LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 放浪 Part11

 中央アジア担当の8大将軍の1体 デストロであるシンとの対決に臨んだキャラン(浩司)。
ここは、世界の屋根と評される ヒマラヤ山脈 世界最高峰の高くそびえる高山が連なる山岳地帯。
恋人のみなっちは、ふもとの小さな集落 この集落の住人は、反アポリスの旗色を鮮明にしており 1人 アポリスに対して敵対するキャラン(浩司)に対して、快く迎え入れてくれた。
シンとの直接対決に、みなっちのガードを引き受けてくれた。
ギブ&テーク。
みなっちをガードする見返りは、シンの命。
随分高い言値であったが・・・
ようやく キャラン(浩司)のゲリラ戦術に、戦力分散の愚に気付いたのか? ここのところアポリス軍の動きが、世界首都であるI国に集中する動きを活発化させていた。
1部 反乱がひどい地域など、まるで見捨てたかのように、全軍撤退までしており 必然的に勢力範囲が縮小している。
逆に、戦力を集中している中東では、必然的に、支配体制が、高密度化しているが。
戦争、戦局の流れが、いや大局の歴史の流れかも知れない キャラン(浩司)の望む方向へ大きなうねりとなり流れ出していた。
オブラートのように、薄い膜で、地球全体を包み込んでいたに過ぎないアポリスによる支配 針の先で穴を開けるように、浩司)いやキャラン(浩司)の各個撃破の対象にされた。
重要なネクストノイド改造施設は、神出鬼没に現れ、消えるキャラン(浩司)によって、次々と破壊され 再建もままならず、戦力の補充がままならず、世界各地で起きるアポリカの支配に対するデモ、反乱にさえも鎮圧にさえ戦力不足の為 効果的な対策が取れず、更に悪化を招く悪循環に陥っていた。
更に、世界各地で頻発する異常気象による大雨による洪水などの自然災害、続発する巨大地震、火山の爆発などの天地災害も重なり 地球全体を支配するだけの力を失っていた。
特に、8大将軍デストロの龍(ロン)、アジス、ダスティ、フリオの4体までもキャラン(浩司)によって倒され もはや戦線を縮小 残った戦力を集中させ再編する以外 現状採択する事が出来る 数少ない選択肢の中で、最もこれがベターの策と思われた。
戦略的敗北を戦術的勝利で覆す事が出来ない・・・・
補給と言う 最も戦略上重要なポイントを ことごとくキャラン(浩司)1人に叩かれた。
補給なくして勝利はない。 
「そう・・・全て死んだ、川村や百合の命を懸けて集めてくれた正しい情報のおかげ・・・」 キャラン(浩司)の口癖でもあった。
情報の重要性を熟知し 正しい情報を正しく運用する 戦略の基本を忠実に実行した結果でもあった。
戦略は、正しいから勝つのであり 戦術は、勝てば正しい・・・ この言葉の持つ意味を良く理解していた。
もうひと押し これからが正念場が続く。 多分 後1体 シンを倒せば・・・の想いであった。
そうすれば、アポリスは、残存戦力と言っても たった1人であがない戦うキャラン(浩司)に取っては、途方もない天文学的巨大な戦力であったが、大体比較するレベル以前の問題。 有意義に運用する為に、1カ所に集中させ 戦いに臨んでくるはず・・・・ 多数を持って遊兵を作らず 全兵力を用いて一気に相手を叩き潰す・・・ 戦略の基本。

 猛烈な吹雪が吹き荒れる山岳地帯 肉眼で認識出来る距離は、わずか数m ほとんど周囲の状況が把握出来ない。
そんな悪天候の中 キャラン(浩司)は、シンのBS(バトルスタイル)であるガッシャーに変身したシンと対峙していた。
容姿は、どことなくタイガー(虎)に似ており 黄色と黒のストライプのトラ柄模様に全身をおおわれており やはり頭の額に一際目立つエメラルドのネクスタルが、不気味な輝きを発していた。
両手で、愛用の高周波セイバーを握るキャラン(浩司)。
対するガッシャーも両手の爪をエネルギーソードに変え 深紅の光を発している。
肉眼による視界がほとんど認識出来ない猛吹雪の中 キャラン(浩司)もガッシャーも まるでそんな事を感じさせない 激しいバトルを続けていた。
例え相手が肉眼で認識出来なくても 相手の発する微妙な気配、殺気などで、肉眼で見ている以上に相手を正確に把握していた。
この様な悪天候下、肉眼による 敵の把握は困難であるはずだが、敵の位置を把握する為には、レーダー、動体探知機などの各種索敵が必要に思われる だが、キャラン(浩司)も ガッシャーも互いに全く利用していない。
レーダー、動体探知機などの各種索敵などに頼った戦闘では、相手の現在位置を確かに正確に索敵できるが、そま分タイムロスを生じる。
タイムロスそのものが、致命傷になる。
全ての感覚を研ぎ澄まし、相手の気配を読み素早く反応する。
漆黒の闇の中 全く光の無い世界でも 結果は同じ 眼に頼ってのバトルではない。
まして、オーバーテクノロジーを利用した驚異の索敵装置は、互いに所持こそしているが、全く無用であった。
特に、キャラン(浩司の場合 過去何度も光学迷彩を利用 自らの身体をステルス(透明)化する事の出来るグロテノスの1種 カメレオンに似た外観のグウルスとの対決でも ステルス(透明)化により 全く見えないはずが、キャラン(浩司)の眼には、外縁部の光学のわずかな歪み それと、相手の発する殺気、気配などで、眼に見えている以上に相手をしっかりと把握していた。
例え両目が失明しても キャラン(浩司)が融合しているレジェンスの驚異のポテンシャル・エネルギーで、心眼以上に相手を正確に見る事が出来る。

 激しい空中戦が続く、互いに一撃離脱のヒット&ウエーを繰り返す。
互いの激突地点では、互いに高められた巨大なエネルギーが、衝突時に、激しい振動振動を起こし周囲の大気を揺さぶり震わせる。
ハタ眼から見れば、互いに1歩も引かず、互角の戦いのように見える。
吹き荒れる猛吹雪 吹き付ける方向は、常に一定不変の方向ではない。
常に方向を変化させ、風力すら常に激しく変動する。
だが、キャラン(浩司)もガッシャーも まるで無関係とばかり 突如 方向を変え襲い掛かる猛吹雪さえまるで何もなかったように平然と微動だせず、ホバーリング(空中停止)状態を維持し 僅かな隙を狙い 相手の懐に猛然と襲い掛かる。
やや押され気味のキャラン(浩司) ガッシャーとの対決の前に、シンの直属の親衛隊を中心とした師団規模の敵との対決を強いられ全て殲滅させていた。 間を入れる隙もなく そのままガッシャーとの対決 肉体面では、疲れを知らないキャラン(浩司)でも さすがに精神面では、ほぼ限界に近づいていた。
シンの対キャラン(浩司)用の秘策でもあった。
隙の無い波状攻撃を断続的に繰り返す。 相手 キャラン(浩司)に休む暇を与えない。
ここまでのキャラン(浩司)の戦闘は、ほとんど短期戦勝負で、必要な戦略上の勝利を収めると、直ぐに撤退する傾向にあった。
無駄、無益と思われる戦闘を極力避ける傾向が強い。 相手の戦力を削ぐ為の各個撃破による掃討戦など 余り見受けられなかった。
長期戦 特に、無意味な消耗戦などの不要と思えば直ぐに撤退する。
キャラン(浩司)と言え 確かに、驚異の底知れぬエネルギーと、それに裏打ちされた驚異の戦闘能力を誇示していたが、だが、所詮 ただの平凡な人類の1人 肉体面より精神的疲労を考慮していると思われた。
元々 どこにでもいる平凡な男である。
修羅の掟の支配する戦場で、元来の反戦主義であり 不向きなタイプ。
長期戦を強いて、後 交代要員もいないキャラン(浩司)の精神面を追い詰め消耗させる。
ここで、少し後退するガッシャー ネクスタルのテレパシーを通じて、残っている残存部隊の1つを キャラン(浩司)に向け投入する。
空中に10体 地上に10体の計20体のグロテノス。
地上から対空用の長距離高出力エネルギー砲で援護射撃 その隙間を縫って 空中のグロテノスによる一撃離脱のヒット&ウエー戦法 さすがのキャラン(浩司)の動きも緩慢になりがちになる。
数発の直撃弾を喰らい始める 身体表面に張られている レジェンスのエネルギーが、薄い膜のバリヤーとなり食い止めるも 反撃に出るチャンスが掴めない。
手持ちの戦力をいくつかの部隊に再編し、必要な時間の戦闘を行うと、次の部隊を投入を繰り返す。
ピッチャー陣を分担化した スターター(先発)、セットアップ、クローザーに役割分担し、何よりもスターター(先発)陣の4〜5人で、ローテションを組む 今のMLBのベースボールの基本戦略と同じく 次々とローテーション通りに、キャラン(浩司)にぶつける戦法であった。
「ノルン」 キャラン(浩司)は、テレパシーで別宇宙にあるアルファーベースの思考を持つコンピューター ノルンを呼び出す。
「はい マスター」 レグと呼ばれた まだこの太陽系が誕生する以前 太古の昔に超銀河団まで進出した驚異のオーバーテクノロジーの産物 思考、感情すら持つ驚異のスーパーコンピュター ノルン。
ただその声は、かなり心配しているのが、だれにでも読み取れる。
先程から マスターであるキャラン(浩司)に 地球衛星軌道上に配備している スーパーステルス製人工衛星 複数のポッパーからの支援の為の対地攻撃を進言しているのだが、マスターであるキャラン(浩司)が、頑固拒否の姿勢を崩していない。
「MBR11を転送」 キャラン(浩司)の命令。
キャラン(浩司)の愛用する武器の1つ ライフル銃タイプの武器。
上部の銃口からは、光粒子弾を発射 単発、連射への切り替え可能の他 ビームにも切り替えられる。 そして下部の大口径40mmの銃口はブラスター砲となっており 強力な火球弾を発射する。
ハードウエアーに対して、変なわだかまりを持ち、どちらかと言うと運用する個人の資質 ソフトウエアーを重視するキャラン(浩司)であったが、何故か? 銃器類に対しては、変なこだわりを持っていた。
高校時代 クラスメイトに、オタクとも言える異常なガンマニアがいて、感化、マインドコントル(洗脳)された・・・ と良く言い訳していたが・・・・?
近接戦闘に置ける銃器類は、ショットガンタイプが最も効果的なんだが・・・ そう思いつつもMBR11を構える。
エネルギーチャージは、フル状態を確認。
地上からは、対空砲火による強力なエネルギービーム、エネルギー弾が、キャラン(浩司)を襲う。
空中に展開する本隊の支援攻撃。
まず地上に展開する支援部隊を掃討するのが先決・・・ そう考えキャラン(浩司)は、行動に移す。
いつもの事ながら だれからも支援が望めない たった1人での孤独な戦い。
1人で、多数と戦う戦略の基本無視の戦闘。 多数を持って、少数の敵を叩くのが、戦略の基本であり王道。 自ら選んだ選択であり 無いものねだりしても何も変わらない。
またノルンからテレパシーが届く。
「マスター 私が、ポッパーで、地上部隊を・・・」 何度も繰り返す進言 だが、「大丈夫だ これくらい・・・」 とっておきの切り札の1つ 今は、まだそのタイミングではない。
切り札は、最後のここぞと言う場面まで残しておくべき 必ず来る 最後の決戦のその時まで・・・
少し時間を費やしたが、MBR11を使用し地上部隊を殲滅させ 残る空中部隊も MBR11を肩に背負い 今度は、高周波セイバーで、次々と切り裂いていく。
地上からの邪魔な支援攻撃がない分 自由に動き回れるメリットを活かした。
だが、表面上 ポーカーフェイスを装うキャラン(浩司)であったが、かなり精神面の疲労を蓄積されていく。
瞬時の判断能力に迷いが生じ 動きが、目立って悪くなっていく。
その動きの変化をガッシャーは、見逃していない。
「キャラン(浩司)のやつ、動きが目立って悪くなってきているなあー」 1体 戦闘空域から離脱 少し離れた空域で、腕を組み 戦闘を注意深く見守っていた。
そろそろ次の部隊を上げるか? 自ら再出陣するか? 思案する。
先程 1度ウォームアップの為 戦闘をおこなっており 身体は、最初からフルに戦える状態。
動きの目立って悪くなっているのは、ここまでの戦術がうまく機能しているからた。
次々と キャラン(浩司)に、休む間も与えず、新手を送り込み 戦闘時間を長時間化させ 精神的に疲労を蓄積させる。
相手は、たった1人 いつまでも思うようにはさせない。
後の無いキャラン(浩司)を 今 この我が手で倒す。
残る 我がアポリスに敵対する勢力は、確かに数多く存在するが、1つにまとまっておらず 少人数の弱小勢力に過ぎない。
気になるのは、ここまで敵対関係を続けるヤーナ BP(バトルプロテクター)を装着する 永井司令官の存在は、要注意だが・・・ たかが1人。
だが、永井は、戦術指揮官としては、非常に優秀な指揮官であり 属する組織も マーク議長を中心に強固に一枚岩にまとまっており 兵士も百戦錬磨の粒ぞろいの中堅、ベテランをうまく部隊長などに抜擢し要注意だが、所詮 個としての戦闘能力は、たかが旧人類(ホモサピエンス。サピエンス) 我々新人類であり最終進化形態のネクストノイドには比べ物にならない。
永井司令官さえ倒せれば、後は烏合の衆に過ぎない。
もう1つの敵対勢力は、ヤーナから分離し 自らを神々の正義軍などと呼称する ピエール率いる反乱勢力 ピエール自らBP(バトルプロテクター)を更に上回る新型パワードスーツを装着し 更に、自らの配下をグロテノスとは異質だが、戦闘用に改造したバトロイドと呼ばれる戦闘用改造人間を率いている。 バトロイドの戦闘能力もグロテノスと同等の戦闘能力を有し 決して侮れぬ敵ではあるが・・・・
主要敵対勢力は、この2つ 後は自らの勢力を誇張している輩ばかりだ・・・
まあー それは良いとして、今 重要な問題は、今 目の前にいるキャラン(浩司)だ。
たった1人でありながら たった1人で4体ものデストロを倒す驚異の戦闘能力を有している。
良く解らないレジェンスとか呼ばれるエネルギー体と融合し、その力を得ている。
それに、そのレジェンスから得られる戦闘能力ばかりでなく 我々アポリスが利用している かって我々人類が神々と呼称したエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が残した驚異のオーバーテクノロジーの数々とは全く別の 多分エルのの残したオーバーテクノロシーを更に上回る驚異のオーバーテクノロジーまで、その手に得ている。
どこからその様なオーバーテクノロジーを手に入れたのか?
たつた1人で、我々ネクストノイドをここまで追い詰めるとは、恐るべし存在。
だが、たった1人 1人でやれる事などたかが知れている それに、やつの最大の欠点の1つ それは、補給 やつには、交代要員も 一緒に戦う仲間もいない 孤立無援の1匹狼。。
驚異の戦闘能力と、オーバーテクノロジーを有し それらをハードウェアーのただの無用の長物化する事なく それを運用するソフトウエアーの能力も優れた才能を有し それに溺れる事もない。
だが、何度も言うが、やつは、たった1人で、我々ネクストノイドにあがない 戦いを挑んでいる。
やつは、戦略家として資質を持っている 今までの戦いをみれば解る。
ピエールの様に、自らの存在、その力を誇示する為に戦っているのではない。
まだ見えぬが、キャラン(浩司)のやつには、最終戦略目的があり それを達成する為の技術的な方法として、今の神出鬼没のゲリラ戦術を利用している。
あのピエールの様に、戦術的勝利を重ねる事により 戦略的意義を見出そうなどとしているのではない。
"少数を持って多数を叩く・・・" 下らない軍事ロマンチズムに溺れているのではない。
古代 中国 春秋時代の 多分史上初の軍事戦略家ではないか? と言われる軍事思想家 孫武もしくは、孫子だとも呼ばれる人物の著書とされる兵法書の中にある戦略の格言の1つ  "十をもって、一を攻める・・・・"
多数を持って、少数を叩く・・・ 戦略の最も基本の1つである事を やつは、熟知している・・・ だが・・・
まあー その事は、後でいい それよりもだ・・・
ここまで、当初計画した作戦通りに事が運んでいる。
全体、今後の展開に対する余裕の考えが、ガッシャーの脳裏を過る。
キャラン(浩司)さえ倒してしまえば、デストロのBS(バトルスタイル)に変身後と互角に戦えるのは、後 ピエールの装着する新型パワードスーツぐらいだろう。
もはや この地球は、我らネクストノイドの物。

 そんな事を考えている時だった。
確かに、目立って動きの悪くなっていたキャラン(浩司)だが、地上の雪原に配置した大型大出力長距離砲を備えるグロテノス部隊を 辛くも掃討させ 残る航空部隊のグロテノス部隊も ほぼ壊滅させていた。
底知れぬ戦闘ポテンシャルの高さを見せつけている。
ここが、勝負どころとガッシャーは見た。
手持ちの残り部隊も少ない。
キャラン(浩司)の動きも目立って悪い。
ガッシャーは、本来持つ 全エネルギーを最大限に高める。
全身が、エメラルド色に光輝く。

 最後の1体の飛行タイプのグロテノスを高周波セイバーで叩き斬るキャラン(浩司)。
目の前に、またもガッシャーが現れる。
今度は、今までと様子が違う。
全身が、エメラルド色の光を発し 先程までとは、高められたエネルギーが、ケタ違いに高められている。
「さあー お遊びの時間はここまでだ」
右手をキャラン(浩司)に向け 言い放つガッシャー。
猛吹雪が、吹き荒れる中 突如 雲が鳴り響く。
「電撃の使い手・・・」 内心呟くキャラン(浩司)。
ガッシャーの各種技を中心とした戦闘スペックが、脳裏に浮かぶ。
先程の戦闘は、本気で戦っていなかったのは、気付いていた。
どうやら 今度は、本気で全力でかかってくる。
デストロで唯一 ネクスタルから供給されるエネルギーを最大限高めると、自身の身体がエメラルド色に輝くのが特徴でもあった。
表情を更に引締め ガッシャーと対峙する。
両手に握る高周波セイバーを構える。
対峙するガッシャーもまた バトンを両手に握る。
バトンの先には、自ら放電した電気エネルギーが集まり ソード(剣)の形を形成する。
サンダーソード。
電気エネルギーで出来たソード(剣)
ソード全体から放電によるスパーク現象が、周囲に発生している。
視界不良の猛吹雪が荒れる中 本日2度目のキャラン(浩司)と、ガッシャーの直接戦闘が開始された。
キャラン(浩司)の持つ高周波セイバーと、ガッシャーの持つサンダーソードが激突。
激突ポイントから強力なソニックブーム(衝撃波)が発生 周囲の大気を大きく揺らす。
互いに、激突しては、少し距離を置き また激突を繰り返す 一撃離脱のヒット&ウエー。
互いに1歩も引かぬ 五分五分の戦い。
激突ポイント毎に、同心円状に強力なソニックブーム(衝撃波)が発生 周囲の大気を大きく揺らし 更にその周囲の切り立ちそびえる山々の氷に覆われた氷壁をも揺らし 崩れた氷壁は、更に下方へと雪崩となって周囲に真っ白な雪煙を上げながら落下する。
五分五分の戦いに見えるが、キャラン(浩司)の方が、長時間に及ぶ戦闘の為か? 呼吸を乱し全身で大きく呼吸を喘ぎながら繰り返している。
一方 ガッシャーは、呼吸1つ乱さず、余裕の表情すら浮かべている。
「どうしたキャラン(浩司) 貴様の持つ本来の戦闘能力 その程度であるまい」
余裕を浮かべ 少し見下した言い方であった。
BS(バトルステイル)への変身前と言え あの全力で戦いを挑んでも 全く相手にすらさせてもらえない あのアピリム様を後1歩まで追い詰めた驚異の戦闘能力の持ち主の戦いとは、とても思えない不甲斐ない戦闘にしか感じていなかった。
ガッシャー自身 まだ本気の全力の戦いではない。
キャラン(浩司)を見ると、もはやスタミナ切れとしか見えない。
"思った通り ハイパーグロテノス同様 一気にエネルギーを利用する短期決戦タイプ・・・" "特に精神面でその傾向が強いか・・・" 内心キャラン(浩司)を見ながら呟く。
このまま戦闘を長引かせ 更に精神面でのスタミナを消耗させ チャンスを見計らい 一気に決着(ケリ)を付ける・・・
孤立無援のキャラン(浩司)に対する 最も効果的な戦い方・・・
正面からの力押しだけが、戦闘の全てではない。
今まで倒された 8大将軍 デストロの 龍(ロン)、アジス、ダスティ、フリオの4体は、余りにも正面からの力押しにこだわり過ぎたのだ。
その思いがあった。
キャラン(浩司)の今までの戦い方を見て、その事に気付いた。
押してダメなら引く・・・ それも戦闘の1つ だが、余りにも引くと、今度は、自分が足元をすくわれる。 その点は、要注意である。
相手を良く見て押し込む・・・ 最も重要だが、時にはタイミング見計らい引く事も重要だ。
引いて、相手がよろめいた瞬間を叩く。
戦闘を熟知している。
この戦法をキャラン(浩司)にぶつけた。
部隊を複数に再編成し次々と交代しながらキャラン(浩司)にぶつけた。
キャラン(浩司)が、前方に出ると、タイミングを合わせ引き、少し後退すると、今度は、部隊の全戦力で一斉に襲い掛かる。
決して、キャラン(浩司)に休む暇を与えない。
そして、部隊が消耗し始めると、次の部隊と交代させ 同じ戦法を繰り返し 少しすつキャラン(浩司)の 特に精神面のスタミナを消耗させる。
疲れ知らずのタフガイと思われていたキャラン(浩司)であったが、実は、短期時間で勝負を決める傾向が強かった。
肉体面の疲労の蓄積より 精神面での疲労を考慮している そうシンは、感じ取っていた。
戦場で生きる者の独特のカンもしくは、臭いのかぎ分け・・・ と呼べる独特のものである。
シンの予想通り キャラン(浩司)の精神面での疲労の蓄積は、ピークを迎えつつあった。
レジェンスとの融合により肉体面では、全く疲れ知らずだが、精神面では異なる。
普通では考えられない 非常にアンバランス状態であった。
本来 極度の反戦主義者でありながら 戦争、戦局全体を見渡せる数少ない戦略家としての資質を育んでいるなど・・・・ 非常にミスマッチ アンビパレンッ(二律背反)、まさに矛盾の塊の様な人物でもある。
多数を持って、少数の敵を叩く・・・ 戦略家としての王道をだれよりも理解していながら その為の仲間を増やし自らリーダーシップを取らない 変に1匹狼にこだわる。
少数で多数を叩く・・・ 戦争、軍事面でのロマンチズムなど ただの邪道・・・・ をだれよりも1番身に染みている。
だが仲間を増やす事により 変なわずわらしさを好まない・・・・ 側面を持ち合わせていた。
何度目の激突 高周波セイバーと、サンダーソードがまたも激突 衝突ポイントからは、火花が周囲に飛び散り 同時に巨大なエネルギーを持つソニックブーム(衝撃波)が、周囲の大気を大きく揺らす。
ここでキャラン(浩司)が、少しよろめいた。
僅かな時間であったが、やはり精神面での疲労の為でもあったが、この僅かな隙をガッシャーは、逃さない。
「甘いぞ!!」 大声を上げガッシャーの強力な回し蹴りが、キャラン(浩司)の腹部を捉えヒットする。
そのまま背中から後方の氷壁に叩きつけられるキャラン(浩司)。
ひび割れ砕け落ちる氷の塊と共に、下方へ墜落する。
水煙を上げながら無数の砕けた氷の塊と共に、地面に落下 
砕けた氷の下敷きになる。 その前に着陸 表情1つ変えず戦闘態勢を解除しないまま積み上がった氷の塊を睨むガッシャー。
徐に口を開ける。 「この程度で、殺(や)られる貴様でもあるまい」
「さあー出てこい!!」 低いトーンで大声を上げる。
キャラン(浩司)の発する強力なエネルギーは、全く衰えていない、ガッシャーに強力なプレッシャーとなり感じていた。
この程度で倒せる相手ではない。
同時に、積み上がった氷の塊が少し動くと、内部から眩いばかりの白い光が発する。
積み上がっていた無数の氷の塊は、ゆっくりと空中へ持ち上がり始める。
「うーん サイコキネイス(念動力)・・・・」 この光景を見ながらガッシャーは呟く。
白い光を発する中心部から頭と、両腕を前に垂らし 少し見る者には疲れた態度に見える人影が現れる。 そうキャラン(浩司)。
全身で何度も大きな呼吸を繰り返す。
だが、その眼は、真っ直ぐガッシャーを捉えている。 まだ戦闘意欲を失っていない。
「何故? ここまでして戦うのか?」 常に自問を繰り返すキャラン(浩司) 戦略上の最終目的・・・・ ネクストノイドとの共存・・・・ だが、明確な答えが見いだせていない。
戦う意義など どこにもない・・・
常に、戦いにおいて否定的な考えしか浮かばない。
戦わずして勝つ・・・ 1番の理想ではあるが・・・・ 現実とのギャップ・・・・
この地球に生命が誕生して以来 生き残る為に、常に戦いを強いられてきた・・・・
生き残る為の宿命・・・・ 宿命・・・ 実に嫌な言葉・・・・
キャラン(浩司)の脳裏に愛読しているSF小説の主人公の1人の名言が過る。
「運命というならまだましだ 宿命というのは じつに嫌な言葉だ 二重の意味で人間を侮辱している。 ひとつは、状況に分析する思考を停止させ もうひとつは、人間の自由意思を価値のないものとみなしてしまう。 宿命の対決などない。 どんな状況のなかにあっても結局は当人が選択したことだ・・・」
銀河英雄伝説 プリープラネッツ(自由惑星同盟)軍 元帥 ミラクル・ヤンこそヤン・ウエンリー元帥 語録参照 (田中 芳樹著)
宿命などない・・・ 例えそれが、生き残る為であっても・・・
そんな考えが、頭を過りながらも目の前のガッシャーとの戦い。
決断したら即実行する そうすればおのずと道は開ける・・・・ クラッシャージョウ シリーズ外伝 ドルロイの嵐 もしくは、ダーティペア シリーズ ダーティペアの大乱戦の作中の中で クラッシャータロスが、ダーティペア・・・いや正式コードネーム ラブリーエンジェルのケイに語った有名なセリフを信じるしかない。 (高千穂 遥著)
今 実行するしかない。
キャラン(浩司)の眼が光る 高周波セイバーを構えると同時に、ガッシャーに向け突撃。
先程と同じ ヒット アンド ウエー 激突しては、離れ また激突の繰り返し。
激突毎に、互いの高周波セイバーと、サンダーソードの刃から火花が飛び散り すさまじい衝突エネルギーは、ソニックブーム(衝撃波)となり 周囲の大気を大きく揺らす。
互いの剣術戦以外にも 蹴り、突きなどの近接戦闘における肉弾戦を交え 時より小さなエネルギー弾を混ぜた攻撃を繰り返す。
だが互いに、相手に思う程の効果的ダメージを与える事が出来ず、膠着状態に陥りつつあった。
長期戦を仕掛けてきたガッシャーは、ここまでは当初の計画、作戦通り事が運んでいる 余裕の表情を浮かべるが、一方キャラン(浩司の方は、やはり精神面でのスタミナ不足が、露見している。
動きが、目立って精彩を欠き始めている。
その変化を見逃さないガッシャー いくっか持つ大技の1つ使うチャンスと見る。
そのチャンスがやってきた。 一瞬の隙を見せたキャラン(浩司)の腹部に、強烈なボディブローを叩きこむ。
右手に握る高周波セイバーが零れ落ち 両手で腹部を抑えるキャラン(浩司) 余りの苦痛に表情が歪む。
少し距離を置き構えに入るガッシャー。
猛吹雪が荒れ狂う悪天候の中 更に突如上空に、漆黒の闇を思わせるような暗雲が立ち込み始める。 雷鳴が轟き 雷光が至場所で輝く。
電流の使い手であるガッシャー 雷を利用した技は、最も得意していた。
すさまじい雷鳴と共に、雷光が光る。 複数の発生した稲妻は、ガッシャーを襲う・・・いや違う ガッシャーを周囲に集まりガッシャーに取り込まれる。 雷の持つ電気エネルギーを取り込むガッシャー 身体表面からは、放電現象による電気スパークがほとばしる。
「喰らえキャラン(浩司)!!」 ガッシャーは、両手をキャラン(浩司)に突出し叫ぶ。
同時に、全身から発生している電気スパークは、1本の否妻ビームとなりキャラン(浩司)に直撃。
稲妻の高圧電流が、キャラン(浩司)の身体の表面を府気味な青白い光で包み込む。
高圧電流でもがき苦しみ黒焦げに・・・ のはずであったが・・・ 何も表情も変えず無機質で、鋭いまるでターゲットを狙う野生の肉食獣の様な視線でガッシャーを睨むキャラン(浩司)。
この程度の電流では、高まり出したレジェンスのエネルギーが、薄い膜の様に身体表面を覆われているキャラン(浩司)には通じない。
強力なレジェンスのエネルギーは、バリヤーの役割もはたす。
「この程度の電流電圧 無駄だぜ・・・・」 ここまで余り喋らず ほとんどの無言だったキャラン(浩司)が、ようやく口を開いた。
ここまでの長期消耗戦の戦いを強いられ 精神的にかなり追い詰められていた。
余り無駄口を叩ける余裕を奪われていた。
だが、その点を敵に悟られぬ様にしなければならない。
それに、ガッシャーは得意技を駆使してきた。
そろそろ最終の必殺の大技を利用してくるはず。
最終の必殺の大技は、電流の使い手であるガッシャーだが、全くの別物。
死んだ川村、百合がその大事な生命を賭け設置したハッキング機器 そのおかげで、あらゆるアポリスの重要データをハッキング 主要生体兵器であるネクストノイドのグロテノス、上位モデルの今戦っているダッシャーもその1体だが、8大将軍のデストロの主要戦闘スベックも解説済み 敵の技の特徴も頭に入っている。
元々 戦略家としての資質を育み 情報の重要性を熟知している。
敵を知り己を知らば 百戦して危うからず・・・・、情報を制する者は、世界を制する・・・・ まさに格言。
そして 情報と言う物をどのように運用するかのソフトウエアーとしての面を重視する表れでもある。
どんなに重要で価値のある情報でも それを正しく運用出来なければ、ただの宝の持ち腐れでしかない。
ガッシャーは、その最終必殺の大技を最大限に生かす為 あえてこのような悪天候と場所を選択している。
その誘いにわざわざ乗って挑んだ。
あえて最終必殺の大技を打ち破り 精神的に計り知れないダメージを与え倒すか? 最終必殺の大技を利用させる前に倒してしまうか? 二者択一の選択でもあった。
この時点 キャラン(浩司)は、あえて前者を選ぼうとしていた。
今後の戦局を有利に運ぶ為にも。
少し 憐れんだ表情を浮かべるキャラン(浩司)。
演技であるが、ガッシャーを挑発する。
実は、精神面での疲労の蓄積で余裕など余り無い状態であったが。
「そんな余裕など キャラン(浩司) 貴様には残っていまい」
嘲笑するガッシャー。
心理戦の面での激しさを増し始めていた。
互いに、大詰め近付いているのを感じていた。
キャラン(浩司9は、ここまで大技を全く使用しておらず、近接戦においても小技のショットアタックを使用に留めていた。
マグナムアタック、スラッシャー、次元刀などの大技や、ここまで4体のデストロを葬り去ってきた対デストロ用 必殺の大技 スターバーストなど まだ未使用であった。
対するガッシャーは、大技の1つ サンダーボルトを使用したが、キャラン(浩司)に対して、全く効果は認められなかった。
せっかくキャラン(浩司)を 精神的に疲労させ追い詰めているものの 止めとなる最終大技がなく 決めて欠いているように思えたが、実はそうではなかった。
ここまで、4体のデストロを葬り去ってきた 対デストロ用の最終大技 スターバーストに対抗する 新たな最終大技をまだ隠していた、
いつまでも同じ最終大技に葬り去られているなど出来ない。
8大将軍デストロの名誉にかかわる。
キャラン(浩司)のスターバーストを徹底研究 対抗する大技をギルが開発し ガッシャーに搭載した。
元々電気の使い手であったガッシャーだが、この大技は全く異なっており ネクスタルからの全エネルギーを一気に消耗する為 一撃しか使用出来ない。
チャンスは、1度 キャラン(浩司)が、スターバストを撃つ時。
相撃ち狙いの大技でもある。
このガッシャーの持つ最終大技は、実は、キャラン(浩司)は、全く知らなかった。
ある程度 キャラン(浩司)にアポリスの重要機密をどのようにハッキングされているか? 以前不明であったが、その点に気付いていたギルが、全くアポリスが利用しているネットワーク回線と接続していない単体のスーパーコンピューターと、自身の思考実験だけで、この大技を開発した為でもある。
情報をキャラン(浩司)に、ハッキングされていない。
だが、問題点も山積していた、
実戦どころか、まだテストもおこなっておらず、ぶっつけ本番でもあった。
「早く 貴様の必殺最終大技 スターバーストを撃て・・・・」 内心つぶやくガッシャー

 一方キャラン(浩司)も 先程ガッシャーの放ったサンダーボルトは、まだ小手先程度の全力でない事に気付いていた。
必ずチャンスを見計らい MAXパワーで撃ってくる その時 カウンターの意味も込めて一気にスターバーストで決着(ケリ)をつけようと考えていた。
これ以上戦闘を長引かせると、更に不利な状況へと追い詰めかねない。
精神面でのスタミナの消耗は、もう限界であった。
ただ この猛吹雪の荒れ狂う天候 先程から更に気温が低下しているのが、何故か? 気がかりに感じていた。
キャラン(浩司)自身 レジェンスの戦闘モードにより 身体表面には、レジェンスのエネルギーの幕に覆われ それが、バリヤーの役割もはたしている。
つまり外気温を 全くと言っていい程感じない。
だが、気温の低下は、感じる事が出来る。
だが この気温の異常なスピードでの低下。
外気温が急速に低下していると言うより 温度は、物質の熱振動がもとになっている。 熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーそのものが低下・・・・ いやガッシャーの周囲の原子そのものが消滅 それに伴い原子の熱振動(原子の振動)に伴い放出される熱エネルギーそのものが急速に減少・・・・ そんな気がしており 気がかりに感じていた。
それも ガッシャーのネクスタルへ供給されているエネルギーの高まりと共に始まりだしている。
漠然とした不安感を感じる。
戦場での独特の嗅覚、匂いの嗅ぎ分けの鋭いキャラン(浩司)ならではのものでもあったが、決して他人がマネ出来るものではない。
ムダと思える宇宙物理学・・・特に机上理論に詳しく 元々アマチュアの研究家でもあるキャラン(浩司)。
普段 全く役に立たないムダな知識が時として役立つ事もある。
だが、ガッシャーの本当の狙いまでは気付いていない。
今の状況を ガッシャーの必殺の大技 サンダーボルトを MAXパワーで発動する為 エネルギーを急速充填している為だと思っていた。
「こちらが 一瞬の隙を見せた瞬間 必ず撃ってくる・・・・」 心の中でつぶやくキャラン(浩司)。

 互いに相手の心理状態を読みあいながらも ヒット&ウエー(一撃離脱)の戦闘を続ける キャラン(浩司)とガッシャー。
互いに付け入る隙が掴めずにいた。
そんな時だった 猛吹雪の嵐の風向きが突然変化した。
風速100mを超える ジェット気流並みの強風 まともに右側面から受け 態勢が崩れ 少し強風に流されるキャラン(浩司)。
「しまった・・・」 焦りの表情と共に、小さな声が漏れる。
このチャンスをガッシャーは逃さない。
サンダーボルトを撃つ態勢に入る・・・・ いや先程のサンダーボルトを撃った時の態勢と微妙に異なっている。
身体全体からスパーク(放電現象)が起きていない。
だが 突然襲い掛かったジェット気流並みの強風に態勢が崩れ 少し流されたのは、キャラン(浩司)の演技であった。
ガッシャーにサンダーボルトを撃たせる為の。
キャラン(浩司)自身 レジェンスのエネルギーを高め コントロールが難しいが・・・・ いつでもスターバーストを撃てるエネルギーを集中させていた。
お互いの眼は、ターゲット(獲物)を狙う野生肉食獣の様に鋭く光る。
ガッシャーが撃つと同時に、態勢を崩しながらスターバーストの構えに入り撃つキャラン(浩司)。
狙い通りのカウンター攻撃・・・・
だが、様子異変に直ぐ気付く。
先程のサンダーボルトは、ビームそのもののスパーク(放電現象)を伴っていたのだが、今 ガッシャーの撃ったビームは、全く異なっていた。
ビームの周囲の全ての原子そのものの熱振動(原子の振動)を全く止めている・・・そう感じさせるようであった。
「絶対零度・・・・」 唖然とした表情を浮かべ、小さな声でつぶやくキャラン(浩司)。
今まで、ハッキングしたアポリスの最重要機密に含まれていたガッシャーの戦闘スペックにない大技であった。
「いったい いつ・・・」 キャラン(浩司)の脳裏を過る。
情報 つまりある程度データを重視する戦いを ここまで進めてきたキャラン(浩司)は戸惑う。
「しめた 引っかかったなあー・・・」 この様子を見ながら内心細く微笑むガッシャー このチャンスを狙っていた。
先程まで感じていた 漠然とした不安感は、これであった。
温度は、物質の熱振動がもとに規定されているので、下限が存在する。 それは、熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーが最低になった状態である。この時に決まる下限温度が絶対零度。
古典力学では、エネルギーが最低の状態とは、原子の振動が完全に止まった状態である。
ただし量子力学では、不確定性原理の為 原子の振動が止まることはなく、エネルギーが最低の状態でも零点振動をしている。
熱力学第三法則によれば、ある温度(0 Kよりも大きい温度)をもった物質を、有限回の操作で絶対零度に移行させることはできない。
絶対零度に近い極低温では、より温度の高い状態では見られない現象がいくつか知られる。それらを扱う分野を低温物理学と言う。
絶対温度による0度で、0Kと表記され 世界標準で、日本人が日常利用しているなじみ深いセルシュウム度で表せば −273.15 ℃ 華氏で表記されるファーレンハイト度で表せば 華氏−459.7である。
(フリー百科事典 ウイキペディア参照)
ただし 絶対零度は不可能で、量子論の無の状態(時間も空間も物質もエネルギーも存在しない 無の世界 何も存在せず、永遠に何も生まれないように思われる世界であったが、量子論では、非常に短い時間の中では時間や空間やエネルギーが1つの値をとりえず、たえずゆらいでいることを明らかにしている)ではなく 唯一絶対何も存在しない0(ゼロ)の状態以外 不可能と言う意見もある。
キャラン(浩司)の放ったスターバーストと、ガッシャーの放った絶対零度は、両者中間点で激突。
方や超高温で、すさまじい高エネルギー状態で、瞬時に取り込んだ物質全てを光と熱エネルギーuなどに変換させるすさまじいエネルギー量を解き放つスターバースト もう一方は、取り込んだ全ての物質の熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーを最低レベルまで下げる絶対零度。
まさに陰陽、光と影・・・ 正反対の全く異なる性質を持つ2つのエネルギーの激突であった。
予想外の大技の攻撃に、元々超不安定で、全くコントロールの出来ないレジェンスのエネルギーにある程度依存しているキャラン(浩司)の放つスターバーストは、押され気味であった。
エネルギー量の変動が激しく安定しない。
不敵な笑みを薄く浮かべるガッシャー どうやら勝ちを確信した表情。
「このまま一気に・・・」 小声でつぶやく。
だがその瞬間ガッシャー自身の微妙な変化に気付いた。
自身の身体から放出されるエネルギーが急激に低下し始める。
「俺自身の身体に何が・・・・」 不安な表情が浮かぶ。
後一息 このまま押し込めばキャラン(浩司)を倒せる だが・・・・ 今 最終大技の絶対零度を止めるなど出来ない。
相撃ち覚悟の大技 だがこのままでは後1歩のところで、自身の身体が、逆に絶対零度で凍結する。
見る見る身体から発せられる熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーが最低へと落ち込み凍結状態が両手から全身へと進行する。
この異変にキャラン(浩司)は、直ぐに気付く 「今がチャンス・・・・」 小声で呟きながら レジェンスのエネルギーを無理に高める。
一気に膨れ上がるスーターバーストのエネルギー 今まで押され気味であったが、レジェンスのエネルギーの急速高まりにより巨大な光のビームとなり ガッシャーの放つ絶対零度のビームそのもののを飲み込み一気にガッシャーを飲み込み そのまま大気圏をも貫く。
「何故だー・・・・ 後 もう後1歩であったのに・・・・」 ガッシャーの最後の叫び声が、荒れ狂う猛吹雪の中に木霊した。
確かにその通りであった。
もうひと押しで、逆になったはず。
ガッシャーの放った絶対零度が、キャラン(浩司)の放ったスターバーストをも飲み込み そのままキャラン(浩司)に直撃 熱振動(原子の振動)のエネルギーを最低になった状態までに凍結と呼ぶべきか? 出来たはずであった。
だが 結果は、自身の放った絶対零度に自身の身体の熱振動(原子の振動)のエネルギーを最低になった状態になり そのままキャラン(浩司)の放ったスーターバートで、全てが消滅させられた。
相撃ち覚悟で放った最終大技であったが、キャラン(浩司)を倒すどころか、自身の最終大技にやられてしまった。
まだ1度もテストさえ行っていない最終大技であった。
各問題点など何度もテストを行わなければ解らない。
まだ未完成の手探り状態の新たなハードウエアーであった。 技術などまた確立していない。
そんな未完成の新たなハードウエアーにすら頼らず得ないアポリスの現状でもあった。

 大きく1度溜息をつくキャラン(浩司) いつもの事だが、相変わらず後味の悪さだけが残る。
戦闘により また多くの生命が失われた。
虚しさだけが残る。
突如 目の前に小型のインカムが現れた。
驚異のオーバーテクノロジーの1つ。 
アルファー・ベースの武器、弾薬庫から武器、弾薬などを量子状態のままトンネル効果を利用し量子テレポーテーションさせ 実体化して利用する。
Quantum conversion (量子変換)
Quantum tunneling (トンネル効果)
Quantum teleportation (量子テレポーテーション)
Quantum Conversion、Tunneling、Teleportationの頭文字を取って、QCTTシステムとの名を付けていた。
同時に、ノルンの声がテレパシーで届く。
「マスター インカムを装着を」
キャラン(浩司)は、このインカムが余り好きになれなかった。
左耳に装着し そこから歪曲したレシバーが口元 エレクトロニクス・アイが左目を覆う。
量子通信を使って、ノルンからあらゆるデータが、左眼のエレクトロニクス・アイに送られて来るのだが、戦闘時 邪魔にしか感じられず いつも全く装着しない。
通信は、自身のテレパシーによりノルンと可能であり わざわざ量子通信を使う必要性を感じていなかった。
「ごらんの通り 半径100km圏内に敵はいません・・・・」
エレクトロニクス・アイに映し出される映像に敵の姿は全くない。
上空 地球軌道衛星上に待機するステルス製スパイ衛星ホッパーから画像解析である。
半径100kmどころか、200km以内にも 敵の反応は見当たらない。
「とにかく戦いは終わった 次の追ってが来ない今 みなったちのところへ・・・・」 内心そう思いつつ キャラン(浩司)は、みなっちを預かってもらっている ふもとの集落へと飛行を開始する。

 だが・・・ 今回のデストロの1体であるシン そのBS(バトルスタイル)であるガッシャーとの戦闘 確かに、今までとは戦いが違ってきた。
こちらの研究をかなり進めている・・・・ いつまでも同じ過ちを繰り返さない姿勢が見える。
だが、どうも腑に落ちない 何か? 稚拙な感じがする。
全地球を支配するアポリス 今までならここ以外別の地域での戦闘とリンクしていた。
つまり1カ所に足止めさせ別地域での戦闘により戦略上の勝利を模索していた。
だが、今回は、別の地域での戦闘はなく 通常の各地域での反乱制圧程度・・・ それも派遣された部隊は少数 まともに鎮圧する様子など感じられない。
わざわざヒマラヤ山脈に足止めする為 8大将軍の1体シンまで投入する必然性を感じさせない。
まだ確立されていない開発したばかりの新兵器のいきなりの実戦投入・・・・
考えても始まらない・・・・ など言っていられない。
色々思案するキャラン(浩司)。

 実は、今回の最終目的は、全世界に散らばる主力部隊の世界首都のあるI国への移動させ集結による再編成であった。
準備が完全に整わない段階で、突発的原因により世界同時制圧に突入してしまった。
結果は成功 世界をアポリスの支配下に置くことが出来たが、ただし薄いオブラートで包み込んだ手薄な状態 完全な支配下億ことができなかったが、世界各地で頻発する反乱、デモ・・・・ その鎮圧 まるでモグラ叩き。
敵対勢力の存在 各敵対勢力は、1つにまとまっておらす、少数の弱小勢力の集まりであるが、各個撃破戦術の対象になるものの 余りに数多く 逆に少数である為 1つの敵対勢力を殲滅させても 散らばった残党が新たな複数の敵対勢力を生み出してしまう。
まるで犯してはならない逐次投入の愚を犯し消耗戦の愚を犯している。
下手な戦いを強いられている。
世界各地で頻発する反乱、デモなどを鎮圧する為 主力部隊を分散させたのが、全て裏目に出てしまった。
いや特に、この状況をキャラン(浩司)に、うまく利用され兵力分散を 神出鬼没の徹底したゲリラ戦術による各個撃破の対象にされた。
「十を持って、一を攻める・・・・」 古代中国春秋時代の軍事思想家孫子(もしくは孫武の著とも言われる)の兵法書の有名な一節で、格言、名言であるが、相手を大幅に上回る大兵力を用いて 遊兵を作らず 全兵力を持って一気に相手を叩き潰す。 いち早く情報を集積、素早く解析し伝達共有する。 大軍を維持する為の補給をいかに確保するかだ。 戦略の基本中の基本である これは間違いはない だが大軍を維持するには、俸給が必要不可欠であり、大軍の戦闘地域へ移動させるには、それなりのタイムロスが生じる。
その2点を キャラン(浩司)に、ものの見事に叩かれてしまった。
数少ない戦局、戦争の全体像を見る事の出来る非凡な戦略家としての資質を育んでいる事を見る事が出来る一面でもある。
たった1人 特に、機動性に優れ次から次へと、自由に移動出来るこの自由な移動を最大限に利用し神出鬼没に現れ 短時間勝負の徹底したゲリラ戦術による各個撃破・・・など。
高速機動力がいかに重要かを知り抜いていた。
たった1人 全地球を同時にカバーするなど不可能であるが、個として戦闘能力は、レジェンスと言う全宇宙最強と思えるエネルギーと融合し エネルギーの不安定と言う問題点を抱えつつも ネクストノイド最強の8大将軍デストロなど 個人戦による戦いならば、ケタ違いのレベル差を見せつけた。
更にその上位モデルで、8大将軍デストロなど束になっても太刀打ちできない史上最強のアピリムでさえ BS(バトルスタイル)への変身前であったが、後1歩のところまで追い詰める戦闘能力を有していた。
このレジェンスと言う 量子論上の無が無を生みだし 2つに分離した1つホワイト・レジェンと呼ばれる 上限値の無いと思われる非常に不安定で、常に変動し確定出来ない無限と思われる驚異のエネルギー体と融合していなければ不可能であったが、それわ活かす為のソフトウエアーとしての個人の資質がいかに重要かわ知っていた。
まあーキャラン(浩司)本人は、非常にレベルが低いと、自身を思い込んでいるが・・・・
どんな強力なハードウエアーも それを活かす為のソフトウエアー つまり運用する人間の能力に大きく左右される 最強のハードウエアーで、戦局・・・いや戦争全体を決する事などあり得ない。
その点を熟知していた。
元来 極度の反戦主義者 戦争を忌み嫌い、憎しみさえ持っている。
この戦争嫌いが、何故? 人は戦争を起こすのか? と言う疑問から戦史、戦略論、戦術論など 独学で学ぶきっかけとなり 数少ない戦局、戦争の全体像を見る事の出来る非凡な戦略家としての資質を育くむ結果となったのは、単なる皮肉の結果なのか・・・?
戦略上の最終勝利は、歴史の流れ・・・ つまり歴史が自ら望む方向へ流れ 動くか・・・・ その1点だと信じていた。
戦争など、戦略上の勝利を得る為の・・・ いや それ以上に大局に立った つまり恐れ多いが、自らが望む歴史の流れ、方向へ向かわせる為の技術的な方法のたった1つに過ぎず、最も意味のない 最低、最悪の 決して選択してはいけない愚劣で、卑しむべき方法だと信じて疑っていなかった。
戦わずして勝つ・・・・ 最もベターな方法だと信じていた。
だが、以前アポリスの絶対的有利は動かない。
やはり1対・・・ もはや数など問題外の極端なまでの戦力差 戦力を集中させ一気に相手を叩き潰す。
戦略の王道であり基本の1つ。 これを実行する為 着々と準備を整えていた。
キャラン(浩司)と言う たった1人を相手に。
そして、戦力を1カ所へ集中させ再編成 対キャラン(浩司)用 新兵器の開発・・・・など それらをキャラン(浩司)の眼からそらす為 あえて8大将軍の1体であり 上位モデルのデストロであるシン自ら志願しおとり役を買って出た。
この戦闘へ向かう前のシンの言葉に、「餌は大きい方がいいさあ・・・・」 と語っていた。
「勝利のシャパンを・・・」 とも・・・・
それも新たな新兵器の1つのを自らの実験台となり相撃ち覚悟の玉砕戦法を用いた。
死地への片道キップ。

 だが、この状況を自らの望んでキャラン(浩司)自身が生み出した事を アポリスのだれもが知る由もなかった。
その為の神出鬼没のゲリラ戦術を用いて アポリス側を混乱させ 各個撃破の対象にされ 1カ所への戦力を集中を余儀なくされたとは、アポリス側のだれもが思いもつかなかった。
だれもが、戦略の基本である戦力を集中を怠り分散、逐次投入の愚を犯した結果 その点を叩かれたと思っていた。
キャラン(浩司)の戦略は、敵アポリスの戦力を1カ所に集中させ 敵アポリスを一気に叩く・・・・ である事を・・・
その為のキャラン(浩司)の大胆でありながらも緻密な戦略プランである事も。
アポリスの全戦力を1カ所に集中させる事により 一気にアポリスの戦力であるネクストノイドを叩き潰すなど、大それたプランを立てているなど。 だれもが思い浮かぶはずなどない。
どう考えても気の狂った自殺行為。
だがあえてそれを実行した。
キャラン(浩司)自身 個としての戦闘能力が、レジェンスと融合しており そのエネルギー量は、非常に不安定であり常に大きく揺らいでいながらも上限値が存在しない。
その気になれば、瞬時に、1000億光年を遥に超えるこの宇宙を量子論的に元の無の状態に変換させる驚異のポンテンシャル・エネルギーを誇っており それもレジェンスの持つ本来のホテンシャル・エネルギーのほんの1部に過ぎない点である事も・・・・ まさに無限のホテンシャル・エネルギー。 だが最大の欠点は、全くコントロール出来ない・・・・。
そんな不安定なホテンシャル・エネルギーであるレジェンスに頼らず得ない 本来の性格である1匹狼的資質が、偶然に巻き込まれ戦いの渦中に放り込まれ レジェンスとの融合・・・・ その他 結局1人での戦いを選択 だれにも頼らず1人で決着をつけようとした結果でもあった。
だが全てのネクストノイドを倒す必要性はない 倒すのは、アピリム以下残りのデストロのギル、ビリー、デュークの3体のみ。
こり4体さえ倒せば、大多数を占めるネクストノイドのクロテノスを支配しているテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)の呪縛は解けるはず・・・・
後は、いかにネクストリイドとの共存する社会を築き上げるか? その点に尽きる。
この時点 キャラン(浩司)戦略構想の中には、実はネクストノイドとの共存する社会構成について、何もビジョンを持ち合わせていなかった。
あるのは漠然とした思いだけ。

 歴史は、キャラン(浩司)の望む方向へと大きなうねりを上げ動き出していた。
キャラン(浩司)の望んだ以上に・・・・
いよいよ最終決戦へと向かって歴史は加速を開始した。
どちらが生き残るか・・・・?
人類の命運、未来をかけて・・・・

 第3章 放浪 THE END

 作者の後書き

 第3章 放浪 完結です。
いよいよ最終決戦を向かって歴史は、急加速します。
はたして、どちらが生き残るか? いよいよこの物語も総仕上げです。
最終決戦地は、人類最終戦争に最もふさわしい場所。
ここまで出演したメインキャラが、それぞれの思いを胸に、最後の戦いへと望みます。
はたしてどんな結末を迎えるのか?




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