LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 放浪 Part8

 それは、数日前の出来事であった。
戦争時に時々ある 偶発的遭遇戦であった。
廃墟、スラム化したホモサピエンス・サピエンス(旧人類)用の居住地区の少し離れた場所にある ゴミ捨て場 そこへアポリス正規軍に、大部隊に、キャラン(浩司)、みなっち、川村の3人は、追い詰められてしまった。
通常 戦略的に意味のない偶発的遭遇戦で、この様な大部隊に囲まれてしまえば、キャラン(浩司)は、適当に、敵をあしらいながら 隙を見て、逃げてしまうのだが、無駄な戦闘を極力避ける。
しかし今回は、みなっち、川村を守りつつ追い詰められてしまった。
敵 アポリス軍の攻撃が、いつもと違う事を感じていた。
何かある・・・・
漠然としたものだが、戦場での鋭い嗅覚、独特のカンを持つキャラン(浩司) いつもと違いを感じていた。
相手は、正規軍 いつもならば上位モデルのデストロからのテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)で、一糸乱れぬ整然としたフォーメーション(連携)プレイを強いての攻撃であったが、今回は、余り互いのフォーメーション(連携)を欠く動きが、随所に見られた。
個の武勇を計ろうとする者の集団に感じられる。
例えが悪いが、アウトロー(無法者)の集団に感じられ 集団としての組織戦の機能が余り見受けられない。
だれが、キャラン(浩司)の首を取るか? その1点。
その為 悪い言い方をすれば、最も冒してはならない戦略の最も恥じすべき逐次投入の愚を犯している。
ただ戦闘が、ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)用の居住地区に近い為 レジェンスの大技が使えない その為 近接戦闘での白兵戦の武器での戦闘を強いられていた。
両手に握る高周波セイバー 多数の敵を1人で相手にし、尚且つみなっちと、川村を守る。
いつもの事であるが、圧倒的不利な状況での戦闘。
多数を持って、少数を叩く・・・戦略の基本である。
だが、その為の努力を全くしないキャラン(浩司)。
1匹狼の資質が、裏目に出ている。
多数の仲間を作り 味方を作る重要性を熟知しているのだが・・・
どうもこの辺が、生まれ持った不器用さ、要領の悪さ・・・などが目立つ。
浩司らしい一面と言えばそれまでだが・・・
「もう 後が無いぜキャラン(浩司)」 取り囲み不敵な笑みを浮かべる10体を超えるグロテノス 完全に、半包囲網を敷かれ 後方は、産廃の山 退路は無い。
怪我を負い 思うように動けない川村を庇いつつ 自由に動けないキャラン(浩司)。
いつもエネルギーのコントロールに苦しむレジェンスからのエネルギー 今日は、珍しく安定しているのだが、それも最低レベル その為 いつになく動きが悪い。 
このレベルでは、テレポーテーションは不可能 バリヤーですらまともに張る事が出来ない。
QCTTシステムで、次々と、アルファーベースから武器、弾薬を補給し何とか持ちこたえている状態。
突如 キャラン(浩司)の手に、実体化して現れる 武器、弾薬 さすがに、最初は、驚いていた10体を超えるグロテノス いったいどんなマジックを使っているのか?
アポりス側も まだこの原理について、謎であった。
量子テレポーテションのテクノロジーの応用ではないか? と予想していたが、アポリスが利用するエルの高度オーバーテクノロジーに、そのようなテクノロジーがなく どこから入手したのか? 1万2000年前 突如地球から撤退したエル以外のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、現在の地球人類に干渉しキャラン(浩司)に、何らかのテコ入れで、未知のオーバーテクノロジーの供与しているのでは・・・ と言う憶測が流れていた。
エル以外のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の存在は、もはや常識。
ただこの地球に、現在に来ているのか? どうか? だけである。
キャラン(浩司)が、レジェンスの気まぐれにより 融合者となり 同時に太古に滅んだ レグと呼ばれた超高度オーバーテクノロジーのマスターとなり 現在そのオーバーテクノロジーの1部を利用している事を 全く知らない。
エルを遥かに上回る レグの遺産、遺跡とも思える超高度オーバーテクノロジー。
オーバーテクノロジーなどのハードウエーに対して、常に懐疑的であり ソフトウエアー重視 ハードウエアーを使いこなすには、運用するソフトウエアー つまり個人の能力、資質が最も重要 使いこなせないハードウエアーなど、無用の長物・・・ 口癖。
他だしキャラン(浩司)自身 ソフトウエアーとしての自らの能力に、かなり懐疑的であり かなり、相当低いと思っている。
だが、レグの超高度オーバーテクノロジーが、今のキャラン(浩司)を支え、自らの立てた戦略実行を支えているのは事実であった。
「人を殺す為のハードウエアーとしての武器だけは、急速に進歩 今では、我々人類のレベルを遥かに超えるテクノロジーをも手に入れ利用している だが、それを運用する人類は、太古の昔 人類発祥以来全く進歩無し・・・」 よく呆れて、辛辣な皮肉たっぷりに、みなっちに語っている。

 「大丈夫か? 川村」
浩司の後方で、みなっちに肩を貸してもらい 右手には、ハンドガンタイプの中型レーザービーム銃を持つ川村。
右足に、数発の小さなエネルギー弾を喰らい みなっちの応急処置により包帯が巻かれていたが、白い包帯は、真っ赤に止まらない鮮血に染め上げられている。
出血もかなり酷く 顔色は、相当悪い。
だが、後方にいる川村を振り返る余裕もないキャラン(浩司)。
接近戦用の白兵戦の武器 高周波セイバーを持ち フォーメイション(連携性)に欠け 1対1の個人戦の戦いで、何とかしのいでいる・・・ と言うより 敵 アポリス軍が、その戦いで挑んでくる為だが・・・
全く理由が解からない。
正規軍と言え 元々キャラン(浩司)同様 1匹狼的 アウトローばかり集めた部隊 強制的に、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)しなければ、互いに連携して戦うなど、微塵にも思っていない。
個としての武勲が、最も重要視している者ばかり。
集団で戦うよりも 個人技を重視する。
下手に周囲にいる者に動かれると、足を引っ張っているように感じられ 邪魔者にしか映っらない。
元々個としての戦闘能力が非常に高い BS(バトルスタイル)のグロテノスへの変身後の戦闘能力は、グロテノスとしては、トップレベルを誇る。
「次は、この俺様だ」 不敵な笑みを浮かべ 眼に異様な光を発する 蜘蛛に似たリアンズが近づく。
足元には、キャラン(浩司)により斬り捨てられたいくつものグロテノスの死体が、不気味な姿で散乱している。
だが、表情1つ変えないリアンズ この程度の死体など、いつもの光景と言わんばかりであった。
腕と、実力がないから こうなるのだ・・・・ とさえ思っているのだろう。
仲間意識など全く感じさせない。 冷酷さだけが取り柄・・・・
だが、このお陰で、いつもの1対多数の戦闘を避けられているメリットは、否定出来ない。
だが逆に、長時間に及ぶ消耗戦を強いられている。
リアンズが、ジェノサイドニードルを発射 無数の細長い針が、キャラン(浩司)を襲う。
この程度の攻撃 簡単に避ける事の出来るキャラン(浩司)であったが、後ろには、みなっちと、川村がいる 避けられない。
素早く、眼にも止まらぬ速さで、高周波セイバーで、高速で襲い掛かる無数のニードルの細長い針を振り払う。
「ふん 少しはやるみたいだなあー」 いかにもキャラン(浩司)を見下し ふてぶてしい態度で言い放つリアンズ。
グロテノスの中では、自分がNO1だとでも思っている。
このレベルの相手 不安定ながらレジェンスからのエネルギーが上昇すれば 全く問題視しないのだが・・・
「これならどうだ!!」 リアンズは、キャラン(浩司)に向かって突撃 同時に、スパイダーネットを発射 白い蜘蛛の糸が、キャラン(浩司)を包み込む 同時に、高圧の電流が流される。
身体全体が、スパークする。
レジェンスのエネルギーにより身体に薄くエネルギーが、発生している 1種のバリヤーの役割 その為 高圧電流を喰らっても丸焦げにはならない。
だが、かなりのダメージ 身体が高圧電流に痺れる。
「こーちゃん・・・・」
後ろで、この戦闘を見守るみなっちの顔が青ざめる。
苦しい表情を浮かべるキャラン(浩司)。
握っていた高周波セイバーを手放す。
セフテイー機能により 手から離れた瞬間 高周波の発生により青白く光る刀の部分が消え バトンだけとなり地面に落ち転がる。
意識が薄れていく だが、レジェンスからのエネルギーが、この時 キャラン(浩司)の意識とは無関係に少し高まり出した。
自己防衛反応。
融合者が、危機的状況に陥ると、セフティー機能のように 融合者を守ろうとする。
キャラン(浩司)の左ベルトのポシェットが、自然と開き 中から2枚のブラッディカードが、ゆっくりと空中へ舞い上がる。
まさに、サイコキネシス(念動力)。
キャラン(浩司)の意識とは無関係に、空中に舞い上がった2枚のブラッディカード。
レグのオーバーテクノロジーにより造り出された超硬度特殊超合金で出来た 厚さ0.1mmにも満たない薄いトランプ状の大きさのカード。
通常 キャラン(浩司)の意思 つまり思考誘導で、自由自在に操り 高速飛行で敵を切り裂く。
しかし今回は、キャラン(浩司)の思考ではない。
レジェンス自ら融合者を守る為 サイコキネシス(念動力)を発動。
純粋な、無のエネルギー体であるレジェンスに、思考などないはずだが・・・
空中に浮かんだ2枚のブラッディカードは、だれの眼にも止まらぬ高速で、キャラン(浩司)を包み込み 高圧電流を流しているスパイダーネットの 丁度 キャラン(浩司)と、リアンズの中間点 スパイダーネットの束になっている部分を切断。
切断面のリアンズ側から 高圧電流がほどばしる。
突然の出来事 何が起きた理解出来ないリアンズ。 ただスパイダーネットの切断された部分からほとばしる高圧電流を 唖然とした表情で見つめる。
ようやく スパイダーネットが外れ 高圧電流から解放されたキャラン(浩司) ふらふらと崩れるように両膝を地面に着ける。 呼吸が乱れ荒い。
2枚のブラッディカードは、そのままキャラン(浩司)の意思と無関係に、リアンズを襲う。
1枚は、頭の頭上 もう1枚 腹部の真横から。
一瞬に、クロス(十文字)に切り裂かれるリアンズ。
断末魔の絶叫を上げる時間すらない程の一瞬であった。
リアンズをクロス(十文字)に切り裂いた2枚のブラッディカードは、そのままキャラン(浩司)の前に空中停止 左手を差し出し 人差し指と、中指の間に、収まる。
「この程度で良くアピリム様の変身前と言え 互角以上に戦ったものだぜ・・・」
両膝を地面に着け 呼吸の荒いキャラン(浩司)を嘲笑する 取り囲んでいる多数のグロテノス。
だれが見ても確かにそう見える。
余りにも弱い 何とか勝っている・・・・ いつまで持ちこたえられるか?
噂とは大違い 人違いではないかとさえ思える程。
何とか立ち上がり 近くに落ちていた高周波セイバーのバトンを拾い スイッチを入れる。
「次ぎはだれだ!!」 高周波セイバーを構え 挑発する。
「こーちゃん・・・・」 怯えの入った声で、小さくつぶやくみなっち。
余りにも惨い・・・ みなっちの眼には、まるでなぶり殺しに会っているようにさえ感じる。
多数で、たった1人をなぶりものにして、イジメる 社会構造に似ている。
多数を武器に、権力を我が物顔で牛耳り 責任の所在をあいまいにし、無責任。 全てを会社、組織などで、手厚く保護された集団。
集団で、少数の自営業者、農民、漁民などを徹底的にイジメ 日頃の鬱積したストレスの発散に利用する 大多数派を武器に全てを支配するサラリーマン、OL、公務員などが、少数派を見下し支配下に置く現在の社会構造と同じ。
こーちゃん そう いつも1人 多数派に属し 群れを成し媚いる事はしない。
いつも自分の考えをしっかり持っている。 典型的1匹狼・・・
それが、いい事か、悪い事は、決して間違っていないか・・・・ 本人にも解からない。
そして、自力だけを信じて、1人 人の眼に触れない場所で、地道に努力する。
全て、自主、独学、独力、独立心・・・
「自分が、どう考えるか・・・さ・・・・」 こーちゃんの口癖。 不器用な生き様・・・
この世界のあらゆる不条理、理不尽、不公平、不平等・・・ タダあがなっているだけかもかも知れない・・・?
たった1人・・・・ いつもそう たった1人で、こーちゃんは、戦ってきた。
私を守る為・・・・
「みなっちが、ネクストノイドに改造され 自らの自由な思考を持たない マインドコントロール(精神支配)され 戦闘用BS(バトルスタイ)のグロテノスに変身 血まみれに戦う姿なんて見たくない・・・」 いつもそう言ってくれる。
自らの両手を 決して、許される事ではない罪 どんなに洗っても落ちない真っ赤な血と、命で染め 心も身体もボロボロに傷付きながらも ただ私を守る為 それだけの理由で・・・
戦略上の目的、歴史の流れ・・・・など難しい言葉、意味など私には解からない ・・・けど 解かっている事が1つ・・・ それは、この狂っているとしか言いようない世界で、唯一私を本気で守ろうとしてくれる・・・・
いつも周囲から生命を狙われ 心 休まる時間などない。
常に、死と隣り合わせ 明日などと言う言葉などない世界 今日 この瞬間をいかに生き残るか・・・・
「キレイ事の御託だけを並べ 大義名分を振りかざしているだけさー・・・・ これで、詭弁の正義などと言う言葉まで振りかざしたら最低最悪だね・・・」 いつもこーちゃんは、呆れ顔を浮かべ自虐気味に自分の事を痛烈に皮肉ってばかりいる。
「正義なんて言葉 毎度お馴染みの大特価 大バーゲン、持ってけ ドロボー市実施中だよ・・・」
ふざけた態度で、皮肉ばかり・・・ 全くどう言う性格をしているのやら・・・
こーちゃんが求めているのは、そんな心の隙間を埋める為の 私の中にある やさしさ、温もり、安らぎ、癒し、それとも・・・平凡で何気ない日常・・・
もう決して、手の届かない遠い夢の様な世界・・・
あの頃に帰りたい・・・
「そんなのただの言いわけさー 人を殺すのに、キレイもキタナイもない・・・・ ただの殺人 それが戦争であっても同じ・・・ 上からの命令に従っただけ・・・なんてただの自ら自己判断出来ない者の錦の御旗の自己弁解 偽善 人殺しに何ら違いはない・・・」 こーちゃんの口癖・・・
「追われて逃げても いつかは追い詰められる 退路はない 退路が無ければ、活路を見出すだけ・・・」
「俺はバカだから これしか思い浮かばなかった・・・・」
「生まれつきのバカさー バカに徹して生きてきた 今更人生変えられないよー」
両肩をすくめ呆れたポーズ。
「・・・バカに徹して生きてきた 今更人生変えられ・・・」 私も・・・ 何も言えない 決して自分自身 利口だと思えない。
「革命ごっこのふりらしき事をしているだけの他だのピエロ(道化師)さー・・・」
「成功するか? しないかは、どれだけの支持を集められるか? 半分 味方なってくれれば、そりゃーミラクル(奇跡)だよ」
「無様なアウトローさ・・・・」
「この戦争が終わったら・・・ んー そうだねー最後は、老兵は死なず、ただ消え去るのみ・・・・ なーんて、ダグラス・マッカーサーの捨てセリフでも決めて、実は単なる痛烈で、辛辣な皮肉だけど、どこか南の暖かい平和な土地で、みなっちと2人平凡な人生、生活を送れれば・・・」
呆れたポーズを取り いつも自虐・・・ こーちゃんの悪い癖。 でも本当の願い。 でもこれって? どう言う意味?
男の それも命のやり取りをした者にしか解からない 下らない男の・・・ いや戦争、軍事ロマンチシズム、美学なのだろうが・・・
浩司は、この言葉 好きになれない・・・
「"I shall return" (必ずや私は戻って来るだろう もしくは、私はここに戻って来る運命にある) これもダグラス・マッカーサーだが、これだけは、無しで願いたいねー」 いつも自分の事を皮肉ってばかり。
「この戦争 どの陣営に属し 勝っても 負けても 俺は、生き残れば危険分子 こんなすごい力を たった1人 個人で持っているしねー それに俺が利用しているレグのオーバーテクノロジー 喉から手が出る程 欲しいだろうよ・・・」
「情報を引き出し 用済み後は粛清さあー それなら1人で戦った方が、マシさあー だれに対しても後腐れがないよー・・・」
「こーちゃん・・・」 小さくつぶやき 眼の前 背中しか見えない浩司を見つめる。
終わりの無いループ(螺旋)階段をグルグル回っているだけなのかも知れない だけど私は・・・ 例え終わりの無いループ(螺旋階段であろうと・・・行く そう決めた こーちゃんと一緒にどこまでも・・・・
「これ程 多くの血を流させ、命を奪ってきた俺に、幸福になる権利なんてあるのかなあ?」
「・・・・」 何も答える事の出来ない。
決して、許される事のない大きな罪 1人が背負うには、余りにも大き過ぎる。
償う事も出来ない大きな罪。
「随分 大量の血を流させ、生命を奪ってきた 俺1人の生命と血では・・・」
何か? 達観したかのような口ぶり・・・
「歴史は、その転換期に、大量の血と、生命を代償として欲する 歴史は、余りにも無慈悲で残酷なもの・・・ なんて、自らの行為を正当化する為のただの言い訳になるけどねー・・・・」
何も言えない。
「俺は、まだ、ドッペルゲンガーを見ていない 死ぬ心配はないさー・・・・」
「それに、こん時代 いいやつから早く死ぬよー 俺は、長生きしそうだなあー 死神にも嫌われているしね・・・ まあーあんなやつには、好かれたくはないが・・・」 などと、嘯きとぼけた態度。
これについては、呆れてものも言えない。
おのれは、どう言う性格をしているのだ・・・!! "怒" みなっちより。
P,S "私の気苦労を増やす気か・・・? 私って、本当に薄幸の女・・・ こんな薄幸の女にだれがした・・・ いったいだれの責任で、だれが悪いじゃわい・・・ "怒と涙・・・・"
"あー神様 こんな薄幸の哀れな子羊(私)だけをお救い下さい・・・ みなっちより

 「1体1体は、面倒だ 同時にかかってきな」 キャラン(浩司)を取り囲む複数のグロテノスに向かって冷酷な いや もはや場慣れしていた。 いつものシュチエーション。 たった1人で、多数を相手 定番。
「死にたいやつからかかってきな 死にたくなければ逃げろ 後追いはしない・・・」
いつもの定番の捨てセリフを言い放つ。
鋭く まるでターゲット(獲物)を狩る 血に飢えた野生のハンター(狩人)の様に両目が光る。
だが、まだ足元からかなりふらついている。
「おい・おい・おい・・・ そんなセリフを言っていられる立場か?」
1体のグロテノスが、キャラン(浩司)を見て薄笑いを浮かべる。
「そんなじゃ俺様達を相手する前に、虫けら一匹踏み殺せないぜえ―」 別の1体のグロテノスが、言い放つ。
同時に、取り囲んでいる全てのグロテノスが、同調し笑い出す。
だれの眼にも赤子を捻るより簡単に倒せそうにしか見えない
最大のチャンス グロテノス同士 お互いの口論が始まる。
次の対戦相手を巡って、今なら確実に倒せる。
「次ぎは、俺様の順番だぜ!!」 1体のゴリラに似た エレコングが、その圧倒的パワーを活かし 周囲の他のグロテノスを弾き飛ばし キャラン(浩司)に向かって、まさに猪突猛進。
「喰らえー!!」 雄叫びを上げ 正面からの体当たり。
だが、直前の一瞬 キャラン(浩司)は、身体を避け 青白い光を発する高周波セイバーを エレコングの腹部に向かい 眼にも止まらぬスピードで、水平に振る。
一瞬 何が起きた理解出来ない表情を浮かべるエレコング。
正面 体当たりの直撃のはずが、そこにはキャラン(浩司)の姿がない。
動きが止まるエレコング。
一瞬の間 凍りついた世界 無音の世界の中で、ただ風だけが吹いている。
エレコングの表情が、苦痛に歪む。 同時に、上下2つら分かれたエレコングの身体が、地面に崩れ落ちる。
大きく息を吐くキャラン(浩司) だがやはり呼吸は荒く 足元がおぼつかない。
「次ぎ死にたいやつはだれだ?」 ハッタリ・・・・? だがそうは聞こえない。
「このくたばりぞこないがー!!」
同時に、数体のグロテノスが、我先にと襲いかかる。
互いの連携などない。
だが数に物を言わせ力押し。 だれもが功を独占したい。 自らの手にだけに・・・
これが、グロテノス同士の混乱を招く。
狭い一定の範囲内に、多数のグロテノスが、無秩序に入れ乱れ統制が取れていない まさに無秩序の乱戦、混戦状態 必殺の大技は、フレンドリー・ファイヤー(同士討ち)を招く 使用出来ない。
さすがにその辺だけは、わきまえている。 味方殺しは、重罪だ。
互いに、「邪魔だ そこをどけ!!」と、罵声が飛ぶ。
狭く閉ざされたスペースでは、思うよう動けない。

 そんな時だった。
少し離れた場所で、みなっちの肩で支えられていた川村がある事に気づいた。
小さな黒い影が、複数 動いたように見えた。
ん・・・・ 人影・・・?
ここは、ゴミ捨て場 大量のゴミが破棄され山積みになっている場所 普通 こんな場所には、仕事に従事する関係者以外いないはず それに今日は休日 人など・・・
だが、間違いなく 人・・・・ それも小さい 子供か? こちらを覗うよう覗き込んでいる。
「何故 こんな所に子供が・・・」 小さくつぶやく川村。
完全に、2極分化した社会 各種権利を奪われ 進化出来ない旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)と蔑まされ ゴミ以下の扱い 親を失い もしくは、捨てられた子供達が、ここを根城 生きていく為の生活の場としていた。
ゴミの中から残飯を漁り それを仲間達の間で分配 今日を生き延びる為に・・・
この子供達に取って、ネクストノイドは、親を奪った憎き敵であり 憧れのヒーローは、ヤーナの永井司令官。
強くて、カッコイイ B,P(バトルプロテクター)を装着 自ら先頭に立ち 自分達に変わって、憎き敵である ネクストノイドを倒してくれる。
子供向け、勧善懲悪の正義のヒーロー的存在。
浩司と言えば、名前、顔は知っている。 永井と同様 最高ランクの賞金首 だが、目立たない平凡なルックス 平凡な中肉 身長173cmと平均的中背体型 地味で、目立たない存在 世間では、余り戦闘シーンで目立たない 何よりもバックアップの組織を持たない 所属さえしていないアウトロー的1匹狼で、単独で行動 パフォーマンスもしない。
人目に触れない戦闘が多い。
4体のデストロを倒しているのに、全く目立たない。
逆に、神々の正義軍などと、自ら率いる部隊を呼称する ピエール率いる レジスタンスとも呼称している抵抗勢力は、派手で、目立つ 演出効果抜群のパフォーマンスを繰り返し 自らエリートである華麗なるキャリアを見せびらかしている。
だが、戦略上無意味な派手な戦術のみ。
だが、余りにも宗教色が強い為 子供達の間では不人気。
何故? ネクストノイドに、親が、なぶり殺さなければならないのか?
ただ 進化出来ない劣等生物であるホモサピエンス・サピエンス(旧人類) ただそれだけの理由で。
もし神々が存在するならば、それだけの理由で、眼の前で、親が我が子を守る為 自ら犠牲となり惨殺されなければならないのか?
いかなる理由で? いったいどんな罪があると言うのか?
「早く逃げるのよ・・・・!!」 その言葉を残して、自ら囮となり時間稼ぎ、でも 決して神々は、救いの手を差し伸べてくれない。
神々を信じる者は救われる・・・ 全くの偽り、全て偽善と言う言葉で彩られた偽りの世界。
そんな程度 子供でも解かる。
同じ境遇の子供だけで集まり自力だけを信じて、ここまで生きてきた。
ここは、自分達のテイトリー、そこへ突然招かざる客が、土足で踏み込んできた。
警戒の為の見張り。
だが、余りにも激しい戦闘 思わず見とれ 姿を見せてしまった。
それに、川村が気づいた。 服装を見ると、その辺のゴミから着られそうな物を集め着ているだけ・・・・
まさにストリート・チルドレン。
理由などどうでもいい 早くあの子達を安全な場所に避難させなければ・・・・
「援護を頼む」 肩で支えてもらっているみなっちに言う。
「あそこにいる子供達を安全な場所に避難させますから・・・」 顔を子供達のいる方向に向ける。
そこには、確かにボロ着れを纏った子供が数人 フリーズ状態で、戦闘を見ている。 あそこでは、戦闘に巻き込まれる可能性が高い。
早く避難させなければ。
だが、大怪我を負っている川村では無理。
「私が・・・・」 つぶやくみなっち。
「大丈夫 あっしは、死神にも閻魔大王に嫌われていますからねー」 浩司同様 まるで何事でもないような他人事の呆れたポーズを取りながら不敵な笑みを浮かべる。
いつもみなっちは思う 何故 男の人って、特に、こーちゃんや、川村さんなど、その典型だが、危機的状況、絶体絶命になる程 まるで他人事のような口ぶり、態度、表情などを浮かべ 全く何ら問題がないと言わんばかり態度を取るのか? 理解出来ない。
大胆不敵と言えば、それまでだが・・・
「しっかり援護 頼みまっせー」 そう言うと、怪我した足を引きずりながら子供達のいる方向へと歩き出す。
みなっちは、左脇のショルダーホルスターから 護身用の小型レーザーガンを抜き 構える。
生まれて初めて銃口を ターゲット(標的)以外に向けた。
気分の良いものではない。
銃口の先には、多数のグロテノス。 ネクストノイドのBS(バトルスタイル)に変身後の戦闘形態。
ネクストノイドと言え 同じ人間 家族があるのだろうか? 恋人、妻子、両親・・・・ その人の今まで歩んできた人生 その人以外だれにも解からない。
「殺さなければ、こちらが殺される ただそれだけの事・・・・」 自虐に語る浩司のセリフが蘇る。
「生き残る為とは言え 相手を殺す事は、決して気分の良いものではないさー・・・・」 浩司が常々語る言葉の重み。
銃口の先の多数のグロテノス こちらの動きに気づいていない。
全員 キャラン(浩司)との戦闘に全てを集中 他の動きなど無視している。
グロテノスが、こちらの動きに気づいたら 川村を援護する為 右手人差し指に掛かる トリガーを引かなければならない。
はたして、引けるのか?
相手は、他だのターゲット(標的)と言う物体ではない 生きている人間 その時 引けるのか?
相手の命を奪う事が出来るのか?

 気づかれないよう子供達の方へ向かう川村。
だが、足が思うよう動かず、ゆっくりとしか進めない。
どうやら雑魚扱い グロテノスは、気づいていない。
左脇のショルダーホルスターからレーザーガンを抜き 周囲を注意深く警戒する。
後少し。
別の方向から 人の気配 殺気・・・・
そちらの方向を向く。
そこには、数人の人影 いかにも欲に目の眩んだ 傲慢に眼、顔 重武装 手には、大型の軍用ライフル M16や、AK-47、UZIなど手に持ち 狙いを定めている。
狙う先は、多数のグロテノスと、たった1人で戦う浩司。
賞金首だけを狙う 悪名高きバウンティハンター(賞金稼ぎ)の1グループ。
全てのバウンティハンター(賞金稼ぎ)が、この様な連中ではない。
大半は、殺人、麻薬組織の大物などの凶悪犯罪者狙いだが、こいつらは違う。
目的、賞金の為なら手段を選ばない どんな汚い手も使う。 決して情け容赦しない。
無関係な人までも利用する。 巻き添えに遭い死傷した人達など数知れない。
やつらは、1部除いて、まだネクストノイドへの改造を受けていない。
だが、今までの実績が評価され いつでも改造を受けられる特権階級。
やつらが出現すれば、必ず血の雨が降る、巻き添えに遭うのは、ネクストノイドへの改造を受ける事の出来ない旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)と蔑まされる者ばかり。
この瞬間 漁夫の利を狙っているのは、あからさま。
複数の銃口の先が、旦那に向けられているが、動きが目まぐるしく速い 中々定まらない。
あの程度の軍用ライフルの銃弾では、旦那に掠り傷1つ付けられない。
ただ名前を売る為のパフォーマンス?
旦那の持つ特殊能力を この眼で何度も見てきた。
レジェンスと呼ばれる 不思議なエネルギー体と融合 その驚異のポテンシャルは、計り知れない。
ただエネルギー量が、常に激しく変動 全く安定しないのが欠点。
それでもハードウェアーとしては、最強。
だが旦那は、そんなレジェンスの力を全くアテにしていない。
逆に、下らないまともに運用、コントロール出来ない無用の長物程度にしか思っていない。
ハードウェアーを コントロールし制するのは、それを運用する個人のソフトウェアーとしての能力だと信じている。
だが、旦那自身 自身の能力 つまりソフトウェアーとしての能力は、全く低いと思い込んでいる。
物事が、全て相対的である事は、良く知っているのだが・・・・
「相手より より多くミスした方が負け・・・・」 旦那の口癖。
戦術的勝利に溺れる事もない 戦術的勝利で、戦略的不利を覆す事が出来ない事を たれよりも身体に染み付いている。
それでも たった1人で、まさに全世界を相手にして戦い 1人で大軍を相手に勝利を繰り返している。
今もそうだ。
だがそれを邪道と自覚し、あくまでも戦争の本道は、敵より多数の戦力等を準備し遊兵を作らず一気に殲滅する・・・ それを支える為の情報と、補給を確保、整える事が最も重要だと理解している・・・ だが、その為の努力をしない・・・
変に1匹狼にこだわる。
最も重要な戦略的勝利は、歴史の流れ・・・ 自ら望む方向に歴史が動くか・・・
そして、戦わずして勝利・・・・
それが出来れば、本物の戦略家・・・ 旦那の口癖・・・
全く矛盾の塊の様な人物・・・ まあーそこが旦那の魅力の1つ。
全ての罪、大罪、汚れ役・・・ 自分1人で被る・・・
"でも ちょっとばかりカッコ付け過ぎですぜー 旦那ー"
"1人でやるなんてねー"
そんな事を考えながらも もう少しで子供達のいる場所に。
一応 目立たない様 行動しているつもりであったが、足の怪我で思うように動けないのが、かえって目立つ結果をもたらしてしまった。
気づかれてしまった。
数体のグロテノスと、身体を物陰に潜めキャラン(浩司)に狙いを付けていたバウンティハンターに。
バウティハンターの数人が、動いた。
どうやら 物影に隠れながらこの戦闘を見ている子供達に狙いを付けたようだ。
この戦闘 苦戦はしているものの旦那が勝つ そう踏んだのだろう。
あの子供達を人質に取る。
汚い連中だ その程度 朝飯前。
早く あの子供達を 安全な場所に避難させなければ。
「川村ー 左 身体を伏せろ!!」
それに、気づいた浩司の叫び声が響く。
はっと少し物思いにふけていた川村が、左を向く。
眼には、銃口を向けているバウンティハンター(賞金稼ぎ)の1人が入る。
美味なご馳走にありつきヨダレを垂らしているかのような表情を浮かべ・・・・ その瞬間銃口を川村に向けていたバウンティハンター(賞金稼ぎ)の1人のトリガーに掛かる右人差し指に力が入る。
川村も右手に持つレーザーガンを 銃口を向けているバウンティハンター(賞金稼ぎ)の1人に向け トリガーを引こうとした。
しかし完全に遅れていた。
キャラン(浩司)は、思うように上昇しないレジェンスのエネルギーを強引に高め バウンティハンター(賞金稼ぎ)の1人に向け、左指先からフィンガービームを発射 だが・・・ トリガーを引いた後だった。
川村に向け発射された1発の弾丸は、川村の右胸を貫通・・・・
浩司の発射したフィンガービームは、バウンティハンター(賞金稼ぎ)の額を貫く。
「川村ー!!」 浩司の悲痛な・・・叫び声・・・・
右胸に開いた銃弾の傷口から大量の鮮血を流し地面に崩れ落ちる川村。
怒りに心奪われ暴走したかのように、キャラン(浩司)のレジェンスのエネルギーが急上昇 身体全体から淡い白い光が発光 淡い白い光は、何本の細いビームとなり周囲にいたグロテノス全てを貫く。
怒りに我を忘れたキャラン(浩司)。
そのまま地面に、倒れた川村に近づく。
そっと、右腕で、川村の頭を持ち上げる。
「しっかりしろ川村!!」 悲痛な叫び声。
物陰から現れ 慌てて駆け寄るみなっち。
手に持つハンカチで、川村の傷口を塞ぐ。 だが。ハンカチは、直ぐに真っ赤な血で、染め上げられる。
「旦那ー」 弱々しい声を上げる川村 うつろな眼 意識が薄れ視点が合っていない。
「旦那ー そこにいた子供達は?」
川村は、弱々しくある方向に手を向ける。
そこには、この戦いを見ていた子供達がいた場所。
たが、もうそこには、だれもいない どうやら余りにも激しい戦いに、恐れをなして逃げたのであろう?
「いや もうだれもいない」 浩司は答えた。
「それはよかった・・・」 安堵の表情を浮かべる川村。
どうやら逃げてくれた・・・
「どうやら あの世からお迎えが来たらしい・・・・」
「何を言うんだ!!」
「旦那と過ごした日々 楽しかったでっせー 波乱万丈 一時も休まる時間もなかったですがー、毎日エキサイテングで・・・」
少し咳き込み 口から下血する。
「旦那と出会えて良かったー 旦那のやろうとしていた事 最後まで見届ける事出来ませんがー それが唯一の心残り・・・ 旦那は、あっしの憧れの存在 先に逝った百合っぺと共に、あの世で、見守って・・・・」
川村の最後の言葉。
「俺は、最後を見届ける気も、最後の遺言も聞く気はない さあー眼を開けろー 死ぬなあー!!」
必死に呼びかける浩司。
「俺を1人にする気かー!!」
どこまでも響く浩司の叫び・・・
みなっちは、両目を閉じ 少し顔を背けている。
両目からは、涙が零れ落ちている。
「川村ー!!」
悲痛の叫び声が木霊する。
亡骸となった川村の両手を胸の上で合わせるみなっち。
小さな・・・ とても小さなつぶやきとしか聞こえない声で、みなっちの信じる宗教の祈り言葉を 涙に暮れた声で捧げる。
余りの怒りに、小さく身体が震えだす浩司。 同時に、ゆっくと川村の亡骸を地面に寝かせる。
「川村 少し待っていてくれ こいつらを先に片付ける」 これ以上ない程 低く殺意しかない声。
浩司の脳裏には、川村と過ごした日々・・・ 何よりも何も無い浩司に対して、無償の出し惜しみのない援助を与え いつも浩司の為に、生命を捧げてくれた。
浩司に取って、かけがえの無いMein Freund(マイン・フロイント=我が友)。
それ以上どんな言葉費やしても 決して飾る事が出来ない。

 憎しみに燃え上がる眼で、ゆっくりと立ち上がる。
キャラン(浩司)に、狙いを付けていた複数のバウンティハンターを睨む。
「外道が・・・・!!」
小さくつぶやくと、ゆっくりと、複数のバウンティハンターの方へ向かって歩き出す。
歩きながら、左脇のショルダーホルスターから44HPマグナムを抜く。
シリンダーには、対グロテノス用に、通常の44マグナム弾ではない 44HPマグナム弾。
対人用ではない。 威力がケタ違い。
だが、気にするそぶりがない。
全身からは、怒りの炎が天空へと揺らめき上がっている様に感じられる。
コケ脅しでない。
だが、この程度では動揺を まるで見せない複数のバウンティハンター。
やはり伊達に、場数は踏んでいない。
キャラン(浩司)を十分に引き付けて一斉射撃。 相手は、たった1人 広く展開する。
キャラン(浩司)も 敵バウンティハンターの人数、配置を一瞬で把握していた。
レジェンスからのエネルギーが、異常に高まり出していた。
まず川村を殺した憎きバウンティハンターを始末する方が先。
もうここには、先程まで、戦っていたグロテノスはいない。 全て瞬殺で片付けた。
相手は、ネクストノイドではない。
だが、許す理由には行かない。
川村と過ごした日々 走馬灯のように、脳裏に次々と蘇る。
何も求めない 旦那のやろうとしている事 最後まで見届ける それがーあっしの願い・・・
川村の口癖・・・・
人は、思想だの、主義だの、主張だので、戦う理由じゃない それを体現しようとする人の為に戦う・・・
川村の求めていたもの・・・

「あいつ この俺様達をナメていやがる・・・」 バウンティハンターの1人が、キャラン(浩司)を見て、軍用ライフル銃のスコープ越しに小さくつぶやく。
そう そのはず だれが見てもそう思うだろう。
キャラン(浩司)は、確かに、右手に先程左脇のホルスターから抜いたS&W M29 44マグナム ガバレル6.5inchモデルを握っている。
外観こそS&W M29 44マグナム ガバレル6.5inchモデルだが、レグのオーバーテクノロジーにより開発された 対ネクストノイドのBS(バトルスタイル)に変身後用に開発したガンモデル フレームの金属から根本的に違っている。 未知の超硬質金属 6発装填されている44HPマグナム弾など、通常の44マグナム弾など比較にならない。
たが、その様なデータをバウンティハンター側は、持ち合わせていない。
S&W M29 44マグナム ガバレル6.5inchモデルとしか思えない。
実戦不向きの大型リボルバー。
威力が大きく その為反動も大きく連射が利かない。
それに、銃口は、下向き つまり地面を向いており 一切構えていない。
それに、眼こそ 隙なく周囲を注意深く監視しているが、その歩き方は、全く無防備。 いや自信の表れか?
格下と見下している様にさえ感じられる。
だが、全身から異様に思える程の殺気を漂わせている。
それでも相手は、たった1人 バウンティハンター側 10人を超えており それも相手のキャラン(浩司)を取り囲むよう 広く展開している。
一斉射撃を喰らわせれば・・・ と思いが、バウンティハンター側 共通認識であった。
「ナメやがって・・・ 先程 グロテノスを倒す時見せた特殊能力を使わず、ガン勝負 随分コケにしやがって・・・」
バウンティハンターの1人が、つぶやく 確かに、そう思える ここにいるバウンティハンターは、銃のプロ 銃の取り扱いに慣れている。
それに相手は、ネクストノイドではない 同じまだ改造を受けていないホモサピエンス・サピエンス(旧人類) 確かに、ネクストノイドと互角以上に戦える未知の特殊能力の持ち主。 だが、その戦闘は余り知られておらず、ヤーナの永井司令官や、あのピエールが、装着する B,P(バトルプロテクター)も装着していない生身の人間 勝ち目があると踏んでいた。
数、火力で、圧倒的有利。
キャラン(浩司)の持つ 本来の戦闘スペックを知っていたならば。こんな無謀な戦いを挑まないはず・・・・
それに見た目の問題もある 平凡・・・ 目立たず、地味な存在。
ピエールの様に、派手で、目立つ戦術的勝利を好まない 少々の戦術的敗北など、戦略的勝利を収めれば取るに足りない・・・ が持論。
ヤーナの永井司令官の様に、組織だって行動もしない 現在 単独。 1人で戦っている。
つまり余りにも情報が少ない。
今回 それが、有利に働いた。
「動いたヤツから殺す・・・・」 かなり低い声での最終通告。
いつもの "死にたくなければ逃げろ 後追いはしない・・・" とは言わない。
「ガン勝負する気か? カッコーつけてナメんじゃねえー」 挑発に乗ったバウンティハンターの1人が、立ち上がり 手に持つAK47軍用ライフル銃を連射。
それに合わせ 周囲のバウンティハンターが、一斉射撃を開始 周囲を突き刺す鋭い銃声が鳴り響く。
無数の銃弾が、キャラン(浩司)に命中 跡形も無く蜂の巣・・・のばず・・・ だが、キャラン(浩司)の身体から発する淡い白い光で、全て防がれる バリヤー まさに光とエネルギーの壁。
全ての銃弾は、地面に力なく落ちる。
呆然とこの光景を見る複数のバウンティハンター そんなバカげた事などない・・・
あのグロテノスでさえ銃弾は喰らう ただ身体に掠り傷1つつけられないが、だが、キャラン(浩司)は、銃弾が、自ら発光している淡い白い光に触れた瞬間 まるで時間が止まったかの様に停止し 地面に力なく落ちる。
有り得ない・・・ 絶対に有り得ないはず・・・ バリヤー・・・ そんな話 聞いた事すらない。
「あいつ人間じゃねえー」
「グロテノス以上のバケモノ(怪物)・・・」
思わず恐怖に満ちた声が漏れる。
「俺達 とんでもないヤツを・・・」 そんな言葉が漏れた瞬間 キャラン(浩司)は動いた。
素早く右手に持つハンドガンを腰だめに構え 左手で、ハンマーを引きトリガーを引く。
まさに西部劇に出て来る アウトローの早撃ちガンマン。
1発の銃声が、周囲に轟く。
同時に、2人のバウンティハンターの腹部が、大きな風穴が開くと同時に2つに斬り引き裂かれる。
確かに、銃声は、1発に聞こえた しかし実は、2発撃っていた。
余りの速さに1発の銃声にしか聞こえなかっただけ。
元々対ネクストノイドのBS(バトルスタイル)に変身後の用に開発された44HPマグナム弾 威力のケタが違い過ぎる。
それにしてもガンマンとしても超1流 まさに、西部で最強のガンマンと言われた サンダンス・キッド(サンダンス・キッドは、左利き 浩司は、右利き)か、ビリー・ザ・キッドと双璧 いやそれ以上。
外観こそ同じS&W M29 44マグナム ガバレル6.5inchモデルを使用しているクリント・イーストウッド主演映画のダーティ・ハリーなど比較すらならない。
素早く動きながら 次々とバウンティハンターを撃ち抜く。
銃弾は、6発 途中 銃弾が空になると、ポケットからスピードローターを取り出し 空になったシリンダー内の薬莢を捨て装填。
クラッシックの効率の悪いリボルバータイプ マガジンを交換するだけで、オートマチックに銃弾を装填出来るオートマチックタイプと違う。
現在主流のマシンピストルタイプなど、マガジンの装弾数 10発、15発、20発などの銃弾が装填されている。
やはり銃撃戦 装填されている銃弾数が多い方が有利。
だがあえて不利と思えるリボルバーを使用するのは、いかにも浩司らしい一面であるのだが・・・
リボルバーに対して、こだわりと、愛着を持っている。
更に、6発全弾命中 6人を片付ける。
残りは、1人 それもこの部隊の指揮官 だが、全身から醸し出す雰囲気が、まるで違う。
「リアルプロ・・・」 キャラン(浩司)は、相手の気を感じながら小さくつぶやく。
「いや こいつは、グロテノス それも最新のハイパータイプ・・・ それも特化したMarkタイプ・・・」
だが、全身から発するエネルギーが、全く異なる。
それに、ネクストノイドの特徴である頭の額のネクスタルがない。
ハッキングしたデータからの情報が脳裏に蘇る。
「まさかサイボーグ?」 小さくつぶやく。
「だがまだ基礎研究段階 実用化は・・・」
だが、アポリスでは実用化した最初のプロトモデル(試作型)を完成させていた。
DNAの問題で、ネクストノイドの改造を受けられないが、高い戦闘ポテンシャルを持つ者の為 大いなる計画に必要不可欠のコマンドー 陸戦 白兵戦用の戦闘に特化し機械化した改造人間。
まさに、バトルウエポン(戦闘兵器)
その最初で、現在唯一のモデル。
ワイルドギース(傭兵)出身 世界各地の紛争地域を 金の為だけに渡り歩いてきた強者(つわもの)。
名前は、キース。
独特の硝煙反応と、死の臭いを身体から撒き散らす戦場の死神。 別名 "死神のキース"。
血をも凍りつかせる程の鋭く冷酷な眼、表情。
キャラン(浩司)の前に立ちはだかる。
徐に、銃を取り出す。
大型オートマチック。
それも現在史上最強の50口径のマグナム弾を使用する デザートイーグル 50AE(50Action-Express)。
どうやら敵も外観こそデザートイーグル 50AEだが、エルのオーバーテクノロジーにより改良タイプ 威力をケタ違いに高めている。
先程の銃撃戦で、廃車であったが、自動車のエンジンをぶち抜いていた。
通常の44マグナム弾や、更に強力な50AE弾でもぶち抜く事は出来ない。
あれは、映画、TV等が、威力を誇張し画いている過ぎない。
対戦車用の劣化ウラン弾などなら可能だが・・・
他だし毒性が強く、重金属毒性、放射性なとで、健康被害が問題になる。
下部のマガジンを抜くと、装填されている銃弾を外し始める。
地面に落ち転がる50AE弾。
マガジン装填数 7発 1発だけを残し フレームに戻す。
「なる程 1発勝負・・・ 面白い・・・」 口元に薄笑い浮かべるキャラン(浩司)。
6発撃ち尽くし 空になった薬莢しか残っていないシリンダーを外し 空の薬莢を捨て、ポケットから最後のスピードローターを取り出す。
もうポケットには、スペアはない。
必要ならば、別宇宙にあるアルファーベースのノルンを呼び出しQCTTシステムを使用し補充出来る。
スピードローターから1発だけを外しシリンダーに装填 シリンダーをフレームに戻す。
どうやらキャラン(浩司)も この勝負 同等の条件でケリ(決着)を付けようと考えた。
お互い1発勝負。
どちらが、速いか? キャラン(浩司)流に言わせれば、どちらが、より遅いか? で決まる。
このキャラン(浩司)の行動を見て、不敵な薄笑いを浮かべるキース。
「バカなやつだぜー」 だが、目尻が笑っている。 無謀にも同等勝負に出るキャラン(浩司)を見て思った。
だが、こう言うイカレタバカが、気に入るタイプでもある。
同じ臭い・・・
死と隣合せ。
死を撒き散らす者・・・
キース自身 早撃ちにかなり自信を持っていた 俺以上に速いやつはいない・・・
現在 更にサイボーグに改造され そのスピード、運動能力は、ケタ違いに速くなっている。
ネクストノイドを除けば、多分世界最速の早撃ちガンマン 他だしサイボーグだが・・・
1発だけ装填されたマガジンを差し込むと同時に、後退していたスライド(遊底)が戻る。
ハンマーは、引かれたままの状態 トリガーを引くだけで、発射出来る。
そのままデザートイーグル 50AEを 左脇のショルダーホルスターに戻す。
キャラン(浩司)も同様 1発だけシリンダーに装填された44HPマグナム だが、右人差し指で数回転させると、ハンマーを引かず ダブルアクションのまま左脇のショルダーホルスターに戻す。
曲芸と思わせる早撃ち 実は、キャラン(浩司)もかなりの実力を持っている。
先程 1発にしか聞こえない程の僅かな時間で、2発も撃ち それも別々の場所に命中させている。
あえて不利と思えるハンマーを引かずダブルアクションで挑むのは、その為でない。
別の理由であったが・・・
お互い外観こそ、強力な威力を誇るマグナム弾を使用する リボルバー、オートマチック・ピストルだが、レグ、エルのオーバーテクノロジーにより開発された別物 威力は、ケタ違いのモンスター(怪物)ガン。
さりげなくポケットから1枚の金貨を取り出すキース。
「なあー キャラン(浩司) このコインが地面に落ちた時が勝負だ」
キースは、口元に不敵な笑みを浮かべ言い放つ。
まさに、西部劇。
「いいだろう」
少し左足を後方に引き いつでも左脇のショルダーホルスターから銃を抜く態勢に入るキャラン(浩司)。
「いくぜ」 キースは、右親指で、金貨を弾く。
弾かれた金貨は、回転しながら少し上昇 そのまま優雅に地面へと降下を始める。
ただ風だけが、吹く。
キャラン(浩司)は、両目を閉じ全神経を集中させる。
「少しは、出来るなあー」 それを見ながらキースは、小さくつぶやく。
手馴れた構え 全く自然体 ムダがない。
キースも いつでも左脇のショルダーホルスターから銃を抜ける態勢に入り やはり両目を閉じ、全神経を集中。
この戦いを見守るかの様に、静寂の世界に、ただ風だけが吹く。
まるでスローモーションの様に、回転する金貨が、乾いた音を響かせ、地面へと落下する。
その瞬間 キャラン(浩司)、キース共に、お互い まるで、あ・うん・の呼吸を合わせる様に、右へ動きつつ左脇のショルダーホルスターから銃を抜く。
速い 人の眼には止まらぬ速さ。 とても人間業と思えない。
キャラン(浩司)は、レジェンスの融合者。 キースは、サイボーグ もはや普通の人間ではない。
キャラン(浩司)は、抜くと同時に、左手で、ハンマーを素早く引くと同時に、右人差し指で、トリガーを引く。
全く同時に、キースも右人差し指で、トリガーを引く。
互いに撃った2発の銃声が、大きな 周囲を轟かす1発の銃声にしか聞こえない。
神業としか思えない。 全くの同時。
2人の動きが止まった。
一瞬の静寂。
お互い 銃を持つ右腕が、反動で、少し跳ね上がっている。
互いの口元が、少しクールに笑う。
同時に、互いの左頬に一筋の赤い線が滲む。
血。
互いの撃った弾丸は、命中寸前で、巧みに外されていた。
レジェンスの融合者と、サイボーグ もはや普通の人間ではない スピードもケタ違い 弾丸程度のスピードなどスローなスピードにしか感じない。
間一髪 微妙な差で避けていた。
だが発射された弾丸の威力はすさまじく 弾丸の周囲に発生したソニックブーム(衝撃波)で、左頬に一筋の赤い線 つまり少し切れた為 血が滲んだ。
お互いに、口元が少し微笑む。
「少しは、出来るみたいだなあー」 キースは、少し笑みを浮かべ言い放つ。
ネクストノイド以外 狙ったターゲット(標的)を外した事などなかった。
過去 1対1のサシ勝負 狙ったポイントを外されたのは、初めて。
,狙いは、心臓ではなく、頭の額。
だが、外された。
寸前に避けたのを 見切っていた。
ネクストノイドが、BS(バトルスタイル)に変身後でも グロテノスレベルでは、これ程のスピードで動く事は出来ない。
ここまで、出来る相手 ネクストノイドの まだその眼で戦闘を見てはいないが、上位モデルで、この身体を サイボーグへの改造を施したギルなどのデストロ以外は、いないだろう。 ある意味無上の喜びを感じる。
ネクストノイド以外に、強い相手がいた。
噂通り・・・ いやそれ以上・・・
伊達に、1人で、全世界を支配するネクストノイドに立ち向かい生き延びてきているだけの事ははある。
長年の夢であった互角勝負にふさわしい相手。 本来持つキャラン(浩司)のポテンシャルを知っていたならば、その様な考えは思い浮かばなかっただろう。
エネルギーの変動の激しいレジェンス 戦闘中にでさえ大きく変動する。 その為 いったいどれ程の実力なのか? 余り良く解かっていない。
最もこの問題に、1番困っているのは、実は融合者であるキャラン(浩司)自身。
デストロである最高幹部クラスでさえ 正確な実力が把握していない。
末端の兵士には、そのような情報は、届いていない。
DNAに異常を持つキース ネクストノイドへの改造を受ける事が出来なかった。
だがある戦闘中 瀕死の重傷 身体の大半を失う。
だが、本来持つ特殊部隊の1兵士としての戦闘能力の高さ それに眼を付けたギルにより 更に戦闘能力、運動神経、反射神経を高める為 まだ実験段階であった サイボーグへの改造手術を施された。
得意とする 陸戦 それも1対1の対決に特化 ネクストノイド以外の近接、白兵戦用最強のコマンドーとして。
銃の名手、銃の早撃ちの使い手、コードナンバー CY000(シー、ワイ、ダブルオーゼロ)。
「ふ・ふ・ふ・・・・」 突然天を見上げ大声で笑い出すキース。 実に愉快と言う表情。
「お遊びはここまでた。 どうやら本気を出さねばならぬ相手らしい・・・」
まだ本来の実力は、この程度ではないと言い方。 余裕すら感じさせる。
「勝負だ」 そう言いながらキースは、右手で左手を掴み時計回りに回し始める。
サイボーグ 機械化した身体 外れた左手首から6連射型のガトリング砲の銃身が現れた。 口径そのものは、かなり小型 多分22口径もないだろう。 だが不気味な光を放っている。 どうやら銃弾を発射するタイプではなく 光粒子弾を発射するタイプ。
体内にあるエネルギー発生装置からエネルギーが供給されるモデル。
「今度は、先程のようにはゆかないぞー」 不敵な笑みを浮かべるキース。
左腕の銃口をキャラン(浩司)に向ける。
だが、瞬き1つしないキャラン(浩司)。
手に持つ銃のシリンダーを外し空になった1発しか装填されていなかった薬莢を捨て 5発残していた最後のスピードローターの弾丸を装填 フレームに戻し いつもの癖である慣れた手つきで、右人差し指で、後ろに数回転させ 逆に前に1回転 銃口を上に向けた状態で、グリップを右手でしっかり握る。
これだけあれば十分と言った余裕の表情を浮かべる。
どやら最後までガン勝負。
相手は、生身の人間ではない もはや戦闘用に改造されたサイボーグ 遠慮はいらない。
レジェンスのエネルギーも高まっている 不安定ながら何とかコントロール出来るレベル。
油断は、大敵、禁物だが、無理にレジェンスのエネルギーを利用する程ではない。
それに、先程から上空 それも成層圏を突破したポイント つまり地球衛星軌道上から 何か? 目に見えない光線? 多分マイクロレーザー波の1種に、ロックオンされた感覚がある。
軍事 それも攻撃型人工衛星の1基だろう ソーラーパネルで発電し 地上のポイント(目標)にピンポイントに狙い破壊する アポリスが、エルのオーバーテクノロジーにより開発した重量子加速砲搭載の攻撃型衛星。
元々BP(バトルプロテクター)を装着した 永井、ピエール用のはず・・・・
まだテスト試射は、行われていないが、この俺を最初のターゲット(目標)にでも変更したのだろう・・・
戦略上無意味な戦闘 丁度良いチャンスと見たのだろう 多分 ギル・・・ いや あいつは違う シンか? シンは、変にハードウエアーに固執していると言う。
何だか 下らない新兵器とやらを 大量に開発しているらしい・・・・
まあ こちらは、ノルンに任せるとしよう。
ステルス製攻撃型人工衛星ポッパーの1基を数分以内に、攻撃目標に移動出来る。
搭載されている未使用の2門の大型ブラスター砲が、初めて火を噴く事になるが・・・
この辺は、余り知られたくないが・・・・
それより 小型の隕石でもぶつけようか? だが人工衛星本体を守る為 数基の多弾道型ミサイルランチャーや、数門の小型レーザー砲は、装備されているはず。 確実に仕留めるには やはりホッパーのブラスターの方が間違いない。
そんな事を考えながらも ノルンとテレパーによる会話 全てノルンに一任 確実に、1発で、仕留めるを条件。
その間 キースとのお互いの駆け引き 心理戦の会話が続いた。
突然 上空に、小さな怪光が光った。
ノルンから 作戦成功のテレパシーが届く。
2門のブラスター砲が、初めて実戦で火を噴いた 跡形も無くアポリスの攻撃型人工衛星は消滅。
薄笑みを浮かべるキャラン(浩司)。
戦争、戦闘と言え 人を殺すのには、ためらいを持つが、無人の兵器に対しては、何らためらいも持たない。
後は、キースとの勝負のみ。




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