LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part11

 数ヶ月の時間が流れた 年の瀬も迫った12月の中盤 ここは、O県Y島の近海の海底の更に地底奥深くにある 聖なる場所。
「こーちゃん 練習に行って来るね」 浩司の恋人みなっちの元気のいい声が響く。
聖なる場所の自宅の玄関から元気よく練習場へ向かうみなっちを見送る浩司。
夜19時少し前のいつもの光景であった。
浩司は、リビングに戻りタバコを吸いだす。
数ヶ月前 アポリスの大幹部の1体 東アジア担当のデストロの龍(ロン)の挑発に乗り 単独行動を起し 1人戦いの場へ向かい 龍(ロン)を倒し その後直ぐ、北アメリカ担当のビリーと対決 予想外の天地異変により 勝負はお預けとなった。
最高幹部の2体のデストロを倒した功労者である浩司だが、ヤーナ内では、その立場は、悪化の一途を辿っていた。
命令無視の単独行動が目に余る有様である。
元々典型的自営業者の家庭で生まれ育ち 1匹狼の資質を育んでしまっている浩司は、サラリーマンや、軍隊などの階層階級社会の縦型社会は、性に合わない。
上からの命令を実行するより 自分で考え、判断し、行動する。
確かに他人の話は聞くものの 最終決断は、自己判断で行う。
何事も自己判断で行う 自営業者の特徴でもある。
だれも頼りには出来ない 自分の力を信じて判断しなければいけない世界だ。
だが、ヤーナは、対アポリスの軍事組織である。
組織では、上からの命令が絶対であり それに従う義務がある。
そうしなければ、組織だって行動出来ない。
浩司の身分は、評議員待遇のままである。
ヤーナの組織では、1番上に属しているが、最終議決権を持っていない。
妙な地位である。
このところ ヤーナは、組織として、拡大を続けていた。
現在 地球を支配するアポリスに唯一とも言える対抗組織。
アポリスは、ネクストノイドと呼ばれる ホモサピエンス・サピエンスを改造して作られた新人類とでも呼べる 新たな人類である。
現在の人類社会は、進化レベルの劣る旧人類と蔑まされるホモサピエンス・サピエンスを 新人類のネクストノイドが支配する社会へと大きく変貌していた。
そのネクストイドへの改造を受けられない もしくは、後回しされる人々が、差別、支配からの抵抗する為 唯一とでも言える対抗組織であるヤーナに加入する者が大幅に増加していた。
特に、大学卒の高学歴であり 大企業、官公庁に属しながら いつまでも改造を受けられない エリート階級でありながら落ちこぼれとでも言える層が、まさしくエリートの星 ピエール神父を慕いヤーナに加入していた。
その為 今まで旧島民と、C宗教の微妙なバランス関係 呉越同舟状態にあった ヤーナ内で、このバランスが崩れ C宗教勢力が急速に勢力を拡大し始めた。
特に、最高幹部 評議員待遇でありながら 落ちこぼれ高校卒の低学歴で、自営業出身の浩司は、やり玉に上がっていた
何と言っても 実績は、ヤーナ内でずば抜けているものの 命令無視の単独行動が多い。
低学歴の落ちこぼれ高校卒の浩司の下で働くなど、彼らの大卒の誇り高きエリートと認識する絶対のプライドが許さなかった。
龍(ロン)、ビリーとの戦闘以後 ここまで、小規模な小競り合い程度の戦闘程度で、大規模な戦闘はなかった。
何度か、浩司は、その戦闘に参加したが、やはり永井の命令を無視し単独行動を取っていた。
浩司に言わせれば、敵アポリスのネクストノイドのグロテノスに包囲され孤立化した部隊の救助しただけの事だが、その為 陣形が崩れ勝ち得ずいた。
決して負けたのではない。
この作戦は、ピエールの発案であり 浩司には言わせれば、他だのパフォーマンス 戦略的意義、意味などない 無意味な戦闘になるのだが・・・
だが、新たにヤーナに加わり 大卒の一般兵士として参戦した者には、ピエールの活躍を邪魔した存在にしか映らない。
それに、浩司は、この程度の戦闘では本来持つレジェンスの無限のポテンシャル・エネルギーの片鱗程度も見せずにいた。
縦型社会の上部に属しながら エリート階級の象徴のネクストノイドへの改造をいつまでも受けられず 不満を持ち 華麗な超高学歴を誇り アポリスの支配に抵抗し立ち向かう ヤーナのピエール神父に憧れ ヤーナに属したエリート階級の落ちこぼれと言うべき層に取って、浩司の存在は、異端児の邪魔者でしかない。
浩司にも問題があった。
浩司は、元々外交的な性格でなく、社交性にも欠けている その為 仲間を増やす努力を怠ってきた。
気の許し信頼しているのは、恋人のみなっちと、川村 川村のフィアンセの百合(ゆり)ぐらいである。
議長のマークや、その側近のスティーブは、そんな浩司を見かね色々アドバイスを送っていたが、浩司は余り耳を傾けていなかった。
"嫌なやつに無理して説明して好かれたいとは思っていない・・・"と言って、相手にならないと思うと、全く相手にしなかった。
その為 よくみなっちに怒られていたが、全く反省し直す気配もない。
「どうせ 俺はがさつなクラッシャー・・・」 (クラッシャージョウシリーズで、クラッシャージョウが、恋人? アルフィンとの口ゲンカでよく言うセリフ 高千穂 遥著書) などと言ってよく口ゲンカしている有様であった。
浩司の事を考え 少しでも立場を良くしょうとするみなっちを逆撫でする有様である。
最後は、お決まりの みなっちにやり込められるのだが・・・
浩司は、ヤーナ内で孤立化してしまっていた。
だが恋人のみなっちは、また別であった。
浩司と違い 首都の有名な4年生大学を現役合格、卒業している エリート階級である。
川村も百合も関西の古都にある有名な国立のK大卒を現役合格組。
その為 新たにヤーナ加わったエリート階級による非難は、浩司に比べものににならない程穏やかであった。
特に、みなっちは、高学歴に加え ルックスは、可愛く、スタイルも抜群に良い その為 浩司と同棲しているにも関わらず、良く合コンの誘いを受けていた。
みなっちは、大学時代から良く合コンの誘いを受けていた。 実際無理やり連れて行かれた以外 積極的に参加した事がなかった。
もちろん 誘った女性側の目玉として、みなっちを利用していた。
みなっちが参加すれば、意中の男性側の参加するからである。
みなっち目当ての男性人が多くいた。
みなっちは、その為の客寄せパンダであり 合コンの場でも みなっちは、常に数人の男性に囲まれていた。
だが、みなっちは、この程度の男には興味がなかった。
首都の有名な大学に進学したのは、将来の目標に有利である為であった。
みなっちの将来の目標に、その大学の学部のプログラム、教授陣が、最も優れていた為であり 名前でその大学を選んだ理由ではなかった。
その為 大学名や、家柄、親の所属している官公庁、1流ブランド企業名などばかりひけびらかす男など、問題外である。
己の力で、何を目標に、努力しているかが重要であった。
この手の男達には、その点は全く無い。
全て親によって守られ引かれたレールを安全に走行しているだけである。
興味の対象にもならない。
浩司は逆であった。
何も持たず、自己努力、才覚などだけを信じてどん底から這い上がろうしていた。
そんなある日 数人の女性が、浩司とみなっちの住む自宅を訪れてきた。
また合コンの誘いと思ったみなっちは、玄関の扉を開け 断ろうとした時 全く無関係な話しの内容に思わず驚いてしまった。
そのまま数人の女性を家の中に入れリビングに通し じっくり話しを聞いた。
それは、数ヵ月後の12月24日のクリスマスイブに行われる 聖歌隊の合唱のキーボード演奏の依頼であった。
昨年まで、キーボードを演奏していた人は、戦死した為 次の演奏者として、みなっちに白羽の矢が立ったのだ。
みなっちは、小学生の頃 ピアノを習い 地元のコンクールで優勝した実績 近くのC宗教の教会で行われいたクリスマスイブの聖歌隊のピアノの伴奏の経験を持っていた。
今年のクリスマスイブの聖歌隊のキーボード演奏を担当して欲しいと頼まれ みなっちは快くOKの返事を出した。
場所は、浩司の大嫌いなピエールのあの教会で行われる。
普通考えれば、教会内である パイプオルガンか、グランドピアノのはずであるが、ここ聖なる場所は、地底にある軍事基地である。
それに教会はまだ建設途中で、中断しており プロのミュージシャンが使うキーボードで代用していた。
ここ12月に入ると、毎晩練習の為 こうしてみなっちは、教会へと向かっていた。
昨年 このクリスマスイブのコンサートを教会で聞き 感動した。
ここに集まった・・・ いやこの模様は、聖なる場所内にTV中継され 老若男女問わず 1番人気のイベントであった。
娯楽施設どころか、娯楽の少ない聖なる場所で、数少ない娯楽の1つ。
本当に、心の篭った素晴らしい感動的なコンサートであった。
昨年は、見て、聞く側であったが、今年は逆である。
みなっちは、久し振りの晴れ舞台に気合が入っていた。
昨年より 更に感動的なコンサートにしようと大張りきりである。
あの感動をより多くの人達にも味わって欲しい・・・ 今のみなっちの願いであった。

 タバコを吸い終えると、浩司は、数枚のCDジャケットを取り出し その中の1枚をステレオにセットした。
ヘッドホーンを耳にセットし音楽を聞き始める。
浩司の瞳は、暗く沈みこんでいた。
この音楽CDは、浩司の大ファンである 今から何年も前 26歳の若さで生きる事と、強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターの残した作品であった。
アポリスの支配する現在の人類社会では、反社会的などの理由で、発売、所持禁止処分となっている。
だがここは、ヤーナの支配する聖なる場所である。
そんな規制は、存在しない。
自由に好きな音楽を聴ける。
みなっちのいない時間 こうして、自宅で過ごす事が多くなっていた。
浩司に取って、彼の作品、生き様など、数少ない心の大きな拠り所であった。
この作品を聴いていると、あの頃と変わらず、今 自分の置かれている辛い気持ちと思わずダブって思えてしまう。
龍(ロン)を倒してから ヤーナは、組織として急拡大を続けている。
人員規模として、過去最大を大幅に上回っている。
毎日何人もの志願者が入ってくる。
中には、アポリスのスパイも紛れ込んでいる。
もちろんネクストノイドのグロテノスへの改造を受けていない者である。
それを見分けるのが、情報部主任のコネリーの管轄である。
それにパスした者は、ヤーナへの加入が認められる。
新入りは、まず最初に軍事訓練から始められる。
新入りの訓練の為 永井、ブラウンなど毎日大忙しであった。
訓練期間の成績次第で、実戦配備になった時 部隊の所属と階級などが決まる。
いきなり下士官 少尉にから任命されるのは、軍などに在籍し優秀な成績を残した者だけ。
大半が軍など在籍経験のないド素人ばかり、特に官公庁、企業などに属しながら ネクストノイドのグロテノスへの改造を後回しにされ続けている 言い方は悪いが、エリート階級の落ちこぼれサラリーマン層である。
ほとんど、エリートの星 あのピエールに憧れ加入した者ばかり。
全く何も知らないド素人を何とか1人前の兵士に育てなければならない。 それも短期間で・・・
武器など1度も手にした事のない 一般サラリーマンばかりである。
口だけが滑らかによく回り達者なだけ、今まで頭脳労働しかした事がないなど 難癖ばかりつけ いちから丁寧に仕事は教えるものだと言って、ほとんど訓練すらならない。
深夜の突然の訓練など最悪だ。
労働基準法を盾に、加重労働だと騒ぎ立て、土日祝日は、休み 1日8時間労働など 労働者の権利を守れ・・・など寝言ばかりほざく始末である。
浩司のように、職人の世界に長くいた者のように、目で盗み 見えない所で、何度も反復練習を繰り返す・・・ など 全く知らない連中ばかりだ。
上官、先輩などから浴びせられるあらゆる罵声など 子守唄でしかないプロの職人の世界が、軍人の世界であるのに、そこに、温室、揺り篭、一から仕事を丁寧、丁重に教えてもらう・・・ 至れり尽くせりの何もかも恵まれ甘ったれたサラリーマン社会を持ち込む、永井、ブラウンなどの苦労を考えると思いやられる。
総戦力、総兵力が極端に劣る現状を考えれば、少しでも戦力を増強したい気持ちは解かるが、使い者にならない者を増やしても かえって戦力、士気などの低下を招く・・・ 浩司がヤーナに加入した頃の方が、確かに現状に比べ総兵力は、ケタ違いに少なかったが、それでも個々の能力、士気は高く 今よりは、マシだった。
いい意味でのプロの戦闘集団であった。
それに、ピエールは、人事権を盾に、新たに加入した者を、自分の配下に置きに、NO3以下の重要のポストを学歴と、今まで属していた会社名とその地位によって与えている。
この人事配置について、旧島民や、元々ヤーナにいた一般兵士の1部から抗議の声を上げていた だが、続々と加入する新参者は、ほとんどサラリーマン上がりばかりで、そのままC宗教側についてしまい 圧倒的多数を武器に、力で押し通す。
その為 ヤーナ内部で、これらが火種となりくすぶっている。
いきなり重要ポストを与えられ 何らヤーナでの実績もないのに、上から命令する事だけを慣れ親しみ、この特権が当たり前だと思っている。
自らの力では何も出来ないのにだ。
たまたま運良く成功すれば、自らの実績として豪語し、自画自賛する。
下の者の気持ち、苦労を全く知らない。
失敗すれば、全て命令通りに動かない下の責任として、転換してしまい。
自ら責任を取ろうとしない。
最後に決まって、組織の命令に従っただけと、責任転換してしまい、自ら被害者顔(ずら)しかしない。
無責任なサラリーマン社会にどっぷり浸かり 当り前化 それをそのままヤーナに持ち込んでいる。
超有名なTY,iINホテルなど その典型だ、全国チェーン展開する巨大ホテルを隠れ蓑に、会社ぐるみで、堂々と振り込め詐欺をやっている。
ある朝 突然見覚えのないTELナンバーから携帯電話にかかり、F島県F島市にあるTY,iINホテルだけど、昨日の宿泊利用料金未納料金だから支払へと言って来た 行った事もない土地の泊まった事もない実在するホテルからである。 支払わなければ、強制手段を取らせてもらうと高圧的な言い方で、実力行使の脅迫付きであった。
こちらも対抗上 警察に訴えると言えば、TY,iINホテル側もここに証拠があると、やるならやってみろと、高圧、強圧的的な言い方で嘯く有様。
こちらも対抗上 直ぐに警察へ振り込め詐欺未遂事件として、:携帯電話の着信ナンバーなどの数々の証拠と共に被害届を提出 刑事告訴手続きを開始 調書作成後 直ぐに担当した警官は、その電話番号に電話、そのナンバーは、実在するF島県F島市にあるTY,iINホテルであった。 TY,iINホテル側は、 最初は、電話の相手が、警官だと知らず、全国チェーン展開する巨大ホテルを武器に、高圧、強圧的な物の言い方で、支払いを強制催促したが、相手が警察だと解かると、突然手の平を返した事を言い出し 急に態度を変える有様 最後に上からの命令に従っただけだとか、上の者と相談しなければ・・・ などと全く自ら犯している振り込め詐欺の犯罪すら認めず、散々TY,INホテルに取って都合の良い能書きばかりほざいたあげく、こちらに対して謝罪1つなし うやむやにしてしまう有様。
(実際に、作者が被害にあったTY,INホテルによる振り込め詐欺未遂事件です)
全国にチェーン展開する優良な大企業責任ある行動・・・などとほぞいておいて、全くの無責任体質。
立場の弱い相手(自営業者など・・・)の失敗は、徹底的に追及し、横暴な態度で、骨の髄までもむしゃぶり搾り取るのに、自らの犯罪は、会社の命令一点張りで、全く責任すら取らず、うやむやにする無責任体質。
これが、全国チェーン展開する天下に名だたる大卒揃いのエリート集団と嘯く大企業、サラリーマン、OLの これが実態だ。
これが、会社、サラリーマン、OLに取って常識だと言うから驚くべきばかりである。
警察ですら相手が、全国チェーン展開する大企業だけに、それ以上の追求を尻込みする有様。
相手が弱いと見れば、高圧的態度で、冤罪を強要するが、強い相手には犯罪を犯していても何もしない。
こんな程度の連中ばかりだ。
まともな事1つ出来ない。
"検察によるFD改ざんなど、たまたま冤罪を強要する相手が、エリート・キャリア官僚であった為 裁判官による公正、公平に証拠を丹念に調べたおかげで、改ざんが発覚しただけに過ぎず、冤罪被害者が、立場の強い守ってくれる強力な組織の一員に属していなければ、最高裁まで争っても有罪が確定したはず。
強力な(企業、役所など)組織に属さなければ、公正、公平な裁判すら望めない世も末の恐ろしい恐怖社会。"
全て、この様な連中ばかりではないと信じたいが、現実には全く見当たらない。
多分 少しは、使い物になる者は、優先的にネクストノイドへの改造を受けているのだろう・・・
使い者すらならないから 後回しされ続け 最後に、ヤーナに加入したのだろう・・・
2体のデストロを倒し 多数のグロテノス、ハイパーグロテノスを倒し、数々の実績を挙げているが、落ちこぼれ高校卒で、自営業者出身である為 サラリーマン社会とは異質の存在で、通常の人間には、信じる事出来ない驚異の戦闘能力を持ち その秘密を明かさない浩司を妬み 露骨な排除、あらゆる非難、中傷を声高に上げている。
浩司に言わせれば、理解出来ないやつには、理解出来ないさあーと言って、相手にしょうとせず、こんなの相手にしていては、こっちまで、同類になる・・・などと言って、無視していた面も否定出来ないが・・・
ヤーナでも居場所を失い もはや唯一の逃げ場所が、26歳の若さで生きる事と、強制的に別航路に変えさせられた天才ロック、シンガー、ソング、ライターの歌の世界しかなかった。
あの徹底的管理教育が、最も激しかった時代 社会、大人、学校、教師などの管理する側に、管理、弾圧される側の 心からの叫び、反逆精神を歌い続けてきた彼の世界 生き様が、浩司の脆く崩れそうな心と精神を支え続けていた。

 12月24日 クリスマス・イブの当日 ここ数週間 何らアポリスからの動きもなく 小康状態が続いていた。
午後 みなっちは、コンサートに着る 淡いイエローを中心としたフリルの付きのドレスをコンサート会場にある控え室に運び 全ての準備を整えていた。
ここは、聖なる場所の浩司と、みなっちの自宅。
「ねえー こーちゃん まさか? そんな服装で行くつもりではないでしょうね?」
みなっちの鋭い視線が、余りのラフでカジュアルスタイルの浩司を睨んだ。
「そのつもりだけど・・・」 浩司はさりげなく答える。
みなっちのピアノの演奏を聴きたいのだが、コンサート会場の教会には、足を運びたくない。
嫌なピエールの独断場の聞くに堪えられない演説など聞きたくない。
だがみなっちの演奏だけは 絶対に聴きたい。
出来れば、みなっちの演奏以外 逃亡したい。
だが、浩司は、評議員待遇である。
評議員は、全員参加のVIPシートが用意されている。
嫌でも行かなければならない。
浩司は、コンサートの招待状を受け取った時 VIPシートを拒否 評議員待遇の特権を利用し 一般席に替えさせていた。
あのピエールと同じ席など 耐え切れない。
出来れば、アポリスとの小規模な戦闘があり 出動し 丁度みなっちの演奏に間に合うタイミング帰れればベストである。
だが中々思うようにならない。
居住地区は、どこもクリスマスツリーが飾られ クリスマス気分を盛り上げている。
「俺の背広にネクタイ 似合うと思うか?」 浩司は、真顔でみなっちを見る。
「そう言う問題でないでしょう!!」 みなっちの怒りの声が飛ぶ。
丁度 その時 人の訪問を告げるベルの音が鳴る。
みなっちは、玄関を開ける。
そこには、女性用スーツを着込んだ みなっちの親友のしのちゃんと、やすちゃんが立っていた。
「待っていたわよ」 みなっちは、2人の顔を見て、微笑む。
「早速で悪いけど、そこの巨大な廃棄物(浩司)の着替え 手伝ってくれる」 みなっちの掛け声に、2人は、怪しい目と、表情で微笑んだ。
3人がかりで、浩司は取り押さえられ、どんなに泣き叫ぼうが、徹底無視で、浩司は、背広、ネクタイへと強引に着替えさせられた。
「首・・・首が絞まる・・・呼吸が・・・ ・・・窒息する・・・」 浩司の哀れな悲鳴を無視 最後にみなっちが、強引にネクタイを締めた。
「うるさい!! うるさい!! うるさい!! 1度窒息しろ!!」 みなっちの罵声が飛ぶ。
少しで見栄えを良くしようとするみなっちの気持ちを逆撫でする。
みなっちは、浩司の背広姿を見つめる。
やはり余り似合わない。
いつも着ている緑を中心した迷彩柄の戦闘服の方が、少しマシに思える。
「私 これからリハーサルあるから先に行くけど、時間になったらその廃棄物(浩司)の運搬宜しくね」
みなっちは、微笑みながらしのちゃん、やすちゃんを見つめる・
そして、浩司には、もし逃亡などの下手なマネをしたら絶対に許さない・・・ 凄みのある目付きで睨む。
思わず浩司は、振るえ顔から血の気が引き真っ青になる。
背中には冷たい物が流れ落ちる。
蛇に睨まれた蛙など比較にならない程の恐怖を感じていた。

出発の時間になった 浩司は、みなっちの親友 しのちゃんと、やすちゃんに両脇をガードされ 足取り重く12月24日 クリスマスイブのミサとコンサートが開かれるピエールの教会へと向かう。
人工パネルで覆われ天井を見上げる。
空は茜色に染まり 夕日が西の彼方へと沈もうとしている。
もちろんここは、海底の更に地底奥深くあるヤーナの秘密基地 聖なる場所である。
地上ではない エルと呼ばれるEBB's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、目的不明で、建設途中に放棄した多分居住用と思われる施設を旧島民の先祖が発見 その後ヤーナの対アポリス最大秘密拠点基地として利用している。
現在の我々人類のテクノロジーを大幅に超える想像を絶する驚異のオーバーテクノロジーの1つである。
天井パネルを地上から見上げた空と同じ光景を映し出している。
教会入口に到着 3人は、入場チケットを見せ 一般席に向かう。
係員の1人が中に向かう浩司に声を掛けた。
「和田評議員待遇 VIPシートは向こう側ですが?」
浩司は、チケットの半券を見せ 「俺は、一般席だよ」
そう言い残し しょぼしょぼと、しのちゃん、やすちゃんに両脇をガードされ、睨み続けられた状態で指定された席に向かう。
教会内は、ほぼ満席の状態であった。
NO2以上の最高幹部用VIPシートもほぼ全員揃っている。
いないのは、ヤーナ軍事部門最高司令官の永井と、情報部主任コネリーぐらいである。
2人共 別々の極秘作戦に従事しており 地上で作戦行動を取っており参加出来なかった。
浩司は、指定された席に座る。
両横は、しのちゃん、やすちゃんが座る。
そこへ コンサート用の淡いイエローに沢山の可愛いフリルで飾られたロングドレスを着用し、ヘアーには、カラフルな髪飾りを付けたみなっちが現れた。
何やら荷物の入ったスポーツバックを両手に持っている。
浩司は、悪い予感に襲われる。
みなっちの目付きには、何やら企んでいる様子が覗える。
「しのちゃん、やすちゃん 粗大ゴミ(浩司)の運搬ご苦労であった」
みなっちは、声を掛けた2人に対して意味ありげな笑みを浮かべる。
「こーちゃん ちゃんと逃亡せずに来たわね イイ子 イイ子」
言葉とは裏腹に、意味ありげに笑うみなっち 浩司の背筋に大量の冷たい物が流れ落ちる。
みなっちが、この笑みを浮かべる時は、必ずロクな事を考えていない。
とにかくこの危機的状況から早く逃げ出そうと考えるが、両横で、しのちゃん、やすちゃんに両腕を押えられ 逃げ出す事も出来ない。
「さてとー」 そう言いながらみなっちは、手に持ってきたスポーツバックのチャックを開けた。
中からロープを取り出す。
みなっちの目は異様に光り 不気味な笑みを浮かべた。
「こーちゃん・・・」
浩司の小さな悲鳴が、場違いの教会内部に小さく響いた。
一瞬の出来事であった。
瞬く間に浩司は、3人に、1人掛けの椅子に座ったままロープで縛られてしまった。
「最後に・・・」 みなっちは、白いタオルを取り出す。
「何・・・? 何をする気だ」 浩司の顔は恐怖に引きずり小さな叫び声を上げる。
みなっちは、浩司の後ろに回り口を先程取り出した白いタオルで押さえ後頭部で強く結ぶ。
「これでよし」 みなっちは、両手を軽く叩いた。
この所 浩司は、最高評議会会議中 事あるごとに、今後の軍事作戦 特に戦略を巡る争いで、ピエールと鋭く対立を繰り返していた。
議論に関して定評のある浩司は、ピエールには負けていない。
だが、数の論理には勝てず、結局 浩司の意見は、何1つ通らないでいた。
現在 浩司とピエールとの間では、今後の対アポリスの戦略を巡って、意見が完全に分かれ 先鋭化し、一発即発の状態までこじれていた。
出来る限り戦争を避け ネクストノイドとの共存の道を探るべきと訴える浩司に対して、神々の唯一絶対の敵であるネクストノイドの絶滅させ 元の人類社会に戻し 神々への進化への道を歩むべきと訴えるピエール。
お互いに妥協させ接点を見出そうする 議長のマークを始めとする旧島民側幹部の出る幕など、もはや存在しない状態であった。
特に、ピエールを中心とするC宗教側の常套文句の神々の意思だとか、意向・・・ その他 云々などは、浩司を逆撫でし もはや修復不可能の深刻なまでの対立させる原因となっていた。
そんの点に気付いているみなっちは、先手を打った。
今日はC宗教信者に取って神聖なクリスマス・イブであり これからミサが行われ その後 メインイベントの聖歌隊のコンサートが開かれる。
ここで、浩司と、ピエールが、露に対立しかねない。
その為 浩司を椅子に縛りつけ、口にはタオルで塞いだ。
これで浩司は、身動きも 話す事も出来ない。
この神聖なクリスマス・イブのミサとコンサートを 浩司が、ピエールの対立、激論で、ぶち壊されないで済む。
「こーちゃん 終わるまでそこで大人しくしているのよ」
みなっちは、言葉 それも決してやさしい言葉ではないのと、鋭い目付きで、浩司を睨み足早に控え室に向かった。
神聖な教会内で、浩司の姿だけは、異常な雰囲気を醸し出し 注目を集めていた。
時間になった。
ピエールが、演壇に上がりスピーチを始める。
旧約、新約聖書の1部を引用し、12月25日 生まれたとされる C宗教最大の預言者で、神々の子、メシア(救世主)などと拝み称される大工の息子Yを褒め称えていた。
浩司に言わせれば、聖母などと呼称されるMに、EBB's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)のDNAの1部を人工受精させ生み出されたネピリム(半神人=半EBB's?)の1体に過ぎず 尊敬にも値しない。
出来れば、口ではなく 目と耳を塞いで欲しかった。
宗教と言うおかしな物が出来て以来 2000年以上の長きに渡り脈々と飽きもせず受け継がれたオンリーワンパターン 何か都合の良い天地災害や、目に見えない恐怖心などを利用し煽って 神々による預言だ、警告だと脅しをかけ こうすれば救われる唯一の方法だと言って、それ以外考えられないようにマインドコントロール(洗脳)してしまう。
原因が様々だが、大体人為的が大半だが、巨大な災害などを目にし恐怖に怯え、判断能力を 著しく低下した時を最も効果的に利用し狙う 頭のいい連中である。
全く手の施しようのない クレージーで、イカレタ(最も悪い意味=バイオレンス、アクション映画等で、使う褒め言葉でなく そのままの意味)連中 頭の中身の配線が、狂っているとしか言いようがない・・・
相手を人々を恐怖で縛りつけ それを利用し 人々の上に立ち 神々の教えだか、経典だか何だか知らない物を利用し 救われる唯一の方法だと言って人々を支配する道具に利用する。
そんなに支配者として、君臨したいのだろうか・・・?
こんな連中に取って、これが、唯一絶対の神々などとほぞく者の正義とやら? の為に、生涯を掛けて行う大事業なのだろう・・・ と浩司は、思った。
まともな(?)人間にはとても耐える事の出来ない話の内容ばかりであった。
個人の神格化は、拒否するほざきながら 大工の息子Yを神々の子などと崇め奉り 唯一絶対の神格化 R翼同様宣伝カーで、身の毛のよだつ聖書だか、経典だか何だか知らない物を 大騒音として、街中に撒き散らし言論の自由を謳歌しながら 片方、裏では、敵対、反対する者を テロ、暗殺、言論の封殺など・・・あらゆる方法を用いて、徹底的に弾圧し言論の自由を全く認めない。
"その神々と呼んだEBB's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)名の下、今まで一体何人の人々が傷付き殺されたか? 数えてみろ!! 神々の正義の為だか何だか知らない下らない理由の為にだ!!"
"・・・これのどこが神々の正義と言うのだ、正義などと言う死語の世界など どこにも存在しない世界だ!!"
"・・・これが神々の正義と言うものなら 全くのナンセンス!! お笑い種でしかない"
などと心の中で嘯いていた。
極度の宗教嫌いの浩司には、耐える事の出来ない話の内容ばかりである。
"生涯分の、忍耐と我慢の全てを使い果たした・・・" 心底浩司は思った。
ようやくピエールの独断場の卑しい演説が終わった。
「それでは、ここにお集まりの皆様 そして、この模様をTV中継、モニターなどでご覧の皆様 お待ちかねしました 聖歌隊によるコンサートを行いたいと思います」
ピエールが、そう言うと後ろのカーテンが、ゆっくりと開かれる。
男女約30人の白の聖歌隊の服装で数列に並んで立っている。
浩司の方から見て、正面の聖歌隊の左には、数台のキーボートが置かれ キーボードの前には、淡い白のフリルの付いたロングドレスを着たみなっちが、椅子座っていた。
まず聖歌隊の指揮者が挨拶をする。
いよいよ 待ちに待ったコンサートの開始である。
指揮者のタクトと共に、最初の曲が始まった。
キーボードの音源をピアノに合わせてあり みなっちの演奏する美しい演奏が鳴り響く。
曲は、定番のクリスマス・ソングから、ポップスの有名なクリスマス・ソングまで、全10曲であった。
みなっちの演奏するキーボードから流れる美しい音色と共に、聖歌隊の美しい歌声が、教会内に響き渡る。
とても素晴らしい 聴いている人に感動を与えるコンサートであった。
曲の途中に、みなっちソロパートがあり 本当に素晴らしい演奏であった。
全10曲が終わった。
聖歌隊全員が頭を下げる。 みなっちも立ち上がり一礼する。
みなっちに取って久し振りの晴れ舞台であった。
最初は緊張の余り指が思うように動かなく 固い演奏になっていたが、曲を弾く事に緊張感もほぐれ 華麗な指さばきで、美しく素晴らしいメロディを奏でる事が出来 満足感に酔いしれた。
最後に教会内が、割れんばかり拍手と歓声に包まれ 達成感 思わず笑みがこぼれていた。
教会内の観衆全員が立ち上がり 一斉に大きな割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。
いつまでも拍手と歓声が鳴り止まない。
ピエールがまた 笑顔を振りまき手を振りながら演壇の前に立った。
ようやく拍手も収まり 総立ちの観衆が席に座る。
「お楽しみいただけたでしょうか? もう1度聖歌隊に皆様の盛大な拍手を」
またも観衆が総立ちになり 惜しみない 割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
ゆっくりとカーテンが閉じられる。
またもピエールによる独断場の聴くに耐えられない演説が始まった。
浩司は、心でバリヤー、もしくはシールドを張り ピエールの声を遮断しようと試みる。
だが、うまく行かない。
出来れば、今すぐここから逃亡したい。
「・・・全ての人間が統一された精神体の1部となり 全く同じように考え 同じように感じ 同じ価値観を持つようになれば、人間の種としての進化が達成され 神々への進化の道が開かれる・・・・」
"銀河英雄伝説 地球教 大司教の演説引用 1部改め 田中 芳樹著"
全ての宗教の唯一絶対の根本理念であり 全ての宗教の根幹、本質を現す言葉である。
ピエールの演説のこの内容に、浩司の何か1部が、遂にブチ切れた。
今まで我慢してきたものが、轟音と共に崩れ落ちる。
浩司の目が異常に光る。 言いようのない怒りが全身に込み上げる。
浩司の身体にレジェンスからのエネルギーが駆け巡る。
瞬時に、浩司を椅子に縛り付けていたロープを自らの力で、引きちがる。
「そのセリフ もう1度言ってみろ ピエール!!」 浩司が立ち上がり右手でピエールを指差した。
怒りを露にし すさまじい顔つきであった。
普段の浩司なら冷静に相手を見下し 皮肉を言うか? この所では、かなり辛辣な毒舌を撒き散らしていたが、今日ばかりは違っていた。
教会内の全員が、一斉に、浩司と、ピエールを注目する。
ヤーナ内のだれもが、浩司と、ピエールが露骨なまでに対立しているのを知っている。
みなっちが最も恐れていた事が、遂に始まってしまった。
教会内の全員がたたづを飲んで成り行きを見守る。
「バカ、アホも休み休み言え 古代の奴隷だって、心の中で、主人に反抗する自由があった 全員同じ考え、感じ、価値観、統一された精神体など、最低、最悪の精神的全体主義の極致だ!!」
銀河英雄伝説 自由惑星同盟(フリープラネッツ)軍 ヤンザマジックこそ ヤン・ウェンリー元帥語録参照 1部改め 田中 芳樹著"
浩司は、言い放った。
「大体 何故? 地球上の全生命が、この様に多種多様化、多様性に富んでいるのか、考えた事があるのか!? もし1種しか存在しなければ、極端な環境変化時に適応、対応出来ず 絶滅するからだ、ものの考えも同じだ 1つの統一されたものしかなければ、急激な変化時に適応、対応出来ず、絶滅するだけだ!!」
浩司は、更に追い討ちを掛ける。
「人間は、どこまで行っても1人だ、だから他人、特に異性・・・ 好きな女を愛せるんだ!!」
"SF、TVアニメシリーズ マクロス・フロンティア 主人公 姫(この主人公 元々歌舞伎の女形役者で、美女より更に超美形の設定の為 周囲から姫呼ばりされている)こそ 早乙女 アルト語録参照 1部改め"
浩司は、横目で、この騒ぎを聞きつけ慌てて浩司の元へ駆け寄ろうとしたみなっちを見つめた。
みなっちは、立ち止まり ただ浩司の真剣な表情を見つめる。
「・・・ 好きな女を愛せるんだ!!」 の浩司の言葉に、一瞬ドッキとしてしまう。
顔が・・・頬が、急に少し赤くなる。
"こーちゃんのバカ こんな時 こんな場所で言わなくても・・・" 心臓の鼓動が早くなる。
浩司と付き合い始めていったい何年になるだろう・・・? こんなセリフ はっきりと言われた事などなかった。
ずーと 腐れ縁の状態で続いて、年中倦怠期によるケンカばかり。
一方的に押されぱなっしのピエールも反撃に出た。
「群体としての進化に行き詰まった人類を 神々の意思の下 1つの統一された精神体となり、お互いに、損失している心と魂を補完しあう事こそ、我々人類の神々への進化の道ではありませんか?」
ピエールの言葉に、浩司は呆れ返ってしまった。
1990年代以降大ブームとなっている SF、TVアニメ"E"のストリーの根幹をなす部分 基本である "人類補完計画" そのものである。
この作品は、浩司は、結構面白いと思っているが、反面嫌っている面もあった。 宗教色 特に、C宗教色が、非常に強い作品で、この点を 特に嫌っていた。
基本的なストリーの構成である "人類補完計画" 余りにもC宗教的色彩が強く ストリー全体の流れ、構成 主だった登場人物の思考 各種設定が、C宗教そのものの考え方で、C宗教洗脳アニメとさえ思える程である。
人の心は、脆く崩れやすいもので出来ており 互いの心の障壁を取り除き1つにまとめ お互いに補完しあう・・・ ATフィールドなどと呼ばれる自分と他人を隔てている心の壁を取り除き心も身体も1つになる・・・ など、最低、最悪の精神的全体主義の極致 互いに何も解からないから他人を理解しようとする気持ちや・・・ いやそれ以前に自分自身すら本当に理解しているか? 本当の自分 自分ですら決して理解出来るものではない。
C宗教的な心と、魂の救済である "人類補完計画"が、この作品の根幹である。
"全く何も理解出来ないやつ エリートなどと嘯くやつらは、1つの問題に対して、神々の教えただか? 何だか知らないが、1つの決まった、固定された方程式もしくは概念を当てはめ用いて、1つの決まった、固定された答えしか導き出せない・・・ マニュアルの決まった固定された世界でしか物事を見る事が出来ない・・・ やつらエリートと呼ばれる連中は、1つの問題に対して、1+1以外の方程式を当てはめる事しかが出来ず これがマニュアルであり 導き出される答えは、=2以外存在しない だから学校の成績が優秀なのだが、現実の世界は、マニュアルばかりではない、逆に、ノンマニュアルの方が多い 1つの問題に対して、1+1は、その問題を解く為の用いる方程式のたった1つに過ぎず、無数の方程式が存在し、答えも=2だけではなく 2など無数に存在する答えのたった1つに過ぎない・・・"
その為 学校の勉強の成績優秀なエリートに限って、人生の難問にぶち当たった時 その難問に対して、神々だか何だか知らないものの教えだか経典だか知らないもので、こうだ、ああだと言って、巧言令色、美辞麗句を並べ立てた答えを見せると、答えが導き出され救われたと思い込み その宗教に、一途に、一直線にのめり込んでしまう。
閉ざされた、極小の狭い範囲内の単純明快で、勧善懲悪(その宗教が、唯一絶対の正義で、それ以外は、全て唯一絶対の悪)以外の その宗教よりは、相対的に、ほんの少しだけ広い世界から目を背け 極小の限りなく狭い宗教の世界の中に、自らの全てを閉じ込めてしまう。
根が真っ直ぐで、単純明快な精神構造の為もあるのだろうが、それ以外を考えようとしない・・・ 問題である。
浩司は、その点 精神構造がかなりひねくれており あらゆる穴、欠点ばかりを探し出し 見下し、バカにして、皮肉や、辛辣な毒舌を撒き散らしていた。
一応浩司本人の名誉の為に述べておこう。
浩司本人 性格は、極めて真っ直ぐであり 清く、正しく、美しく、特に貧乏(この部分を特に強調している)育ちだと思っている。
あくまでも本人は、そう思っている。
決して、ひねくれて、歪んだ性格ではないと信じている。
"いったいおのれの性格のどこが、真っ直ぐで、清く、正しく、美しいじゃわい・・・ バカたれめー!!!" "(超怒)" (みなっち談)
"あ・・・あの・・・" "汗" (浩司談)
この世に完璧な物など存在しない・・・が持論である。
さすがに、これについては、口にこそ出さなかったが、更に反論した。
こうなると、もう止め様がない。
浩司と、ピエールは、お互いに相容れない存在である。
「唯一絶対だか何だか知らないが、神々と呼んだEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)に、唯一絶対だか何だか知らない大義名分を押し付けられるよりも 群小の人間が、それぞれ狭い愚かな大義名分を振りかざし傷付け合っている方が、はるかにマシだ。 全ての色を集めれば黒一色に化するだけであり 無秩序な多彩は、統一の無彩に勝る。 人類が単一、統一された精神体の1部になる必然性などない!!」
"銀河英雄伝説 自由惑星同盟(フリープラネッツ)軍 奇跡のヤンこそ ヤン・ウェンリー元帥語録参照 1部改め 田中 芳樹著"
浩司は、怒り心頭で、はっきりと言い切り ぶちまけた。
だが、反面 "強力な指導者の下に整然と統制され管理された 統一性の高い社会を好む" "銀河英雄伝説 自由惑星同盟(フリープラネッツ)軍 魔術師ヤンこそ ヤン・ウェンリー元帥語録参照 1部改め 田中 芳樹著" の名言も頭に過ぎっていた。
だからこそピエールの下に多くのサラリーマン上がりが集まるのだろう・・・ 自らの考え、自己責任を放棄し 強力な指導者の下 群体となって群れ同一行動しか取れない。
そんな連中だから 統一され管理された会社、お役所にいられるのだろう・・・
そして、自分達こそその下にいる多数を管理、支配する側だと思い込んでいる。
手の施しようのない連中だと、浩司は思った。
統一された集団行動になじめない浩司である。
典型的自営業者の家庭で生まれ育ち、一匹狼の資質を育んでいる浩司とは、相容れない 決して互いに理解出来ない世界である。
人は決して、1人では生きて行けない その程度の事は、浩司も理解している。
生きて行く為には、互いに差さえあって行かなければならない程度は理解している。
だからと言って、全て画一化、統一され管理、支配される必然性など、この世の中に存在しない。
浩司の持論であった。
だからこそ 今から何年も前 26歳の若さで生きる事と強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターの歌の世界、生き様、人生観、歩んできた道などが、浩司の心に響く。
2人の共通点の1つは、画一化、統一された管理、支配などのキーワードの社会からの離脱である。
この様な社会と言う壁を飛び越える事にあった。
今の中高生を中心とした若者などには、絶対理解出来ない信じられない、想像も出来ない話でしかないのだが、この時代徹底的大量詰め込み教育と、画一化された管理主義が横行し吹き荒れていた時代であった。
教師と呼ばれる人種の仕事は、校則という画一化された名の下を頭ごなしに、強制、強要し 徹底的管理、統一化された 1つの型にはまった画一で同一の生徒と言う商品を大量生産し社会と言う場所に提供するのが、仕事であり全ての評価の対象であった。
現状 特に日本で横行し社会そのものがそうなっているのだが、エリート階級である公務員、サラリーマン、OLを中心としたネクストノイド(新人類)による ネクストノイド(新人類)への改造を受けられない、進化する事の出来ない劣等生命として、蔑まさ 徹底的に弾圧れている 受ける権利を取り上げられた自営業者を中心とした極少数派のホモサピエンス・サピエンス(旧人類)を支配し徹底的管理する社会構造と全く同じ。
ほんの少しでも教師と言う人種の腹の虫の居所と違えば、生徒指導の名の下 徹底的体罰を中心した制裁が加えられ 不良、落ちこぼれなどのレッテルが張られ 学校、社会から除外された。
その時代 社会、大人、教師など管理する側に対する心の叫び、反発、反逆などを詩にし歌い上げたのが、26歳の若さで生きる事と強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターであり 浩司は、彼とほぼ同世代であり この時代 彼と良く似た思いを 社会、学校などと呼ばれる場所、大人、教師などに対して、思い続け抱いた。
だが浩司は、彼の様な行動を起す勇気も実行能力も持ち合わせていなかった。
心の中で反発、反逆するしかなかった。
そんな虫けら以下の扱いしか受けられず、小さく固まり寄り添い 学校、教師、社会などに背を向け 互いの心の傷を舐めあうことしか出来ない者の心の叫びを やり場の無い怒り、気持ちを・・・ 26歳の若さで生きる事と強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターは、自らボロボロになり のた打ち回りながらも前を見て信じて、思いの全てを歌にし叩きつけ、歌い続けてきた。
どれ程 社会から蔑まされ 社会の落ちこぼれ、不良、反逆児など、レッテルを貼られ マスコミを中心に、社会、大人、学校と呼ばれる場所 そこに巣食う教師と呼ばれる人種等などに、とても文章に出来ない程のあからさまなパッシングを受け続けようと・・・
僅か26年と言う 短い生涯を全力で駆け抜けていった。 それが一瞬の幻影であったように・・・
"この支配からの卒業・・・" "だれにも縛られたくないと逃げ込んだ この夜に、自由になれた気がした・・・" などまさに数々の心の叫びである。
(作詞、作曲 尾崎 豊 作品名 卒業、15の夜 参照)
だが26歳の若さで、忘れもしないあの日 1992年4月25日(土曜日) 正午頃・・・ 生きる事と、強制的に、別航路に変えさせられると、評価は、その瞬間 正反対に急転 10歳代、20歳代のカリスマ、教祖(浩司を始め 彼が生きている時代からの筋金入りのファンは、カリスマ、教祖など世俗的な呼称に対して、猛反発する)などと 急に神輿を担ぎ上げられ有様である。
今までの情け容赦ないのパッシングの数々は、突然 いっいどこに行方不明となったのやら・・・?
今までの数々のパッシングを翻し 急に彼を持ち上げる有様であった。
マスコミを中心に、社会、大人、学校と呼ばれる場所 そこに巣食う教師と呼ばれる人種等の取った態度、行動である。
彼ら大人、教師などと呼ばれる人種は、自分達が勝手に作り上げた、法律、ルール、校則などと言う枠内以外のモノを全く認めず、疎外、除外し、枠内と言う1つの固定されたモノの中にはめ込む。
宗教もしかり 全く同様である。 1つの画一化、統一性 神々の教えだか、経典だか、何だか知らないものを徹底的に信じ 1つの極小の枠の中 統一したもの考え以外認めず、頭ごなしに強制する。
だから浩司は、宗教を毛嫌いする。
浩司と、26歳の若さで生きる事と強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターとの間には、基本的理念など、かなり共通点があり 浩司は、それに対して共感し共鳴していた。
その時代からの思い、熱き反逆精神と、反逆ロック魂を 浩司は、今だに失っていない。
決して、他人には、褒められたような生き様でない だが浩司は、それを信じていた。
浩司は、無骨で、無様なまでの不器用な生き方しか出来ない。
人並みの器用な生き方は出来ない。
出来たならばどれ程楽が出来たであろうか・・・?
人は、どこまで行っても1人・・・
孤独な浩司の心を救っていたのは、恋人のみなっちと、親友と呼べる川村、そのフィアンセの百合 そして、今から何年も前 26歳の若さで生きる事と強制的に別航路に変えさせられた 若き天才ロック、シンガー、ソング、ライターの存在だけであった。
もはや我慢ならない状態である。
もはや手の施しようのない程 浩司と、ピエールは対立してしまった。
もはや誰の手でも修復不可能な状態となってしまった。
ピエールも今までの様なエリートらしい余裕を浮かべた表情、態度から一変 露骨に敵意を剥き出した表情に変わる。
ゆっくりと演壇の横に設置してある階段を降り出し 浩司に近づき始めた。
浩司も ゆっくりとピエールに向かって歩き出す。
途中背広を脱ぎ捨て、ネクタイを外し シャツのボタンを上から3つ外し、シャツの袖を捲り上げる。
互いに、憎しみの目で相手を睨む。
みなっちは、顔から血が引き青ざめ 浩司を見つめる。
こんな 冷たい・・・ いやこんなに冷酷な浩司の表情を見た事がなかった。
浩司は、みなっちのいない戦闘中には、時々こんな冷酷な表情を見せていたが、みなっちはそれを知らない。
「ここいると、危険だ、逃げろ!」
浩司は、周囲にいる者達に、静かに注意する。
全員 2人から離れ始める。
2人が、本気で激突すれば、一溜まりもない。
立ち止まったピエールの口元が薄く笑う。
「B,P(バトルプロテクター)!!」 ピエールは、叫ぶ。
瞬時にピエールの身体に、ブロンズ色のB,P(バトルプロテクター)が装着される。
浩司も戦闘モードに入った。
浩司の身体から淡く白い光が発光する。
「2人共 お願い止めて」 少し遠くに離れたみなっちが、大声で叫ぶ。
だが2人の耳には届かない。
2人の間に火花が飛び散る。
「2人共いい加減にせんか!!」
凄みのある声で、マークが2人の間に入った。
暫く沈黙の後 2人は、同時に戦闘態勢を解く 浩司は、戦闘モードを解除する。
淡く白い光が消える。
ピエールもB,P(バトルプロテクター)装着を解く。
2人は、暫く睨み合った後 各々の方向へ歩き出した。
この時点で、浩司とピエールは、完全に分断してしまった。
戦力を集中しなければならない大事な時期に。
慌ててマークの側近のスティーブが、マークに近づく。
「困ったものじゃ あの2人・・・」 マークはつぶやいた。

自宅に戻った浩司は、みなっちに散々文句を言われた。
しかし浩司の耳には届いていない。
みなっちに言わせれば、せっかくの晴れ舞台 満足出来る結果を残しいい気分でいた所を 浩司とピエールが、一発即発の大乱闘の1歩手前の大激論を起した。
結果として、終わり悪く 気分はこれ以上ない程悪い。
日頃の不平不満が爆発した。
原因の一端を担う浩司は、いつもの女性特有のヒステリー程度にか思っていなかった。
浩司は、物憂げに遥か彼方の遠くだけを見ている そんな目付き、表情であった。

その後 各戦闘でも 浩司とピエールは、別々の戦場での戦闘であった。
浩司は、総司令官の永井や、その副司令官であるブラウンと同じ部隊での戦闘であった。
時々 永井の命令無視の単独行動を取っていたが、戦術上の余り意味のない勝利を収める以外 大した戦績を残さなかった。
この時点でも 浩司は、戦略上の勝利を模索し続けていた。
基本的には、ネクストノイドとの共存に主眼を置いていたものの 具体的構想は、漠然としたものであり まだ何も考えていなかった。
何を持って戦略上の勝利とし 戦局、戦争 歴史的背景にどのような影響を与え 自分の望む方向へ歴史が動くのか?
その点に尽きた。
どのような共存した社会システムを作り上げるのか?
浩司は、この時点 模索し続けていた。
一方ピエールは、自分の信頼出来る部下を引き連れ 何やら世界中で、極秘裏に探している模様であった。
その中心となって動いていたのが、情報部主任のコネリーである。
ピエールの指示の元 何かの情報を求め 自ら世界中を飛び回っていた。
そして、アジアの某所で、探している物のヒント・・・? いや探し出す為の重要なキー(鍵)となるアイテムを遂に発見した。

ここは、聖なる場所のピエールの教会内にある秘密の部屋。
「ピエール神父 これが例の物です」 この部屋に訪れた 情報部主任のコネリーが、手に持つ厳重に保管されたアタッシュケースを 机の上に置き開く 中から丁重に布で包まれた物を取り出す。
それをテーブルに置くと、布を丁寧に取り外す。
中から古代文明の小さな出土品? いや マニアック連中に言わせれば多分 オーパーツ(OOPARTS=Out Of Place Artifacts 場違いの工芸品もしくは、出土品)と呼んで騒ぐだろう・・・ が現れた。
小さな金属で出来た円盤型のCDに似た物である。
金属の輝きがあり どんな金属で出来ているのか? 光を浴びると見た事もない青白く輝く物体であった。
ピエールは、それを手に取ると、裏表を丹念に調べる。
「間違いなさそうだ 良くやってくれたコネリー主任」
ピエールは、そう言いながら小さな金属で出来た円盤型のCDをテーブルの上に置く。
「これで、もう浩司は、用済み どのように処分をなさるおつもりで・・・」
コネリーは、意味ありげに微笑む コネリーは、ピエールにスカウトされる前は、母国イギリスで、つい最近その存在が公式に確認 認められたスパイ組織 原作イアン・フレミング(この原作者 実はこのスパイ組織の一員だったと言う説もある)で、ハリウッドの超大作映画シリーズ007(ダブルオーセブン)のモデルとなるMI6(別名SIS)所属の敏腕スパイで、キラーライセンス(殺しのライセンス)を所持 裏では、暗殺のスペシャリストとして暗礁していた。
暗殺などお手の物である。
だがピエールの反応は違っていた。
「まだヤツ(浩司)は、生かした方が使い道がある」
そう言いながらコネリーに少し離れるようジェスチャーを出す。
離れるのを確認すると、B,P(バトルプロテクター)を装着 左胸を開くと、そこに小さな金属で出来た円盤型のCDを差し込む。
差し込むと同時に、額のレアスタルが輝く。
B,P(バトルプロテクター)を装着している為 表情は解からないが、そこに記録されている各種データを閲覧しているように感じる。
「何か解かりましたか?」 コネリーは問いかけた。
B,P-2は、大きくうなづく。
左腕から数本の光ファイバーの様な物が出て来る。
それを近くにあったデスクトップタイプのPCに差し込む。
「見るが良いコネリー主任」
同時にまたB,P-2の額のレアスタルが輝く。
「エル(神々)の言語、文字を自動翻訳した」
デスクトップタイプのPCの画面には、次々と何かの画像と、自動翻訳された文字が映し出される。
「これは・・・?」 コネリーは、驚きながらつぶやいた。
「そう こけは、ここ聖なる場所ではなく エル(神々)の地球上内における いやこの太陽系内のおける最大拠点軍事基地」
B,P-2は、説明した。
「やはりここは、当初考えられた通り居住用スペース」
「だから 反物質反応炉以外 これと言った生産施設が存在しなかった理由ですね」
コネリーの問いにB,P-2は、大きくうなづく。
「そして、ここに我々の求めるエル(神々)の最大の秘宝 脅威のオーバーテクノロジーが隠されている」
B,P-2は、デスクトップタイプのPCの画面の1部を指差した。
指差した画面の1部が、色が変わり点滅を始める。
「コネリー主任 腕利きのスパイを連れ ここを調査してくれ」
「はいピエール神父」
「他だし 川村には知られぬよう極秘」
「はい解かっております」
「川村のやつ せっかく目にかけてやったのに、この私を裏切り 事もあろうに、浩司さんに付いてしまった 非常に惜しい人材だが仕方あるまい 後々川村の処分は考えるが、浩司さんと、川村の2人だけで何も出来ん」
ピエールと、コネリーは、更に色々と話し合った。
デスクトップタイプのPCの画面には、アジアの1部地域が映し出されていた。
色が変わり点滅している部分は、世界最高峰 世界の屋根と称される ヒマラヤ山脈の1部地域であった。
そこは、ファンタジー、アドベンチャー小説、映画などの舞台に良く使われる かってそこには、シャンバラもしくは、シャングリラ伝説が噂される地域であった。
浩司もシャンバラもしくは、シャングリラ伝説は、良く知っていたが、他だの擬似科学として その存在は否定していた。
そもそもイギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが、1933年に出版した小説 ((失われた地平線)) に登場する理想郷(ユートピア)で、全く実在しないフィクションであるのに、後にオカルト、神智学などの 典型的擬似科学と結び付き この地域の地底に、伝説のシャグリラもしくは、シャンバラが存在し。人類に対して・・・ など荒唐無稽な話しが展開されている。
実在を示す証拠は、何も見つかっておらず、ロマンだけの擬似科学の伝説の1つである。
ピエールは、直接脳に送られるデータを感じながら思った。
"今 装着しているのは、真のB,P(バトルプロテクター)ではない 今 装着しているのは、惑星、衛星、宇宙空間などの作業や、護身用のプロテクターであり 更に、各目的に応じて、この上に装着する専用プロテクターの為の汎用基本ベースに過ぎない・・・ 真・・・いや本物の局地戦、戦闘用のB,P(バトルプロテクター)・・・ これこそG,P(ゴットプロテクター)の名にふさわしいプロテクターは、間違いなくここにある。 エル・・・いや神々の残した驚異の超高度オーバーテクノロジーの最高傑作が・・・ これともう1つのオーバーテクノロジーが手に入れば、その時こそ、私の望むミレニュアム(祝福された神々の1000年王国)への道が開かれる。 この神々の残したオーバーテクノロジーを神々の忠実な下僕である私が使い 神々の敵であるネクストノイドを滅ぼし 神々を信じないない無神論者である 浩司さんを処分すれば良い やつをそのまま生かしておけば、後の災いになる"
ピエールは、薄く笑った。
次にピエールは、側近の1人で、同じC宗教の神父であるドレークと共に、ヤーナ内部の改革と言えば聞こえが良いが、多数を武器に、ヤーナの加入者全員にC宗教への改宗を露骨に強要を始めた。
対アポリス、ネクストノイドへの対抗上一枚岩である必要に応じて・・・などであった。
元々C宗教関係者、信者が多く 旧島民もC宗教の信者である。 と言ってもほとんど信仰心など持ち合わせていなかったが・・・
別段問題ないように思われた。
大多数がC宗教の信者でない日本人もほとんどが、宗教に対して、寛容であり 周囲の状況に流されやすいタイプが多く 典型的農耕民族の特徴である 出る杭は打たれる・・・ 周囲に合わせるなどで、すんなりと改宗に応じていた。
C宗教に改宗した方が、色々な面で優遇される・・・などの打算も働いていた。
だが、元々C宗教の素朴な信者であるみなっちは、この改宗運動には、余り芳しく思っていなかった。
ピエールの言い分に一理あるとは思っていたが、信仰の自由は、個人に帰するべきものだと思っていた。
つまりだれが、どの宗教を信仰しようと自由 である。
上から強制されるものでない。
この辺は、多分に浩司の影響を受けている面については、みなっち本人は気付いていなかった。
だがヤーナ内全員が、改宗に応じたのではなかった。
少数ながらいた。
この改宗運動に露骨に反抗した人物は言わずと知れた男(浩司)である。
他にも 元々C宗教の信者であるが、信仰心は、また別と言う人物も幹部に少数存在した。
テクノロジー開発部のアンダーソン工学博士と、医療部主任ワグナー医師 そして、C宗教の信者でない軍事部門最高司令官の永井である。
ヤーナ内改革に名を借りた露骨なまでの改宗運動に嫌悪感を示していた。
そして、川村と、百合も応じなかった。
だが、それらは、極1部の少数派に過ぎなかった。
そんなある日 川村と百合は、浩司とみなっちの自宅で現状について話し合っていた。
「C宗教は、最高権力者を宗教的に洗脳する事で、古代ローマ帝国を乗っ取るのに成功した その後 C宗教が、どれ程悪辣に他の宗教、無神論者を弾圧し絶滅させたか、その結果 1つの帝国どころか、文明 そのものを支配するにいたったか、これ程効率的な侵略は類を見ない・・・・」 
"銀河英雄伝説 自由惑星同盟(フリープラネッツ)軍 ミラクル・ヤンこそ ヤン・ウェンリー元帥語録参照 1部改め 田中 芳樹著"
浩司は穿き捨てた。
C宗教の素朴な信者であるみなっちの目の前である。
だが、みなっちは、反論1つしない 黙って浩司の話しを聞いている。
「そして、C宗教と異なる考え、異端者、異教徒、無神論者を魔女と決め付け、あぶり出し つまり魔女狩りを行い、偏向裁判で冤罪をデッチ上げ次々と拷問処刑を繰り返し 反抗を許さない強権洗脳支配体制を築き上げた それが、中世ヨーロッパの暗黒時代だ ピエールのやつ また同じ過ち・・・轍を繰り返す気か・・・ その反省から現代の民主主義の根幹の1つであり基本的人権の1つ 信仰の自由や特に無神論も認められているんだ」
浩司は言い放った。 特に無神論の部分を強調するのが、浩司らしい一面でもある。
浩司は、神々の存在そのものを認めない いや我々人類のDNAを勝手にいじったEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)であり 少々・・・いや現代のテクノロジーなど比較にならない驚異のオーバーテクノロジーを持つだけで、尊敬も、信仰心もない。
"所詮宗教など、害悪しかもたらさない最低、最悪の精神汚染であり、その効果は、人類に取って史上最強、最悪の劇薬麻薬に過ぎない。
1度のめり込むと、2度と逃れられない常用性、依存性を持つ。
信者に対する徹底的 刷り込み、マインドコントロール(洗脳) 宗教以外の物の考えが出来ないようにし 全く同じ考え方しか出来ないパーフェクト・コピー人間の大量生産を繰り返す・・・ まるで昔のお菓子の様な金太郎飴・・・"
浩司は、そう思った。
「その部分は解かりますが、旦那ー 現状をどう打破するつもりで?」
川村は、浩司の顔を見た。
浩司は呆れたポーズを取っている。
「まだ何も考えていない 多勢に無勢・・・」 浩司はつぶやいた。
実の所 浩司はつぶやいた通り まだこの現状に対して、有効的な対策を何も考えていなかった。
現在 浩司の頭の中は、ネクストノイドとの共存と、その社会システムを どのように構築するかで占められていた。
それにこの所 世界中から報告される 天変地異 特に、巨大地震の発生、火山の噴火が、急激に増加していた。
それも 火山のない場所に突如 火山噴火、過去 ほとんど地震が発生していない場所での巨大な地震の発生などである。
その為 テクノロジー開発部アンダーソン博士の部下の科学者、エンジュニアグループの1つは、その専任あたり その原因発生のメカニズム解明に大忙しであった。
プレートテクトニクス、プルーム理論などに精通する浩司は、何度も呼び出されている。
だがその原因は、今だ謎であった。
地球規模の活動期に入ったのではないか? と言うのが現時点における主流となりつつあった。
暫くすれば、また休眠期に入ると思われていた。
その為浩司自身それ程 この問題を深刻に考えていなかった。

深刻だったのは、現地球の支配者であるアポリスの方であった。
世界各地で頻発する 突如の火山噴火、巨大地震などの自然災害の対応に追われ ヤーナを中心とした小規模の反対勢力の大規模掃討作戦が展開出来ない状態であった。
ネクストノイドに改造を受けた者であれば、例ガレキの下敷きになっても グロテノスに変身していれば、ほとんど軽症で済むのだが、まだネクストノイドへの改造を受けていない旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)では一溜まりもなかった。
死傷率に極端な差が出ていた。
アポリス側の旧人類(ホモサピエンス・サピエンス)で、被害に遭った者の救済に追われていた。
その為 まだ改造を受けられない者に、不満が募り始め 世界各地で、暴動こそ起きなかったが、ストライキなど抗議運動が続発し始めていた。
当初予定していた アピリムと、ギルしか知らない "大いなる計画"は、時間に対する大幅な修正を余儀なくされていた。
特に、信頼の高いアジス 裏切った龍(ロン) 2体のデストロをキャラン(浩司)に倒されたのが、痛手であった。
デストロは、生まれつきの特殊なDNA所持者でなければなれない。
天文学的とでも言える確率でした誕生しない 貴重な存在であった。

「ところで旦那ー」 川村は出されていたコーヒーを飲みながら浩司を見た。
「いつもそうなんですがねー 旦那は、遠くのものは、良く見え それに対して何とか対応しようと、あらゆる状況を考慮し苦心する だがその反面 近く・・・ 特に手近なもの 足元は、見えているんでしょうけど、いつも放ったらかしにして無視 もしくは、相手にすらしようとしない その為状況が悪化の一途を辿る」
川村は、みなっち同様 浩司の置かれているヤーナ内での現状を苦慮していた。
「何をやるにもまず足元、土台が大事でっせー 足元がおぼついては どんな立派なものを建てても倒れまっせー 旦那は唯一 このヤーナ内でピエールに対抗出来る勢力のリーダーになり得る人材 なのに状況に流されるまま 何もしょうとしない 旦那に欠けているものの1つはリーダーシップ゜ 物事に対して上に立ち引っ張っていく それが欠けていますぜー 何をやるにも一匹狼もいいですがー 1人じゃ何も出来ませんぜー」
川村は、浩司の顔を見た。
色々考えている表情に見えた。
「まあー そこが旦那の魅力でもあり 欠点でもあるんですがねー」
「強力なリーダーシップは、究極の他力本願のメシア(救世主)信仰を生むよ 自分達に降りかかる厄介ごとを 自分に代わって他人が解決する 全てに他人任せで、気楽かつ無責任に悪口を言える境遇を好む 全宗教のメシア(救世主)信仰や、今のサラリーマン化した社会が、その典型だが、自ら自己反省、自己努力をしない連中を生むだけさ・・・ そして、自分に代わって諸問題、厄介ごとを解決した人間は、メシア(救世主)だ、ヒーロー(英雄)と崇め 煽てられ 強力いや・・・ 無制限の全権力を手に入れ 行き着く先は、独裁者だよ 独裁者は、必ず独裁者としては現れない 最初は、メシア(救世主)だ、ヒーロー(英雄)さー そして独裁者に祭り上げた人達は、やがて独裁者によって弾圧される その独裁者を倒す為には、膨大なコストと、時間と、血と生命が必要とする はたして有効的対策方法かな?」
浩司は、否定的に言い方であった。
やはり1人で、ケリ(決着)をつけるしかないと考えていた。




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