LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part2

 だれもが予想しえなかった場所であった。 迎え撃つギルですら 4ヶ所ある基地内への出入り口付近で、最初の交戦が始まると予想し、出入り口付近を重点的に、兵力を配置していた。
ここは、主力のグロテノス兵は、一兵たりとも配備されておらず、主に偵察用の少数部隊しか配備されていない。
偶発的遭遇戦で、最初の戦端が開かれた。
ヤーナ側の1人若い20歳代前半の兵士の暴発が、きっかけであった。
この若い兵士は、公開処刑された準子に、恋心を抱いていた。
20歳代中盤の若作りのファッションで通していた準子の本当の年齢(40歳代前半)を知らず この若い兵士は、自分より少し年上と勝手に思い込み 情熱的恋心を抱き準子に近づいていた。 当の準子の方は、自分の半分の年齢しかない若い兵士を暇つぶし程度の相手としか見ておらず、その気があってないようなそぶりを繰り返し、大人の女が持つお色気フェロモンを撒き散らし まだウブで純情な若い兵士相手に、恋のゲームを楽しんでいた。
恋の場数、キャリアの差は歴然としていた。 準子は、年齢相応に場数、キャリアを積み重ねており 若い兵士など物の数ではなかったのだが、若い兵士は、自分に気があると思い込み 更に気を引こうと、プレゼント攻勢を始め 必死にアピールを繰り返していた。
そんな思いを寄せていた準子の公開処刑場面をモニター画面とは言え 目の前で見せられ、そして、浩司の勝手な単独行動で、敵アジトへ向かうシーンを目撃 即発され 公開処刑された準子の復讐の炎が燃え上がり暴発 周囲の静止を振り切り 近くの軍用バイクで、アジトへ向かって突進してしまった。
数名のヤーナ側の兵士が、そんな若い兵士連れ戻す為 後を追い、何とか追いつき 強引に連れ戻そうした時 偵察中のアポリスのまだネクストノイドへの改造が施されていない新入りで、戦闘経験のない数名の兵士の小隊と遭遇 ここで戦端が開かれた。
敵襲をうけた場合 直ちに救援を呼ぶよう厳命受けていたアポリス側の小隊は、近くに、敵の大規模部隊が待機していると思い込み 大規模な増援を要望してしまった。
近くに待機していた まだネクストノイドに改造を施されていないが、主力の1部隊が救援に駆けつけた。

その様子を 偵察用UFOからのモニター画面で見ていた永井は、待機中の第3班のブラウンに命じて、直ぐに救援に向かわせた。
他だし 敵が主力のグロテノス兵でないのを見極めると、ブラウンに対して、最新鋭のER01Tエネルギーライフルの使用を認めず、今までの軍用ライフルを中心とした小火器類の通常兵器で戦うように命じた。
永井は、偶発的遭遇戦を利用し アポリスの目をそちらに集中させ その隙に人質救出作戦を展開しようと考えた。
基地内にいる 浩司が必ず動く その時がチャンス 変身したグロテノス兵に対して、最新鋭のER01Tエネルギーライフルによる攻撃で、敵の混乱させ、基地内潜入し 一気に人質を奪還する作戦を立てた。

戦端が開かれた場所では、互いに、救援部隊の到着で、戦線が思わぬ拡大 ここで引かず、戦線が膠着状態に陥った 互いに睨み合い状態であった。
これは、ヤーナ側の第3班 予備兵力部隊 隊長のブラウンが仕掛けた戦術であった。
一本道の両側 山の斜面を利用し 各小隊を配置 高所から敵アポリス部隊を狙い撃ちさせた。
縦深陣形である。
アポリス側も 直ぐ兵を後退させ布陣 互いに睨み合いの状態になった。
縦深陣形に誘い込んだブラウンは、この人質奪回計画をよく理解していた。
更に増援部隊として、1部グロテノス兵を主力した部隊が必ず来ると読んでいた。
グロテノス兵が出現すれば、新型のER01Tエネルギーライフルを使用する 他だし本格交戦は避け、敵アポリスに合わせ 一定の距離を保ちながら 前進と後退を繰り返し 消耗戦の模様を作り出し、敵アポリスの目を集中させ、敵アポリスの兵力を分断させようと考えていた。

そんな状態を打破する為 ギルは動いた。
「直ちに、近くのグロテノス兵で構成している1部隊を 現場に向かわせ、制圧させろ グロテノスへの変身を許可する」 ギルの司令が飛んだ。
一部始終を黙って聞いていたキャラン(浩司)は思った。
"何をやっているんだ・・・" このタイミングで、ここで戦端を開いても意味が無い。
基地内部で、キャラン(浩司)自身が、最初の戦端を開き 基地内で暴れ 相手の注意を引き もう1つ別の場所で陽動部隊が、それに合わせ戦端を開き 敵を2つに分断 本隊は、タイミングを計り基地内へ進入 人質奪還を図る。
これでは、当初と言うべきか、この状況下で即効で考えた浩司のプラン(作戦)が意味がない。
しかし 突然の状況変化でもキャラン(浩司)は、即対応した。
1匹狼的の資質を持ち 常に瞬時の自己判断をしなければならない典型的自営業の家庭で生まれ育ったキャラン(浩司)らしい一面であった。
これが、サラリーマン、もしくはサラリマーンの家庭で生まれ育った人には出来ない芸当である。
常に会社、上司の顔色ばかり伺い、報告 命令が降りるまで、何もせず待つ事しか出来ない。
キャラン(浩司)は、行動を起した。
モニター画面を観ながら 刻一刻変化する戦場を注意を払い、次々と司令を出すギル つまりキャラン(浩司)への注意が疎かになっていた。
キャラン(浩司)は、瞬時に戦闘モードに入った。
身体全体に、レジェンスの無限のエネルギーが駆け巡る。
無造作にテーブルに置かれていた 取り上げられていたS&W M29 44マグナムを高速の動きで取り戻すと、右手で銃を構え、左手でハンマーを素早く引いた シングルアクションの構えである。
銃口をギルに向けた。
「お忙しいところ悪いが、人質は返してもらうぜ」
「そんな物 わしに通用すると思うのかね」 ギルは、横目で銃を構えるキャラン(浩司)に向かって言い放った。
「さあーねー 試してみるか・・・」
そう言いながら キャラン(浩司)は、トリガーを引いた 銃口が火を噴く 狙いはギルではなかった ギルの周囲の計器類であった。
発射と同時に、銃を持つ右腕が、反動で大きく跳ね上がる 素早く銃を構えなおし左手でハンマーを引きシングルアクションで、もう2発連続で発射した。
狙いは正確であった。 命中したギル周囲の計器類は、銃弾によって穴が開き そこから火花が飛び散る。
レジェンスのエネルギーを利用した マグナムアタックなどのエネルギー弾を利用しなかったのには、理由があった。
コントロール不能の驚異の無限のエネルギーである 下手するとマグナムアタック1発で、基地ごと消滅させかねない。
1部計器類の破壊により部屋全体を包み込んでいたバリヤーが消滅した。
キャラン(浩司)は、素早くS&W M29 44マグナムを左脇のショルダーホルスター入れると、右腕をギルに向かって突き出し 手首を立てた マグナムアタックの構えである。
「おっと 動くな この構えの意味理解るなあー この至近距離で喰らったらあんたでさえタダじゃ済まないだろう・・・」 キャラン(浩司)は、鋭い目つきで、ギルを睨んだ。
「キャラン(浩司)君 君1人で力で何が出来ると言うのかね? 君の所属しているヤーナは、この地で全滅する事になる 我々アポリスの力を見くびっては困るなあー」
ギルは、不敵な笑みを浮かべた。
「今 ここでそんな強力なエネルギー弾を撃ったらどうなるか? そんな事も理解出来ん君でもあるまい エネルギー量をコントロール出来ん君じゃ わしを消滅させる程の強力なエネルギー弾を撃てば、この基地共に吹き飛ばしてしまう そのような事をすれば、人質、人質となっている君の最愛の彼女も終わりじゃよ」
キャラン(浩司)は、突き出している右手の平に、エネルギーを集中するそぶりを見せた。
「それはどうかなあー 俺もヤーナもそんなにバカにしたものじゃないぜ、ここで試してみるか?」 キャラン(浩司)は、そう言い放った。
ギルは、少し顔を横に向け 目を閉じ 不敵な笑みを浮かべ 少し笑い声を上げた。
「そんなコケ脅し わしに通用すると思うのかね 君には、出来んよ」
キャラナ(浩司)は、この一瞬を逃さなかった。
この隙を突き 忽然と姿を消した。
瞬時に、高速で移動した。 しかしこの程度スピード デストロであるギルには、見切れる程度のスピードでしかなかった。
"やつの能力は、この程度か・・・" ふっとギルは思った。
"やはり思い通りにコントロール出来んみたいじゃのうー・・・" この程度の能力、スピードなら キャラン(浩司)を取り逃がす事はなかった。
だがあえて取り逃がした。
ギルは、キャラン(浩司)を人質をエサに、基地内部に入れたのには、もう1つ理由があった。
それは、ある物 つまりB,P(バトルプロテクター)を取り出す為であった。
2つのB,P(バトルプロテクター)強力なシールドに覆われ B,P(バトルプロテクター)を装着しなければ、シールドを解除すると事が出来なかった。
しかし キャラン(浩司)出現後 エルのコンピューターの1部データ アクセス拒否が解除され もう1つ取り出す方法が、見つかった。
理由は不明だが、2つのB,P(バトルプロテクター)が保管されている大型ラグビーボール型マザーシップの至近距離、もしくはマザーシップ内で、レジェンスの融合者が、戦闘モードに入り 敵対行動を取ると、シールドが緊急解除され、2つのB,P(バトルプロテクター)が、取り出す事が出来ると言う事であった。
B,P(バトルプロテクター)を取り出し、1つはアピリムに献上、もう1つをギル自身装着すれば、無敵のパワー、エネルギー、能力を身に着けつける事が出来る。
B,P(バトルプロテクター)は、装着者の能力をケタ違いに高める。 無限のエネルギーを持つレジェンス 確かに魅力的であった B,P(バトルプロテクター)以上のエネルギーを持つ だがしかしレジェンスは、融合者自身その驚異のエネルギーをコントロールする事が出来ない。
放出するエネルギー量ですら 常に不安定である。
コントロール出来ない物など不要の長物でしかない。
B,P(バトルプロテクター)を取り出し 装着すれば、レジェンスと融合していても そのエネルギーをコントロール出来ないキャラン(浩司)など敵でないと思っていた。
「直ちに 反物質反応炉を緊急停止させろ、電力、エネルギーは、全て外部からの送電線ケーブルに切り替えろ」 ギルの司令が飛んだ。
基地内での戦闘である 前回の龍(ロン)の失敗の教訓である。 反物質反応炉が暴走し基地ごと吹き飛ぶ事態を避ける為であった。
キャラン(浩司)は、忽然と基地内の一画に姿を現した。
基地内の詳細な図面を頭に叩き込んでいたのだが、どうもその図面に画かれている捕虜用の牢獄の方向からみなっちの気配が感じ取れなかった。
ヤーナのスパイが持ち出した基地の詳細な図面 意図的に1部書き換えられトラップ(罠)が仕掛けられているのではないか? そんな気がした。
左脇のショルダーホルスターからS&W M29 44マグナムを抜くと 右手 親指でハンマーを引きシングルアクションにした。
銃をグリップを両手でしっかり固定 かすかに感じるみなっちの気配のする方向へ向かって、慎重に歩み始めた。
途中 基地内の警備を担当する 2人の兵士と出くわした。
頭の額には、赤いネクスタルが無い まだ改造を施されていないホモサピエンス・サピエンスであった。
素早く動くと、まず左側の兵士のみぞうちに、左手の拳を叩き込んだ 同時に右側の兵士の後頭部に、銃のグリップ部分を叩き込んだ。
2人の兵士は、意識を失いその場で倒れこんだ。
兵士の持つ 高電流を発するバントを1つ拝借すると、腰のベルトに差し込んだ。
後ろに人の気配を感じた。
素早く後ろに、振り返り銃を向けた。
「フリーズ!!」 両手で、グリップを固定し、トリガーに掛かる右人差し指に力が掛かる。
そこには、まだ改造を施されていない ホモサピエンス・サピエンスの一般兵士の戦闘服を着る 1人の女性兵士が立っていた。
銃口を向けられても 表情1つ変えない。
モンゴロイド・・・ 間違いなく日本人であった。
身長は、約162cm程度か? 髪は、肩程度までのセミロング 年齢は、30歳台後半か? 妙に落ち着きのある そうどちらかと言うと 和、雅と言うべきか? 現代日本人の女性が失ってしまった 古典的艶やかな優美さを醸し出す 純日本的美人であった。
「お待ちしておりました 和田評議員待遇様」 雅な口調であった。
まるで殺気を感じない。 しかし浩司は、警戒を解かなかった。 ここで敵の懐 基地内である。
「だれだ?」 浩司は、銃口を向けたまま言った。 浩司が、評議員待遇であるのは、ヤーナでも 聖なる場所勤務者と、地上でも少数のスパイと、幹部クラスの1部しか知らない秘密であった。
もちろん敵対するアポリスでさえ つい数時間前まで、浩司が、ヤーナに所属した事ですら知らなかった。
「私は、百合(ゆり)と申す者」
百合と名乗る女性は、軽く目を閉じ少し頭を下げた。
「私は、あなた様と同じくヤーナに属する 対アポリス潜入スパイの1人」
「何か 証拠でも・・・」 半信半疑の口調で、浩司は聞いた。
百合は、ゆっくり左腕を前に出し 右手で、左腕の袖口を少し引いた 左腕には、浩司と同じブレスレットタイプのSVL通信機がはめてある 他だし女性用の少し細いタイプである。
「これで信じていただけるでしょうか?} 丁重な口調で百合は聞いた。
ブレスレットタイプのSVL通信機は、ヤーナ内でも 浩司の様な最高幹部クラスと、川村のような地上勤務でも、特に優秀なスパイにしか与えられていない ヤーナ最高機密の1つであった。
「もしお疑いなら コールナンバーY2382-S8733を呼び出して下さい」
浩司は、ゆっくり右手親指を銃のハンマーに押し トリガーをゆっくりと引き ハンマーを元の位置へ戻した。 右手人差し指で、S&W M29 44マグナムを数回転させ 左脇のショルダーホルスターに戻す。
数週間前の事であった。
聖なる場所の自宅で、久し振りの休日 みなっちと2人 のんびり過ごしていた時 突然 ある人物が訪ねてきた。
それは、川村であった。
川村は、今回のヤーナ始まって以来の最大の作戦に、現在の担当地域 中東で、大掛かりな側面支援の陽動作戦を行う為 その準備に一時 聖なる場所へ戻り 準備が出来次第 中東へ戻る事となっていた。
僅かな時間を割いて、浩司とみなっちを訪ねてきたのだ。
その時 川村を始め数名しか知らない極秘情報を浩司に教えた。
「旦那 実は、今度の作戦で、目的の基地内に、あっしのフィアンセ(婚約者)が、スパイとして潜り込んでいましてねー 知っているのは、あっしと、ピエールのおっさんと、諜報部主任のコネリーの3人だけなんですが、もちろんマークじいさんや、他の評議員も知らない秘密なんで・・・ ・・・基地内に進入した時 きっと旦那のお役に立つはず、自慢じゃないですが、あっしのフィアンセ(婚約者) スパイとして、かなりの凄腕でしてねー ・・・名は百合 女性用のSVL通信機を左腕しています コールナンバーY2382-S8733 絶対に忘れないで下さい・・・」 川村からもたらされた情報であった。
「川村のフィアンセ(婚約者)の・・・」 浩司はつぶやいた。
「はい 百合とお呼び下さい」
「あっしのフィアンセ(婚約者) 結構美人でっせ・・・」 川村のにやけた顔が思い出した。
写真、似顔絵すら見ていない 話だけで、実物とのいきなりの初対面であった。 少々戸惑いの表情を見せた。
女性に、こんな丁重の言葉をかけられた経験の無い浩司であった。
恋人のみなっちですら、いつもわがままで、甘えた口調か、ガミガミ文句ばかり言われていた。
"だれが、そんな女にした、だれが悪いんじゃわい!!" (怒) (みなっち談) "・・・" (浩司談)
「さあー こちらへ貴方様の彼女、人質になっている方々は、こちらです」 百合は丁重に手招きした。
浩司が、みなっちの僅かな気配を感じていた方向であった。
浩司は、ショルダーホルスターから銃を抜いた。
シリンダーを外し 残りの弾数を確認した 残り3発 スペアのスピードローターは所持していない。
空になった薬莢を捨て シリンダーをフレームに戻し 右親指で、ハンマーを引き シングルアクションにする。
「さあー 急いで和田評議員待遇様」
「浩司でいい」 浩司は、百合の手招きする方向へ進み始めた。
「浩司様・・・」
「様はいらない」
「では、浩司さん 現在この基地内は、知っての通り最高レベルの戦闘態勢に入っており 各重要ポイントは、多数の変身したグロテノス兵により厳重に警護されております」
「変身だと・・・」 浩司は、つぶやいた。
反物質反応炉をメインエネルギー源する基地内では、グロテノスが使用する強力なエネルギー兵器は、エネルギーなどの逆流で、暴走、自爆の可能性がある よって基地内の変身、エネルギー兵器の使用は禁止されていた。
これでは、基地内でのグロテノスよる戦闘が行えない。
浩司ですらレジェンスのエネルギーを利用した戦闘モードに入っても マグナムアタックの構えだけで、使用せず 44マグナム弾を使用した。
反物質反応炉が暴走を起し自爆すれば、龍(ロン)の孤島基地の二の前である。
「現在 この基地内のエネルギーは、地中奥深く埋められている送電線により エネルギーの供給を受けています。 よって基地内でもグロテノス兵は、自身が持つ強力なエネルギー兵器を使用出来ます」 百合は振り返り答えた。
基地内での戦闘を可能にする為の措置であった。
敵は、ホモサピエンス・サピエンスである 何ら防御手段を持たない エネルギー量を相手を殺す程度まで絞込み使用すれば、被害も最小限度に抑えられる。
百合は、突然歩みを止めた。 この先は、十字路となっていた。
「この十字路を左に回った場所に、大きな空間があり その先に、牢獄へ通じる通路があります」 百合は、意を決した表情となった。
「ここに、先程 ギル直属の親衛隊 ブラックナイト(黒騎士)4人集が配備されました。 グロテノスの中でも選り抜きで、更に改造が加えられ数段パワーアップしておりまり かなり手強い存在です。 私が囮になります その隙に 正面 右から3番目の通路へ進んで下さい。 その先に牢獄があります」
百合が進もうとする所を浩司は止めた。
「いや 俺が行く」 そう言いながら浩司は、銃のハンマーを元の位置に戻し ショルダーホルスター入れ 肩からショルダーホルスターを外した。
「これを持っていてくれ」 浩司は、銃の入ったショルダーホルスターと先程拝借した高電流を発するバントを百合に手渡した。
「私が行った方が、相手が油断します」
「俺の能力 川村から聞いているだろう・・・ ここで隠れていてくれ」 浩司は、そう言いながら百合の前へ出た。
浩司は、振り返り百合を見ながら言った。 「それと俺が戦闘を開始したら SVL通信機で、コールナンバーQ2325-Z9213 コールサイン50だ」
そう言い終わると、浩司は、十字路へ出た そして、左へ回った。
このコールナンバーは、永井の物であった。 そしてコールサインは、戦闘開始を意味した。
浩司が、基地内で戦闘を開始したと永井に伝える為である。
ここで暴れだせば、4ヶ所の出入り口周辺の警備が手薄になるはず、後は、永井の救出部隊が、タイミングを計り突入してくれる。
直ぐ広い空間に出た。 野球場のグランドの広さはあるだろう。 正面には黒を基調した色のグロテノスが4体 腕を組み、一列に並んで立っていた。
前回対戦したリンの様なハイパーグロテノス程ではないが、かなり前 死火山で対決したグロテノスのパワーアップしたタイプより上だと感じられた。 ハイパーグロテノスに近い。
「ようやくお出ましか、キャラン(浩司)」
正面 右から2番目のかぶと虫に似た"バーカス"が1歩前へ出て言った。
"こいつは、パワー系で、飛行能力有か・・・" ふっとキャラン(浩司)は思った。 過去対戦経験は、死火山での1回。
龍(ロン)の孤島基地から盗み出したCD-RWの情報の中に、各グロテノスのタイプ、特徴、主要武器(技)など、細かく記されており 全てを頭に叩き込んでいた。
1番右が、チーターに似た"テーメム" このタイプは、1度対戦経験がある スピード系 右から3番目が、熊に似た"ベアード" こちらは、バーカス同様 パワー系 そして、1番左が、かまきり虫に似た"ダガト" こちらは、飛行能力有で、両手の鎌を自由自在に変形させ、相手を切り刻む 切り裂き系とでも呼ぶべきか? 準子を公開処刑した1体であった。
キャラン(浩司)は、立ち止まると、左足を少し前に出し 身体をやや左に向け構えた。
レジェンスのエネルギーを利用した 戦闘モードに入っている 更にエネルギー量を高めようした。
先程まで、最低レベルまで下げていた。
このレベルでは、とても戦闘は不可能だ。
戦闘可能なレベルへ上げれば、エネルギーコントロール不能状態になる。
下手すれば、暴走を起し この宇宙を消滅しかねない。
キャラン(浩司)自身 エネルギーのコントロール出来ない。 エネルギー量は、レジェンスの気まぐれでしかない。
しかし エネルギー量が、まるで上がらない。
"このまま戦うしかあるまい・・・" そう思いながらキャラン(浩司)は、先に動いた。
動きが、鈍過ぎる。 普通のホモサピエンス・サピエンスよりマシな程度でしかない。
「ここは、俺が・・・」 熊に似たベアードが、前に出た。
両者 両手を組合わせた パワー勝負に出た。
身長2mを優に超え 体重300kgを超えるパワー系グロテノス ベアード 全身真黒な毛に覆われている。
対するキャラン(浩司)は、身長173cm 平凡な中肉体型 しかしレジェンスと融合しており そのエネルギー量は無限であった。
ベアード程度のパワー 戦闘モードに入っているキャラン(浩司)の物の数でもないはずであったが、先程から、かなり様子が違っていた。
どんなに集中しレジェンスのエネルギーを上げようとしても、全く上がらない 最低レベルしか供給されない。
ベアードは、身長差、体重差を利用し キャラン(浩司)に覆いかぶさるようなってきた。
更にパワー上げようと、頭の額の赤いネクスタルが光る。
ベアードは、キャラン(浩司)に、顔を近づけた。
凶暴で、鋭利な牙をむき出し 「噂に聞く 貴様のパワー、戦闘能力は、この程度か・・・」 少しヨダレを垂らしながら言った。
この体勢 どう見ても キャラン(浩司)のパワー負けに見えた。
その時だった。
胸のペンダント レジェンスからの無限のエネルギーが、ようやく上がり 身体を駆け巡り始めた。
同時に、キャラン(浩司)自身 かすかだが、身体から淡い白い光が発光する。

この戦闘をモニター画面に、特殊な処理を施し見ていたギルは、薄く笑った。
「ようやく本気を出すかのう・・・」
「いいか 残らず全てのデータを収集しろ!!」 周囲にいる部下達に命令を飛ばした。

歯を食いしばりキャラン(浩司)は、ベアードを押し返し始めた。
ベアードの顔が歪む パワー系グロテノス 更なるパワーアップで、もはや上位のネクストノイド以外 パワーだけなら敵がいないはずであった。
一瞬の隙を突き キャラン(浩司)は左足前蹴りをベアードの腹に叩き込んだ。
強烈な蹴りに、組み合っていた両手は外れ ベアードは、宙を舞い 小さなアーチを画き地面に叩きつけられる。
一息つこうとするキャラン(浩司)の背後に、かまきり虫に似たダガトが、回りこんだ。
主要武器である 両腕を鎌の形に変形させ、背後から切りかかった。
瞬時に避ける。
ダカトの両腕を鎌が、そのまま地面に突き刺さった。
素早く抜こうとした瞬間 キャラン(浩司)は、振り返りながら右回し蹴りを頭部へ蹴りこんだ。
同時に地面に突き刺さった鎌が抜けるも 身体は、そのまま地面に叩きつけられた。
すかさずチーターに似たテーメムが、襲い掛かった。
鋭利な両手の爪を30cm程に伸ばした。
キールネイルと呼ばれる技で、どんな物で切り裂く、少しジャンプすると、やや上からキャラン(浩司)に切りかかった。
瞬時に避け 左肘をLの字にテーメムの背骨に叩き込む。
そのままテーメムも地面に叩きつけられる。
いつものキャラン(浩司)と、違っていた。
いつもならかなり手抜きをし 相手を殺さない様 手加減する。 だが今 そんな余裕はなかった。
みなっちを始め 人質の救出を最優先し、こんな場所で無駄な時間をかけたくなかったのも事実であったが、レジェンスのエネルギー量が、常に不安定であるのは、いつもの事であるのだが、今 強引に上げていた。
いつも無限に上昇し、暴走を起す危険性と隣合わせ 全くコントロール出来ないのに、今回は、意識的に高めようとしなければ、最低レベルへ落ち込んでしまう。
最低レベルでは、4体のグロテノスには、勝てない。
早めに決着を付けたかった。
「なかなか やるもんだなあー」 薄笑いを浮かべながら まだ残っていた かぶと虫に似た バーカスが言った。
「だが この俺様に勝てるかなあー 最新最強タイプとなった この俺様に・・・」 バーカスは、そう言いながら ものすごい勢いで、キャラン(浩司)に向かって、突撃してきた。
頭を少し下げ、頭から生える角をキャラン(浩司)に向けた。
角の先は、かぶと虫同様 2つに分かれており 分かれている部分が、高速回転を始めた。
ドリルキラーと呼ばれる技である。
高強度な物質でも瞬時に抉る。
しかしキャラン(浩司)は、逃げようとしなかった。
レジェンスのエネルギーを両手に集中させ、表面にバリヤーを張った。
角を前に突き出し 突進するバーカスの高速回転する角を両手で、掴んだ。
高速回転する角は、キャラン(浩司)の両手で握られ回転が止まり 突進も受け止められた。
キャラン(浩司)は、右足を後ろに引き 踏ん張ると気合を入れる声を上げ バーカスの角を握ったまま持ち上げられた。
「そんなバカな・・・」 持ち上げられたバーカスは、叫んだ。
「うおりゃー・・・」 キャラン(浩司)は、気合を入れた声を上げながら バーカスを投げ飛ばした。
数回転しながら、バーカスは、背から地面へ叩きつけられた。
最初に起き上がったテーメムが、再度爪を伸ばし キールネイルで、キャラン(浩司)に切りかかった。
瞬時に、テーメムの動きを察知し、キャラン(浩司)は、右回し蹴りを繰り出した。
テーメムの長さ30cmに伸びたテーメムの爪を右回し蹴りでへし折ると、右足地面着地と同時に、左後ろ蹴りをテーメムの腹部に蹴りこんだ 強烈なキックを喰らったテーメムは、起き上がろうとしたダガトに激突 2体は、そのまま遠くへ飛ばされた。
起き上がったベアードは、キャラン((浩司)に、狙いを定め 大きな口を開けた。
ベアードホーンと呼ばれる強力なエネルギービームを 口から発射した。
それに気付いたキャラン(浩司)は、右手をベアードに向かって突き出し 手首を立てた マグナムアタックの構えである。
右手 手の平の前に、エネルギーが集中し小さな球体が出来る。
球体を向かってくるベアードホーンに向かって、発射した。
2つの強力なエネルギーは、中間点で激突 だが、キャラン(浩司)の放ったマグナムアタックの方が、強力であった。
ベアードの放ったベアードホーンを押し返しながらベアードに命中 2つの強力なエネルギーをまともに喰らったベアードは、そのまま爆風を上げ木っ端微塵に吹き飛んだ。
その衝撃力は、すさまじく 衝撃波(ソニックブーム)は地面を大きく揺らた。

その頃は、UFO内で待機していた永井は、百合からのコールサイン50を受信していたが、送信したコールナンバーに、見覚えがなく、マークに問い合わせていた。
たまたまマークの近くにいた情報部主任のコネリーが、このコールナンバーは、この基地内の潜入スパイの物だと教え マークは、それを永井に伝えた。
永井は、浩司が、この基地内で、このスパイとコンタクトし 何らかの事情で、自らのSVL(超光速通信)通信機で、コールが出せず、このスパイに頼んだと思い 待機していた第1班全員に突撃準備を命じた。
きっと次に、何らかのアクションが敵基地からあるはずと思い。 それを待った。
当初 同時に、A-1からA-4までの4つの出入口を同時攻撃、同時制圧する予定であったが、当初の予定に狂いが生じていた。
ブラウン率いる第3班からの救助要請であった。
一本道の両側の山の斜面を利用し 縦深陣形を引き 敵の動きに合わせ一定距離を保ちながら前進と後退を繰り返し 消耗戦に引き込んでいたが、変身したグロテノス兵 1部隊が到着 戦線に加わると状況が、一変した。
飛行可能なグロテノス兵の大半は、偽の情報で、太平洋上の孤島に向かい この周辺には、全く配備されていないと思っていた。
地上戦のみで戦った古来と違い、現代戦では、制空権が重要である。
制空権を取られると、どんな強固な陣形も上空からの攻撃で、各個分断、各個撃破対象にされる。
この時点 ヤーナには、航空戦力は、全く存在しなかった。
地上部隊のみである。
ヤーナが所持するUFOは、武器が搭載されておらず、元々荷物などの運搬用でしかない。
増援に来た この1部隊 計15体からグロテノス兵のうち8体は、飛行可能なタイプであった。
この部隊のグロテノス兵 全てノーマルタイプのグロテノスであったが・・・
コンドルに似たガウルスが4体 くわがた虫に似たアギトが4体が含まれていた。
この8体共 バードアイと呼ばれる特殊な目を持ち上空から物の識別能力に優れ 動物が発するわずかな熱も感知出来る。
8体は、上空に舞い上がると、このバードアイを利用し、山の斜面を利用し 3名ずつの小隊に分かれ 木の幹などに隠れていたヤーナ側の兵士達に、上空からガウルスは、口ばしからパルス状のエネルギービームであるパルスレーザー、アギトは、頭に生える2つの角の先から 強力な熱光線アギラビームを 正確無比のピンポイント攻撃で、浴びせ始めた。
ヤーナ側もすかさず、ER01Tエネルギーライフルに切り替え 上空の8体のグロテノスに対して、反撃を開始した。
しかし高速で自由に動き回る グロテノスに命中させるのは、困難を極めた。
最初は、強力なエネルギービーム、小さなエネルギー弾を 地上から浴びせられ 動揺した8体のグロテノスであったが、地上で戦況を見守っていた残り7体の亀に似たカータルに、この部隊の指揮官からの命令が下った。
両肩の甲羅が上下に開き 2門の銃身が伸びてきた 強力なエネルギー弾を発射する ボンバーキャノンと呼ばれる武器であった。
正面両側の山の斜面から 上空へ向かって発射される エネルギービーム、小さなエネルギー弾の発射ポイントへ向かって、一斉にボンバキャノンが火を噴いた。
2門の銃身から発射される 2発の強力なエネルギー弾 撃つたびにエネルギーチャージにある程度時間を要したが、威力はすさまじかった。
命中地点から きのこ雲が上がり 両側 山の斜面のあちらこちらから 断末魔の悲鳴が上がった。
カータルからの強力な援護射撃に、上空を飛ぶ8体のガウルス、アギラは、態勢を建て直し 上空、地上からの猛烈な反撃を浴びせ始めた。
直撃を喰らった場所では、頭だけが吹き飛んだ死体、全身が炭化した死体 手や足がもぎれ苦しむ兵士、腹が割け内臓が飛び出し 半狂乱となりながら飛び出した内臓を必死に腹に戻そうとする兵士、両目が潰され母親の名を叫びながら必死に助けを求める若い兵士など、各地点で地獄絵図化していた。
浩司の懸念が的中した。
余りにもグロテノスの戦闘力の過少評価であった。 それと新型ER01Tエネルギーライフルの性能を過大評価 もう1つは、現在戦闘が行われている場所を含め 基地を中心に、半径50km:圏内は、数日前から 全ての人々の立ち入り禁止、上空の飛行禁止空域に指定され グロテノスの強力な破壊力を存分に発揮出来る環境であった。
警察、自衛隊などが、全ての道路を閉鎖し 上空には、ヘリを中心とした部隊が、侵入者を拒んでいた。
大多数の地球人類に、この戦闘を知られたくないアポリスの思惑が、功をそうしていた。
もはや日本は、アポリスによって裏からの支配下に治められつつあった。
劣勢に立たされたヤーナ側の第3班指揮官ブラウンは、態勢の建て直しを計った。
このまま各所に兵を点在させていては、各個撃破の餌食である。
ブラウンは、巧みな用兵で、山の両側斜面にいた 残存兵を斜面ごとに一ヶ所に集め 半数を上空から攻撃するガウルス、アギトへの攻撃に対処させ、残り半数を地上から攻撃するカータルに向けさせた。
この時 ブラウンは、用兵家としての非凡な才能を見せた。
この戦力集中は、ある程度効果を発揮した。
地上からの弾幕によって、ガウルス、アギトは、思い通りの攻撃が出来なくなり 地上でも 集中砲火により カータルの狙い思うように付けられなくなった。
特に、カータルのボンバーキャノンは、2門の銃身から同時に、2発発射する 発射後 エネルギーチャージにある程度時間を要した。 その時間を突かれた。
だがブラウンも このままの戦闘継続が、不可能である事に気づいていた。
戦闘力など劣勢である タイミングを見計らい撤退を考えていた。
現状では、敵の動きを止めるが限度で、撤退する余裕がなかった。
下手に撤収を開始すれば、弾幕、集中砲火の効果が薄れ 殲滅の危機に立たされる。
そこで、ブラウンは、撤退する為の 救援部隊の派遣を永井に要望した。
ブラウンの要望を聞き入れ、永井は、手持ちの4部隊の1つを 救援に向かわせた。
ブラウン率いる第3班を このまま見殺しにする事が出来なかった。
だが、1部隊を救助に回した結果 永井のプランに狂いを生じさせる結果をもたらした。
同時に、4ヶ所の出入口制圧の予定が、1ヶ所 A-3ポイントへ回す部隊を欠いてしまった。
救援部隊の到着により ブラウン率いる第3班は、救援部隊の援護によって、救援部隊と共に、何とか戦線離脱した。
アポリス側の指揮官も ヤーナ側の撤退の動きに合わせ 部隊全員に、深追いを禁止した。
深追いすれば、必ず敵の返り討ちにあい総攻撃を喰らう。 戦争の基本を良く心得ていた。
そもそも偶発的に起きた 遭遇戦である 無用な戦線拡大は慎むべきであった。
この戦闘で、ヤーナ側の死傷者は、ほぼ半数に達し アポリス側の死傷者は、約25%であったが、これは、まだグロテノスに改造を施されていない ホモサピエンス・サピエンスであった。
しかしアポリス側を驚愕させたのは、ヤーナの新兵器 ER01Tエネルギーライフルの威力であった。
この戦闘に参加した15体のグロテノス全員 負傷した。 戦闘不能の重症を被ったグロテノスこそいなかったが、手足などに、深い傷を覆っていた。 高強度を誇るカータルの甲羅でさえ傷がつく威力であった。
現在の通常兵器、小火器類では、グロテノスにかすり傷1つ付ける事が出来ない。
現在の兵器では、劣化ウラン弾か、強力な破壊力を誇る核兵器以外 有効的な武器はなかった。
驚異の生体兵器であるグロテノスに対して、戦死者こそでなかったが、深い傷を負わす事の出来る エネルギービーム、エネルギー弾を発射出来る有効的武器を所有したヤーナのテクノロジーに驚愕した。
アポリスは、ヤーナに対して、新たな対策を求められる事となった。
だが、この戦闘に関しては、アポリス側の勝利であった。

ブラウンへの救助部隊を派遣し 直ぐに、永井に、百合からのコールサインが、SVL(超光速通信)通信機に届いた。
コールナンバーに見覚えなく マークに問い合わせ 敵基地内に潜入するスパイの物と解ると、永井は待った 必ず次ぎに、浩司が何らかのアクションを起すと思った。
聖なる場所での戦闘訓練で、浩司の単独行動には、目に余る物があったが、しかしこの単独行動は、浩司の計算が入っているのに、永井は、気付いていた 自分がこう動けば、敵がどの様な行動を取り 味方がどう動くか計算しての単独行動であった。
必ず浩司が、こちらの突撃しやすくする 何らかのアクションを起すはず・・・ 永井はそれを待った。
直ぐに、敵基地内からのアクションがあった。
敵基地のある山の揺れを観測した。
それは、浩司の発ったマグナムアタックの威力により発生したソニックブーム(衝撃波)による震動であった。
"浩司さん 派手に戦闘を開始したなあー 今こそチャンス・・・" そう思い 永井は動いた。
「いいか、野郎ども よく聞け 今我々の仲間が、あの基地内で、救助を首を長くしてまっている 今こそ我々の出番だ!! さあー行くぞ 野郎ども 我々の熱きビート あのクソ怪物どもに食らわせてやれー!!」 永井の命令が飛んだ。
一斉に待機していた 第1班の3部隊から歓声があがった。
この時 1部の小隊の隊長クラスの間に、浩司がよく取る 呆れたポーズをマネする者がいた。
「熱いねー 我々の司令官 熱きロックンロールの持ち主だせ・・・ ここはライブハウス・・・?」 などと口走ったが、次ぎあった。
自分の指揮する隊に対して、「いいか 俺に遅れるなー 遅れたやつは銃殺だ!! やつらの"表記禁止用語、放送禁止用語"に弾を食らわせてやれ・・・」 などと発した。
更に兵士の間から 歓声が上がった。
この様子をみていたマークは思った。
"リーダー性が無く 直ぐ単独行動取る浩司殿じゃが、変な所だけリーダー格じゃのうー 困ったものじゃ" ふっと思った。
変に皮肉を言う、呆れたポーズを取るなどが、1部 兵士の間に流行していた。 この原因を作ったのは、言わずと知れた男である。
"・・・" (浩司談)
待機していた 複数のUFOが緊急発進した。
それぞれA-1、A-2、A-4ポイントへ向かう。
僅か数秒で、到着 透明化したまま複数の下部ハッチが開かれる。 そこから何本ものロープが下ろされた。
地上まで7mからのロープを使っての降下であった。
まず真っ先に降下したのは、特殊部隊出身 猛勇を誇る 永井最高司令官自らであった。
降下する直前 「さあー 待ちにまったライブの始まりだ 野郎共 俺に続け・・・」
地面に着地と同時に右肩にかけていたER01Tライフルを肩から降ろし構えた。
隙のない動き 両目で周囲を鋭く観察し、五感を研ぎ澄ました。
周囲には敵がいない様子である。
警戒を怠らず、左手で、大きく合図する。
その合図に合わせ 複数の透明化しているUFOからロープが降り 次々と兵士が降下を始めた。
12人の兵士を3人ずつの小グループに分け 周囲の偵察にあたらせた。
永井の降下したA-1ポイントの他 A-2、A-4ポイントから連絡が入った。
A-2、A-4ポイントも敵からの襲撃を受けず、無事 全員の降下に成功と言う報告が入った。
無気味な程の静けさであった。
各ポイントから 敵基地の出入口まで、直線で30m
先発部隊から連絡が入った。
それぞれの出入口には、武装した まだネクストノイドへの改造の施されていない兵士が4人ずつ警備していると言う。
歴戦の強者(つわもの)である永井は、この無気味な静けさが、妙に感じていた だれかに観察されている不安感に襲われていた。
"マーク議長や、浩司さんの言っていた 身体を透明化出来る 例のCD-RWのグロテノス一覧に載っていた グウルスに観察されていのでないか・・・?" ふっとそんな気がした。
しかし もう後退は出来ない 前進あるのみと思い 指揮する3部隊に、前進を命じた 敵に悟られぬよう 静かにであった。
永井の予感は当たっていた。
木の幹に立ち 上から透明化した複数のグウルスが、ヤーナ側の動きを観察し、目で見た画像を全て、テレパシーを利用し 基地のモニターへ送信していた。

「いいか そのままやつらを 基地内へと誘い込むのじゃ」 司令室の中央 ギルは、薄笑いを浮かべた。
各通路内の幾つかのポイントに多数のグロテノス兵部隊を配置 ヤーナ側が、通路内奥深く入った時点で、基地外に待機している グロテノス兵で、出入口を制圧、封鎖 通路内に配置したグロテノス兵部隊と、タイミングを合わせ 前後から挟み撃ちする作戦であった。
この時点 まだ別地点の偶発的遭遇戦の報告は逐次 情報は入っていたが、ヤーナ側は、新兵器ER01Tエネルギーライフルを使用していなかった。
もしギルが、ヤーナ側の新兵器ER01Tエネルギーライフルの威力を知っていたならば、通路内での挟み撃ち作戦を取らず、出入口付近での戦闘を選択したであろう・・・
まさかヤーナ側にも これ程のテクノロジーを持ち合わせていたとは、思っていなかった。
現在 人類が持つ最新鋭兵器程度だとの認識しかなかった。
エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体) 太古の昔 残していった驚異のオーバーテクノロジーを独占利用しているのは、アポリスのみと信じていた。
まさか? ヤーナも1部であるが、エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)の残した 驚異のオーバーテクノロジーを利用しているとは、ギルだけでなくアポリス側 全く知らなかった。
確かに、ヤーナ アポリスの実態を知る 数少ない最も敵対する勢力である。
だが、その戦力、規模と共に、大して問題のならない 弱小勢力程度であった。
主要武器に至っても。現在の軍用小火器類程度で、国家が持ち合わせる 強力な、ハードウェアー(戦闘機、戦車、空母、ミサイル)など持ち合わせていない、ましてや、大量破壊兵器 核兵器、細菌、化学兵器など皆無である。
むしろ これらを大量保有する 超大国と呼ばれる国々の方が、脅威であった。
超大国と呼ばれる国々が、1つにまとまり 正面からアポリスと本格戦争になった場合 強力な生体兵器ネクストノイドと言っても それなりの被害、戦死傷者が出るのは避けられない 特に、核兵器、化学兵器は、脅威である。
細菌兵器は、体内のナノマシーンによって無力化が出来るが、核兵器は、直撃を喰らえば、瞬時に蒸発、消滅する。
その為 超大国と呼ばれる国々を中心に、国家内部の中枢部に入り込み 時間をかけアポリスの勢力の浸透を図ってきた。
これにより 国家内部を分断 無力化 統一指揮系統よる抵抗を排除出来る。
メインに置いていたのは、超大国と呼ばれる国々を中心とした 主要国である。
ヤーナは、単なる辺境の小石程度の弱小勢力に過ぎず 余り関心を持っていなかった。
かって制圧した バミューダ海域の孤島の島民の生き残った子孫と、規模としては、信者数世界最大規模の1つを誇るC宗教であるが、それも非主流派の弱小団体との烏合の衆集まりに過ぎず、評議員と呼ばれる中心人物さえ始末出来れば、自滅してしまう程度でしかないと思われていた。
問題は、ネクストノイドでもなく、エルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)の残したオーバーテクノロジーと無関係 他だしエルと呼ばれるEBE's(イーバース=地球圏外知的生命体)が、熱心にその研究をしていた レジェンスと呼ばれる 無のエネルギーを持つ驚異の球体、何故? そのような物と融合したのか謎だが、レジェンスの融合者である。 自らをキャラン・サンダンスと名乗る男であった。
瞬時に、グロテノスを消滅させる、強力なエネルギー弾を発射し、そのスピード、パワーなど、全くの不明
他だし そのエネルギーのコントロールが出来ず 尚且つ融合者は、たったの1人 どんなにすごいエネルギーを利用出来ても、1人でやれる範囲など、たかが知れている。
同時に、全世界をカバー出来ない。
むしろ 我がアポリスへ迎え入れ レジェンスの秘密を解き明かし 利用する方が、得策であった。
このエネルギーをネクストノイドのエネルギーとして利用出来れば、想像もつかない強力な生体兵器を作り出せる。
「ギル様 やつらが、3ヶ所の出入口から突入を開始しました」 そんな事を考えていたギルに、オペレーターからの報告が入った。

永井は、3ヶ所の出入口付近に、身体を木の樹などに隠し布陣した部隊に、当初の計画通り選抜きの4人ずつスナイパー(狙撃者)を 後方の狙撃地点に配置させ 残った兵士に突撃準備のサインを送る。
永井の直接指揮を執る部隊以外からの部隊2つ A-2、A-4-ポイントから 準備完了の報告が届く。
1人のスナイパー対してに、1人のアポリス兵士がターゲット。
レーザースコープは、使用出来ない レーザー光線で、狙撃及びこちの位置が、把握される。
旧式のスコープで、敵兵士の動きを追い 頭部に狙いを付ける。
狙撃用武器は、M16A2アサルトライフル 変身したグロテノスが現れるまで、最新鋭の武器は、使用出来ない。
敵に出来る限り 最新鋭の武器を知られない為である。
先に知られれば、敵が、戦術、戦闘を変え 救出計画の失敗を招く。
タイミングを計り 「ファイヤー(撃て)!!}の司令を下した。
同時に、12人のスナイパーは、サイレンサー付き M16A2アサルトライフルのトリガーを引いた。
出入口付近を警備していた まだネクストノイドへの改造を施されていない警備兵12人の頭部を弾丸が突き破る。
同時に、永井の「今だ 行け 野郎共!!」 命令が下りた。
一斉に身体を隠し息を殺し気配を消していた ヤーナ側兵士が、出入口に向かって、突撃を開始した。
やはり先頭を切り突撃したのが、永井であった。
突然、出入口外側からの通信が途絶え、不審に思った出入口内側を警備していたアポリス側兵士3人が、外の様子を見に出てきた所を 走りながら腰だめに構えていた M16A2アサルトライフルのトリガーを引く 連射で、敵3人の兵士をなぎ倒す。
銃声を聞き 慌てて飛びたしてきたアポリス側兵士は、後ろのヤーナ側兵士によって撃ち倒された。
出入口制圧 妙に手ごたえがない "何故? 主力のグロテノス兵が出てこない・・・" ふっと永井は感じた。
倒した相手は、ネクストノイドではない 頭の額に ネクスタルがない 全てホモサピエンス・サピエンスであった。
"罠か・・・?"
しかし時間的余裕は余りない 計画通り 半数を出入口内外の警備に残し 半数を従え出入口から突入を開始した。

モニターを見ながら ギルは薄く笑った。 「さあー蟻地獄へ落ちろ もうぬけられん・・・」 つぶやいた。
別のモニターに映し出されている キャラン(浩司)とブラックナイト4人集の戦闘に目を向けた。

キャラン(浩司)は、マグナムアタックで、ベアードのベアードホーンを押し返し 命中と同時に、大爆発 消滅させた。
その威力はすさまじく 基地内部が揺れ 爆風に伴うソニックブーム(衝撃波)を避ける為 身体を地面に伏せた。
1部天井の壁が崩れ落ちる。
マグナムアタックは、相手を消滅させるが、余りソニックブーム(衝撃波)は、発生しない 相手のベアードホーンの威力であろうか・・・?
相手を殺してしまった 不快感に襲われた。
右手を突き出し 正面にバリヤーを張ろうとした しかしマグナムアタックになってしまった。
エネルギー量のコントロールどころか、技?ですら思うようにコントロール出来ない 初めての経験であった。
埃まみれで、立ち上がった一瞬の隙を襲われた 後ろからバーカスの右腕に、首を締め付けられた。
そのまま身体が持ち上がられる 息が余り出来ない しかし息苦しくない レジェンスと融合しているキャラン(浩司)は、防衛機能により息が出来なくなれば、レジェンスからのエネルギー転換により肺や血液中に必要な酸素が供給される。
他だし 非常に不安定なエネルギーである 必ず働くとは限らない だが、今は働いていた。
融合者を守る為
キャラン(浩司)は、両手で、首を締め付けているバーカスの右腕を掴んだ。
両手で、首を絞めているバーカスの右腕を引き離そうとした。
キャラン(浩司)の身体全体が、肉眼で見えないが、僅かながら淡い白い光を発する。
バーカスの右腕から 何か砕け散る嫌な音が響いた。
同時に右腕の締め付けはなくなり その隙に、キャラン(浩司)は、抜け出し振り返った。
そこには、右腕を左手で押さえ 苦悶の表情を浮かべるバーカスがいた。
キャラン(浩司)の掴んだ両手によって、右腕内部の骨、筋肉組織が砕けた。
バーカスの後ろの動きに気づいた。
両手の爪を伸ばし 襲い掛かろうとするテーメムの姿が目に入った。
数歩下がり バーカスに向かって 素早く前進 そのまま右足 横蹴りをバーカスの腹部に蹴り込んだ。
まともに喰らったバーカスは、宙を浮き 襲いかかろうとしたテーメムと激突 同時に2体共 ぶっ飛び地面にたたきつけられた。
キャラン(浩司)は、右腕を突き出し 右手人差し指を突き出した。
フィンガービームである 右手人差し指から細い白く光るビームが伸び 地面に叩きつけられた バーカス、テーメムの両足を切断した。
これで勝負はついたと思った。
後ろから人の気配を感じた ネクストノイドではない 後ろを振り返ると 百合が、小走りに近づいてきた。
「御無事でしたか 浩司さん」 フィアンセの川村から聞いていた 浩司の脅威の戦闘能力を目の当たりにして、さすがに百合も信じられない表情であった。
しかし百合は、1流のプロのスパイである。 今何が最も重要か、何をすべきかを心得ていた。
「何とか・・・」 浩司の返事に小さくうなづくと、浩司の前に立ち 小走りに走り始めた。
先程 牢獄があると示した 通路へ向かって。
「さあー 早く 牢獄はこちらです」
浩司も百合の後を追い小走りに走り出した。

「わしも やつを少し甘くみておったかのうー」 ギルはつぶやいた。
「ハイパーグロテノスの用意は出来ておるのか」
ギルの声に 前方の1人のオペレーターは返事をした。 「3体共 牢獄に配置完了しております」
「よし 今度はどうかなあー」 ギルの目は鋭く光った。

牢獄への最後の大きな超合金で出来た扉の前に立った。
百合は、扉の右の壁にある パネルの前に立った カードを差し込むと、ID、パスワードを打ち込み始めた。
「この扉を開けると そこが牢獄です。 ここにも、最新の改良タイプのグロテノスもしくは、まだ未完成のパイパーグロテノスが、配備されているはずです」
一瞬 浩司の顔を見た。
浩司の顔を見て、小さくうなづく
「最後のパスワードを打ち込みます 御武運を・・・」
浩司も小さくうなづく 浩司の顔が鋭くなった レジェンスのエネルギーを上げようとした しかし不調状態を続いていた。
思うように上がらない。
重々しく扉は横にスライドした。
同時に、待ち伏せているだろうグロテノスの強力なエネルギー弾など防ぐ為 バリヤーを張った しかしバリヤーの状態が安定しない。
しかし何もない
バリヤーを解除し 警戒しながら ゆっくりと中へ進み始めた。
室内は、ほとんど明かりがない 不気味な程の静けさであった。
浩司は、鋭く周囲を観察していた 気配を消しているつもりであろうが、すさまじいばかりのエネルギーと殺気を感じていた。
このエネルギーは、覚えがある。 間違いなくハイパーグロテノス そう1度あの龍(ロン)の孤島にあった秘密基地で・・・ だがあの時 エネルギーと何かが違う 計3体であるが、あの世紀絶世の美女リンとは違う リンの方が、まだ未完成と言うべきか、これから更に強くなっていく、底知れぬポテンシャルと言うべきものがあったが、こちらの3体は、あの時 翅を切り落とし海に落下した4体のくわがた虫に似た アギラと同質のように感じた。 こちらは完成形と言う感じであった。
突然 空気を切り裂く 鋭い回転音が2つ向かってきた。
右足にバリヤーを集中させ、鋭い蹴りで叩き落す。
これは、ハイパーアギラの必殺技の1つ キラーブーメランであった。
突如 周囲が明るくなった。
正面に、3体のハイパーグロテノス 中央にキラーブーメランを発射した ハイパーアギラ 頭の額に新たな角が生え始めていた。
2本の角は、何度でも生える特性がある。
そして、正面右左は、かぶと虫に似た ハイパーバーカスが2体
"全てのグロテノスが、ハイパー化と・・・ 言う事ではないか" ふっとキャラン(浩司)は、思った。
「よくぞ ここまで辿り着けたなあー 一応褒めてやる」 中央のハイパーアギラが、1歩前え出た。
「相手が、弱過ぎただけさ・・・」 呆れたポーズを取る キャラン(浩司)の返答には、毒々しい皮肉が、たっぷり込められていた。
「まあー そう言う事もあるんものだがー」 自信の表れか? ハイパーアギラの返答であった。
「人質を帰してもらえるかなあー」 みなっちの気配を強く感じていた 間違いなくこの広い室内のどこかにいる。 キャラン(浩司)は、身構えた。
「人質は、ここだ」 ハイパーアギラの答えに、3体のハイパーグロテノスの後方が、ゆっくりと盛り上がり始めた。
透明の超合金で出来た大きなボックスであった。
その中には、待ちくたびれた様に、地面に座り込み 無気力に頭を下げた5人の男女 うち女性2人は、シスター(修道女)姿であった。
うち1人は、間違いなくみなっちであった。
もう1人のシスター(修道女)姿の女性が、浩司の存在に気付いた。
「みなっち、みなっち・・・ あそこ」 みなっちの肩に左手をかけ 右手で浩司のいる方向を指差した。
指差された方向を何気なく見ると、そこには、浩司の姿があった。
「こーちゃん 助けに来てくれたんだー」 そう言いながら 半べそかいた顔で立ち上がると、2人を隔てている透明の超合金の壁に向かって、数歩歩いた。 必死に壁に向かって、右手を叩く。
"無事でいてくれたかー" 浩司は、少し安堵の表情を浮かべた。
壁を必死に叩き、叫び声を上げるみなっち しかし透明の超合金の壁は、完全防音となっており 浩司の耳には届いていない。
「無駄な戦いはしたくない ここは黙って、人質を返してもらおうか、返せば見逃してやる」 キャラン(浩司)は、すごんで見せた。 ハッタリである。 だがこの場合 1番効果的な方法でもあった。
「黙って返せば、見逃してやるだとー・・・」 3体のハイパーグロテノスは、笑い声を上げた。
「面白い事を言うやつだ この俺様達に勝てるつもりでいるのかー ハイパーグロテノスとなったこの俺様達に・・・!!」 そう言いながら右手拳をハイパーアギラは、高々と振り上げた。
「だから・・・?」 数じゃないと言う 表情を見せるキャラン(浩司) お得意の呆れたポーズを取る。
「そんな自信があるならば、面白いゲームをしようじゃないか? キャラン(浩司)」 ハイパーアギラは、横に向くと、右腕を人質のいるボックスに向けた。
「15分だ! 15分で、この俺様達を倒す事が出来たら 人質を返してやろう」 そう言いながらハイパーアギトは、キャラン(浩司)の方に向き直った。 「他だし 15分を過ぎてもこの俺様達を倒す事が出来なければ、人質には死んでもらう」 ハイパーアギトは、腰に両手をあてた。
"ふん 下らない 子供向けの勧善懲悪アニメヒーロー者の見過ぎ・・・ もう少しマシな演出か、変化がないのかね・・・ ワンパターン過ぎる・・・" ふっと呆れてキャラン(浩司)は思った。
「良かろう・・・」 呆れた表情を見せながらキャラン(浩司)は、答えた。
「せめてもの慈悲だ、即効性の毒ガスで、あの世に送ってやる 痛みも苦しみも無く楽に送ってやる」 ハイパーアギトは、右側にいたハイパーバーカスに命じた。 「準備しろ」
ハイパーバーカスの正面の地面が2つに割れ 下からパネルが競り上がってきた。
タッチキーで操作する。 「準備OK」
ボックスの右側上部は、デジタル式タイムウォッチが、浮かび上がった。 残り15分00秒で停止している。
「解除キーは、俺様達の命だ 1秒でも遅れると 毒ガスが噴出する」
「さっさそと ゴングを鳴らしな」 時間は、余り無い 敵は、強力なハイパーグロテノス3体 早めに決着(ケリ)をつけなければと思った。 出来る限り戦闘による相手を殺したくなかった。 先程のハッタリは、その為であった。
だがこの程度戯言通用する敵ではない。
当初 浩司が、グロテノスを引き付け 戦闘中に、百合が、その隙を狙い人質を救出する手はずであった。
だがこの状況で、この手は使えない。
マグナムアタックで、一気に決着(ケリ)をつけようと、キャラン(浩司)は考えた。
そんな考えを読まれていたのか? ハイパーアギラは、「ゴングを鳴らす前に、1つだけ忠告しておこう 今 反物質反応炉 再起動させた 貴様 エネルギー弾を使用すれば、エネルギーは、フィードバックし 反物質反応炉が暴走を起こしこの基地事 吹き飛ぶ」 ハイパーアギラは、高らかに笑い声を上げた。
"その為 パワー系 ハイパーグロテノス3体か・・・" キャラン(浩司)は、思った。
必殺のエネルギー弾を使用させず、パワー系で、勝負をかけてきた。
だが、キャラン(浩司)の能力は、エネルギー弾だけではない スピード、パワーなども上限値がない 上限値が無い分コントロール不能であったが・・・
ゴングが鳴った 先に動いたのは、キャラン(浩司)であった。

同時刻 通路内に潜入した 永井率いる第1班 A-1ポイント突入部隊は、思わぬ場所で、足止めを喰らっていた。
まだネクストノイドでない アポリスのポモサピエンス・サピエンス兵部隊の猛烈な反撃にあい 前進を阻止されていた。
十字路に分かれた通路の左右に分かれ アポリス側からの猛烈な銃撃に身体を隠し 反撃のチャンスを伺っていた。
幅 約4mの通路 意を決し永井が動いた。
土嚢を積み上げ その隙間などから 飛び出してきたヤーナ側兵士を集中的に狙い撃ちしていた。
そこで、永井は、自ら持つM16A2アサルトライフルの銃身の下部に装着しているM203 40mmグレネードランチャーに、銃弾を1発装着した。
左肩にかけていたER01Tエネルギーライフルを近くにいた兵士に渡す。
「俺が出て、あの土嚢にグレネードランチャーを打ち込む 命中と同時に、左右から2人ずつ出て突撃だ」
永井は、突撃させる4人を指名した。
「行くぞ!!」 永井の号令に、左右の通路から 一斉射撃が始まった。
同時に、通路に横転しながら永井が飛び出した 素早く横転しながら狙いをつけ グレネードランチャーのトリガーを引いた。 狙いは正確であった。 40mmの迫撃弾は、土嚢に命中 こんな荒業が出来るのは、永井以外余り存在しない。
爆発と同時にアポリス側からの銃撃が止む その隙に左右から2人ずつのヤーナ側兵士が飛び出し 土煙の上がる敵の陣地に向かって、銃撃を浴びせながら突撃を開始した。
その時だった 突然 土煙の中から 強力な火炎放射が2つ発射され 飛び出した4人の兵士を瞬時に、火だるまにしその場に倒れた。。
「いかん・・ ハワード、トム、鈴木、ペドロ・・・」 思わず永井が、火だるまになった4人の名を叫んだ。
しかしもう手遅れであった。
土煙の中から 2体のグロテノス兵 とかげに似たバルドスが現れた。
今の強力な火炎放射 バルドスの必殺技である ヘルファイヤー。
瞬時に人間など灰にする強力な威力を誇る。
M16A2アサルトライフルから発射される無数の強力な軍用7.62mmNATO弾など全く効果が無い。
ゆっくりと2体のバルドスは、その驚異の生体兵器としての力を誇示する様 こちらへ向かって歩いてくる。
「全員 ER01Tライフルに切り替えろ 額のネクスタルに1点集中して狙え!!」 直ぐに冷静さを取り戻した永井の司令が飛んだ。
永井は、手榴弾を1つ取り出すと、安全ピンを外した 手だけをバルドスのいる通路に出し 手榴弾を床に転がした。
バルドスの足元で爆発 「今だ!!」 永井の司令と共に 永井が先陣を切って飛び出した それに合わせ左右両側から数人の兵士が飛び出し 床に伏せ 煙幕上がる方向へER01Tライフルの銃口を向ける。
人の頭・・・ いや怪物の頭らしき物が浮かぶ場所に向かい一斉に連射モードで トリガーを引いた。
無数の光粒子弾が、煙幕を切り裂いた。
手ごたえはあった。
巨大な物体が2つ倒れると共に、小さな地響きが伝わる 同時小さな爆発が2つおきた。
煙幕が収まると、そこには頭部が吹き飛んだ2体のバルドスの死体があった。
光粒子弾が、頭の額のネクスタルに命中 頭部を吹き飛ばしていた。
「さあー 野郎共 行くぞ!」 永井率いる第1班は、通路から飛び出し 通路の奥へと進撃を再開した。

「今のエネルギー兵器は?」 ギルの表情は変わった。
「ヤーナの新兵器だと思われます」 オペレーター担当の兵士が答えた。
「どこで あのようなテクノロジーを・・・」 予想だにしなかった新型兵器の出現に、ギルの表情は驚きに変わった。
まさか? あのようなエネルギー弾を発射出来る程の武器を作り出せるオーバーテクノロジーを持ち合わせているなど、想像すらしていなかった。
現在の旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)の生み出したテクノロジーを利用している程度にしか認識がなかった。
とんだ計算違いである。
ネクストノイドの主力である 生体兵器グロテノスに対抗出来る 武器を手に入れた。
今までの圧倒的有利差であった大幅な戦力差などを縮められた。
ネクストノイド 特に、グロテノスに取って驚異だったのは、核兵器、化学兵器程度でしかなかった。
「まさか・・・ やつらもエルの残した驚異のオーバーテクノロジーの1部を・・・」 それ以外考えられなかった。
「ギル閣下 通信が届いています 先程救助に向かった グロテノス部隊からも ヤーナ側が、新型エネルギー兵器を利用 グロテノス兵に、負傷者が出ていると・・・」
ギルは、戦術の見直しを迫られた。
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