LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 放浪 Par2

 その頃は、浩司は、恋人のみなっちと2人 日本国内の首都Tの下町にある ある古ぼけたマンションの1室にいた。
あの川村が、指定した場所で、浩司は、川村と、そのフィアンセの百合と久し振りに再会していた。
ヤーナを離脱以来 浩司は、みなっちを連れ 首都Tの下町商店街に、身を潜めていた。
元々 ある小さな地方都市の中心商店街出身で、職人気質の厳しい仕事の自営業者である。
首都Tは、高卒後 数年修行の為 暮らしていた思い出の場所であり 特に、下町商店街は、浩司の気質に合っていた。
非常に住み心地が良い場所でもある。
この時代 この様な下町商店街に住む人々は、ネクストノイドへの改造も受けられない 進化出来ない下等生物と見下され あらゆる差別の対象となり 決して楽な生活ではなかった。
だが、商店主とその家族は、決して、くじけないバイタリテイーの持ち主でもある。
浩司は、ここでの生活にすぐに馴染み、いつもここに住む人達と、互いの悪口の交換会などお手の物。
実は、浩司は、こう言うところで、みなっち曰くひん曲がった、これ以上無い壊滅的性格を育んだのだが・・・ 修復不能ながさつさなど・・・
だがここでは、極平凡にしか見えない。 この風景の中に自然に溶け込んでいる。
他だ みなっちの方は、やや上流階級の山の手育ち 慣れるのに一苦労。
みんな人情味があり 本当に、親切で、世話好きな良い人ばかりなのだが、下町の独特の感覚にイマイチついて行けない。
そして、1人1人の個性も強烈。
職人気質で、頑固一徹、てやんでー!! べらんめー!!・・・調など とてもついていけない。
どうして、笑ってこんなに互いの悪口の交換、皮肉ばかり言い合えるのか、もう1つ理解出来ない。
この下町商店街で、2人は、アルバイトをしながら細々と暮らしていた。
もちろん 浩司が、どんな人物であるか、ここにいる人達は、知っている。
だが、浩司を売る人は、皆無。
浩司は、ここにいる人達と同様自営業者出身 大事な仲間として扱われていた。
みなっちは、こんなに毎日良く笑う浩司を見たのは、初めて。
ヤーナ時代と違い 浩司の精神衛生上 最も良い場所であり 時期でもあった。
バイトの帰りがけ みなっちは、良くこの商店街のオバチャン達に、声を掛けられる。
そのまま店の奥の座敷に拉致され、いつもの旦那と、子供の悪口 特に、旦那の悪口の井戸端会議に強制参加させられる。
「うちのとーちゃんと来たら 朝からロクに仕事もせず・・・ その癖 仕事が入ると頑固一徹・・・ 夜になると、あんたの旦那(浩司の事 ちなみに、今だに、2人は、正式に結婚しておらず 腐れ縁の同棲中・・・)と、ビールばっかー飲んで、飲んだくれ・・・」などと悪口のオンパレード。
「何でえー 好きで一緒になったくせにー かーちゃん この俺の事 そんな目で見てやがるのかー・・・」と、ご主人からの横槍の いつもの大騒動・・・
困った顔を浮かべるみなっち。
でも本当に、暖かい人情味を感じさせる。
「・・・それで、美那美ちゃん これ今日の夕飯の足しにしなさい・・・ 余分に出来ちったから・・・」
良くこうして、夕食用のおかずのおすそ分けを貰っている。
「いつもすみません・・・」 丁重に貰うみなっち。
「いいんだよ あんたの旦那には、この商店街のみんなが、世話になっているんだから・・・」
うれしそうに言う女将さん。
そう浩司は、ここで、裏で、この商店街に来て、色々悪さ、嫌がらせなどをする 進化した新人類と呼称するエリートサラリーマン階級のネクストノイドや、その暗部担当で、かって反社会勢力と呼ばれた者達と、その表の顔の部分の連中を半殺しにして、2度と、この商店街に近づけさせないようにしていた。
浩司は、隠れてバレないようにやっているつもりなのだが、実は、バレバレ・・・
この商店街全員 浩司に感謝していた。
浩司が、いなければ、今頃のこの商店街は破壊され 巨大なネクストノイド専用の高級ショッピングモールになっていただろう・・・
ここは、ネクストノイドに改造を受けられない 進化出来ない旧人類と蔑まされているホモサピエンス・サピエンスの数少ない 生きる糧を得る事の出来る場所であった。

 「旦那あー 酷いですぜ、あっしに何の連絡も無く かってにヤーナ辞めてー あっしが、聖なる場所に戻ってきたら 旦那が辞めたと、大騒ぎでしたよ まあー 騒いでいたのは兵士の1部でしたがねー 喜んでいたのはピエール派の連中ばかり・・・」
「ところで、川村 こんな所へ俺を呼び出してもいいのか? 俺は、ヤーナに取っては、裏切り者でもあるんだせ」
真顔で、浩司は聞いた。
「大丈夫でっせー あっしも、ゆりっぺ(川村は、いつも百合をこう呼んでいる)も ヤーナを辞めてきましたからねー 旦那がいないヤーナなんて、幹部連のほとんどが、他だの宗教狂信者の集まり・・・ 全く魅力も未練もありゃしませんですせー」
川村は、吐き棄てるように言う。
「ところで 旦那ー ヤーナを辞めて以来 目立った事 何もしていませんみたいですがー 何か? 考えでおありでしょう 旦那の事だ なんかとんでもないワクワク、ドキドキのスリリングな事 考えていらっしゃるんでしょう あっと驚く事 あっしと、ゆりっぺは、ついて行きますでー どこまでも旦那に・・・」
浩司は、持参したノートタイプのPC(パソコン)を起動させた。
そして、ヤーナ離脱時に、持ち出したCD-RWの1枚をセットする。
「一応 今 考えている基本戦略構想だ」
そこには、ヤーナで、評議員待遇時代に、対アポリス用の全データが納められており 特に、アポリスの主力兵器でもある ネクストノイドへの改造が行われている各国の拠点病院の正確な位置、地図が、細かく表示されていた。
「知ってのとおり ネクストノイドは、その素体ベースは、我々 やつらの言うホモサピエンス・サピエンス(旧人類)だ、現状 物量差は、どんなにかんばっても補えない程極端な差がある 正面から まともに戦っても勝ち目はない だが、何も正面から直接戦う必要もない 兵量攻めも戦略の基本だ」
浩司の話し大きくうなづく川村 少しにやけた笑みを浮かべる。
少数 それも ここにいるたった4人 それも戦闘員と言えるのは、浩司、川村、百合の3人 みなっちは、戦闘に向いていない。
これだけの人数で、全世界を敵に回し戦うのだ。
色々策が必要だ。
「つまり ここを叩こうと言う事ですね」
川村は、大きくうなづく。
「まずは、敵の補給線を絶つ 戦略の基本だよ」
「これ以上 ネクストノイドを増やさない・・・ うーん・・・ なる程ねー」 川村は、感心する。
「徹底的ゲリラ戦術だよ」
「うーむ」 川村は唸る。
「まず これが第1段階だ」
浩司は、椅子から立ち上がった。
「そして、第2段階は、やつらアポリスは、現在この地球を支配している だが 完全に支配している理由ではない 世界各地に単発的な、横の繋がりがないのが残念だが、衝突、混乱、デモなど頻発している つまり この地球をアポリスと言う 非常に薄いオブラートに包まれているに過ぎない」
浩司は、ポケットからオブラートを1枚取り出し 爪楊枝突く 何ヶ所も穴が開く。
その様子を見て 面白そうに笑みを浮かべる川村 どうやら浩司の言わんとする意味が理解出来るらしい。
「第2段階として、やつらアポリスに、兵力の分散の愚を気付かせる」
「なる程 旦那 さすがですぜ 確かに、あっしらだけで、地球全部に拡散するネクストノイドを同時に、攻撃する事 無理ですからねー 逆にあっしらが、例え数ヶ所の拠点を確保しても 同時に守る事も不可能 だが敵に、兵力を全地球に薄く広く拡散している愚を気付かせ 何ヶ所に兵力を集中させると言う 戦略の基本を逆手に取る 集中させた拠点を叩けば、非常に効率的 旦那の持つ不思議な戦闘能力なら 例え1万体を超えるグロテノスでも 旦那の敵じゃない よく考えましたね」
「だが 全てのグロテノスを倒す必要性はない 叩くのは、あのアピリムと、残り6体のデストロだけでいい それだけを倒せば、グロテノスなど残りりネクストノイドの精神などを支配している テレパシーを利用したマインドコントロール(精神支配、洗脳)の呪縛が解ける 後は、どのように、我々ホモサピエンス・サピエンスと、ネクストノイドを共存出来る社会を築けるかだ」
浩司の説明が続く。
「そんなにうまくいきますかねー」
やや川村は、半信半疑の表情を見せた。
「それに、ネクストノイドとの共存 確かに理想的ですが、うまくいきますか?」
当然の疑問である。
「うまくいかせるしかないだろう・・・?」
浩司自身 余り自信のない返事であった。
余りにも色々と違い過ぎる 特に、戦闘能力 体内にある大量のナノマシーンによって、ほとんどの病気、怪我などに対する自己治癒力は、我々ホモサピエンス・サピエンスとは、比較の対象にならない程である。
だが、人類の進化と言う観点から考えれば、1つの方向性であるはず 人類が誕生・・・ いやこの地球に生命が誕生以来 常に、複数の種が、共存してきた。
それに、人類には英知と、自ら呼称する物を持ち合わせているはず、それを信じたい。
今の浩司の本音であった。
「旦那が、そこまで言うんだ あっしもゆりっぺも どこまでも信じてついていきまっせ」
ようやく川村が納得した表情を浮かべる。
「・・・ と言う事は、あっしと、ゆりっぺの仕事は、敵アポリスのネクストイド改造病院を中心とした 機密を盗み出し 拠点事に効果的に叩く情報ですね」
川村は、意味ありげに、笑みを浮かべる これから始める事に対する楽しみに、早くも酔っている。
スパイとしては、川村、百合 2人共 世界で、トップランクの実力を有している。
特に、敵の拠点に潜入 情報を盗み出すのに、この2人以上の人材は、多分いないだろう・・・
実は、ヤーナ内で、浩司が、ピエールと鋭く対立して以来 前線から外され 閉職に回されかなり鬱積した日々を送っていた。
浩司の1派と目され いや本人達は、公言こそしていないが、肯定している。
浩司に取って、数少ない最も信頼出来る仲間である。
ようやく この先が面白くなってきた。
たった4人で、とんでもない事をやらかそうとしている。
こんな大胆不敵な事 想像するだけで、気持ちの高鳴りが抑えられない。
だが、その分 苦労は、想像を絶する。
でも1度は、これ程の大胆な事をやってみたかったのも事実。
「旦那ー 1つ聞きたいんですが? この基本戦略構想のネーミングは?」
「まあー しいて言えば、やけくそ戦略かな?」
呆れた表情で言う浩司であった。
納得の笑みを浮かべる川村と、百合 この人達の精神果してどんな神経細胞の持ち主なのか? 疑問を禁じえない表情を浮かべていたのは、みなっち。
まともな人間ならば、決してこの様な考えを浮かべない。
「周囲は全て敵だらけ またともな人間なら逃げるさ・・・ 元々狂っているからね これ以上狂いようがないさ・・・」 などと自分自身に対して、皮肉を言う浩司 こんな男に付いて来てこの先大丈夫かしら・・・? 益々疑問を禁じえないみなっちであった。
浩司は、みなっち、川村、百合にある物を手渡した。
それは、ブレスレットタイプの見た目 平凡な腕時計。
「旦那ー これは?」
川村の質問に、説明を始める浩司。
浩司が、別宇宙にある レグと呼ばれる太古の昔に絶滅したと言うEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の小惑星基地で、ノルンと名づけた思考を持つスーパーコンピューターに作らせたワープ通信機の末端機能を備えた 脅威のオーバーテクノロジーの産物であった。
ヤーナが利用していたSVL通信機とは、全く異なっており 情報量など比較にならない程 こちらの方が超高性能である。
なんと言ってもSFなどで同じみの 立体映像機能など標準装備されている。
使い方を詳しく説明する。
「・・・連絡、通信用」
使い方を憶えたみなっち、川村、百合の3人は、うなづく。
実は、浩司は、説明を省いたのだが、このブレスレットタイプのワープ通信機には、浩司が、アルファーベースと呼んでいる レグの別宇宙にある小惑星基地と、通信及び 思考を持つスーパーコンピューター ノルンとのデータ通信まで可能であった。
少しでも圧倒的以上の極端な戦力差などを補う為 レグの驚異のオーバーテクノロジーを本格利用を始めていた。
その1部である。
「どこで、こんなすごい物を」
みなっち、川村、百合の3人の当然の疑問である。
「説明するが、エルと呼ばれる我々が神々と呼んだEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)以外の それより遥か太古に滅亡した レグと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残した 多分 エル以上の驚異のオーバーテクノロジーの1部だよ」
浩司は、左脇のショルダーホルスターから 例の44HPマグナムを抜き出し こしのベルトから下げている金属製のバトン 高周波セイバーを取り出し 机の上に置く。
「これも レグのオーバーテクノロジー産物」
大きく眼を見開く3人 浩司はここまで、この質問に、適当にはぐらかす答えしか言っていなかった。
恋人のみなっちにさえ・・・
言っても信じてもらえないとと言う思いもあった。
余りにも現実離れしている。
だが 今では、エルと言うEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の 今から1万2000年以上前に、この地球に残した 驚異のオーバーテクノロジーの1部は、利用されている。
旧人類と呼ぶホモサピエンス・サピエンスを 新人類し称する エルの残した驚異のオーバーテクノロジーの1部を利用し 人工的に進化? いや改造と言うべきであろう・・・ ネクストノイドと言う 新たな形態の人類を生み出している。
エル以外に、超高度オーバーテクノジーを持つ他のEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)がいても 不思議どころか、普遍的事実として、受け止められる現状であった。
だが、エルなどのEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残したオーバーテクノロジーを利用している事を知っているのは、アポリスの一定以上の重職に就く大幹部クラスと、敵対するヤーナに属している者の秘密であったが、一般人には、だれれも知らされていない。
薄々気付いているのは、優先的に、ネクストノイドのグロテノスクラスに改造され マインドコントロール(精神支配、洗脳)下にあるはず・・・
「みんな 近くに寄ってくれ」
浩司は、ここにいた者を近くに寄せる。
そして、レジェンスの戦闘モードに入る。
浩司自身から 淡い白い光が発する。
「今 バリヤーを張るから そこを動かないでくれ」
「旦那 何をする気で?} 川村は、意味が理解でず、浩司の顔を見る。
「今から 別宇宙にある レグの基地 俺は、アルファーベースと呼んでいるが、そこへテレポーテーションする そこで全てを話す」
「旦那 テレポーテーションも・・・」 驚く川村 みなっちも百合も同様・・・
益々浩司の持つ 驚異のポテンシャル レジェンスのエネルギーに驚愕する。
「注意しておくが、次元の壁を通り抜ける いわゆる1種の4次元ワームホールだ、次元転移により 精神、肉体面で、変調を起す可能性もある まあー命には、別状はないけど・・・ 多少気分が悪くなるかも知れない それと、重要な事だが、この宇宙と、アルファーベースのある別宇宙は、物理法則、大統一理論は同じだから その辺の心配ないよ」
簡単に言ってのける浩司。
だが、みなっち、川村、百合は、そんなの事言われてもーの不安な表情 特に、みなっちは、浩司の言った 宇宙物理学が、全く理解出来ない。
「さあー 行くぞ」
浩司は、アルファーベースに、精神を集中させる。
4人を包み込んでいたバリヤーは、次元の壁を 瞬時に通り抜ける様に消えた。

 「お久し振りです。 マスター」
4人は、アルファーベースの内のあるブロックに突然 姿を現した。
同時に、意思と思考を持つスーパーコンピューター ノルンが、うれしそうに声を掛ける。
「よう ノルン」
浩司も少し笑みを浮かべる。
浩司以外の3人 みなっち、川村、百合は、理由も解からず、突然 周囲の風景が変わり きょとんと何も理解出来ない表情で、周囲を見渡している。
ただ みなっちだけは、少し顔が青ざめ始める。
どうやら 次元の転移 4次元ホームホールを通り抜ける事により 身体に多少の影響を及ぼしたか、それとも別宇宙への環境不適応なのか? 少し気分を悪くした様子。
直ぐに気づいた浩司は、メデカルルームへみなっちを連れて行く。
「私は、ノルン」
どこからともなく ここにいる川村、百合に少し機械的だが、美しい女性の声が響く。
「マスターキャラン(浩司)より この名前を与えられた ここアルファーベース これもマスターのネーミングですが、ここを管理する思考などを持つスーパーコンピューター」
ノルンは、自己紹介する。
「あなた方 お2人は、マスターから色々聞かされております」
ただ 訳も解らずノルンの話を聞く川村と、百合、まるでSFの話にしか思えない。

残された川村と、百合 ノルンの案内で、リビングルームへ。
ノルンは、マスターである浩司の命令で、このアルファーベースの居住部を 地球の環境、文化、文明に合わせ 大幅リフォームを施していた。
この時が来る事を事前に、予想した浩司の考えであった。
重力は、1Gが保たれており 室内の大気圧、大気濃度、成分など、地球と全く同じ。
人類が、普通に呼吸し生活が出来る様になっている。
広大なリビング内も 地球のやや上流階級の生活を ほぼ再現しており ここが、別宇宙にある 小惑星の内部にある レグと呼ばれる太古滅んだEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)の秘密基地だとは、とても思えない。
早速 給し用のロボットが、川村、百合に、紅茶を運ぶ。
「川村様、百合様 地球製の紅茶を厳密にコピーしたものです」
感情がないが、どこか愛嬌のある声で、給し用ロボットは、ティーセットをテーブルの上に置く。
ただ呆気に取られ 周囲を見渡す事しか出来ない川村と百合。
確かに、調度品など、地球で見慣れた物ばかり・・・
そこへ浩司か、みなっちを連れて来た。
かなり みなっちの顔色が良くなっている。
4人は、それぞれソファーに座る。
「ノルン 3Dモニターを」 浩司の声に反応 浩司の後ろに、大きな3Dモニター画面が現れる。
浩司は、あの日 みなっちと行った 例の古代ピラミッドだったと言う山での 出来事から話し始める。
そして、ここへレジェンスと言う 無が無を生み出し2つの球体に分離した 驚異、無限のポテンシャル・エネルギーを持つ球体・・・
そして、ここでの出来事 知っている限りのレグについての情報 現在開発中の携帯用の各種武器、情報、監視システム・・・ とにかく僅かこのに4人・・・ いやみなっちは、非戦闘員 これだけで、地球を実行支配するアポリスと戦うのだ、ここレグの残したオーバーテクノロジーを利用し、総力戦で戦う 最終戦略目標は、アピリムと、残りのデストロを倒し テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)から 他のネクストノイドを解放し 旧人類と呼ぶ我々ホモサピエンス・サピエンスと、ネクストノイドの共存社会を目指す。
いつになく熱い決意を語った。
浩司は、難しい説明には、後ろの3Dモニター画面を利用し説明した。
浩司の説明を受けた3人 余りの専門用語連発に、理解出来ない部分が多発・・・
「現在ホッパーと名付けた スーパーステルス製の監視衛星を 数基数日のうちに、我々の住む宇宙の地球軌道上に、テレポーテーションさせる予定 それによりアポリスの動きを監視する そのデータは、必要な時 先程渡したブレスレット型通信機でも呼び出す事が出来る それにデータをノルンに送信すれば、解析は、全てノルンが行ってくれる」
浩司は、3Dで、無人の製造工場を映しながら説明する。
「これが、予定通り活動を開始すれば、アポリスの軍の動き、陣形など把握できる 情報面での劣勢 少しは補える 後は・・・」
浩司は、川村と、百合を見る。
「2人が、今後もたらしてくれる情報だよ・・・」
情報を制する者は、世界を制する・・・ 正しい情報を正しく分析、運用する・・・
浩司は、情報の重要さを熟知している。
"敵を知り、己を知らば百戦して危う(殆う)からず" と言う 古代中国春秋時代の軍事思想家孫子(もしくは孫武の著とも言われる)の兵法書の有名な一節で、格言、名言でもある。
それを忠実に実行しようと考えていた。
「それと、もう1つ頼みがある」
浩司は、近くのいたキャタピラ付きの愛嬌のあるロボットにある物を運ばせた それは、金属ケースに入った とても小さな全長2cm程の小さな円柱状の金属。
それを1つずつ、川村、百合に渡す。
「旦那ー これは、コンピューターのハッキング用の機器 これを 日本、アメリカ、ヨーロッパの主要アポリス施設にある末端のPCか、本体のサーバーに取り付けて欲しい 取り付ければ、ここアルフゥーベースのノルンに、必要な時 必要な情報を 検知されず、ハッキング可能となる」
「これがねー・・・」 感心しながらも覗き込む川村と百合。
取り付け方法を3Dを使いながら浩司は、説明する。
地球の電波や光ファイバー回線、アポリスや、同じエルと呼ばれEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残したオーバーテクノロジーを利用するヤーナの使用するSVL通信とは、全く異なる通信回線 まず検知される危険性は、少ないと、浩司は語った。
欲しい情報を 取り付けたPCもしくは、サーバーからスーパーステルス製の監視衛星 ホッパーを経由し、ここのノルンに送られる。
まずは、浩司自身が、アポリスの目を引く為 日本国内のいくつかのネクストノイド改造病院を叩き注意を引く その隙に主要アポリスの施設に潜入し これを取り付ける。
細かな作戦が練られる。
みなっちは、ここで居残り みなっち 大むくれ 「私だけをノケ者にするー・・・」と、怒り出す。
結局 みなっちも浩司と、地球に戻り行動を共にする事となった。
他だし みなっちは、浩司の戦闘中は、後方の安全と思われる場所で待機。
後方で、浩司のバックアップと言っても 監視用のレーダーで、敵の動きを浩司に、通信する役割。
最初の作戦と、全ての役割が決定される。
地球標準時間で、2日後 スーパーステルス製の監視衛星 ホッパーが、レグのオーバーテクノロジーにより開発されていた4次元ワームホール発生機器により 浩司達の宇宙へ通り抜け 地球衛星軌道へ配置。
全てのシステムに異常がないか確認 全てグリーン 異常無し 正常に活動しているのが確認される。
同時に、浩司は、みなっち、川村、百合を連れ 自身のバリヤーに入れ 地球へとテレポーテーションする。
レグのオーバーテクノロジーの1つ4次元ワームホールは、物体以外 生命体には、利用出来ない。
浩司の様に、強力なバリヤーが、張れないと、肉体に多大な影響を及ぼす。

第1目標をそれぞれが確認。
ここで、浩司、みなっち組と、川村、百合組は、分かれる。
浩司、みなっち組は、オーストラリアに建設途中のネクストノイド改造専門病院・・・ と言っても 見るからに、病院と言うより 巨大な工場群と呼んだ方が適切に思える。
近くには、巨大な、ここを防衛する為の軍事基地、訓練施設が併設されており 巨大な複合施設となっている。
かってそこにあった軍事工場が、取り壊され その跡地に、現在建設中の世界最大級の改造専門病院である。
ここが完成し 予定通り ネクストノイドへの改造が行われれば、飛躍的、ネクストノイドへの改造ペースが、大幅アップ アポリスの戦力増強に、大きく貢献する。
まず浩司は、ここを叩く事にした。
過去 何度か、ヤーナもここを急襲したが、全て失敗に終わっている。
ここを防御する軍事基地には、精鋭ネクストノイドの1個師団が配備され 周囲には、高性能レーダー群と連動したミサイル、レーザー砲などの 従来のからの防衛システムも完備されており さしずめ難攻不落の要塞化している。
真正面からの攻撃しても まず埒があかない。
それ程 この施設の戦略上の重要性が覗える。
オセアニア担当のダスティが、更に自身最強の親衛隊を常駐させ 万全に防御体制を引いている。
ここは、オーストラリア大陸の中心部の砂漠のど真ん中 周囲は、荒涼した岩と、砂と、乾燥に強い僅かな植物が生えるのみ。
夜間 浩司とみなっちは、この砂漠にある巨大な複合施設の近くに、その姿を現した。
上空には、ネクストノイドのコウモリタイプのバッタフールが、何体も旋回 その特殊能力である超音波を使い周囲をくまなく偵察 他にも赤外線を装備した無人偵察用のヘリも数機 更に、地上では、バンダーハンターと呼ばれる2足歩行型のロボットタイプの対人兵器で、こちらも超音波探知機と、赤外線監視機が、標準装備 タマゴ型の胴体からは、2門の7.62mmのガトリンク砲が、両腕の様に装備され 上空を旋回、警戒する バットフールと、バンダーハンターと連動し、地上で、闇に紛れ侵入を試みる敵の警戒にあたっている。
浩司は、その様子を高性能双眼鏡で確認しながら 左肩に担いでいた レグのオーバーテクノロジーにより現在開発中のプロトモデル(試作型)の 現在 仮に、MBR11と名づけているエネルギーライフル銃 性能は、高エネルギーを光粒子弾として発射 フレーム右のスイッチにより単発、連射に切り替えられる。 弾数 エネルギーチューブマガジンで、50発 更に、ガンバレルの下部には、強力なブラスター(エネルギー火球弾)を 発射出来る 大口径のブラスター・ランチャーを装備 弾数は、6発 アメリカ軍の歩兵標準装備のM16A4+M203グレネードランチャーに似た  エネルギーライフル銃を手に持つ 今日が、初めての実戦投入 このデータを元に、更に改良を加える予定となっている。
左脇のショルダーホルスターには、例の44HPマグナム、右腰のベルトのフックには、高周波セイバー、右足ふくらはぎにもナイフ専用のホルスターを締めており ホルスター内に、軍用サバイバルナイプと言っても レグのオーバーテクノロジーにより開発されたKZ合金と呼ばれる超硬度合金で作られ鋭い切れ味と、強度、硬度もつ KZナイフが納められている。
後 これも実戦初投入の 有名なSF小説 クラッシャー・ジョウ シリーズ(高千穂 遥著)のスピンオフ作品 ダーティ・ペア シリーズの主人公達 ユリとケイの愛用武器 ブラッディーカードをヒントに、同じ物をノルンに作らせた トランプ状のブラッディーカードを2枚 ベルト左のポシェットに収納していた。
使い方 飛行原理も全く同じで、人差し指と中指の間にカードを挟み スナップを利かせ投げる 後はイオン原理で、高速で長時間飛行可能 その間 浩司のテレパシーによる思考コントロールで、自在に操れる。
近接、白兵戦を念頭に置いた武器の数々を思い切って投入 コントロールの難しいレジェンスのエネルギーの利用を出来る限り最低限に抑え レグの驚異のオーバーテクノロジーを利用した武器で戦う 今回の方針 ここまで、無用の長物と考えていたハードウェアーに、ある程度重点を置いた戦い模索した。
戦わずして勝つ・・・ その為のソフトウェアーの考えを放棄した理由でない。
だがこの状況下 ある程度ハードウェアーを投入しなければならない状況下でもあった。
非戦闘員のみなっちを含めて、たった4人で、全地球をほぼ支配するアポリスに、無謀な戦い挑む・・・
服装は、グレーを中心とした迷彩戦闘服を着用しており 足元は、黒の特殊繊維など作られた軍用ブーツを履く。
今は、夜 夜空には、地球の衛星 月が輝いており 更に無数の星々が、まるで宝石の様に光が輝いているが、周囲は、真っ暗な闇の世界 昆虫の小さな泣き声と、時より吹く風の音しか聞こえない 静寂な世界。
一応みなっちの安全を期して、通常パトロール圏外の大きな岩の物陰に隠れている。
浩司は、暗黒の闇でも レジェンスの戦闘モードに入れば、昼間と同様 はっきりと見える 暗視ゴーグルなど不要。
「みなっち 俺が帰ってくるまで、手筈通り ここを動くな」 浩司は、確認を取る。 小さくうなづくみなっち その表情は、やはり不安と、緊張が入り混じっている。
だれもいない夜の砂漠で、ただひたすら浩司か、無事帰ってくるのを待つだけ。
浩司は、ここ難攻不落の要塞と言われる アポリス最大級の軍事複合施設で、たった1人で、戦闘を行い 敵アポリスの目を引き タイミングを見計らい みなっちを連れ テレポーテーションし川村、百合と合流する予定。
その間に、川村、百合は、アメリカ合衆国の南部にある アポリスの拠点基地に潜入 例の傍受用の発信機を 巨大専用サーバーに取り付け脱出 ランデブーポインで、浩司が回収 そのまま別の国にある アポリスの拠点のある場所へ移動する。
浩司の持つテレポーテーション能力などを最大限に利用 世界中を神出鬼没に動き回り アポリスを混乱させる。
4人(実質3人)で、世界を相手にする 文字通り "やけくそ・・・" 骨が折れる仕事。
川村は、「手当ては、がっぽり印税で稼がせて貰いますぜー 旦那ー・・・」などと、うそ拭いている。
愛用の小型PCに、かなり日記形式で、色々書きとめているらしい・・・

浩司は、左腕の通信用ブレスレットで、時間を確認 MBR11を持ち立ち上がった。
周囲を隙無く確認する。
いよいよパーティの始まりの時間。
「みなっち 時間だ 行くぜー」
浩司は、みなっちを見つめる。
いつになく真剣な表情で、うなづくみなっち。
「絶対無理しないでねー ここデストロの将軍のダスティがいるから・・・」 少し心配そうに言う。
「大丈夫 やばくなったら みなっちを回収して逃げるさー」 微笑む浩司。
ゆっくりと、軍事複合施設へ向かって、ゆっくりと歩き出す。
少し離れると、浩司は、戦闘モードに入る。
浩司の身体から淡い白い光が発する。
浩司の身体に、レジェンスからのエネルギーが駆け巡る。
浩司は、そのまま軍事複合施設へ向かって、高速で走り出した。

いくつかある軍事複合施設の出入口前 周囲は、頑丈に作られた塀に覆われ 出入口に、数体ものグロテノスに変身したネクストノイドの兵士が、警戒している。
そこへ いきなりキャラン(浩司)が、前触れも無く出現した。
丁度背中を向けていた トカケに似たバルドスの肩を キャラン(浩司)は、軽く叩く。
「あのー すみません 砂漠で迷ってしまって・・・」
いかにも申し訳なさそうな表情で、振り返ったバルドスに尋ねるキャラン(浩司)。
ここにいた数体のグロテノスは、突然の訪問者に、妙な顔つきで睨む。
ここは、一般人立ち入り禁止エリア。
見るからに、旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)のモンゴロイドの平凡な男。
周囲には、高圧電流の鉄線が、張り巡らされ 約10m間隔で、立ち入り禁止の表示がなされ 地上には、バンダーハンターと呼ばれる2足歩行型のロボットタイプの対人兵器と、上空には、赤外線を装備した無人偵察用のヘリや、仲間のコウモリに似たバットフールが警戒している。
例え砂漠で迷っても ここまで、辿り着けない。
途中 必ず発見される。
「何だー 貴様 どこからここへ入り込んだ!!」 バルドスは、まだ相手が、あのキャラン(浩司)だと気づいていない。
どこかの アホが、偶然迷い込んだと思っている態度。
「はっはー・・・ すみません 砂漠を車で走っていたら エンジンがオーバーヒート 仕方なく車を捨てて砂漠を歩いていたら 人工の光を見つけ そこへ向かって・・・」 愛想を笑いを浮かべる。
だが、バルドスは、目の前の男の装備を見つめる。
現在 アポリスの支配する この地球では、武器の所持が禁止されている。
通常兵器では、変身前のネクストイドでさえ通用しない。
だが、左肩には武器は、確かに、かってアメリカ軍の歩兵が、標準装備する M16アサルトライフルに似ているが、異なっている。 ライフル銃を掛けている。
それに、グレーを中心とした 迷彩戦闘服 どう見ても アホの旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)には、思えない。
「それより その左肩に掛ける武器は!!」
どなり声を上げ 強引に武器を奪い取ろうとした。
キャラン(浩司)の目が、一瞬鋭く光る。 目にも止まらぬ速さで、右ストレートパンチを バルドスの鳩尾に、目にも止まらぬスピードで、強烈に叩き込む バルドスは、強烈な痛みで、両手で、鳩尾を押え ゆっくりと後退。
「てめえー 何者だ!!」
目を白黒させながら 後方の仲間の部隊のいる場所へ、信じられないと言う表情を浮かべる。
とても旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)では、こんなスピード、パワーの持ち主はいない・・・
いるのは、ネクストノイドだけ、だがあの男の額には、ネクスタルがない。
側にいた3体の蜘蛛に似たリアンズと、ゾウに似たテラドン、ゴリラに似たこちらは、ハイパータイプのハイパーエレコングが、気づいた。
「き・・・貴様 あの最高ランクの賞金首の1人 キャ・・・キャラン(浩司)・・・」 ハイパーエレコングは、キャラン(浩司)を 指差しながら 少し恐れを抱いている様 顔面が少し青白くなりながら後退する。
どうやら この時間 この出入口を防衛する部隊の指揮官であるらしい。
そのはず あのアピリムを後1歩のところまで追い詰め 2体のデストロを倒し 出現した全ての戦闘で、常勝無敗 まともに戦っても勝ち目がない相手。
ハイパーエレコングは、テレパシーで、キャラン(浩司)出現を中央司令室に伝え 援軍を要請 自分の周囲を ここにいた全グロテノスで固める。
「や・・・やつを倒しせば、デストロ様に次ぐ地位が与えられるぞー・・・」 余り迫力のない言い方 自身怯え 声が少し上ずり逃げ腰 ネクストノイドへの改造を受ける前まで、有名企業で働く一介のサラリーマンに過ぎず たまたまDNAが、希少なハイパー向けであった為 改造後 直ぐオセアニア担当の8大将軍の1体ダスティの直属の部隊内の1小隊の指揮官に任命された サラリーマン時代 平から数人の部下を抱えていた実績も考慮された結果であったが、ここまで実戦経験がなく 主に、重要施設の警備にあたっていた。
「バレたら 仕方ないなあー」 困った表情を浮かべるキャラン(浩司)。
「それじゃー 死にたいやつから・・・」 哀れんだ表情を浮かべながらも手に持つMBR11を構える。
「死にたくなければ逃げろ 後追いはしない・・・」
一応 いつもの警告だけはしておく、まともに聞いた相手はいないが・・・
「逃げろだとー バカにするのかー!!」
大声を上げ 先程 鳩尾に不意打ちを喰らったバルドスが、突進 口からキャラン(浩司)目掛けヘルファイヤーを発射。
ヘルファイヤーを素早く避け キャラン(浩司)は、MBR11の照準をバルドスの額の赤のネクスタルに合わせ トリガーを引く。
1発の光るエネルギー光粒子弾が発射 火薬を使って発射するライフル銃などと違い ほとんど反動がない。
光粒子弾は、バルドスのネクスタルこど脳天を破壊 頭部を破壊されたバルドスは、そのまま仰向けに地面に倒れる。
キャラン(浩司)は、手に持ちMBR11を右手親指で、単発から連射に切り替え 残りのグロテノスに向けトリガーを引く。
次々と血祭りに上げられるグロテノス だが、やはり1体だけは、軽傷を与えられる致命傷を与えられない相手がいた パイハータイプのハイパーエレコング。
光粒子弾が命中した腕、足など吹き飛ばされたグロテノスの違い 傷を負うものの僅かな軽傷程度。
それを見ながらキャラン(浩司)は、つぶやく、「修正ポイント・・・」
キャラン(浩司)は、MBR11を素早く左肩に掛けると、腰の右ベルトのフックに掛けている 高周波セイバーを右手で取り構える。
バトンから刀が伸びる だが、高周波は、発生させていない。
「援軍が来る前に、こいつを片付けないと・・・」
そう言いながらキャラン(浩司)は、瞬時にハイパーエレコングの間合いに入り 上段から振る。
ハイパーエレコングは、そのまま頭から2つに切断。
キャラン(浩司)はも高周波セイバーのスイッチを切り 元のベルトのフックに掛ける。
素早く左肩に掛けていたMBL11を手に持ち 正面の閉じられている超合金で出来た扉に照準を合わせ、下部のブラスター・ランチャーのトリガーに、指を掛ける。
「さあー シュミレーション通りの威力があれば、この程度の強度の合金 簡単に破壊出来るが・・・」
キャラン(浩司)は、つぶやきながらトリガーを引引く。
下部のガンバレルから1発の強力なエネルギー火球が発射 命中と共に巨大な爆炎、爆風を上げ、壊れた超合金の破片が、周囲に飛び散る すさまじい威力・・・ 余りの威力に、キャラン(浩司)自身 バリヤーを張り防がねばならない程であった。
「あちゃー 威力のケタ・・・間違えたかな?」 予想を上回る破壊力。
渋い表情を浮かべ 破壊された扉の後を見つめる。
「ここも 修正点 威力 下げないと、実戦では、使えないなあー」
灰色の土砂埃が上がり 奥が良く確認出来ない状態。
だが、奥から多数の鋭い殺気 間違いなく実戦を潜り抜けている本物の殺気。
「現れた ダスティの親衛隊・・・・」 キャラン(浩司)の口元が、小さく動く、待ち望んでいた相手。
キャラン(浩司)の目は、ターゲット(獲物)を狩る 肉食動物の様な鋭い目付きに変わる。 冷酷・・・
突然 土砂煙の中から 鈍く光る無数の針と、一直線に伸びるレーザービームが数条 キャラン(浩司)を襲う。
その瞬間 キャラン(浩司)の姿は、そこなはない。
瞬時に、移動。
鈍く光る無数の針と、一直線に伸びるレーザービームが、空を斬る。
「今の挨拶代わりだ、キャラン(浩司)」
場慣れした男の太い どこか冷酷さを含んだ 情け、容赦の無い声が、土砂煙の奥から響く。
「私の名前は、パーカー・グラッド・・・ 8大将軍の1人 ダスティ様 親衛隊隊長」
土砂煙の奥から1人・・・1体? コーカスノイドが現れた。
どうやら まだ変身前の姿のようだ。
破壊された周囲の惨状を見渡す。
「この様な無礼な訪問・・・ 貴様が、キャラン(浩司)か?」
まったく感情の無い表情で、キャラン(浩司)を見る。
「おたくらに取って招かざる客だ、無礼は、詫びるぜ」
キャラン(浩司)は、銃口を下げ、パーカー・グラッドを見る。
しばしの無言 2人の周囲には、乾いた砂漠特有の風が舞う。
更に、パーカーの後ろから 親衛隊 19体が現れる。
今までの最初のハイパータイプ リンとは、違った進化の最新のハイパータイプ。
リンの様なオールドタイプ・・・ いや第1世代と呼ぶべきは、一撃必殺のエネルギーを一気に放出し、敵主力の大兵力を一気に全滅するタイプであったが、ダスティ直属の科学者、技術者グループは、あえてその特性を利用せず、それぞれのグロテノスのタイプに合わせ スピードなら更にスピード、パワーなら更にパワーを・・・ 向上させる進化を目指し開発した。
1点の特徴を最大限に高め特化した第2世代タイプのニューハイパーグロテノスである。
それによりお互いの特性を最大限に活用する 数々のフォーメーション攻撃を得意とし、何度かのピエール率いるヤーナ軍を撃退してきた。
今回 ここで戦闘する目的の1つ。
噂に聞くニュータイプとして、開発された第2世代と呼ばれるニューハイパーグロテノスの実力の小手調べ。
キャラン(浩司)は、相手が、1ヶ所に集中しているのを確認 MBR11のトリガーを引く 連射で、エネルギー光粒子弾を発射 だが、先頭にいた亀に似た カータルのハイパータイプ ハイパーカータル・Type2が、背中の甲羅を瞬時に、左右に大きく広げる。
バリヤーに近い強度を持つハイパーカータルの甲羅 更に強化されており 全てのエネルギー光粒子弾は、弾かれる。
ハイパーカータルの甲羅には、掠り傷1つ負っていない。
「どうだ 見たか 俺様の甲羅の強度を」 勝ち誇る様に、ハイパーカータル・Type2は、キャラン(浩司)を 鋭い眼差しで睨む。
ハイパーカータルの頭部の額の赤いネクスタルに照準を定め キャラン(浩司)は、MBL11のトリガーを引く。
1発のエネルギー光粒子弾が、ハイパーカータル・Type2のネクスタルに命中・・・ いやハイパーカータルは、頭部を胴体に、瞬時に格納 エネルギー光粒子弾は、空を切る。
「貴様の考えなどお見通し」 ハイパーカータル・Type2は、胴体に頭部を格納しながら勝ち誇る。
そのまま広げていた甲羅を元の状態に戻し 両肩から2門の砲門が出る。
ボンバーキャノンと呼ばれる 高エネルギーの弾丸をキャラン(浩司)に目掛け発射 ハイパー化されているだけに、威力が上がっている。
大きな砂煙が上がり キャラン(浩司)のいた場所に、全長数mのクレーターが、出来ている。
「やったかー・・・」
甲羅から頭部を出しハイパーカータル・Type2は、手ごたえを感じている口調で言う。
「どこを見てやがる」
上空から 男の声 そうキャラン(浩司)の声が響く。
ここにいた 第2世代のハイパーグロテノスは、全員 声のする方向を見る。
キャラン(浩司)は、少し上空から ホバーリング(空中停止)しながら腕を組んだ状態で見下ろしている。
「お遊びは、ここまで」 ハイパーカータル・Type2は、薄笑いを浮かべながらも またも頭部、両腕、両足を身体の甲羅の中に、格納 同時に、甲羅だけとなった身体が、空中に少し浮かぶと、猛烈にスピンする。
カータルタイプのグロテノスの必殺技 スピンアッタク。
高速回転をしながらキャラン(浩司)を襲う。
だが、ハイパー化しても スピード、運動性は、従来のノーマルタイプのカータルと同程度 1度狙いを外されると、大きく旋回しなければならず、動きに無駄が多い。
動きの速いキャラン(浩司)に、簡単に見切られている。
空中飛行のままキャラン(浩司)は、右手で、高周波セイバーを持ち スイッチを1つ入れる バトンから一筋の刀が伸びる。
更に、もう1つスイッチを押し高周波を発生 青白い光と共に、小さな高いハム音を響かせる。
そのまま高周波セイバーを上段に構え スピンアタックに入り キャラン(浩司)を襲う ハイパーカータル・Type2の進行方向の軸線上に入り そののま衝突直前 上段に構えていた高周波セイバーを振り下ろす。
高周波セイバーと、スピンアタックの高速回転のハイパーカータル・Type2の甲羅が激突。
ハイパーカータル・Type2の身体は、瞬時に回転が止まり 一瞬の沈黙 真二つに別れ 地面へと墜落 大きな砂煙と、轟音を伴う振動を響かせる。
キャラン(浩司)は、ゆっくりと地面に着陸 2つに分離したハイパーカータル・Type2の遺体を 哀れな表情で見つめる。
特徴の特化を目指した第2世代タイプ 確かに、甲羅の強度は、かなり強化されている だが他の部分を犠牲にしてのハイパー化 バランスの悪さを感じた。
ネクスタルから供給されるのエネルギーの重点ポイントを特化した部分に集中させたのであろう。
エネルギーを一挙に放出し 大量破壊を目指さず それぞれの特徴を特化し 互いの弱点を補う為のフォーメーション これをやられたら かなり苦労するなあー キャラン(浩司)は思った。
まだ1体倒したのみ 残り19体も 第2世代タイプのハイパーグロテノスが残っている。
今度は、間違いなく 過去数度ここを攻略を試み失敗したピエール率いるヤーナ軍 ピエール派との戦闘で見せた 数々のフォーメンションで、戦闘に望んで来るはず。
思った通り19体の第2世代のハイパーグロテノスは、フォーメーションをとり始める。
前方に、防御力に優れた 残り3体のハイパーカータル・Type2 上空には飛び上がった飛行タイプのくわがた虫に似た 4体のハイパーアギラ・Type2 ハイパーカータル・Type2の後方には、動きの速さを誇る チーターに似たハイパーテーメム・Type2が4体 俊敏な動きが得意のクモに似たハイパーリアンズ・Type2が4体 その後方には、従来の重爆撃、大量破壊型の象に似たハイパーテラドンが、3体、その後ろには、この部隊の指揮官であるパーカー・グラッドのバトルスタイル(戦闘形態)のゴリラに似たハイパーエレコング・Type2。
じりっ・じりっ・・・と間合いを詰めてくる。
"まずは、高機動性を誇るハイパーテーメム・Type2と、ハイパーリアンズ・Type2が、チャンスを狙って仕掛けてくるはず・・・ 同時に、上空からの支援か・・・" キャラン(浩司)は、この陣形から考えられるフォーメーションを読んだ。
キャラン(浩司)は、相手の動きを注視しつつ 右手本で、高周波セイバーを構える。
"まず 邪魔な上空のやつらを 片付けるかー・・・" そう思いつつ 左手で、ベルトの左にある ポシェットから2枚のトランプ状のカードを 左手 人差し指と、中指の間に挟みさりげなく取り出す 初の実戦使用のブラッディーカード。
正面の敵を注視しつつ スナップを利かせ上空に、投げる。
薄い2枚のカードが、上空へと高速回転しながらイオン原理による飛行を開始する。
レジェンスとの融合により キャラン(浩司)の研ぎ澄まされた感覚が、上空4体のハイパーアギラ・Type2を動きを正確に捉えている。
キャラン(浩司)の思考が、テレパシーにより、2枚のブラッディーカードに伝えられ 思考通りに飛行する。
思考誘導システム。
キャラン(浩司)に、上空から狙いを定めていた 4体中2体のハイパーアギラ・Type2の2枚の翅を根元から切り裂く。
ハイパーアギラ・Type2には、夜間の為 全くブラッディーカードが見えない 高速で回転しながら常に、ジグザグ飛行で、突然来る。
翅を切り裂かれ飛行能力を失った2体のハイパーアギラ・Type2は、そのまま地面に落下 大きな砂煙を舞い上げる。
だが、近くの上空で、この戦いを監視していたコウモリタイプのバッタフールが、その特殊能力である超音波を使い2枚のブラッディーカードの存在に気づくと、そのリアルタイムの情報を 2体のハイパーアギラ・Type2に、ネクスタル間のテレパシーによって伝達 リアルタイムの情報により2体のハイパーアギラ・Type2は、頭部に生える2本の鎌の形をした角を発射 キラーブーメラン。
角は、ブーメランと同様 回転させながら リアルタイムに送られる情報を元に、テレパシーによる 思考誘導で、ブラッディーカードの動きを追う。
だが、強度、切れ味の差が歴然としていた。
ブラッディーカードの威力が上 4本のキラーブーメランを切り裂き 更に2体のハイパーアギラ・Type2の4枚の翅を根元から切り裂き 飛行不能状態にし 地面へ落下させる。
そのまま 近くで監視していたバッタワールを 斬り裂く。
これで、上空の邪魔者は、いなくなった。
2枚のブラッディーカードを 2本の指の間に挟み回収 ポシェットに収納する。
だが、後方には、5体の対人用殺傷兵器ロボット バンダーハンターに固められ 両腕2門の7.62mmガトリンク砲を向けられる。
「上空に気を取られたなキャラン(浩司) これで逃げ道はないぞ」 ハイパーエレコング・Type2 不敵な笑みを浮かべ言い放つ。
同時に、キャラン(浩司)に バンダーハンターのガトリンク砲が火を噴く。
無数の7.62mmの弾丸の嵐 しかしキャラン(浩司)の姿は、そこにはない 上空高くジャンプすると、大きく後方1回転 そのまま バンダーハンターの後方に着地 そのまま高周波セイバーを構え バンダーハンターに突撃 斬りかかる。
キャラン(浩司)余りのスピードに、対応出来ず 次々と、切り裂かれスクラップ化 轟音と共に大爆発する。
爆発炎上を背景に、キャラン(浩司)、高周波セイバーを構え 陣形を組む 第2世代タイプのハイパーグロテノスの集団を睨む。
「雑魚は、先に片付けさせてもらったぜ」 クールに言い放つ。
その眼は、冷酷なまでの鋭さを放ち 隙無く全てを捕らえている。
正面1体のハイパーカータル・Type2の両肩から 2門の砲身が伸び キャラン(浩司に、照準を定める。
ロックオンが、完了する。 同時に2門の砲身が火を噴く 強力なエネルギー弾が、キャラン(浩司)を襲う。
軽く避けるが、そこへ動きが速く、俊敏なハイパーテーメム・Type2 4体と、ハイパーリアンズ・Type2 4体が、襲い掛かって来た。
同時に4方向から ハイパーリアンズ・Type2のスパイダーネットが、キャラン(浩司)に向け発射。
素早くキャラン(浩司)は、全てのスパイダーネットを高周波セイバーで、切り裂く。
そこを両手の爪を伸ばし 高周波を発生させたハイパーテーメム・Type2 4体に襲いかかる。
スピード勝負。
スピードでも ケタ違いに勝るキャラン(浩司) 2体のハイパーテーメム・Type2 2体を瞬時に切り裂く。
更に、前方にいた1体のハイパーテーメム・Type2の胴体を半分に切り裂いた。
残るは、1体のハイパーテーメム・Type2 だが、ここまで、余りのスピードの速さに、ただこの戦闘を模様眺めしていた 残りの第2世代タイプのハイパーグロテノスが、動き出した。
3体のハイパーカータル・Type2が、一斉に、キャラン(浩司)に向け 両肩のボンバーキャノンが火を噴く 6弾のエネルギー弾が、キャラン(浩司)に襲い掛かる。
援護射撃 だが、キャラン(浩司)、ジャンプして避ける そこを 4体のハイパーリアンズ・Type2から発射されたジェノサイドニードルが襲い掛かる 無数の小さな針 空中では、思うように逃げられないと思ったのであろう だが、空中でも 全くスピードの変わらないキャラン(浩司) 素早く避ける そこを間を置かず、先程 翅だけを空中で、切り落とされ地面に墜落していた 4体のハイパーアギラ・Type2からのキラーブーメランが襲い掛かる。
さすがに、連続攻撃 避けるのも大変 キャラン(浩司)、8本のキラーブーメランと対峙 先程使用した武器 2枚のブラッディカードを左手の人差し指と、中指の間に挟め取り出し スナップを利かせ 8本のキラーブーメラン目掛け投げる。
4本のキラーブーメランを切り裂くも 残り4本のキラーブーメランが、キャラン(浩司)目掛け各々の方向から襲い掛かる。
キャラン(浩司)、レジェンスのエネルギーを高める。
身体から淡い白い光が、発する。
そのまま瞬時に、4本のキラーブーメランを叩き斬り落とす。
更に、ケタ違いのスピードを見せる。
地面に着地と同時に、2枚のブラッディカードを回収。
「ようやく 本気で、戦う気になりましたか?」
身体から 淡い白い光を発するキャラン(浩司)を見て、ハイパーエレコング・Type2は、自ら先頭に立ちじりっじりっと間合いを詰め始める。
同時に、ここにいる第2世代タイプのハイパーグロテノスが、キャラン(浩司)の周囲を取り囲む。
「いつものパターン・・・」 少々呆れ気味に、キャラン(浩司)は、つぶやく。
だが確実に、敵の位置、動きを 瞬時に把握している。
まず動きの鈍い3体のハイパーカータル・Type2に狙いを付ける やっかいなスピンアタック体勢に入る前に、叩く。 都合に良い事に、3体とも ほぼ1ヶ所に固まっている。
キャラン(浩司)、動いた 今までとは比べ物にならないスピード ここにいた全ての第2世代タイプのハイパーグロテノスでは、見切れぬスピード まるで消えた様に感じた。
何事が起きたかさえ解からない。
キャラン(浩司)、瞬時に別の場所の その姿を現す。
両目を閉じ もう勝負は済んだとばかりに、薄笑みを浮かべる。
同時に、3体のハイパーカータル・Type2から絶叫が響く。
瞬時に切り裂かれ 地面に、バラバラとなり崩れ落ちる。
何か? 猛烈なスピードで、キャラン(浩司)に襲い掛かる。
残り 1体のハイパーテーメム・Type2が、勝負を挑んできた ハイパーテーメム・Type2は、スピード 特に、加速を最大限に強化され そのスピードは、もはや1ランクの上のデストロがBS(バトルスタイル)に変身した時と同等と言われるスピードを持っていた。
ターボチャージャー。
額の赤いネクスタルが光る エネルギーを最大限に高め瞬間最高速に達する。
狙いは、キャラン(浩司) だがキャラン(浩司)も同様 瞬時に加速する。
まったく互角のスピードで、動き回る両者。
ハイパーテーメム・Type2の両手の指から伸びた10本の高周波を発生させているキラーネイルと、キャラン(浩司)高周波セイバーが、何度も激しくぶつかり火花を散らす。
ここにいる 第2世代タイプのハイパーグロテノスは、2人の動きを見切れる者はいない。
時々 両者がぶつかり発生する 衝突時のソニックブーム(衝撃波)で、場所を確認するが、その時点 両者は、もう別の場所へ移動している。
「やはり・・・」 キャラン(浩司)は、ハイパーテーメム・Type2の動きを見ながら ある事に感ずいた。
グロイノスのハイパー化の最大の欠点であるエネルギー消費量の問題 ハイパーテーメム・Type2のターボチャージャーも車のエンジンのターボと同等 燃費 グロテノスの場合 エネルギー消費量が、一気に使用し能力を高める為 かなり悪い 大食い。
ハイパーテーメム・Type2は、ターンする瞬間 一瞬 立ち止まり 全身で大きく何度か呼吸した。
その瞬間をキャラン(浩司)狙われた。
更に、スピードを加速したキュラン(浩司)は、ハイパーテーメム・Type2を高周波セイバーで、胴体から2つに切断。
そのままのスピードで、次々と、残る第2世代タイプのハイパーグロテノスを斬る。
残るは、この部隊の隊長 ハイパーエレコング・Type2 1体のみ。
ここまでの戦闘において、キャラン(浩司)は、一定の手ごたえを感じていた。
ニュータイプの第2世代タイプのハイパーグロテノスを相手にしたのには、それなりの考えがあった。
キャラン(浩司)は、囮である。
今回の作戦の本命は、川村、百合のアメリカ合衆国 南部地域にある アポリス重要施設への潜入と、サーバーコンピューターへのハッキング用の機器の設置が目的であり その為の陽動。
全世界のアポリスの注目を一身に集めさせる。 そして、新型兵器の性能テスト それに伴うレジェンスからのコントロール不能のエネルギー利用を極力抑え 特に、エネルギー弾の利用を極力減らし スピード、高機動力を重視した 新たな戦闘スタイルの模索が、重点であった。
その為のテスト台として、ニュータイプの第2世代タイプのハイパーグロテノスを相手に選んだ。
ここまでの戦闘で、レジェンスからのエネルギー弾 マグナムアタック、ショットアタック、フィンガービーム等など一切使用せず、レグのオーバーテクノロジーによって開発された 高周波セイバー 新型のMBR11ライフル銃、ブラッディーカードを使用 一定の成果を感じている。
だがあくまでもこれは、個人の戦闘における面である事もキャラン(浩司)本人よく自覚していた。
個対個の戦闘 部隊同士の局地戦の戦術など、戦術的勝利で、戦略的不利を覆す事が出来ない事をよくわきまえている。
重要なのは、戦略的勝利であり 戦略的に勝利する事で、歴史がどう動くのか?  つまり自分が望む方向へ歴史を動かせるのか? であった。 最もこの点を重視するキャラン(浩司)である。
だが、たった4人で、全世界を支配するネクストノイドに、無謀などの言葉を超えているバカな戦いに挑んだ。
たった4人と言う寡兵で、アポリス率いる大軍に、勝利する。
それを戦争における邪道と知っており 戦争の本道は、敵より多数の戦力を整え準備し それを支える兵站を整える事が、重要であると、深く理解している。
"敵を知り、己を知らば百戦して危う(殆う)からず"  "十をもって、一を攻める"と言う 古代中国春秋時代の軍事思想家孫子(もしくは孫武の著とも言われる)の兵法書の有名な一節で、格言、名言でもある。
この言葉の意味を良く理解している。
その為に重要なのは、情報であり 情報を制する者は、世界を制する。
あえて、少数・・・それもたったの4人で、やり遂げようとした。
元々ハードウェアーに対して、変なわだかまり持ち たった1つのハードウェアーで、戦局、戦略的勝利を得られない ハードウェアーを運用する人 つまり運用する人の能力 ソフトウェアーが、重要であると、熟知している。
現在における立場は、辺境の1粒の砂粒以下 存在さえない程の はたして勢力と呼称する事も出来ない それでもあえてアポリスに、戦いを挑んだ。
この時点 キャラン(浩司)の最終戦略目的は、歴史的流れを重視し 地球の歴史から考えれば、ほんの一瞬前でしかない 約1万年以上前まで、人類と呼ぶ生物種が誕生以来 いや最初の生物種が分化し多様な進化を始めて以来続いている 生命の多種多様化 つまり 旧人類と蔑ます現世人類 ホモサピエンス・サピエンスと、人工的に改造した自らを最終進化形態 新人類と呼称するネクストノイドの共存であり 他にも多種多様化した種むとしての多様性を持った人類の共存であった。
:現状 1種しかいなくなった人類を 多種多様に分化、進化させ 今から約1万年前までのように、複数種共存させる。
現状 ネクストノイドが、ホモサピエンス・サピエンスを完全管理下、支配化に置く現状の社会システムを打破する。
そして、共存させる為に、どのような社会システムを構築するのか? この点についてキャラン(浩司)は、まだ模索の段階であった。
ネクストノイドは、最上位に1体のアピリム、そして、現状残り6体のデストロが残っている これらのテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)により 多数のグロテノス等が支配されている。
この点を打破しない限り ネクストノイドとの共存は有り得ない。
共存する社会を築くには、まず最上位の1体のアピリム、そして、現状残り6体のデストロを倒す以外ない。
元々 極度の戦争嫌いで、反戦主義者であるキャラン(浩司) 戦わず、戦争を行わず、勝つ事で、戦略、歴史的 価値と意味、意義があると信じている。 そのキャラン(浩司)が、あえて血で血を争う戦いに、自ら挑んだ 共存と言う平和? 果たして、これが平和なのか? キャラン(浩司)自身かなり懐疑的であったが、構築する為 あえて戦う 平和と言うものを築く為に、血で血を争う戦争を行う 大いなるパラドックス(矛盾)であり、アンビパレンッ(二律背反)。
浩司が、本当に望んでいたのは、恋人のみなっちと、平凡で、平和に暮らせる社会 それも みなっちが、あのネクストノイドに改造されず、今のままでいて欲しい・・・ それだけの理由の為に、あえて戦いを挑んでいた。
どこかに、逃げてしまえばいいだけかもしれない。
だが、逃げ場ない 深く関わっている。
退路は塞がれている。
だが活路はある。
正面突破。
はたして、これが正しい選択なのか?
何を基準に正しいと言えるのか?
正義など相対的なものに過ぎない・・・

 キャラン(浩司)は、高周波セイバーを構え 残る1体のハイパーエレコング・Type2に対峙する。
だが、ハイパーエレコング・Type2は、余裕の表情を浮かべている。
スピードでは、勝負にならない だが、パワー勝負ならとで思っているのだろうか?
ハイパーエレコング・Type2は、ボクシングのファイテングポーズの構えを取る。
鋭い目付きで、キャラン(浩司)を睨む。
「カモン キャラン(浩司)」
挑発を掛けてくる だが、その眼には隙がない。
軽くフットワークを繰り返しながら 少し距離を置いた位置から 左ジャブ、右ストレートを繰り出す。
ある程度距離が離れているのにもかかわらず、パンチは、強力なエネルギー弾となりキャラン(浩司)を襲う。
ハイパーエレコング・Type2の必殺技の1つ フラッシュ・パンチ。
だが、キャラン(浩司)、全く微動だしない 全て見切っている。
まるで幻影の様に身体をすり抜けて行く様に見える。
ハイパーエレコング・Type2は、フラッシュ・パンチを繰り出すのを止めると、猛然とキャラン(浩司)に突撃 お得意のパワー勝負に出る。
パワーに特化したタイプ 至近距離から猛烈なパンチを繰り出す。
パンチは、強烈な風圧を伴う。 だがヒットしない。
捕えたと思った瞬間 そこには、キャラン(浩司)はいない。 繰り出されるパンチは、空しく空を切る。
キャラン(浩司)は、一瞬の隙を狙っていた。
両目を閉じ 眼以外の全ての感覚で、ハイパーエレコング・Type2の動きを捉えている。
心眼とでも呼ぶべきかも知れない。
何かを感じた様にキャラン(浩司)は、動いた。
余りに速過ぎて、ハイパーエレコング・Type2の眼には映らない。
「勝負あったな・・・」 キャラン(浩司)は、小さく呟く。
その瞬間 何か変わったと、ハイパーエレコング・Type2には、感じた。
目前にはキャラン(浩司)の姿がある。
その瞬間 ハイパーエレコング・Type2の身体に何かが起きた。
ゆっくりと、身体が頭から左右に別れる。
2つに別れたハイパーエレコング・Type2の死体を見届けると、キャラン(浩司)は、そのまま基地の敷地内へと足を運び始めた。
確かに、今までのハイパーグロテノスと比べ格段の進歩が見られた。
だが、キャラン(浩司)に取って、何ら問題の無いレベルアップにしか感じられない。
「やつは、ここにいる」 キャラン(浩司)は、小さくつぶやく。
8大将軍の1体 オセアニア担当のダスティの強力な戦闘能力を感じていた。
「避けられないだろうなあー」 キャラン(浩司)は、もう1度 小さくつぶやいた。




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