LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 放浪 Par5

 1人の少女が、透明の液体に満たされた大きな円柱型のカップセルの中にいた。
一糸纏わぬ裸 両手で折り曲げた両膝を抱え 鼻と口に酸素マスクが掛けられている。
年齢は、どう見ても7〜8歳程度 幼い少女。
ここは、日本の関東地方 首都T近郊にある アジア最大のネクストノイド改造病院に併設されている研究所の内部の極秘研究室 最高レベルのIDカード所持者しか入る事の許されない研究室。
白髪の長い髪に、白い髭を伸ばした老人が、カプセルの中の幼い少女をたただ無言に見つめている。
この老人の額には、青のネクスタルが輝いている そうこの老人 8大将軍デストロの1人にして、リーダー格 かって我々人類が、神々と呼び、又はエルとも呼んだEBE's(イーバーズ)の残した超高度オーバーテクノロジーの第1研究者にして、特に、ネクストノイドの改造の中心人物にして、第1人者でもある あのギル。
ここは、ネクストノイド改造病院内にあるポットと呼ばれるカプセルもあるが、通常のポットとは、かなり異なっている。
どうやら最新鋭の特殊なグロテノスである ハイパーグロテノスなどを研究、開発する現場であるようだ。
だが、ネクストノイドの改造を受けられるのは、本人の自由意思であるが、男女共18歳以上と制限されている。
あえて、この少女に、今 研究段階のある人体実験を施し 研究中の最新プロトタイプのグロテノスへの改造を施そうとしていた。
この少女は、稀に見るネクストノイドのグロテノスへの適合率を誇っていた。 しかしそれだけが、このまだ研究段階の実験を踏み切らせる要因ではなかった。
それは、この少女の約1ヶ月の出来事が、大きく起因していた。
そう約1ヶ月前のある日の出来事であった。

 この少女の名前は、妙子 両親と1人娘の家庭 父親は、大企業、公務員程ではないものの ある程度各種特権に恵まれた小規模企業 建設機材資材会社の営業サラリーマン 仕事の関係上 裏社会のカモフラージュ用の表の部分などの関連会社と繋がりが深く そこで作り上げた人脈と言えば聞こえが良いが、実は、そこで知り合い親しく付き合い始めて、裏社会との強固なコネを築き上げ、優先的にネクストノイドへの適性検査が受け 結果グロテノスへの改造適合率が標準的であったが、ここでも強固に築き上げたコネねがモノを言い 優先的に改造が受けられた。 アポリスの世界支配後 新たな身分制度が、急速に浸透したこの時代 ネクストノイドの1種であるグロテノスへの改造を受けた者は、進化した新人類であり エリートと言う事で、引く手の余る程 大企業、高級官僚などの重要ポストへのエリートコースへ転職 出世街道へ乗る事が出来る。 妙子の父親もその例にならい 某大手企業へスカウトされ転職 エリートコースの道を歩み始めていた。
今までの平凡な生活が、一変 裕福なエリート・サラリーマン階級の憧れの生活 首都Tの高級住宅地に一軒家を構えるなど夢の生活を実現 母親もグロテノスへの改造手術を優先的に受け 更に生活は向上 妙子も新人類 ネクストノイド予備者の為の エリート養成学校へ転入 バラ色の将来が、約束されていた。
そんなある日 妙子は、両親共に、首都Tの有名な繁華街にショピングに出かけた。
その日 その場所にいた為 妙子の約束されたバラ色の将来を失う結果になるとは知らず。

 その日 浩司と、みなっちは、首都Tの有名な繁華街にいた。
久し振りのデート? と呼ぶべきか? みなっちは、浩司の左腕を両手で抱きしめ ルンルン気分のうれしそうな笑顔 こんなデートいつの日以来か? 生死を掛ける地獄の修羅場の戦闘に明け暮れる日々が続いていた。
いつ死んでしまうか? の日々に怯え 今日 果たして生きていられるのか?
本当に、明日と言う日があるのか?
だが、戦士にも休息が必要 こんな日もあってもいい。
浩司は、肉体的には、レジェンスと融合している為 不老であり 全く疲れない だが、精神面は、全く別 常に激しい戦闘が続き それもたった1人での戦い 想像絶する精神面の疲労が蓄積している。
だか、そんな寝言は、許されない 浩司には、守らなければならない大事な女性 みなっちがいる。
平凡な元の生活を取り戻すため 戦い続けなければならない。
もうすぐ みなっちのバースディ(誕生日) 今日は、みなっちのバースディ・プレゼントを購入 その後 一緒に食事と、久し振りに、楽しい1日が予定されていた。
浩司も みなっちも 全世界に指名手配されている賞金首 特に、浩司は、最重要指名手配犯 その首には、とてつもない金額の賞金、各種特権が掛かっている。
コア4(フォー)と、呼ばれる最高ランクの賞金首であった。 後は、ヤーナの マーク議長、永井最高司令官、ピエール神父。
WANTED、DEAD OR ALIVE(生死を問わず)の文字が並び、その顔を知らない者は、存在しない。
しかし浩司は、全くの平凡な男 目立った特長も少なく 指名手配の写真も戦闘中 よく見せる冷酷非情な表情の写真の為 普段と、かなり顔つきが違う。
その為 大都市の繁華街など歩いていても よく似た人物程度にしか思われない 何と言っても普段は、さえない顔の男 似ているが別人に見えてしまう。
人混みに紛れてしまうと、全く解からなくなる。
全く目立たない。
みなっちも同様 愛らしく、かなりの童顔 その為 メイクの仕方1つで、別人に変わってしまい 年齢より かなり若く見られ だれも可愛い彼女程度にしか見えない。
多くの人混みの中では、平凡で、さえない彼氏と、愛らしく可愛いく素敵な彼女のカップル程度。
それに、浩司も みなっちも ヤーナから離脱する際 川村より 所持が義務付けられている本物の データなどを偽装したIDカードを複数所持しており 過去何回も 警察に職務質問された際 IDカードを提出 丹念にIDカードを調べられたが、全く気づかれなかった。
浩司など、「よく似た顔で、間違えられて・・・」 などと、よく言って苦笑いをうかべいる。
これで、騙されてしまうのだが、今回 この日だけは、違っていた。
タイミングが悪いと言えば、それまでだが・・・
みなっちが、デパートのショーウインドウに飾られている 最新流行のファッシューョンを眺めている時だった。
浩司は、こう言う物には興味がない 世の男性のほとんどがそうだが、女のショッピングは、無駄な時間が多く長い。
みなっちは、憧れの瞳で、最新流行のファッションのコーデネイトされたデスプレイを眺めている 多分自分が、着用した時をイメージしているのであろう? 世の中のほとんどの女性がそうであるように・・・
少しでもオシャレをして、他の女性に差を付けたい・・・女同士の微妙なライバル心の現われ。
みなっちは、胸こそ 身長などから考えても 平凡な大きさだが、スタイルは、良く ウエストの括れももはっきりっとしており スタイルは、抜群に良い それに可愛く、愛らしい童顔 その為 最新のファッションなど良く似あう。
そんなみなっちを見つめる浩司。
いつも何もしてあげられない思いが浩司の頭の中を過っていた。
みなっちには、色々世話になっている。
それに、蛇(じゃ)の道は蛇(へび)で、お金もある程度 この時点では、持っていた。
結構な金額だが、買えない金額ではない。
みなっちのバースディプレゼントに、丁度で手頃な金額だと思い 購入を考えた。
その時だった。
鋭い殺気? いや少し違う だが、身体を貫く強い視線と、何と表現すべきか? 強い気配、気・・・を感じた。
地獄の修羅場を何度も経験している浩司 こう言う感覚は、研ぎ澄まされている。
この感覚 見覚えが何度もある。
それに、何故だか 似使わない異様に、なまめかしさまでを漂わせている。
非常に、やりにくく、厄介な相手を趣旨している。
ハイパーグロテノスの1種 ハイパービューカーにして、人類始まってい以来の最高の美貌と、プロポーションを持つ 史上最高にして、最強の美女 リン。
「お久しぶりね 私の愛おしのダーリン」 妙に艶やかで、色艶のあるなまめかしい声が、鬱蒼と多くの人々で、行き交う 繁華街に響く。
まさに、有名、著名人にように、大きなつばの広い帽子を被り 黒の大きなサングラスを掛けた タイトの超ミニスカート 170cmとやや長身のリン そっとサングラスを外しキャラン(浩司)を色目たっぷりに見つめる。
後ろには、2人のいかにもその道のプロと言わんばかりの 全身筋肉の鎧で覆われている様な強屈そうな大柄の男が、控えている。
どうやら新型のプロトタイプ(試作型)・・・ キャラン(浩司)には、そう感じた。
それより問題は、リンである。 やっかいな時 必ずお邪魔虫の様に現れる。
今日は、みなっちと久しぶりの大事なデートだ。
「あのー・・・ だれをお呼びで?」 キャラン(浩司)は、いつものおとぼけを開始した。
ここは、演技力勝負 とにかくすっとぼけて、誤魔化すしかない。
ここはネクストノイド、もしくは、改造待ちの者専用の中心繁華街 今 ここで戦闘に入る事が出来ない。
無用な戦闘は、極力避ける。 ここで戦闘を開始すれば、また無益な血が大量に流れる。
それに、みなっちを守りながらの戦闘は、ハンディが大きい。
様々な理由がある。
「あらー 可愛いわね とぼけちゃって・・・ こんなに美しい私の顔を忘れたとは言わせないわよー それに、あなたが、どんなに否定しても あなかから感じる力 あなたが、キャラン(浩司)である事を教えてくれているわー」
色目を使い ウインクしながらなめかわしくキャラン(浩司)に近づく。
浩司の後方直ぐのポイントから 人体を突き刺す鋭い視線が飛んでいる。
背中には、大量の冷や汗が流れ落ちる。
みなっちに取って、リンは、敵。
平凡で、これと言って・・・ いや壊滅的ひねくれた性格以外とりえの無いこーちゃんが、何故? 悔しいが、絶世の美貌、スタイルを誇る 史上最強の美女 あのリンに、ここまで露骨に言い寄られるのか? 史上最大の不思議だ。
こーちゃんは、私1人の独占私有物 だれにも渡さない。
リンが、キャラン(浩司)の至近距離まで近づく。
浩司が、キャラン(浩司)である事を否定しながらすっとぼけた返答繰り返している。
「あの有名な 史上最強の美女 リンさんでしょう 初めてマジカで見られて・・・ それにしても噂以上に、言葉に表現出来ない美しさ 間違えとは言え そんな人に声をかけてもらえるなんて 生涯最高の幸せ・・・」 などと、後にいるみなっちの気持ちを逆なでするような返答ばかりを繰り返していた。
「そこまで、否定するのなら」 リンは、後に控えている2人の大男に眼で、サインを送る。
2人の大男の額のネクスタルが、光る BS(バトルスタイル)に変身を開始する。
瞬時 初めてみる新型プロトタイプ(試作型)。
どう見ても 今までのグロテノスとは、かなり異様である。 まるで微生物の様な形態。
キャラン(浩司)は、この微生物の形態に見覚えがあった。
史上最強の生命体と称せられる 微生物の1種 クマムシに似ている。
何といっても その特徴が、この地球上に存在する生命体の中でスパ抜けている。
乾燥 : 通常は体重の85%をしめる水分を0.05%まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。
温度 : 151℃の高温から、ほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで耐える。
圧力 : 真空から75,000気圧の高圧まで耐える。
放射線 : 高線量の紫外線、X線等の放射線に耐える。X線の致死線量は57万レントゲン(ヒトの致死線量は500レントゲン)
など、とても生命体とは、信じる事の出来ない驚異的ポテンシャルを誇る。
「後ろにいる2体が、キャラン(浩司)貴様様に研究、開発された ハイパーグロテノスのプロトタイプ ハイパークマンガー」
リンは高らかに宣言する。
8大将軍デストロの1体 ギルが、これまでのキャラン(浩司)の戦闘データを徹底的に分析 対キャラン('浩司)用に特化専用開発したプロトタイプ。 
その為 スペックだけは、異常に高い だが、その反動によるデメリットも非常に大きい その弱点をリンは知っている。
キャラン(浩司)も戦闘中 それを知る事になる。
「だが、貴様倒し この私の前にひれ伏せさせるのは、この私 リンだ」
リンは、ニヤリと笑みを浮かべながらだれにも聞かれないようつぶやく。
当のキャラン(浩司)は、我関せず、赤の他人・・・と言った表情 相変わらずすっとボケている。
「・・・あの・・・ 何か、とんでもない人違いをしっいらっとゃるのでは・・・」
あくまでもシラを切る このまま ここでの戦闘を避ける ここでは戦えない。
ここにいる多くの買い物客は、ネクストノイド もしくは、改造待ちの特権階級だ だが大半は、非戦闘員の民間人 ここで戦闘を起せば 益々立場が悪くなる。 確かに浩司自身 自ら正義などの存在しない死語を気取るつもりなどない。 自ら一匹狼のアウトローだとさえ思っている。 だが不要な戦闘、無駄な意味の無い戦闘による殺傷を極力避けたい。
たった1人で、全世界を敵に回しても勝てない 現状 その状況と言っても過言はない。
周囲は全て敵だらけ・・・ だがこれ以上不要な敵を増やさない事も重要。

 リンは、シラを切り すっとぼけた返答ばかり繰り返す 自称キャラン(浩司)でないと言い切る相手を 少しなまめかしい眼つきで見つめていた。
一応 後ろの2人のBS(バトルスタイル) ハイパーグロテノス・プロトタイプ ハイパークマンガーの姿を見て 怯えた表情で、一緒にいる彼女とゆっくり後退している。 だがその眼を見れば理解出来る。
全くの隙が無い 相手の戦闘能力を計り 僅かな隙を狙っている。
それに、この騒ぎを聞き付け ここにいた多くの買い物客が集まりだした。
チャンス ここにいる買い物客の多くは、既にネクストノイドのグロテノスへの改造済み キャラン(浩司)の首に掛かる莫大な賞金、特権など その手に入れたい者が多い。 多分私の一声で、ここにいるネクストノイドおは、キャラン(浩司)の首を狙い BS(バトルスタイル)である 各々のグロテノスに変身しキャラン(浩司)に襲いかかる。
だが、この程度の相手 キャラン(浩司)の敵ではない。
今 この場で、キャラン(浩司)を倒すことではない 重要なのは、更にキャラン(浩司)の無限とも思える戦闘能力などのデータを取る事 今 後ろにいる2体の対キャラン(浩司)用に開発された 最初のプロトタイプ(試作型)のハイパークマンガーは、あくまでも最初のプロトタイプ(試作型)であり 対キャラン(浩司)用の完成品ではない。 ここで戦闘を行わせ各種戦闘データを集め 今後の開発に役立てる 対キャラン(浩司)の究極の完成品は、これらの戦闘データを元に、この私 リンのハイパービューカーを更に改造させ完成となるべきだ。
リンは、キャラン(浩司)をなまめかしい眼つきで見つめながら薄く微笑む。

この周囲に集まった多くのギャラリーの中に、1組の親子連れ3人もいた。 そう妙子と、その両親。
ここに集まった多くのギャラリーは、やはりリンの余りの美しさに、心酔した表情を浮かべ 対峙しているキャラン(浩司)、みなっちの存在に興味を示していなかった。 だが、ここにいた1人の男が、キャラン(浩司)の存在に気付いた。
その男は、欲に目が眩んだ表情を浮かべながらもキャラン(浩司)の顔をじっくり観察 平凡なルックス、体型のキャラン(浩司)であったが、リンの言動などを考え ある結論にはたっした 今 リンと対峙している男 あのコア4と呼ばれる最高ランクの賞金首 キャラン・サンダンス。
コア4の中でもずば抜けて高額な賞金、特権が掛けられている人物。
だからこそあのリンが、何もこれと言って特徴もない平凡な男に、しつこく迫っている。
そして、徐にキャラン(浩司)を指差し大声で叫んだ。
「あの男 最高ランクの賞金首で、我らネクストノイドの敵 キャラン(浩司)だー」
その瞬間 ここに集まった多くのギャラリーが、一斉にキャラン(浩司)に注目 1部のギャラリーは、その高額な賞金、与えられる各種特権などに、欲に目が奪われ 大きなどよめき上げ その眼は、早くも欲にまみれた眼付きで、キャラン(浩司)を睨む。
せっかちで、気の早いネクストノイドは、何も確かめず、あの男がキャラン(浩司)と勝手に決め付け その莫大な賞金、各種与えられる特権に眼がくらみ 早くもBS(バトルスタイル)である 各々グロテノスに変身を開始 あちらこちらで、額に埋め込まれている 赤のネクスタルが輝きだす。
妙子の両親も 周囲に遅れまいと、BS(バトルスタイル)に変身 変身完了後 妙子に「危ないから 後ろの安全に場所に隠れていなさい」 やさしく声を掛ける。
もしここで、キャラン(浩司)の首を仕留めれば、更にバラ色の人生が約束され 娘 妙子に更により良い生活、最高級の教育機会などを受けさせる事が出来る。
たった1人の娘 妙子に対する親の愛情でもあった。

 リンからのテレパシーで、キャラン(浩司)の出現を知ったギル。
ここは、首都Tにある アポリスの日本総本部の中央指令室。
すぐさま指令室にいる部下に、リンのいる場所をモニターに映す用命令を下す。
マルチに切り替えられた超大型モニターに、リンを始め ここにいたネクストノイドが、BS(バトルスタイル)である各グロテノスに変身するシーンが映し出された。
「こんな所にいたかー・・・」
ギルは、小声で、薄笑みを浮かべながらもつぶやく 全くの神出鬼没 突然 何の前触れもなく姿を現したかと思うと、何事もなかったように、忽然と姿をくらます。
重要な戦略上の拠点を次々と破壊される。 全く厄介なゲリラ戦術だ。
まだやつの戦略上の目的が、はっきりとしない。
戦術的勝利を重ね 戦略的意義を見出す・・・など 程度の知れた事をする人物ではない。
ああ見えても 一応 戦略家としての資質を育む人物だ。
戦略上の勝利の意義、意味をよく熟知している。
戦略上の目的を持って行動しているはず。
だが、ここで見つけたのは幸い ここにいる多くの民間人であるが、キャラン(浩司)に掛かる 莫大な賞金、各種特権などに、眼が眩んだネクストノイドが、そのBS(バトルスタイル)である グロテノスに変身 キャラン(浩司)の首に狙いを付けている。
グロテノスに変身したネクストノイドを利用 テレパシーで、マインドコントロール(精神支配)し、キャラン(浩司)との戦闘を開始させる。
キャラン(浩司)は、ネクストノイドと言っても 軍人以外の非戦闘員である民間人との戦闘を極力避ける傾向がある。
非情に徹し切れない 精神面での弱さ、モロさを持ち合わせている。
うまく利用すれば、キャラン(浩司)を生け捕りに出来る。
色々な考え、思惑が、ギルの脳裏を過ぎる。
キャラン(浩司)を生け捕りし やつの持つレジェンスを奪い取る事が出来ればベストであるが、レジェンスは、相手を選ぶ 選んだ相手と融合し無限とも思える驚異のポテンシャル・エネルギーを発揮する だが、選んだ融合者以外は、拒絶する。 もし強引にレジェンスに触れ奪い取ろうとすれば、その驚異の無限とも思えるポテンシャル・エネルギーで、敵とみなし触れた相手を消滅させる。
レジェンスは、気まぐれ 融合する相手の明確な基準が、存在しない。
キャラン(浩司)自身 単なる気まぐれで、選ばれた融合した融合者に過ぎない。
融合者は、自らレジェンスとの融合を解除出来ない。
融合を解除するかは、レジェンスの気まぐれ 選択権は、レジェンスにある。
ギルが調べた限り エルの最高機密にある レジェンスの研究データ。
キャラン(浩司)が、最初の融合者ではない 無数に存在する多重宇宙の色々な生命体が、過去 融合している。
だか、融合した生命体が、1つの宇宙を支配した形跡がない。
レジェンスの持つ 無限と思える驚異のポテンシャル・エネルギーのコントロールが、難しいのが、原因であるようだが、他にも あのキャラン(浩司)同様 宇宙の1つを支配しようなど、野心を持っていないのばかりだ。
実に興味深い。
あれだけのポテンシャル・エネルギーがあれば、1つの宇宙どころか、多数の宇宙をも同時に支配出来る。
今のキャラン(浩司)も 本気にレジェンスの持つ無限と思える驚異のポテンシャル・エネルギーを利用すれば、我々ネクストノイドを瞬時に、滅ぼす事も出来る。
その気になれば、この地球どころか、この宇宙さえ瞬時に、消滅させる事が出来る。
だが、キャラン(浩司)は、全くそんな気がない。
守るべき少数 それも恋人の幸田 美那美と、親友の川村、そのフィアンセで、戦死した百合だけだ。
キャラン(浩司)のやつに言わせれば、降りかかる火の粉を振り落とす様な戦いだ。
自らの狭い範囲を守る為の自衛権を行使しているに過ぎない。
それに、最近 人類の持つテクノロジーでは、不可能 エルの残したオーバーテクノロジーとは別のオーバーテクノロジーを所持し それを携帯用の武器として、利用を始めている。
まだ寄与しているのは、少数の仲間だけ 本来の人類の持つテクノロジーを悠に超える驚異のオーバーテクノロジーを所持する事によるリスク、デメリットなどを考えての行動 元々コントロール出来ないテクノロジーによるハードウエアーを忌み嫌っている。
無用の長物と言う考えの持ち主だ。
このオーバーテクノロジーを 我々ネクストノイドと、敵対勢力側に寄与した場合 それらを横流しする者が、必然的現れ 後々色々面倒な事が起こるのを危惧しているのだろう・・・ キャラン(浩司)らしい一面だ。
それにしても あのキャラン(浩司)の持つ オーバーテクノロジーは、驚異的だ。
エルのオーバーテクノロジーを凌駕してる。
キャラン(浩司) 使用した あのエネルギービーム、エネルギー弾を発射するライフル銃 必要に応じ 瞬時に、キャラン(浩司)の手に現れ 不要となると、瞬時に消滅する。
まるで魔法のようだ。
ライフル銃などの物質を量子転換させ、量子テレポーテーションで、自由に、瞬時に移動させているのか?
エルの残したオーバーテクノロジーオーバーテクノロジーiには、その様なテクノロジーはない。
いったい どこで手にいれたのか?
それとも 我々の知らないエル以外のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)と、何らかのコンタクトを取り 協定でも結んで、そこから寄与されてるのか?
まあー その辺の詮索は、後でいい それよも今重要なのは、今ここに現れたキャラン(浩司)をどうするかだ。
当初の予定通り 計画を実行に移すべきだろう・・・・
今 まともに戦っても戦術上の勝利は、無理だ。
だが、現在 戦略上の勝利を収め ここ地球、人類を支配しているのは、我々ネクストノイドだ。
キャラン(浩司)が、どんなにもがいても 戦略上の勝利をくつがえさせられない。 たった1人では何も出来ない。
唯一取れる方法は、我々ネクストノイド事 この地球を 完全消滅させる事だが、キャラン(浩司)のやつには、それは出来ぬ 我々ネクストノイド事 この地球を 完全消滅させる事は、勝利でない事を良く知っている。
その力、エネルギーを持ちながら 今だ行使しておらぬ・・・ キャラン(浩司)の戦略上の勝利は、他にあるはずじゃ 多分ネクストノイドだけを消滅させる事じゃろう・・・
まあーその辺は、良い。
丁度良いタイミングで、キャラン(浩司)のやつは、現れてくれたわい キャラン(浩司)のやつ様に開発した まだプロトイプ(試作型)の第1号タイプのハイパークマンガーが、2体 丁度良い実戦での戦闘データが取れる。
現状のハイパークマンガーでは、キャラン(浩司)の敵にはなりえぬ。
だが、貴重データを収集出来る。
あの2体は、データ収集の為に作られたプロトタイプ(試作型)。
キャラン(浩司)の戦闘データを収集し、それらを今後開発する新型ネクストノイドにフィードバックさせ 最終的には、キャラン(浩司)の融合しているレジェンスに対抗出来るエネルギー、戦闘能力を持つネクストノイドを開発 最終的には、それをアピリム様にフィードバック させ アピリム様を宇宙最強にする事じゃ それが最終目標である"大いなる計画"の実現につながる。
ギルは、薄く笑いを浮かべた。
奪う事が出来なければ、それ以上のモノを人工的に作り上げれば良い。
モニター画面に映し出されるキャラン(浩司)の映像を見ながら ギルは、精神を集中させる。
キャラン(浩司)と、恋人のみなっちを取り囲む 民間人ながらグロテノスへの改造を受けたネクストノイドへテレパシーを送信する。
テレパシーにより下位のグロテノスの精神をマインドコントロール(精神支配)し 思うがままコントロールする。
ギルのテレパシーを受信した ここにいる まだBS(バトルスタイル)であるグロテノスへの変身をしていない 他のネクストノイドも一斉に、変身を始める。
ほとんど全てと言って良い程 変身前は、平凡な人々の眼つきであったが、ギルのテレパシーに受信による マインドコントロール(精神支配)によって、全員 血に飢えた肉食獣が、ターゲット(獲物)を狙う鋭い眼つきに変わる。
その表情には、人間として、自由に思考する・・・などの意識は、感じられない。
あるのは、他だ命令に従い、何も考えず、命令を実行するだけの 冷血、無情・・・ もはや人間としての尊厳を失った 他だの生体兵器 兵器には、人間としての自由な思考はない。
与えられた命令を忠実に実行するのみ。
まさに、生体兵器。

ギルのテレパシーによる命令に従い リンは、後退を始める。
同時に、2体のハイパークマンガーが、キャラン(浩司)に、ゆっくりと近づく。
キャラン(浩司)は、自身の最大の演技力を動員 怯えた表情を見せながら さりげなくみなっちを自分の後方に下げる。
「あのー 本当に、人違い・・・ ただ似ているだけ・・・」 言葉とは、裏腹に、右腰のベルトのフックに下げ隠している高周波セイバーのバトンをいつでも取り出せるようにしていた。
もはや 逃れられない。
みなっちを守りつつ 血路を開き脱出 タイミングを計りテレポーテション それしか方法が思い浮かばない。
だが、みなっちは、レジェンスのエネルギーを利用したバリヤー内に入れ、テレポーテーションもしは、超高速移動をすると、直ぐに体調を崩す。
空間、次元の移動が体質に合わないらしい。
出来ればこの方法を使いたくなかった。
そんな事を考えている時だった。
突如 後ろからみなっちの悲鳴が上がった。
後方にいた数体のグロテノスが、みなっちを強引に拉致しようと近づき腕を伸ばした。
もはやすっとボケの演技は、ここまで。
キャラン(浩司)は、レジェンスの戦闘モードに、瞬時に入る。
胸のペンダントにあるレジェンスから無限のエネルギーが、キャラン(浩司)の全身を駆け巡る。
同時に、全身から淡い白い光が発光。
キャラン(浩司)は、戦闘モードに入ると同時に、右腰のベルトのフックに掛けている高周波セイバーを手に取り スイッチを入れる。
バトンから刀が伸び、低いハム音と同時に、刀全体から青白い高周波による光が発生。
みなっちを拉致しようとした数体のグロテノスの腕を 眼にも止まらぬ速さで切断 同時に、腕を切断した数体のグロテノスを次々と腹部を蹴り 大きく蹴り飛ばす。
腕を切断され 大きく蹴り飛ばされた数体のグロテノス 最初 切断された腕から大量の出血 呻き声を上げ苦しい表情を浮かべていたが、体内にある大量のナノマシーンにより 出血が止まる。
だが、再生する能力はない。
「ようやく 本性を現したわね 私の愛しのダーリン」
その様子を見て、うれしさと、なまめかしさを浮かべキャラン(浩司)を見つめるリン。
キャラン(浩司)は、みなっちを自分の背中に回し 高周波セイバーを中段に構える。
「死にたいやつから掛かってきな 死にたくなければ、今直ぐここから立ち去れ 後追いしない」
いつもの捨てゼリフを言い放つキャラン(浩司) どうせ テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を受け 自由な思考奪われた もはや他だの 命令に絶対服従の生体兵器 ムダである事を知りつつも・・・・
出来れば、この場での無駄な戦闘を避けたい本音が見え隠れする。
じりっじりっとキャラン(浩司)と、みなっちを取り囲む包囲網が狭まる。
半円球型の陣形。 ゆっくりと後方へ下がるも 巨大なビルの壁へと追い詰められる。
上空にも いつの間にか、飛行タイプのグロテノス数体が、低空飛行を繰り返しながら 攻撃のチャンスを窺っている。
だが、キャラン(浩司)の眼に、あせりはない。
いつも戦いは、孤立無援 だが、今回は、後ろに、みなっちがいる。
みなっちがいなければ、この程度 問題にしない。
戦場では、・・・たら・・・ ・・・れば・・・ は、禁句。
そうならないよう あらゆる状況を考え 相手を大幅に上回る戦力を整え 遊兵を作らず 相手を大幅に上回る戦力で、一気に勝負を付けるのが戦略の基本 その為の戦力を整えることこそ 戦略家の基本・・・ だが、キャラン(浩司)には、戦力は、己 ただ1人と言って良い状態。
ないものねだりしても仕方がない。
元々典型的自営業者の家庭に生まれ育ち 何事も他人に頼らず 何事も自分自身の力だけを信じ切り開く 決して群れることのない 典型的1匹狼の資質を育んでいる。
仲間を増やす努力を怠ってきた。
前方の数体のグロテノスが、キャラン(浩司)に向け突撃。
だが、これは、フェイント 左側から 2体の男女のグロテノスが、キャラン(浩司)が、前方のフェイント掛けたグロテノスに注意を向けた瞬間 みなっちに、襲いかかった。
素早く反応するキャラン(浩司)。
みなっちに、襲いかかった2体の男女のグロテノスを 1体は、胴体 もう1体は、頭から 手に持つ高周波セイバーで、切り裂く。
2つに切り裂かれ 地面に倒れる 2体の男女のグロテノス。
同時に、幼い少女の悲痛な叫び声が・・・
「パパー、ママー!!」
そう切り裂かれた2体の男女のグロテノス 妙子の両親。
少し離れた場所で、グロテノスに変身した両親が、切り裂かれるシーンを目撃した。
だがここは戦場 だれも気もとめない。
ここにいるほとんどの人々は、ネクストノイドであり グロテノスに自らの身体を改造 更に、デストロであるギルによって、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)を受けている。
他だの生体兵器としてのマリオネット(操り人形) 人間としての自由な思考、心、感情など持ち合わせていない。
他だ命令されるまま 敵 キャラン(浩司)を倒す事しかない。
妙子は、小走りに、無残に切り裂かれたグロテノスに変身した両親の元へ。
愛する両親を 眼の前で、切り裂かれるシーンを目撃し 呆然自失となり両膝から崩れる様地面に跪く妙子。
両手で、両眼を抑え、止めようがなく零れ落ちる涙の雫 何も考えられない状態。
そして、少し離れた場所では、まるで鬼神の様な冷酷非情の表情を浮かべ 後ろのみなっちを守りつつ 次々と襲い掛かるグロテノスを高周波セイバーで切り裂く 愛する両親を殺した憎き敵 キャラン(浩司)の姿が映る。
上空、低空飛行で、旋回を繰り返していた飛行タイプの数体のグロテノスからの援護攻撃が始まる。
飛行タイプのグロテノスからのエネルギービーム、エネルギー弾を バリヤーで、みなっちを包み込み耐えるキャラン(浩司)。
一瞬の攻撃の間を逃さない バリヤー解除と同時に、左腕を伸ばし 左手からショットアタックを発射 次々と、飛行タイプのグロテノスを撃墜。
激しい戦闘 ネクストノイドもしくは、改造待ちの為に作られた オシャレで高級なショッピングモールは、次々と破壊されガレキとなる。
「このままじゃ・・・」 キャラン(浩司)は、つぶやく。
戦局は、悪化している。
下手な戦いを強いられていた。
このまま手こずっていては、正規軍が現れる。 早めに血路を開き ここから脱出を図らなければ、益々不利な状況へと追い詰められる。
だが、自由に動けない。
後ろには、絶対守らなければならないみなっちがいる。
数々の戦闘を見て、場慣れこそしているが、浩司の背中の後ろに隠れ 小柄で、華奢な身体を小さくし 必死に耐えている。
早くみなっちを安全な場所に隠し 自由に動きたい。
「ほ・ほー そんなにその小娘が大事・・・・」
全く動けず、目の前に迫ったグロテノスを倒す キャラン(浩司)を嘲笑するリンの声が響く。
少し後方で、BS(バトルスタイル)である ハイパービューカーに変身せず。
この戦闘を眺めている。
「そんな小娘など さっさと捨てておしまい 本物の女である 私に跪きなさい 私の愛しのダーリン」 甘く艶やかな色香のある声をなまめかしく発する。
だが、そんなリンの甘い誘いもキャラン(浩司)の耳には届かない。
生死を共にし苦楽を一緒に味わってきたみなっちに対する愛情は、不変。
何度目かのショットアタックを上空を旋回し 攻撃を加えてくる飛行タイプのグロテノスに発射する。
キャラン(浩司)の左手から発射される 小さな無数の光粒子エネルギー弾。
一瞬 キャラン(浩司)の口元が、少し笑う。
自由な動きを封じられていた飛行タイプのグロテノス全てを撃墜する。
今しかチャンスがない。
「みなっち 俺の背中に・・・」 小さくつぶやくキャラン(浩司)。
みなっちは、急いで浩司の背中におんぶされる。
血路を開かれた。 上空には、敵グロテノスがいない。
キャラン(浩司)は、背中にみなっちをおんぶしたままバリヤーを張り そのまま上空に向け高くジャンプ そのまま近くのビルの屋上に着地する。
余りのスピードに、ここにいた全てのネクストノイドの目を追いつけない。
まるで一瞬にして消えた様に感じる。
おんぶしたみなっちを降ろしながら浩司は、みなっちに言う。
「ここのどこかに身体を隠して」
小さくうなづくみなっち。
浩司が自由に動き戦うには、みなっちが自身 どこか安全と思われる場所に身体を隠し方が、最もベターであるのを 何度もの戦闘で、身にしみている。
みなっちは、安全と思われる場所を探し そこに、身体を隠す。
キャラン(浩司)は、ビルの屋上の縁に立ち。
地上で、右往左往する多数のグロテノスを見下す。
同時に、テレパシーを使い 別宇宙にある アルファーベースのノルンとコンタクト。
「ノルン 俺だキャラン(浩司)だ」
「はいマスター」 ノルンの声が、キャラン(浩司)の脳裏に木霊する。
「緊急事態だ、すぐMBR11ライフルをQCTTシステムで、転送」
「ラジャー(了解)」
キャラン(浩司)の右手に、量子状態に変換され量子テレポーテーションにより転送されたMBR11ライフルが実体化する。
そのままキャラン(浩司)は、地上のグロテノスの集団に向け、ビルの屋上の縁からジャンプ。
急降下しながらMBR11ライフルのガンバレルの下部に装備されている大口径のブラスター・ランチャーのトリガーに右人差し指を掛け ターゲット(照準)を定める。
「どこにを探しているんだー 俺ならここにいるぜー」 キャラン(浩司)は、叫びながら トリガーを引く。
強力なブラスター弾(火球弾)が、グロテノスの集団に、直撃、着弾、大きな火球が上がる。
強力なブラスター(火球)に焼かれ断末魔の叫び声を上げる複数のグロテノス。
キャラン(浩司)は、地面に着地と同時に、残ったグロテノスに向けMBR11ライフルのトリガーを引く 銃口から光粒子弾が連射 次々とグロテノスの額の赤のネクスタルを破壊 光粒子弾は、そのまま脳天を突き破る。
マインドコントロール(精神支配)されたグロテノス 元々ネクストノイドのグロテノスと言え非戦闘員の民間人 キャラン(浩司)の首掛かる莫大な懸賞金と、寄与される各種特権に眼が眩み 上位者であるデストロのギルのテレパシーによりマインドコントロール(精神支配)され 思考などの自由を奪われ 他だ眼の前の敵を倒す まさに生体兵器グロテノスに変身 キャラン(浩司)の命を狙ったが、返り討ちあった。
残ったのは、リンと、新型で、対キャラン(浩司)ように特化 開発された最初のプロトタイプ(試作型) ハイパークマンガー2体のみ。
「さすがに 強いわね 愛しのダーリン」 ガレキが散乱 多数のグロテノスの炭化、頭部の破壊された死体も散乱 無残な修羅場と化した周囲を見渡しながら 嘲笑するリン。
キャラン(浩司)の弱点である 精神面のモロさに対する攻撃。
非情の掟の支配する戦場で、非情に徹し切れない。
一瞬 周囲を見渡し躊躇する。
その時だった。
「パパ ママの仇 死ねー!!」
キャラン(浩司)の後方から 小さな女の子の悲痛な叫び声が、周囲に響く。
一瞬 声の方向へ振り返るキャラン(浩司) そこには、ガレキの中から見つけ出したのであろう 先の尖った細長い金属製のパイプを 正面に突き出し キャラン(浩司)に向け突撃する いたいけな幼い少女の姿が眼に入った。
少女の眼の周囲は、涙で溢れ 言いようのない怒りに満ちた眼、表情。
そうこの少女は、あの妙子 緒戦で、みなっちを狙い キャラン(浩司)に斬り捨てられた 2体の男女のグロテノスは、妙子の両親 妙子の眼の前で、両親は、無残に殺された。
愛する両親を殺した敵に、復讐のチャンスを覗い 近くに落ちていた 先の尖った細長い金属製のパイプを拾い 一瞬 キャラン(浩司)の動きが止まると、その隙を狙い 飛び込んだ。
その妙子を見て、キャラン(浩司)は、レジェンスの戦闘モードを 何故か解除。
身体からレジェンスのエネルギーである淡い白い光が消える。
全くの無防備状態。
その時 ビルの屋上で、身体を隠していたみなっちは、少女の声を聞くと、慌てて飛び出し ビルの屋上の縁から身体を乗り出した 地上を見下ろす。
そこには、細長いパイプを突き出し 体当たりを試みる幼い少女の姿が眼に入った。
同時に、浩司の身体からは、あの神秘的な淡い白い光が消える。
「こーちゃん 危ないー!!」 思わずみなっちは、大声で叫んだ。
悲しい・・・などとありきたりの言葉では、表現出来ない 瞳で、突撃してくる妙子を見つめるキャラン(浩司)
全く無防備のまま先の尖った細長いパイプは、キャラン(浩司)のへそのやや左側を突き破る。
「よくも よくも 私の大事なパパとママを・・・・」 涙声で叫ぶ妙子。
何とも言えない表情で、そんな妙子を見つめるキャラン(浩司)。
全てを悟っていた。
「これで、少しは満足したかー」 小さな声でつぶやく。
その言葉に、はっと我に帰る妙子。 突き刺した腹部から 大量の流れ落ちる血を見て、自分の行った行為に驚く。
流れ出てくる大量の血は、パイプを通じて、パイプを握る妙子の両手を真っ赤に染める。
「きゃー!!」 思わず恐怖に囚われ 大声で叫ぶ。
パイプから両手を離し 力なく崩れる様地面に両膝を着く、恐る恐る血で真っ赤に染まった両手を見つめる妙子。
腹部をパイプで、突き刺されたキャラン(浩司)も 決して平然とした表情ではなかった。
大量出血 顔から血の気が引き真っ青になる。
意識が、朦朧とし始め このままでは生命に関わる。
徐に、レジェンスの戦闘モードに入る。
レジェンスのエネルギーが身体を駆け巡る。
身体からは、レジェンスのエネルギーである淡く白い光が発光。
ゆっくりと、腹部を突き抜けているパイプを両手で握り 苦痛に満ちた表情を浮かべながら ゆっくりと引き抜き パイヌ゜を近くに投げ捨てる。
同時に、レジェンスのエネルギーの光が、傷口に集中 猛烈なスピードで、自己治癒を開始 見る見る傷口が塞がり 元通りの状態に回復する。
この様子をビルの屋上から見ていたみなっちは、慌ててビル屋上から階段を使い降り 浩司の元に駆けつける。
「こーちゃん・・・」 心配顔で見つめるみなっち。
「これぐらい 大丈夫だ」 表面こそ完全に元通りになったが、身体腹部の内部の傷が完全に癒えていないようだ。
少し苦痛の表情を浮かべる。

 この様子を 基地のモニター画面で、面白そうに見つめていたギル。
何か? よからぬ企みでも思い浮かんだ表情を浮かべる。
「リンよ・・・・」 ギルからのテレパシーが、リンの脳裏届く。
「はい ギル様」
「キャラン(浩司)を突き刺した少女 わしの元に連れてまいれ」
「ご命令のままに」 テレパシーによるマインドコントール(精神支配)化にあるリン 両目を閉じ 小さくうなづく 何も疑問も自ら考える事もなくただ命令に従う。

その頃 キャラン(浩司)を細長い金属製のパイプで突き刺し その後 呆然自失となり 両膝を着いたまま 恐怖に怯え小さく振るえながら 自ら血に染まった両手を見つめる妙子に、何か言葉を掛けようとする みなっち。
だが、言葉が見つからない。
確かに、これは戦争である。
殺すか、殺されるか? 2者択一の究極の選択しかない。
みなっちを襲おうとした2体のグロテノスから守ったのは、こーちゃんだ、だがその2体のグロテノスは、今 みなっちの眼の前にいる 小さな少女の両親。
割り切れない思いばかりが、堂々巡りをする。
「あのー 大丈夫・・・・」 適当な言葉が見つからない。
その瞬間 妙子の鋭い憎しみに満ちた眼が、みなっちに飛ぶ。
「声なんか、掛けないでよ あんなやつの恋人のくせに・・・」 情け容赦のない罵声を浴びせる妙子。
何とも言えない表情を浮かべるみなっち 返す言葉も見つからない。
"正義なんて言葉は、死語さあー どちらの陣営に属したかの 勝手な主観で決まるもの・・・" よく浩司の語っている言葉が、頭を過ぎる。
私達と、この子は、属している陣営が違う・・・・ ただそれだけの違いで、憎しみ殺しあわなければならない。
戦争の空しさ、理不尽さ・・・・
「その子を連れて、逃げろ」 浩司が叫ぶ。
いつの間にか、残っていた2体の 新型プロトタイプ(試作型)のハイパークマンガーが、ゆっくりと近づいてきた。
全身から殺気をみなぎらせている。
キャラン(浩司)は、右手に持っていたMBR11ライフルを量子転換させ アルファーベースにテレポーテーション。
近接戦闘になる ライフルは不利 近接戦闘用の高周波セイバーをベルトのフックから外し 両手で握る。
「ここにいては 危ないから私と一緒に逃げよう」
みなっちは、やさしく声を掛けながら 妙子の右腕に触れようとした。
「そんな汚らしい手で、触らないで!!」 痛烈に言われる。
そのまま立ち上がると、ある方向に向かって、突然走り出した。
その方向には、万遍 何とも得ない笑みを浮かべる あのリンがいる。
妙子が、涙を流しリンへ向かって走る。
{「リン様ー!!」
リンは、片膝を地面に着け 姿勢を低くし 受け入れ態勢。
リンの胸に飛び込む妙子を やさしく両手で抱きしめる。
「怖かったでしょう でも もう安心よ この私達が、あなたを守ってあげる」
「リン様 あんなひどいやつ殺して・・・・」
リンは、右手で妙子の後ろ髪を撫でながら 「大丈夫よ 私達が、あなたの愛するご両親を殺した 憎き敵 キャラン(浩司)を殺して、復讐してあげるわ」 やさしく声を掛ける。
リンは、現在 ネクストノイドの支配する社会を築き上げた最大功労者の1人であり 最高のヒロイン 史上稀に見る絶世の美貌とプロポーション そして、圧倒的強さ、戦闘能力を持つ 史上最強の美女。
全女性の憧れの存在。
これは、ある程度 アポリスによるプロダガンダ(大衆操作)の面も否定出来ない しかし その絶世の美貌、プロポーション、ハイパーグロテノスの1種 ハイパービューカーとしての 高い戦闘能力は、否定出来ない。
現在の社会体制を受け入れ 従順に従う大多数の者達に取って、最も頼りになる 憧れのヒロイン。
妙子もその1人 リンに強い憧れを抱いていた。 いつの日か、リンの様に強く、美しくなりたい。
大多数の女性と同じく、妙子に取ってもリンは、夢の目標であり 憧れを体現したヒロインでもあった。
「私と共に来る」 リンのやさしくも強い言葉に、力強く大きくうなづく妙子。

 その頃 キャラン(浩司)は、2体のハイパークマンガーに、間合いを詰められていた。
相手の戦闘能力は、間違いなくハイパーグロテノス だが、初めて対決するニュータイプ 相手の出方、主要の武器、技が解らない。
今までと違い 全く情報がない。
前回 オーストラリアの砂漠で、新型の第2世代のハイパーグロテノスの対決した。
だが、あの時の新型の第2世代のハイパーグロテノスとは、異質に感じていた。
どうやら別方向、別系統の改良による進化型に感じる。
川村、百合が設置してくれた アポリスのメインスーパーコンピューターに、先程から 別宇宙にある秘密基地のメインコンピューター ノルンが侵入 ハッキングしているが、全く情報が見当たらない。 どうやらメインラインで結ばれているコンピューター・ネットワークシステムでなく単独のスーパーコンピューター つまりネットワーク化されていなスーパーコンピューターを利用し作り上げたニュータイプのハイパーグロテノスなのであろう。
この所 アポリス側の主要な情報が、余りにもキャラン(浩司)側に、原因不明の漏洩続いており それを危惧したギルが、専用のスーパーコンピャューターを アポリス専用のネットワークシステムから遮断 情報の漏洩を防ぐのに成功している。
全く情報の無い相手。
下手に、こちらから仕掛けても、カウンター攻撃を喰らう可能性も否定出来ない。
やりにくい相手。
全ネクストノイドの弱点は、額のネクスタル だが いつまででも弱点を放置する事などあり得ない。
必ず何らかの対策を講じてくる。
特に、今 眼の前にいるのは、ニュータイプ 最新の対策方法を講じているはず。
このレベルに、負ける気などしない。 レジェンスのエネルギーを高めれば、問題ない。
ただ 漠然とだが、妙な不安感を感じる。
何か? 裏がありそうだ。
何度も修羅場を潜っッて来た者が持つ事の出来る 独特の匂いのかぎ分けでもある。
いつもよりも レジェンスのエネルギーを高める。 このレベルまで上げると、コントロールが難しく、変動が大きくなる。
だが簡単に勝てる相手ではない。
自信に満ちた表情 眼、それに全身から発する闘気、殺気・・・ 何よりも今までのグロテノスとは、異質なハイレベルの戦闘能力を感じられる。
「みなっち 早く後方の安全と思われる場所に避難するんだ」
浩司は、横眼でみなっちに叫ぶ。
妙子に、余りにも衝撃な事を言われ オドオドにななっていたみなっち。
ようやく浩司の一言に、何とか平静さを取り戻す。
慌てて後方の安全と思われる場所へ 走り始める。
だか、妙子の発した言葉 みなっちの心に余りにも深く重くのしかかる。
「・・・私の大事なパパとママを殺したあんなやつの恋人・・・・」

 キャラン(浩司)の前方の2体のハイパークマンガー 不敵な笑みを浮かべる。 同時に両腕の肘から手の指先に掛けて青白い光が発生 そのまま青白い光は、剣の形になる エネルギー剣。
構えに入る2体のハイパークマンガー 互いのテレバシーによるサイン 同時に、左右に分かれキャラン(浩司)に斬りかかる。
速い 更に上のランクである デストロのBS(バトルスタイル)に変身前だが、同レベルのスピードだ。
間一髪避けるキャラン8浩司)。
今まで、対戦してきた全グロテノス、ハイパーグロテノスなど比較ならない速さ。
グロテノス、ハイパーグロテノスの限界値と思われていたスピードを超えている。
「うふふふふ・・・・」 その戦闘を見ながら 楽しそうに、薄笑いを浮かべるリン。
妙子を胸に抱きかかえながら 「さあーキャラン(浩司)と遊んでおやり」 そう言うと、妙子を胸に抱きながら ゆっくりと後退を始める。
「さあー 私共に、行きましょう。 偉大な8大将軍の1人 ギル様が、あなたに、特別に、お会いになってくれるそうよ」
妙子に、やさしく語りかけながら微笑むリン。
今 眼の前で、開始された キャラン(浩司)、2体のハイパークマンガーの戦闘 最後まで、見届けられないのは、残念だが、勝負は、見えている。
2体のハイパークマンガーは、対キャラン(浩司)用に、特化、最初に開発されたテスト用プロトタイプ(試作型)の第1号、その為 各種戦闘能力のスペックだけは、無意味に感じる程 高い だがまだ開発が始まったばかり 色々問題点も山積し、致命的欠陥もある。
今日のこの戦いの戦闘データをベースに、今後 更に改良を加える。
その完成品となり あのキャラン(浩司)を 倒し、跪かせるのは、この私 リンだ。 そして、可愛い私のモノにする。

 キャラン(浩司)右側から襲い掛かった1体のハイパークマンガー 両腕のエネルギー剣を上段に上げ、キャラン(浩司)に向かって、振り下ろす。
キャラン(浩司)も両手で、握る 青白い高周波を発生させている 高周波セイバーで、で受け止める。
高周波セイバーと、エネルギー剣 ぶつかりあった部分から強烈な火花が飛び散る。
この瞬間を狙っていたかのように、もう1体のハイパークマンガーが、キャラン(浩司の後方に回り込み ハサミで物を切るように、両腕のエネルギー剣をクロス キャラン(浩司)の腹部を斬りかかる。
寸前 キャラン(浩司)自身から発光している 淡い白い光 レジェンスのエネルギーが増大 バリヤーとなり 後方から襲い掛かったハイパークマンガーの2本のエネルギー剣を弾き返す。
2体のハイパークマンガーの巧みなコンビネーションに、苦戦するキャラン(浩司)。
一瞬の隙を衝き 1体のハイパークマンガーに向け マグナムアタックを発射 命中・・・・
いや 確かに直撃の命中のはず・・・ しかし 命中したはずのマグナムアタック弾 そのままキャラン(浩司)に向け バックファイヤー。
自ら放った、エネルギー弾を直撃・・・ いや寸前に何とか避ける。
直撃を喰らったはずの1体のハイパークマンガー だがその姿は、異様であった。
まるで、全身を極度に乾燥させ 表面ょミラーコーティングされたかの様に、鈍く輝いている。
対キャラン(浩司)ように、特化、最初に開発されたプロトタイプ(試作型) その為に、ここ地球上で、最強の生命体と称される 微生物の1種クマムシのDNAを改良して開発された。
何といっても その特徴が、この地球上に存在する生命体の中でスパ抜けている。
乾燥 : 通常は体重の85%をしめる水分を0.05%まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。
温度 : 151℃の高温から、ほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで耐える。
圧力 : 真空から75,000気圧の高圧まで耐える。
放射線 : 高線量の紫外線、X線等の放射線に耐える。 X線の致死線量は57万レントゲン(ヒトの致死線量は500レントゲン)
など、とても生命体とは、信じる事の出来ない驚異的ポテンシャルを誇る。
この驚異的ポテンシャルを活かし キャラン(浩司)必殺技の各種エネルギー弾に対して、瞬時に、身体を乾燥させ 身体表面をミラーコーティング エネルギー弾が、直撃してもバックファイヤー つまりカウンターで弾き返す。
これこそ、対キャラン(浩司)ように、開発された最大の必殺技の特徴である。
だが、驚きの表情 1つ見せないキャラン(浩司)。
ポーカーフェイスを装っていたのではない。
少しは、感心していたに過ぎない。
「下らないカウンター攻撃・・・・」 小さくつぶやく。
「だが いつまで持つかな・・・」 キャラン(浩司)は、ある事に気づいた。
それは、耐久能力 1発のマグナムアタック弾で、ミラーコーティングした身体表面 少し剥れたのに、気づいた。
「所詮 1回限りの使い捨て データ収集が目的か・・・ それとも相打ち用・・・・?」
確かに、戦闘能力は、今までのハイパーグロテノス、オーストラリアで戦った 新型の第2世代のハイパーグロテノスりよも上だ。
何か? ある目的の為に、戦闘能力のスペックだけ、無意味に思える程高められている。
あのスピート、ミラーコーティングによるバックファイヤーのカウンター技など・・・・
だが、その為 耐久性能などが置き去りされている。
ある特定の目的のみに、特化 その為 全体のバランスを無視した造りだ。
まさに、一発勝負用。
この程度の戦闘能力でないはず、まだ何か? 隠しているはず。
キャラン(浩司)は、色々考えながらも 2対のハイパークマンガー相手に、押し気味ながら止めを刺せないでいた。
レジェンスのエネルギー弾を使えば簡単だが、先程のミラーコーティングによるバックファイヤーのカウンター技がある。
うかつに使えない。
一気にケリを付けたいが、まだ何か隠していると言う漠然とした不安感・・・ 膠着状態が続く。
だが、このままづるづるとしていられなかった。
ノルンよりテレパシーに通信 ステルス製のスパイ衛星より 1個師団規模の本体を発見 急速接近中の報告が入る。
ぐずぐすとしていられない。
一気に、決着(ケリ)を付けるしかない。
これ以上の無用な戦線拡大は、更に不利になる。
キャラン(浩司)、高周波セイバーを左手に持ち 右手で、左脇に隠していた44HPマグナムをショルダーホルスターから素早く抜く。
シリンダーに、装填されれている弾丸6発は、全て44HPマグナム弾 44マグナム弾など、比較にならない 破壊力、貫通性を誇る。
少し距離を開け 1対のハイパークマンガーに向け 44HPマグナムを撃つ。
その瞬間 1対のハイパークマンガーは、やはり瞬時の身体全体を ミラーコーティング 44HPマグナム弾を弾き返す。
「これもダメか・・・」 キャラン(浩司)は、小さくつぶやく。
先程から 高周波セイバーも 高周波が、ハイパークマンガーに触れる直前 ミラーコーティングをその部分だけ部分展開され やはり弾かれている。
残された時間は、余り無い。
キャラン(浩司)は、勝負に出た。
高周波セイバーを地面に刺し 両手を2体のハイパークマンガーに向け 突き出し 手首を立てる。
手の平の前に、エネルギーが集中 先程よりも更にエネルギーを高めた マクセムアタック弾2発を発射。
「耐久性に、問題がある 何度も喰らえば・・・・」 キャラン(浩司)は、小さくつぶやく。
何度やっても同じと言う不敵な表情の2体のハイパークマンガー 微動だせず そのまま身体全体をミラーコーティングする。
2発のマグナムアタック弾は、2体のハイパークマンガーに命中 そのままバックアァイヤーで、キャラン(浩司)に向け・・・・? いやおかしい 2発のマグナムアタック弾は、ミラーコーティングされた2体のハイパークマンガーを包み込む 確かに、キャラン(浩司)の予想通り 身体表面のミラーコーティングを粉々に砕いている。 だがマグナムアタック弾のエネルギーは、そのまま乾燥状態のハイパークマンガーに、吸収されていく。
「何ー?」 キャラン(浩司)は、叫んだ。
マグナムアタック弾のエネルギーを吸収し、乾燥した身体が大きく膨れる2体のハイパークマンガー・
吸収が終えると同時に、2体のハイパークマンガーは、唖然として表情を浮かべるキャラン(浩司)に向け突撃。
キャラン(浩司)の前後を挟む。
「キャラン(浩司) 貴様は、俺達と一緒に地獄へ行ってもらう」 前にいる1体のハイパークマンガーは、叫ぶ。
「自分自身のレジェンスのエネルギーでなあー」 後の もう1体のハイパークマンガーも叫ぶ。
キャラン(浩司)の漠然と抱いていた 妙な不安感は、これであった。
耐久性に劣る ミラーコーティング バックファヤーによるカウンター攻撃も 何度も喰らえば ミラーコーティングは破れる 必ずそこを突いてくると、開発者であるギルは、考えた。
キャラン(浩司)の放ったマグナムアタック弾のエネルギーを一時ハイパークマンガーの体内に蓄積させる。
他だし キャラン(浩司)のマグナムアタック弾のエネルギーは、強力 僅か数秒しか耐えられない。
そこで、キャラン(浩司)自身のレジェンスのエネルギーも利用し、キャラン(浩司)を道ずれに自爆を考えた。
2対のハイパークマンガーの身体の至る場所が、ひび割れ淡い白い光が漏れ出すと同時に、淡い白い光が膨張 半径数百mに渡って、全てを取り込み 眩い白い光の大爆発を起す。
爆発に伴うきのこ雲が、上空 高く昇る。

「殺(や)ったかー・・・・」 この模様を 巨大なモニター画面で見ていたギルが、思わず声を上げた・
その後 モニター画面は、ブラックアウト。
少しの間の後、巨大モニター画面に映像が戻る。
きのこ雲が消えた後 中心地から半径数百mに渡って、そこにあった物全てが、何も無かったように消し去り 大きなクレーターが出来ていた。
巨大モニター画面を見ていた司令部の兵士は、これ程のエネルギーを伴う大爆発 キャラン(浩司)が、跡形も無く吹き飛んだと、だれもが思っていた。
だが、1人 少し浮かぬ表情 ギルである。
手ごたえを全く感じていない表情。
巨大モニター画面の1点を注視している。
「あの場所を最大拡大しろ」 ギルは、モニター画面の1点を指差し叫ぶ。
ギルの指差した1点が、最大拡大される。
そこには、淡い白い光の大きな球体が、浮かんでいる。
「くっそー  やつめ生きていやがったカー・・・」 歯を食いしばり 悔しさを滲ませ 両手を固く握り眼の前デスクを叩くギル。
両目は、怒りに燃えている。

淡い白い光は、ゆっくりと透明化 中の様子が見えてくる。
そこには、みなっちをお姫様だっこで、持ち上げキャラン(浩司)の姿。
浩司の首に、両腕をしつかり回し 固く眼を閉じ浩司の胸に顔を当てていたみなっち。
「もう 大丈夫 眼を開けても大丈夫」 ほっとした表情で、みなっを見つめる浩司。
危機一髪であった。
眼下の風景は、もうここは、地球の それも ほんの一瞬前まで、人類が築き上げた巨大な都市の1部 華やかな高級ショッピングモールがあったとは、とても信じられない 生命の痕跡すらない 荒涼とした別惑星、衛星の半球体に抉られたクレーター。
「やつら 加減てモノを知らないのか・・・・」 少し皮肉混じりにつぶやくキャラン(浩司)。
本当に、危機一髪の状況であった。
キャラン(浩司)のマグナムアタック弾のエネルギーを吸収 自ら持つレアメタルからのエネルギーと合わせ自爆。
それに気づいたキャラン(浩司) 少し離れた場所で、この戦闘を見ていたみなっち。
キャラン(浩司)自身 この程度の爆発 バリヤーを張れば防げる しかしみなっちは、跡形も無く消滅する。
キャラン(浩司)は、瞬間 レジェンスのエネルギーを高めた。
無が無を生み出し2つに、分離した1つのエネルギー体であるレジェンス。
無数の状態が同時に共存し 1つの確定した状態でない。
無限のポテンシャル・エネルギーを持つ。
実は、キャラン(浩司)、光速を超えて動く事が出来る。
アルバート・アインシュタイン博士の相対性理論では、光は、絶対であり 光以外 どの物質でも光の速度に到達も まして、光の速度を超える事が出来ないとされていた。
現在の物理法則の基本、根幹をなす部分である。
唯一絶対の光を基準に、相対的に、現在の物理法則が、確立されていた。、
だが、ミューニュートリノが、光速を超えているが解かり 現在の物理法則の理論体系が、根幹から崩れる事になってしまった。
アイザック・ニュートンの力学が、アインシュタイン博士の相対性理論の出現により 過去の遺物となったように、ミューニュートリノが、光速を超えている事が解かり アルバート・アインシュタイン博士の相対性理論に基づき築き上げてきた 現在の物理法則の体系は、全て根底から覆す結果をもたらした。
光の速度も絶対ではなく 超える事も可能・・・・ つまり単なる通過点に過ぎない・・・・
ミューニュートリノであれば、ブラックホール周辺部に存在するエルゴ帯(エルゴ領域)に捕らえられても脱出可能など、その影響は計り知れない。。
2体のハイパークマンガーが自爆した瞬間 キャラン(浩司)は、光速を超えたスピードで、みなっちをお姫様だっこで抱き上げ、周囲にバリヤーを張り そのまま上空へと飛行した。
浩司に、お姫様だっこ抱きかかえられ 唖然と、眼下を見下ろすみなっち。
何が起きたのかさえ解からない。
一瞬にして、突然の状況変化。
爆発に伴う大光量を遮断する為 バリヤーで、光までも完全に遮断。
光速を超える事が出来なければ、みなっちを救う事は、出来なかった。

 眼下に広がる風景 出来上がったクレーター周辺部は、巨大な圧力により同心円状に、押し倒された建物 各々の場所からは、火災が起き 真っ赤な炎と、黒い煙が立ち上がる。
更に、この爆発に巻き込まれた多くの人々の無残な死体が転がる。
戦場とは、いつもこの様な風景ばかりだ。
まさに、地獄図 キリング・フィールド(The Killing Fields = 殺戮の地)。




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