LEJENS  レジェンス

 Epsisoed T ネクストノイド

 作者  飛葉 凌 (RYO HIBA)


 神々の鎧 Part10

 「龍(ロン)様 大変です」
オペレーターの1人が慌てて振り返り 後部の1段高い場所に座る龍(ロン)の顔を見た。
「何事じゃ そんなに慌てよって」
憮然とした表情で龍(ロン)は言い放つ。
少し前 3体の未確認飛行物体が、この中国奥地にある東アジア最大の拠点基地に、高速で向かっている報告を受けた。
間違いなくキャラン(浩司)と、2体のB,P(バトルプロテクター)であった。
すぐさま リンに命令を下し 約60体の飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスを従えさせ迎撃に向かわせた。
やはりヤーナは、キャラン(浩司)と引き換えに、日本を譲り受ける交渉に応じず、交渉は決裂 龍(ロン)に対して、本格戦闘を通告して来た。
こうなれば、実力でキャラン(浩司)からレジェンスを奪い取る以外方法はない。
もはやキャラン(浩司)は以前のキャラン(浩司)ではない。
龍(ロン)の変身後のバトルスタイルであるサラマンダー(火龍)より遥かに強い 変身前のアピリムを後1歩の所まで追い詰めた。
もはや龍(ロン)の敵う相手ではなくなっている。
唯一 キャラン(浩司)の弱点と思える エネルギーのコントロール不能に僅かな望みを掛けるしかない。
突然 エネルギーが極端に変動し落ち込む その僅かなチャンスにかけるしかない。
「ギル将軍、ビリー将軍、デューク将軍の各々が各軍を引きつれ、龍(ロン)様に面会を求めています」
3体の将軍の顔が正面のマルチスクリーンに映し出される。
「龍(ロン) 何故? わしらが軍隊を引きいてここに来たか、お前は気付いたじゃろう・・・」 マルチスクリーンに映し出されているギルは、言った。
「抵抗しょうとしてもムダだぜ さっさと出てきな」 ビリーも これから始まる事に対して 期待を込めた表情である。
どうやら ひと暴れしたくてうずうずしているのが解かる。
「大人しく従えば アピリム様も寛大な処置をして下さるはず」 デュークも紳士的に言う。
「この基地を3方向から完全に取り囲まれおります」 レーダー担当が不安な表情を浮かべた。
3体の将軍率いる3つの軍隊が、完全に戦闘態勢に入っているのが、モニター画面に映し出されている。
しきりに歯軋りする龍(ロン) こんなに早く裏切りがバレるとは、予想外であった。
もはや猶予はない。
このままアピリムの前に引き出されれば、間違いなく処刑される。
「全員 戦闘配置じゃ!!」 龍(ロン)は叫び この基地及び周辺にいる龍(ロン)の部下のネクストノイドにテレパシーを送った。
全員 グロテノス、ハイパーグロテノスに変身させる。
全戦力を投入による総力戦しかない。
テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)で、手持ちの戦力を動かし この危機を乗り切るしかない。
戦力差は、3倍以上 ほぼ勝ち目がないのは解っている。
他だし 現在 キャラン(浩司)達の迎撃に向かった リン率いる部隊には、テレパシーを送らない。
ここに向かっているキャラン(浩司)達の足止めが必要だ。
「こんな時に限って・・・」 龍(ロン)は怒りに震えた。
「どうした龍(ロン) 返事がないぞ」 ギルは、毅然とした表情である。
怒りを露にした表情で、龍(ロン)は、ギルの顔が映し出されているマルチスクリーンを睨んだ。
「断る!!」
もはや引けない 退路はない。
「全部隊 敵3方向に対して攻撃開始せよ」 龍(ロン)は命令を発した。
ここで、アポリス同士 内部分裂による初めての内戦が開始された。
やはり3倍以上の戦力差は、どうにもならない。
3方向から同時に攻められる。
それに、主な航空戦力である 飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスは、ほぼキャラン(浩司)達の方へ投入し、手持ちはほとんどいない。
やはり強力な地上戦力を持っても 空からの支援がなければ脆弱である。
陣形も次々と蹴散らされ 各個撃破され 僅かな時間で半数まで減らされていく。
龍(ロン)は、残った部下達を引き連れ 戦力を1ヶ所に集め 紡錘陣形で、包囲網の1番手薄な部分に、全戦力を集中させ突破に成功 東アジア最大の拠点基地を放棄 後退を余儀なくされた。
すかさずほうぼうに分散している 東アジア地域の残存戦力を集中しょうと、まず手始めに、リン率いる飛行部隊と合流を図る為 リンの戦闘空域へと移動を開始 ギル、ビリー、デューク率いる3軍に追われながらも必死の後退を続けた。

 「リン わしのテレパシー聞こえるか」 龍(ロン)は、テレパシーで、リンに問いかけた。
完全指向性で、龍(ロン)とリン以外 だれにも 例えアピリムでも このテレパシーでの会話は、傍受出来ない。
キャラン(浩司)のサイコキネシス(念動力)で、金縛りにあい 身動き出来ず 戦闘を眺めているだけのリンにテレパシーは届く。
「はい 龍(ロン)様」 リンはテレパシーで返答する。
「今 わしは、無根の罪で、ギル、ビリー、デューク率いる3軍団に追われておる」
「どういう事ですか? 無根の罪とは?」
「詳しい説明は後じゃ キャラン(浩司)との戦闘を中止 ただちにわしの所へ戻れ」
「と 申されましても 私の率いる部隊は、残り数体残すのみ それに、私はキャラン(浩司)の変な技で、身動きを封じられております」
何度も脱出を試みようともがいたが、全く身体は動かない。
次々と、キャラン(浩司)と、2体のB,P(バトルプロテクター)に、殺されていく仲間を見つめるだけで何も出来ない。
「お前だけでも 何とか脱出出来ぬのか?」 ややイラつている。 もはや頼みはリンの改造タイプのハイパーグロテノス1体となっていた。
リンには、更なる改造を施した。
もはや並のハイパーグロテノスを超えた存在である。
相手がキャラン(浩司)でも それなりに手こずると思っていた。
だがいとも容易くその動き封じられていた。
残り数体の最後まで生き残っていたハイパーグロテノスもキャラン(浩司)の高周波セイバーで、斬り捨てられた。
残るはリン1体のみ。

 「あれは?」 その方向にB,P-2が最初に気付き指さした。
上空、地上から激しい攻撃を受け、こちらに向かう軍団に、リンを残し 残る飛行タイプのグロテノス、ハイパーグロテノスを倒したキャラン(浩司)、永井は、その方向を見た。
3軍団が、1軍団を凹陣形に包囲し、一方的に押し込んでいる。
そして、上空では、サラマンダーに変身した龍(ロン)が、変身前のギル、ビリー、デュークの3将軍に押され後退していた。
 「やはり・・・」 キャラン(浩司)はつぶやいた。
どうやら龍(ロン)の裏切りがバレ 討伐の為 3体の将軍率いる軍が、龍(ロン)への攻撃を開始したのだろう・・・
「どうします?」 B,P-1は、キャラン(浩司)と、B,P-2の顔を見た。
無関係な戦闘に巻き込まれるのは、得策ではない。
キャラン(浩司9は、1人 リンの方を振り向いた。
憎しみを込めた目付きで、キャラン(浩司)を睨むリン。
"リン 例のお前に与えた 新しい力を試してみるのじゃ・・・・" 龍(ロン)からのテレパシーがリンに届く。
龍(ロン)率いる科学者グループが、ネクスタルの新たな可能性に気付いた。
ハイパー化と違う ネクスタルが持つ・・・ 多分 このネクスタルを作り出した あのエルでさえ気付いていないと思われる もう1つの可能性である。
本来持つポテンシャル・エネルギーの限界を超える方法であった。
"はい 龍(ロン)様" テレパシーで返信しリンは、1度小さくうなづく。
リンは、全神経、意識を頭の額に埋め込まれている 赤のネクスタルに集中する。
まだ研究段階であったが、リンだけに施されていた。
ハイパーグロテノスでも、プロトタイプであるリンだからこそ出来る事でもあったのだが・・・
元々ネクスタルは、あのキャラン(浩司)が、融合するレジェンスを エルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が、人工的に生み出そうとした過程で、偶然出来た物である。
4次元ワームホールを発生させ 超高エネルギー状態の多重宇宙の1つと繋ぎ そこからエネルギー供給を得ている。
供給出来るエネルギー量によって、上からゴールド、エメラルド、赤と言う順である。
赤が最もエネルギー供給量が少ない。
だが龍(ロン)率いる科学者グループは、ある点に気付いた。
それは、4次元ワームホールを生み出す為の別のエネルギーであった。
時空間に、エネルギーバイパスのトンネルを作り出すエネルギーをどこから得ているか? であった。
時空間に4次元ワームホールを作り出すのには、膨大なエネルギーを必要とするはずである。
そのエネルギーをネクストノイドの生体兵器に利用出来ないか? 考えた。
赤のネクスタルを研究中に、その点を見つけ出した。
セフティ機能により コントロールされている部分があった。
ある一定以上には、ロックがかかっておりそれ以上にエネルギーが上がらない仕組みになっていた。
その上限値は、赤のネクスタルが4次元ワームホールから常時得られるエネルギー量より大幅に少ない。
だがセフティ機能よりロックされる上限値の先には、無限とでも思える未知の膨大なエネルギー源が存在した。
そのセフティ機能を解除し そこから得られるエネルギーを生体兵器の武器のエネルギー源に利用する方法をリンに施した。
まだ理論段階で、実際テストは、リンを使っての小規模な物で ロックされる上限値を大幅に下回る基礎研究段階であった。
実戦での初のロックのかかる上限値突破てある。
リンの額の赤のネクスタルが輝きを増し 周囲を赤く染め始めた。
「何事だ!!」 キャラン(浩司)、B,P-1、B,P-2の3人は、異変に気付き リンを見つめた。
リンは、雄叫びを上げながら急速にエネルギーを増大させ始める。
同時に、リン自身が頭の額の赤のネクスタル同様 身体から赤い光を発光させ始めた。
表情は、エネルギー増大と共に、見る者を魅了する絶世の美貌から 見る影もない程にひどく醜く歪み出す。
「・・・・!!」 言葉にならない雄叫びを上げ 両腕を大きく広げた。
キャラン(浩司)のサイコキネシス(念動力)によって金縛りにあっていたエネルギーの壁を破り、光の破片となって周囲に飛び散る。
「どうだ キャラン(浩司) 私の本来の力を見たか!!」 今までのリンとは違う まるで何者かに乗っ取られだしているかのように、低く醜く歪んだ声であった。
更に急速エネルギーが増大している。
もはや ハイパーグロテノスのエネルギーの上限値を大幅にオーバーし上昇し続けている。
「いかん・・・」 キャラン(浩司)はつぶやいた。
キャラン(浩司)の脳裏には、自分自身のレジェンスのある超えてはならない領域が過ぎる。
Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域 決して超えてはならない領域 過去歴代のホワイトレジェンの融合生命体が到達していない いや入ろうとしなかった領域であった。
元々ネクスタルは、キャラン(浩司)自身が融合してしまったレジェンスを あのエルと呼ばれるEBE's(イーバーズ=地球圏外知的生命体)が人工的に作り出そうとした過程で、偶然に出来た物である。
4次元ワームホールを作り出し 多重宇宙の超高エネルギー状態の別宇宙の1つと、4次元ワームホールで繋ぎ そこからエネルギー供給を得ている。
似た構造のはずである。
と言う事は、レジェンス同様 Absolute Area(絶対領域)と呼ばれる領域があるかも知れない。
エネルギーの無限に上昇を押える為に、何らかのコントロール、セフティ機能があり 一定以上に上がらないシステムを採用していてもおかしくない。
コントロール出来ない物など無用長物でしかない。
レジェンスは、自然に出来た物であり、元々セフティ機能など存在しない だがネクスタルは、人工的に作り出された物 何らかのセフティ機能があってもおかしくない。
「このままでは・・・」 キャラン(浩司)は不安の色を浮かべつぶやいた。
リンの表情は、何かに乗っ取られかかっている・・・ そんな感じであった。
テレパシーによるマインドコントロール(精神支配)とは別の何かにか?
このままでは、リンの意識がその何かに乗っ取られる・・・
多分 ネクスタルが、ある一定領域 Absolute Area(絶対領域)を超えると、ネクスタルそのものが、自意識、自我を持つのかも知れない・・・ いや目覚めるのか・・・?
そして、無限にエネルギーを上昇させる・・・
その為 セフティ機能によって、4次元ワームホールを発生させるレベル以上にエネルギーを上昇させないように抑えているのかも知れない。
ネクスタルの強力なエネルギーに耐えられるよう ネクストノイドは、身体に改造を施す。
ある一定レベル以上に身体は耐えられないはず・・・
リンの身体に 更に異変が起こり始めた。
美しい赤を中心とした極彩色の2枚の翅が、純粋なエネルギーによる 光とエネルギーの翅へと変化し始めた。
顔は、更に凶暴さを剥き出しに もはやあの世界を魅了する絶世の美貌の面影もない。
リン自身が発光する赤い光が爆発した。
爆発エネルギーは、ソニックブーム(衝撃波)となって、周囲の時空そのものを揺らす。
まともに、ソニックブーム(衝撃波)を喰らい キャラン(浩司)、B,P-1、B,P-2の3人は、後方へ大きく弾き飛ばされる。
「ふ・ふ・ふ・・・・ 見たか 我の力を・・・」 リンの声ではない 何かに? 精神と肉体が乗っ取られ操られている。
キャラン(浩司)は、リンの瞳を見つめた。
感じる・・・ まだリンは、乗っ取られていない 瞳の奥底に、リン本来が残っている。
まだAbsolute Area(絶対領域)に到達 超えていない 多分 その寸前のはず・・・
キャラン(浩司)は、自らレジェンスのエネルギーを高め始めた。
身体全体から淡い白い光が発光する。
まだ手遅れでなければリンを本来のリンに戻せるはず・・・
「浩司さん・・・」 近くにいたB,P-1は、もう手の施しようがないと言った態度であった。
B,P(バトルプロテクター)の戦闘能力のレベルの限界を遥かに超えている。
戦っても勝ち目がない。
「ここは、俺のやりたいようにやらせてくれ・・・」 キャラン(浩司)は、そう言い リンに向かってゆっくり前進する。
「リン」 キャラン(浩司)は、右腕を突き出した 右手首を立てる。
無数の小さな光点が発射する。
ショットアタックである。
だが 全てリン身体から発光する赤い光に弾かれる。
「そんな子供だましの技 我には通じぬ」 不敵な笑みを浮かべるリン。
爆煙で、リンの周囲が白くなる。
一瞬 リンは、キャラン(浩司)の姿を見失った。
その瞬間 キャラン(浩司)は、リンの発光する赤い光の内部へと入り込んでいた。
右手の手の平にエネルギーを集中 リンの額のネクスタルに触れようとした。
だが強力なエネルギーが発生している。
キャラン(浩司)は、リンのネクスタルが発光する赤のエネルギーに包まれ爆発 後方へ弾き飛ばされた。
「ムダな悪あがきだ・・・」 リンは不敵に笑う。
「この身体は、我の物 だれにも渡さぬ・・・・」 キャラン(浩司)を 嘲笑うかのように大きな笑い声を上げる。
同時に、もう1つの声も響く。
「だれが・・・ 私の身体を渡すものか・・・」 これは紛れもなのリン本来の声である。
だが、かなり精神面も乗っ取られているのだろう・・・ 声がかなり弱々しい。
今 リンと言う1つの身体の中で、2つの自我と精神が、その肉体の所有権を巡って争っているようである。
突然 リンの赤い光のエネルギーによって形成された2枚の翅から 稲妻に似た強力なエネルギービームが四方に放たれた。
周囲にある全ての物に無差別に攻撃を開始したように見える。
だがここは、荒涼とした岩砂漠の上空 下方には、荒れ果てた岩石と、砂などしかない。
直撃を受けた場所からは、大きな砂埃がキノコ雲のように舞い上がっている。
かなり強力な威力である。
"エネルギーが暴走を始めている・・・" キャラン(浩司)は、大きな砂埃を見ながら思った。
キャラン(浩司)自身 何度も経験している エネルギーの暴走である。
全くコントロールされていない。
そけが今 リンの身体に起きている。
"早く止めて、元のリンに戻す・・・・ いや・・・一気にケリ(決着)を付け これ以上暴走させる前に消滅指せる・・・"
キャラン(浩司)の脳裏に色々な考えが過る。
その時だった。
瞬時の迷いが、一瞬のスキを生む。
「喰らえ!!」 だれかの叫び声が響く リンではない男の声である。
左腕を光子ガントリックに変形させたB,P-1が、銃口をリンの額の赤のネクスタルに標準を定め 1発の光子弾を発射していた。
「ふん その程度のオモチャ 我には通じぬ」 リンは不敵な笑みを浮かべる。
1発の光子弾は、リンの額の赤のネクスタルに命中直前 リンの身体 特に、額の赤のネクスタルから発生している 赤いエネルギーによって、四散する。
身体から発生する 赤のエネルギーは、バリヤーの役割を持っている。
「何!!」 その状況を見てB,P-1は、大声を上げる。
同時に、今度は無数の光子弾を リンの額の赤のネクスタルに向けて発射した。
ネクストノイドの数少ない弱点の1つは、額に埋め込まれているネクスタルである。
通常のグロテノスならは、遥かに威力の小さい ヤーナの主要武器であるER01Tもしくは、改良タイプのER02Tライフルの光子弾でも 命中すれば、ネクスタルは、粉々に砕け 倒す事が出来る。
だが結果は同じである。
命中直前 無数の光子弾は、赤のエネルギーで四散する。
「ふ・ふ・ふ・・・」 リンは笑い声を上げる。
「もはや 我に勝てぬはおらぬ・・・」
リンの赤いエネルギーで出来た翅から 赤い稲妻のようなエネルギーが、2本 B,P-1と近くにいたB,P-2に直撃。
「うあー・・・!!」 2体のB,P(バトルプロテクター)から叫び声が上がる。
強力なエネルギーの直撃を受け 後方に弾き飛ばされる。
「永井司令官、ピエール!!」 キャラン(浩司)は、振り向きざま叫んだ。
直撃を喰らった胸のボディは、少し抉られ火花を上げている。
超高密度特殊合金で出来たB,P(バトルフロテクター)のボディが破られた。
もう1度直撃を喰らえば、2人の命はない。
キャラン(浩司)は覚悟を決めた。
キャラン(浩司)の身体は、更に淡い白い光の輝きが増す。
同時に、キャラン(浩司)は消えた。
その瞬間 リンの目の前にキャラン(浩司)が瞬時に現れた。
"このままでは・・・" と言う思いであった。
やはり 殺すのにはためらいがある だが・・・ このまま放置も出来ない。 覚悟を決めていた。
キャラン(浩司)の右手の手の平の前には、小さな光点が1つ 無限のエネルギーを集中していた。
マグナムアタック弾である。
ある程度離れた距離から発射した所で、あの赤のエネルギーによって、四散される可能性がある。
だが ほぼ0(ゼロ)距離ならば・・・ 何故か? そう思い行動にでた。
必殺技の1つスターバーストを使っても良かったのだが、何故か? その気になれなかった。
心のどこかで、リンを殺し 消滅させたくなかった。
ネクスタルだけを破壊出来れば・・・ だがネクスタルを破壊すれば、リンは死ぬ 結果は同じであるのに・・・
複雑な心境である。
リンの表情が驚く キャラン(浩司)の余りのスピードにリンは、追いつけない。
先程よりもリンのエネルギーは、増大し簡単に、身体から発光するエネルギー内に入れないはずである。
しかしキャラン(浩司)自身も 更に、レジェンスからのエネルギーを上げ 自身かなり淡く白い光を身体全体から発光させていた。
「リンー!!」 キャラン(浩司)は叫んだ。 同時に、キャラン(浩司)の右手の手の平の前にある マグナムアタック弾が、リンのネクスタルに衝突させる。
2つの強力なエネルギーが衝突する。
その瞬間 淡い白い光と、赤い光が同時に、巨大な怪光を発し爆発した。
中から2つの物体が別々の方向へ弾け飛ぶ。
一瞬 意識を失ったB,P-1は、意識を取り戻す。
同時に、額のレアスタルが光る 4次元ワームホールを通じて エネルギーが供給され エネルギーから物質が生まれる。
B,P(バトルプロテクター)を構成している超高密度特殊合金内のナノマシーンが、1部抉られ破られた胸の部分の修復を始める。
B,P-2も同様であった。
淡い白い光と、赤い光の爆発にB,P-1は気付いた。
修復は直ぐに完了する。
爆発地点から2つの物体が弾き飛ばされるのを見ると、B,P-1は、弾き飛ばされた1つの物体・・・ いや間違いなく人である。
1人の方へ向かって猛スピードで向かった。
それが浩司であるのに気付いた。
後ろへ周りキャッチする。
浩司は、少し意識が朦朧としていた。
「大丈夫ですか? 浩司さん」
「あ・・・」 浩司は数回首を振り答えた。
「リンは?」 浩司は空中で体勢を立て直し リンの飛ばされた方向を見た。
「確認が取れませんが・・・ あれだけの衝撃 はたして・・・?」 B,P-1もリンの飛ばされた方向を向く。
「とどめを刺せなかったが、間違いなくリンのネクスタルには、ヒビが入った・・・」 浩司は、マグナムアタック弾が、リンのネクスタルに直撃 その瞬間 何本ものヒビが入ったのを確認していた。
同時に、お互いの強力なエネルギーの爆発で弾き飛ばされた。
嫌悪感が浩司を襲っていた。
"これだけは慣れそうにないなあー" 人を殺したと言う 何とも言えない不快感である。
B,P-2も2人にゆっくりと近づいてくる。
「浩司さんご無事で・・・」
「何とかリンを倒したと思う」
浩司は、確信が取れないでいた 何となくリン それもエネルギーが急上昇し何か? 多分 ネクスタルそのものが自我、意識に目覚めリンを乗っ取り支配したリンではなく 本来のハイパーグロテノスとしてのリン ただ かなり弱り 瀕死の状態のリンを感じていた。
「まだ 龍(ロン)を始め 他が残っていますよ」 B,P-2は言う。
「あー 解かっている」 浩司は答えた。
もう1つ弾き飛ばされたのは、リンであった。
キャラン(浩司)の マグナムアタック弾を ほぼ0(ゼロ)距離で、まともに額の赤のネクスタルに直撃を喰らった。
キャラン(浩司)の見た通り その瞬間 何本もの細かなヒビが入り エネルギーそのものが爆発した。
恥じ飛ばされたリンを何やら影が、後ろからやさしく受け止める。
白い服装 古代ギリシャやローマの賢人のような服装であった。
ギルであった。
リンは、ネクスタルがヒビが入ると同時に、あの見る影もない程にひどく醜く歪んだ顔から 本来の絶世の美貌に戻り 赤い光のエネルギーで出来た翅も消え ハイパーグロテノスのバトルスタイル(戦闘形態)から 一糸まとわぬ人間の姿に戻っていた。
リンの顔を覗きこむギル。
目に、何本ものヒビの入った赤のネクスタルが入った。
輝きを失い もはや何も機能していないように見える。
ギルは、この戦いを途中から見ていた。
ハイパーグロテノスのレベルを遥かに超え デストロのバトルスタイル(戦闘形態)をも瞬時であったが、超えていたかもしれない。
"龍(ロン)のやつ どんな改造を施したのじゃ・・・ " 科学者として興味が沸いた。
"まだ死んではおらぬ・・・ ネクスタルは、破壊された 確かに何本ものヒビが入り 機能は停止しておる しかし粉々に砕け散ってはおらぬ この場合 死んでもおかしくないのじゃが、何故か僅かじゃが生命反応が残っておる・・・"
もう1度リンのネクスタルを見た。
"ん?" ある異変に気付いた。
何本ものヒビが入ったネクスタルの破片の1つから 僅かながら光を発し自己再生を始めた。
"バカな・・・ ネクスタルには自己再生能力などないはず・・・"
ギルは、テレパシーを使い 飛行タイプのグロテノス数体を呼び寄せる。
「この者を 日本の基地に連れ帰り 例のポットに入れておけ」
「はっ ギル将軍」
数体の飛行タイプのグロテノスは、リンを担ぎ 日本のギルの拠点基地へ向かって高速で飛行を開始した。

 その頃・・・
「どうした龍(ロン)のジジー 俺様はまだ変身前だぜー」 サラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)を エネルギー弾などの大技を使わずビリーは、手足だけり肉弾戦で、追い詰めている。
最初は、ギル、デュークと3体で連携プレイで攻撃していたが、途中からビリーの1人舞台となっていた。
それにしてもビリーは、確かに強かった。
8大将軍の中で、1番最後にデストロになったビリーである。
年齢も1番若い。
"俺様より 強いやつは、アピリムのみ" と豪語していた。
ビリーは、アメリカ合衆国のニューヨークのスラム街で生まれた。
父親は、だれか解からず、母親はジャンキー(麻薬中毒者)で、身体を売って、その日の麻薬を購入していた。
母親は、ビリーを産んでも 全く育児をせず 生後直ぐ産み捨てられたビリーを 心あるスラム街の住人が保護 そのまま施設に預けられた。
両親の愛情を知らないビリーは荒れた 物心ついた時から 盗みに手を出し 学校へ上がる年齢の頃には、施設を抜け出し 街中で、盗みを繰り返して来た。 ある程度の年齢に達すると、今度は、街のチンピラ相手にケンカを繰り返す毎日であった。
生まれつきの素質もあったのだが、ケンカに対して、無敵を誇り いつの日か、ニューヨークでNO1のストリート・ファイターになり その名を知られるようになっていた。
そんなビリーにケンカを売る相手がいなくなり 悶々とした日々を過ごしていた時 ある暗黒街のボスからお呼びがかかった。
地下社会の非合法デスマッチの試合の出場であった。
ルールはいたって簡単。
相手がギブアップするか、戦闘不能の状態にすれば勝ちである。
時には、相手を殺す事も問わない まさに死闘であった。
もちろん時間は無制限 他だし手足などの肉弾戦勝負で、武器の使用は固く禁じられていた。
そこには、ベアーキングと呼ばれる無敵のチャンピオンがいた。
ペアーキングの名は、地下社会でかなり有名であり ビリーは、いつの日か、ベアーキングと戦ってみたいと思っていた。
やつに勝てば、名実共に、史上最強の男の名を冠する事が出来る。
ファイトマネーは、途方も無いギャラであった。
他だし勝てばの話であり 負けは死を意味した。
もちろん非合法の地下試合である。 この試合の胴元は、賭けを行わう。
胴元は、ビリーにこの試合を持ち込んだ暗黒街のボスであり ビリーの存在を疎ましく思っていなかった。
この試合で、ビリーを処分するつもりであった。
ベアーキングは、身長2mを超え 体重も100kgを超える ニグロノイドの大男。
今だに不敗の伝説のチャピオンとして君臨していた。
試合は、大きな円形リングで行われ 周囲は高圧電流が流れる鉄線に覆われていた。
大観衆が見守る中 遂に試合のゴングが鳴らされた。
大方の予想は、チャンピオン ベアーキングの勝利 ゴングが鳴って何秒ビリーが耐えられるか? であった。
ベアーキングは、過去 全試合 相手を60秒以内に秒殺していた。
「ヘイ キッド(ガキ) どこからでもかかってきな!!」 ベアーキングは、ゴングが鳴ると同時にビリーを見下し 高慢な態度で挑発する。
「いい気になるなのよー 後で吠えづらかくのは、てめえだぜー」
ビリーは、素早いフットワークを繰り返し 相手の隙を覗う。
まともに正面からは仕掛けない 相手の実力を的確に判断していた。
当時10歳代後半であったが、ケンカのキャリアの数は、百戦錬磨のベテランである。
相手の隙を突き 一気に勝負を決めようと考えていた。
だがチャンピオン ベアーキングは、その巨体からは信じられない俊敏な動きであった。
お互い素早いフットワークを繰り返し 相手を牽制する。
「なかなか やるじゃないか・・・ チャンピオンさん」 不敵な笑みを浮かべビリーは、挑発する。
激しい打ち合いを楽しみにして来た 多くのギャラリーから激しいブーイングが飛ぶ。
だが2人の耳には、激しいブーイングなど届かない。
互いに口元が動く 薄笑いを浮かべる。
その瞬間 2人の間合いが詰まる。
お互い 激しいパンチの応酬が始まった。
ようやく多くのギャラリーから大歓声が上がる。
身長、体重、リーチの長さ どれを取っても ビリーを大きく上回るベアーキングから繰り出される 目にも止まらぬスピードの猛烈なパンチは、正確にビリーの急所を捕らえているかのように見えた。
だがビリーは、繰り出されるパンチの全てを見切っていた。
ヒット直前 急所を外していた。
喰らった程のダメージを受けていない。
逆に手数こそ少ないが、ビリーのパンチは、正確に相手の急所を捉えていた。
両者 少し間合いを開ける。
大きく息を乱すベアーキング 口元から血が流れる。
ビリーも、血の混じったつばを吐き出す。
だがビリーは、ほとんど呼吸を乱していない。
「チャンピオンさん 今度は、こっちが本気で行くぜー!!」
ビリーは、素早くベアーキングの懐に入った。
「喰らえー 必殺 流星マッハパンチ」 雄叫びを上げた。
ベアーキングの目には、ビリーの右腕から繰り出されるパンチが、無数に見えた。
全て 急所を正確に捕らえる。
「うおりゅー」 ビリーの更に雄叫びを上げる。
ビリーの無数のパンチを浴び続けるベアーキングの身体が 少し浮き上がる。
何も抵抗出来ない。
「とどめだー!!」
ビリーは、渾身の力を込め ベアーキングの腹部にパンチを繰り出した。
ビリーのパンチは、ベアーキングの腹部にめり込む。
ベアーキングの巨体は、弾き飛びそのまま高圧電流の流れる有刺鉄線まで飛んだ。
有刺鉄線に突き刺さったベアーキングの身体は高圧電流で、スパークする。
「どんなもんだい・・・」 ビリーは、薄笑いを浮かべた。
多くのギャラリーは、息を呑み静まり返っていた。
あの史上最強のチャンピオン 秒殺のベアーキングが、逆にビリーによって、秒殺されてしまった。
それもビリーは、右腕1本である。
右腕1本のパンチだけで、ベアーキングを秒殺してしまった。
とてつもない実力の違いを見せ付けられてしまった。
その後 ビリーは、アメリカ合衆国内では、対戦相手がいなくなり 強い敵を求めて、世界を放浪し始めた。
だが、暗黒街NO1の無敵の秒殺のチャピオンだったベアーキングを 逆に秒殺してまったビリーに挑む相手はいなかった。
そんなある日 ビリーは、世界最高峰ヒマラヤ山脈のある場所で野宿をしていた時だった。
目の前に、全身ゴルードに光輝く まさしく神々しいばかりのこの世の者とは思えない美しい男が、何の前触れも無く突然ビリーの前に現れた。
「お前がビリーか?」 美しい男は言う。
「そうだ だれだ貴様は?」 ビリーは、起き上がり 直ぐにファイテングホーズを取る。
今までに無い 実力の違いをビリーは、感じ取っていた。
タダ者ではない・・・ ビリーの野生の本能が感じている。
"何てやっだー 寒気がしやがる・・・ こんなすごいやつ初めてだぜー" 瞬時に相手の実力を見極めた。
底知れぬ ポテンシャルの高さが、全身に、今まで感じた事のない寒気となって伝わる。
だが強い相手程 燃えるビリーである。
「我が名は、アピリム」 美しい音色のボーイソプラノの音楽的響きであった。
まさしく神々の如く 優雅な足取りでビリーに近づく。
「お前は、強い相手を探し世界を放浪し続けてきたのだろう?」 アピリムは、ビリーを見つめる。
「あ そうだ」 ビリーは隙なく相手を覗う。
「お前の相手に、この余がなってやろう・・・」 まるでビリーごとき相手にもならないと言う口ぶりであった。
「その減らず口 今 叩きのめしてくれる!!」
ビリーは、アピリムの懐に飛び込み いきなり大技の必殺の流星マッハパンチを繰り出した。
だが、アピリムは、目を閉じ余裕の表情を浮かべ 左手1本で、ビリーの繰り出す 人間の目には、無数に見える全てのパンチをガードした。
少し離れ間合いを置くビリー 全てのパンチが簡単にガードされてしまった。
今まで、破られた事のないビリー必殺の大技であった。
「史上最強のストリートファイターと呼ばれる実力 その程度か?」
アピリムは、目を開けビリーを睨んだ。
その瞬間 今まで感じた事のない全く別物のすさまじい殺気と恐怖が、ビリーの身体全体に伝わった。
「何・・・」 ビリーはつぶやいた。
身体の調子がおかしい・・・
足に力が入らない・・・ それに小刻に震えだし やがて大きな振るえなる。
「どうしてしまったんだー 俺の身体」
「教えてやろう ビリー 今 多分生まれて初めて、お前は余に対し 死を恐怖した」
アピリムはゆっくりとした足取りでビリーに近づく。
「この俺様が、死ぬのを 怖がってるのだとー」 ビリーは強気で言い返した しかし・・・
強気の発言とは裏腹に、何故か身体は金縛りにあったよに動かない。
「何故・・・何故 動かねえー」 ビリーは、焦り始めた。
初めての経験である。
どんな強い相手でも、相手に恐怖した経験などなかった。
その時ビリーは悟った 生まれて初めての敗北だと・・・
それも相手に手足も出せない 完全な敗北だと・・・
"この俺様が負けただと・・・"
決して認めたくはなかった。
だが意思とは裏腹に身体は、相手に恐怖し死を恐れて 全く動かない。
ただ恐怖で震えるだけである。
そして、ビリーは、生まれて初めて、他人に忠誠を誓った。
そうアピリムに・・・
そして、アピリムと、もう1人古代ギリシャ、ローマの賢人風の老人 ギルからネクストノイドの秘密などを聞かされた。
ビリーは、その中でも数少ないデストロとなるDNAを持ち合わせている事も ネクストノイドのデストロの改造を受け 更に戦闘能力が飛躍的、ケタ違いに上がった。
いつの日か、もう1度アピリムと戦い勝つ事を夢見て。
だがまだその程度ではあのアピリムに勝てない・・・
まだまだ戦闘能力の違いが大きく過ぎる。
そんな記憶がビリーの脳裏を過ぎっていた。
「何を考えている!!」 ふと今戦っている龍(ロン)の声が響く 同時にサラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)の大技の1つ サラマンダーキャノンがビリーを襲った。
巨大に火炎エネルギー弾が、ビリーに向かう。
「なんめんなあー!!」 ビリーは、叫び声を上げ 必殺の流星バンチを繰り出した。
その光景を見ていた 8大将軍の1体デュークの顔が変わる。
ビリーは、まだ変身していない まともに変身したデストロの1体 龍(ロン)の必殺の大技の1つ サラマンダーキャノンの火炎エネルギー弾を喰らえば一溜まりも無いはずてある・・・
だがビリーの右拳から繰り出す無数のパンチは、サラマンダーキャノンの火炎エネルギー弾を粉砕してしまった。
「なんてやつ・・・」 デュークは思わずつぶやいた。
必殺の大技を破られた龍(ロン)は、それ以上の大きなショックを受け 呆然と立ち尽くしてしまった。
ビリーがバトルスタイル(戦闘形態)に変身して破られたならば、これ程のショックは受けない だがビリーはバトルスタイル(戦闘形態)に変身していない。
ビリーはにやりと薄笑い浮かべる。
「どうした龍(ロン)のジジー ここまでか?」 挑発する態度で龍(ロン)を見下す。
"もはやここまでか・・・?" もはや龍(ロン)には勝ち目がない事を悟った。
その時だった 新たな気配が3つ近づいてくるのを感じた。
1つは、あのキャラン(浩司) もう2つは、B,P(バトルプロテクター)。
こうなれば、勝ち目のないビリーとの戦闘を止め あのキャラン(浩司)と戦い レジェンスを奪い取る・・・ それ以外方法が思い浮かばなかった。
「ビリー ちょっと待ってくれ」 龍(ロン)は、ビリーに向かって命乞いとでも思える言葉を発し 懇願する。
「何だー 死ぬのが怖いかー」 ビリーは見下すよう言い放つ。
「このまま アピリム様の前に引きずり出される前に、せめて手土産を・・・」
そう言いながら龍(ロン)は、ゆっくり近づいてくる3人の1人 キャラン(浩司)を指差した。
「せめてやつの首を手土産に・・・」 龍(ロン)は懇願する。
「ふん 良かろう・・・」 不敵な笑みをビリーは浮かべる 鼻で笑っている表情である。
ビリーは、ファイテングポーズを解く そのままゆっくりと後退を始める。
"あのアピリムを後1歩まで追い詰めたたと言う実力 見せてもらおうか・・・" ビリーは、キャラン(浩司)に只ならぬ興味を抱いていた。
噂は本当なのか? ビリーは、キャラン(浩司)とは、初対面である。
噂通りの実力ならば、あのアピリムと同等 もしくは、それ以上の力を持つ事になる。
手足も出なかったあのアピリムより強いやつなどいるとはとても思えなかった。

 「よく来たなあ キャラン(浩司)」 龍(ロン)は振り返りキャラン(浩司)を指差した。
せっかくのデストロ同士の戦闘を楽しみに見学をと決めていたキャラン(浩司)は、少し首を傾け 両手をすこし上げ呆れたポーズを取る。
戦わずして勝つ その為には内部分裂を起させ同士討ちよる自滅など最も効果的方法の1つである。
漁夫の利・・・ そんな美味い話しなどまずない・・・
だが事情は知らないが、龍(ロン)とビリーは、戦いを止めた。
そして、次の相手として龍(ロン)は、キャラン(浩司)に戦いを挑んできた。
目の前の龍(ロン) ネクストノイドの上級モデルであるデストロの1体 更にバトルスタイル(戦闘形態)のサラマンダー(火龍)に変身している。
キャラン(浩司)の目は鋭く龍(ロン)を睨む 軽い高揚感に包まれる。
"この俺が戦いを望んでいる・・・" キャラン(浩司)は、自らを戒めようと思った。
軽く何度か首を横に振る。
「1人で何をしている!!」 龍(ロン)は、キャラン(浩司)に猛然と襲い掛かって来た。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、キャラン(浩司)をガードしようとした。
「おい そこの2体!!」 ビリーは、2体のB,P(バトルプロテクター)に突撃し動きを止める。
「これは1対1の決闘 邪魔をするな お前らはこの俺様が相手になってやるぜ」 2体のB,P(バトルプロテクター)睨み不敵な笑みを浮かべ牽制する。
サラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)には、伝説の龍と同じく長いシッポが生えている。
そのシッポを使いキャラン(浩司)の脇腹に強烈に叩き込んだ。
間一髪キャラン(浩司)は、左腕でガードし受け止める。
全くダメージを受けていない。
そのままレジェンスのエネルギーを高める キャラン(浩司)自身の身体からは、淡い白い光が強烈に発光 そのエネルギーは、ソニックブーム(衝撃波)となって、サラマンダー(火龍)を弾き飛ばした。
キャラン(浩司)は、ベルトの右側のフックに下げているバトンを右手に持ちスイッチを入れる。
バトンから剣が伸び高周波の高いハム音と共に、青白い光を発する。
高周波セイバーである。
両手でグリップを持ち そのまま弾き飛ばしたサラマンダー(火龍)に高速で移動 斬りかかった。
サラマンダー(火龍)は両手の鋭利な爪を伸ばし応戦する。
やはり前回のアジスの変身したバトルスタイル(戦闘形態)のライマー同様 伸びた鋭利な爪からは高周波が発生している。
激しい攻防が繰り広げられる。
青白い光を発する高周波セイバーと、同じく赤い光を発する長く伸びた爪が、ぶつかる事に、青と赤の光が飛び散る。
サラマンダー(火龍)は、少し距離を置くと、大きく口を開け 口から小さな火の玉が発生する。
ファイヤーボールである。
ファイヤーボールをキャラン(浩司)に向け1発発射した。
キャラン(浩司)は簡単に避ける。
その様子を見て、サラマンダー(火龍)は薄笑いを浮かべる。
「甘いぞ キャラン(浩司)」
その瞬間 直進し キャラン(浩司)の後方へとエネルギーを消失しながら消えるはずのファイヤーボールが、エネルギーを増大させ 大きな火の玉になり 後方からキャラン(浩司)に向かって来る。
またも避ける すぐさま反転 またもキャラン(浩司)に向かって来る。
サラマンダー(火龍)は、肉眼では見えないエネルギー光線で、ファイヤーボールを自自在に操り エネルギーを高めていた。
「逃げてもムダじゃ」 サラマンダー(火龍)は笑う。
キャラン(浩司)は、両手に持つ高周波セイバーで、向かって来るファイヤーボール目掛け上段から振り下ろした。
ファイヤーボールは、2つに割れる。
「ん?」 2つに割れ 消滅すると思われたファイヤーボールは、そのまま またエネルギーを増大させ各々の方向からキャラン(浩司)に襲い掛かって来た。
「何度 切り裂いても数が増えるだけじゃ」 勝ち誇るようにサラマンダー(火龍)は言い放つ。
同時に2つのファイヤーボールがキャラン(浩司)を襲う。
キャラン(浩司)は、高周波セイバーのスイッチを切り バトンを回転させながら上空に投げ 両腕を突き出し両手首を立てた。
「何をする気だ?」 サラマンダー(火龍)はつぶやく。
"あやつ エネルギー弾などの技は、右手しか撃てぬはず・・・" サラマンダー(火龍)に変身している龍(ロン)は思った。
今までのキャラン(浩司)の戦闘では、確かに右手で、エネルギー弾などの技を繰り出していた。
キャラン(浩司)ま身体は、1段と輝きを増した 同時に、両手の前に、小さなエネルギーが集約されていく。
「何!! あやつ両手共 エネルギー弾などの技を撃てるのか?」 少し驚いた表情をサラマンダー(火龍)は見せる。
キャラン(浩司)の必殺技の1つマグナムアタックである。
2つのマグナムアタック弾を 2つのファイヤーボールに向け撃った。
2つのファイヤーボールに、2発のマグナムアタック弾が直撃 同時に爆発する。
「あやつ 両手でエネルギー弾などの技を撃てるのを隠しておったか・・・?」 悔しさを剥き出しに表情でサラマンダー(火龍)は、キャラン(浩司)を睨んだ。
右手を潰せば、キャラン(浩司)が、エネルギー弾などの技を繰り出せなると思っていた。
別に、キャラン(浩司)は、両手共エネルギー弾などの技を使えるのを隠してのではない キャラン(浩司)は、右利きであり 利き腕の右手で、今までエネルギー弾などの技を繰り出していただけであった。
別に隠しておこうなどの意図していた事でなかった。
回転しながら落ちてくるバトンを右手で受け止め 高周波セイバーのスイッチを入れ構える。
「こうなれば・・・・」 サラマンダー(火龍)の額のエネラルドに輝くネクスタルは、眩い光を発した。
それを見ていたビリーはつぶやく 「龍(ロン)のジジー エネルギーの限界まで高める気だなあー」
サラマンダー(火龍)の全身から紅蓮の炎が湧き上がる。
前回の対決で1度 キャラン(浩司)を後1歩まで追い詰めた サラマンダー(火龍)最大の技 昇竜波を エネルギービームとして、キャラン(浩司)に撃つ。
前回とはまるで別人のようにキャラン(浩司)は強くなっている。
不安定だったレジェンスのエネルギーも ほぼ安定している。
あの変身前とは言え あのアピリムを後1歩まで追い詰めたのもまぐれやフロックではない 本来持つポテンシャルの高さである それる無限とも呼べる・・・
このままでは勝ち目がない。
デストロの1体 サラマンダー(火龍)の持つエネルギーの全てをキャラン(浩司)にぶつける・・・ それ以外方法がない 刺し違える覚悟であった。
キャラン(浩司)も サラマンダー(火龍)に変身している龍(ロン)の意図を正確に見抜いていた。
"やつ 持てる全エネルギーを必殺の大技 昇竜波としてぶつける気だなあー"
同時に、キャラン(浩司)自身 身体全体から発光する 淡く白い光の輝きを増し始めた。
まるでサラマンダー(火龍)の増大するエネルギーに対応するように・・・
キャラン(浩司)は、手に持つ高周波セイバーのスイッチを切り ベルトのフックに掛ける。
サラマンダー(火龍)は、大きく目を見開いた。
鋭い眼光でキャラン(浩司)を睨む 大きく口を開けると、口の前に 大きく赤い光が発生 身体全体から発生している 紅蓮の炎が、赤い光に集まり 全エネルギーを集中させる。
キャラン(浩司)も 両手を右脇腹横で構え 手と手の間にエネルギーを集中させる。
淡く白い光が発生 輝き始める。
キャラン(浩司)の大技の1つ スターバースト。
"龍(ロン)の必殺の大技に対抗するには、これしかないなあー" キャラン(浩司)は、そう思いつつ鋭い目付きでサラマンダー(火龍)を睨む。
突然 雲行きがおかしくなり出した。
ここは荒涼した岩砂漠の上空 雲1つない快晴のはずが、突如 黒い巨大な積乱雲が、見る見る発生 更に巨大化し 積乱雲の内部では、放電現象による雷の光と、轟音が響きだす。
地表の荒涼した岩砂漠でも 至る場所で、トルネード(竜巻)が発生する。
キャラン(浩司)と、サラマンダー(火龍9に変身した龍(ロン)が、エネルギーを大きく増大させる事によって、大気に思わぬ巨大な影響を及ぼしている。
食い入るようにこの戦闘を見ていた 2体のB,P(バトルプロテクター)と、デストロの1体 まだ変身していないビリーは、ゆっくりと後退を始める。
2つの巨大なエネルギーが衝突する。
その巻き添えにあえばタダでは済まない。
ビリーは、後退しながら球体のバリヤーで身を包む。
バリヤーを張れない2体のB,P(バトメプロテクター)は、更に後退スピードを上げる。
ビリーの側に、同じく球体のバリヤーで身体を包んだギルが現れた。
「どこで何をしていたギル爺 もうすぐクライマックスだぜ」 横目でギルを見るビリー。
「それより どちらが優勢だ」 ビリーの後退に歩調をシンクロ(同調)させゆっくりと後退を始めるギルは聞いた。
「見れば 解かるだろう あのキャラン(浩司)が優勢だぜ」 薄笑いを浮かべる。
どうやらこの勝負決着が付いた後 ビリーは、キャラン(浩司)に勝負を挑むつもりでいる。
ギルは、キャラン(浩司)とサラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)を見た。
確かにビリーの言う通りであった。
龍(ロン)は、デストロの1形態 サラマンダー(火龍)に変身し 額に埋め込まれている エメラルド色のネクスタルが燦然と輝き それに合わせる様 身体全体から紅蓮の炎が湧き上がり そのエネルギーを大きく開いた口の前に 赤い光のエネルギー体に集中させていた。
サラマンダー(火龍)の最大の必殺技 昇竜波を デストロの1体である龍(ロン)の最大のエネルギーを集中させている。
龍(ロン)の限界までを。
それに対してキャラン(浩司)もまたエネルギーを高めていた 両手を右脇腹横に構え 集中させている。
あのデストロの1体アジスを瞬時消滅させ アピリムを 後1歩の所まで追い詰めた必殺技の構えであった。
これ以上エネルギーの高まりを見せない龍(ロン)に対して、キャラン(浩司)は、まだエネルギーの高めている まだ限界などには達していない。
もはや勝負ありに見える。
同じ頃 別の方向へ後退している2体のB,P(バトルプロテクター)も望遠レンズアイで、浩司と龍(ロン)捕らえながら セッシング機能で、観測されるデータが脳に伝わっていた。
もはやエネルギー量を示す データの数値が目まぐるしく変動するだけで何も意味を持っていない。
浩司の構えを見て、B,P-1はつぶやく 「あのアジスを瞬時に消滅させたあの大技を使うつもりかー」
「間違いなく あの技を使うつもりでしょう」 隣にいるB,P-2を装着するピエールもうなづいた。
あの驚異のエネルギービームをまともに喰らえば B,P(バトルプロテクター)の特殊超合金でも一瞬に消滅させる 破壊力を持っている。

 必殺技の構えに入りエネルギーを高め睨み合っていた キャラン(浩司)と、サラマンダー(火龍)。
先程 突如発生した巨大な積乱雲から大粒の雨が風雨を伴い叩きつけるよう降り出した。
至る所で轟音を響かせ雷が光る。
互いに口元が薄く笑う。
その瞬間 互いに必殺の大技のエネルギービームを発射した。
キャラン(浩司)は、両手を前へ突き出す スターバースト。
サラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)は、口の前方から昇竜波を放つ。
淡く白いビームと、幾筋もの螺旋状に噛合った赤いビームが中間地点で激突した。
そのポイントから強力なソニックブーム(衝撃波)が発生し 周囲の大気を揺らす・・・ いや時空間そのものを揺らしているように感じられる。
ややサラマンダー(火龍)の放つ昇竜波の方が押し気味に見える。
少しずつであるが、キャラン(浩司)の放つスターバーストを押し込んでいる。
サラマンダー(火龍)の顔が、少し綻ぶ。
「勝てる・・・」 サラマンダー(火龍)はつぶやいた。
この戦いを見ていた ビリーとギルは、違った見方をしていた。
「龍(ロン)のジジーの負けだなあー」 ビリーは、鼻で笑う言い方であった。
「キャラン(浩司)は、まだ全力を出しておらんからのうー」 ギルも同調するようつぶやく。
見た目には、押され気味キャラン(浩司)であったが、この状況下でも顔色1つ変えない。
逆に余裕を感じられていた。
"一気にカタをつけるか・・・" そう思うと、キャラン(浩司)の目は鋭く光った。
キャラン(浩司)の身体から発光する淡く白い光の輝きが増す。
同時にキャラン(浩司)の放っているスターバーストの威力が急上昇する。
そのままサラマンダー(火龍)の昇竜波を押し返し 2つの強力なエネルギービームの束となりサラマンダーに直撃。
それを見て慌ててサラマンダー(火龍)は、バリヤーを張るものの 顔が引きつる。
2つの強力なエネルギービームの束に抗し切れず サラマンダー(火龍)は吹き飛ばされバリヤーは破壊され まともに直撃を喰らう 2つの強力なエネルギービームに飲み込まれ 断末魔の悲痛な叫び声を上げ爆発 消滅する。
キャラン(浩司)は、スターバーストの構えを解く 同時に身体から発光する淡い白い光が消える。
キャランは何度も大きく呼吸をする。 いつもなら全く呼吸を乱さず、汗1つかかないのに、呼吸を乱し大粒の汗が全身から溢れ出ている。
だがキャラン(浩司)の表情は、全く変わらない。
鋭い目付きのまま 龍(ロン)の消滅した方向を見つめながら全く感情のない無表情のままである。
"龍(ロン)の気配がない 間違いなく倒したか・・・" 心地よい気分ではない。
いつもの事であるが、人を殺したと言う 言葉では表現出来ない・・・ 不快感に苛まれる。
デストロの1体 サラマンダー(火龍)の龍(ロン)を倒した。
だがキャラン(浩司)は、戦闘態勢を解かない。
そんなー感傷に浸っている暇などない。
もう1つ 龍(ロン)など比べ物にならない強力な戦闘力を感じていた。
まるで飢えた狼が、ターゲット(獲物)を狙う野生の闘争本能むき出しの鋭さである。
キャラン(浩司)は、ゆっくりと感じ方へと振り向く。
ビリーである。
同じデストロである アジスの変身したライマー、今倒した龍(ロン)の変身したサラマンダー(火龍)より変身前であるにも関わらず 今 目の前にいるビリーの方が更に比較にならない程強さを感じる。
そして、ゆっくりと、ビリーとギルの方へ近づく 長身のコーカソイド 初めて見る美形の美男子のデューク この2人 タダ者でない そうあのアピリム程ではないが とてつもない戦闘力を感じていた。
「ヘイ!! キャラン(浩司) 今度はこの俺様が相手になってやる!!」 ビリーは、大きなゼスチャーでキャラン(浩司)を挑発する。
「あんな龍(ロン)のオールドタイプ(旧型)のポンコツを倒したぐらいで、いい気になるなよ この俺様こそ デストロの中でも最新最強タイプだぜ!! あんな龍(ロン)のポンコツとは格段違うぜ!!」 口元が笑う。
そうビリーは、8体のデストロの中で、1番年齢も若く 1番最後に、ネクストノイドのデストロの改造を受けていた。
改造を施したのは、隣にいるギルが施した。
過去の6体のデストロの改造は、全てギルが直接自らの手で施しており、それまでの過去6体のデストロの各種データ、経験などからビリーには、最新テクノロジーを惜しみなく使用している。
元々素体ベースとしてもビリーは、際立ったDNAの適正率を誇っていた。
逆 キャラン(浩司)に倒された龍(ロン)は、ギルに次いで2体目のデストロへの改造であり それも約100年以上前であった。
その後 各種メンテナンスなどのオーバーホールを受けただけで、大規模な再改造を受けていない。
基本的に、デストロでもビリーの言う通りオールドタイプ(旧型)である その差は歴然としていた。
だがそんな話しなどキャラン(浩司)には、どうでもいい事である。
少し肩をすくめ 呆れたポーズを取る。
今 サラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)は、倒す為 大技の1つスターバストを使用した。
無限のエネルギーを誇るはずのレジェンスからのエネルギー供給が、急激に低下していた。
現在ホバーリング(空中停止)状態で浮かんでいるのが、ほぼ限界に近い状態である。
元々コントロール不能のレジェンスである。
常にエネルギー量が激しく変動する。
全くコントロール出来ないのだが、ここの所 ある程度コントロール出来るようになりつつあった。
龍(ロン)との戦いでも 過去例のない程 エネルギー供給量が安定していた。
それも 危険なAbsolute Area(絶対領域)の遥か手前のレベルで、ほぼ安定していた。
だが、大技の1つスターバーストを放った後 必ずレジェンスのエネルギー量が最低レベルまで、急低下し、呼吸が乱れ 全身から大粒の汗が滲み出て 急激なスタミナ消耗状態になる。
原因が不明であるが、レジェンスそのものの持つポテンシャル・エネルギーは無限である。 キャラン(浩司)は、そのレジェンスと融合し、レジェンスの持つ無限のポテンシャル・エネルギーを利用出来る。
しかしキャラン(浩司)の本来持つポテンシャルは、決して高いとは言えない。
地球と言う惑星の中で、現在の環境にしか適応出来ない ポモサピエンス・サピエンスと呼ばれるヒューマノイドタイプ(人型)の生命体にしか過ぎない。
本人も気付いていなが、本来持つポテンシャルの低さが、大技を利用した後の急激なエネルギーと、スタミナ低下をもたらしているのかも知れない。
「ヘイ!! キャラン(浩司) 俺様の強さにビビって戦う気がないのか!!」
一瞬物思いにふけていたキャラン(浩司)を挑発する。
「かかってくる気がねえなら こちらから行くぜー!!」
ビリーは、猛烈なスピードで、キャラン(浩司)に近づき 間合いから左右のパンチを繰り出す。
キャラン(浩司)もファイテングポーズを取り ビリーが繰り出す左右のパンチを巧みに避ける。
「ヘイ どうした 俺様の攻撃に反撃も出来ないのか?」
ビリーの猛攻に反撃のチャンスが掴めない。
一方的に押され気味のキャラン(浩司)。

 この戦闘を見ていた2体のB,P(バトルプロテクター)は、浩司の助太刀に回ろうとした。
どうやら先程の龍(ロン)との戦闘で、ほとんどエネルギーを使い果たした様に見えた。
浩司の身体からは、先程までの淡い白い光が発光していない。
このままではビリーにやられる・・・
「浩司さん・・・」 2体のB,P(バトルプロテクター)は、つぶやき戦闘に加わろうとした。
しかし その行く手を2体のデストロである ギルと、デュークに阻まれる。
「お前達の相手は、この私がいたそう」 デュークは、腰にぶら下げていたサーベルを右手で持ち フェンシングの戦いの前のポーズを取る。
「ギル爺や ここは私1人で十分」 デュークは、隣のギルを下がらせる。
デュークは、薄く笑う。 白い歯が光る。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、左腕をエクスカリバーに変形させ 歯の表面に高周波を発生させる。
それを見て、デュークもバトン部分のグリップの底のスイッチを押す サーベルも赤白い光を発する。 こちらも高周波を発生させる。
2体のB,P(バトルプロテクター)と、デュークは構え 睨みあう。

 一方 ビリーと対決するキャラン(浩司)
ビリーのパンチは、1発もヒットしていない。
だがヒリーは、まだ本来の実力の僅か程度しか出していない。
キャラン(浩司)を本来の実力を出させる為の牽制にしか過ぎない。
キャラン(浩司)は、ようやく少し間合いが取れる。
キャラン(浩司)は、両手を握り 精神を集中させる。
僅かながらキャラン(浩司)の身体から淡い白い光が発光する。
同時に、ビリー目掛け右回し蹴りを繰り出す。
ようやく反撃開始・・・?
だが空振り 簡単に避けられる。
「そんなキック 俺様にはヒットしないぜ」 ビリーは笑う。
キャラン(浩司)の身体から淡く白い光が発光しているのを確認すると、ビリー更に薄く口元に笑みを浮かべる。
「ようやく 本気になったかー 面白いやー」 ビリーも目を閉じ精神を集中させる。
額のエメラルドのネクスタルが輝きを増す。
「変身する気か・・・?」 キャラン(浩司)はつぶやいた。
今 ビリーがバトルスタイル(戦闘形態)に変身されては、やっかいだ。 無理やりレジェンスのエネルギーを上げてた。
龍(ロン)の時のように、安定したエネルギーが得られない 非常に不安定で、変動が激しい。
だがビリーは、変身しない。
キャラン(浩司)同様 身体からエメラルド色の光が発光する。
「見たか!! キャラン(浩司)!! 俺様は、バトルスタイル(戦闘形態)に変身しなくても あの龍(ロン)のジジーのバトルスタイル(戦闘形態) サラマンダー(火龍)よりも戦闘能力を上げられるんだぜ!!」
はったりではない キャラン(浩司)は、ビリーの急上昇したエネルギーの大きさを感じ取っていた。
先程 サラマンダー(火龍)に変身した龍(ロン)のフルパワーより 今のビリーは、大きく上回っている。
「少し 本気を出させてもらうぜ!!」 ビリーは、猛然とキャラン(浩司)に襲い掛かる。
「くっそー!!」 キャラン(浩司)も悪態をつき 強引にレジェンスのエネルギーを上げた。
キャラン(浩司)の身体の輝きが増す。
ビリーの繰り出す右ストレートパンチ目掛け 強引に高めたレジェンスのエネルギーを右拳に集中 ビリーの右ストレートパンチ目掛け同じく右ストレートパンチを繰り出す。
2人のストレートパンチは、激突 同時に、激突部分から轟音を上げエネルギー ソニックブーム(衝撃波)を発生 周囲の時空まで揺らす。
余りの強力なエネルギー ソニックブーム(衝撃波)の為 下方の岩砂漠の地面まで消し飛ばす。
「中々やるじゃないかー キャラン(浩司)」 ビリーは、ニヤリと笑う。
近くで睨み合っていた2体のB,P(バトルプロテクター)とデュークと、少し後方にいたギルも 余りの強力なエネルギー ソニックブーム(衝撃波)もまともに喰らい大きく弾き飛ばされる。
「ビリーのやつ相変わらず派手にやりおる・・・」 体勢を立て直しながらギルは、つぶやいた。
キャラン(浩司)、ビリーは、お互いの右手を引く。
「ここまで強いやつは、アピリム以来だぜ」 ビリーは、不敵な笑みを浮かべる。
その時だった ここにいた6人は、同時にある異変に気付いた。
特に、2体のB,P(バトルプロテクター)は、頭部のスキャンからある警告が発せられ 装着者に伝えられる。
「地面から・・・」 B,P-1はつぶやいた。
突然 大地が大きく揺れる。
「地震・・・」 B,P-2が叫ぶ。
6人共 空中にいる為 直接振動を感じない。
だが下方の地面が激しく揺れるのが解かる。
「ここは、過去地震もなければ、近くに火山などないはず・・・」 B,P-2は、驚きの声を上げる。
地面は、至る所で地割れを起し 裂けていく。
いち早く 地割れの底から真っ赤な液体が上がってくるのを確認したギルは、叫んだ。 「溶岩が噴火する 早くこの場から逃げるのじゃー」
キャラン(浩司)は、2体のB,P(バトルプロテクター)と共に、ビリーは、ギル、デュークと共に別方向へ急速後退する。
今まで戦っていた下方の地割れ地面がね大音響と共に大爆発 巨大な噴煙を上げ マグマの火柱が上がる。
1ヶ所だけではなかった 同時に数ヶ所 噴火している。
大小様々な 真っ赤な火山弾が飛び散る。
キャラン(浩司)は、2体のB,P(バトルプロテクター)の前に立ち 球体のバリヤーを張る。 バリヤーの張れない2体のB,P(バトルプロテクター)を自ら張ったバリヤーで守る。
そのままゆっくり後退を始める。
2体のB,P(バトルプロテクター)は、この様子をスキャンし、SLV通信を使い 聖なる場所にデータ送信を始める。
「こちらB,P-2のピエール 今中国の某所で、突如 火山のない場所で、複数の火山が大爆発した 各種データを送信している 直ちにアンダーソン博士のグループに解析をお願いしたい」
B,P-2は、内臓されているSVL通信を使い聖なる場所と交信している。
大量の真っ赤に燃えるマグマが、地表に湧き出し 周囲の荒涼した岩砂漠を被い始めた。
まるで地獄図を見るような光景であった。
同じ頃 別方向へ後退していた3体のデストロ ギル、ビリー、デュークも今起きている光景を 各々バリヤーを張りながら見ていた。
「ギル爺ー 頼みがある」 ビリーは、ギルの方を向く。
「何じゃ ビリー」
「ギル爺の超能力で、俺の声をキャラン(浩司)に伝えられねえか?」
ギルは、ビリーの意図を察した。
「良かろう」 ギルは両目を閉じる。
「さあー 喋るが良い」 ギルの額のエメラルド色のネクスタルが光る。
「キャラン(浩司)は、今回は、こんな邪魔が入った だが次ぎ会う時は、貴様の首 この俺様が頂くぜ それまで首を洗って待っていな」
ビリーは、叫んだ。
その声は、別方向へゆっくり後退している キャラン(浩司) 2体のB,P(バトルプロテクター)に耳に届いた。




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