LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part9

 「くっそー 罠か・・・!!」 B,P(バトルプロテクター)を装着しB,P-1となった永井は、悪態をついた。
地下にある秘密研究施設とは名ばかりである。
どの部屋を調べてもダミーの機材やガラクタが適当に、乱雑に並べられてあるだけで、普通あるはずのホスト用スーパーコンピューターを始め 末端兼ネットワーク用のPCすら置かれていない。
あるのは出来の悪い 見せかけようハリボテばかりであった。
幾つかの部屋に部下を2人づつ別け調べさせたのが裏目に出た。 入った同時に出入口のドアが、強固に作られた超合金で閉じられ、それぞれの部屋に部下が閉じ込められ分断された 願っても無い各個撃破対象にされたしまった。
各部屋にグロテノスが現れた救いようがない。
一刻も早くこの部屋から脱出し、部下を助けようとB,P-1は、左手を光子ガントリックに変形 強固に作られた超合金に向け発砲した。
無数の光子弾がを浴びせる。
しかし強固に作られた超合金にかすり傷1つ付かない。
「ならば・・・」 次に左腕をまだ使用した事がない メガブラスターに変形 エネルギーチャージを始めようとした。
B,P(バトルプロテクター)最大の武器である。
巨大なエネルギーを一気に利用する為 エネルギーチャージにある程度時間を要する。
B.P-1は直ぐにエネルギーチャージをやめた。
こんな巨大エネルギーを利用すれば、簡単にこの強固に作られた超合金を破る事は簡単であった。
しかしエネルギーが大きく過ぎて、この秘密地下基地そのものを破壊しかねない。
ここには、何ら防御手段を持たない かわいい部下が多数潜入している。
それに別の出入口からは、もう1つピエールの率いる部隊が突入していた。
同じB,P(バトルプロテクター)を装着出来るピエールなら これぐらい耐えられるが、やはり何ら防御手段を持たないピエールの部下も全滅する。
そのまま左腕をエクスカリバーに変形させ エクスカリバーに高電磁波を発生させた。
エネルギーを最大に上げ 赤から青白い色に変化する。
B,P-1は、そのまま強固に作られた超合金に向け 切りかかった。
手ごたえを感じる 強固に作られた超合金に、ある程度の深みを持った傷を付けられた。
「これならば・・・」 更に、B,P-1が抜け出せるぐらいの丸い穴を作っていく。
貫通はしていない しかし強固に作られた超合金の壁に、大きな丸い穴の溝が出来た。
B,P-1は、少し離れ 左腕をまた光子ガントリックに変形させ 溝に向かって発砲する。
確かな手ごたえを感じた。
弾幕が消える。
だがまだ強固に作られた超合金の壁に穴が開いていない。
ほとんどの部分が貫通している。
B,P-1は、蹴りを入れると、穴の部分が後ろへ飛ばされ壁に大きな穴が開く。
頭部にある各種センサーで周囲を確認する。
この通路には、敵 アポリスのグロテノスの反応が無い。
何も確認せず、いきなり飛び出して敵に襲われない為である。
やはり慎重さは必要だ。
ゆっくりと、壁を抜け通路に出た。
壁の両側の各部屋の出入口は、強固に作られた超合金に覆われている。
部下が、幾つかの部屋に閉じ込められている。
早く救出しなければならない。
まず1番手近な部屋の出入口の前に立った。
各種センサーで、人体が発する熱源を探知する。
この部屋には、だれもいないようである。
次の部屋を探す。
その時だった いきなり強固に作られた超合金の壁が開かれる。
1部屋から2体づつグロテノスが現れた。
何体かは、身体の1部が返り血を浴び 真っ赤に染まっている。
1体が、ボロ雑巾のように、ズタズタに引き裂かれた死体をB,P-1の足元に投げつけた。
B,P-1は、片膝を折り 死体の顔を確認した。
顔が半分潰されていた。 だがだれなのか?
だが識別出来た。
「トニー・・・」 小さな声でつぶやく。
陽気なラテン系のコーカソイドで、まだ20歳代中盤の男であった。
いつも輪の中心で、周囲をジョーク飛ばし笑わせていた。
女に目がなく ちょっとかわいい子を見つけると、直ぐに声を掛けていた。
「俺が死ぬ場所は、戦場ではなく美女と格闘中のベッドの上さ・・・」と、いつも豪語していた。
半分潰れていない顔の大きく見開いたままのまぶたを、そっと閉じさせた。
怒りが全身にみなぎる。 この階の各部屋に入った者 全てが戦死していた。
「ちょっとしたゲームでねー」 1体のグロテノスが、B,P-1に向かって言った。
「各部屋に待ち伏せ待っていたのだよ 他だし1部屋だけが、だれもいない部屋であったが、B,P-1が、その部屋を選ぶとは・・・ 余程悪運が強いと見える」 ゆっくりと、B,P-1に向かう。
チーターに似たテーメム スピードと俊敏さと、鋭い両前足の爪が、主だった武器であった。
B,P-1は、グロテノスの数を数える。
全部で18体 中には、小さなかすり傷を負っているグロテノスもいる。
部下が必死に抵抗した後が覗える。 近接戦で1対1である。
ある程度距離を置き ER02Tで、多数による同時一斉射撃なら何とか出来るが、狭い部屋での戦闘であった。
自分のミスが招いた事であったが、手塩にかけ育てた可愛い部下達であった。
1人1人の顔が脳裏に浮かぶ。
B,P-1は、ゆっくりと立ち上がった。
「まず貴様から地獄へ送ってやる」 言葉に言い尽くせない怒りがこもっていた。
猛然とダッシュと同時に、左腕をエクスカリバーに変形させた。
動きの速いテーメムなど比較にならないスピードである。
逃げようとしたテーメムを瞬時に、腹部から2つに切り裂いた。
そのまま残り17体のグロテノスに切り込んでいく 狭い通路である。
強力な火器類は使用出来ない。
それは、グロテノスも同じであった。
使用すれば、味方のグロテノスも巻き込む。
数体切り裂いた。
前方に、3体の亀に似たカータルが、並んで塞いだ。
水平にエクスカリバーを振った。
バリヤーに近い強度を誇るカータルの装甲は、やはりその程度の威力では、切り裂けない。
腹部の甲羅に傷が付く程度であった。
後ろに控えていた 2体のリアンズは、両手からスパイダーネットを発射 両手、両足をスパイダーネットに絡ませ そのまま天井と、床に貼り付ける。
B,P-1は、スパイダーネットにより両手は、斜め上に広げたままスパイダーネットにより、貼り付けられ 両足も同様開いたまま スパイダーネットにより床に貼り付けられ 動きが止まった。
「無様なものだなあー」 数体のグロテノスが笑う。
もがいても切れない。
B,P-1は、下を向き少し笑い声を上げた。
「これで、俺の動きを封じたと思うかー」
首をまず 右に向けた。
額部分にある 角の形をした部分からレーザービームを発射する。
B,P(バトルプロテクター)の武器の1つ ヘッドレーザーである。
レーザーは、瞬時 スパイダーネットを焼き切る。 そのまま今度は、左を焼き切る。
自由になった 左腕のエクスカリバーで、両足のスパイダーネットを切り裂く。
左腕のエクスカリバーが、赤い光を発光させた。
電磁カッターである。
B,P-1は、前方のグロテノスに向け 左腕を水平に振る。
赤い三日月形の電磁カッターが発射され 前方の5体のグロテノスを腹部から切り裂いた。
バリヤーに近い強度を誇るカータルの甲羅も 電磁カッターの威力には、なす術かなく 簡単に切り裂かれてしまった。
残りのグロテノスを光子ガントリックで片付けた。
「こちらB,P-2 B,P-1 聞こえますかー」 ピエールからのB,P(バトルプロテクター)に内臓されているSLV通信が届く。
「こちらB,P-1 敵の待ち伏せのトラップ(罠)にかかり 部隊は全滅 可愛い部下達を・・・ 他だし待ち伏せていたグロテノスは、全て掃討・・・」
「こちらも同じ状況です。 生き残っているのは私1人です。 どうやら2手に分けて各個撃破か、我々を引き離す作戦だったかも・・・」
ピエールの言う通りだと永井も思った。
「ここには、何も無い所を見ると、その通りだろう・・・ ところで、浩司さんの状況は?」
「戦闘に入った模様 今の所 無事らしいのですが、左腕に、はめているSVL通信からの生体反応を示しています 相手は、ここにいたグロテノスとは、ケタ違いのデストロ4体と、想像を絶する戦闘能力を持つ あのアピリム・・・」
「つまり 我々と引き離す為のトラップ(罠)・・・」
「浩司さんが、危ない・・・」
2体のB,P(バトルプロテクター)は合流 出口に向かった。
だが、容易く脱出させてはくれない。
地上へ出る為の脱出路の1本道を 前後を新手のグロテノスに包囲された。
強力な破壊力を伴う重火力類は使用出来ない。
2体のB,P(バトルプロテクター)は各々左腕をエクスカリバーに変形させ 同時に猛然と斬りかかった。
対するグロテノスも同様である。
重火力系のグロテノスは、ほとんど配置されておらず、切り裂くなど、軽量武器を中心に、スピード、俊敏さに重点を置くタイプばかりであった。
幅が狭く細長い通路での戦いを考慮している。
だが、スピードでも優位に立つ2体のB,P(バトルプロテクター)の敵ではなかった。
やや手こずったが、全てのグロテノスは、掃討された。
「急がねば・・・」 B,P-1は、B,P-2に向かって叫んだ。
 一方 アピリムと対峙していたキャラン(浩司)は?

 キャラン(浩司)は、アピリムと対峙していた。
キャランは、左手に持つ高周波セイバーの2つのスイッチを切り 腰のベルトのフックに掛けた。
「武器なしで、余に戦いを挑もうとする気か?」 アピリムは、余裕を浮かべている。
「こんな程度のオモチャ(武器)ではねー」 キャラン(浩司)は、少し呆れ気味に答えた。
出来れば使いたくないが、レジェンスのエネルギーを高めるしかない。
これ以上は、コントロールがままならない。 相手は、先程のデストロの1体アジスのバトルスタイル(戦闘形態) ライマーなど比較にならない戦闘能力を持つアピリムであった。
本気で挑まねば勝算などない・・・
「変身して、戦わなくてもいいのか?」 いつになくキャラン(浩司)は、挑発する。
「貴様ごとき このままでも十分過ぎるぐらいだ」 アピリムは、自信に満ち溢れた表情を浮かべ ゆっくりと間合いを覗っている。
アピリムの身体が、少しづつ黄金の光を発し始めた。
変身前とは言いながらかなり戦闘能力を高め エネルギーが黄金の光となって周囲に放たれ大きく同心円状に拡大している。
同時にキャラン(浩司)も 身体全体から淡い白い光が放たれアピリム同様大きく同心円状に拡大を始めた。
「あやつ 余の力を見て本気を出す気だなあー」 アピリムは、キャラン(浩司)から発せられる淡い白い光を見ながらつぶやいた。
キャラン(浩司)と、アピリムの身体から放たれる光は、中間地点で激突 お互い光のエネルギーを相手に向かい押し込み始めた。
激突点では、お互いのエネルギーにより放電しスパークしながら、強力なソニックブームを発生 周囲を暴風に巻き込む。
更に、突如 重力異常が発生したの如く 雲1つない晴天の空に巨大な積乱雲が発生 雷を伴う暴風となる。
下方の海も巨大な津波が発生 海は荒れ狂い 海水までも上空に舞い上がり トルネード(竜巻)が発生 暴風となり周囲に荒れ狂った。
2人の発する 強力なエネルギーの激突による空間の極度な収縮減少が起き 超ミニブラックホールが発生したかの如く 空間が歪み始めた。
「す・す・すごい・・・」 強力なエネルギー渦に巻き込まれまいと、手負いのアジスを抱え ゆっくりと後退するギルは、驚いた表情でつぶやいた。
変身前とは、ここでエネルギーを解放するアピリムを見た事がなかった。
「これが、変身前とは言え アピリム様の隠れたエネルギーの1つなのか・・・」 同時に後退する龍(ロン)もギル同様 驚いた表情で、ギルに同調した。
このままでは、巨大なエネルギー渦に巻き込まれ 一溜まりも無い ギルは、アジスを抱え ゆっくりと後退しながら 最大限のバリヤーを球体に張った。
龍(ロン)も同じく 最大限のバリヤーを球体に張り ギルの後退スピードに合わせ ゆっくりと後退する。
大きく見開いた眼でキャラン(浩司)とアピリムを直視した。
予想以上である。
あの2人はあのまま激突させ 最悪でもアピリムを瀕死まで追い込まなければ、龍(ロン)が、バトルスタイル(戦闘形態)に変身しても 勝ち目がないように感じた。
8体のデストロが、変身して、エネルギーを 1つに集約しても 今の変身前のアピリムと同等程度だろう・・・ 龍(ロン)はそう思った。
とてつもないエネルギーであった。
キャラン(浩司)もアピリムも じり・じりと間合いを詰め始める。
お互いの発する光のエネルギーは、激突面が大きくなり 更に周囲に巨大なエネルギー渦を発生させる。
海底では、このエネルギー渦によって、海底地震でも発生したのか? 更に海面が大きく荒れ始めた。
お互いを直視するキャラン(浩司)とアピリム・・・
2人共 薄く笑った。
その瞬間 お互いが発生していた光のエネルギーが消えた。
だが2人共 身体数cmまでは、エネルギー発光している。
同時 2人は、同時に相手の懐に飛び込んだ。
あのデストロの2体 ギルと龍(ロン)ですら その動きが、ほとんど見切れていなかった。
空中の至る場所で、ソニックブーム(衝撃波)が発生する。
2人共 激突しては、少し離れ また激突する。
激突点では、そのたびソニックブーム(衝撃波)が発生していた。
キャラン(浩司)とアピリムの想像を絶する 巨大なエネルギーがぶつかり合っていた。
「ふ・ふ・ふ・・・ 少しはやるなあーキャラン(浩司)」 キャラン(浩司)のアピリムの左首を狙った 強力な右回し蹴りを左腕で受け止めながら微動だにせず 余裕を浮かべアピリムは言った。
「はあー」 アピリムは、至近距離からキャラン(浩司)の胸を狙い 右手首を立て 無数の小さなエネルギー弾を発射した。
キャラン(浩司)に命中直前 キャラン(浩司)の姿は消えた。
エネルギー弾は、空中でそのまま直進拡散する。
「すばしっこいやつめ・・・ そこかー!!」 アピリムは叫びながら別の何も無い方向へ向かい エネルギー弾を発射した。
気配だけで、キャラン(浩司)が、姿を現す場所を特定しての攻撃であった。
右手を突き出し 正面にバリヤーを張ったキャラン(浩司)が姿を現した。
正面に張ったバリヤーで、エネルギー弾を防ぐ。
バリヤー解除と同時に、右手人差し指をアピリムに向け エネルギービームを発射した。 フィンガービームである。
だが簡単に避けられる。
同時にアピリムに背後に回りこまれ 腰の部分に回し蹴りを喰らった。
そのまま大きく蹴り飛ばされる。
瞬時に前方にアピリムが現れ 再度 左脇腹目掛け右回し蹴りを繰り出した。
だが 大きく空振り 命中の瞬間 キャラン(浩司)は消えた。
「どこだ・・・」 アピリムはつぶやいた。 完全に気配を消された。
「うん?」 アピリムが気付き 防御を取ろうとしたが遅かった。
キャラン(浩司)は、アピリムの正面に現れると同時に、右ストレートパンチがアピリムの左顔面を捉えた。
アピレムの身体は、コマのように数回転する。
「やるなあ この余の身体にパンチを喰らわしたのは、キャラン(浩司) 貴様が初めてだ・・・」 アピリムは、横目でキャラン(浩司)を睨んだ。
キャラン(浩司)は、異常なまでのレジェンスのエネルギーの高まりを感じ取っていた。
過去 ここまで上げた事などないレベルであった。
もちろん自らの意思ではない。
レジェンス自身が高めている。
通常 このレベルの遥か下のレベルまで上げても、エネルギーのコントロール不能となり 超不安定の状態になる。
下手すると、無限に上昇する暴走だ。
だが 現在 このレベルまであげているにも関わらず、何とかコントロール出来ている。
このまま遥か先にある ある物を感じていた。
過去のレジェンスとの融合生命体達が言う Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域であった。
過去のレジェンスとの融合生命体 だれ1体として、到達していない領域であった。
あの領域に達すると、覚醒が起こると言われている。
だが、過去のレジェンスとの融合生命体 だれ1体として、その領域に入ろうとしなかった。
漠然とだが、決して入ってはいけない 入れば帰る事の出来ない 危険な香りを感じさせていた。
だが そこへ入るよう レジェンスが、甘い囁きで、誘っている そんな感じがしていた。
アピリムは少し後退をし 両手を広げた。
同時に、アピリムの身体周囲に、薄い色であったが、ゴールドの光の球体に包まれる。
球体の表面から 各々の方向へビームが発射された。
"どこを狙っていやがる・・・" キャラン(浩司)は思った。
しかしビームは、直進する事なく ランダムに屈折しながらキャラン(浩司)に向かった。
"ビームが屈折するなんて・・・" そう思いつつ キャラン(浩司)は、身体に球体のバリヤーを張り防ぐ。
無数のビームがバリヤーに接触と同時に、爆煙をあげる。
すさまじい威力であった。
1部ビームは、キャラン(浩司)のバリヤーを破りそうな勢いであった。
爆煙に包まれたキャラン(浩司)を見て、アピリムは、ゴールドの球体を消し 猛烈な勢いで、キャラン(浩司)に向かい、突撃した。
バリヤーを破られたものの 身体には、かすり傷を負っていなかったキャラン(浩司)に対して、近接戦闘における肉弾戦をまた挑み始めた。
だがアピリムの猛攻も、もはやコントロール不能領域突入したキャラン(浩司)にとって、大したレベルには感じなかった。
「そろそろ本気出したらどうだ?」 寸前で動きを見切り簡単な避けてしまう。
このレベルではキャラン(浩司)の敵ではない。
キャラン(浩司)の身体から発光するレジェンスのエネルギーが淡い白い光となり 光度が更に輝きを増す。
キャラン(浩司)は、反撃を開始した。
キャラン(浩司)からのキック、パンチなど肉弾戦の技が炸裂 アピリムにヒットし、確実にアピリムにダメージを与える。
アピリムは、少し距離を置く。
両肩を上下させ 大きく深呼吸 画面には大粒の汗が吹き出る。
「余をここまで追い詰めたのは、貴様が始めてだ・・・ だが余は、負けぬ 貴様ごときに負ける余ではない・・・」
アピリムは、両手を大きく広げた。
アピリムの額のゴールドに輝くネクスタルが更に、輝きを増す。
アピリムの表情が、すさまじい形相に変化する。
身体全体から発するゴールドの光が増し アピリムを包み込んだままやがて球体となる。
先程同様 球体の表面からビームと、更に球体の周囲にも あのアジスの技"しし座流星ガントリック"と同様 無数のゴールドの光球が出現 ランダムな動きながら更に無数の光球に分裂、キャラン(浩司)を襲う。
"ガントリック・エボリューション" と呼ばれる技である。
同時に、2つ以上の大技を繰り出した。
2つ以上の大技を繰り出せるのは、アピリムのみである。
しかしキャラン(浩司)は、バリヤーさえ張ろうとしない。
「決まった・・・」 この戦いの模様を観戦していた。
ギルは叫んだ。
2つの大技をまともに喰らえば レジェンスと融合しているキャラン(浩司)と言えども・・・ と言う思いであった。
だが、この戦いを観戦している他のアジス、ロン(龍)であったが、次の瞬間 呆然とした表情に変わった。
キャラン(浩司)自身が発光する レジェンスのエネルギーの光が、アピリムの発射したエネルギー光線や、エネルギー弾が触れると同時に、消滅させる。
ケタ違いのレベルの差を見せは始める。
キャラン(浩司)はおもむろに、右腕をアピリムに向け、手首を立てた。
気合を入れると同時に、手の内側から 無数の小さな光球が、発射される。
対アジス戦に使った ショットアタックである。
キャラン(浩司)のショットアタックのエネルギー弾は、アピリムの張るバリヤーに直撃 無数の爆煙を上げた。
アピリムの攻撃が止む。
キャラン(浩司)は、手の内側にエネルギーを集中させた。
いつもより大きなエネルギーの光球が現れエネルギーが集中する。
いつもと比較にならない強力なマグナムアタックであった。
発射と同時にアピリムに直撃 巨大な爆風、爆煙、ソニックブーム(衝撃波)が発生。
「ア・・・アピリム様ー」 ギル、アジス・ロン(龍)は、同時に叫んだ。
信じられない出来事である。
爆煙が収まると同時に、アピリムが姿を現した。
もはや、身体の周囲には、あのネクスタルからのエネルギーによる ゴールドの発光が失われ、何度も全身で大きく呼吸している。
もはや飛行しているのが限度で、もはや戦うエネルギーなどほとんど残していないように思われた。
「き・貴様ごときに、余は負けぬ・・・」 アピリムは、最後のエネルギーを振り絞り エネルギーの集中を始めた。
だがエネルギーは急速に失われる。
アピリムは、ふらつき始めた。
絶対のピンチである。
キャラン(浩司)は、何ら表情を変えない。
何かに取り付かれコントロールされているかのように、冷酷な目でアピリムを見つめる。
キャラン(浩司)の身体から発光する レジェンスのエネルギーの発光 光度が更に増す。
両手を上下にし その中に 眩いばかりの光のエネルギーが集中する。
両手を右脇腹に引く 光のエネルギーは、更に集中 輝きを増す。
このチャンス ふらついたアピリムに向け、最後のとどめを刺そうと、キャラン(浩司)は、両手を突き出した。
想像も出来ない程の強力な太いエネルギービームがアピリム目掛け発射された。
「アピリム様ー!!」 同時に、ギルとアジスは、動いた。
あれ程の強力なエネルギービーム 今のアピリムが喰らえば まず一溜まりもなく消滅する。
アジスは、アピリムの前に立ちはだかり 身体を大きく広げ、全てのエネルギーをバリヤーに変え 壁を作る。
ギルも、ふらつくアピリムを抱え 全てのエネルギーを球体バリヤーに変え 素早く移動を開始しようとした。
しかしキャラン(浩司)の放った強力なエネルギービームが直撃した。
キャラン(浩司)の必殺の大技の1つ "スターバースト" であった。
「アピリム様ー」 アジスの断末魔の叫び声が上がる。
アジスの全エネルギーのバリヤーは、簡単に破られ、スターバーストの直撃を喰らい アジスは、消滅する。
「アジスー!!」 その様子を見ていたアピリムは、叫び声を上げた。
アジスの全エネルギーのバリヤーよって、僅かなタイムラグ(時間差)が発生し アピリムを抱えたギルは、スターバーストの直撃を間一髪で、逃れられた。
信じられない表情で、キャラン(浩司)の放った 強力なエネルギービームを見つめる。
ある程度距離が離れ バリヤーを張っている それで何とか持ちこたえられる 驚異的な破壊力であった。

 浩司の放った エネルギービーム スターバーストを 同じく驚愕の眼差しで、立ち止まり見つめる2体があった。
B,P(バトルプロテクター)を装着する B,P-1の永井、B,P-2のピエールであった。
あんな強力なエネルギービーム B,P(バトルプロテクター)程度の装甲では、持ちこたえられない 直撃を喰らえば 一瞬で、消滅する。
驚愕のエネルギービームを放つ浩司を遠くから見つめた。
何とか、地下基地のグロテノスを全滅させ、浩司のバックアップに回ろうと急いだ。
戦場に到着すると、浩司は、あのアピリムを追い詰め とどめの一撃を刺す瞬間であった。
浩司が放つ スターバーストを その目で見た。
後1歩の所で、アピリムを逃した。
浩司を見た 浩司は、急速にエネルギーを消耗している。
先程までの身体から発する 淡い白い光は消え 両肩で何度も大きく呼吸をしている。
空中に浮いているのが、限度に感じた。
その時だった。
このチャンスを待っていた龍(ロン)は、キャラン(浩司)の前に立ち塞がった。
今 キャラン(浩司)は、ほとんどのエネルギーを使い果たしているように感じられた。
キャラン(浩司)を倒し、あのレジェンスを奪い取り 龍(ロン)自ら融合しようと出てきた。
「キャラン(浩司) 貴様の相手は、このわしじゃ!!」
右手を下、左手を上に向け何らかの球体を包むような構えた。
手の間に 強力な火球が発生する。
龍(ロン)の必殺技の1つ ファイヤーボールである。
「死ねー キャラン(浩司)!!」
ファイヤーボール発射直前 数発の強力なエネルギー弾が、龍(ロン)を直撃した。
体勢を 思わず崩しながら龍(ロン)は、その方向を見た。
振り向いた方向には、左腕を光子ガントリックに変形させ2体のB,P(バトルプロテクター)がこちらに向かい突撃している様子を見た。
「くそー 邪魔しょって・・・」 苦虫を潰すよう吐き捨てる龍(ロン)。
「龍(ロン) ここまでじゃー」
ギルの声が聞こえた。
「わしは、アピリム様を連れ後退する 龍(ロン)よ 時間稼ぎしたら後退せよ」 ギルの司令が飛ぶ。
このまま命令に従わなければ、龍(ロン)自身 アピリムをガードしなかった事に、不審の目を向けられ立場を悪くする。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、キャラン(浩司)の前に立ち 左腕の光子ガントリックの銃口を 龍(ロン)に向けた。
いや エネルギー量が急速に高まっている。 B,P(バトルプロテクター)の必殺の大技 メガブラスターのエネルギーチャージを行っている。
2体同時に、あのメガブラスターを変身前のこの姿で、直撃を喰らえば 龍(ロン)自身 かなりのダメージを被う。
ようやくヘリで、後退していた アピリム直属の親衛隊 パーサーカー5の中で、飛行可能なミューホーカーロイと他1体が、飛行可能なグロテノスを引きつれ現れた。
2手に分かれる。
ミューホーカーロイ率いるグロテノス数体が、アピリムを支えるギル 他の1体率いるグロテノス数体が、龍(ロン)をガードする。
お互い睨み合う。
静寂の時間が過ぎる。
下手に動けない。
一発即発の状態である。
「キャラン(浩司)!!」 アピリムが、突然叫ぶ。
「この勝負の続き また後程だ!!」 アピリムは、キャラン(浩司)を指差した。
お互い 必殺の大技の構えを見せる。
また静寂の時間が過ぎる。
タイミングを合わせた様に、お互いゆっくりと後退を始めた。
「浩司さん 大丈夫ですか?」 何度も全身で大きく呼吸をする浩司に、B,P-1は聞いた。
「あー なんとかー」 浩司は、遠ざかるアピリムを見ていた。
あの時 アピリムを倒そうと、必殺の大技 スターバーストを使った。
あの時 精神状態は、レジェンスのAbsolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域に、入る直前であった。
精神のほとんどが、レジェンスに取り込まれる直前であった。
スターバーストを撃った 必殺の大技である 急速に、レジェンスからのエネルギーが低下し、Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域に精神が取り込まれずに済んだ。
"Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域 歴代のホワイト・レジェンの融合生命体のだれもが入っていない未知の領域・・・ その領域に何があるのと言うのだろうか? 他だし 歴代ホワイト・レジェンの融合生命体は、決して入ってならない と強い嫌悪感を示していた・・・" レジェンスについて、キャラン(浩司)は、色々思考を巡らせていた。
Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域に入った生命体が1体が存在する。
もう1つ存在する ブラック・レジェンの融合生命体・・・
キャラン(浩司)は、この生命体を強く意識した。
"2つのレジェンスが、お互い引き合っている いつの日か、相まみれなければならない存在・・・" だと・・・

 「この余が、あのキャラン(浩司)ごときに・・・」 相当大きなダメージを受けながらも 歯軋りするアピリム。
負けを認めたくない様子であった。
後1歩の所まで追い詰められた。
そして、何よりも 側近の1体で、信頼の厚いアフリカ担当のアジスを キャラン(浩司)の手で殺された。
中々見つからない特殊なDNAの所持者でなければデストロになれない。
全部で、13体必要だ。
1体でも失うと、その損失は、計り知れない。
"大いなる計画" に大幅な支障を来たす。
そして、もう1つ あの龍(ロン)だ。
アピリムの耳にも その芳しくない噂が届いていた。
謀反の噂である。
アピリムの能力を持ってしても デストロに対して、テレパシーよる マインドコントロール(精神支配)と、心を中を探る事が出来ない。
心の内を 知る事が出来ない。
やはり龍(ロン)のやつ 余を裏切ろうとしているのか・・・? 疑念が沸く。

 同じ頃 この戦闘の様子を 超高感度望遠レンズ付きのカメラで、撮影していた 1グループがあった。
インディーズ(独立)系で、ヤーナにもアポリスにも組しないマスコミの撮影クルーであった。
I半島での 別の撮影中 この戦闘を目撃 直ぐにこの戦闘の模様を撮影した。
そして、キャラン(浩司)が、後1歩の所まで、地球の支配者になったアピリムを追い詰め とどめを刺そうと、大技のエネルギービームを発射 アピリムを庇ったアジスを消滅させるシーンまで、逃さず撮影した。
アジスは、8大将軍の中で、とりわけ非常に評判が良く 人気の高かった。。
深刻な アフリカでの部族間の抗争の調停者となり 大幅に減少させたアフリカのヒーロー(英雄) 今 神々に最も近い男、その他など絶賛されてきた それが、WANTED (ウォンテッド) DEAD OR ALIVE (生死を問わず)の文字が並ぶ 最高級の賞金首の1人 キャラン(浩司)と名で呼ばれる男に殺された。
世紀の大スクープ映像である。
現在地球を支配するアポリスの支配下でないインディーズ(独立)系のマスコミの1つである 検閲を受けない。
早速あらゆる情報発資源を利用し、この戦闘シーンをセンセーショナルに世界に配布した。
"あのアフリカのヒーロー(英雄) 今 神々に最も近い男 8大将軍の1人 アジス 最高級の賞金首の1人 キャラン(浩司)に倒され、地球の支配者 アピリム 後1歩まで追い詰められる・・・" 瞬く間に世界を駆け巡った。
1部の人々を除き、アポリスの支配下に置かれた人々の反応は、憎しみの目を キャラン(浩司)に向けた。
そして、1部のインディーズ(独立)系のマスコミが、北ヨーロッパに古くから伝わる神話から ある言葉を利用し 別の意味を与え キャラン(浩司)を こう呼んだ。
"ラグナロック" 神々をも滅ぼす者・・・ 本来 ラグナロクと言う "大いなる神々の黄昏"と言う意味を用いた。
決していい意味ではなく 侮辱的意味で使われた。
神々とでも呼べる高貴な存在であるアピリムと、8大将軍デストロを 滅ぼそうとする者として・・・
ヒール(悪役)として・・・

 数日後 中東にある世界3大宗教の聖地と呼ばれるI国E市。
地球をほぼ制圧したアポリス その支配下における世界初の世界統一政府による 完成時には、荘厳となる新首都の建設が続いていた。
アピリムの為に建設途中の宮殿のアピリムの執務室。
龍(ロン)の身辺調査の報告が、アピリムと、ギルの下に届いた。
「くっそー そこまでしてー この余を亡き者にしようと・・・」 アピリムは、怒りの余り報告書を右手で握り潰した。
報告書には、アピリムを日本へ呼びキャラン(浩司)と直接対戦させ 相撃ち もしくは、キャラン(浩司)が、瀕死の状態になれば、龍(ロン)自身が、割っては入り キャラン(浩司)にとどめを刺し キャラン(浩司)からレジェンスを奪い取り 自らレジェンスの融合者となり アピリムを倒し この地球を支配化におく計画が、詳細に記されていた。
「ギル」 近くにいたギルを呼び寄せる。
「はっ アピリム様」
「龍(ロン)を 大至急 ここに呼べ」
「はっ かしこまりまた」
ギルは、アピリムの執務室から出て行く。
数々の動かぬ証拠が挙がっている。
直接 龍(ロン)に会い 問いたださなければならない。
場合によっては、粛清も辞さない。
やっと8体見つかった 残り5体までこぎつけた。
世界をこの手に征服した。
征服以前よりは、探すに手間がかからなくなると思った。 しかし飛んだ邪魔が入った 敵対するヤーナであった。
ヤーナなど弱小勢力に過ぎず問題にならないと思っていたが、突如 あのキャラン(浩司)と呼ばれる人物が現れた。
それも あのレジェンスと呼ばれる アピリムの改造主 かって神々と呼ばれたEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)のエルが、捜し求めていた無限のエネルギー体と、融合していた。
キャラン(浩司)は、我々の誘いに応じず、事もあろうにヤーナに加入 そして、我々アポリスの最高機密の1つ エルの驚異のオーバーテクノロジーの最高傑作の1つと言われる2体のB,P(バトルプロテクター)まで奪われ、ヤーナの永井とピエールが装着した。
そして、貴重なデストロの1体 信頼の厚い アジスが、キャラン(浩司)の手によって、殺され 更にデストロの1体 龍(ロン)の裏切りが発覚した。
龍(ロン)は、粛清せねばならない。
裏切りは、許す事など出来ない。
その為に、アジスを失う結果をもたらした。
2体のデストロを失う結果になる。
想定外の出来事であった。
これから数十年かけて、後7体のデストロになりえる特殊DNAの持ち主を探し出さねばならない。
全て "大いなる計画" を実現の為である。
アピリムの脳裏には、今から約1万2000年前のあの出来事が鮮明に蘇っていた。
"決して忘れぬ・・・" アピリムは、つぶやいた。
その為の "大いなる計画" である。

 同じ頃 中国の奥地にある 龍(ロン)の極東総本部。
龍(ロン)の動きが慌しくなっていた。
アピリム直属のスパイによって、全て知られてしまった。
逃げ道はない。 追い詰められてしまった。
直ぐにでも アピリムから緊急徴収を受ける。
手持ちの戦力で、アピリム率いるアポリス正規軍に勝てない。
全世界を敵に回すと同義語である。
残された道は、キャラン(浩司)を見つけ出し キャラン(浩司)からレジェンスを奪い取り 自ら融合者となり アピリムに戦いを挑み勝つしかない。
本来 素体ベースとして、ホモサピエンのDNAに改造を加え ネクストノイドの素体となる戦闘能力の低いホモサピエンス・サピエンスの子孫であるキャラン(浩司)が、レジェンスと呼ばれる驚異のエネルギー体と融合によって、驚異の生体兵器ネクストノイドの最高峰 アピリムを後1歩のところまで追い詰めた。
信じられない出来事であった。
レジェンスの信じられないエネルギーである。
戦闘能力は、アピリム程ではないが、デストロの1体である龍(ロン)自身が、融合すれば、その戦闘能力は、計り知れない。
残された唯一の方法である。
レジェンスを奪い取らなければ、粛清され破滅の道しか残されていない。
「まだ 何も無いのかー!!」 近くにいた側近の幹部に当る散らす龍(ロン) かなりイラついている。
「何を ぐずぐすしておる キャラン(浩司)をよこせば、日本を お前らヤーナにくれてやると言うのに、何故 返事をせんのじゃ」 イライラしながら周囲を歩き出している。
数時間前 秘密の通信網を使い ヤーナにコンタクトした。
キャラン(浩司)の引き渡しを ヤーナに申し込んだ。
キャラン(浩司)を引き渡せば、見返りに日本をヤーナに譲り渡すと言う条件を提示した。
だが、返答の時間を過ぎても何ら返答が来ない。

 その頃 ヤーナでも この件に関して、緊急最高幹部会が開かれた。
浩司と引き換えに、日本だけでもヤーナの手によって、解放するかについてであった。
だがだれ1人 浩司を龍(ロン)に引き渡すことに反対であった。
ピエールですら強行に反対論を述べた。
あの8大将軍の1体アジスを倒し、アピリムまで、後1歩の所に追い詰めた。
ピエールに取っても、浩司の存在が、驚異であり 邪魔な存在となった。
だが、今 浩司を手放すのは、得策ではない。
現状のB,P(バトルプロテクター)の戦闘能力では、浩司の足元にも及ばない まだアピリム及び残り7体のデストロを倒さない限り もしくは、B,P(バトルプロテクター)の真の秘密を手に入れるまでは、まだ働いてもらわなければならない。
ピエールの野望、ピエールの求める世界が達成する その日まで。
だが 1人だけ 龍(ロン)提案に賛成する者がいた。
浩司自身である。
「・・・どうせ 俺自身が龍(ロン)の下へ行った所で、日本を約束通り渡すだろうが、それも一時的 直ぐに奪還されるよ ヤーナの現状戦力では、防衛は不可能 四方を海に囲まれ、防衛ラインが長く 攻めやすく、守りにくい本土 面積も小さく 食料自給率も最悪、地下資源もない 有望と呼べる資源は、排他的経済水域内のCO2(二酸化炭素)の20倍と言われる程の温室効果をもたらすと言うメタンを中心にして周囲を水分子が囲んだ形になっている固体結晶である メタンハイドレート(Methane hydrate 別名 燃える氷)が、世界最大の埋蔵量を誇るだけで、それも深海500〜2000mクラスにあり 開発には、莫大な投資と、高度なテクノロジーも必要 燃焼時のCO2(二酸化炭素)の排出量は、石炭、石油燃焼時の約半分と言われるが、それでも排出する せっかくのありがたいアポリス・・・ いやエルかな? からの驚異のオーバーテクノロジーによって、危険な極まりない核兵器、原子力発電所が順次廃棄され 放射能汚染の心配もなく、CO2(二酸化炭素)も排出しない 反物質反応炉のおかげでエネルギー問題は、解決の糸口を掴み 温室効果ガスの排出量 特に、CO2(二酸化炭素)の排出量が、減り始めたのに、逆行だよ 今 日本を手に入れた所で、約1億2000万人の人口を食わすのに必要なエネルギー供給源としての反物質反応炉は、破棄されるから エネルギー問題解決の為 メタンハイドレートに頼るしかない ヤーナの現状では、ここにある反物質反応炉を作り出すテクノロジーはない だがメタンハイドレート開発は、諸刃の剣 今から約2億5000万年のペルム紀末に起きたプルームテクトニクスが原因と考えられるP-T境界・・・ あれも地球温暖化で、海水温も上昇 深海のメタンハイドレート崩壊による メタンが大気中に放出され すると更に温暖化が進み海水温を上げ、さらに多くのメタンが吐き出される悪循環によって、壊滅的な種のカタストロフィー(大量絶滅)が起き 当時の全地球上の生物種の約90〜95%が絶滅したと言う あの再現はごめんだぜ・・・ これは、別問題だが・・・ とにかく俺は、行くぜ 龍(ロン)とケリ(決着)を付ける」
この時 浩司は、別に深い意味も考えず、地球の全生命に取って、ある重要な発言をしていた。
言った本人ですらその事に全く気付いていなかった。
「浩司殿 またも命令無視の単独行動ならぬ」 厳しい口調で、マークも止めた。
だが浩司本人 聞く耳を持っていない
「無事 生きて帰ってくれば 営倉でも好きな所へぶち込めばいいさあー 龍(ロン)やつ 今 孤立化している どうやらアポリスを裏切ったらしい それがバレて、意味もなく俺に勝負を挑んできた チャンスだよ 1体でもデストロを倒し 戦力を少しでも削いでおくゲリラ戦術以外 現状選択肢がない・・・」
川村からの極秘情報であった。
浩司だけにしか知らされていない。
この時点 浩司は、ある軍事面での基本戦略構想を模索していた。
後に、"やけくそ戦略" と命名するある未完成の基本戦略構想である。
ホモサピエンス・サピエンスと、ネクストノイドの共存する世界を実現させる為には、これしかないと思っていた。
・・・と言うより これしか思い浮かばなかった。
まだ この基本戦略構想は、浩司のPCに何度も修正が加えている程悩んでおり だれにも話していない。
レジェンスのエネルギーに大きく依存しており 戦わずして勝つ、歴史の流れ、方向性などの視線が軽視されている部分が、気に入っていなかった。
たった1つのハードウェアーで、戦局は変わらない・・・ が持論である。
ヤーナには、2体のB,P(バトルプロテクター)がありながら 戦局は、変わらない例を見れば、一目瞭然 どのような基本戦略を立て、その為の戦術をどのように運用するかにかかわっている。
用は、ハードウェアーを運用する個人の能力 ソフトウェアーの能力で、優劣が決する。
龍(ロン)は、孤立化した。
仲間のデストロの援軍は受けられない チャンスである。
数体の変身したデストロと戦いを避けられる。
アポリスの強さの秘密は、トップに立つアピリムと、その下のデストロによる テレパシーを利用した大多数のグロテノス、パイパーグロテノスのマインドコントロール(精神支配)である。
テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)の呪縛を解けば、組織的行動が取れなくなり 各個撃破しやすい。
アピリムと、残る7体のデストロを倒す事 どうしても避けられない選択であると、浩司は思っていた。
最終戦略目標である ホモサピエンス・サピエンスと、ネクストノイドの共存する時代にする為に・・・
そのまま浩司は、会議室を後にする。
みなっちは、怒った表情で浩司の後を追った。
「全く困ったものだ 浩司殿の単独行動は・・・」 マークは、浩司の出て行った方向を見つめながら大きくため息をついた。
「マーク議長」 近くにいた永井は、立ち上がった。
「私が連れ戻してまいります」
「いや・・・ ピエール神父」 マークは、ピエールを見た。
「はい マーク議長」 ピエールも立ち上がった。
「済まぬが、2人共 浩司殿のバックアップに回ってもらえぬかのうー」 マークは、懇願した。
「今の浩司殿の実力じゃ あのアピリムを後1歩の所まで追い詰めた それにあのアジスも倒しておる 龍(ロン)も倒す事も出来るはずじゃ だが・・・ 龍(ロン)も持ちうる全戦力を投入してくるはず 浩司殿1人では、手に負えまい よって、浩司殿の龍(ロン)との一騎打ちをさせる為 2人には、グロテノスと、ハイパーグロテノスなどを一手に引き受けてもらいたのじゃが・・・ 今 ネクストノイドと戦えるのは、B,P(バトルプロテクター)を装着した君達2人以外おらん 頼む・・・」 マークは、頭を下げた。
「任せて下さい マーク議長 必ず我々が、浩司さんを無事連れて帰ります」
永井、ピエールは胸を張った。
身勝手な単独行動ばかり取る浩司であったが、我々ヤーナの大事な一員であった。
それに何と言っても 永井、ピエールが装着しているB,P(バトルプロテクター)は、浩司の活躍がなければ手に入れる事が出来なかった。
それに、2人共 アピリムに最後のとどめを刺そうとした浩司の戦闘しか見ていなかった。
それまでの戦闘を見ていない。
その時倒されたアジスは、かなり深手を負っていた 間違いなく浩司との戦闘の結果である。
どのように戦ったか? 興味を抱いていた。
B,P(バトルプロテクター)を装着した程度では、変身後のデストロであるアジスのライマーとは勝負にならない。
それより遥かに強力で比較にもならない あのアピリムを追い詰めた驚異の戦闘能力をこの目で確かめてみたかった。

 中国奥地の龍(ロン)の極東最大の基地に向かう浩司に、B,P(バトルプロテクター)を装着した永井、ピエールは、ようやく追いついた。
SVL通信が、永井とピエールに入る。
「多分 来ると思っていたよ」 浩司からである。
浩司は、永井とピエールが追いつけるようゆっくり飛行していた。
浩司が、レジェンスからのエネルギーを本気で使えば、光の速度も超える事が出来る。
「それよりも 浩司さん ナビシステム無しで、龍(ロン)の極東最大の拠点基地 解かるのですか?」
永井はSVL通信で聞く。
「あー」 浩司は答えた。
浩司は、龍(ロン)の発する 巨大な戦闘力を感じていた。
その感じる方向へ向かえば 間違いなく龍(ロン)はいる。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、浩司に並走になる。
これ程の高速飛行しているのに、浩司のやや伸びた髪は、まったく風を切っていない。
よく見ると、浩司の身体全体を淡く白い光が包み込んでいる。
ピエールは、直ぐにセッシングを開始する。
エネルギーの種類不明 1種のバリヤーと結論が出される。
ピエールの目的の1つは、今だに、本人が明かさない驚異の戦闘能力を調べる事であった。
このアポリスとの戦争に勝利した後 必ず問題になる。
浩司は、ピエールに取っても危険分子であった。
ピエールの目指す ミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)を実現させる為には、邪魔な存在である。
だが、現状のB,P(バトルプロテクター)程度の戦闘能力では、アピリムどころか、変身前の格下のデストロとの1対1の勝負が限度である。
B,P(バトルプロテクター)に隠されている 最大の秘密を手に入れられれば まだ見せていない アピリムの本来の戦闘能力 変身後でも互角に戦えるはずだと思っていた。
だが 最大の秘密を手に入れた所で、2体のB,P(バトルプロテクター)では、アピリムと残り7体のデストロを相手にするには、数の上で不利である。
やはり 浩司を利用出来るだけ利用する方が、現状 得策と判断していた。
浩司の持つ不思議な・・・解析不能のエネルギー源を調べ 弱点を探し出し アポリスとの戦争の勝利後 弱点を突き排除しようと考えていた。
その為のデータ収集である。
何度か、浩司の住む ニューエデン(聖なる場所)の自宅に盗聴器などを仕掛けたが、全て失敗に終わっている。
部下である スパイの1人 川村がどうやら裏切り 浩司の元に行ってしまった。
川村は、世界でもトップクラスの敏腕スパイである。 大きな損失である。
だが2人の力を合わせた程度で何も出来やしない。
・・・ 色々な思いがピエールの中で巡っていた。
浩司が、永井の装着するB,P-1、ピエールの装着するB,P-2に向かい ある方向を指差した。
2体のB,P(バトルプロテクター)の頭部に内臓されているレーダーからの反応も脳裏に伝わる。
どうやら 歓迎されぬ客であるらしい・・・
複数の飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスの一団が、お迎えに来たらしい。
浩司の肉眼でも見える位置まで迫ってきた。
先頭は、どうやら あの世紀の絶世の美女リンだ。
50体を超える飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスを率いている。
浩司は、飛行スピードを落とし停止 ホバーリング(空中停止)状態になる。
2体のB,P(バトルプロテクター)も浩司と同じ行動を取る。
浩司は、ベルトの右側に掛けてあったバトンを右手に持った。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、左腕をエクスカリバーに変形させる。
B,P-1は、横目で浩司の持つバトンを見た。
浩司は、ただのアクセサリーとしか言わない不思議な合金で出来たバトンであった。
いったいどんな威力を秘めた武器なのか・・・?
先頭のリンがゆっくりと近づいてきた。
蝶に似たフォルム 両肩からは、極彩色の美しい蝶のような羽根を生やしている。
「あらー 元気だった お久し振りね 私の愛しのダーリン・・・」 リンは、キャラン(浩司)に向かい甘く切ない表情でウインクと投げキスをする。
相変わらずのお色気過剰であるが、リンの場合それでも全く自然に感じてしまう。
余りの美しさである。
「それに比べ そこのグロテスクなプロテクターを装着した2体」 リンは、キャラン(浩司)の両側の2体のB,P(バトルプロテクター)を睨む。
「私を 襲って犯そうとしてもムダよ あんた方の相手は、後ろの連中がするわ これから私がする濃厚、濃密なデートの邪魔をしないでね」
リンは、舌で唇を怪しく舐める。
はや 快楽を妄想している表情である。
キャラン(浩司)は呆れた表情でリンを見つめた。
「リン ムダな戦いだ その絶世の美貌 下らん龍(ロン)への忠誠などに使わず 社会に貢献する為使ったら?」 一応説教だけはする。
出来れば戦いたくない相手である。
しかしリンには、ムダである。
「さあー かかって来なさい 前回の私との違い見せてあげるわ」
リンは、キャラン(浩司)に向かって突撃した。
キャラン(浩司)の身体に触れる直前 まるで霞を掴むようキャラン(浩司)の身体は、忽然と消えた。
後ろを振り返ると、キャラン(浩司)は、後方にいた50体を超える飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスに向かって戦闘を開始した。
右手に持つバトンから例の高周波を発生させる高周波セイバーを持ち 青白い高周波を発生させ 次々とグロテノス、ハイパーグロテノスを切り裂いていく 動きが速過ぎて、まるで勝負にならない。
2体のB,P(バトルプロテクター)もリンを無視して、両横を通り過ぎ キャラン(浩司)共に、戦闘を開始した。
グロテノスを次々と切り裂いていく だが戦闘能力の上回るハイパーグロテノスと対峙すると、さすがに苦戦する。
だがあっと言う間に、30体ものグロテノス、ハイパーグロテノスが戦死した。
数が物を言う状態ではなかった。
戦闘能力の違いが大きく過ぎる。
リンも慌ててキャラン(浩司)の背後に回った。
「キャラン(浩司) お前の相手は、この私だよ」 いきり立つリン。
だがキャラン(浩司)は、振り返りもせず リンを無視した。
更に2体のグロテノスを切り裂くと、ようやく仕方なさそうに、リンの方へ振り返った。
「悪い事は言わない 今すぐ引けよ」 キャラン(浩司)は、悲しそうな目でリンを見た。
リンの大幅な戦闘能力の向上は、感じていた。
だが この程度では相手にもならない。
リンは、女である それも見る者を虜にする世紀の絶世美女である。
下らない戦闘で傷つけたくなかった。
だがリンの思いは別である。
どんなに色目など使ってもキャラン(浩司)は無視するだけである。
これ程の美貌をもってしても 全く落ちない 反応しないのは、キャラン(浩司だけであった。
それどころか? 戦闘能力も比較にならない程である。
たかが平凡な顔 平凡な体型に過ぎないキャラン(浩司)であった。
リンに取って、最大級の屈辱であった。
今度こそ、キャラン(浩司)を 美貌、戦闘能力で、屈服させなければ気がすまなかった。
リンは、再度 キャラン(浩司)に襲い掛かった。
肉弾戦勝負である。
空手、カンフーの技が炸裂する。
前回よりもスピード、パワー、技の切れなど大幅に上回っている。
だが、全くヒットしない。
だがリンは諦めない キャラン(浩司)に身体を密着させる程近づき 大技のセクシービームを2つの乳房から発射させた。
ほぼゼロ距離に近い。
キャラン(浩司)は、まともにセクシービームを喰らった。
大きく後方に弾き飛ばされる。
「やったー」 リンの顔が微笑んだ。
まさかあのライマーに変身したデストロの1体 アジスを倒し あの変身前とは言えあの最強のアピリムを後1歩まで追い込んだなど 何かの間違えと思っていた。
だが、爆煙が消えると、リンは、我が目を疑った。
全く何1つ傷どころか、ダメージすら受けていないキャラン(浩司)の姿が目に入った。
「そんなバカなー 直撃のはず・・・」
キャラン(浩司)は、右手に持つ高周波セイバーを左手に持ち替え リンに向けて、右腕を突き出し 手首を立てた。
同時に、リンの身体は、ものすごい衝撃波を喰らい 後方に弾き飛ばされる。
キャラン(浩司)の技の1つ ソニックキャノンである。
強力な衝撃波を相手に叩き込む技であった。
更に、キャランは、気合を入れた。
弾き飛んだリンの身体は、金縛りにあったように、身動きが取れなくなる。
サイコキネシス(念動力)である。 レジェンスのエネルギーを利用して、リンをエネルギーの壁の中に閉じ込め 自由に動けないようにした。
ただし ここは空中である。
墜落しないようホバーリング(空中停止)状態にする。
「暫く そこで見学していろよ」 キャラン(浩司)は、また残るグロテノス、ハイパーグロテノスに向かって、突撃していった。
リンは、奥歯を噛み締める。
まともに相手すらしてもらえない 戦闘能力の差を見せ付けられた。
「くそー キャラン(浩司)めー 小ざかしいマネをしおって・・・」 リンは、怒り満ちた目でキャラン(浩司)を睨んだ。
だが、金縛りにあい全く身動きが出来ない。
そんな時だった リンの脳裏に多数のテレパシーが同時に流れ込んでくる。
絶命、悲鳴だ。
多数の仲間が殺されている。
だが目の前で戦っているキャラン(浩司)達と戦っている仲間からのテレパシーとは、明らかに数が違い過ぎる。
激しい戦闘を繰り広げる一団が、上空と地上の2ヶ所からこちらに向かって来るのが見えた。
この時点 リンは何も知らなかった。
将軍 デストロの1体であり 東アジア担当の龍(ロン)の裏切りが発覚。
龍(ロン)を捕らえに来た 中東担当のギル、北アメリカ担当のビリー、ヨーロッパ担当のデューク率いる3軍団と戦闘に入り ここまでの後退を余儀なくされていた事を。




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