を繰り返してきた複数のグロテノスの部隊が、互いに連携しつつも後退を開始する。
その動きに気付くキャラン(浩司)。
ここまで余り見せていない上空からの支援を得た攻撃に切り替わるのか?
先程まで所持していた制空権・・・・ いや更に上空の地球衛星軌道上からの攻撃する制宙権を アピリムに破壊されてしまった。
今は、有利な上空からの攻撃は、アポリス側に奪い返させてしまった。
ここで、上空からの支援を得た攻撃を行われる結構しんどくなる。
上空の飛行タイプのグロテノスを倒さなければならないが、上空へ飛行すれば、今度は、地上からのエネルギービームを砲を持つグロテノスの格好のターゲット。
そろそろレジェンスのエネルギーを利用した技を使う場面に差し掛かってきたのかも知れない・・・・ だが、コントロール不能のハードウエアー 出来れば使用は・・・・ 対デストロ、アピリム戦まで使いたくない。

 キャラン(浩司)の予想通り 所空に数個部隊の飛行タイプのグロテノスが現れた。
上空からの攻撃で、キャラン(浩司)の動きに制約を加える意図がはっきりしている。
本命は、地上部隊。
現れたのは、キャラン(浩司)の記憶にも、アポリスのコンピュターからのハッキングしたデータにもない新手の新型グロテノス・・・・いやグロテノスの改造ハイパー化した ハイパーグロテノスの集団 5体。
外観には、前似たタイプのハイパーグロテノスとの対決があった。
そう あの地球上最強の生物クマムシをベースにしたモデル ハイパークマンガー。
どうやら その新型改良タイプであるらしい。
最新の第3世代のハイパークマンガーMark3。
Mark2は、も開発段階で失敗 その問題点を新たな技術で克服した最新最強のハパーグロテノスであった。
対キャラン(浩司)用決戦生体兵器第1弾でもあった。
「上空からの支援付きで、5体同時に相手・・・・ 結構きついなあー」 内心呟くキャラン(浩司) 両手に握る高周波セイバーのグリッフを握る手に少し力が入る。
「確か前回の対決 まだプロトタイプ(試作型)で、スピードと、攻撃は、俺が放つマグナムアタックなどのエネルギー弾に対して、瞬時に身体をミラーコーティングしカウンター攻撃を得意としたバックファイヤーだったなあー、それにあのミラーコーティング耐久性に優れ 44HPマグナム弾は、弾かれたし それに、こちらの放つエネルギー弾のエネルギーを蓄積してのバックファイヤー 確か、エネルギー貯蔵のキャパシティの限界を超え 自爆はたはずだが・・・・・」 前回の対決を思い出すキャラン(浩司)。
「多分 間違いなく 前回の欠点 大幅改良が施されているはず・・・・」
冷静に、相手 ハイパークマンガーが、ゆっくりと周囲を展開をはじめのを見ながら思った。
「上空には 多数の飛行タイプのグロテノス 地上は、5体だが、最強のハイパーグロテノスの1種 ハイパークマンガー・・・・」
「まずは、上空の飛行タイプのグロテノスを片付け それから地上のハイパークマンガーか・・・・」
一応 戦闘シュミレーションを模索する。
上空を抑えられていると、戦闘に不利 最初に片付けるのが鉄則。
「仕方ないなあー」 内心呟きながら 高周波セイバーを 左手1本にし 同時に、今まで以上に、レジェンスのエネルギーを高める。
スピード重視の戦闘であった為 最低レベルに近いエネルギー量で戦闘を行ってきた。
だがここからは、少々エネルギー弾などのレジェンスの技が必要になる。
その為 エネルギー量を高める必要があった。
だが、高めると同時に、よりコントロールが不安定になる欠点もある。
今までは、まかりなりにも安定していたが、ここからは、はたしてどうか?
少し不安な気持ちが過る。
融合した最初の頃にあった 完全にコントロールを失い暴走・・・・・
暴走・・・・嫌な2文字が脳裏を過る。
コントロールを失い暴走すれば、瞬時にこの宇宙をも消滅させる事も出来る驚異のポテンシャルエネルギーを持つレジェンス 宇宙誕生以前 まだ何も確定しておらず、無数の状態で、同時に、非常に高いエネルギーを持ちながら常に変動した状態 つまり量子論の"無"の状態が、突然 新たな無を生み出し2つの球体に分離した非常に高いエネルギーを持ちながら常に変動し何も確定出来ない"無"そのものの1つ・・・・・
それが、何故俺みたいな炭素系の生命体に融合したのか・・・・?
まだ生命とは何か? 抜本的な定義はなされていなか・・・・
俺以前に、過去何体もの生命体が融合している。
過去 融合した生命体のだれもが、この驚異の無限のポテンシャルエネルギーをコントロール出来なかった。
それを 俺が精神力だけで、コントロールしようなど、どう考えても無理な話。
何故? 生命体と融合するのか?
その根本的な問いに、未だ答えはない レジェンスそのものは、ただの驚異の無限のポテンシャルエネルギー体 意志はないはず・・・・
ただ単なる気まぐれ・・・・ としか言いようがない。
迷惑な話。
だが、現状このレジェンスの驚異の無限のポテンシャルエネルギーを利用するしかない。
自己の目指す、戦略上の最終目的を達成する為に、それは、歴史の流 歴史が自ら望む方向に向かって流れる為に。
歴史は、その転換期に、その代償として、大量の血と、生命を欲する・・・・・ 実に嫌な言葉であり事実・・・・・
キャラン(浩司)は、眼の前の敵を見ながらも この様な考えが脳裏を過っていた。

 「さあーどう出るキャラン(浩司)」 薄く少し不敵な笑みを浮かべモニター画面を注視するアピリム。
だれの眼にもここまでのキャラン(浩司)の戦闘は、小手先程度にしか思えていない。
事実そうであったが、まだレジェンスのエネルギーを利用した技などを繰り出していない。
所持する未知のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)から寄与されたと思われる 主に、白兵戦、近接戦闘用の武器ばかりでここまで戦闘を続けてきた。
まだ本気で戦っていないとだれの眼にも明らか。
そろそろ本気を出してもらい その驚異の戦闘スペックの一旦を垣間見たい思いが過っていた。
強い相手と戦い勝ちたい・・・・・
変なスポーツマンシップ、武芸者、戦士の様な気持ちがあったのは事実。
戦場では、より弱い相手に勝つ事により生き残るのが、重要であるのだが、変なこだわりにも似た気持ちが、アピリムの心を動かしていた。
何よりも前回の直接対決 初めての敗北を期した 今回は負けられぬ。
史上最高にして、最強の生体兵器としての誇り プライド そしてキャラン(浩司9が融合する 驚異の無限の最終エネルギー体であるレジェンスを この手に入れ あの忌まわしい過去と決別する為の "大いなる計画! を実行し、勝利をこの手に握る。
アピリムの野望、野心でもある。
まずその為の第1弾として、この地球を支配し、全人類のネクストノイド化を開始した。
だが、ここで邪魔が入った。
過去 この計画を知り敵対行動に出た 全滅させたと思っていた 我が眠りについていた場所に当時住んでいた大西洋のは魔のバミューダトライアングルと呼ばれる海域の孤島に住んでいた 旧島民と呼ばれる者の子孫 そして、その旧島民が、あのエルと呼ばれる我が改造主のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)どもを 神々など呼称し拝め奉るC宗教などと呼称する勢力と手を結び激しい敵対行動に出た。
そして、何故か? 何らかの大いなる宇宙の意思による気まぐれ 悪あがきなのだろうか?
エルのやつらが、余を生み出した目的であるレジェンス 事もあろうに、別の人物が、どう言ったプロセスだったのか謎だが? キャラン(浩司)と自称する人物と融合 尚且つ余に味方するどころか? こいつも激しく抵抗を開始した。 最初は、旧島民と、C宗教の1派が。連合する敵対勢力ヤーナに属していたが、1匹狼の資質を育み、強く持ち、極端なアンチ(反)宗教のキャラン(浩司)は、こちらの予想通り C宗教側と、激しく対立 離脱 自ら新たな勢力を作らず、たった1人で反旗を翻してきた。
そして、あの融合しているレジェンスと同様 まだ知らぬ未知のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)との何らかの協定でも結んだのか? エルとは異なる別のオーバーテクノロジーを入手し 我々の邪魔をし 虎の子とも言える我が配下の8大将軍デストロのうち 4体までもたった1人で倒してしまった。
その損失は計り知れぬ。
・・・・・・・
・・・・・ ここが正念場 この戦いが雌雄を決するキャラン(浩司)との最終決戦になるはず。
戦略家としての資質を育むキャラン(浩司)。
ただ戦術、戦闘上の勝利を積み重ねる事により 戦略的勝利を導き出そうとは、考えておるまい。
まだ見えぬが、キャラン(浩司)にも それなりの戦略上の最終目的があるはず。
その為 あえて退路のない無謀と思えるこの戦いに、たった1人で挑んできたはず。
だが、余は、決して負けぬ この戦いに勝利し、次のステップに移行する為に。
キャラン(浩司)をこの手で倒し、キャラン(浩司)の融合するレジェンスを この手に入れ 余 自らが、キャラン(浩司)に代わる融合者になる。
元々 その為に、余は、エルにより作られたはず。
レジェンスの驚異の無限のエネルギーを手に入れ 余は、宇宙最強となり あの憎きエルを この広大な宇宙で見つけ倒す。
それこそが、余の "大いなる計画"
その為の戦闘員として、最強の生体兵器ネクストノイドを引き連れて・・・・・

 アピリムの直ぐ傍で、同じモニター画面を注視しているギル ギルはアピリムとは、少し異なった見方をしていた。
今の展開を仕掛けたのは、ギルの戦術でもあった。
元々ギルは、古代錬金術などが専門であった。 錬金術そのものは、科学ではなく邪道な何ら根拠も科学的裏付けを持たない単なる科学を装った疑似科学であるのだが、もう一方 科学的根拠を持つ正当なアカデミックな科学にも精通していた。
だが専門は、今でこそ典型的疑似科学である古代錬金術。
だが、その錬金術書である 古代から伝わる文献 秘宝とも呼べるオーパーツ(場違いの出土品)から秘宝とも呼べるものからアピリムの存在を知ったギルは、大西洋の かの有名な魔のバミューダトライフングルにあった孤島に眠るアピリムの存在を知り 当時ヨーロッパ有数の有力者でもあったギルは、アピリムを蘇らせる為 私兵をと共に孤島に向かい そこでカプセル内に、コールドスリーピングシステム(冷凍睡眠装置)で眠るアピリムを発見 カプセルのコールドスリーピングシステム(冷凍睡眠装置)を解除 長き眠りに着いていたアピリムを蘇生させていた。
この当時 まだ疑似科学の概念は無く 当時 錬金術そのものが、最高の科学と目されていた時代でもあった。
現在 エルの残した数々のオーバーテクノロジーに、最も精通しており 特にネクストノイドへの改造に関しては、世界一の科学者としての側面を持ち合わせている。
それと同時に、戦争全体の大局を見る事の出来る 冷徹、冷酷な戦略家としての側面も持ち合わせている。
一方 アピリムは、エルによって、最強の生体兵器として、開発されていた。
戦略家としての戦局全体を見渡せ 戦争全体のグランドデザインを描ける能力よりも 与えられた戦力を用いて戦場で戦う戦術用兵家としての能力を重要視され開発されていた。
戦局、戦争全体のグランドデザインを描くのは、開発者でもあるエルの領分。
後方で、全軍を総括、指揮するのは、エルであった。
アピリムの役割は、生体兵器としての戦闘能力 つまり兵器としての能力、有用性であった。
特に、局地戦における 白兵戦、近接戦闘に重点を置かれ開発されたが、戦闘能力に高いポテンシャルを備えていた為 そればかりに特化したモデルではなく 長距離エネルギービームなどの技を兼ね備え 汎用性の高い、あらゆる条件の戦場でも対応出来るユニバーサルウエポンとしての特筆した能力を持ち合わせている。
その為 戦争における見方、考え方は、戦局、戦争を見渡す戦略的考えよりも 戦略を達成する為の手段の1つである 戦術的考え方に傾く傾向にあった。
そして何よりも自身最強の戦士としての側面が強い。
"さあーどうでるキャラン(浩司) 今までよりも更に厚みのある陣形・・・・"
そう内心で呟くギル。
広大な 岩と、砂だけの荒涼した砂漠である ハルマゲドンの丘 どこにも身体を隠す場所などない。
その中で、キャラン(浩司)を中心に、上空を含む半球体上に、厚みのある包囲網を引いた。
キャラン(浩司)の眼で見れば、どこを見ても圧倒的数の敵だらけ 逃げ道 つま退路はない。
そして、正面には、対キャラン(浩司)用に、特化 開発された最新鋭の第3世代のハイパーグロテノスである ハイパークマンガーMark3が、5体展開。
この絶対絶命とも思える状況 どう切り開いていくのか?
"確かに、キャラン(浩司)のやつ 融合しているあのレジェンスの特殊能力には、数々のエネルギー弾など以外に、どう見てもテレポーテーションとしか思えない能力や、光速に近い亜光速・・・・ いや光速・・・ いやそれを超えているとしか思えない この宇宙の物理法則の根幹を無視した様な 超光速のスピードを出せる・・・・ まだ見せておらぬが、その一旦らしき能力を時より見せておる。
その特殊能力の一旦を使い、狙いがアピリム様の そのお生命ならば、この程度の包囲網を やすやす突破し アピリム様の御前の現れるはず・・・・
だが、キャラン(浩司)のやつの最終目的は、それだけではないはず。 必ず何か他に 戦略上の目的があるはず。
アピリム様のお生命だけならば、わざわざこんな戦いに望まなくとも、何度でもチャンスはあったはず。
テロ・・・・暗殺など用いられる方法は、無数にある。
テロ、暗殺などでは、歴史は動かぬ・・・・ その程度の事は、理解しておるはずじゃ。
歴史・・・ つまり時間の流れとは、変わらず時間(とき)を刻むものじゃ。
だからあえて、絶対的不利な状況のこの戦いに、挑んできた。
その為に、あえて、この状況を無視して、特殊能力を使って、戦わず、突破せず、戦うはず だが、これだけの兵力を相手 たった1人でどうする?
十をもって一を制する・・・・ 戦略の基本。
我らアポリス軍に対抗出来る戦力どころか、仲間もおらぬ孤立無援の1匹狼 唯一とも言える支援兵器だろうか?
まだ何か隠し持っているのかも知れぬが、地球衛星軌道上のステルス兵器 それもアピリム様によって、全て破壊された。
もはや 何も支援が受けられぬはず・・・・"
薄く笑みを浮かべモニター画面を注視するギル。

 戦闘が行われているハルマゲドンの丘の上空 成層圏で、肉眼どころか、レーダーなどの探知機にも映らない キャラン(浩司)が、レグのオーバーテクノロジーにより開発したステルス製人工スパイ衛星ホッパーとは異なるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)のオーバーテクノロジーの残された そう今から約1万2000年前廃棄された遺跡テクノロジーと呼ぶべきか? そうあの我々人類が、かって神々と呼称した アポリスの基幹オーバーテクノロジーでもあるエルにより 地球上に廃棄されたロストテクノロジーである もう1つの受益者であり かって、キャラン(浩司)もそのメンバー 評議員待遇として所属したアポリスの敵対勢力 今 その勢力は、もはや風前の灯火(ともしび)まで、勢力が衰えたヤーナの数少ない貴重な兵器でもUFOの1機が、だれにも気づかれず監視していた。
キャラン(浩司)が、レグのオーバーテクノロジーにより開発したステルス製人工スパイ衛星ホッパーとは、異なる光学迷彩により 光を屈折させ肉眼、レーダーなどに映らないステルス機能を備えていたが、各種武器は、搭載されておらず、主に上空からの偵察に特化していた。
小型の為 乗員は、僅か3名 ヤーナに取っては、数少ない虎の子の兵器の1つである。
かって、日本南端のO県海底の地下深くにあったエルの残した廃棄基地 ここを発見したヤーナの主力人員であった旧島民が、ここを聖なる場所と呼んだ秘密基地があった。
キャラン(浩司)が離脱 その後 急速に勢力を増したピエール率いる もう1つの勢力 C宗教側が、ピエールに率いられ ここから離脱 急速に勢力が衰えた。
更に、最大拠点の聖なる場所も 頻発に起きる巨大地震の影響で、落盤事故が多発 安全性が保てなくなり廃棄を余儀なくされた。
その脱出の際 持ち運ぶ事の出来た数少ないオーバーテクノロジーの産物の1つでもあった。
同じエルの残したオーバーテクノロジーを利用するアポリスに比べ極端に少ない産物しか所持しておらず、まだ未発見であったエルの残したオーバーテクノロジーの1部は、ピエールに占有され そのままピエールは、ヤーナ内の主力の人員の過半数以上を引き連れ自ら新たな勢力のトップとなり離脱してしまった。
残されたのは、議長であるマークじいさんと、側近の1人である司令官の永井に忠誠を誓う少数と、戦闘に向かない アポリスの支配を嫌い逃げ込んだ、進化した新人類と呼称するネクストノイドに改造を受けられない 各種手厚い保護、特権に恵まれた階級であるサラリーマン、公務員などとは違う 何もバックを持たず、自力だけの独立独歩の道を歩んでいた自営業などを中心としたホモサピエンス・サピエンス(旧人類)と蔑まされあらゆる差別を受けてきた者の達の中の 女、子供、高齢者が大半を占め 勢力として、弱体化してしまっていた。
もはや勢力と言うよりも ただの残党。 存亡そのものが、危機的状況化であった。
ただ中核となるコアは。議長であるマークを中心に、司令官の永井 その側近のブラウンが健在であり 逆に、ソリが合わないC宗教側 それらに引きつられ多新規加入者であった不平不満分子化しそうであったネクストノイドへの改造を後回しされ続けた特権階級層でこそあったが、その中の落ちこぼれ的存在のサラリーマン層が、全員離脱した事により 少数によるまとまりが良くなった面もあった
特に、戦闘員は、長年永井と苦楽を共に戦ってきた歴戦の強者、猛者の中堅、ベテランが多く残り士気は高い だが、質は維持されているものの兵員そのものが少なく、拠点の聖なる場所を失い 武器、弾薬が備蓄以外に新たな補給手段を失うなど、問題点が続出していた。
その為 新たな急場しのぎの拠点の防衛に徹する以外 攻勢をかける余裕がなかった。
負傷兵などの交代要員の兵士もほとんどおらず、
戦略の基本の1つである補給がいかに重要かを 思い知らされていた。
現在 防衛に従事している兵力が、持ちうる全兵力であった。 その規模は、100人にも満たない。
監視UFOから送られてくる映像を 仮設基地内に設置されている 仮設中央指令室と言っても簡素な造りの いかにも緊急の急場しのぎに作られた移動式の小さな指令室内で、2人の男が、真剣に見入るよう見つめていた。
1人は、初老迎えた少し小柄な男、その傍らには、いかにも鍛え抜かれた筋金入りの歴戦の猛者の軍人。
そうヤーナ評議会議長のマークと、軍事部門最高司令官の永井の2人であった。
浩司が、たった1人で、アピリムを始め全アポリス軍に対して、戦いを挑む情報を入手。
余計なお世話かもしれないが、元同僚であり かけがえのない戦友でもある浩司の助太刀に入る事を決定していた。
現在持ちえる全戦力を投入 玉砕覚悟の退路の無い最後の戦いに挑む。
もし まだ浩司が、評議員待遇で、所属していたならば。断固反対した戦法であった。
全戦力で、浩司を守りつつアピリムを始め アポリスの幹部である 残りの8大将軍デストロの生き残りである4体を倒す。
その為に、浩司に、アピリムと。残り4体のデストロとの戦いに、集中させる為 ケタ違いの規模の主力のグロテノス兵を引き受ける戦法であった。
このまま推移すれば、やがてヤーナは、消えゆく運命であった。
議長であるマークは、「最後の悪あがきじゃよ・・・・」と、皮肉交じりに評していた。
「老兵は死なず ただ消え去るのみ・・・・と、あのマッカーサーが、退任させられた時に言ったセリフじゃが、この場合 老兵は、死して消える・・・・かのう・・・・」と、自嘲気味に側近に語っていた。
「浩司殿の事じゃ これは、20〜59歳の未婚で、社会と接点がない孤立無業者(Solitary Non-Employed Persons:=SNEP)の死んでもだれも悲しむ人も困る人がいない見捨てられ 守るべき、愛する者もいない独身者限定の楽しいパーティー 邪魔するな!! と・・・ 怒られるのがオチじゃろうがのう・・・・」 薄笑いを浮かべ語っていた。
「全く困った人じゃ浩司殿は・・・・」 何か楽しそうな何らかの意味ありげに笑みを浮かべた。
「マーク議長 時間です」 物思いにふけていたマークに、側近の1人スティーブが、声をかける。
ふとあるある浩司が語った言葉が、マークの脳裏を過った。
何故 こんな時に蘇ったのか?
多分 今がこの時期なのかも知れなぬ。
「・・・・歴史は、その大きな転換期に、その代償として大量の血と生命を欲する・・・・実に嫌な事実・・・・」
よくあのピエールとの論争時に、口にしていた。
浩司殿は、戦略家としての資質を育みながら 同時に、痛烈で辛辣な皮肉家であり 深い洞察性を持った歴史家であり ある面で、哲学者的な考え方も持ち合わせていたのうー・・・ 何故かそう思った、
もうすぐ久しぶりに、浩司に会えるのが、楽しみであったのかもしれない。
他だしそこは、地獄の戦場の真っ只中、ゆっくり語り合うには、全くの不都合の場所でもあった。
それ以前に、果たして、生きて会えるのか?
目的の場所に到着した。
簡素な基地 少し高くなった演壇では、永井司令官が、約100人と言っても、現状持ちえる最大限の兵士 もはや、予備兵力も交代要員はない。
現状ヤーナの持ちうる全兵力 その兵士の後方には、小型の輸送用のUFOが数基並んで着陸している。
そして、戦闘用のグレーを中心した迷彩服に着る兵士が整然と並んでおり 永井の演説に、歓呼の声を上げていた。
生きて帰る事の無い片道切符であっても・・・・
そして、手には、最新式でこそあるが、最後の生産モデルであるER03Tエネルギー・ライフル銃を持っており これが最後の武器。
もはや備蓄品はない。
生産拠点でもあった聖なる場所は、相次ぐ巨大地震 プレート型であったが、そのすさまじいエネルギーに耐え切れず、天井の落盤事故が続き、今では崩壊 海底の底の土砂に押しつぶされてしまった。
突如 襲った群発の巨大地震 最後の脱出の際 聖なる場所のメインエネルギー供給源であった反物質反応炉を停止させる為 多くの尊い仲間が犠牲になった。
もしあの時 完全停止を行わなければ、莫大なエネルギーを生み出す反物質反応炉 下手に暴走を起し爆発すればメガトン級の核兵器など比較にならない巨大なエネルギーを一気に放出する 破壊力などケタが違う。
1度 あの8大将軍の1体であった 龍(ロン)の孤島基地で起きた 暴発事故 あの時の壊滅的被害を考えれば、完全停止させなければならない。
何とか、完全停止させる事が出来 全く被害が出なかったのだが、その為 貴重な人材を多数失ってしまった。
何とも言えない いたたまれない気持ちになる。
笑顔を浮かべ 反物質反応炉に向かって行った者達・・・・・
そして、逃げる事も出来ず、そのまま落盤による完全崩壊、大量の土砂により押しつぶされ・・・・・
その中には、浩司殿の恋人の幸田 美那美さんの友人2人も犠牲になった。
「私たちが行って止めなければ・・・・」
「あのシステム運用していのは、私たち」
「私たち以外 適任いないもの・・・・」
「それに、みなっちもがんばっているしね・・・・」
微笑んで答える2人。
しのぶと、やすこ・・・・
あの時の言葉、笑顔・・・・・ 決して忘れぬ事が出来ぬ・・・・

 「すまぬ・・・・ お前たちのその大事な生命 この俺に預けてくれ・・・・・」
永井の演説に、更にヒートアップ 歓呼の歓声が響く。
「何を今更・・・・」
「俺たちの生命 いつでも司令官に差し出すぜ・・・・」
兵士達の口々に発する。
永井に対する最大限の信頼の証でもある。
永井こそ その生命を預けることの出来る。
「す・・・すまぬ・・・・」 頭を下げる永井。
固く両眼を閉じ 自然と頭を下げる。
その瞼からは、一滴の液体が流れ落ちる。
「・・・・それに、ここにいる者 全員 早く愛する者、家族の元に行きたいやつばかり・・・・」
「和田評議員待遇に、その邪魔をされ のうのうとここまで来てしまって・・・・・」
「和田評議員待遇に、一言文句を言わなければ。気が済まないですよ・・・・」
「何故? いつもいい時に邪魔をするってね・・・・」
「そうそう・・・・」
口々に答える兵士達。
その表情には、何か? 晴れ晴れとしたものがあった。
ここにいる ほとんどの兵士達は、1度ならずとも敵中に包囲され死を覚悟した時 浩司が現れ もちろん浩司の いつもの命令無視の独断専行の単独行動であったが、敵中から無事脱出した経験を持っていた。
愛する者 家族、そして生命と同じくらい大事なこつこつと積み上げてきた小さいながらも自らの手だけで守り育ててきた商店、商売・・・・など全てをネクストノイドに奪われ殺された。 愛する者 家族と早く再会したい為 ヤーナに加入した者ばかり せっかくそのチャンスを得ながら ここぞと言う場面に、浩司が現れ その貴重なチャンスを奪われていた。
浩司に対して、ある意味 積年の恨みを持っている、
邪魔をする・・・・
そんな個人的な事など、浩司は知らない。
浩司に言わせれば、貴重な戦力の浪費 人こそ最も貴重な戦力であり 無駄な浪費は、何よりも避けねばならない最も愚かな卑しむべき愚行・・・・ でしかない。
戦争 そのものが、最大の愚劣な愚行。 最も恥とすべき野蛮な行為。
あえて命令を無視して、助けたのだが・・・・・
これで、やっと愛する者、家族の元へ行ける 死ぬのではない 愛する者、家族の元へ行くだけなのだ。
今までずーっと待たせていた・・・・
浩司に言わせれば、死は何も生まない 生きてこそ意味がある・・・・と、反論するであろうが・・・・
ここにいる兵士達には、決してその言葉の持つ意味は届かないだろう。
浩司もバカである バカに徹して生きてきた 今更人生を変えられないが、ここにいる兵士達も同じ。
どうしょうもないバカ揃い。
方向こそ違うが。
永井の最後の作戦に関する細かな指示の後 複数のUFOに乗り込む兵士達 最後に、マークと永井も乗り込む。
向かう先は、最後の決戦・・・・ いや晴れ舞台 少し違うかも知れない 最後の悪あがき 男の意地を見せる地 ハルマゲドンの丘。




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