LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 放浪 Par4

 ランデブー・ポイント(集合地点)で、川村、百合と合流。
「聞きましたでー 旦那 あの8大将軍の1体 デストロのダスティを倒したですてー あっしもその戦闘 見たかったですぜー」
川村は、浩司を見るなり かなり興奮状態で上機嫌で話しかける。
「これで、旦那は、8大将軍デストロのアジス、龍(ロン)、そして、ダスティと、1人で、3体も倒して・・・ 1度あっしも その戦闘見てみたですせー 今度 8大将軍と戦う時は、是非あっしも・・・」
興奮覚めやまない川村。
当の浩司も いつもの戦闘後の不機嫌な表情 やはり戦闘=人殺し 気分は、最悪 これ以上無い程悪い 自身が立てている戦略上の目標達成の為とはいえ やはり戦争=人殺しの図式 好きになれない 勝ってもうれしくもない 元来 反戦主義者 戦わずして勝つ事こそ真の戦略家の思いが強い 逆に戦争を行う者など ただの人殺しとしか思っていない。
自身 決して拭い去る事が出来ない大量殺戮者 真っ赤な血で、その手を染めている。
「ところで、例の件・・・」
浩司に取ってこちらの方が重要であった。
「へい ばっちりですぜー」 川村は、陽気に答える。
上々 川村は、レグの基地で渡された左腕にはめているブレスレットのキーを押す ブレスレットが光ると、ホロスコープ(3次元立体映像)が現れ まるでPC(パソコン)画面のウインドウの様に各種データが映し出される。 川村、百合が仕掛けたアメリカ合衆国内あるアポリス拠点基地内のSC(スーパーコンピューター)に取りつけたハッキング機器から量子通信を使い 地球衛星軌道上に設置したスーパーステルス製の監視衛星 ホッパーを経由して、各種データが送られている。
もちろん 別宇宙にあるレグの基地 アルファー・ベースにも量子通信で送られている。
今頃 思考などを持つスーパー量子コンピューター ノルンによって、様々なデータ解析が行われているはず。
世界地図を拡大 アポリス主力軍つまりグロテノスを中心とした正規軍の動きを簡素化し世界地図の上に表す。
やはり オーストラリアにある最新鋭にして、最大の拠点ネクストノイド改造施設が、叩かれ 8大将軍の1体 デストロである ダスティが倒された。
世界中にある 各拠点基地、施設に重点的に各部隊を集結させ始めている。
相手は、神出鬼没にして、少数 拠点を持たず自由に動き回る 攻撃目標の自由な選択権を持つ。
やっかいな相手。
地球を支配しているアポリスだが、その実態は、薄氷に上程度 薄いオブラート紙で包み込んでいるに過ぎず 完全支配には程遠い 現に様々なトラブルを抱え 各地で、抗議デモ、ストライキ、内乱などが多発している。
少数と言っても ネクストノイドの1体、1体は、強大な軍事兵器 更にテレパシーによるマインドコントール(精神支配)により 強固な指揮系統を持ち 1つに統一された行動を取っている。
まともに、正面から戦える相手ではない 数少ない選択の1つは、自由に動き回り 相手を撹乱させるゲリラ戦。
それによって、敵 アポリスは、必ず気づく 兵力分散の愚を・・・
浩司は、自らの予想しえる範囲内で、敵 アポリスが動けない・・・ いや動かそうとしていた 自らの戦略目標を達成する為に。
ある意味での心理戦でもある。
戦場では、敵 特に、指揮官の心理を読む事が重要・・・ 物思いにふけている浩司に、川村が声をかける。
「あっしは、旦那の敵じゃなくってよかったでっせー 全世界を敵に回しても 1人で何もかもやってのけようとする 何事も自分で考え、判断し、行動する まさに自営業者の鏡 一匹狼 何事も集団 多数で、少数の弱い者イジメしか出来ない 1人では何も出来ない多数派のサラリーマン、OL、公務員なんかと、大違いですせー やはり旦那は、あっしの憧れ、目標・・・」
いつになく川村は、浮かれている。
「その話は、後にしておいて、取りあえず、日本に戻り次の対策を決めたいのだが・・・」
浩司は、やはり感覚の合う 首都Tの下町が、恋しくなっていた。
「アルファーベースじゃないですかー」 少し驚いた声を上げる川村。
当然 収集されているアポリスのデータの分析が先な行われると思っていた。
「このブレスレットがあれば、ノルンと直でデータの解析は出来るよ」
さりげなく浩司は言う。
実は、内心 みなっちがアルファーベースを好んでいない事に気づいていた。
首都tの下町の生活の方が、アルファーベースよりは、少しマシに感じている。 他だしかなり戸惑っているが・・・
今の所 この地球上に置いて、最良の隠れ場所と浩司には思えていた。
灯台元暗し・・・ 以外と身近な場所程 目立たない。
浩司は、下町の独特の息吹が好きであった。
元々 ある地方都市の中心商店街育ち 感覚が合う。
てやんでー、べらんめー調の職人気質 浩司が最も好む。
戦争と言っても 本質は、大量殺戮 今浩司の心を癒すのは、下町が、最もベターに思えた。

 テレポーテーションした 人眼に付かないある空き地に、浩司、みなっち、川村、百合の4人が、忽然と姿を現す。
ここから 浩司が、身体を隠している下町まで、徒歩数分の距離 懐かしい息吹が感じ・・・
おかしい?
周囲の異様な感覚を 4人が感じる。
それに、このキナ臭い煙の臭い どこかで火事、いや大規模爆撃による炎上か? ここは首都T 1部 現アポリスによる支配に抵抗する小規模勢力による デモ、ストライキはある ネクストノイドの改造を受けられない自営業者や、農民、漁民、フリーターなどの底辺に突き落とされ抑圧された人達 だが戦闘を行う程の武器、武力は持ち合わせていない それに唯一とも言える前 所属していたヤーナは、こんな人口密集地で、大規模戦闘は行わない 小規模な戦闘なら有り得るが、あのピエールでも やりそうな事は、拡声器をつけた宣伝カーで、街中騒音を撒き散らす騒音公害程度 本格戦闘は、海上などの被害が及ばない地域でしか行わない。 その辺はわきまえている。
異様なこの煙の臭い 発生源は、どうやら・・・ まさか?
浩司やみなっちが、身体を隠していた下町の方向・・・
もしや・・・?
4人は、慌てて下町の方向へ走る。
段々と、何が炎上する煙の臭いが強くなる。
それも大規模、広範囲に建物が燃えている。
間違いなく下町が、大規模火災に会っている。
ただ 薄笑いを浮かべ ようやく街の恥部の大掃除が出来たと言う様な表情を浮かべるネクストノイドや、改造待ちを押しのけ 燃えさかる下町に入る4人 ネクストノイドや、改造待ちは、だれ1人として、この光景に救いの手を差し伸べようとしない。
進化する事の出来ない劣等生命 ホモサピエンス・サピエンス(旧人類) 助ける必要はない。
ここは、ネクストノイドや、改造待ちの為の再開発地域に指定され 強制立ち退き地区に勝手に指定されていた。
何ら事前説明もなく 何ら保障もない。
ここを再開発し、ネクストノイドや、改造待ちの為の大型ショッピング・モールが建設される事になっていた。
下町に住む人達は、この様な理不尽の強行押し付けに反対し 抵抗し住み続けていた。
よく ネクストノイドや、改造待ちに、嫌がらせ受け 浩司が、誰の目に見えない場所で、そのような輩に、さりげなく平和と、共存の素晴らしさ(実は、半殺し)を教えて差し上げていた。
だが、浩司のいない数日間に、事態は急変した。 全く再開発が進まないこの下町の現状に、遂に強行手段に出た。 ここの再開発を請け負っていたゼネコンの1つ松博建設が、裏の部分の顔を使い 下町に火を放ち 尚且つそれに連動して警察が、抵抗する下町の人々を 国家に命令に反逆し、暴動を起したという お得意のデッチ上げによる冤罪で、治安維持と、大掃除などを名目に、下町の住人に対して、武力を行使 皆殺しを開始した。
燃えさかる建物 道路には、殺されたこの下町に住む人々の動かなくなった 血だらけの遺体が散乱。
直視出来ないみなっち 立ち止まり口元を手で押さえ 呆然と、この光景を見る事しか出来ない。
余りにもむごく凄惨な惨状 小さな子供からお年寄りまで、年齢性別など関係ない。
浩司、川村、百合は、手分けして、生存者を必死に探している。
かすかに動く遺体 みなっちの眼に入った。
みなっちは、駆け寄る ネクストノイドに世界支配の以前の時代 緊急救命士の資格を持っていた。
いつも 夕飯のおかずをおすそ分けで貰い 尚且つ下町のお母ちゃん達の井戸端会議に参加させていた 気の良い女将さん。
みなっちは、直ぐに応急手当を始めようとする。
「美那美ちゃんかい・・・」 薄っすらと眼を開け 少し微笑む。
みなっちは、小さくうなづく。
「何で 戻ってきたんだい 早くここからお逃げ」 弱々しい声。
「余り喋らないで・・・ 今 応急手当てを・・・」
「もう 私は助からないよー どうして、こんな社会になってしまったのかねー」 気の良い女将さんは、息を引き取った。
その頃 百合は、ある小さな店舗兼自宅の中で 仲の良さそうな幼い姉妹を看取った。
最後に、弱々しく発した 「お母さん・・・」 その言葉の残存が耳に響く。
必死に母親を求めていた。
どうしてこんな酷い事が出来るのか? 同じ人間ではないか?
ネクストノイドへの改造を受けられる権利を持つか、持たないか? たったそれだけの事で、差別し、無用の烙印を勝手に押し 最後に虫けら以下に殺す。
もう我慢出来ない フィアンセの川村を信じ その川村が、心酔する浩司さんに、付いてきた。
あの2人 今 ここで虫けら以下に殺された人達の為に戦ってきた。
下らない差別を無くし 共存と言う世界を築く為に・・・
人は、主義だの 主張だの・・・為には、戦わない それを実行し体現しようとする人の為に戦う。
フィアンセの川村が語った 浩司に対する思いである。
その気持ち 今の百合には、良く理解出来る。
こんな惨い惨状を2度と・・・
その時だった 後ろに人の気配? 決して歓迎されている気配ではない あるのは殺意 それもどす黒く汚れた者の放つ 言いようのない程 腐りきった悪臭を放っている。 裏社会の人間が放つ独特のヘドの出る腐りきった悪臭。
百合は、振り返った。 いた・・・ やはり 数は、3人。
現場の作業服を着ている。
だが、その眼つきは、どす黒い 他人の生命など虫けら以下にしか思っていない。
頭の額には、ネクスタルが無い。 ここでの仕事で、改造を受ける権利か、改造を受けるのであろう・・・
「よう 姉ちゃん ここで何をしているんだ!!」
「それにしても 中々のべっぴんさんじゃねえか?」
口々に、汚い態度と言葉で言い放つ。
「何だーい その眼つき 俺様達に文句あると言うのか? この天下に名高い松博土木建設組の幹部様に対してー えー」
見かけだけのすごんで見せる。
この手の連中の常套手段 まさに、虎の意を借りた狐 自ら全く力すらなのに、アンダーグランド(地下社会=暗黒街) の権威、威光を武器に、自らを いかにも大物だと、威張って見せびらかしているだけ・・・ 看板がなければ、何も出来ないクス゜、ゲス以下連中。 論評にすらあたらない。
百合は、3人を睨み 少し重心を下げ戦闘態勢に入る。
「それよりも その左肩からぶら下げている 危ない物 こっちへ渡してもらおうか?」
百合は、ショルダーホルスターをしており そこには、アルファーベースで寄与された 護身用のオートマチックのハンドガンタイプのレーザーガンが収められている。
だが相手の3人の1人は、イスラエル、IMF(イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ=現 IWI社)社製のサブマシンガ(短機関銃)のマイクロ UZI、装弾数25発のショートマガジン装着 もう1人は、中国製(元々旧ソ連=現ロシアが開発したものを中国などが、ライセンス生産し、1980年代以降 中国より日本に大量密輸され 裏社会の抗争に使用されている)のオートマチックタイプのハンドガン(自動拳銃)トカレフ、最後に、もう1人は、日本刀を手に持ち構えている。 距離 およそ7m。
瞬時に隙なく相手を観察する。 百合も川村同様 世界でもトップクラスの女007(スパイ) それも、デスクワークでない テーブルの上で、数字だけしか見ず エリートぶって、他人を見下し威張る事しか出来ず、実際口先だけで、何も出来ない連中とは違う。 敵の本拠地などに潜入し戦闘も行う実戦部隊 命のやり取りをする修羅場を何度も潜った歴戦の猛者 その辺に転がっている 見掛け倒しのゴロツキとは違う 本物。
銃器の取り扱い それに、日本の古武道の1つ 合気道の師範代クラスの達人でもある。
古典的 雅で艶やかな典型的 、大和撫子、日本美人の容姿からは、とても想像出来ない。
眼の前にいるのは、無抵抗で何も出来ない弱者を 高圧的な暴力で屈しさせ 虫けら以下に殺す事に、快楽を憶え 自らの力の誇示しか出来ない真の強さを知らない哀れな連中。
だがこの行為に対して、情け容赦する気などない きっちり責任を取ってもらう その命で。
百合の右手が動く。

その頃 同じく生存者を探していた浩司は、ある残虐シーンを目撃した。
小さな我が子を抱えた若い母親を 散々いたぶられた挙句 腰にぶら下げているリボルバー銃で、射殺する数人の警官の姿が眼に入る。。
元々 自己の点数稼ぎの為に、無実に人に冤罪を強要し、デッチ上げしか出来ない警察であったが、この時代 ネクストノイドへの改造を受けられない者に対して、後に犯罪者になると言う 勝手な思い込みによる主観が認められ 更に、何をしても自由と言う裁量が与えられ ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)狩りを白昼堂々と行っていた。
社会の悪を浄化すると言う大義名分。
国民の生命と、財産を守ると言う建前すら形骸化 あるのは、権力側に媚入り 権力側のみを守る為の従順な飼い犬以下として、絶対的権力を ネクストノイドへの改造を受けられない 小数の弱者に対して行使し 横暴に振る舞い 弾圧する事で、数々の不公正、不満のハケ口、ガス抜きとして、自己の唯一絶対の正義を見せしめていた。
数発の銃弾を撃ち込まれる 若い母親と、小さな我が子の凄惨な死体が、2人の警官の足元に、横たわる。
若い母親は、我が子を庇う様抱きしめ即死 子もせっかく庇った母親の身体を貫通した銃弾を受け即死していた。
まさにポロ雑巾以下の扱い そこには、生命に対する尊さなど微塵もない。
浩司の言葉では、決して表現出来ない怒りが爆発した。
「やい そこのゲス野郎!!」 浩司の怒りの罵声が飛ぶ。
普段の浩司ならば、相手を見下しバカにした毒舌口調が多いが、今回はかなり様子が違う。
本当に、この様な残酷、残忍な行為に対して、怒っている。
浩司の罵声に振り返る 2人の警官 頭の額にはネクスタルが無い どうやら改造待ちのエリート、支配階級を親に持つ者。
近々改造が行われるのであろう 陰湿の表情から読み取れる。
唯一絶対の権力と言う甘美な麻薬に犯された者の腐りきった眼。
浩司の顔を まるで虫けら以下の存在として、高慢な態度で睨む。
この辺では、見かけぬ顔 それに、左脇のショルダーホルスターには、この国では、所持が禁止されている それも物騒な大型のオモチャ(ハンドガン)が、いかにも使い慣れている様に、堂々とぶら下げている。
これは、唯一絶対の正義と自称する警察に対する敵対行為 それに、頭の額には、ネクスタルが無い。
これは、将来・・・ いや今 もはや犯罪者だ、唯一絶対の正義を行い 排除しなければならない。
自己陶酔の世界に酔いしれた様に、にやけた表情を浮かべる2人の警官。
「この顔 忘れたとは言わせないぜ」
浩司は、戦闘体勢に入る 他だし レジェンスの戦闘モードに入らない。 そのままいつでも左脇のショルダーホルスターから M29を素早く抜ける態勢 今 M29のシリンダーには、44HPマグナム弾ではなく 通常の44マグナム弾が装填されている。
実は、浩司は、レジェンスの戦闘モードに入らなくとも ガンプレイは、西部劇のアウトロー サンダンス・キッド、ビリー・ザ・キッドなどの早撃ちで有名ガンマン並に、正確で、速い それも当時使われていた銃より 大口径で、貫通力、破壊力が大きく その為 反動も大きく 連射が難しく 扱い難い44マグナム弾を利用してでだ この辺だけは、何故か並外れてたセンスの持ち主でもある。
「さっさと、腰の物を抜きな」 冷酷な表情で、2人の警官を挑発する。
浩司は、戦争と言え ネクストノイド以外の ネクストノイドへの改造待ちを含め、ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)を殺した事がなかった。
だが、この様な蛮行を目の前で見せ付けられた 絶対に許せない。
あの母子に、いったい どんな罪があると言うのか?
ネクストノイドへの改造が受けられない たった それだけの事で、虫けら以下に殺される理由はない。
「生意気な口を叩くんじゃねー 進化する事も出来ない クズ、害虫以下が・・・」
どうやら 浩司=キャランの顔を知らないらしい どうせゲス以下としか思っていないのだろう 自分達 ネクストノイドか、改造待ち以外 興味の対象外であるのか? それとも浩司=キャラン 余りにも 並程度のルックス 目立たない為か?
反乱勢力で、目立つのは、浩司が、所属していたヤーナのパフォーマンスだけが得意のピエール 後は、ルックスから鍛え抜かれた歴戦の猛者 永井。
2人の警官から ネクストノイドへの改造を受けられる 恵まれたエリート層に生まれた特権階級の本音が口走る。
まさに、虎の威を借る狐。 稚拙な思考しか持ち合わせていない。
浩司が、最も忌み嫌うセリフ。
2人の警官は、おもむろに腰の銃を抜こうとする。
銃撃戦などの実戦経験がないのか? 怠慢な動き 今まで、無抵抗で、ただ怯えている弱者ばかり 害虫駆除の名を借り 虫けら以下に踏みつけてきたのであろう。
相手が何も抵抗出来ず、ただ動かないターゲットだと思い込んでいる。
2人の警官が、ようやく銃を抜いた瞬間 浩司は動いた。
やはり実戦経験豊富な浩司である レジェンスの戦闘モードに入らなくとも速い。
素早くホルスターからM29を抜き 右手1本で構える 素早く左手で、ハンマーを引きシングルアクション 同時に、右手人差し指で、トリガーを引く 速い ちょっと長めの銃声が1発にしか聞こえない。 だが、信じられない事に、2発撃っていた。
銃を抜いていない 丸腰の相手に勝っても意味がない。
相手に、先に銃を抜かせるハンディを与えた。
もはや プロの世界のリアル・プロ(本物のプロ)クラスでないと互角には戦えない。
44マグナム弾は、正確に、2人の警官の 額と、心臓をぶち抜く。
「何て速さだ・・・1発の銃声にしか・・・き・こえ・・・」 心臓をぶち抜かれ後ろに倒れた警官の最後に発した最後の言葉。
「俺が速いんじゃない てめえらが、俺より遅過ぎるんだ・・・」 冷酷に浩司は、言い放った。
リボルバー銃で、カッコだけつけて、片手で、ダブル・アクションで、トリガーを引こうとするから 銃口がぶれ 更にトリガーを引くのに時間がロスする。
浩司の様に 片手で撃つなら 銃を持たない もう1方の手でハンマーを引き シングル・アクションで撃つべきである。
それも腰だめで、西部劇のガンマン・スタイルで。
M29の銃口から白い硝煙が上がる。
軽く息を吹き白い硝煙を吹き飛ばす。
浩司は、無表情に殺した2人の警官を見下した 右手人差し指で、M29を数回転させ左脇のホルスターに素早く収め 2人の警官に無残に殺された母子を丁重に地面に寝かせた。

相手の動きに合わせ 百合は、左脇のホルスターからレーザーガンを抜いた。
百合もまた実戦経験が豊富である。
動きに全く無駄がない。
手にレーザーガン、小型ハンドガン(拳銃) 32口径のオートマチック銃と同程度の大きさ 女の百合にも扱いやすい大きさ 使い方もオートマチック銃と同様 セフティ機能を解除すれば、後は右人差し指で、トリカーを引くのではなく トリガーボタンをフッシュするだけ 実弾を火薬の爆発力で発射するハンドガン(拳銃)と違い 爆発力を伴わない その為 トリガーボタンをプッシュしても全く反動がない。
まず マイクロ UZIを持つ敵にターゲット(照準)を定め トリガーボタンをプッシュ 青白い一条の光が伸びる。
敵の心臓を青白い光が貫通する。
だか敵は、まだ2人残っている。 1人がトカレフの撃つ やはり距離が約7mと離れており 百合が動いている命中しない それでもいい目的は、援護射撃 百合の近くを銃弾が飛ぶ その隙に、もう1人が、日本刀で百合に斬りかかった その瞬間 別方向からの青白い一条の光が 百合に斬りかかった敵の脳天を後方から貫く。
脳天から大量の鮮血が、噴水の様に噴出する。
その隙に、トカレフを撃っていた敵にターゲットを絞り 百合は、トリガーボタンをプッシュ 青白い一条の光が、トカレフを撃っていた敵の胸を貫く。
すかさず百合は、先程 援護してくれた人物を探す。
少し離れた場所で、大きく手を振る男が、1人 そう百合のフィアンセの川村 百合の危機に、たまたま近くで、生存者を探していた川村が気づきすかさず援護に回った。
日本刀を持ち 百合に斬りかかった敵に、ターゲットを定め 川村も百合同様 小型のハンドガンタイプのレーザーガンを所持しており 素早く左脇のショルダーホルスターからレーザーガンを抜き トリガーボタンをプッシュ 危機の百合を救った。
「ゆりっぺ 大丈夫か?」 駆け足で近づく川村。
「大丈夫よ」 少し微笑む百合 実は、少しやばい状況であった。
「そうか」 川村も微笑む 2人には、これ以上の会話必要としない。
「これ貸して置くからな・・・」 にんやりと笑う川村。
ぶっすと、少し怒った表情の百合 いつも危機を川村が、救ってくれるのは良いのだが、常に、これを貸しにする。
この貸しを2人きりの時武器にして、川村は、まるで子供見たいに甘えてくる。 いい大人である川村だが、この辺だけは、何故か? まだ子供じみている。 困った性格 そう言えば、みなっちも恋人の浩司さんが、大事な所が、まるでだらしないと、いつもグチを言っている。
男って、こんなものかなあー と思った。
浩司が、みなっちを連れて合流 今の所生存者は、見つからない
更に捜索範囲を広げ探す事にする 他だし ここには、敵がいる まだ遭遇していないが、ネクストノイドのグロテノスがいる可能性がある。 浩司とみなっち 川村と百合の二手に別れ 互いの連絡を密にする。
敵を発見しても 無理して戦闘に入らない 発見された場合 直ちに連絡 応援を呼ぶ。
至る場所 家屋が燃えており 捜索は難航 だが諦める理由には行かない。
4人共 左腕のブレスレットの動体探知機機能を使い生存者を捜す。
だが見つかるのは、無残に殺された人々の死体 そんな時だった 少し離れた場所にあるぽっと空いた空き地を見つめた百合 何か? 怯え動く物体を発見 小動物? いや違う 人 それもまだ5〜6歳ぐらいの小さな女の子 両手で眼を押さえ泣きじゃぐりながら 小さな子供にしか入れない場所に身体を潜めていた。
「お母さん・・・」 恐怖に怯え泣きながら小さな涙声を上げている。
その子の近くには、多分 この子の母親だろう 無残に殺された女性の死体が転がっている。
この子を守る為 自らの生命を犠牲にしたのだろう・・・ この子の目の前で・・・
だがタイミングが悪かった。 小さな女の子を救おうとした百合 だが、先にこの空き地を探していた1人の現場の作業服を着る いかにもガラの悪い裏社会の男 それも額には、赤いネクスタルがある。
川村の制止を無視 1人 周囲の状況を考えず飛び出し 慌てて保護しょうと駆けつけた百合より先に発見されてしまう。
「そんな所で、隠れていないで、早く出てきな お嬢ちゃん」 いかにもガラの悪い声。
「早く出てきな 出てくれば、両親の所へ連れて行ってあげる」 別の意味で、これを実行するつもりであろう その顔には、冷酷な悪意しかない。
「さあー 可愛いお嬢ちゃん お兄さんは、気が短いからねー 早く出てこないと、酷いお仕置きが待っているよ・・・」 もはや変な快楽に酔いしれた表情 口元からは、ヨダレがこぼれている。
「その子から離れなさい」 百合は、左脇のショルダーホルスターからレーザーガンを抜き構える。
右人差し指に掛かるトリガーボタンに力が掛かる。
「何だ てめえー」 振り向きながら百合を睨む。
「この俺様に対して、銃を向けるとはいい度胸だぜ えー ねーちゃん」
その瞬間 額の赤のネクスタルが光る ネクストノイドの本来のBS(バトルスタイル)に変身を始める。
瞬時に、トカゲに似たバルドスに変身 いつの間にか、周囲には、4体のグロテノスが囲んでいる。
絶体絶命の状況 小さな女の子は、身を潜めていた場所から飛び出し百合の右足にしがみ付く。
「お姉さん 怖いよ・・・」 声も震えている。
「大丈夫 私が守ってあげる」 微笑を浮かべ 落ち着かせようとする百合。
百合と、4体のグロテノスの間に、人影が突然 現れたキュラン(浩司)である。
両手には、高周波セイバーを持ち 構えている。 刀からは、青白い高周波の光を発せられいる。
「百合 その子を連れて早く逃げろ」 キャラン(浩司)を横目で言う。
小さくうなづく百合 右足にしがみ付く小さな女の子の右手を握り 走り出す。
「てめえらゲス以下の相手は、この俺だ」 4体のグロテノスを睨むキャラン(浩司) 先程の一件で、どうやら腹の虫の居所が相当悪い。
いつになく冷静さを欠いている。

 小さな女の子の手を握り逃げる百合 だが思うように逃げられない。
周囲には、更にグロテノス4体に取り囲まれる。
怯え震える小さな女の子 また百合の 今度は、左足にしがみつく。
「大丈夫よ こう見ても私 強いだから」 小さな女の子に、安心させる様 やさしく微笑む百合。
その瞬間 4本の白いビームが、百合の背後から4体のグロテノスの額の赤いネクスタルを貫く。
「浩司さん・・・」 思わず小さな声でつぶやく百合。
そう キャラン(浩司)の放ったフィンガービーム 百合が、4体のグロテノスに囲まれたのを知ると、すかさず援護に入った。
キャラン(浩司)のレジェンスのエネルギーを利用した技の1つ 威力は、それ程でもないが、指の先にレジェンスのエネルギーを集中させビームを放つ 特徴は、ビームでありながらキャラン(浩司)の思考により どの方向にも屈折可能。 ランダムな方向転換すらお手の物。
百合は、にっこり微笑みながら振り返り浩司を見る。
浩司は、引きつけてくれた4体のグロテノスに対峙したまま 背中しか見えない だが、その背中から怒りの炎が上がっている。
百合には、その様に見え、感じる。 この下町、そして、ここに住む人々を気に入っていた。
そこを土足で踏みじられた。 怒り心頭。
早くこの女の子を安全な場所へ・・・ そこへ川村が、少し離れた場所から大きく手を振る。 まずはあそこへ と思い 小さな女の子の手を握り走り出す。
その時だった 殺気を感じる かなり離れた物陰から銃口 あれは、ロシア製の軍用自動小銃AK-47 それも2丁 狙いは・・・ 百合は、慌てて小さな女の子の前に、立ち塞がり両手を大きく広げた。 同時に、銃口が火を噴く 乾いた銃声が、無数に周囲に木霊する。
無数の銃弾は、百合に直撃 百合の身体は、銃弾を受ける事に、まるで優雅に舞うバレリーナ様に・・・ そう 有名な実話を映画化した フェイ・ダナウェイ、ウォーレン・ビーティ主演 Bonnie and Clyde 邦題 俺たちに明日はない の衝撃のライストシーンを見ている様に・・・ 銃声が止むと同時に、百合は、前のめりに地面に倒れる。
同時に、せっかく自らの身体を盾にし 命がけで守ろうとした小さな女の子も 数発の銃弾を浴び 地面に倒れる。
「百合ー!!」 「ゆりっぺー!!」 浩司、川村の悲痛な叫びを上げる。
物陰に隠れていたみなっちまでも飛び出し 「百合さーん!!」 同じく悲痛な叫び声を上げる。
キャラン(浩司)は、眼の前に対峙していた4体のグロテノスの首を 高周波セイバーで、瞬時に切り落とした。
眼にも止まらぬ早業 こんな所で、遊んでいる暇などない。
そのまま銃声の発信源へ高速移動 そこには、額には、ネクスタルこそないが、現役の警官2人 キャラン(浩司)が、瞬時に現れた事に、驚愕の表情を浮かべる。
まさに、鬼神の様な表情のキャラン(浩司) 怒りまかせ 手に持つ高周波セイバーを振る。 有無など言わせない。
2人の警官の持つAK-47事 動体を真っ2つに切り裂き それぞれ切り裂かれた死体を 怒りを込め蹴り飛ばす。
浩司に取って、百合は、親友でもある川村のフィアンセでもあり 浩司の為に、命をかけ戦い、眼となり耳となってくれる 大事なスパイの1人 ここまで、一緒に戦ってくれた かけがえなない友人であり戦友 命をかけて守るべき大事な存在の1人。
百合と、百合が庇った小さな女の子の死体の前に立つ 川村とみなっち。
「ゆりっぺー・・・」 呆然と百合の無残な、ボロ雑巾の様に成り果てた死体を見つめる川村。
「せっかく 百合さんが、命を掛けて守ってあげようとしたのに・・・」 みなっちは、涙目で、小さな女の子の前に跪き 恐怖で大きく見開いたままの両目をやさしく閉じてあげる。 そして徐に、小さな女の子の死体を抱き上げる。
せめて、この子の両親と、一緒にさせてあげようと、この子の両親らしい死体を探そうと、ゆっくり歩き出す。
川村もゆっくりと、百合の変わり果てた死体を大事に抱っこする。
周囲に、多数の殺気が、近づきつつある。
どうやら テレパシーを使い、キャラン(浩司)出現を知らせ 大部隊を呼んだらしい。
このままここで、戦闘を拡大させても 戦略的に意味がない。
無益な戦いはしない キヤラン(浩司)の方針 浩司は、素早くみなっち、川村の近くに行く。
同時に、3人に向かい 無数のエネルギービーム、エネルギー弾が、集中 まるで、絨毯爆撃 キャラン(浩司)は、大きな球体のバリヤーを張り 防ぐ。 何体いるのか? 解らない多数のグロテノス、ハイパーグロテノス このまま戦闘を続行しても数の上で不利 それに、みなっち、川村を守る事も不可能 キャラン(浩司)は、このままテレポーテーションする。
瞬時 大多数のグロテノス、ハイパーグロテノスの眼の前で、3人は、忽然と姿を消す。

 数日後 ここは、中部地方の山間部の奥地 周囲を山々に囲まれ、これ程山深い場所には、まず地元の人さえ山菜取りに、入って来ない。 谷間には、小さな渓流が流れ 小鳥の囀る声が響く。
ちょっとした平地になった場所に、浩司、みなっち、川村の3人が、墓石代わりの石を2つ立てた場所で、合掌していた。
「百合・・・」 「ゆりっぺ・・・」 「百合さん・・・」 3人は、つぶやく。
そうここには、百合と、百合が守ろうとした小さな女の子の亡骸が、埋葬されていた。
だれが見ても とても墓とは思えない程の簡素な造り。
だが、この3人に取って、これが現状 精一杯のしてやれる事でもあった。
「旦那あー」 川村は、徐に立ち上がり浩司を見つめる。
川村は、浩司、みなっちの2人に、フィアンセだった百合との出会い、幼少期からの生い立ちを語り始めた。
「あっしも 旦那同様 地方の小さな地方都市の 小さな商売を営む自営業の1人息子でしてねー」
昔を懐かしむ顔 記憶を遡っている 他だし、決して良い思い出の記憶ではない。
だか、1つ1つの記憶を辿り 思い出すように語る。
「店は、中心商店街から外れた 余り周囲に家もない寂しい場所だったんですが、それでもそれなりに、商売は軌道に乗っていんです。 幼い頃の両親の思い出って 朝暗いうちから深夜 日付が変わるまで、ほとんど休みも取らず一心不乱に働く両親の姿しか、思い出せません。 でもある日 降ってわいたような 事前説明もないのに、この付近一帯を再開発し、大型複合施設の計画話が、出てきましてねー 地権者は、僅かな補償金で、強制立ち退き 最後まで、反対した両親も ここの再開発を受け負った土木会社と言っても 良く知ってると思いますが、これは、表の顔に過ぎず、裏の本当の顔で、いきなり重機を持ち込み 店舗兼自宅事 取り壊し 僅かに持ち出したお金も 一緒にいた役所の連中や、土木会社の連中に、税金、協力金などの名目で、根こそぎぶんどられましてねー そのお金を取り戻そうとした親父は、事もあろうか、遠巻きにこの模様を眺めていた警察の国営極道に、訳の解らない法律で、逆に殴る、蹴るなどの暴行を加えられ 逆に、逮捕されてしまってねー。
その後 裁判では、公務員に対し職務妨害、暴行を振ったとして有罪 執行猶予付きの判決でしたが、莫大な罰金刑の賠償金まで背負いましてねー どうも再開発を談合の幹事会社として受注した この地域一帯を表裏から牛耳る成瀬土建会社には向かったのが、悪かったみたいで、余りにも強引な再開発計画に 親父は、このままではと危機感を抱き 首都Tで、こう言った方面を担当する有名な弁護士の先生に相談していたのが、気に食わなかったらしくてねー・・・ その後 その弁護士の先生も謎の事故死を遂げてしまいましてねー。 無一文になった両親と、あっしは、ようやく小さなボロアパートを見つけ そこで生活を始めたですが、毎日の様に、成瀬土建の手下のその筋の若い者や、税金滞納を理由に、役人まで押し掛ける有様で・・・ 幼いあっしでも この2つ裏でつるんでいる事 直ぐに解りました。 大人の世界って、本当に薄汚れた汚い世界だと思いましたねー。 そんな生活が続いたある日 両親が、あっしに、ある物を 父方の祖父母に持って行く様 頼まれましてねー 時々こう言う事 頼まれて、あっしは、祖父母の所へ行っていたんで、いつもの事だと思って、引き受けたんですが、いつも見送りは、お袋1人なんですがー、その日に限って、両親が、道の途中まで、見送ってくれたんでっせー 別れる時 何とも言えない笑顔の両親・・・ あれがね最後に見た両親の顔 今でも忘れはしませんでー そして、祖父母の家に着き 両親からの預かり物を祖母に渡したんですがー そこに同封されいた手紙を読んだ祖母は、真っ青な顔になり 庭の家庭菜園で、畑仕事をしていた祖父を呼んで、手紙を見せたんです。 すると祖父は、慌てて家に入り まず電話したんですが、出なかったらしく そのままタクシーを呼んで、祖父母は、あっしもタクシーに乗せ 家に大急ぎ戻ったんですけど、家に入ると、慌てた祖母は、あっしの頭を抱き 顔を胸に当て、「見ちゃ ダメー!!」と、大声で叫んだでっせー そこには、天井から首を吊り変わり果てた両親・・・ その後知ったですが、その手紙には、こう記されていたそうです 先立つ不孝をお許し下さい そして、この子を頼みますと・・・ それで、あっしは、誓ったんです 必ず両親を殺したやつらに、復讐すると、やつらに対抗するには、やつら以上の力と、権力が必要だと・・・、それからあっしは、猛勉強を始めたんです。 この国を牛耳る頂点 高級官僚になって、両親を殺したやつらのバケの皮を剥がし 全て白日元に晒し 殺された両親と同じ目に遭わせてやると、そして、現役で、古都K市に国立大学最高峰の1つK大に入り そこから官庁の1つに入ったですがねー ここでも派閥だの学閥などが、物を言う社会で、あきれつきばかり 本当に嫌になりましてねー それから数年たった後 ゆりっぺが、新卒で、あっしの後輩として、入ってきたでっせー 最初は、仕事だけの先輩、後輩だったですが、ある日 ある人の送別会の帰り 2人だけで、飲んでいた時 何気なく あっしのここまでの生い立ちを ゆりっぺに話してしまったですよ やはりどこか,さみしい思いをしていて、だれかに聞いて欲しかったでしょうねー その時 ゆりっぺは、他だ黙って真剣な表情で聞いてくれましてねー 最後には、涙をボロボロと流し出す有様でー ご存じの通り ゆりっぺは、古都K市の古くから続く名家のお嬢様 色々あって、家を飛び出したですが・・・ あっしみたいな人間の為に、心から泣いてくれたのは、ゆりっぺたけ・・・ それで、あっしに、ゆりっぺは、言ったです。 私も一緒になって、この復讐をやりとげてあげると・・・ それからでっせー あっしと百合が本格的ペアを組む様になったのは・・・ 仕事の合間 成瀬土建や、あっしが子供の頃住んでいた地方都市の役所の連中の数々の裏の不正などを暴き出したですが、ある時 成瀬土建で、出世していた当時 エリートぶっていた1人を 追い詰めただすが、その時の言い草が、まさにサラリーマンの典型 会社の命令に従っただけだとか、俺にも家族があるのだの・・・ 自分の都合の良い事ばかり並べ 全く自己責任無し 他人の幸福を奪っても 自分達さえ良ければいい・・・ まさにサラリーマンの鏡 この時 本当に悔しかったですぜー こんな低能な人間とは、とても思えないクズすら気を悪くするのに、両親は、自殺まで追い込まれたと思ってねー 本当に、この国の社会 腐りきっていると思いましたでー まともな生きている人間程バカを見る・・・ こんなやつらが、はびこりサラリーマンで、エリートだと、幅を利かす社会 そして、成瀬土建のやつら 邪魔なあっしを消す為に、媚を売っている国会議員の政治屋を使って、合法的に、あっしの処分を図ったです。 出向と言う形で、最も危険な内閣調査室の調査官と言えば、聞こえが、いいですがー つまりスパイ 裏社会や、シンジゲート、テロ組織 各国のスパイ組織に潜入など主な仕事ですが、そこへ追いやられてねー 日本のスパイ組織 世界でも最低レベル 米国のCIA、NSAなどや コードネーム 00(ダブルオー)ナンバーで始まる 有名なイギリスのMI6(別名SIS)、イスラエルの有名なモサドと違って、あっしみたいな他の省庁からの それも厄介払い者ばんりの集まり 潜入捜査を命じられた者は、ほとんど闇に消える場所 それでも、一緒に出向させられたゆりっぺと共に、歯を食いしばって生き延びた そして、ある日 テロ組織の1員として、世界的に、マークされていたピェール神父のおっさんの属しているヤーナの存在を知りましてねー それで、ヤーナへの潜入捜査を命じられ その時 アポリスの存在や、生体兵器 今 この地球を支配するネクストノイドや、その主力生体兵器であるグロテノスの存在を知った理由で・・・ その後 旦那と知り合った理由ですが、旦那と知り合い、旦那の事を知れば、知る程 旦那の持つ魅力に取りつかれましてねー あっしと同じ自営業者出身 何事も自分で、考え、判断し、決めたら即実行する。 まさに、典型的自営業者 人の話は、聞くものの、最終判断は、自ら下す。 旦那は、あっしに取って、まさに理想の自営業者の商売人の体現者であり 憧れの存在。 それに旦那は、レジェンスと言う 不思議な力を持ちながら その力に過信し、溺れる事もない 逆に、コントロールが、難しい無用のハードウエアー、長物程度にしか思っていませんからねー 重要なのは、戦略的勝利 それも戦わずして、歴史的流れ、意義を重視し 望む方向へ歴史が流れるかを重視していますからねー 普通のの人じゃ 中々そこまで、考える人は滅多にいませんから・・・ だからあっしは、旦那に付いていこうと決めたんです。 ゆりっぺも この事を話したら 同じ気持ちだったと、言ってくれました。 ・・・・・」 川村の長い話しは、続いた。
最後に、「死んだゆりっぺもあっしも 最後まで、旦那の味方でっせー」
川村は、今までの気持ち、心情の全てである。
「何と言っても旦那の1番良い所は、筋金入りの宗教嫌いの無神論者!!」 川村に、ようやく満面の笑みが戻る。
この瞬間 みなっちの鋭い眼光(人は、これを眼(ガン)を飛ばすと称する)が、言った川村だけでなく、何故か?浩司にも 川村以上に飛んだ。
顔中真っ青に変色する 浩司と、川村。 恐怖に怯える。
"あ・・・あの 何も・・・言って・・・" (冷汗) "浩司談"
"言わなくていい!!" (怒) "みなっち談"
その後 みなっちは、両腕を組み両目を閉じる 右足で、リズムを刻む かなりイラ付いている。
最も危険な兆候 浩司、川村共背中に冷たい物が流れる。
みなっちは、両目を大きく見開いた だが? おかしい? 眼の前いたはずの2人が、忽然と姿が消えている。
「逃げられたかー」 怒りに満ちた低い声でつぶやく。
浩司と、川村 逃げ足だけは、だれよりも速かった。
ここで、捕まったら最後 エンドレスの恐怖の 小言、ガミガミ説教が待っている。
「神様 あの迷える子羊達を救い(懲らしめ)たまえ・・・」 みなっちは、怒りを込め祈っていた。

 その頃 ピエールは、少数の側近と共に、ある場所にいた 地球最南端 南極大陸。
ここである場所の捜索をしていた。
分厚い いったいどれくらい積み上がっているのか計り知れない氷河の下の地表より更に、地下深く潜った場所 そこには、我々人類が、エル(神々)と呼んだEBE's(地球圏外知的生命体)のオーバーロストテクノロジーの1つ 巨大な施設が眠っているのを調べ上げた。
多分 日本のO県Y島の近郊の海底より更に、地底奥深く作られた ヤーナ最高機密基地 聖なる場所より 更に重要施設。
ここそ 真のニューエデンと、ピエールは、信じていた。
ここには、秘宝とも呼べるエルの残した驚異のオーバーロストテクノロジー それも現在最大受益者である この地球を支配する アポリス 支配者たるネクストノイドよりも更に、優れたテクノメジーが眠っているはず。 それを手に入れれば、今の戦況の不利など、逆転し ピエールの目指す 神々の支配する 神々により統一された理想世界 ミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)への道が開け 神々への進化への道も開けると、信じていた。
そして、南極大陸の地下深くで、ニューエデンを発見。
ここは、聖なる場所の様な居住用に開発 途中放棄された場所と違う。 軍事用兵器などの研究、開発ブロック。
各種 研究、開発されていた物の大半が、そのまま放置されいた。
ピエールの装着するBP-2の額にあるレアスタルを通じて、ここを管理するマスターコンピューターにアクセス 必要な情報は、瞬時に、ピエールに伝えられる。
それにより ニューエデンの全てを管理、支配出来る。
そして、ピエールは、遂に、オーバーロストテクノロジーを手に入れた これぞ神々の力 チベットで、その位置を確認出来る最後の秘宝を手に入れ 遥々ここまでやってきた。
これで、アポリスのネクストノイドへの対抗・・・いやそれ以上の力を手に入れられる。
求めていた秘宝の1つ 研究ブロックに足を踏み入れる。
そこには、そこは、何かの生産施設 見たこともない、うまく表現できないが、確かに、何か?ここで生産されていた。
ピエールは、BP-2を装着した状態で、生産された 直径1cm程の黒い球体を手に取る。
電子アイと、アクセスしているマスターコンピューターのデータから これ何か解る。
探していた秘宝の1つ。
"バトローラー"
ピエールの最も欲していた物の1つ これを我々ホモサピエンス・サピエンスの額に埋め込む ネクストノイドの様な複雑で、コントロールが難しく 時間の掛かる改造手術など必要としない。
後は、バトローラが、全て必要な措置を施してくれる。
そこから生まれる 生体兵器こそ"バトロイド" それは、エルが、ネクストノイドとは、別系統で、研究開発を進めていた 我々人類をベースとした新たな生体兵器 ネクストノイドの様に、DNA(遺伝子)に、他の生命のDNA(遺伝子)加え ナノマシーンと、ネクスタルによって、強化改造するタイプと違う 我々人類の持つポテンシャルの限界を遥かに超えた能力を持つ驚異の生体兵器 ネクストノイド上位のデストロ、最上位のアピリム同様 ネクスタルを通じて、各グロテノスをテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)するのと、同様 BP(バトルプロテクター)のSVL通信機を利用しマインドコントロール(精神支配)出来る。
他だしグロテノスの様な 1つの物に特化していない パワー、スピード、飛行、偵察など 特徴がなく 性能も全て、グロテノスの平均値程度 全て画一化されている。
だが、ピエールに取って好都合と言える。
画一化は、絶対的統一された意思の下の整然とした秩序を伴い 統一的に運用しやすい。
つまりピエールに取って、理想的な社会システムと、合致する。
これこそ、ピエールの目指すユートピア(理想郷)であり ミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)に、ふさわしい軍隊像。
バチロイドは、グロテノスの様な、それぞれ特化した生体武器はない。 だが、ここにある武器を開発所持させれば、何ら問題がない。
ここには、エルが所有、利用していた各種武器が残され、ここのマスターコンピューターに命令すれば、武器工場の生産ラインが復帰 再生産が可能 何ら問題がない。
後は、もう1つ これこそ対デストロ、更に、最上位にいるアピリム用 最終兵器とでも言える 究極の最後の秘宝 信仰する神々にの導きに現れた最終兵器 ここにある アクセスしているマスターコンピューターが、そのありかを示している。
BP(バトルプロテクター)を装着し神々と同じ力を得た者だけに与えられる物。
これを手に入れれば、過去、神々によって使わされた預言者達を上回る 神々の御心を迷える子羊達に伝え救済する真のメシア(救世主)の証 神々と同等の力を持つ者、神々の代理者となれる。
ピエールの欲望が渦巻く。
お楽しみは、最後に残しておくべきだ。 まずは、ここに数個あるバトローラーのテスト(人体実験)が先だ。
ここにいる者達の額に装着させる。
果たして、データどおりの結果が得られるか?
成功すれば、神々の意思の下 統一された精神体の1部となり 全く同じように考え 同じように感じ 同じ価値観を持つようになれば、人間の種としての進化が達成され 神々への進化の道が開かれるはず、これこそ神々への進化への輝かしい第1歩。
その為の名誉ある実験体として、今 ピエールの後ろにいる側近の数人 まずは最初の実験体となってもらう。
ピエールの装着するBP-2のアイが光る 同時に、後ろにいた側近数人の身体が、光球体に包み込まれる。
「何だ これは?」 「身体が、まるで、金縛りに会った様に動かない」 「ピエール神父様 助けてください」 口々に言う・
だが、ピエールは、光球体に取り込まれた側近を 助けようとしない 逆に不敵な笑い声すら上げ始めた。
この光球体は、このニューエデンに潜入した 敵勢力を拘束する為の武器 BP-2を装着するピエールが、マスターコンピューターに命令し 後ろにいた側近を拘束させたのだ。
「君達は、神々が使わした最大の預言者にして、メシア(救世主)たる私の忠実なる下僕(ともべ)」
その言葉に、思わず息を呑む光球体に取り込まれている側近達 遂に、ピエールが、気が狂ったとさえ思った。
ピエールの装着するBP-2の全身から 黒き歪んだオーラが舞い上がり稲妻を発している様にさえ感じられる。
我々人類が、神々(エル)と呼んだEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残した オーバーテクノロジーの数々をその眼にし 遂にその黒き野心に、我を忘れてしまった様に感じられた。
早くここから脱出しなければ・・・ 何をされるのか?
恐怖に、顔が強張る。
「これから 君達に、神々が作り出した素晴らしいプレゼントを差し上げよう これこそ我々が神々への進化への道の第1歩 その素晴らしいプレゼントを得る事の出来る 名誉ある最初の人間になれるのだよ・・・ 素晴らしいとは、思わないかね 神々の御心を知る事が出来る・・・」 ピエールは、不敵な笑い声を上げた。
BP-2が、黒いバトローラーを手に持つ その瞬間 BP-2の額のレアメタルが光る 光ると同時に、黒いバトローラーは、空中に浮き上がり ゆっくりと、側近達が、包み込まれている光球体に、近づき 光球体内部に潜入 恐怖に強張る側近達の額に取り付く そこからゆっくりと、人体内部に、大量のナノマシーンの注入を開始する。
恐怖に強張った顔から 一見穏やかな表情へと変化を始める。 だが何かがおかしい? 心から安らぎを得て、穏やかな表情になったとは、違う。 何も思考せず、他だ命令に従順なだけの 生きた操り人形・・・ 命令に絶対服従のロボット化しただけのように感じられる。生きている全ての喜怒哀楽的な感情が、そこには感じられない。 他だ1点を除いて・・・
そして、身体も作り変えられていく、外観は、ヒューマノイド(人間型)ではあるが、身体表面の皮膚は、亀の硬い甲羅の様に全体を被う 頭髪などの全ての毛はなくなり 瞳の色は、紅蓮の炎の様に変わる。 身体全体の骨格、筋肉が、異常に増強 戦闘にだけ特化した様な隆々とした肉体へ変化する。 だが表情だけは異質の先程までの 不気味な程穏やかな表情 これが、バトローラにより造り出された 戦闘用ヒューマノイド ホモサピエンス・サピエンスのBS(バトルスタイル=戦闘形態) バトロイドの変身後の形態。
戦闘能力、運動能力、反射神経等は、人間の限界値を遥かに超え 超人と思えるスペックを有し 亀の甲羅の様な皮膚は、鋼よりも高強度を誇り 通常の軍用小火器類程度の弾丸などを跳ね返す。 他だしネクストノイドの様な必殺技、生体武器類を有していない。
だが、これは、これで、十分な戦力となり得る。
ピエールは、満足の表情を浮かべる。
現在の極端な戦力差を埋められる。
最大のメリットは、改造の簡単さだ。
ネクストノイドの様に、DNAの適性率 そして、改造した他の生命のDNAや、ナノマシーンの身体注入 改造など時間のかかる手間が要らない 非常に、短時間 僅か数分で終わる。 DNAの適正率、身体の改造など不要。
だが、これは、他だの余興に過ぎない。
本命は、この先だ 神々が残して下さった究極の神々の力 それを得る為に、ここに来た。 あの天啓のあった日より 探し求めていた物 神々を裏切し者 アピリム・ファーストと、同じDNAを盛って生まれた呪われた血を消し去り 神々への進化へと導く物 今 ここに・・・ ピエールが念じると、右横の壁が開く 部屋の中は、光に満ち溢れた世界。
これこそ 神々が゛残した究極の物を格納してある場所にふさわしいと、ピエールは感じた。
何かに誘われる様 ゆっくりと、光溢れる部屋と、歩き出す。




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