LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part8

 アピリムが、日本へ視察に訪れる一方が、ヤーナの最高秘密基地 聖なる場所にもたらされた。
川村からもたらされた情報であった。
数日後 極東担当の8大将軍デストロの1体 龍(ロン)の招きを受け入れ 極秘裏に日本へ来ると言う。
随行員に、中東担当のギルと、今 世界で最も注目されている アフリカに平和をもたらした男 今 最も神に近い男 ブラックライオンキング(黒き獅子王)と評される アフリカ担当のアジスも同行する事となっていた。
龍(ロン)が、日本の最高峰富士山の裾野の地下に建設中の ネクストノイドの秘密の1つ グロテノス用の赤いネクスタルの秘密研究製造施設工場の視察に訪れると言うのだ。
アポリスによる 世界統一政府が樹立され 世界中のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)が、更なる進化タイプのネクストノイドのグロテノスへの改造を求め殺到していた。
元々 エルの残したUFO内にあったグロテノス用の赤いネクスタルは、数が決まっており 希望者が殺到した為 品不足となりつつあり 新たな赤いネクスタルを製造しなければならない状態であった。
だが、エルの残したオーバーテクノロジーの最大受益者である アポリスのテクノロジーを持ってすれど、赤いネクスタルの製造は、不可能であった。
そこで、赤いネクスタルのレプリカ(複製品)を作り出そうとした。
その為の秘密研究製造施設工場を 日本の富士山麓の地下に建設を開始 アピリムにその視察に訪れる用 要望 アピリムも了承した。
極秘の視察の為 随行員は、2体のデストロと、直属の親衛隊のパーサーカー5(ファイブ)だけと言う少人数編成であった。
ヤーナでは、地上で、各々の作戦行動に従事していた NO2以上の最高幹部を緊急非常徴収 聖なる場所の最高評議会に集め 緊急最高評議会を開いた。
そこには、評議員待遇の浩司を始め 議長のマーク、副議長のピエール テクノロジー開発部主任のアンダーソン工学博士、医療部主任のワグナー医師、情報部主任のコネリーなど、少し遅れて軍事部門最高司令官 永井も到着した。
ヤーナを動かすNO2以上の最高幹部が、一同に集まった。
浩司の恋人のみなっちも 浩司の秘書官として、秘書官席に座る。
まず情報部主任のコネリーから 川村から持たされた情報の詳細が報告された。
3日後 アピリムが、龍(ロン)の招待を受け入れ 日本へ極秘に来日すると言う。 随行員は、2体のデストロのギルとアジス、そして直属の親衛隊のパーサーカー5(ファイブ)だけの少数のみであった。
身辺警備は、全て龍(ロン)の直属の アポリス正規軍の部隊が行う事になっている。
各戦闘で、敗戦続きのヤーナに取って、願っても無いチャンスが訪れたかの如く 勇ましい強硬論が続出した。
"まるで、いつぞやの戦争のどこやらの国の大本営発表・・・" 呆れて浩司は思った。
"死ななきゃ、その性格直らんのか・・・!! 皮肉ばかり言う・・・" "(怒)" (みなっち談)
"あのー 本当に死にかけたのですが・・・" "汗・・・" (浩司談)
「虎穴に入らずんば虎子を得ず・・・」 など古来から伝わる諺(ことわざ)を引用 ピラミッド構造のアポリスの頂点に立つ アピリムを倒し一気に形勢逆転を計る・・・ ここで劣勢を挽回すべく、危険を冒してもの意見が続出した。
2体のB,P(バトルプロテクター)と、浩司が復帰した 今こそ最大のチャンス。 人質奪還及びB,P(バトルプロテクター)奪取作戦の時同様 全兵力を集中すべし・・・ 千載一遇のチャンス この機を逃したら もう2度チャンスが訪れない・・・ などの意見も出された。
しかし 永井は、「軍事部門最高司令官として、各作戦に従事している兵力を 2日以内に撤収させ集中させるのは、物理的困難」 と見解を示した。
浩司も 「現状の戦力では、とても戦線が持ちこたえられない。 それよりも富士山麓の地下に建設中の秘密研究製造施設工場を 少数精鋭部隊で破壊し これ以上 アポリスの軍事力増強を抑えるべき・・・」 と意見を出した。
永井は、浩司の意見に賛同した。
そして、ここまでの討論に、全く意見を出さなかった 強硬派のピエールまでも 何故か? 浩司の意見に賛同した。
「浩司さんの言う通りです。 全兵力を用いてもアピリムどころか、1体のデストロにも太刀打ち出来るか・・・」
この評議会では、浩司、永井などの少数派が、常に慎重論を述べる事が多く ピエールを中心としたC宗教側の強硬派と対立する図式となっていた。
異例中異例の出来事であった。
最終決断は、議長であるマークに一任され マークは、基本的に、浩司の意見を採用した。 だが政治的配慮から2正面作戦を決断 だれが囮となり アピリムやデストロを誘き出し その間隙を突き 秘密研究製造施設工場を破壊する。
秘密研究製造施設工場を破壊後 そのままアピリムやデストロに全兵力をぶつける作戦が採用された。
その囮役をだれにするかであった。
浩司は、率先して、その囮役を買って出た。
「これは、俺以外出来ないでしょう・・・」 浩司は、ヤーナ内で1人 1度 8大将軍の1体 龍(ロン)との直接対決経験があった。
結果は、手痛い敗北であったが・・・
2体のB,P(バトルプロテクター)の装着者である 永井、ピエールも直接の対決経験がない。
「小官も微力ながら浩司さんと囮役をやります」 永井も浩司に次いで買って出た。
しかし浩司は、やんわり拒否した。
「いや 俺1人で十分だ それより永井司令官は、部隊を率いて秘密研究製造施設工場の破壊を・・・」
「これで決まりじゃな・・・」 マークが、うなづいた。
「しかし浩司さん1人では・・・」 永井は、納得しかねる表情であった。
最終的に、浩司1人が囮役となり 秘密研究製造施設工場の破壊は、永井と、ピエールが、それぞれの部隊を率いて攻撃する段取りとなった。
今回は、少数精鋭の編成となった。
会議が終了後 みなっちは、浩司を心配した。
「本当に、1人で大丈夫なの?」
「作戦通り ただの囮 やばくなったら逃げるだけさ・・・」 そう言いながらもアピリムの事を考えていた。
1年以上ぶりに、地球に戻ったら まるで浦島 太郎になったように、世界は、大きく様変わりしていた。
川村を中心に、複数の人達からこの1年以上の間の 全世界規模の変化のレクチャーを受けていた。
そして、何度もアピリムや、8大将軍デストロの写真、ビデオなど各種解析データと共に何度も見せられた。
アピリムは、本当に美しい男であった。 まさしく神々の1神が、地上に舞い降りた如く・・・
何故か? アピリムを見た瞬間 アピリムとは、決して逃れる事が出来ない 何かを感じた。
やはり 1度この目で、確かめて見てみたいと言う気持ちになった。
"宿命・・・" ふっとこの言葉が頭を過ぎった。
浩司は、この宿命と言う言葉は、好きではなかった。
"運命というならはまだしも 宿命というのは、じつに嫌な言葉だ 二重の意味で人間を侮辱している。 1つは、状況を分析する思考を停止させ、もう1つは、人間の自由意志を価値の無いものみなしてしまう。 宿命の対決などない。 どんな状況の中であっても当人が選択した事だ。" 銀河英雄伝説 自由惑星同盟(フリープラネッツ)軍 元帥 ヤンザミラクル(奇跡のヤン)こそヤン・ウエンリー提督語録参照 (田中 芳樹著)
"運命など常に流動的である。 まして宿命など逃れる事の出来ないものなど有り得ない・・・ 浩司の持論であった。
"レジェンスとアピリム 何か関係があるのだろうか・・・"
"元々アピリムは、エルと呼ばれる かって我々人類が神々と呼んだEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)が開発した 人類ベースの局地戦用生体兵器ネクストノイドの最上位モデル・・・"
"やはり避けては通れないのか・・・"
あらゆる基本戦略構想が、浩司の脳裏を駆け巡っていた。
"戦わずして勝つ、ネクストノイドとの共存・・・" 浩司の目指す基本戦略構想の根幹であった。
その為には、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)の問題があった。
ネクストノイド上位のアピリムとデストロによる下位のグロテノスに対するテレパシーによるマインドコントロール(精神支配) この問題をどうしてもクリアーしなければならなかった。
この問題をクリアーしなければ、ネクストノイドとの共存は、到底不可能に思えた。
人間の本来持つ自由な思考を 他人にコントロールされてはいけない。
その為には、アピリムと8体のデストロとの対決 倒さなければならない。
"もっと 楽な方法で勝つ方法はないものか・・・ それも戦わずして・・・" 浩司は色々思考を巡らせていた。

 3日後の早朝 1機のジャンボ旅客機が、日本のC県にあるNT国際空港に着陸した。
ジャンボ旅客機は、そのままターミナル施設に向かわず ジャンボ旅客機用の大型格納庫に向かう。
大型格納庫内では、輸送用大型ヘリが、3機待機していた。
専用タラップが、ジャンボ旅客機前方のハッチとドッキング 専用タラップから大型輸送用ヘリまで赤いジュータンが引かれる。
ジャンボ旅客機前方のハッチが開かれる。
最初に、パーサーカー5(ファイブ)の5体がタラップを降り 赤いジュータンの周囲を固める。
次に、純白のマントをなびかせ アピリムが姿を現した。 後方には、2体のデストロ ギルと、アジスを従えていた。
赤いジュータンの左側には、片膝を地面に着け 頭を下げるデストロの1体 龍(ロン)を 先頭に、龍(ロン)直属の精鋭部隊が、龍(ロン)と同様の姿勢で待っていた。
アピリムが、タラップを降りると、龍(ロン)は、頭を上げた。
「お待ちしておりました アピリム様」
アピリムは、龍(ロン)の方を振り向く。
「わざわざ 極東の日本までのご足労 感激の至りでございます」
「つまらぬ 挨拶などよい」
そう言いながら アピリムは、マントをひるがえした。
「ところで、龍(ロン) 例の秘密研究製造施設工場の建設状況及び 赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプの研究の進行状況は?」
「はい」 龍(ロン)は、そう答えると 後ろの部下から 周囲を金属で厳重に覆われたケースを受け取り ケースを開けた。
中には、直径1cmの真っ赤な球体が、5つ整然と並べられている。
「これが、赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプのプロトタイプ(試作品)です」
アピリムは、ケース内に収められている赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプの1つをその手に取った。
「まだ 完成には至っておりませんが、順調に研究開発が進んでおります」
アピリムは、手に取った赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプの1つを目に近づけ つぶさに観察する。
「まだ これでは・・・」 アピリムは、つぶやいた。
「はい まだ4次元ワームホールの発生までは・・・ それに、4次元ワームホールを発生させても どの別宇宙と繋がるのか? その辺が全く検討もつきません。 それで・・・」
龍(ロン)は、まだ何か? 他の手立てがあるかの如く口ごもってみせた。
「何か? あるのか・・・」 アピリムは、聞いた。
「はい 実は、別の方法で、開発中の物があります」
別のケースを 龍(ロン)は受け取り ケースを開けた。
そこには、外観こそ赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプと同じであるが、何か微妙に異なる物体が5つ収められていた。
その1つをアピリムが手に取る。
「これは?」
「基本的には、ネクスタルと同じですが、エネルギー供給源を 高エネルギー状態の別宇宙から4次元ワームホールを通じ供給するのではなく ネクストノイドに改造した者の身体が持つ 本来の体内エネルギーを増幅させる方法を 採用しています。 仮にダミーネクスタルと呼んでいます。 ただ・・・」 龍(ロン)は、口ごもった。
「他だ 何なのだ」
「はい 致命的欠陥がありまして・・・」
「言ってみろ」
「ダミーネクスタルは、バトルスタイル(戦闘形態)に変身後 エネルギー消費量が、異常に早く 戦闘能力は、ノーマルタイプのグロテノスと同程度、遜色はないのですが、ハイパーグロテノス同様 、バトルスタイル(戦闘形態)に変身後の時間が、非常に短く 長時間の戦闘には向きません それにミュータントタイプのグロテノス同様 体内のナノマシーンでも老化のスピードを止められず 寿命もホモサピエンス・サピエンス同様 約100年程度です それに、我々と違いエネルギーを補給する為 飲食しなければならない欠陥もあります」
龍(ロン)の話に、アピリムは、少し考え込んだ。
「テレパシーによる マインドコントロール(精神支配)は?」
「その点につきましては、何ら問題がございません テレパーシーによる相互コミニュケーションから 我々上位のネクストノイドによるマインドコントロール(精神支配)も出来ます」
アピリムは、手に取った赤いネクスタルのレプリカ(複製品)タイプをケース戻した。
「戦力増強を急がねばならぬ このダミーネクスタルを開発と、製造を急げ」
アピリムは、龍(ロン)に命令を下した。
「では、早速取り掛かります」
龍(ロン)は、アタッシュケースを後ろの部下に手渡した。
「次に、秘密研究製造施設工場の視察は、まずヘリで、上空からご覧いただきたく思います」
龍(ロン)は、そう言いながらアピリムを大型輸送用ヘリに案内する。
龍(ロン)は、アピリムと同じヘリに同乗 ギルとアジスは、別のへり パーサーカー5(ファイブ)は、更に別のヘリに乗り込んだ。
3機のヘリが上空に舞い上がる。 その周囲を飛行タイプのグロテノス20体が護衛した。

 「旦那 そろそろお出ましの時間でっせー」
富士山麓に広がる裾野の有名な青木ヶ原の樹海に入口にある国道に、1台の乗用車が、止まっていた。
その中には、2人の男が乗り込んでいた。
浩司と、川村であった。
川村は、浩司をここまで案内する役目であった。
うまく検問を通り抜け 浩司をここまで無事に案内した。
川村は、シートを倒し 後部席に隠していた浩司の武器が収められているケースを取り出した。
浩司は、ケースを開けると、その中には愛用のS&W M29 44マグナムとショルダーホルスター 6発の弾丸を装備したスピードローター4つと、意味不明のくすだシルバー(銀色)のバトンが収められていた。
実は、このS&W M29 44マグナムは、別宇宙のレグと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の秘密基地α(アルファー)ベース(基地)内で改良した44HPM(ハイパーマグナム)であったが、外観、金属の手触り間、重量、バランスなど全く同じで、川村ですら気付かなかった。 この秘密をしっていたのは、浩司本人と恋人のみなっちのみ。
他だし シリンダーに納められている6発の弾丸及び 4つのスピードローターに収められている計24発の弾丸全てが通常のS&W社製の44マグナム弾であった。
みなっちの危機に慌ててテレポーテーションし地球に戻った。
スペアーの44HPM(ハイパーマグナム)弾は、持ってこなかった。
残り1発の44HPM(ハイパーマグナム)弾 聖なる場所の自宅の武器庫に保管してある。
このS&W M29 44マグナムは、44HPM(ハイパーマグナム)弾と、S&W社製の44マグナム弾と両方使えるように、改造を施してあった。
バトンを手に持った川村は、浩司に聞いた。
「これって 何ですかー」 意味が解からず、川村は何度も浩司に尋ねていた。
相変わらす浩司の答えは、同じであった。 「ただのアクセサリー」
2つあるボタンを川村が押しても 何も反応しない 不思議なバトンであった。 実は浩司以外 何も反応しない生体認証システムとなっていた。
浩司は、バトンだけ受け取ると、スボンのベルトの右側のフックに掛けた。
「旦那ー あっしにでも内緒ですか・・・?」
川村は、浩司の顔を見た。
「あっしは、旦那の味方でっせー 旦那は、謎やら秘密が、やたら多過ぎまっせー」 そう言いながら川村は、少し不満な表情を見せる。
「そのうち解かるさー」 浩司は答えた。
浩司は、川村を信用、信頼していた。 ヤーナで数少ない・・・ いや唯一とでも言える存在だと思っていた。 だが全てを語るには、まだ時期尚早だと思っていた。
「旦那ー 銃は?」
浩司は、愛用の銃を取らず そのままケースを閉じる。
「そんな銃(オモチャ) やつらに通用するか?」
「確かに・・・」
浩司は、助手席のドアを開け車から降りる。
「じゃー アピリムに、ちょっと挨拶に行って来る」 そう言いながら浩司は、戦闘モードに入る。
川村の目にも見える程 浩司の身体全体から淡く白い光が少し発する。
「では 旦那 御武運を 作戦通り 決して無理をなさらないで下せえー」
川村の言葉に、浩司は右手で簡単なサインを送り そのままゆっくりと上空に浮かび始めた。
上空に、小さな点になって行く浩司を 川村は見送った。

 「前方 上空に未確認飛行物体が1つ」
ヘリの内部に搭載されている 小型高性能レーダーに光点が1つ映し出された。
味方の識別反応でない まして上空を迷った民間機でもなく 鳥などの反応と違った。
ここは、富士山麓に広がる裾野にある有名な青木ヶ原の樹海上空に差し掛かった所であった。
「ふ・ふ・ふ・・・」 アピリムは、少し笑い出した。
アピリムの鋭く研ぎ澄まされた感覚が、その正体に気付いた。
「ここで停止せよ」 アピリムが命令を下す。
3機のヘリと20体のグロテノスが、上空でホバーリング(空中停止)状態となる。
「やつが来る」 アピリムはつ不敵な笑みを浮かべつぶやいた。
「やつとは?」 龍(ロン)が聞いた。
「解からんのかー キャラン(浩司)だよ」
「まさか・・・」 龍(ロン)は、驚いてみせた。
だが 内心は違っていた。
"あやつ ここで現れおったかー"
龍(ロン)の策略であった。
アピリムを日本に呼び キャラン(浩司)と直接対決させようと考えた。
2人を直接戦わせ 相打ちにし 最も邪魔な2人を同時に処分しようと企てた。
内部に、ヤーナのスパイが数人 潜入いるのに気付いており そのまま泳がせ アピリムの日本来日に関する情報をリークさせた。
必ずキャラン(浩司)が、アピリムと対決する為 現れると考えた。
ヤーナには、我々アポリスの主力生体兵器グロテノスと互角以上の戦闘能力を誇る2体のB,P(バトルプロテクター)を装着した永井と、ピエールの存在がある。
B,P(バトルプロテクター)は、装着者本来持つの戦闘能力をケタ違いに高めるが、装着者自身 戦闘能力が低いホモサピエンス・サピエンス(旧人類)である 戦闘用に開発されたネクストノイドとは違う。 装着したところで、ネクストノイドの上位モデルである龍(ロン)自身を含む8体のデストロの変身前と、1体1が限度であった。
その事は、B,P(バトルプロテクター)の装着者であるピエール自身認めている。
更に最上位モデルであるアピリムとでは、2体のB,P(バトルプロテクター)が同時に挑んでも相手にならない。
戦えるのは、非常に不安定ながら無限とでも言えるエネルギーを誇るレジェンスの融合者キャラン(浩司)自身しかいない。
現在 我々アポリスが全世界を制覇している これを覆すには、ピラミッド構造であるアポリスの最上位に位置するアピリムとデストロを倒すしか方法がない。
特に、現在の戦争は、全ての組織力を用いて戦う総力戦である。
組織力の優劣が、そのまま結果に繋がる。
現状アポリスとヤーナでは、戦力比が極端に違い過ぎる 比較にならない程 我々アポリスが圧倒的、絶対的優勢を誇っている。
それを支えているのが、圧倒的戦力であるアポリスの主力生体兵器グロテノスであり、上位のデストロと、最上位のアピリムのテレパーによるマインドコントロール(精神支配)で、統一化された意思の下 一元化した命令系統で、組織的に動かす事が出来る。 これがアポリスの強みであるが、統一化された意思の下 一元化した組織体系の弱点でもある。
多数のグロテノスを アピリムとデストロの計9体の テレパーによるマインドコントロール(精神支配)で支配している一極集中構造である。
これに勝つには、たった9体を倒せばいいだけの事である。
上位のデストロと、最上位のアピリムを倒せば、テレパーによるマインドコントロール(精神支配)を失い 命令、司令系統を失ったグロテノスは、個々がバラバラの状態になり 統一化された意思の下 一元化した命令系統における 組織的対応が出来なくなり 個々としては、強力な生体兵器グロテノスであっても 組織的に対応出来なければ、各個撃破の対象になる。
統一化された意思の下 一元化した命令系統における一極集中構造の組織を倒すには、頂上部分の頭を潰すのが、正攻法である。
それもたった9体と、極めて少数である。
極端な戦力差がある以上 これ以外選択の方法がない。
相手より 大幅な戦力、兵力を整え 一気に力で押しつぶすのが、軍事上における戦略の基本であるが、キャラン(浩司)の置かれている現状では不可能である。
少数で、圧倒的多数の敵と戦うには、他に選択の余地が無い。
歴史上 少数で多数の敵を打ち負かした例は、少数ながら存在する。
それは、稀に見る例であるからこそ歴史に残っただけの事であって、実際 正面から多数の敵と戦おうなど、無謀な自殺行為に等しい。
少数で、多数を打ち負かすなど、ナンセンスな軍事ロマンチズムの破片すら見当たらず、相手を見下し、皮肉る ひん曲がった性格であるが、冷徹に物事を見る能力を持つキャラン(浩司)である。
まだ真の戦略家とは言えないが、戦略家としての資質を育むキャラン(浩司)は、その点に気付いているはず。
アポリスを倒し 元のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)の支配する地球に戻すには、ネクストノイド上位のデストロと最上位のアピリムを倒す以外方法はない。
アピリムが、来ると知れば、アピリムを倒す為 キャラン(浩司)自身必ず現れると考えた。
自らの手で、アピリムを倒す為・・・
それに、ヤーナ属していると言え キャラン(浩司)の本来の資質は、1匹狼である。
組織的行動を好まず、常に、自分1人で何事も考え、判断し、行動する。
必ず単独で現れると予想していた。
だが、キャラン(浩司)の性格は、大甘である。
戦闘時における 非情の世界、修羅の掟の支配する世界で、情け容赦する。 倒した相手に止(とど)めを刺そうとしない。
どんなに強力で、無限とでも言えるエネルギーを誇るレジェンスと融合していも 非情に徹し切れない 精神的に軟弱で、脆い性格構造であるキャラン(浩司)は、必ず自滅する。
本来持つ戦闘能力は、キャラン(浩司)の方が上かもしれない。 だがアピリムを倒す事が出来ない 軟弱で、脆い性格が災いし、必ず自滅する。 その時がチャンスである。 自滅したキャラン(浩司)からレジェンスを奪い龍(ロン)自ら融合 キャラン(浩司)との対決で、深手を被っているアピリムを倒し 自らまず地球の支配者になろうと画策した。
キャラン(浩司)が直接対決の為 ここまで来られるよう警備網を緩め 誘き出した。
ここまで、上々の出来である。 後は、アピリムと直接対決させるのみであった。
キャラン(浩司)自身 龍(ロン)の考えていた事は、複数の基本戦略構想の1つとしてあった。
しかし キャラン(浩司)の この時点での基本戦略構想は、ネクストノイドとの共存に重点を置いていた。
それも戦わずして・・・ である。
まずこれ以上 ネクストノイド 特に主力の生体兵器であるグロテノスの生産を抑える為 ネクスタルの研究、製造拠点を叩き これ以上の戦力増強を抑えようと考えていた。
その為の囮を自ら買って出ていた。
注目を全て自分自身に集め その隙に別働隊が、ネクスタルの研究、製造拠点を叩く戦術を選択した。
ネクストノイドの数を これ以上増やさぬようにする事が、共存への最初の第1歩と考えていた。
その為にも ネクストノイド上位モデルのデストロと、最上位モデルのアピリムとの対決は、避けて通れないと思っていた。
ネクストノイド上位モデルのデストロと、最上位モデルのアピリムを倒さない限り 共存は、不可能だと思えていた。
共存の為には、テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)が、ネックとなっていた。 テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)がある限り デストロとアピリムによるグロテノスへのテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)が続く。
自由意志・・・ これが共存の為の最も重要な根幹と考えていた。
自由意志を奪うテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)からグロテノスを解放するには、デストロとアピリムを倒す以外方法が思い浮かんでいなかった。
"もっと 楽して、戦わずして勝つ方法があれば良いのだがなあ・・・" キャラン(浩司)の本音であった。
色々考えているうちに、目の前に飛行タイプのグロテノスの護衛に守られた 3機のヘリを目視した。
腕を組んだまま ゆっくりと3機のヘリに近づく。
先頭のヘリから 今まで感じた事のない 強烈な戦闘力、意思などを感じた 途方も無いエネルギーの大きさである。
"間違いなく あの先頭のヘリに、アピリムが乗っているなあ・・・ それにもう1体のデストロ・・・ この感覚は、あの龍(ロン) 右後方のヘリからも同じデストロの感覚が2つ 1体は、ギル・・・ もう1体は・・・?」
キャラン(浩司)の鋭く研ぎ澄まされた感覚で、相手を見抜いていた。
しかしもう1体が、初めての感覚である アピリムとは違う 間違いなくデストロの感覚である その感覚は、まさしく王者の風格、威厳に満ちた感覚であった。
"この感覚は、まさか・・・ アジス・・・ あのアフリカに平和をもたらした男 今1番神々に近いと言われる・・・"
キャラン(浩司)もアジスに対する評判をよく聞いていた。
8大将軍デストロの1体 担当アフリカ 13日間戦争終戦後 アフリカの支配者となった。
まず最初に行った事は、アフリカ各国内で、最大の懸案問題の1つとなっていた 各民族、部族間の対立、紛争、内戦問題であった。
強力な生体兵器グロテノスを利用し、その巨大な戦力をバックに、自ら各民族、部族などの間の対立、紛争、内戦の調停者となり その数を大幅に激減させた。
アジスの支配する現在のアフリカは、アフリカの平和の時代と呼ばれ、アフリカに住む人々は、アフリカに平和をもたらしたアジスを 畏敬の念をこめて、こう呼んでいた。 "ブラックライオンキング(黒き獅子王)"
キャラン(浩司)と3機のヘリ ヘリを 護衛する飛行タイプのグロテノスが、ホバーリング(空中停止)状態で対峙する。
ゆっくりとヘリを護衛する20体の飛行タイプのグロテノスが、キャラン(浩司)円形の中心部に誘い込むように取り囲み始めた。
"これは・・・" キャラン(浩司)の感覚が何かを捕らえた。
後方の地上から キャラン(浩司)に向けて、急上昇しながら猛烈なスピードで多数の強力な戦闘力を持つ者が近づいて来るのを感じた。 
どうやら地下の秘密基地 ネクスタルの研究、製造拠点から飛行タイプのグロテノス編成の緊急増援部隊を呼んだらしい。
"しめた・・・" キャラン(浩司)は、表情にこそ出さないが、内心微笑んだ。
"これで、少しは、永井、ピエール率いる別働隊の攻撃がしやすくなる・・・"
緊急増援した20体の飛行タイプのグロテノスは、キャラン(浩司)の上を 半球体状に包囲網を引く。
"合計40体のグロテノスか・・・" キャラン(浩司)は、そう思いながら正面ヘリを見つめた。
"逃げる場所は、下だけか・・・ 周囲は完全包囲され敵だらけ・・・ 撃てば当る・・・ フレンドリーファイヤー(同士討ち)の心配無し・・・ と言うよりだれも味方は無し・・・"
"前方には、有能で、勇猛果敢な圧倒的多数の敵 後方には・・・ 後方には・・・ 後方には・・・ え〜っと・・・ 無能な味方・・・? と言いたいところだが・・・ と言うより周囲のどこを探してもだれもいない 孤立無援・・・ この2つの難題と同時に戦わなければならなかった そう言う自分自身ですら全く頼りに出来なかった・・・ 銀河英雄伝説 クリストファー・ウッド提督語録参照 1部改め 田中 芳樹著 と言うよりパクリ・・・ 悪しからず・・・"
キャラン(浩司)は、自分自身に、呆れながらそう思いつつ 現状の置かれている立場を嘆いた・・・ と言うよりも自ら囮役を買って出て、自ら望んだ結果でもあるのだが・・・
自分自身に呆れながらもキャラン(浩司)は、正確に現状を把握していた。 他だし皮肉家らしい状況分析を多分に含んでいたが・・・
このところ 皮肉家というより かなり回った辛辣な毒舌家の模様を呈し始めている。
キャラン(浩司)の正面の3機のヘリは、ゆっくりと後退を開始する。 同時に、2機のヘリの右側のハッチがスライドした。
"アピリムと、3体のデストロが自らお出まし・・・" ヘリから出てくる者に注視する。
予想通り まずアピリム自らその姿を表した。
アポリス最高支配者用の華麗で、機能性に優れた制服を着用 両肩からは、純白のマントで身体を被っていた。
ヘリから降りると、まるで、空中を優雅に散歩するように、1歩づつ進む。
その後ろからは、龍(ロン) 別のヘリからは、ギルとアジスがヘリから出てくる。
龍(ロン)、ギル、アジスは、アピリムの後ろに、1列に並ぶ。
キャラン(浩司)は、ゆっくりとだが、太平洋に向け移動を開始した。
キャラン(浩司)に引きずられるよう全体が、ゆっくりと、太平洋へ向かって移動する。
ここは、青木ヶ原の樹海の上空と言え 陸上である。 民家も近くに点在する。 ここで戦闘を起せない。
戦いやすい太平洋洋上へ誘い込もうとした。
それに別働隊が、攻撃を開始した時 敵を少しでも遠ざけておき 時間を稼ぐ狙いもあった。
「貴様が、キャラン(浩司)か・・・」 アピリムは、右腕をキャラン(浩司)に向けた。
キャラン(浩司)は、組んでいた腕を外し 少し呆れたポーズを取る。 「どうもそうらしい・・・」 まるで他人事のような言い草で、皮肉って見せた。 相手を挑発しようとする意思がありありと見える。
「余を だれとは知らぬ事をあるまい・・・」
「だから・・・?」
キャラン(浩司)は、両手をスボンのポケットに突っ込んだ。
ふてぶてしい態度である。
相手を完全に見下して見せていた。
"そろそろ 気の短いやつらが、暴走を起し 突っ込んでくる そのまま太平洋洋上へと引っ張る・・・"
そう思いつつもアピリムを直視した。
写真や、ビデオなどで見るより 遥かに美しいと思った。
"噂以上だなあー"
それと同時に、底知れぬ戦闘能力の高さも・・・
"本気を出したら この地球も一溜まりもあるまい・・ やっかいな相手だよ・・・" そう考えていた時 2体の鷲に似たホーカーが羽根を羽ばたいた 羽根の1部が、複数の鋭い飛びナイフ状となって、キャラン(浩司)を襲った。
ウイングカッターと呼ばれる技であった。
キャラン(浩司)は、ポケットに両手を突っ込んだまま簡単に避けてみせる。
そのまま瞬時に、半球体状の包囲網を突破して見せた。
余りの速さに、40体のグロテノスは、キャラン(浩司)の行方を見失った。
「噂通り 少しは出来るかな?」 アピリムは、キャラン(浩司)のスピードを見切りながらもつぶやいた。
不敵な笑みを浮かべる。 "まだこの程度の実力ではあるまい・・" アピリムもまた キャラン(浩司)が融合しているレジェンスのエネルギーによる無限とでも言える戦闘能力の高さを感じ取っていた。
キャラン(浩司)は、40体からのグロテノスの攻撃を巧み避けながらも太平洋洋上へと誘い込んで行った。
決してキャラン(浩司)自ら反撃せず、スボンのポケットに両手を入れたまま グロテノスからの攻撃を間一髪で、巧み避ける。 見ている者には、まるでふざけて遊んでいるようにしか見えない。
眼下には、青い海原が一面に広がり始めた。
"そろそろかなあー" そう思いながらも40体の動きをつぶさに観察していた。
どうやら龍(ロン)のテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)で、フォーメーションプレイを仕掛けてきているようであった。
1年以上の間の長い眠りの中で、今までよりは少しマシな程度 レジェンスのエネルギーの使い方を憶えた。
だが油断は禁物である。 余り調子に乗ると足元をすくわれる。
その時だった 左腕のSVL通信機からある振動が伝わってきた。
どうやら 別働隊率いる永井と、ピエールが各々の部隊を引き連れ攻撃を開始したサインである。
キャラン(浩司)は、両手をスボンのポケットから出した。
40体のグロテノスの動きを完全に捉える。
「そろそろ お遊びは終わりだ。 死にたいやつからかかってきな 死にたくなければ、今この場から逃げろ 後追いはしない・・・」 
一応警告だけは発した。 しかし逃げるグロテノスなどいるはずがない。 テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)で自由意志を奪われ ただの戦闘用マリオネット(操り人形)でしかない。
キャラン(浩司)は、いよいよ例の武器を使う時だと判断した。
ベルトの右側のフックに掛けてある バトンを右手で取りスイッチの1つを押した。
バトンの先から全長80cmの白銀色の金属が延びる。
高周波セイバーである。
他だし もう1つのスイッチは押していない これでも鋭利な刃で、グロテノスを切り裂く事が出来る程の強度と、切れ味を誇っていた。
「何だ あの武器・・・ 刀は・・・」 近くで、グロテノスとの戦闘を見物していたアピリムはつぶやいた。
「あのような武器 ヤーナには無いはず・・・」 後ろにいたギルが答える。
「それに・・・」 ギルがつぶやく。
「何だ・・・」 アピリムは、後ろのギルに振り返った。
「はっ アピリム様 あやつの持つ刀のような武器の金属 見た事も無い合金です」
「ただのこけ脅しではないと言う事か・・」 アピリムはつぶやいた。
"何処であのような武器を手に入れたのじゃ・・・ 1年以上行方をくらましていた事と、何か関係が・・・" そう思いつつギルは、キャラン(浩司)の戦闘に注視した。
1体のグロテノス かまきり虫に似たダカトが、両腕を鎌の形で、猛烈な勢いで、キャラン(浩司)に向かって飛び掛り2本の鎌で切りかかった。
キャラン(浩司)は、右手1本で持つ、高周波セイバーで、襲い掛かるダガトの2本の鎌を受け止める・・・ いや高周波をまだ発生させていないにも関わらず ダガトの2本の鎌をそのまま切り裂いた。
そのままダガトの後方に回り込み 2枚の羽を 付け根の部分から切り裂く。
飛行能力を失ったダガトは、そのまま海中へと落下する。
"相変わらず 大甘のやつだ・・・ 止(とど)めを差さぬとはのう・・・" 龍(ロン)は、キャラン(浩司)が、この1年以上の間でも全く性格が変わっていないと確認した。
当のキャラン(浩司)も グロテノスとは言え人である やはり殺す事にためらいがあった。
2〜3体づつグロテノスが、空中戦でありながら連続の波状攻撃を仕掛けてくる。
レジェンスのエネルギーを利用した技は使わなかった。
いつになく異常にエネルギーが高まっているを感じていた。 逆に、エネルギーのコントロール不能状態になり暴走を起す危険性が高い。
その為の高周波セイバーであった。
主に接近戦、近接戦闘用に開発した。
これならば、レジェンスのエネルギーのコントロールに苦しむ心配がない。
巧みにグロテノスからの攻撃を避けながらも 相手の後方に回り込み 飛行能力の源である 羽根だけを切り裂き 飛行能力を失いさせ海へと落下させていた。
僅か数分で、15体のグロテノスを海へと落下させた。
「少しは、やるかなあー 他だしこの程度では・・・」 アピリムはつぶやいた。
感じていた 本来持つエネルギーを利用すれば、40体ものグロテノスなど一瞬にして消滅させるのも容易いはずであった。
"ふざけて遊んでいるのか・・・" さえ思っていた。
アピリムは、キャラン(浩司)のエネルギーの源 レジェンスについて、キャラン(浩司)本人より少しは、知っていた。
ネクストノイド唯一 エルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)による 直接の改造を受けたオリジナルモデルであり ネクストノイド最上位に位置する最強の生体兵器である。
本来の目的は、惑星、衛星上などにおける局地戦用制圧の為の兵器として開発されていた。
今から1万2000年以上前の遠いある日 エルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)によって、局地戦用生体兵器ネクストノイド最上位モデルとして、改造を受けた。
記憶は、改造後からしかない それ以前 どこのだれで、どのような生活を送っていたのか? 親、兄弟は? 何も思い出すことも出来ない。 ・・・いや元々 親、兄弟は存在しないのかも知れない。
局地戦用生体兵器ネクストノイド最上位モデル アピリムの素体ベースとして、エルの戦闘に優れたタイプと、ネクストノイドの素体として、改造された作られたホモサピエンス・サピエンスを掛け合わせて作られたプロトタイプ(試作体=実験体)。
改造後 各種テスト、実地訓練、教育を 教育係の複数のエルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)から受けていた。
今で言う ヘッドギヤみたいな物を頭から被せられ あらゆる戦闘における戦い方 指揮官としての役割 司令など・・・
そして、重要目的の1つとして、レジェンスについてもある程度学んでいた。
"レジェンス・・・ 究極の無 全ての始まり 無数の状態が同時に共存し確定されていない状態・・・
エルからの司令 レジェンスを見つけ次第 捕獲せよ・・・ もし他の生命体が、融合しているなら、その生命体を殺し 奪い取れ 他だし自ら融合してはならぬ 他の生命体が融合しているならば、決して触れはならぬ・・・"
"エル・・・ 姿が見えない・・・ 霞のかかっているように、ぼやけて判別出来ない・・・
何かが心に入り込み 心を奪う そのまま受け入れ言われるがまま従う・・・
エルからのテレパーシーによるマインドコントロール(精神支配) 我が主 エルの命令は、絶対服従・・・"
"たがあの日・・・ あの日の事は、絶対忘れぬ・・・"
エルからは、この名で呼ばれていた "ファースト" と・・・。
アビリムとは、局地戦用生体兵器ネクストノイド最上位モデルを指すエルの言葉である。
「どうされましたか? アピリム様・・・」 キャラン(浩司)の戦闘を見ながらも どこか?上の空で、何か物思いにふけていたアピリムを心配して、ギルは聞いた。
「いや・・・ なんでもない」 アピリムは答えた。
更にキャラン(浩司)は、10体ものグロテノスの羽根を切断 飛行能力を奪い海へと落下させていた。
やはりレベルが違い過ぎる。
アピリムの後ろで、この戦闘を見ていたアジスの心が、揺さぶられていた。
アジスもまたデストロの1体である。 キャラン(浩司)が融合するレジェンスの底知れぬエネルギーを強く感じ取っていた。
"何と言うやつだ・・・ このすさまじいエネルギー 我が主君にして偉大なる者 アピリム様と同等・・・ いやそれ以上かも知れぬ・・・" アジスの闘争本能に火を付けていた。
アジスは、ハンター(狩人)である 獲物である動物と何度も対決し倒してきた。
ハンター(狩人)としての抑え切れない戦闘本能が 身体の芯から湧き上がってくる。
"やつと戦いたい・・・"
ここで、アジスがアピリムの前に出た。 振り返り頭を下げる。
「我が主君にして偉大なる者 アピリム様 どうか私めに、出撃命令を あやつと1対1の勝負を・・・」
鋭い真剣勝負に命を懸ける闘気にみなぎる気迫に満ちた目であった。
アピリムは、小さくうなづく 「よかろう」
「はっ」 アジスは、キャラン(浩司)の方を向くと、マントを脱ぎ捨てた。
「龍(ロン)殿 グロテノスを 下がらせよ・・・」
龍(ロン)は、うなづくと、残る15体のグロテノスに後退命令をテレパシーで送る。
"アジスのやつ 余計なマネを・・・" 龍(ロン)は、アジスの行為に苦虫を潰した。
「キャラン(浩司)とか申す者よ 我が名は、アジス 1対1の勝負を申し込む」 アジスは、キャラン(浩司)の前に、ゆっくりと進む。
"1番 やっかいなやつが出てきたなあー" キャラン(浩司)は、そう思った。
出来れば戦いたくない相手であった。
やり方、理由はどうであれ アジスが支配する アフリカの現状は、部族間の紛争を 大幅に減少させ アフリカの平和の時代と呼ばれていた。
他だし 強力な生体兵器グロテノスをバックに、力による強制された平和であったが・・・
仮に、ここで、アジスを倒せば、アジスと言う重しが取れ、鬱積した各部族間のエゴが噴出 元の深刻な部族間の紛争が、以前の状態に逆戻りする可能性が高かった。
だが、アジスを倒す事が出来ればの話であったが・・・
キャラン(浩司)自身 自分の実力が、どの程度であるか? 余り高く評価していなかった。
1度 変身前の龍(ロン)に、叩きのめされている。
だが、正々堂々正面から勝負を挑まれた 逃げる理由には行かなかった。
「仕方 ないなあー」 そう言いながら高周波セイバーを左手に持ち替え キャラン(浩司)は、右手で頭の後ろの髪を掻いた。
キャラン(浩司)の悪い癖であったが、対するアジスには、無礼な仕草に写った。
「貴様の ここまでのふざけた態度での戦闘 今 ここで改めさせてくれよう」 アジスは、両手を強く握り締めた。
頭の額のエメラルド色に輝くネクスタルから眩いばかりの光が発する。 同時に身体全体から強烈なエネルギーが、ソニックブーム(衝撃波)となり周囲に放射された。
見る見るうちに、アジスの身体は、変化を始める バトルスタイル(戦闘形態)へと変身を始めた。
眩い光が消えると同時に、漆黒の色に輝く1頭の人間とライオンを 合わせたような生命体が現れた。
王者としての威厳、風格を兼ね備えた 百獣の王 まさしく ブラックライオンキング(黒き獅子王)
ネクストノイド 上位モデル デストロの1形態 ライマーである。
ライマーは、キャラン(浩司)に向け 大きく口を上げ雄叫びをあげた。
雄叫びは、強力な音波によるソニックブーム(衝撃波)を発生させキャラン(浩司)を襲う。
ライマーの技の1つ "ギガホーン" である。
どんな物体も直撃を喰らえば、粒子の状態まで、バラバラにされる威力を誇る。
キャラン(浩司)は、球体のバリヤーを張り防ぐが、威力までは抑えられず 後ろへと弾き飛ばされた。
「よくぞ、我が技 ギガホーンに耐えたなあー 褒めてやるぞ・・・」 余裕のある口調でアジスは、言った。
ハッタリではなかった。 ギガホーンの威力を最小限に抑えていた。
「キャラン(浩司) 貴様の実力見せてもらうぞ 今度はどうだ!!」 もう1度キャラン(浩司)に向け ギガホーンを発射した。 先程とケタ違いの威力であった。
キャラン(浩司)は、バリヤーを再度張った 今度は、バリヤーのエネルギーを高める。
キャラン(浩司)の身体を駆け巡るレジェンスからのエネルギーが、高まる。
今度は、威力に押される事なく耐えて見せた。
バリヤーを解いた その一瞬を ライマーは、待っていた。
猛烈なスピードで、キャラン(浩司)に、両手の爪を長さ30cmに伸ばし襲いかかった。
ライマーの技の1つ "ネイルソード" である。
両腕を高く振り上げ、上段から切りかる。
キャラン(浩司)は、右手に持つまだ高周波を発生させていなかったが、高周波セイバーの刃で受け止める。
刃と爪の衝突部分から火花が散る。
キャラン(浩司)は、右足でライマーの腹部に、強烈なキックを入れた。
同時に、2人は、離れる。
1度大きく肩で息をするキャラン(浩司)。
"とんでもない強さだぜ・・・ あれが変身後のデストロの本来の実力の1部か・・・" そう思いながら高周波セイバーを両手で持ち構えた。
デストロとは、1度 対決経験があった。 それも変身前の龍(ロン)との対決であった。
それでもとてつもない強さであったが、その時とは、比較にならない強さであった。
キャラン(浩司)は、両手に持つ高周波セイバーのもう1つのスイッチを押した。
高周波セイバーの刃の部分から 小さいハム音と共に、青白い光が発した。
高周波を発生させた。
「何だ あの光は?」 この戦闘の模様を見ていたアピリムが叫んだ。
「多分 高周波だと思われます」 後ろにいたギルが解説する。
確かに ネクストノイド、特にグロテノスの中に、高周波を技とするタイプが、いくつか存在する。 まだ見せていないが、ライマーの爪も高周波を発生させる。 しかしキャラン(浩司)の持つ刀から発生する高周波は、グロテノス以上、デストロであるライマーと同等・・・ いやそれ以上に感じられていた。
「なかなか面白い仕掛けだなあー だがこの我も・・・」 ライマーの10本の爪も同じく 高いハム音を響かせ 青白い光を発した。
"高周波ネイルソード" 同じ技を持つ ノーマルグロテノス、ミューグロテノス、ハイパーグロテノスなど比較にならない威力を誇っていた。
「喰らえ・・・!!」 ライマーは、キャラン(浩司)に、猛烈なスピードで、接近 再度右腕を上段に構え振り下ろした。
キャラン(浩司)の高周波セイバーが、受け止める。
強力な高周波が、接触 ものすごい火花がスパークする。
そのままライマーは、高周波を発生させている 左手の長さ30cmの爪をキャラン(浩司)の腹部目掛け 突き刺しにかかった。
それを読んでいたキャラン(浩司)は、僅かな差で避ける。
キャラン(浩司)と、ライマーの激突が続く。
ライマーの脳裏には、戦闘中にも関わらず、ある記憶が蘇っていた。
それは、アピリムとの出会った頃からの記憶であった。
ライマーいや、アジスが、まだネクストノイドのデストロへの改造を受ける前の頃から始まる。
今から数十年前 アフリカのサバンナ地域の一角 広大な大平原の中 アジスは、伝統的狩猟生活を営む ある部族で生活を送っていた。
一人前の男のハンター(狩人)として認められてから、約5年もの月日が流れていた。
1人 獲物を求め 部族の村を離れ狩りにでている数日間の出来事であった。
アジスの住む村でも 多くの若者が、伝統的狩猟生活を嫌い 都市部での快適な生活に憧れ 村を去っていた。
残っているのは、高齢者を中心とした少数の子供ばかりである。
数日かけようやく獲物を捕まえ村に戻ると、そこには見るも無残な光景が広がっていた。
あちらこちらに、アジスの居ない間に、襲撃され虐殺された村人の死体が転がり、家々は、火をつけられ焼け爛れた跡だけしか残っていなかった。
呆然となり 家のあった場所を探すと、その周囲に両親と、弟、妹達の無残に殺された死体が散乱していた。
全ての力が抜けたような脱力感に襲われ 跪くアジス。
こんな惨い事をするのは、やつらしかいないと思った。
長年の間 獲物の狩場を巡って、トラブルの耐えない敵対する部族であった。
敵対する部族によって、村人 全員皆殺しにされていた。
死体を丁重に、村の共同墓地に埋葬を終えると、アジスの心に復讐の炎が、燃え上がっていた。
意を決し 武器を手に取り トラブルの耐えない敵対する部族の村へと、復讐に向かうアジス。
途中 待ち伏せに合った。
たった1人で、数人を相手に奮闘するも、数には勝てず、なぶり殺し状態となった。
アジスは、強く思った。
"全てに勝る 神々の偉大な力が欲しい・・・"
そんな時だった 上空から眩いばかりの ゴールドに光輝く球体が現れ、アジスに向かって、ゆっくりと降下してきた。
まるで神々の神々(こうごう)しい光のように、アジスには感じられた。
"天空に住むと言う 神々が迎えに来たか・・・" アジスは、覚悟を決めた。
"これで、両親や、弟、妹達、村の仲間の元へ行ける・・・" アジスは、眩いばかりの ゴールドに光輝く球体に、吸い込まれるよう魅入られていた。
同じ光景を アジスを数人がかりで痛めつけていた者達も上空を見上げている。
突然 眩いばかりの ゴールドに光輝く球体から数条の細長いビームが発せられ 瞬時に、アジスを数人がかりで痛めつけていた者達の身体を貫き、絶命 その場に倒れこんだ。
"神々ではないのか・・・?" その光景を見ながらアジスは思った。
眩いばかりの ゴールドに光輝く球体は、アジスの倒れている側に、音も無く静かに着地する。
光は消え その中から まるで神々と見紛うばかりの・・・この世の者とは思えない程の・・・ いや神話の世界に出て来るまさしく神々そのものの神々しいばかりの美しく若い どう見ても年齢20歳前後の若いコーカソイドの男が現れた。
まさに 神々が降臨したかのような如く・・・
アジスの頭の側に立った。
「余は、アピリム」 美しいボーイソプラノの音楽的美しい響きであった。
「お前が、アジスだな」
アジスは、何か吸い込まれるよう小さく1度うなづいた。
「お前の願い叶えてやっても良いぞ。 全てに勝る 神々の偉大な力 お前に授けよう」
アジスは、もう1度小さくうなづいた。
そのまま何かに吸い込まれるように深い眠りへと落ち込んで行く。
どれ程の時間が流れたあろうか?
アジスは、深い眠りから覚め はっきりとしない意識で周囲を見渡した。
何か? 円筒状の中に入れられ その中には、半透明の液体に満たされている。 不思議な事に息苦しくない。 液体から直接呼吸をしているようであった。
円筒状の外側には、見た事もない機械が並び 同じの物体が整然と並べられており その中のいくつかは、人が入っていた・・・ いや中には、人としての原型はとどめているものの もはや人間とは言えない怪物化している者も数人いた。
"ここは・・・?"
「ようやく目覚めたか? アジス」 どこからともなく 声が聞こえる。
あの深い眠りつく前見た 神々と見紛うばかりの美しく若い男の 美しいボーイソプラノの音楽的響きを持つ声であった。
不思議な事に、耳からではなく 直接心に響き渡っている。
周囲を見渡すが、だれの姿も見えない。
「今 直接テレパシーによって話かけている」 またどこからとも無く声が響く。
「テレパシー・・・?」 アジスに取って初めて聞く言葉であった。 意味が理解出来ない。
「そう 心と心を繋ぐチャンネルだ 今 お前の心に、直接 語りかけている」
「アジス お前は、この余に選ばれた存在 選ばれしき者」
「選ばれしき者?」
「新たな新人類 ネクストノイドの最強タイプ デストロの1体として、選ばれたのだ」
「新人類? ネクストノイド? デストロ?」
アジスには、何にも理解出来ない不思議な言葉ばかりであった。
暫くすると、半透明の液体が排出され、アジスが入られていた円筒状の物体が開かれる。
地面に立ったアジスの身体 外観は何も変わっていないが、不思議な感覚であった。
まるで全てが生まれ変わった気分であった。
身体全体から 言葉に表現出来ない程の力がみなぎって来る。
「今 お前は、ネクストノイドのデストロの1形態 ライマーとして、新たに誕生した。 その驚異の戦闘力 自らの目で確かめるがよい」
アジスの周囲が、強烈な光に包まれた。 いや光が爆発とした表現した方が正確かも知れない。
光が消えると同時に、周囲の景色が変わった。
周囲の景色は、見覚えのある・・・ そう先程 敵対する部族の待ち伏せにあった場所であった。
だが様子が、少し変わっている・・・ そんな気がした。
どうみても数週間・・・ いや数カ月以上は、時間が経過している感じであった。
「さあー 目覚めるがよい 真の姿に変身するのた」 神々と見紛うばかりの神々しい美しい男の美しいボーイソプラノの声が、アジスの心に響く。
「変身? どのように・・・」 アジスは思った。
それに答えるように、神々と見紛うばかりの神々しい美しい男の美しいボーイソプラノの声が、心に響く。
「両手を強く握りしめ 頭の額のネクスタルに全神経を集中するのだ」
アジスは、右手で頭の額に触れた。
何か?小さな物体が埋め込まれている。
アジスは、言われるがままに、両手を強く握りしめ 頭の額に全神経を集中させた。
頭の額の小さな物体から強烈な光を発した。
光は、アジスを包み込む 身体全体が、急激な変化を始めた。
光が消えると同時に、アジスは、人間と黒いライオンを合わせた姿にに変化していた。
唖然とした表情で、自分の手足を見つめるアジス。
「これこそが、人類の本来あるべき姿」 またも神々と見紛うばかりの神々しい美しい男の美しいボーイソプラノの声が、心に響く。
「選らばれしきネクストノイドのデストロの1形態 勇者ライマーのバトルスタイル(戦闘形態)」
「勇者ライマー・・・」 アジスは、先程見た円筒状の中に入れられた怪物の姿を思い出した。
「その目で確かめるがよい 勇者ライマーの戦闘能力を そして、敵対する部族の村へ行くのだ。 殺された両親、弟、妹達 そして、多くの村人達の復讐を果たすがよい」
神々と見紛うばかりの神々しい美しい男の美しいボーイソプラノの声が、心に響く "テレパシー・・・" アジスは、そう思いながらもテレパシーの声に導かれるよう走り出した。
走り出して、身体の能力の変化にすぐ気付いた。
周囲の風景が、瞬時に過去っていく、信じられない早さであった。
この地点からどんなに急いで走っても通常30分以上はかかる道のり 僅か数分で走破 村の入口に到着した。
村の中に、音を立てず、気配を消して忍びこむ、家々の軒先には、見覚えのある品々が飾られていた。
それは、アジスの住む村の家々に飾られていた、伝統の魔除けなどの工芸品の品々であった。
戦利品、略奪品として、飾られていた。
アジスの言いようのない怒りが爆発した。
怒りに我を忘れ アジスは、物陰から飛び出し 村の住人に襲いかかった。
アジスの姿を見た瞬間 村人達は、余りの恐怖に、表情が引きずり、怯えた。
見たこともない 人間と存在するはずのない黒いライオンを合わせたようなモンスター(怪物)が突然現れ襲いかかって来たのだ。
村人達は、一斉にパニック状態に陥った。 我先にとのたうち回りながらも逃げまとう。
ライマーに変身したアジスは、逃げまとう老若男女の村人達に、情け容赦なく襲い、本能の赴くままに次々と虐殺していった。
村人全員を虐殺 返り血を浴び全身が真っ赤に染まっていた。
その時だった。
巨大な轟音とともに地響きが周囲を揺らす。
大きな土煙が舞い上がり こちらへ向かってくる。
命からがら何とか脱出に成功した者が、村の近くに駐屯する 村出身者で占める国軍に助けを求め 戦車隊を中心とした部隊が救助に駆けつけてきた。
振り返ったアジスに向かって、戦車から1発の砲弾が発射された。
直撃・・・ 確かに直撃のはずであった。
しかし砲弾は、アジスの直撃寸前で、急停止 地面に転がった。
アジスの身体の周囲には、エネラルド色に輝く球体に包まれていた。
バリヤーであった。
続けざま複数の戦車から数発の砲弾が発射される。
しかし結果はおなじであった。
アジスの身体を守るバリヤーを突き破る事が出来ない。
アジスの両目が光った。 光ると同時に頭の額に輝くエメラルド色のネクスタルも輝きを増す。
バリヤー解除と同時に、アジスは、戦車隊に向かって口を大きく開き雄叫びを上げた。
ライマーに変身したアジスの必殺技の1つ ギガホーンであった。
強烈な音波は、ソニックブーム(衝撃波)を伴い戦車隊を飲み込む。
ギガホーンの直撃を喰らった戦車隊は、木枯らしに舞う落ち葉の如く空中を舞い 跡形もなく粉々に破壊された。
それを見た 後方の国軍兵士達は、驚き、恐怖に震え我先に逃げ出し始めた。
しかし逃げる兵士に向かって、ライマーは、両手の爪を伸ばし襲いかかった。
次々と逃げる兵士を切り裂いていく。
ふっと我に返ったアジス 村の至る場所に、無残に切り裂かれた死体が無数に転がっているのをその目で見た。
両膝を地面につけ 両手を見つめた。 返り血を浴び真っ赤に染まった両手・・・
「何というすさまじい力だ・・・ まさしく神々そのものの力・・・」
アジスは、自ら望んで得た余りの力 驚異の戦闘能力に驚愕した。
だがしかし もう1つの側面にも目を背ける事が出来なかった。
力は、必ず表裏の関係にある。
「しかし・・・何と言うことをしてはまったんだ・・・」
呆然自失となり 周囲に散乱する無残に転がる無数の死体を見つめた。
極度の罪悪感が、アジスを襲われた。
自分自身に、言いようの嫌悪感に苛まれる。
怒りに身体を任せ 周囲の者全てをその手で虐殺してしまった。 自ら犯してしまった罪の大きさに気付いた。
「どうだアジス 己が力は・・・」 また心にテレパシーによる声が響く
自ら望み欲した力であった。 しかしその力の使い方つまり運用であった。
「このような力を与ええて下さった貴方様は、まさしく神々の一員」 アジスは、バトルスタイル(戦闘形態)から元の人間の姿に戻ると両膝を地面に着き頭を地面に下げた。
「いや余は、神々の一員ではない」 心にテレパシーによる声が響く。
「何故? このような力を私にお与え下さったのですか?」 アジスは問うた。
「お前は選ばれた存在 ネクストノイドの上位モデルとなるデストロのDNAを持ち合わせて誕生した特殊な人間だからだ・・・」
数時間にも及ぶ長いテレパシーによる会話は続いた。
「このような力をお与え下さった 貴方様に絶対の忠誠を誓います。 そして、神々の力を持つ貴方様を これから"大いなる者"と呼ばせていただきます」
この時 アジスは、アピリムの"大いなる計画"の1部を知る事となった。
その実現の為の戦士となる事も重ねて誓った。
そして、自らアフリカのと支配者となった時 自ら犯した罪を反省し この力をアフリカの平和の実現の為に使う事を心に強く誓った。
部族間、民族間などの紛争をなくし アフリカに平和をもたらそうと強く決意した。
自ら犯した罪による悲劇をなくす為に・・・
そんな時だった 物思いふけたアジスに、一瞬の隙が出来た。
その隙をキャラン(浩司)は、見逃さなかった。
高周波セイバーを上段から振り下ろしす。
キャラン(浩司)の高周波セイバーがアジスの左腕を捉えた。
瞬時にアジスの左腕は、肩口から肘の中間地点から切断される。
大量の血が飛び散る。
だがアジスの体内のナノマシーンが、すぐに出血を止め傷口を塞ぐ。
少し後方に下がり 切断された左腕を右手で押さえ 何度も大きく息をするアジス。
その様子を見ていた龍(ロン)は思った。
"前回このわしと対決した時よりもあやつ腕、力と共に、かなり上げたのうー バトルスタイル(戦闘形態)に変身後の デストロの1体 あのアジスのライマーと互角以上に戦うとは・・・ この1年以上の間 行方をくらましていたのと、何か関係があるのか・・・? だがまだまだ甘いわー "
ここからアジスの猛攻が始まった。
接近戦に持ち込みすさまじい連続の足技でキャラン(浩司)を追い詰めてゆく。
キックの数発が、キャラン(浩司)の身体にヒットする。
瞬時に、ピンポイントバリヤーで防ぐも威力まで全て防ぎきれず 後方へと弾き飛ばされる。
「どうしたキャラン(浩司) 貴様の実力 その程度かー!!」 アジスの叫び声を上げると同時に、更に足技を中心した猛攻が激しさを増した。
アジスの強烈な右足が、キャラン(浩司)の腹部を蹴り込む そのまま大きく後へ弾き飛ばされる。
少しふらつくキャラン(浩司) 左手で腹部を抑える かなりダメージを受けた様子であった。
"バリヤーを張っても 防ぎきれないとは・・・"
キャラン(浩司)は、レジェンスのエネルギーを高め 自己治癒力を高めた。
キャラン(浩司)の全身が、少しばかり淡く白い光に輝く。
タメージを受けた臓器が急速に回復していく。
その様子を見て、アピリムは思った。
"あれがレジェンスのエネルギーの輝き・・・ 何と美しい輝きだ・・・"
少しふらついたキャラン(浩司)に、ライマーに変身したアジスは、とどめをさそうと必殺の大技繰り出す為、全エネルギーを1点に集中し始めた。
額のエメラルドのネクスタルを輝きを増し ライマーの身体そのものがエメラルドに輝く。
それを見た ギルは、周囲を囲みキャラン(浩司)とアジスの戦闘を見ていた 複数のグロテノスと、3機のヘリに、後退を命じた。
「大至急 この場から離れろ!!」 ギルは、大声で叫ぶと同時に、テレパシーを送った。
アジスの改造・・・ いや7体のデストロは、全てギルが自らの手で直接改造を施している。
デストロの全ての技、特徴、威力などを全て知っていた。
ライマー最大の必殺の大技である。  エネルギーを集中 高める。 額のエメラルドのネクスタルは、更に光輝く。
同時に、ライマーの周囲に、エメラルドの小さな光球が無数に出現。
「はっ・・・!!」 アジスは、気合を込めた。
周囲に出現した無数の小さな光球は、一斉にキャラン(浩司)に向かって、高速で襲い掛かった。
どれ1つとして同じ動きをする小さな光球はない。 ランダムな動きである。
途中1部の小さな光球からキャラン(浩司)に向けビームを発射 残る小さな光球は、キャラン(浩司)に直撃 巨大なエネルギーを伴い自爆する。
ライマーに変身したアジスの必殺の大技 "しし座流星ガントリック"。
巨大なエネルギー渦に、キャラン(浩司)は、飲み込まれ怪光と共に爆発 ソニックブーム(衝撃波)は、周囲を揺らす。
爆風で何も見えない。
それを見ていたアピリムの口元が薄く笑う。
爆風の切れ間から淡い白い光の輝きが漏れてきた。
淡い白い球体に包まれキャラン(浩司)であった。
高周波セイバーを中段に構え 両肩で何度も大きく息をしている。
バリヤーを張り ライマーに変身したアジスの必殺の大技 "しし座流星ガントリック" に何とか耐え抜いていた。
「ほ・ほー・・・ よくぞ耐えたなあー」 薄笑い浮かべるライマー その表情には余裕が覗えた。
"何て強力なエネルギー弾・・・ あの時の龍(ロン)の昇竜波など比較すらならない・・・" 大きく両肩で息をするキャラン(浩司)。
"もう1度 これ以上の強力なのを喰らったらバリヤーが持つか・・・?" そう思いつつキャラン(浩司)は、ライマーを見た。
ライマーは、更にエネルギーを高め ライマーの周囲には、先程より更に強力なエネルギーを有するエメラルドの小さな小さな光球が無数に出現し始め他た。
"仕方ないなあー" キャラン(浩司)は、高周波セイバーを左手1本に持つと 剣先を下へ下げた。
同時にバリヤーを解除する。
「何をする気だ・・・」 少し離れた場所で、周囲にバリヤーを張る アピリムをつぶやいた。
バリヤー解除と同時に、キャラン(浩司)の身体から淡く白い光の輝きが増す。
そして、ライマーに向け 右腕を向け手首を立てた。
「例のエネルギー弾で、対抗する気か? だがあやつのエネルギー弾は、1発しか撃てず連射が出来ぬはず、ランダムに動くライマーのしし座流星ガントリックに対して、相打ちは、不可能・・・・」 同じくアピリムの後方でバリヤーを張り この戦闘を見ていたギルもつぶやいた。
「はっ!!」 ライマーの大きな気合いを入れた声が響く 同時に無数のエメラルドの小さな光球が、ランダムに動きながらキャラン(浩司)に向かって、襲いかかる。
ライマーの動きに合わせキャラン(浩司)にもエネルギー弾を発射した。
確かに、構えは、ギルの予想どりマグナムアタックの構えであった。
しかし1発のエネルギーを発射したのではなかった。
小さな淡い白い光球が、キャラン(浩司)の右手の無数に放たれた 夢の中で、数々の歴代のレジェンスの融合EBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が利用していた技の1つ ショットアタックであった。
1弾1弾の威力は、マグナムアタックと比べても遥かに威力が劣る しかし相手の無数のエネルギー弾に対して、カウター攻撃で、自爆させるのには十分な威力を誇っていた。
キャラン(浩司)とライマーの中間地点で、互いの無数のエネルギー弾が衝突 小さな光と爆煙を上げ 小さな光と爆煙は、直ぐに巨大な光と爆煙となりキャラン(浩司)とライマーを包み込んだ。
巨大な光と爆煙で2人の姿が見えない。
しかしその様子を見ながらもアビリムの口元が少し微笑む 「勝負あったなあー」 小さくつぶやく。
巨大な光と爆煙が2人を包み込むと同時にキャラン(浩司)は、直ぐに動いた 高速でライマーに近接 両手で持つ高周波セイバーで、ライマーに斬りかかった。
キャラン(浩司)の余りのスピードに、驚きの色浮かべるライマー 上段からキャラン(浩司)の高周波セイバーが、斬りかかる。
"このスピードで動けるのは、我が主にして、大いなる者 アピリム様のみ・・・" そう思いつつも キャラン(浩司)の高周波セイバー間一髪でかわすも高周波セイバーは、ライマーの右足太ももを切断した。
ライマーのダメージは、致命傷までは行かなかったもののかなり深刻である様子であった。
キャラン(浩司)の発射したショットアタックの弾数は、ライマーのしし座流星ガントリックの弾数を 大幅上回っていた。
1部ショットアタックのエネルギー弾を ライマーは、まともに喰らっていた。
両肩を上下させ大きく深呼吸している。
もはやライマーには、余力がほとんど残されていない。
このチャンスに、間を置かずキャラン(浩司)は、ライマーにとどめを刺そうと右腕をライマーに向け 手首を立てた エネルギーが1点に向かい収束する マグナムアタックを発射しようとした。
その瞬間 別の方向から強力なエネルギー弾がキャラン(浩司)を襲った。
慌ててバリヤーで防ぐ エネルギー弾が発射された方向を見る そこには、バリヤーを張ったままのアピリムがいた。
"バリヤーを張ったままでエネルギー弾が撃てるのか?" そう思いつつアピリムを見る。
「この勝負 ここまでだ」 美しいボーイソプラノの音楽的響きで、アピリムは言った。
「下がれアジス!!」 アピリムは、ライマーにむかって命令を下す。
ライマーは、アピリムの方向へ向かいゆっくり後退を始める。
途中バトルスタイル(戦闘形態)のライマーから元のアジスに変身を解除する。
肩を貸し 「大丈夫か? アジス・・・」 心配に声を掛けるギル。
画面蒼白となり大粒の汗をかき 何度も大きく全身で息をするアジス。
「次 叩きのめされたいヤツはだれだ」 キャラン(浩司)は、アピリム、ギル、龍(ロン)を睨んだ。
「調子に乗るな・・・ だがよくぞ デストロたるアジスのバトルスタイル(戦闘形態)のライマーをここまで追い詰めたな! それだけは褒めてやる」 アピリムは、キャラン(浩司)に向かって言い放った。
ゆっくりと両肩に掛かるマントを外す。
「だが 次ぎはこの余が相手だ!!」 アピリムは、キャラン(浩司)に言い放った。
"いよいよ本命のお出まし・・・" そう思いつつキャラン(浩司)は、アピリムを見た。
ペンダントの先にあるレジェンスからのエネルギーが、今までにない程異常な高まりを見せる。
"このままではエネルギーの暴走・・・" かなり不安が頭を過ぎる。
ライマーとの戦いは、何とかコントロール出来るレベルでの戦闘であった。
このレベルなら何とか安定的なエネルギーで戦えた。
同じ頃 地下の秘密研究施設に突入した永井、ピエールの率いる部隊は?




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