LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part6

 同じ13日間戦争中 極東のC半島では、ある悲劇のヒロインも誕生した。
それは、アポリスによるプロダガンダ(大衆操作)でもあったが・・・
13日間戦争 開戦と同時に、極東のC半島では、南端から約100体のグロテノスが進軍を開始した。
極東のC半島は、南北2つの国家に分かれた分断国家でもあった。
南のDK国は、政府、軍部、大企業の中心が、既にアポリス側に属した者で占められており、組織だった抵抗が行われず 1部反乱を起した国民との間に、小競り合い程度の戦闘も、1日で制圧 その勢いで、北側のKC個人崇拝独裁国へ進撃を開始した。
この約100体のグロテノスを率いたのは、日本人の女性であった。
名は、メグミ、Y 年齢は30歳代前半 彼女は、ネクストノイドで、ノーマルタイプの女性型グロテノス かまきり虫に似た ダガトでC半島制圧部隊の指揮官であった。
彼女こそ アポリスによるプロバガンダ(大衆操作)でもあったが、極東のC半島における悲劇のヒロインであった。
彼女が悲劇のヒロインに祭り上げられたのは、生後間もない頃のある事件が、きっかけであった。
生後間もない頃 父親が突然失踪 当初 父親が、他に女を作り失踪したと言われ続けてきた。 根も葉もない噂話に耐えられなくなったメグミの母親は、メグミを連れ 母親の実家に身を寄せた。 メグミが、小学校低学年になった頃 ようやく父親の行方を掴む事が出来た。
父親は、失踪した日 KC個人崇拝独裁国の潜入スパイによって拉致され 強制的にKC個人崇拝独裁国へ連れ去られた拉致被害者であった。 決して、他に女を作り失踪したのではなかった。
メグミの事を哀れに思っていた祖父母や、失踪家族会の血のにじむ努力の結果でもあった。
母親は、すぐメグミを連れ 同じ境遇に苦しむ、拉致被害者家族会に加入 国交もないKC個人崇拝独裁国に対して、拉致被害者の即時無条件解放を求め 政府に対する運動に参加した。
メグミは、同じ境遇に苦しむ、拉致被害者家族会のメンバーや支援者のメグミに対する親切、やさしさが、重荷であった。
生後間もない頃 父親が拉致されたメグミは、父親を写真でしか知らない。
幼少の頃 友達と遊んでいて、父親に甘える友達の姿を見るたび、父親のいない寂しさから家に帰り 1人泣いていた。
それを知った拉致被害者家族会のメンバーや支援者達が、メグミの父親代わり、学校などの行事に参加 メグミに対して、本当の父親以上に、愛情を持って接してくれていた。
メグミに取って、そのやさしさ、親切が、耐え難い程の重荷になっていた。
いつの日か、自分の手で父親を取り戻し 今まで親切にしてくれた人達に、返しきれない恩を 少しでも返す事を強く誓った。
大学を卒業後 ある企業のOLとして就職 その企業は、アポリスの深い繋がりを持った企業であった。
あるきっかけに、アポリス、ネクストノイド、生体兵器としてのグロテノスの存在を知ると、自ら率先して、アポリスに加入 自らネクストノイドのグロテノスの改造を受け かまきり虫に似たダガトとなった。
全て、父親を自ら救う為であった。
拉致被害者家族会の運動も 多くの国民の支援を受けていたが、全く進展もなくただ無意味な時間ばかりが、流れるだけであった。
自ら グロテノスとなり アポリスが、世界制服に乗り出した時 KC個人崇拝独裁国に乗り込み 自らの力で、父親を含む多くの拉致被害者を救出する為であった。
メグミは、DNA適性率が、極めて低く最低レベルであった為 かなり危険を伴った。
だが父親を この手で救いたい一心が、メグミを突き動かした。
あえて危険なグロテノスへの改造を受け 何とか無事成功 その後 数々の実績を積み上げC半島制圧部隊の指揮官まで上り詰めた。
KC個人崇拝独裁国は、軍部共に、アポリス側の人材がほとんど存在せず、未確認ながらも核兵器所有まで噂され 首領様と呼ばれる 世襲により絶対権力を譲り受けた頭目 トドに似た体型(トド曰く これ以上無い無礼、侮辱 俺様だって相手を選ぶ権利がある 俺様はあんなブサイではない!! と猛烈に反論中) 前髪がハゲ上がり 眼鏡を掛けた頭目 金 正日を中心に、先軍主義と呼ばれる軍部絶対強権支配による 現在のナチス・・・ いやそれ以上と言われる 超全体主義個人崇拝独裁国家であった。
アポリスの軍事進行も "日帝(日本を侮辱した呼び方)を中心とした帝国主義者の無謀極まりない愚かな侵略であり 偉大なる首領様 金 正日将軍様の正義の鉄槌が下され、全て徹底的に叩きのめされ 偉大なる首領様 金 正日将軍様の前にひれ伏す・・・・" と豪語したものの結果は、7日間で、全軍壊滅の徹底的に叩きのめされてしまった。
全兵力の70%以上を永遠に失う最大級の殲滅戦であった。
当初かなりの困難が予想されていたが、軍事至上主義の為 既に経済が崩壊しており 慢性的食料不足などの極度の物資不足であった。
武器、弾薬も ほとんど旧式で、大半が使い物にならず、博物館クラスの旧式の戦車、戦闘機など、実際使用出来たのは、全体の10%以下 大半が使い物にもならない錆びた金属の塊にしか過ぎなかった。
核兵器の開発、中長距離弾道ミサイルの開発など、身の丈にあわないハードウェアーに突出した軍備編成も致命的であった。
総人口約2300万人に対して、予備役を含む総兵力こそ100万人を超える程の異常に突出した兵力を誇っていたが、全員に武器、弾薬どころか、食料すら行き渡っておらず、食料も国そのものが、数々の失政による慢性的食料不足、燃料不足などもあり ほとんど戦闘の継続どころか、行える状態ではなかった。
アポリス軍は、開戦と同時に、KC個人崇拝独裁国内にある拠点空港、空軍基地 レーダーサイト、主要軍事施設などに保有する全航空兵器、対空兵器などを 飛行タイプのグロテノスの猛攻で、僅か数時間で、全て叩き 飛行場なども使用不能にし 今最も重要な、制空権を確保 全てのレーダーサイトを叩く事により 目と耳も潰した。
これでアポリス軍の動き、特に主力の生体兵器グロテノスの動きを探り、捉える事が不可能となった。
残った地上兵力も 空からの支援が得られず、何ら武器すら持たず、部隊全員素手で、正面からグロテノスに立ち向かったり 木の先を尖らせて、槍の代わりに利用 石の投石など、時代錯誤の戦法や、僅かな手榴弾を身体に取り付け人間爆弾と称し突撃 結果は、グロテノスに到着する遥か以前に自爆であった。 中には、部隊内で、数々の続出した欠陥不良品によって、手榴弾の身体に取り付け最中の暴発で、部隊事 全滅する例すらあった。
いつぞやの戦争で、バンザイアタック(神風特攻隊)や 人間魚雷などを考え実行した どこやらの国の無知、低脳の狂人以下達より更に低脳な 戦法とすら呼べない方法を用いたが、全て失敗 末端の兵士に犬死を強制するだけの、どこやらの国の愚かな失敗の轍を繰り返し 貴重な兵力の無駄な消耗、浪費を強いる結果をもたらし 自ら招いた墓穴による自滅を繰り返した。
迫り来るアポリス軍 特に強力な生体兵器グロテノスの余りの強力な破壊力の前に、恐怖に怯え逃げ込んだ強固に作られていたはずのトーチカも 強力なグロテノスのエネルギー弾を中心とした火力の前に、地面から抉られる様に跡形もなく徹底的に破壊された。
特に悪質なクズ以下の例すらあった。 地方の小さな田舎町に住む 守るべき非武装、非戦闘員の自国臣民までもを 根こそぎ動員し 偉大な首領様を守る為と称して、グロテノスから攻撃を防ぎ、自らだけを守る為の人間の盾 人柱、防御壁として、利用する部隊までも続出した。
アポリス軍は、政府要人、党幹部、軍人などに対しては、情け容赦しなかったが、非武装、非戦闘員の臣民に対しては、寛大であった。
少ないながらも 貴重な食料、水、医薬品までも、解放した臣民に分け与えていた。
戦争開戦と同時に、首都を除く各地方では、KC個人崇拝独裁国の党幹部、軍部などによって、根こそぎ僅かな食料、水、医薬品までも徴収されていた。
KC個人崇拝独裁国軍の各部隊は、そこに目を付けた。
非武装、非戦闘員の臣民を 人間の盾 人柱、防御壁として利用すれば、グロテノスは、攻撃してこないと考えた。
部隊周囲に、柱を地中に刺し 老若男女を問わず、守るべき非武装、非戦闘員の自国臣民を柱に縛りつけ、目隠した上、人間の盾、人柱、防御壁などとして利用し その隙間からグロテノスに対して、攻撃を繰り返した。
全く通常兵器は、通用せず、強力な火力、破壊力を誇るグロテノスの快進撃の前に、恐怖に怯え、我、人間としての理性を失い・・・ いや違う 硬直化した洗脳思想(主体思想)教育を叩き込まれ 理性と言う言葉さえ持ち合わせていなかった。
全て偉大なる首領様 金 正日将軍様を守り、命令に絶対服従・・・ 硬直化した洗脳思想(主体思想)教育によるマインドコントロール(精神支配)の結果であった。
非人道的などと言うなまやさしい言葉では言い表せない愚劣さであった。
極めて稀に、偉大なる首領様 金 正日将軍バンザイと叫ぶ者もいたが、ほとんどは、迫り来る恐怖に怯えていた。
両親に助けを求め泣き叫ぶ幼子や、臨月が近い妊婦、年老いた老人、必死に我が子の名を叫ぶ親など、その姿を見た瞬間 アポリス軍、特に、主力の生体兵器であるグロテノスの、すさまじい攻撃は止んだ。
とても、人間の行える愚劣な蛮行、非道、残忍さではなかった。
ネクストノイドといっても人間である。 人間としての感情、理性、心を持ち合わせている。
柱に縛り付けられた臣民を 命がけで救助、解放したのは、敵であるアポリス軍であった。
グロテノスの命がけの勇敢な行動は、後の美談、プロバガンダ(大衆操作)として、数多くのTV、映画の素材として、語り継がれた。
最終兵器としての核搭載型中長距離ミサイル テポドン、ノドンなども 敵国である日本の首都Tを中心として、主だった大都市、軍事拠点基地に目標を設定さており 国内での使用を前提としておらず、国際社会の非難、あらゆる経済制裁を加えながらも強行した核実験も 国内外向けの成功宣伝とは逆の失敗続きで、実際 完成どころか、使用不可能であった。
それでも、自らの力を誇示する為 開戦と同時に、国内数ヶ所のミサイル発射基地では、中長距離ミサイル、テポドン、ノドンの弾頭に、まだ未完成の核爆弾数基を搭載準備 他にも多数所有するBC兵器(細菌、化学兵器)の搭載準備を開始 見せしめに敵国である日本の首都Tを始め主な大都市、O県などの重要軍事拠点に向け発射準備を開始した。
それを知った メグミ・Y指揮官は、全戦力を 数ヶ所のミサイル発射基地に集中 飛行タイプのグロテノスの空からの空爆、地上からは、強力な火力を誇るグロテノスの猛攻撃を加え ミサイル基地を 僅か数時間で徹底的に破壊、ミサイルへの核爆弾、BC兵器(細菌、化学兵器)搭載を未然に防ぎ、ミサイル発射もミサイルそのものを破壊し阻止 同時に、国内あった未完成の核兵器及び核兵器転用可能な核物質、BC兵器(細菌、化学兵器)を押収に成功した。
それによりKC個人崇拝独裁国軍の力の象徴とでも言えた 核兵器、BC兵器(細菌、化学兵器)、中長距離ミサイルを失い 戦意は、一気に消失 自己保身の為 脱走を企てたり、敵アポリス軍に、寝返る者、投降する者が続出した。
開戦当初は、頭目 金 正日の命令に、忠実に従い戦っていたが、全ての戦闘で敗戦 責任の全てを 命令どおり従わない各指揮官の無能、低脳が原因と、決めつけ責任転嫁してしまい 取り巻きであった軍上層部から最高司令官としての指揮能力に嫌疑を抱く者も出始めた。
創作された抗日戦の英雄を父として持つ、その選ばれた子としての、カリスマ性は、脆くも自らの手によって、崩れ去ってしまった。
開戦当初こそ 頭目 金 正日の命令が、末端の兵士まで行き渡り 何とか組織的抵抗を試みようとしたが、僅か1日で、命令は、全く伝達されなくなり、各部隊は、完全に、分断孤立化 各個撃破の対象となってしまった。
首都の秘密施設に残った僅かな未完成の核兵器も 首都での使用は、自ら多大な被害が及ぶ為 使用出来なかった。
戦略の最も重要な基本中の基本である 情報と補給を 軽視どころか、無視 無用な巨艦大砲主義、ハードウエアー信仰に突出、1つの固定した洗脳思想(主体思想)教育による盲目的精神至上主義などによる硬直化した戦略思想の結果でもある。
使用出来ない兵器を並び立て自らを強盛大国と自画自賛した結果でもあった。
アポリスの約100体のグロテノスの快進撃の前になす術もなかった。
飛行タイプのグロテノスからの情報を元に、的確に部隊を動かすメグミの指揮官として、優れた用兵もあり 僅か7日間で制圧に成功。
制圧後 頭目 金 正日一族を含む 取り巻きの政府、軍部上層部、党幹部などを全員逮捕 監禁 占領軍本部を首都に置いた。
メグミは、そのまま占領軍司令官となり 拉致被害者の捜索を開始し 多くの拉致被害者の救出に成功 多くの家族が、涙と感動の再会を果たした。
同時に、南北に引き離されていた離散家族の再会にも力を注いだ。
しかしメグミの父親だけが、行方不明のままであった。
13日間戦争終戦後のある日 アポリス側の御用記者団の前での記者会見中 ある情報がメグミにもたらされた。
「メグミ、Y司令官」 記者会見中のメグミの前に1人の兵士が現れ メグミの前で敬礼する。
左手には、布袋が丁寧に持っていた。
「司令官の父君についての情報が入りましたので、お伝えに参りました」
「ならここで聞こう」
「ここでは、ちょっと・・・」 兵士は、多数の記者団を気にした。
「いや 構わぬ 今 その事についての質問に答えていたのだ 記者のみなさまも聞きたいだろうから」 メグミは、兵士の持つ布袋が気になった。 悪い予感である。
「では失礼ながら 今までの調査結果を報告させていただきます」
メグミは、うなづいた。
兵士は順を追って丁寧に報告を始めた。
メグミに取って最悪の報告であった。
メグミの父親は、KC個人崇拝独裁国へ拉致後 この国のスパイ養成機関の日本語、日本文化、しきたり、生活習慣などを教える講師の仕事を強制させられた。
そして、今から数年前のある日 メグミの父親の元で講習を受けたスパイの1人が、国家の命運をかけた計画で、重大なミスを犯し 計画そのものが大失敗に終わってしまった。
そのスパイが、自らのミスの全てをメグミの父親の教え方が悪いと責任転換してしまった。
そのスパイは、頭目 金 正日一族と深い繋がりを持つ家系出身であった。
その為 全ての責任は、メグミの父親に被せられ銃殺刑に処せられた。
銃殺刑の当日 メグミの父親は、1枚の古ぼけた写真を両手に、しっかりと握りしめていた。
それは、生後間もない頃のメグミの写真であった。
どんな時でも肌身離さず大切にしていた写真であった。
「・・・ 必ず生きて、もう1度 娘に会い この手で抱きしめる・・・ それが父君の最後のお言葉であったそうです」 兵士は、そっと左手に持っていた布袋をメグミに丁重に手渡した。
「ここに父君の遺骨と思われる骨が入っております」 兵士は、メグミの父親に哀悼の意を表するかのように、敬礼した。
メグミは、恐る恐る両手で、布袋をやさしく握り胸にあてた。
「お父さん・・・」 頭を下げ 両目を固く閉じる 両目からは、幾筋もの涙がこぼれ落ちた。 その瞬間 会場内の至る場所から無数のカメラのシャッターを押す音が響き渡った。
メグミは、いつの日か必ず父親をその手に取り戻し その手で抱きしめ 幼少の頃からの夢である 父親に甘えてみたかった。
だがその夢は、はかない幻と消えてしまった。
この写真は、直ぐに全世界に配布され 多くの人々の涙と感動を誘った。
ここまで、この話を黙って聞いていた記者団からも メグミとその父親に対して、深い哀悼の意が表せられた。
その数日後 メグミは、数度目の謁見を 頭目 金 正日に対して行った。
頭目 金 正日の態度は相変わらずであった。 尊大な態度を取り続け 全臣民をグロテノスの実験台に提供する見返りに、アポリス最高地位を要求 頭目 金 正日自身のみの身の安全を図り それどころか、更に、アポリスの支配者となり強大な戦力を手に入れ 全世界に君臨 自身の愚かな野望を叶えようとしていた。
メグミは、一笑後 言いようのない怒りが込み上げ燃え上がった 怒りにまかせダガトに変身 頭目 金 正日を その場で頭のてっぺんから真っ二つに切り裂いた。
両肩で大きく息をする メグミが変身したダガト。
"こんな・・・ こんな・・・ こんな やつの為に、私の父は、拉致され利用され殺された・・"
言いようのない怒りが込み上げ更に燃え上がった。
復讐に我を忘れたの如く、監禁していた 頭目 金 正日一族及び取り巻きの政府、軍部上層部、党幹部などを全員を競技場に集め 、全員公開処刑にした。
それも KC個人崇拝独裁国軍の各部隊が、自国の臣民に対して行った事と同じく 人柱にし グロテノスの強力な武器のテスト台として、処刑した。
そして、真っ二つに切り裂かれた頭目 金 正日の死体は、首都の大広場で、半分ずつ串刺しに公開した。
だが、この残忍な公開処刑も1部特権階級を除く大半の臣民に積年の恨みを晴らすかのように受け入れられた。
大半の臣民は、これら死体を 恐れ、憐れむどころか、死体に、つばを吐きかけ 石を投げつけるなどの有様であった。
KC個人崇拝独裁国の全臣民に敬愛された偉大な首領様の最期であった。
この事が、アポリス側のマスコミを通じて 全世界に配布 多くの人々の感動を誘った。
拉致された父親を救出する為 自らを犠牲にし、グロテノスのダガトの改造を受け 父親を救出しようとしたが、時間は、既に遅く間に合わなかった。 だが 多くの拉致被害者を救出 そして、父親の敵(かたき)を討った悲劇のヒロインとして、祭り上げられる結果をもたらした。
アポリスのプロバガンダ(大衆操作)であったが、新たな支配者 アポリスに対する見方が、急速に支持拡大へと変化した。
新たな支配者 アポリスの寛大な支配もあり 多くの人々が先を争うよう ネクストノイドのグロテノスへの改造を求めるようになった。

 日本でも 政府、警察、自衛隊、主だった企業などの旧来からの特権支配階級は、ほとんどアポリスと繋がっており 抵抗したのは、1部自営業者などであった。
日本は、アポリスの裏からの支配が最も進んでいた為 13日間戦争開戦と同時に、官民あげての熱烈歓迎ムードで新たな支配者 アポリスを迎え入れ、ほとんど抵抗らし抵抗も受けず、僅か数時間で制圧された。
抵抗した1部自営業者も 武器など所持してらず、サポタージュするのが、精一杯の抵抗であった。
新たな支配者 アポリスは、旧来からの特権支配階級の地位、特権などをそのまま保障し認めた為 13日間戦争後 特に、政治家、官僚。公務員、企業に属するサラリーマン、OLなどは、新たな支配者 アポリスの世界統一新国家での 就職、出世、転職、キャリアアップなどに有利になる ネクストノイドのグロテノスへの改造に殺到 事実上 独占してしまった。
政治家、官僚。公務員、企業に属するサラリーマン、OLなどは、その地位、恵まれた各種特権、会社名、人脈と言えば聞こえが良いが、コネをフルに利用 我先に争う余りにも露骨で、陰湿、滑稽な姿は、サポタージュを続けていた1部自営業者などの嘲笑の対象になった。
元々何の権力、特権などを持たぬ 1部自営業者などは、最初から蚊帳の外扱いを受け 支配者が変わっただけで、何らメリットを受ける事もなく 個人で出来る些細なサポタージュと言う抵抗を続けていた。
元々 自主、自立、独立精神が旺盛で、自力のみで、生き抜いてきた1部自営業者などには、自分自身を美しく鎧兜(会社名、地位、学歴)などで着飾る必要はない。 自力で何をやってのけたかだ。
ネクストノイドのグロテノスへの改造を受けるなど、全くの無意味でしかない。

 一方 極東では、新たなニューヒロインが誕生した。
極東各国で快進撃を続けるアポリスに対して、1部 激しい抵抗を試みる者達がいた。
余りの激しい抵抗に、進軍が阻止されると、どこからともなく 見たこともない美しい蝶の姿をした1体の女性型グロテノスが現れた。
見たこともない この世の者と思えない美貌と、完璧なボディラインを兼ね備えた 人類始まって以来の世紀の絶世の美女であった。
激しく抵抗する抵抗勢力を たった1体で、次々と瞬時に壊滅させていった。
あのキャラン(浩司)と日本国内の孤島基地で戦い エネルギー切れを起こし 生死をさまよった ハイパーグロテノス ハイパービューカーのリンが、奇跡の復活を遂げた。
中国国内にある龍(ロン)の最大拠点基地内で、数カ月もの間 ポット内で、生死をさまよい続け 何とか一命を取り留め そこからリハビリと、新たな改造を施された。
元々量産化目的としたタイプのハイパーグロテノスではなく プロトタイプ(試作型)で、龍(ロン)自身が率いる研究開発チームによって、ある秘密の能力を取り込んでいた。
自己進化能力である。
ハイパービューカーに変身後 頭の額の両側の渦巻き状の触手で、相手の体液を吸収する事で、相手の戦闘能力を我が物とする能力であった。
他だし 相手は、ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)のみで、ネクストノイドには、使用出来ず まだ未完成の研究実験段階の特殊能力であった。
一撃必殺タイプのハイパーグロテノスの欠点である 膨大なエネルギーを一気に消費する エネルギー問題の根本解決には至らなかったが、ある程度の解決策として、ハイパーグロテノス ハイパービューカーへの変身時間に、制限が加えられた。
エネルギーが10%以下にまで低下すると、強制的に変身が解除 エネルギーが回復するまで、変身が出来なくなった。
リンは、キャラン(浩司)とのケリ(決着)を付ける為 地獄の淵から甦ってきた。
この時点 リンは、キャラン(浩司)が、消滅した事を 龍(ロン)を始め だれからも聞かされていなかった。
こうして、戦闘を続けていれば、必ず キャラン(浩司)が現れ 今度こそケリ(決着)を付けようとした。
しかしキャラン(浩司)は現れなかった。
世界各地から届く報告にも キャラン(浩司)の姿がなく 消沈の思いのまま13日間戦争が終結 アポリスの支配下における 世界統一政府が樹立された。
リンの この世の者と思えない美貌と、完璧なボディライン そして、数々の戦闘での輝かしい勝利は、多くのアポリスに与する御用マスコミにより 全世界に配信され 絶賛、賞賛を浴びた。
この世の者と思えない美貌と、完璧なボディラインを兼ね備えた 人類始まって以来の世紀の絶世の美女 そして、抵抗勢力を瞬時に壊滅させる驚異の戦闘力 多くのアポリスに与する御用マスコミは、リンを "史上最強の世紀の絶世の美女 リン" と もてはやしたてた その美貌と完璧なボディラインは、全世界の男性を虜にし 多くの女性の憧れの存在となった。
13日間戦争後 リンは、各雑誌の表紙を飾り 有名なトップブランドのファッションデザイナーからのモデルの依頼 ファッション系雑誌を中心に、特集が組まれ 有名映画監督による超大作映画の主演女優依頼など、殺到した。
リンは、全世界の女性の憧れのファッションリーダーとなった。
リンの愛用するものは、瞬く間に売り切れ完売状態であった。
リンの元には、毎日 大量のファンレター、ラブレター、世界中の大富豪、超1流の映画スター、スポーツ選手 政財界のお偉い様などから届けられる 目も眩むような高価な品々・・・ デートの誘い いきなりのプロポーズ リンが、夢見て望んでいた物 全てが現実となり その手に入った。
しかしリンは、夢見て望んでいた物 全てが手にはいっても 何ら満たされる事がなかった。
リンが、望んでいた物はたった1つ キャラン(浩司)とのケリ(決着)であった。
"あの時 キャラン(浩司)は、この私を子供扱いにし まるで勝負にならない実力の差を見せ付けた。 しかし今の私は、あの時とは違う 更に強くなった 今度こそ あいつを倒し この私の前で、跪(ひざまず)かせてやる・・・"
"だが あやつ一向に、その姿を見せない どこに隠れてやがる さっさと出てきて この私と もう1度勝負しろ・・・"
今のリンを満たすのは、キャラン(浩司)との再戦であった。
この頃からリンは、人前、公の場でこそ、華麗に笑顔を絶やさず、華やいで見ていたが、1人 自宅にこもると、何とも言えない深く塞ぎ込んでいた。
13日間戦争後 世界各地で、単発的ながら武装蜂起 アポリスに抵抗する勢力が現れ、テロ活動・・・ いや見方をかえれば、レジスタンス活動でもあるのだが、多発した。
その制圧の為 リンは何度もたった1人で、出撃 抵抗する勢力を瞬時に殲滅させていた この頃から 少数ながらアポリスの支配に対して、抵抗する勢力から リンの事をこう呼ぶようになった。
"美貌の死神"

 マスコミによって、時代の寵児となったリンを 芳しく思わないネクストノイドの女性がいた。
パーサーカー5(ファイブ)の ミュースキャット麻子であった。
「何が、史上最強の世紀の絶世の美女 リンよ!! まだおしめも取れぬ青二才じゃないの・・・ 本物の大人の女の魅力も知らぬバカ、くそガキどもめが・・・ そう思わない ロイ・・・」
ミュースキャット麻子の鋭い ライバル心剥き出しの眼光で睨まれた ミューホーカーロイは、恐る恐る何度も小さくうなづいた。
その笑顔は、恐怖の余り引きずり、冷汗で顔面蒼白であった。
"女の争いは怖い・・・" ミューホーカーロイの本音。

 13日間戦争中 アポリスの敵対勢力であったヤーナは、アポリスの快進撃になす術がなかった。
2体のB,P(バトルプロテクター)を手に入れ 永井とピエールが装着した。
しかし アポリスの物量戦略の前に、何ら意味がなかった。
所詮2体 全世界で同時に行動を起したアポリスに、打つ手はなく 地上のヤーナの人材、協力者を守るのが、限度であった。
ほんとんどの戦闘で敗北 その中でも光ったのが、永井であった。
地上の各拠点から撤収作戦でも、自ら先頭に立ち、数少ない兵力を見事な用兵で、最小限の被害に抑え 自らを最後尾を務め B,P(バトルプロテクター)を装着 B,P-1となり味方の最後の1人まで、無事後方へ避難するまで、多数のグロテノス相手に、1人 奮闘していた。
もう1人のB,P(バトルプロテクター)を装着者である B,P-2のピエールは、対照的であった。
自らの部隊を率いて、アポリス軍と対決 B,P(バトルプロテクター)を装着し ド派手なパフォーマンスと戦闘を繰り返していた。
だが 自らの功を誇るだけで、戦略上 無意味な戦闘でもあった。
ピエールの勝利も アポリスの世界制覇に、何ら影響を与える事無く 僅か13日間で、アポリスの世界制覇が達成された。
しかしピエールの取った行動は、当初 散発的 バラバラ状態であったアポリスの支配に反対する勢力の中で、最もアポリスに対抗する戦力を持った勢力である事を世界に知らしめる事となった。
ピエールは、自ら率いる部隊を "神々の正義軍" と称し アポリスの主力生体兵器であるグロテノスと互角以上に戦えるB,P(バトルプロテクター)の実力を効果的に人々の前で、見せ付けていた。
アポリスの支配に反対する人々の間には、ピエールを神々が使わしたメシア(救世主)と呼び ピエールの部隊に加わる者が現れ始めた。
13日間戦争後 アポリスの支配下による世界統一政府が樹立された。
13日間戦争後 世界統一政府の新首都の候補地選定及び建設までの仮の首都をアメリカ合衆国のニューヨークに置かれた。
アポリスの世界統一政府支配に敵対するヤーナは、最重要テロ組織として認定 その中で、最重要指名手配犯として、ヤーナ最高評議会 議長のマーク、B,P(バトルプロテクター)装着者の永井、ピエール、そしてもう1人 瞬時 淡い白い光とともに、その姿が消したキャラン(浩司)が、顔写真入りで、全世界に配布された。
WANTED (ウォンテッド) DEAD OR ALIVE (生死を問わず)の文字が並ぶ。 そして莫大な賞金と、8大将軍デストロに次ぐNO3の幹部の地位が成功報酬であった。

 アポリスの世界制覇から1年も満たないうちに、世界は、大きく変化した。
アポリスによる新たな価値観による新たな秩序が浸透した。
世界各国の国境は、取り除かれ かっての国境は、日本の県境、アメリカ合衆国の州境程度となり 自由に往来出来るようになった。
人種、民族、宗教などの違いによる差別など、もはや過去の遺物となりつつあった。
世界各国にあった 核兵器、BC兵器(化学、細菌兵器)などを中心とした大量破壊兵器は、アポリスの世界統一政府により全て徴収され破棄が始まっていた。
戦闘機、戦車、空母、原子力潜水艦などのハードウェアーも、数が大幅に縮小され 全てアポリスの世界統一政府の管理下に置かれ 主に治安維持目的の為利用される程度となった。
個人が携帯出来る 強力な軍用小火器類も同様である。
1部 ハンティング用のライフル銃や 護身用の拳銃タイプなどが、細々と生産される程度となった。
生体兵器としてのグロテノスの前では、数々の強力な軍用兵器などの 無用長物でしかない。
エネルギー問題も大きな革命がもたらされた。
放射性廃棄物などの危険を伴う原子力発電所は、順次廃棄され、主力であったCO2(二酸化炭素)を排出する 石油、石炭などの化石燃料を利用する発電所も同様であった。 変わって 新たなメインエネルギー源として、CO2(二酸化炭素)を排出せず、危険な放射性廃棄物を伴わない 環境にやさしいと言う理由で、アポリスの誇る エルの残したオーバーテクノロジーの1つ 反物質反応炉の建設が、急ピッチで進められていた。
一見 アポリスの支配下 新たな世界統一政府による 新たな秩序の下 世界平和が実現されようとしたかに思えた。
だか新たな秩序による新たな身分制度も生まれた。
新たな新人類であり 人類の最終進化形態と自称するネクストノイドとそうでない者に、2極分化された。
ネクストノイドは、新たな特権支配階級として、君臨し、ネクストノイドへの改造を受けられないホモサピエンス・サピエンス(旧人類)を 完全管理支配下に置いた。
特に、日本では、露骨に2極分化した。 アポリスによる新たな秩序に、政治家、官僚。公務員、企業に属するサラリーマン、OLなどはなどの圧倒的多数派が、圧倒的多数を武器に、官公庁、企業などの強力な特権を最大限に利用 ネクストノイドへの改造を受ける権利を独占してしまった。
当初18歳以上なら 本人の選択制で、だれでも改造を受ける権利があったのだが、政治家、官僚。公務員、企業に属するサラリーマン、OLなどの圧倒的多数派は、自分達と、その家族、子息だけの権利として、独占してしまった。
これら圧倒的多数派は、まず優先順位を法律で設定し 所属する官公庁、企業などに、最優先権を与え、官公庁、企業などに属さない、極少数派の自営業者、農林業者、漁民、フリーターなどを 完全に排除してしまった。
会社名、会社内での地位、学歴のみが、最重要視される政治家、官僚。公務員、企業に属するサラリーマン、OLなどに取って、理想社会へと急激に変貌を始めた。
有名大学卒、官公庁、大企業で、高い地位にある者及び、その家族、子息から最優先で、ネクストノイドへの改造が受けら ネクストノイドへの改造を受けると、更に、キャリアアップによる転職、出世など思いのままとなった。
特に、古くから政界、官庁、役所などと癒着、深く親密で、濃密な繋がりを持ち、裏社会と表裏の関係にある ある特定業種は、露骨であった。 これら全てを露骨に利用し、企業規模、学歴など、関係なくある特定業種に属する全従業員と、その家族、子息に、最優先権を 強引に奪い取ってしまった。
自力で何をやってのけた・・・など徹底的に無視され 最終学歴と、どの官公庁もしくは、企業に属し どの地位にあるか のみが全ての評価の対象となった。
だが、中小零細企業、無名の大学卒などは、ネクストノイドへの改造を後回しにされ 不満が充満した。 不満のガス抜きとして、ネクストノイドの改造を受けられない極少数派を 更に進化する事の出来ない下等、劣等生物として、あらゆる権利などを剥奪し分断 ネクストノイドへの改造を受けられる圧倒的多数派を唯一選ばれた選民であり 正統人類であるとし 今までの特権を更に強化 磐石とし 特権支配階級として君臨 ネクストノイドの改造を受けられない極少数派に対して、あらゆる面で差別、弾圧する事により不満の矛先を向けガス抜きをした。
2極分化による新たな問題は、色々な悲劇も生んだ。
特に、学校では、2極分化による極端に差別化されてしまった。
ネクストノイドへの改造を受けられる圧倒的多数派は、自分達の子息の為の大学まで一貫エリート養成校を作り 官公庁、企業などの就職を独占 ネクストノイドの改造を受けられない極少数派を排除した。
官公庁、企業などに就職しなければ、ネクストノイドへの改造を受けられず、各種の権利、特権は剥奪され 差別を受ける為であった。
ネクストノイドの改造を受けられない極少数派は、ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)用の高校までしか行けず、過酷な労働の自営業を継ぐか、フリーターなどの身分が不安定で低賃金の職場しか就職の道が閉ざされた。
フリーターですら ほとんど就職が出来る状態ではなかった。
ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)用の学校へ押し込められ閉じ込められた極少数派の生徒は、悲惨であった。
小さく汚い学校の狭いクラスに箱詰めされ、まともな教育も受けられず、ネクストノイドもしくは、改造待ちの特権階級の教師は、教育としつけの名の下 他だ頭ごなし命令を下すだけの徹底的管理教育を実践 生徒の人権など徹底無視 まともな人間としての扱いは受けられず、生徒指導の名を借り日常茶反に、生徒に対して暴力を振るっていた。 目的は、1つ 支配に便利な 命令に絶対服従の従順で画一化された生徒を大量に生み出す事であった。
支配に便利な 命令に絶対服従の従順で画一化された生徒を大量に生み出す事が、ネクストノイドもしくは、改造待ちの特権階級の教師の使命であり 全ての評価の対象であった。
その為 ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)用の学校は、各種不満が爆発 学校は、荒れに荒れた 荒れれば荒れる程 更に徹底した管理教育を頭ごなし押し付け 生徒指導の名を借り暴力を振るう悪循環に陥った。
そんな中でも、小ぽけで、取るに足りないささやかな物を見つけた 10歳代後半に差し掛かった1組のカップルも現れた。 そんなカップルは、この社会の壁を飛び越えようと、その先にあるもののを信じて・・・ 2人だけで駆け落ちをした。
2人共 両親は、店舗規模が四畳半の小さな商売を営む自営業者の子息であった。
しかし社会は、そんな2人を決して受け入れてくれなかった。
全く仕事に就くことも出来ず、僅かな所持金も直ぐに底につき ホームレスとなり公園のベンチで寝ている所を ネクスノイドもしくは、ネクストイノイドへの改造待ちの特権階級の警官に見つかると、職務質問の名を借り いきなりあらゆる暴行が加えられた。
何も抵抗出来ず、ただ暴行を加えられる彼氏を助けようと庇う彼女まで、激しい暴行が加えられた。
この時代 ネクスノイドもしくは、ネクストイノイドへの改造待ちの多数派の特権階級以外 人間として扱われず 改造を受ける権利を持たないホモサピエンス・サピエンス(旧人類)はただの進化レベルの劣る不要な害虫以下の扱いであった。
街や公園などをうろつくネクストノイドへの改造を受けられないホモサピエンス・サピエンス(旧人類)は、犯罪者もしくは、犯罪者予備軍として扱われ 警官の自己の勝手に作り上げた思い込み 想像、主観による自由裁量によって、逮捕、拘束など やりたい放題であった。
ネクストノイドへの改造を受けられない極少数派のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)が、少しでも反抗的態度、ただ気に入らないなど それだけの理由で、しばしば集団でリンチを加えていた。
ネクストノイドもしくは、改造待ちの多数派の特権階級を守る為の正当な職務として、全て合法として認められていた。
後の犯罪者となると想像し思い込めば、何をしても全て合法であった。
元々 13日間戦争以前から 全て絶対の国家権力による、各種特権によって手厚く保護され 強固な警察組織によって全て守られ 絶対の国家権力に寄生する国営チンピラ、ゲス以下でしかなかった。
各種犯罪がおきても、担当した警官の勘と言う 自己の思い込みよる勝手な想像で、無実の人を犯人にデッチ上げ 証拠とされる物を捏造、偽造、状況証拠とされる物と、自ら作り上げたストリーに話が合うよう自白の強要、証拠品の改ざん、デッチ上げなど、各種冤罪を強要し犯人にしたてる事で、自らの実績、成果として誇示 自己陶酔と点数稼ぎ、キャリアアップを図るなど、好き勝手にやりたい放題自由をやってきた警察である。
警察とは、強力で、絶対の国家権力に酔いしれ 好き勝手にやりたい放題 下記など無数、多数に存在する警察の唯一絶対自称する正義とやらのほんの1例に過ぎない。

((産経新聞 2010年11月15日(月)13時6分配信抜擢))
大阪府警東署の刑事2人が任意の取り調べ中に暴言を吐くなどし、特別公務員暴行陵虐などの罪で大阪地検特捜部に告訴された問題で、取り調べを受けた大阪府内の男性が、産経新聞の取材に応じた。男性は任意同行される車中から取調室での聴取の途中までを約3時間、ICレコーダーで録音。「身に覚えがないのに、家族にも捜査が及ぶと脅され、辛かった」と振り返った。
 取り調べは、東署刑事課の警部補と巡査部長が遺失物横領事件の捜査で9月3日に行った。財布を落とした女性が免許証の写真を添付したメールを送りつけられ、メールの分析から男性が疑われたとみられる。
 男性によると、いすをけったり肩を押さえつけたりする暴行もあり、途中で録音していたことを告げると、態度が一変。「仲直りしようや」と握手も求められたという。
 男性は「子供には警察官は正義の味方と説明していたのに、まったくイメージが変わった。こうやって冤罪(えんざい)ができると身にしみてわかった」と話した。))

 これが警察の正義と呼称するものである。
冤罪をデッチ上げ 無実の人を犯人する。
この程度の事しか出来ない連中ばかりである。

運悪く冤罪が実証されても、担当した警官には、全く責任も、罪すら問われず、全くの不問 それどころか、全て警察組織の命令に従っただけだと責任転換し、何ら追求される事もない。 挙句の果てに、冤罪被害者を散々たらい回しにし 強力な国家権力を利用し全てをうやむやにし闇の中へ葬り去ってきた。 絶対権力に酔いしれ、甘い汁を貪り続け、それすら満足せず、更に、警察に取って都合の良い法律を作り上げ勝手の良い解釈で、自らの力を誇示 世間に対して、力ずくで従わせる事を 強引に押し付けてきた。
警官自ら各種犯罪を犯しても 強固な相互扶助である警察と言う組織によって万全に守られ 各種隠蔽工作によりもみ消しにする有様。
改造を受けられない極少数派のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)に対して、何をしても自由と言うフリーハンドのお墨をもらう事となり その行為は、更に、横暴、露骨にエスカレートしていった。
そして、2人は、だれにも邪魔をされない2人だけの安息の場所を求め山の奥地へと逃げ込んだ。
警官に受けた暴行の跡も生々しく 身体の至る場所には、暴行によるあざ、傷跡、激痛が残り 激痛の為何度も倒れ掛かる彼女を彼氏が必死に支え だれにも邪魔をされない2人だけで暮らせる安息地を求め さ迷い続けた。
何も飲食せず 深い山の中で、暴行の傷の耐え難い激痛と、飢えと、寒さに耐えながらも 何日も当てもなく さ迷い続けた。
さ迷い続けて数日後、随分前にだれも使わなくなったのであろうか? 壊れかけた小さな山小屋を見つけると、2人は顔を見合わせた お互い微笑む2人・・・ 2人だけの約束の地を見つけたかのように、山小屋へ逃げ込んだ。
山小屋に入ると、2人共その場に倒れこんだ。
数々の暴行の傷や、それに伴う激痛は、癒えるどころか、悪化の一途を辿り もう何日も何も飲食しておらず、極度の空腹で、もはや2度と立ち上がる体力も気力もなかった。
2人は、最後の力を振り絞り 2度と離れないよう抱き合った。
彼氏は、背負っていたリックサックの中から長方形のケースを取り出し蓋を開けた。
中に収められていた小さな1輪の花を取り出し 彼女の手に、やさしく手渡した。
「これを君に・・・」
微笑む彼氏に、少し驚いた表情を見せる彼女 彼女は、1輪の花を見つめた。
「何て 可憐なお花・・・ これを私に・・・」
ちょっと照れくさそうにやさしい微笑みを浮かべる彼氏の表情・・・ 彼女は、その花の意味を理解した。
涙をこらえた目で、小さくうなづくと、花を持った手で彼氏の手にそっと繋いだ。
2人の繋いだ手から1輪の花が落ちないようにと、願いをこめて・・・。
そこで彼氏が、彼女をやさしく包み込み抱き合ったまま 2人は、その生涯を終える。
「ねえー お腹すいたね・・・」 消え入りそうな小さな声で、彼女は囁いた。
顔の至る場所で、殴られた跡があざとして残る顔で、精一杯微笑んだ。
最後の笑顔であった。
一筋の涙が、彼女の頬に伝わる まるで、眩いばかりに輝く夜空の流れ星のように・・・
そのまま彼氏に抱かれ 暖かい温もりに包まれ安らかな笑顔で彼女は、そっと目を閉じる 消え入るよう その生涯を閉じた。
それを見届けた彼氏は、彼女に向かって、小さく囁いた 「俺も今行くよ・・・ どこまでも・・・ いっし・・・」 微笑みを浮かべ 最後の力を振り絞り2度と彼女を放さない、離れないよう抱きしめながら彼氏も眠る様に、その生涯を閉じる。
壊れかかった小窓から一筋の小さな朝の光が差し込み 2人をやさしく包み込んだ。
窓を叩く風の音 しかし2人は、もう2度と目覚める事がなかった。
その死に顔は、全てから疲れ果てた者が、唯一逃れる安息の場所を見つけた安堵の表情でもあった。
暖かい温もりに包まれ安らかな表情の彼女と、その彼女をやさしく包み込む彼氏の笑顔が、そこにあった。
死因は、全身至る場所に加えられた暴行と、2人共 何日も何も食べておらず 痩せ細り餓えが原因であった。
2人の片隅には、数枚の音楽CDとCDプレイヤーが、その傍らに置かれていた。
その音楽CDは、今から何年も前 26歳の若さで生きる事と、強制的に別航路に変えさせられた 若き天才 ロック、シンガー、ソング、ライターの残したアルバムであった。 この時代 反社会的と理由で発売禁止及び所持禁止処分となっていた。
浩司も大ファンである 26歳の若さで生きる事と、強制的に別航路に変えさせられた 若き天才 ロック、シンガー、ソング、ライターが1980年代から1990年代初頭までに残した作品であった。
街の孤独さや学校、教師、大人、社会への反発、反逆や、小さく些細で、取るに足りない愛などをテーマにした作品であった。
その歌は、彼が、その生命と魂を削り 必死に訴え叫び続けてきた作品であった。
この時代 ネクストノイドへの改造を受けられない極少数派のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)の1部に、彼の残した作品を 数少ない・・・ いや唯一とでも言える心の拠り所にしていた。
この2人もそうであった。
この2人の固く握られた手と手の間には、枯れて朽ち果てた一輪の花があった。
Forget me not 忘れな草 花言葉で、真実の愛、私を忘れないで・・・
数日後この山小屋を訪れた管理者が、2人の死体を発見 警察に届出た。
警察が来たと言う事で、どこからともなく圧倒的多数派の特権階級の御用マスコミを中心に、ギャラリーが集まり 捜査状況を見守っていた。
ほとんど、ネクストノイドもしくは、改造待ちの特権階級ばかり。
その中で1人 場違いのような薄汚れた身なりの老女の姿もあった。
警察は、ネクストイノドへの改造を受けられない極少数派のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)と言う事で、全く捜査すら行われず、2人の全身に残る無数の暴行跡も無視 単なる無理心中として扱い、死体ですら汚れた汚物扱い。
それを見かねた 薄汚い身なりの老女が、せめてものと言う気持ちから 自分が身にまとっていたカーデンガンを 2人の掛けてあげようと2人の死体に近づいた それを見つけた数人の警官は、いきなり無抵抗の老女に対して、激しい暴行を加えた。 問答無用である。
老女は、ボロボロになり這いつくばりながらも2人の側に辿り着き ボロボロになったカーデンガンを そっとやさしく2人に掛けてあげた。
「寒かっただろう・・・ これで少しは暖かくなるよ・・・」 目に涙を浮かべながらも老女は、2人の死体に対してやさしく微笑んだ。
老女の最後の言葉であった。
老女は、その言葉を最後に、息を引き取った。
だが、この様な行動を取った警官に対して、激しい怒りをあらわにするギャラリーは、だれ1人として、存在しなかった。
逆に、後顧の憂(うれ)いを絶った正義のヒーロー(英雄)扱いである。
「ちゃんと見ておきなさい あんな害虫は、後に犯罪者となるだけなのよ あの警官達は、後の犯罪者を処分した正義のヒーローなのよ・・・」 近くで見ていた 特権階級の母親が、我が子に自慢げに語った。
この母親の夫は、警官であった。

 13日間戦争以前 徹底的実力主義を取り 学歴、会社名、所属する官公庁、会社内での地位など無関係のアポリスであったが、13日間戦争終結 世界統一政府樹立後 一気に全世界規模に拡大に伴い 内部が急速に変貌を始めた。
アポリスは、世界各国のそれまで、支配的地位にあった特権支配階級の各種特権をそのまま認めた為 特権支配階級は、優先的に、ネクストノイドのグロテノスへの改造を受け ネクストノイドへの改造を受けられないホモサピエンス・サピエンス(旧人類)を支配下に置いた。
これら新たにネクストノイドのグロテノスになった特権支配階級は、アポリス内部からその勢力の拡大を図り始めた。
だが新たにネクストノイドのグロテノスになった特権支配階級は、1番重要な事には何も気付いていなかった。
ネクストノイドのグロテノスへの改造を受ければ、現状のまま寿命が約1000年伸び 改造を受けたままの状態で、ほとんど老化しない。
体内のナノマシーンによって、体内に侵入する HIV(AIDS)ウイルスを始めとする各種病原性ウイルスを 原子レベルから根本的に破壊 DNAのコピーミスから起きるガン細胞を元の正常細胞に戻す 大怪我以外ならナノマシーンによる自己修復機能などの夢のような機能を持っていた。
まさに夢の万能薬であった。
そして、頭の額にあるネクスタルによって、エネルギーを得る これにより ほとんど何も飲食しなくても生きていける。
ネクスタルのもう1つの機能である テレパシーによる相互コミニケーション能力も持つ。
だが1番重要なテレパシーによるマインドコントロール(精神支配)まで、新たにネクストノイドのグロテノスになった特権支配階級は、全く知らされていなかった。
グロテノスに持たない特殊能力であり 8体のデストロとアピリムだけの特殊能力を・・・

 13日間戦争後 約半年の時間が流れた。
ここは、仮の首都が置かれたニューヨーク 全世界から無数のマスコミが集まり 異様な熱気に包まれていた。
今日この日 アポリスによる世界統一政府の新首都が、遂に発表される日であった。
そして、アポリス最高幹部 8大将軍デストロが一同に集まる。 そして何と言っても謎のベールに包まれていた アポリス最高支配者アピリムが、その姿を初めて公の場現し自ら新首都を発表する段取りとなっており全世界の注目が集まった。
ニューヨーク全体が、アポリス正規軍によって、戒厳令が引かれ グロテノスに変身したネクストノイドが、各ポイントを厳重に警備していた。
上空には、多数の飛行タイプのグロテノスが旋回し 各所には高性能の野戦用レーダーサイト、地球周回軌道上からのスパイ監視衛星と、まったく抜かりのない完璧とも言える監視網が引かれていた。
8大将軍である8体のデストロ以外 だれ1人として、その姿を見た事がないアピリムが、その姿を見せるとあって、全世界が注目した。
会場は、マンハッタン島にある セントラルパークの一画に特設ステージが作られ セントラルパークの周囲は、変身したグロテノスにより厳重に警備されていた。
会場内に入れるのは、世界のVIP それもネクストノイドもしくは、改造待ちの特権支配階級と、アポリス御用達のマスコミのみであった。
会場に入るまでの間に、何度も徹底的なセキュリティチェックが行われていた。
いよいよ発表の始まる時間になった。
まずアポリスのスポークスマンが現れ 司会を始めた。
会場内は、異様の盛り上がりを見せ始めた 8大将軍と呼ばれる 8体のデストロが、遂に登場する。
1体1体 順に呼び出された。
全員 アポリスの将軍用の制服を着用し、両肩からは、エメラルド色に輝くマントを羽織っていた。
他だし変身せず人間の姿のままであった。
「まず最初に、ここニューヨークを含む 北アメリカ担当のビリー将軍」 スポークスマンの紹介と共に、無数のスポットライトがステージ中央の最深部 数段高くなった場所に集中とした。
カーテンが開くと、そこに身長180cm 年齢は20歳代中盤のコーカソイドの男が現れた。
頭の額には、エメラルド色に輝くネクスタル 間違いなくデストロの1人 ビリーであった。
鋭い・・・まるで、飢えた野生の獣(けだもの)が、獲物を狙う瞬間の眼光で、会場内を見渡した。 階段をゆっくり下り 中央ステージの左に、腕を組み立った。
「続きましては、南アメリカ担当のフリオ将軍」
身長175cm 年齢30歳代前半 ヒスパニック系のコーカソイドであった。
ビリーの左に立つ。
「続きましては、東アジア担当の龍(ロン)将軍」
身長160cm 推定年齢150歳を超える モンゴロイドの小柄な老人が姿を現した。 間違いなく日本の孤島基地で、あのキャラン(浩司)を後1歩のところまで追い詰めた あの龍(ロン)であった。
「続きましては、中央アジア担当のシン将軍」
身長170cm 年齢70歳代前半 アーリア系コーカソイドであった。 どちらかと言うとインド系の賢者と言うおもむきであった。
「続きましては、中東担当のギル将軍」
身長175cm 年齢推定220歳を超えると言われる 古代ギリシャの賢人風の老人が現れた。 ギルである。
8大将軍デストロの中心的存在でもあった。
「続きましては、オセアニア担当のダスティ将軍」
身長180cm 年齢50歳代前半 コーカソイドであった。
「続きましては、アフリカ担当のアジス将軍」
身長185cm 年齢40歳代前半 ニグロイドであった。 今やその名を知らぬ者はだれもいないと言われる男であった。
アフリカで問題となっている深刻な部族間対立の調停者となり 部族間での抗争を大幅に減少させたヒーロー(英雄) 今最も神に近い男 と呼ばれていた。 別名ブラックライオンキング(黒き獅子王)とも呼ばれる。
威風堂々とした姿である。 王者の風格を漂わせていた。
「最後に、ヨーロッパ担当のデューク将軍」
身長200cm 年齢30歳代中盤 長身のコーカソイドであった。
デュークが現れると、会場内の女性からどよめきとともに、大きなため息がもれた。
映画の都 ハリウッドの超美形男優・・・ いやそれを超える程の超イケメンであった。
物腰は、まさしく貴族的優雅な振る舞いである。
口元が小さく微笑む 片目を閉じ会場に向かってウインクした。
会場内の至る場所から女性の悲鳴が上がった。
以上8大将軍と呼ばれる 8体のデストロの紹介が終わった。
8体のデストロは、中央ステージに1列に並ぶ。
突然 会場内のライトが全て消えた。 同時に、複数のスポットライトが、8体のデストロが現れた ステージ中央部最深部に集中する。
会場内が、静まり返った。
まず現れたのは、アピリム直属の5体の親衛隊であった。
だが人間の姿ではない・・・ グロテノスに変身しているのか・・・? いや違う 何かが違う これが本来の姿であった。
他のグロテノス同様 頭の額には、赤のネクスタルが輝いている。
しかし色合いが微妙に異なっていた。
こちらの5体の深い深紅の色合いであった。
もはや変身能力を失ったミュータントタイプのグロテノス ミューグロテノスであった。
あの地獄の部隊と恐れられた パーサーカー5(ファイブ)の5体のミューグロテノスであった。
高級士官用制服を着用 深紅のマントを羽織っている。
13日間戦争で、中東での驚異の大活躍が認められ 異例とも言える大出世を果たした。
アピリム自らパーサーカー5(ファイブ)を直属の親衛隊に抜擢した。
そこには、ロイ、そして、紅一点の麻子の姿があった。
今や デストロに次ぐNO3の地位である。
パーサーカー5(ファイブ)は、Uの字型に、階段に並んだ。
同時に、8体のデストロが、階段からステージ中央部最前列まで、2列に並んだ。
いよいよアピリムが登場 迎える準備が整った。
一筋のスポットライトが、ステージ中央部の最深部 階段により少し高くなった場所を照らした。
奥のカーテンが、重々しく開かれる。
8体のデストロが、一斉にステージ最深部に、身体を向けると、片膝を折り 頭を下げた。
現れたのは年齢が、どう見ても20歳前後にしか見えない 若いコーカソイドの男であった。
ゆるやかなウェーブのかかったブロンドヘアーが肩まで伸びている。 身長180cm アポリス最高支配者用の制服を身にまとい 両肩からは、純白のマントを羽織っていた
その姿を見た 会場内のだれもが、思わず息を呑んだ。
余りにも美しい・・・ いや もはや人間としての美しさを 遥かに超えていた。
会場内・・・ いや この模様は、TV、ネットを中心に、全世界同時LIVE中継されている 見た者全てが、畏敬の念を抱かせるような神々しいばかりの・・・ いや神々そのものの美しさであった。
頭の額には、ゴールドに輝くネクスタル 間違いなくアピリムであった。
全く無駄のない均整の取れた身体全体からは、黄金に輝くオーラが発せられているように見えた。
神話の世界で、まさに地上に、神々の1神が、降臨したかのようであった。
優雅に階段を1段ずつ降りる すかさず親衛隊パーサーカー5(ファイブ)の5体のミューグロテノスが、5角形にアピリムをガードした。
先頭は、ミューホーカーロイ。
左右2列に並び、片膝を折り 頭を下げるデストロの間を進む。
ステージ中央のマイクの前に、アピリムが立つと、8体のデストロは、立ち上がり アピリムの後ろに1列に並ぶ。
同時に、5体の親衛隊パーサーカー5(ファイブ)は、そのまま片膝を折り 頭を下げた。
いよいよ アピリム自ら新首都の発表となった。
「我 アポリス最高支配者 アピリムにより 新首都を発表する」
その声は、美しいボーイソプラノの音楽的美しい響きであった。
「新首都は、I国E市」
会場からは、割れんばかり歓声が上がった。
複数の新首都候補の1つに挙げられていたI国E市であった。
世界3大宗教 C宗教、J宗教、I宗教の聖地として知られる 世界でも古い都の1つ 場所は中近東にあった。
E市の語源は、古代ヘブライ語で、 "へそ" を意味する。
その時だった 会場内からけたたましい警告音が鳴り響いた。
敵襲である。
会場内は、どよめく。
「いったい 何事だ!!」 アピリム直属親衛隊 隊長 パーサーカー5(ファイブ)のミューホーカーロイが、近くにいた直属の部下に聞いた。
親衛隊パーサーカー5(ファイブ)の5体には、それぞれ直属の部下がいる。
「はい ロイ隊長殿 上空から敵襲です それも1体」
「何!! 1体の虫けらの侵入を許したと言うのか・・・!!」 ミューホーカーロイは、怒りの表情を露にした。
完璧と言える程の 重厚な警備体制を引いたはず・・・ 上空にも多数のアポリス正規軍の飛行タイプのグロテノスを配置 ニューヨークの周囲には、最新鋭のF22、F35戦闘機を上空を隙なく配置していた。
"簡単に突破は、不可能・・・ 突破出来るのは、この地球上で、2体・・・" ミューホーカーロイの脳裏に、2体の残像が浮かんだ。
「敵 1体 大西洋上から進入 大西洋上に配置していたF22、F35戦闘機各部隊 全機撃墜 複数の飛行タイプのグロテノスの各部隊による防衛線も突破 余りにもスーピードが違い過ぎます。 残るは、ここ上空の親衛隊直属のグロテノスによる飛行部隊のみ」
矢継ぎ早に部下からの報告が上がる。
ミューホーロイは、部下の報告にうなづくと、振り返りアピリムに対した。
「小官が、上空に上がり直接部隊を指揮したいと思います」
アピリムはうなづいた。
ミューホーカーロイは、アピリムに対して敬礼すると、近くにいたミュースキャット麻子を呼んだ。
ミュースキャット麻子は、アピリム直属親衛隊 パーサーカー5(ファイブ)の副隊長でもあった。
「麻子 ここはお前にまかせる アピリム様及びデストロ様達を安全な場所への避難を」
麻子は、大きくうなづいた。
「アピリム様 こちらへ」 麻子が出口へと案内しようとした。
しかしアピリムは、動こうとしない。 8体のデストロも同様である。
全員 不敵な笑みを浮かべていた。
進入してきた1体の正体に気付き これから始まる予定外のショーを楽しむかのような表情であった。
ミューホーカーロイが、上空へ飛びだとうとした瞬間であった。
上空に、やや濃いブロンズ(青銅色)のヒューマノイドタイプの物体が、両腕を組み ホバーリング(空中停止)状態で、ステージのアピリム、8体のデストロを見下ろしていた。
間違いなく B,P-2 ピエールであった。
「ふ・ふ・ふ・・・ お初にお見えにかかります アピリム・・・ 私こそ、天空の神々より使わされた 神々の下僕(しもべ)、神々の正義のナイト(騎士) B,P(バトルプロテクター)-2)
B,P-2は、右腕を伸ばし 右手人差し指をアピリムに向けた。
B,P-2の周囲を遅れて現れた4体の飛行タイプのグロテノス かぶと虫に似たバーカス、コンドルに似たガウルスが2体づつ周囲を取り囲んだ。 4体共 ノーマルタイプのグロテノスであった。
「おーっと 貴様達 雑魚には用はない 今回はアピリムへの挨拶に来たのみ」 B,P-2は、そう言いながらも左腕をLの字型にした。 瞬時に左腕 剣へと変形する。
B,P(バトルプロテクター)の技の1つ エクスカリバーであった。 刃の全体から赤い怪光が発する 高電磁波を発生させた。
B,P-2は、隙なく4体のグロテノスを捉える。
「それとも 今この場で、天に召され 神々の正義の裁きを受けたいのかな?」
「何をぬかすかー!!」 2体のパーカスが、左右から同時に襲いかかった。
B,P-2は、襲いかかる2体のバーカスに対して、エクスカリバーに変形させた左腕を水平に振った。
高電磁波は、赤い光のエネルギーとなり2体のバーカスの腹部を2つに切り裂いた。
B,P(バトルプロテクター)の技の1つ "電磁カッター" であった。
「これぞ、神々の聖なる力 聖剣 エクスカリバーの威力」 B,P-2は、残る2体のガウルスに、エクスカリバーの剣先を向けた。
「何だい!! その程度かい・・・ あのエルが残した超科学の傑作と言われる 戦闘用プロテクター B,P(バトルプロテクター)と言うから さぞすごい威力だと思っていたが、そんな程度かい・・・ 話にもなんねえ・・・」 アピリムの後方で、この戦闘を見ていた 8大将軍の1人 デストロのビリーが、呆れた態度で、B,P-2に対して、挑発的言語を発した。
表情が、少しにやけている。 どうも 今 ここで、B,P-2を挑発して、一戦交えたいらしい・・・。
「ヒリー 少し慎め 今 アピリム様の御前だぞ」 8大将軍の1人 デストロで、最長老であり 中心的人物でもある ギルがたしなめた。
「その通りだぞ ビリー」 8大将軍の1人 デストロのデュークもギルに同調した。
「あの程度の虫けらに、この俺様が負けるとでも言うのか!!」 ビリーは、少しいきりたった。 
「確かに、ビリーの言う通りだ」 アピリムは、重々しく口を開いた。
「その程度の力では、我には、勝てぬ」 そう言うとアピリムは、笑い出した。
「確かに、その通り」 上空から声が聞こえる B,P-2からであった。
「今の私の実力では、アピリムどころか、変身前のデストロと1対1の勝負が限度」
「ならば、何故 ここに現れた?」 ギルが、返答した。
「ただの挨拶のみ」 B,P-2は、はっきりと言い切った。
"B,P-2の装着者は、あのピエール この機会を利用し、全世界に自分の存在をアピールする為か・・・" ギルは、そう思った。
"こざかしいマネをしおって・・・"
「だが 憶えておくが良い 近いうちに、貴様たちネクストノイドを超える神々の正義の力を身につけ 貴様たちネクストノイド・・・ 特に、アピリム、8体のデストロ 貴様たちを 必ず我が主 神々の元へ送り 神々の前へ膝ずかせ 神々の正義の裁きを受けさせてやる」
そう言い終わると、B,P-2は、空中を素早く移動 B,P-2の前に立ちはだかっていた2体のガウルスを 瞬時にエクスカリバーで切り裂いた。
「その時までを楽しみにするが良い」
そう言いながらB,P-2を高速で飛行開始 その姿を消した。
B,P-2を追いかけようとしたビリー、ロイをアピリムは止めた。
「良い ほっとおけ」 アピリムは、マントをひるがえし後ろへ向いた。
「所詮 ホモサピエンス・サピエンス(旧人類)が、B,P(バトルプロテクター)を装着したところで、たかが知れている」
アピリムは、親衛隊 パーサーカー5(ファイブ)を従え 出口に向かって優雅に歩み始めた。
1体 少し物思いにふけているデストロがいた ギルである。
"ピエールのやつ B,P(バトルプロテクター)に隠された秘密 真の力までも知っておるのか・・・? それは、アピリム様と、このわししか知らぬ秘密であるはず・・・ まさかピエールのやつ そこまで知っておると言うか? だれか内通者でも・・・」 一瞬 ギルは、龍(ロン)の顔を見た。
"まさか? 龍(ロン)のやつ 裏で、ピエールと繋がって・・・ いやそれは有り得ぬ だが龍(ロン)のやつ ここのところ不穏な動きが見え隠れしおる 龍(ロン)から目を離す理由には行かぬ・・・"
「何を悩んでおられるのか? ギル爺や」 少し物思いにふけているギルに、デュークが声を掛けた。
「いや・・・ 何でもない」

この日を境に、I国E市で、急ピッチで新首都の建設が始まった。
それは、人類の歴史上 最も荘厳で、威厳に満ちた新首都となる予定であった。
それと同時に、別のプロジェクト(計画)も開始された。
地球上の数ヶ所に埋まっていた 今から1万2000程前に墜落しそのまま破棄された エルと呼ばれる かって我々人類が、神々と呼んだEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)のラグビーボールタイプの超大型マザーシップ(母船)のUFOであった。
掘り出されると、その場所に超巨大な格納庫が建設され 多くの科学者、技術者などが、研究と修復を開始。
一方 地球衛星軌道上の宇宙空間では、数基の超大型の宇宙ドッグの建設が開始されようとしていた。
宇宙ドッグでは、エルの残したUFOの研究データを元に、新たにラグビーボールタイプの超大型マザーシップ(母船)のUFOが建造される予定となっていた。
必要となる各種鉱物資源は、地球の衛星月から採集された資源と、火星軌道と木星軌道の間にあるアステロイドベルト(小惑星帯)の小惑星から採集される資源が利用される予定となっていた。
アホリスでも アピリムとギルしか知らない "大いなる計画" その全貌の1部が、見え始めてきた。
だが、新首都建設を始めとする計画は、思うように進展しなかった。
世界各地 単発的 デモ、テロ・・・見方を変えればレジスタンス(抵抗運動)が頻発した。
多くは、アポリスによる支配を拒絶した者達であった。
ネクストノイドへの改造を受けられず、最下層の階級に、陥れられた自営業者などの1部 ネクストノイドへの改造を受ける権利を所持しているものの 改造を後回しにされ いつ受けられるか解らない特権支配階級の脱落者達であった。
特に、特権支配階級の脱落者達の1部は、凄惨な爆弾テロなどの過激な行動に出た。
その為 世界各地で、社会不安が増大した。
中には、アポリスに変わる新たな特権支配階級の地位を得る為 アポリスの支配に抵抗する勢力に加入する者も現れた。
ほとんど大半が、13日間戦争以前からアポリスと敵対していたヤーナへ加入した。
アポリスの主力生体兵器グロテノス以上の戦闘能力を誇り 数々のアポリス軍との戦闘で、派手なパフォーマンスを繰り広げたピエールの元へ集結し始めた。
ピエールは何と言っても 非の打ち所のない華麗な高学歴を誇り エリート街道を邁進した エリート階級の象徴であった。
ネクストノイドへの改造を後回しされ続けた特権支配階級の脱落者達に取って、憧れのヒーロー的存在となった。
特権支配階級の脱落者達のヤーナへの加入が始まると、ヤーナは、急速に勢力を増大させた。
同時に、今まで、旧島民と、C宗教の異端派の弱小勢力、それらがスカウトした人材だけの少数で、呉越同舟状態でありながらも何とかバランスを保ち まとまっていたヤーナ内部でも 人材の急速な拡大・・・ つまり量的拡大は、内部の質的変化をもたらした。
人材の急速な拡大によって、ピエールを筆頭するC宗教側の急速な勢力拡大をもたらし ヤーナ内での新たな火種となった。




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